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特開2023-23602スイッチ装置、スイッチ装置の制御方法
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  • 特開-スイッチ装置、スイッチ装置の制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023602
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】スイッチ装置、スイッチ装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/59 20060101AFI20230209BHJP
   H01H 9/54 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
H01H33/59 D
H01H9/54 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129256
(22)【出願日】2021-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】福田 有貴
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 吉則
【テーマコード(参考)】
5G028
5G034
【Fターム(参考)】
5G028AA22
5G028FB06
5G028FD04
5G034AA09
(57)【要約】
【課題】高電圧の電流に対しアークを発生させることなく高速に遮断する。
【解決手段】電力線(2)に設けられるスイッチ装置(1)であって、複数の機械スイッチ(11、12、・・・、1n)が直列に接続された第1回路(10)と、第1回路に並列に接続された半導体スイッチ(20)と、機械スイッチおよび前記半導体スイッチを制御する制御部(40)と、を備え、制御部は、スイッチ装置を閉路状態から開路状態に転じる場合に、全ての機械スイッチにオフ指令を発するとともに、半導体スイッチにオン指令を発し、その後所定時間経過してから、半導体スイッチにオフ指令を発する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力線に設けられるスイッチ装置であって、
複数の機械スイッチが直列に接続された第1回路と、
前記第1回路に並列に接続された半導体スイッチと、
前記機械スイッチおよび前記半導体スイッチを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記スイッチ装置を閉路状態から開路状態に転じる場合に、全ての前記機械スイッチにオフ指令を発するとともに、前記半導体スイッチにオン指令を発し、その後所定時間経過してから、前記半導体スイッチにオフ指令を発する、スイッチ装置。
【請求項2】
前記所定時間は、オンの状態の前記機械スイッチにオフ指令が与えられた後に、前記機械スイッチの接点間の耐電圧が所要値に達するまでの時間によって定められている、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
複数の前記機械スイッチのそれぞれに対し、並列にインピーダンス素子を有する請求項1または2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記インピーダンス素子が抵抗素子である請求項3に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記インピーダンス素子によるインピーダンスの値は、前記機械スイッチの接点間のオフの状態における絶縁抵抗の、10分の1より小さい値である請求項3または4に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
複数の機械スイッチが直列に接続された第1回路と、
前記第1回路に並列に接続された半導体スイッチと、を備える、電力線に設けられるスイッチ装置の制御方法であって、
前記スイッチ装置を閉路状態から開路状態に転じる場合に、
全ての前記機械スイッチにオフ指令を発するとともに、前記半導体スイッチにオン指令を発するステップと、
その後所定時間経過してから、前記半導体スイッチにオフ指令を発するステップと、を実行するスイッチ装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以前から、電流を遮断するために、遮断器が用いられている。遮断器としては、真空遮断器(VCB)、ガス遮断器(GCB)などが挙げられる。多くの遮断器では、有接点の機械スイッチを用いることが一般的である。
【0003】
特許文献1には、停電対応などのために2つの交流電源を切り換えて負荷に電流を流す無瞬断電源切換装置が開示されている。当該無瞬断電源切換装置では、切替え式の有接点の機械スイッチに加えて、無接点の半導体スイッチをも備えた、いわゆるハイブリッドスイッチである。一般的に、機械スイッチでは、接点のオンオフ(開閉)に時間がかかるために、切替え動作にも時間がかかる。そのため、機械スイッチのみで切換えを行うと、無電圧になる時間が生まれてしまう。
【0004】
そこで、当該無瞬断電源切換装置では、機械スイッチがオンオフするのにかかる時間の間隙を、応答性が早い半導体スイッチによって2つの交流電源のいずれかと負荷とを接続することで、間隙を埋める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-51098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ハイブリッドスイッチによって、電流を遮断する場合(接続する負荷を切り換える場合も含む)、通常時は抵抗が小さい機械スイッチで導通しており、遮断時のみ一時的に半導体スイッチで導通することになる。ここで、半導体スイッチをオフにした後で、機械スイッチにおいてアークが発生することがある。
【0007】
そこで、本発明の一態様は、高電圧の電流に対しアークを発生させることなく高速に遮断できるハイブリッドスイッチ(スイッチ装置)を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るスイッチ装置は、電力線に設けられるスイッチ装置であって、直列に接続された複数の機械スイッチから成る第1回路と、前記第1回路に並列に接続された半導体スイッチと、前記複数の機械スイッチおよび前記半導体スイッチを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記複数の機械スイッチを全てオフに指令をするとともに、前記半導体スイッチをオンにした後、前記複数の機械スイッチが少なくとも1つオフの状態において、前記半導体スイッチをオフにする。
【0009】
他の一態様に係るスイッチ装置の制御方法は、複数の機械スイッチが直列に接続された第1回路と、前記第1回路に並列に接続された半導体スイッチと、前記機械スイッチおよび前記半導体スイッチを制御する制御部と、を備えるスイッチ装置の制御方法であって、前記スイッチ装置を閉路状態から開路状態に転じる場合に、前記制御部は、全ての前記機械スイッチにオフ指令を発するとともに、前記半導体スイッチにオン指令を発する切換ステップと、その後所定時間経過してから、前記半導体スイッチにオフ指令を発する遮断ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、高電圧の電流に対しアークを発生させることなく高速に遮断できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1に係るスイッチ装置の回路図である。
図2】実施形態1に係る機械スイッチの耐電圧とスイッチ装置の端子間電圧との関係を示すグラフである。
図3】参考例に係るスイッチ装置の回路図である。
図4】参考例に係る機械スイッチの時間経過と接点距離との関係を示すグラフである。
図5】参考例に係る機械スイッチの時間経過と接点距離との関係を示す開放動作開始時を拡大したグラフである。
図6】参考例に係る機械スイッチの耐電圧とスイッチ装置の端子間電圧との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔参考例〕
まず、実施形態の説明の前に、図3~6に基づき、参考例について詳細に説明する。
【0013】
(参考例に係るスイッチ装置)
図3は、参考例に係るスイッチ装置100の回路図である。スイッチ装置100は、機械スイッチ110と半導体スイッチ120とが並列に接続されたスイッチ装置である。スイッチ装置100は、電力線2の間に設けられ、電流を通電させたり遮断させたりする機能をもつ。スイッチ装置100は次の順で動作する。
【0014】
(手順1)スイッチ装置100を閉路状態(オン)にする投入時は、機械スイッチ110をオン(閉)にし、通電する。これは、機械スイッチ110と半導体スイッチ120とで比較して、機械スイッチ110の方が通電損失を少なくすることができるからである。
【0015】
(手順2)閉路状態において、電流を遮断するために閉路状態から開路状態(オフ)に転じる場合、制御部40は、半導体スイッチ120にオン指令を発するとともに、機械スイッチ110にオフ指令を発する。一般に半導体スイッチ120の応答速度は、機械スイッチ110の応答速度よりも早い。そのため、半導体スイッチ120は、機械スイッチ110がオフ(開)になる前にオンになる。参考までに、機械スイッチ110は、遮断指令が出されてから約数10μs経過後に、接点の開放動作を開始する。
【0016】
(手順3)半導体スイッチ120がオンになっている状態で、機械スイッチ110がオフになることで、電流が半導体スイッチ120に転流する。参考までに、このときは機械スイッチ110の接点距離がある程度開いた段階で転流が起き、遮断指令がされてから約0.8ms経過後である。
【0017】
(手順4)手順2から所定時間経過後の、半導体スイッチ120に電流が流れている状態で、制御部40は、半導体スイッチ120にオフ指令を発する。参考までに、このときは遮断指令が出されてから約1.6ms経過後である。
【0018】
(参考例における接点距離の時間変化)
手順2以降における、機械スイッチ110の接点距離に関して詳細に説明する。図4は、参考例に係る機械スイッチ110の時間経過と接点距離との関係を示すグラフである。図5は、参考例に係る機械スイッチ110の時間経過と接点距離との関係を示す開路動作開始時を拡大したグラフである。
【0019】
機械スイッチ110における接点の少なくとも一方は、機械的に加えられる外力によって、接点が引きはがされる。図4に示すように、引きはがされた接点は、機械的に振動をしながら、ある接点距離で収束する。
【0020】
ここで、図5に示すように、遮断指令が入力されて(図5における0ms)から、約0.8msほどまで接点距離は0(接点が接触し、導通している状態)のままである。約0.8ms経過後、接点距離は増加を始め、接点は開路される。
【0021】
(参考例における接点距離と絶縁破壊電圧との関係)
一般に、接点距離と接点間での絶縁破壊電圧には比例関係がある。すなわち、接点距離が近いほど、絶縁破壊電圧は低く、容易に絶縁破壊し、接点が離れているにも関わらず電気が流れてしまう。
【0022】
図6は、参考例に係るスイッチ装置100の耐電圧と端子間電圧との関係を示すグラフである。図6において、横軸は時間であり、縦軸は電圧を表す。スイッチ装置100の耐電圧の特性を実線で表し、スイッチ装置100に印加される端子間電圧を破線で表す。ここで、耐電圧は接点距離から定まる値である。
【0023】
約1.6msほどで半導体スイッチ120がオフすることにより、スイッチ装置の端子間電圧は、極間の電圧まで振動しながら上昇していく。このとき、図6のハッチングで示すように、約2msほどにおいて、端子間電圧が耐電圧を超過することがある。そのため、開路動作中に、耐電圧を端子間電圧が超すことになり、機械スイッチ110の接点間で絶縁破壊を起こしアークが発生する。
【0024】
アークが一度発生すると、電流零点にならないと、アークが消弧しない。アークによって接点が損耗し、接点寿命を縮める原因となる。また、電流を意図したタイミングで遮断できないことから二次被害が起こり得る。そのため、アークを発生させずに安全に遮断する必要がある。
【0025】
アークを発生させないためには、機械スイッチに印加する電圧を低圧にするか、十分に長い時間をかけて半導体スイッチを遮断するかをしなければならない。しかしながら、これらのケースは実用に耐えない場合も想定される。
【0026】
〔実施形態1〕
そこで、高電圧下において、高速応答できるスイッチ装置を実現する、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0027】
(スイッチ装置1の回路構成)
図1は、実施形態1に係るスイッチ装置1の回路図である。スイッチ装置1は、電力線2に設けられる。スイッチ装置1は、複数の機械スイッチ11、12、・・・、1nが直列に接続された第1回路10を備える。スイッチ装置1は、第1回路10に並列に接続された半導体スイッチ20をさらに備える。また、各機械スイッチ11、12、・・・、1nはそれぞれインピーダンス素子31、32、・・・、3nを並列に備える。すなわち、並列に接続された機械スイッチ11とインピーダンス素子31と、並列に接続された機械スイッチ12とインピーダンス素子32と、並列に接続された機械スイッチ1nとインピーダンス素子3nと、が直列に接続されている。また、スイッチ装置1は、各機械スイッチ11、12、・・・、1nおよび半導体スイッチ20を制御する制御部40をさらに備える。
【0028】
機械スイッチ11、12、・・・、1nとインピーダンス素子31、32、・・・、3nとは、それぞれ複数のn組(n≧2)あればよい。例えば、機械スイッチとインピーダンス素子は2個ずつである。
【0029】
(スイッチ装置1の動作)
次にスイッチ装置1の閉路動作および開路動作を説明する。
【0030】
(手順1)スイッチ装置1を閉路状態にする投入時は、複数の機械スイッチ11、12、・・・、1nをオン(閉)にし、通電する。
【0031】
(手順2)閉路状態において、電流を遮断するために閉路状態から開路状態に転じる場合、制御部40は、複数の機械スイッチ11、12、・・・、1nに対しオフ指令を発するとともに、半導体スイッチ20に対しオン指令を発する。
【0032】
(手順3)半導体スイッチ20がオンになっている状態で、機械スイッチ11、12、・・・、1nのいずれかがオフになることで、半導体スイッチ20に転流する。これは、オフになった機械スイッチ11、12、・・・、1nに対応するインピーダンス素子31、32、・・・、3nのインピーダンスよりも半導体スイッチ20のインピーダンスの方が十分に小さいためである。
【0033】
(手順4)手順2から所定時間経過後の、半導体スイッチ20に電流が流れている状態で、制御部40は、半導体スイッチ20に対しオフ指令を発する。このとき、少なくとも1つの機械スイッチ11、12、・・・、1nの接点距離は十分に距離があいており(すなわちオフ)、絶縁距離を確保できている。そのため、インピーダンス素子31、32、・・・、3nに転流することになる。ただし、インピーダンス素子31、32、・・・、3nに転流することにより、スイッチ装置には小電流のみが流れることになるため、実質上、スイッチ装置はオフ(開路状態)になったものと見なせる。
【0034】
(手順5)図示しない外部のスイッチによって、インピーダンス素子31、32、・・・、3nを流れる電流を遮断する。これにより、スイッチ装置1を流れる電流は完全に遮断される。
【0035】
(接点距離と絶縁破壊電圧との関係)
図2は、実施形態1に係るスイッチ装置1の耐電圧とスイッチ装置1の端子間電圧との関係を示すグラフである。図2において、横軸は時間であり、縦軸は電圧を表す。スイッチ装置1の耐電圧の特性を実線で表し、スイッチ装置1に印加される端子間電圧を破線で表す。
【0036】
図2に示すように、常に、スイッチ装置1の耐電圧がスイッチ装置1に印加される端子間電圧を超過しているため、絶縁破壊を起こすことなく機械スイッチ11、12、・・・、1nの接点を開(オフ)できる。
【0037】
すなわち、手順4における所定時間は、オンの状態の機械スイッチ11、12、・・・、1nにオフ指令が与えられた後に、機械スイッチ11、12、・・・、1nの耐電圧が所要値に達するまでの時間によって定められる。
【0038】
複数の機械スイッチ11、12、・・・、1nを直列に接続することにより、それぞれの機械スイッチ11、12、・・・、1nあたりにかかる電圧を分圧することができる。そのため、機械スイッチ11、12、・・・、1nの開放完了直前での絶縁破壊する確率を低減することができる。そのため、参考例の場合よりもより高電圧に対応することができるようになる。
【0039】
また、分圧されることによって、機械スイッチ11、12、・・・、1nの1台あたりにかかる電圧が低下するため、機械スイッチ11、12、・・・、1nのそれぞれの耐電圧に余裕度が生まれる。そのため、半導体スイッチ20をより早くオフにすることができる。すなわち、参考例に係る1つだけの機械スイッチ110だけでは十分に開放されていなく絶縁破壊を起こす時間であっても、実施形態1に係る機械スイッチ11、12、・・・、1nでは、絶縁破壊を起こすことなく電流を遮断でき、高速遮断が可能になる。
【0040】
ここで、インピーダンス素子31、32、・・・、3nは、それぞれの機械スイッチ11、12、・・・、1nに印加される電圧を均等に分圧するためのインピーダンスであり、いわゆるブリーダ抵抗と同じ機能を有する。インピーダンス素子31、32、・・・、3nは、抵抗素子であってもよい。
【0041】
インピーダンス素子31、32、・・・、3nのインピーダンスは、各機械スイッチ11、12、・・・、1nがオフの状態における接点間の絶縁抵抗の100分の1~10分の1より小さい値であってもよい。
【0042】
特許文献1における従来技術においても、高電圧を高速に切り替えようとする場合には、機械スイッチでアークが発生することが起こり得る。しかし、実施形態1に係るスイッチ装置では、アークに起因する機械スイッチの故障を減少させることができる。
【0043】
〔ソフトウェアによる実現例〕
スイッチ装置1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部40に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0044】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0045】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0046】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0047】
〔まとめ〕
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るスイッチ装置は、電力線に設けられるスイッチ装置であって、複数の機械スイッチが直列に接続された第1回路と、前記第1回路に並列に接続された半導体スイッチと、前記機械スイッチおよび前記半導体スイッチを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記スイッチ装置を閉路状態から開路状態に転じる場合に、全ての前記機械スイッチにオフ指令を発するとともに、前記半導体スイッチにオン指令を発し、その後所定時間経過してから、前記半導体スイッチにオフ指令を発する。
【0048】
上記の構成によれば、複数の機械スイッチに印加されている電圧を、各機械スイッチが電圧分担することで、各機械スイッチが絶縁破壊しない耐電圧に余裕が生まれる。そのため、各機械スイッチのオフ時に絶縁破壊する確率を低減することができ、高電圧の電流に対し、高速に遮断することができるようになる。
【0049】
前記所定時間は、オンの状態の前記機械スイッチにオフ指令が与えられた後に、前記機械スイッチの接点間の耐電圧が所要値に達するまでの時間によって定められてもよい。
【0050】
上記の構成によれば、各機械スイッチのオフ時に絶縁破壊する確率をさらに低減できる。
【0051】
複数の前記機械スイッチのそれぞれに対し、並列にインピーダンス素子を有してもよい。
【0052】
上記の構成によれば、複数の機械スイッチに加わる電圧を均等に分圧することができるようになる。そのため、さらに各機械スイッチが絶縁破壊する確率を低減することができ、安定して高電圧を高速遮断できる。
【0053】
前記インピーダンス素子が抵抗素子であってもよい。
【0054】
前記インピーダンス素子によるインピーダンスの値は、前記機械スイッチの接点間のオフの状態における絶縁抵抗の、10分の1より小さい値であってもよい。
【0055】
他の一態様に係るスイッチ装置の制御方法は、複数の機械スイッチが直列に接続された第1回路と、前記第1回路に並列に接続された半導体スイッチと、を備えるスイッチ装置の制御方法であって、前記スイッチ装置を閉路状態から開路状態に転じる場合に、全ての前記機械スイッチにオフ指令を発するとともに、前記半導体スイッチにオン指令を発するステップと、その後所定時間経過してから、前記半導体スイッチにオフ指令を発するステップと、を実行する。
【0056】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1、100 スイッチ装置
2 電力線
10 第1回路
11、12、1n、110 機械スイッチ
20、120 半導体スイッチ
31、32、3n インピーダンス素子
40 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6