(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023622
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】立体造形システムおよび立体造形方法
(51)【国際特許分類】
B28B 1/30 20060101AFI20230209BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20230209BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230209BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20230209BHJP
【FI】
B28B1/30
B33Y30/00
B33Y10/00
B33Y50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129298
(22)【出願日】2021-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】木ノ村 幸士
(72)【発明者】
【氏名】岩本 達也
(72)【発明者】
【氏名】原槙 真也
【テーマコード(参考)】
4G052
【Fターム(参考)】
4G052DA01
4G052DA08
4G052DB12
4G052DC06
(57)【要約】
【課題】セメント系材料の吐出量を安定させることができる立体造形システムおよび立体造形方法を提供する。
【解決手段】セメント系材料Cを積層して立体的な造形物を形成する立体造形システム100Aであって、セメント系材料Cを吐出するノズル13と、回転することでセメント系材料Cをノズル13から吐出させるスクリュと、ノズル13の吐出量に相関する情報を検出する検出装置6と、検出装置6の検出結果に基づいて、ノズル13の吐出量が一定になるように前記スクリュの回転速度を調整する制御装置5とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント系材料を積層して立体的な造形物を形成する立体造形システムであって、
前記セメント系材料を吐出するノズルと、
回転することで前記セメント系材料を前記ノズルから吐出させるスクリュと、
前記ノズルの吐出量に相関する情報を検出する検出装置と、
前記検出装置の検出結果に基づいて、前記ノズルの吐出量が一定になるように前記スクリュの回転速度を調整する制御装置と、を備える、
ことを特徴とする立体造形システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記スクリュを駆動するモータの回転数を制御するための制御信号を出力する第1の制御装置と、フィードバック制御により前記制御信号を補正する第2の制御装置とを備え、
前記第1の制御装置は、前記ノズルの移動速度と前記スクリュの回転速度との関係を示した情報を有し、前記ノズルの移動速度に応じた第1のパルス信号を出力し、
前記第2の制御装置は、前記検出装置の検出結果に基づいて前記第1のパルス信号の周期を調整し、調整後の第2のパルス信号を前記モータに出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の立体造形システム。
【請求項3】
前記第2の制御装置は、PI制御によって前記第1のパルス信号の周期を調整する、ことを特徴とする請求項2に記載の立体造形システム。
【請求項4】
前記検出装置は、前記ノズルの重さを計測するロードセルであり、前記ノズルの吐出量に相関する情報として、前記ノズルの重さの減少量を検出する、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の立体造形システム。
【請求項5】
前記セメント系材料を前記ノズルに供給する供給装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記供給装置によって前記セメント系材料が供給されている期間では、前記スクリュの回転速度を変更せずに一定とする、
ことを特徴とする請求項4に記載の立体造形システム。
【請求項6】
前記検出装置は、前記造形物が形成されるテーブルの重さを計測するロードセルであり、前記ノズルの吐出量に相関する情報として、前記テーブルの重さの増加量を検出する、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の立体造形システム。
【請求項7】
前記検出装置は、前記ノズルから吐出する前記セメント系材料の流量を検出するセンサ、または、前記ノズルから吐出する前記セメント系材料を撮影した画像を解析することで吐出する前記セメント系材料の流量を算出する画像解析手段である、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の立体造形システム。
【請求項8】
セメント系材料を積層して立体的な造形物を形成する立体造形方法であって、
前記立体造形方法は、スクリュを回転させることで前記セメント系材料をノズルから吐出させて前記造形物を形成するものであり、
前記ノズルの吐出量に相関する情報を検出する検出ステップと、
前記検出ステップの検出結果に基づいて、前記ノズルの吐出量が一定になるように前記スクリュの回転速度を調整する制御ステップと、を有し、
前記検出ステップと前記制御ステップとを繰り返し実行する、
ことを特徴とする立体造形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体造形システムおよび立体造形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、3Dプリンタ技術を応用して、コンクリートやモルタル等のセメント系材料を用いて建造物、構造物等の造形物を形成する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。3Dプリンタ技術を用い、この種の造形物を形成する例としては、まず、形成しようとする造形物の3次元形状をコンピュータでモデリングする。次いで、そのモデリングされた3次元データから、多数の層に分けられた2次元データを生成する。
そして、移動可能な供給ヘッドにポンプからセメント系材料を供給するとともに、各層の2次元データに基づいて、供給ヘッドのノズルからセメント系材料を吐出して各層の2次元形状を形成する。そして、形成された2次元形状の層上に、続く層の2次元データに基づいて、セメント系材料を一層ずつ積層し、これにより、立体的な造形物を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-122539号公報
【特許文献2】特開2018-140906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建設用途の3Dプリンタでは、モルタルやコンクリートのようなセメント系材料を用いるが、これらの材料の流動性は様々な要因により時間的に変化する。例えば、温度や湿度等の環境要因によっても流動性を保持するための混和剤の効果が異なり、流動性の変化の度合いが異なる。また、使用する混和剤の種類によっては時間経過とともに流動性が大きくなる場合もあり、一概に時間経過とともに流動性が低下するとも限らない。このように、流動性の時間的な変化を事前に予測し、補正を掛けることは困難である。その為、吐出量が安定せず、積層精度の低下や乱れが発生し、また、造形物の倒壊につながる場合がある。
このような観点から、本発明は、セメント系材料の吐出量を安定させることができる立体造形システムおよび立体造形方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る立体造形システムは、セメント系材料を積層して立体的な造形物を形成する立体造形システムである。この立体造形システムは、前記セメント系材料を吐出するノズルと、回転することで前記セメント系材料を前記ノズルから吐出させるスクリュと、前記ノズルの吐出量に相関する情報を検出する検出装置と、制御装置とを備える。制御装置は、前記検出装置の検出結果に基づいて、前記ノズルの吐出量が一定になるように前記スクリュの回転速度を調整する。
本発明に係る立体造形システムでは、吐出量の変化をリアルタイムに把握しながら吐出量を調整するので、セメント系材料の吐出量を安定させることができる。その結果、高精度の造形物を形成することが可能である。
前記制御装置は、前記スクリュを駆動するモータの回転数を制御するための制御信号を出力する第1の制御装置と、フィードバック制御により前記制御信号を補正する第2の制御装置とを備えるものであってよい。その場合、前記第1の制御装置は、前記ノズルの移動速度と前記スクリュの回転速度との関係を示した情報を有し、前記ノズルの移動速度に応じた第1のパルス信号を出力する。前記第2の制御装置は、前記検出装置の検出結果に基づいて前記第1のパルス信号の周期を調整し、調整後の第2のパルス信号を前記モータに出力する。前記第2の制御装置は、例えば、PI制御によって前記第1のパルス信号の周期を調整する。
【0006】
前記検出装置は、前記ノズルの重さを計測するロードセルであり、前記ノズルの吐出量に相関する情報として、前記ノズルの重さの減少量を検出してもよい。
その場合、前記セメント系材料を前記ノズルに供給する供給装置をさらに備え、前記制御装置は、前記供給装置によって前記セメント系材料が供給されている期間では、前記スクリュの回転速度を変更せずに一定としてもよい。
また、前記検出装置は、前記造形物が形成されるテーブルの重さを計測するロードセルであり、前記ノズルの吐出量に相関する情報として、前記テーブルの重さの増加量を検出してもよい。
また、前記検出装置は、前記ノズルから吐出する前記セメント系材料の流量を検出するセンサ、または、前記ノズルから吐出する前記セメント系材料を撮影した画像を解析することで吐出する前記セメント系材料の流量を算出する画像解析手段であってもよい。
【0007】
本発明に係る立体造形方法は、セメント系材料を積層して立体的な造形物を形成する立体造形方法であり、スクリュを回転させることで前記セメント系材料をノズルから吐出させて前記造形物を形成するものである。
この立体造形方法は、前記ノズルの吐出量に相関する情報を検出する検出ステップと、前記検出ステップの検出結果に基づいて、前記ノズルの吐出量が一定になるように前記スクリュの回転速度を調整する制御ステップとを有する。前記検出ステップと前記制御ステップとを繰り返し実行される。
本発明に係る立体造形方法では、吐出量の変化をリアルタイムに把握しながら吐出量を調整するので、セメント系材料の吐出量を安定させることができる。その結果、高精度の造形物を形成することが可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、セメント系材料の吐出量を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る立体造形システムの概要を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る立体造形システムの概要を示す正面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る立体造形システムが備える制御装置およびその周辺機器の構成を示す図である。
【
図5】モータコントローラの回路図および制御プログラムの例示である。
【
図6】モータコントローラのPI制御を説明するための図である。
【
図7】モータコントローラの制御の一例を示すフローチャートである。
【
図8】第1実施形態の変形例に係るテーブル装置の概略構成図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る立体造形システムの概要を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について適宜図面を参照して説明する。なお、以下に示す図面において、同一または同種の部材については、同一の参照符号を付し、重複した説明を適宜省略する。また、部材のサイズおよび形状は、説明の便宜のため、変形または誇張して模式的に表す場合がある。
【0011】
[第1実施形態]
<第1実施形態に係る立体造形システムの構成>
図1および
図2を参照して、第1実施形態に係る立体造形システム100Aの構成について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る立体造形システム100Aの概要を示す斜視図である。
図2は、本発明の第1実施形態に係る立体造形システム100Aの概要を示す正面図である。なお、
図1では、ノズル装置1を構成する要素の一部を省略している。
立体造形システム100Aは、セメント系材料をノズル装置1から押し出しながら2次元形状を生成し、これを高さ方向に積層することにより3次元の造形物を形成するものであり、いわゆる3Dプリンタである。セメント系材料は、例えばコンクリート、モルタル、セメントペースト等、水和反応により硬化する水硬性組成物(セメントを含まない場合もある)である。第1実施形態に係る立体造形システム100Aは、比較的小型の3Dプリンタを想定する。なお、後述する第2実施形態に係る立体造形システム100B(
図9参照)は、比較的大型の3Dプリンタを想定する。
【0012】
図1に示すように、立体造形システム100Aは、主に、ノズル装置1と、ノズル支持装置2と、テーブル装置3と、供給装置4と、制御装置5とを備える。
ノズル装置1は、テーブル装置3上に造形物を形成する装置である。ノズル装置1は、その先端(下端)に、セメント系材料Cを吐出するノズル13を有している。ノズル装置1は、ノズル13からセメント系材料Cを吐出しながら平面移動する。ノズル装置1が平面移動により所定の2次元形状を形成したら、テーブル装置3が有する形成面3aが下方に移動する。すなわち、ノズル装置1は、
図1のXY平面上を2次元的に移動可能にノズル支持装置2によって支持されている。なお、ノズル装置1が、3次元的に移動可能にノズル支持装置2によって支持されていてもよい。ノズル装置1は、制御装置5に接続されており、制御装置5からの信号に応じてセメント系材料Cの吐出を行う。
【0013】
図1に示すノズル支持装置2は、ノズル装置1を支える装置である。ノズル支持装置2は、ノズル装置1をX軸およびY軸に沿って平面移動させる。本実施形態のノズル支持装置2は、X軸に沿って配設されたX軸レール21と、Y軸に沿って配設された一対のY軸レール22と、Z軸に沿って立設されたZ軸柱23とを備えている。X軸レール21は、ノズル装置1を摺動可能に支持している。ノズル装置1は、X軸レール21に沿って移動することで、X軸方向に移動する。また、X軸レール21は、一対のY軸レール22に摺動可能に横架されている。X軸レール21がY軸レール22に沿って摺動することで、ノズル装置1がY軸方向に移動する。また、ノズル装置1がX軸レール21に沿って移動するのと同時にX軸レール21がY軸レール22に沿って移動することで、ノズル装置1が斜め方向に移動する。すなわち、X軸レール21およびY軸レール22により、ノズル装置1を自由に平面移動させることができる。ノズル支持装置2は、制御装置5に接続されており、制御装置5から送信された信号に応じてノズル装置1を所定の方向に移動させる。
【0014】
図1に示すテーブル装置3は、造形物が形成される部分である。テーブル装置3は、造形物が形成される形成面3aをZ軸に沿って上下動することが可能である。すなわち、立体造形システム100は、ノズル支持装置2を介してノズル装置1をXY平面上で2次元的に移動させるとともに、テーブル装置3が形成面3aをZ軸に沿って上下動させることで、立体的な造形物を形成することを可能としている。
図2に示すように、本実施形態のテーブル装置3は、形成面3aを有する製作テーブル32と、Z軸に沿って立設された柱フレーム33と、柱フレーム33を介して製作テーブル32の高さを調整する図示しない高さ調整機構とを備えている。製作テーブル32は、平板状を呈しており、上面に形成面3aを有する。製作テーブル32および柱フレーム33は、高さ調整機構によって上下動する。テーブル装置3は、制御装置5に接続されており、制御装置5から送信された信号に応じて製作テーブル32を上下方向(造形物形成時は下方向)に移動させる。
【0015】
供給装置4は、ノズル装置1にセメント系材料Cを供給する装置である。供給装置4は、主に、貯留部としてのホッパ41と、駆動源としてのポンプ42と、供給パイプ43とを備える。ホッパ41内には、所定配合に練り混ぜられたセメント系材料Cが蓄えられている。供給パイプ43は、ホッパ41とノズル装置1とを接続する。ポンプ42は、供給パイプ43に設置され、ポンプ42が作動することで、ホッパ41に蓄えられたセメント系材料Cがノズル装置1に供給される。ポンプ42は、制御装置5に接続されており、制御装置5から送信された信号に応じてセメント系材料Cをノズル装置1に供給する。
【0016】
図1に示すように、制御装置5は、立体造形システム100Aの全体の動作を制御する装置である。制御装置5は、単数または複数の装置で構成することができる。制御装置5には、3次元形状データから得られた層ごとの2次元データが保存されている。この2次元データには、Gコード等の各種のコード(指令)が記述されている。制御装置5は、層ごとの2次元データに基づいてノズル支持装置2およびテーブル装置3に制御信号を送信し、形成面3aに対してノズル装置1を移動させる。また、制御装置5は、ノズル13からの吐出量が一定になるようにノズル装置1を制御する。制御装置5は、ノズル13の吐出量に基づくフィードバック制御により、ノズル13の吐出量が一定になるように制御する。また、制御装置5は、供給装置4を制御して、所定のタイミングでセメント系材料Cをノズル装置1に供給させる。以下では、吐出量のフィードバック制御に関連する構成について説明する。
【0017】
(吐出量のフィードバック制御に関連する構成)
まず、
図3を参照して、ノズル装置1の内部構造について説明する。
図3は、ノズル装置1の拡大断面図である。
図3に示すように、ノズル装置1は、上下方向を中心軸方向とするシリンダ部11と、内部にスクリュ14が収容されたスクリュ搬送部12と、スクリュ搬送部12の先端に着脱可能に装着されるノズル13とを備えている。
シリンダ部11内の上部には、貯留室11aが設けられている。貯留室11aは、上部が大径の略中空円筒状に形成されており、その下側の部分が下方に向かうにつれて縮径する中空の略逆円錐台状に形成されている。さらに、その下側のスクリュ搬送部12との連結部が小径の中空円筒状に形成されている。スクリュ搬送部12は、シリンダ部11下部の小径部分と内径がほぼ同じ円筒状に形成される。ノズル13は、漏斗状を呈しており、その先端に吐出口13aが下向きに設けられている。シリンダ部11には、供給パイプ43が接続されている。
ノズル装置1の上部には、駆動モータ15が設けられている。駆動モータ15の出力軸には、回転軸16がカップリング(図示省略)を介して接続されている。回転軸16には、駆動モータ15の回転駆動力が伝達される。回転軸16には、シリンダ部11の貯留室11a内の位置に、らせん状線材を組み合わせた撹拌部材としての撹拌翼17が装着されている。
回転軸16の下端には、螺旋状の雄ねじ部が外周面に形成されたスクリュ14が回転軸16と同軸に垂下された姿勢で固定されている。駆動モータ15の正転駆動によってスクリュ14が任意の定常速度で回転すると、貯留室11a内のセメント系材料Cが螺旋状の雄ねじ部によりノズル13の先端に向けて押し出される。これにより、シリンダ部11内のセメント系材料Cは、スクリュ搬送部12の先端に向けて定量圧送可能とされている。
【0018】
図1および
図2に示すように、立体造形システム100Aは、ここまで説明した構成要素の他に検出装置6を備える。検出装置6は、ノズル13の吐出量に相関する情報を検出する装置である。検出装置6によって検出された情報は、制御装置5に送られて、ノズル13の吐出量を調整するフィードバック制御に使用される。検出装置6の構成、検出対象の物理量の種類や数などは特に限定されず、ノズル13の吐出量に相関する情報を適切に検出できるものであればよい。ノズル13の吐出量に相関する情報は、例えば吐出されたセメント系材料Cの重さ、体積、流量などであってよい。
本実施形態の検出装置6は、ノズル装置1に取り付けられており、ノズル装置1の重さを計測する。検出装置6は、ビーム型ロードセルであり、ノズル装置1を両側から支持している。つまり、検出装置6の一端(不動体に固定する側)は、ノズル支持装置2のX軸レール21に沿った移動を可能にするX軸スライド機構19(
図2参照)に固定され、検出装置6の他端(荷重を測定する側)は、シリンダ部11に取り付けられるフレーム部18(
図2参照)の下部プレート18aを支持している。
【0019】
図2に示すように、X軸スライド機構19は、主に、ボールねじ19aと、スライド部19bとを備える。ボールねじ19aは、回転運動を直線運動に変換する部品であり、図示しない駆動源に連結されている。図示しない駆動源が発生する回転駆動力がボールねじ19aに伝達することにより、スライド部19bがX軸方向に移動し、スライド部19bと一体となってノズル装置1もX軸方向に移動する。
図1に示すように、検出装置6の一端は、スライド部19bにねじで固定されている。
図2に示すフレーム部18は、ノズル装置1を補強する役割を担い、シリンダ部11を取り囲むように取り付けられている。フレーム部18は、主に、シリンダ部11の下部に配置される下部プレート18aと、シリンダ部11の上部に配置される上部プレート18bと、駆動モータ15の固定に利用されるモータプレート18cとを備える。また、フレーム部18は、下部プレート18aと上部プレート18bとを連結するZ軸フレーム18dと、上部プレート18bとモータプレート18cとを連結するZ軸フレーム18eとを備える。
図1に示すように、検出装置6の他端は、下部プレート18aを下側から支持している。これにより、ノズル装置1の荷重が二つの検出装置6にかかった状態になっている。
【0020】
また、
図1に示すように、X軸スライド機構19(
図2参照)は、スライド部19bの後部から上方に向かって配置される背面プレート19cを備える。
図2に示すように、背面プレート19cの上部には、一対のリニアブッシュ19dが設置されている。リニアブッシュ19dには、上部プレート18bに固定されるリニアシャフト18gが挿通している。リニアシャフト18gは、上部プレート18bの下面に設けられたシャフトホルダ18fを介して固定されており、Z軸に沿って配置されている。リニアシャフト18gおよびリニアブッシュ19dによって、検出装置6で検出する荷重はZ軸方向の荷重(垂直荷重)に制限されている。
【0021】
次に、
図4を参照して、制御装置5およびその周辺機器の構成について説明する。
図4は、本発明の第1実施形態に係る立体造形システム100Aが備える制御装置5およびその周辺機器の構成を示す図である。なお、本発明に関連する吐出量のフィードバック制御を中心に説明を行い、3Dプリンタの一般的な制御については詳細な説明を省略する。
図4に示すように、制御装置5は、二つのコンピュータ51a,51bと、3Dプリンタコントローラ52と、二つのモータコントローラ54a,54bとを主に備える。制御装置5は、X,Y,Z軸におけるノズル装置1の位置を制御する機能と、セメント系材料Cの吐出量を制御する機能とを有する。
図4では、ノズル装置1の位置を制御する機能に必要な構成要素を「制御装置5a」としてまとめて記しており、また、セメント系材料Cの吐出量を制御する機能に必要な構成要素を「制御装置5b」としてまとめて記している。なお、ノズル装置1の位置制御に関して、本実施形態ではテーブル装置3の製作テーブル32を上下動させることで、形成面3aに対するZ軸方向のノズル装置1の位置を相対的に変更している。
【0022】
制御装置5aは、主に、コンピュータ51aと、3Dプリンタコントローラ52と、モータコントローラ54aとで構成される。コンピュータ51aは、造形物の製造者によって操作され、造形物の製造に関する情報(例えば、造形の開始指示など)の入力を受け付ける。コンピュータ51aは、例えば製造者が操作するコントロールパネルを有する。3Dプリンタコントローラ52は、立体造形システム100Aの全体を制御する。3Dプリンタコントローラ52は、例えばノズル装置1や製作テーブル32の位置情報(移動量の情報であってもよい)をモータコントローラ54aに出力する。モータコントローラ54aは、X,Y,Z軸におけるノズル装置1の位置を制御する。モータコントローラ54aは、3Dプリンタコントローラ52から受け取った位置情報に基づいて、X,Y,Z軸の移動を実現する制御信号を作成し、モータドライバ61aを介して、駆動モータ(図示せず)を駆動する。これにより、ノズル装置1をX軸およびY軸に沿って平面移動させ、また、製作テーブル32をZ軸に沿って上下移動させる。
【0023】
制御装置5bは、主に、コンピュータ51bと、3Dプリンタコントローラ52と、モータコントローラ54bとで構成される。コンピュータ51bは、例えば後述するフィードバック制御の指令や、セメント系材料Cの吐出量のモニタリングを行うために使用される。コンピュータ51bは、例えばマイクロコンピュータに置き換えることが可能である。3Dプリンタコントローラ52は、ノズル装置1を制御して、ノズル13からセメント系材料Cを吐出させる。具体的には、3Dプリンタコントローラ52は、スクリュ14を駆動する駆動モータ15の回転数を制御するための制御信号をモータコントローラ54bに出力する。3Dプリンタコントローラ52は、例えば、ノズル装置1の移動速度とスクリュ14の回転速度との関係を示した情報を予め有しており、ノズル装置1の移動速度に応じた制御信号を出力する。なお、3Dプリンタコントローラ52は、特許請求の範囲における「第1の制御装置」の例示であり、また、モータコントローラ54bは、特許請求の範囲における「第2の制御装置」の例示である。
モータコントローラ54bは、ノズル13からの吐出量が一定になるように駆動モータ15(つまり、スクリュ14の回転速度)を調整する。モータコントローラ54bには、3Dプリンタコントローラ52から駆動モータ15の制御信号が入力される。また、モータコントローラ54bには、インジケータ62を介して検出装置6から検出結果(ノズル13からの吐出量に相関する情報)が入力される。本実施形態では、吐出量に相関する情報として、ノズル装置1の重さが一定周期(可変周期であってもよい)でモータコントローラ54bに入力されることを想定する。モータコントローラ54bは、入力された情報を用いたフィードバック制御により、3Dプリンタコントローラ52から出力された駆動モータ15の制御信号を調整する。モータコントローラ54bは、モータドライバ61bを介して、調整後の制御信号で駆動モータ15を駆動する。なお、フィードバック制御を行うタイミングは特に限定されない。
【0024】
図5および
図6を参照して、モータコントローラ54bの機能についてより具体的に説明する。
図5は、モータコントローラ54bの回路図および制御プログラムの例示である。
図6は、モータコントローラ54bのPI制御を説明するための図である。なお、PI制御は、フィードバック制御の一例であって、フィードバック制御として他の制御を用いてもよい。
図5に示すように、モータコントローラ54bは、3Dプリンタコントローラ52から出力されたモータ制御用のパルス信号を受信し、正逆転に合わせて総パルス数をカウントする(吐出指令検出機能)。また、モータコントローラ54bは、インジケータ62を介して検出装置6から荷重値を一定周期(可変)で受信し、数値データに変換する(吐出量検出機能)。
また、
図6に示すように、モータコントローラ54bは、吐出指令のパルス変化量Δpに吐出率kを乗じて目標重量変化量Δrとし、Δpが指定したパルス増加量を越えると、吐出重量変化量Δdとの誤差eに基づき、PI制御(Kp,Ki)でモータ回転数係数mを上下限内で算出する(PI制御機能)。これを、指定されたパルス変化量Δp毎に実行する。
また、モータコントローラ54bは、モータ制御用のパルス信号の周期測定値に、PI制御出力のモータ回転数係数mを乗じたパルス周期の信号を出力する(モータ制御機能)。つまり、モータコントローラ54bは、3Dプリンタコントローラ52からの指令速度に対して、モータ回転を可変制御する。
【0025】
図7を参照して、モータコントローラ54bの制御について説明する。
図7は、モータコントローラ54bの制御の一例を示すフローチャートである。モータコントローラ54bは、造形物の形成が開始され、3Dプリンタコントローラ52から駆動モータ15の制御信号の受信を開始した場合に
図7に示す処理を開始する。
モータコントローラ54bは、検出装置6の検出結果(ここでは、収容するセメント系材料Cを含めたノズル装置1の重量)を取得する(ステップS10)。モータコントローラ54bは、前回の検出結果との比較からノズル装置1の重量の減少量を算出し、重量の減少量からセメント系材料Cの吐出量を特定する。
次に、モータコントローラ54bは、特定したセメント系材料Cの吐出量に基づいて、ノズル13の吐出量が一定になるように、駆動モータ15の制御信号(つまり、スクリュ14の回転速度)を調整する(ステップS20)。具体的には、モータコントローラ54bは、吐出量を想定値と比較し、吐出量が想定値よりも少ないか(または多いか)を判定する(ステップS21)。吐出量が想定値よりも少ない場合、モータコントローラ54bは、制御信号を調整して駆動モータ15の回転数を上げる処理(制御信号の周期を短くする処理)を行う(ステップS22)。また、吐出量が想定値よりも多い場合、モータコントローラ54bは、制御信号を調整して駆動モータ15の回転数を下げる処理(制御信号の周期を長くする処理)を行う(ステップS23)。本実施形態では、PI制御を想定しており、吐出量と想定値との偏差に比例(P制御)し、更に過去の偏差の蓄積量に比例(I制御)した制御信号(モータ回転数係数m)を算出する。調整後の制御信号は駆動モータ15に送信され、調整後の制御信号に基づいて駆動モータ15が駆動する。
【0026】
ステップS10,S20の処理は、造形物の形成が終了するまで繰り返し実行される(ステップS30)。なお、供給装置4がノズル装置1へのセメント系材料Cの供給を開始したタイミングでステップS30の処理を抜け、セメント系材料Cの供給を行っている期間中は、検出装置6を用いたフィードバック制御を行わないのがよい。検出装置6の検出結果からノズル装置1の重量の減少量を算出するのが難しくなるためである。セメント系材料Cの供給は、シリンダ部11の貯留室11a内でのセメント系材料Cの高さがある一定の高さ以上になった場合に終了する。例えば、図示しないセンサで貯留室11a内のセメント系材料Cの量を検知し、そのことを供給装置4に通知する。モータコントローラ54bは、供給装置4によるセメント系材料Cの供給が終了した後で検出装置6を用いたフィードバック制御を再開する。セメント系材料Cの供給を行っている期間中の制御は、例えば直前の制御状態を継続するものであってよい。なお、セメント系材料Cの供給を行っている期間中であっても、セメント系材料Cの供給量を考慮して吐出量を特定し(例えば、ノズル装置1の重量の減少量に供給量を加えた値を吐出量として求める)、その特定した吐出量を用いて駆動モータ15の回転数を上げる処理(または下げる処理)を実行してもよい。
【0027】
以上のように、第1実施形態に係る立体造形システム100Aでは、時間経過や温度変化等の環境要因によってセメント系材料Cの流動性に変化が生じても、ノズル13からの吐出量が常に一定となり安定する。その結果、積層精度の低下や乱れ、造形物の倒壊を防ぐことができる。
【0028】
[第1実施形態の変形例]
図1および
図2に示すように、第1実施形態では、検出装置6でノズル装置1の重さを計測していた。しかしながら、
図8に示すように、検出装置6に代えて/または検出装置6とともに、形成面3aを有する製作テーブル31の重さを計測する検出装置7を設置してもよい。
図8に示すテーブル装置3は、形成面3aを有する製作テーブル31と、製作テーブル31の下方に配置される下フレーム35と、Z軸に沿って立設された柱フレーム33と、下フレーム35および柱フレーム33を介して製作テーブル31の高さを調整する図示しない高さ調整機構と、製作テーブル31の重さを計測する検出装置7とを備えている。製作テーブル31は、平板状を呈しており、上面に形成面3aを有する。製作テーブル31の角部付近の下面側には、形成面3aを水平にするためのテーブルレベル調整ねじ34が設けられており、テーブルレベル調整ねじ34を時計回りまたは反時計回りに回転させることで、製作テーブル31の上下方向の位置を部分的に調整できる。
図8に示す検出装置7は、例えばビーム型ロードセルであり、ノズル支持装置2の製作テーブル31と下フレーム35との間に配置されている。検出装置7は、製作テーブル31を下フレーム35から持ち上げた状態にしている。この検出装置7を用いた場合、モータコントローラ54bは、検出装置7の検出結果(ここでは、形成面3aに形成される造成物を含めた製作テーブル31の重量)を取得する。モータコントローラ54bは、前回の検出結果との比較から製作テーブル31の増加量を算出し、重量の増加量からセメント系材料Cの吐出量を特定する。この検出装置7を用いた場合でも、第1実施形態と同様に、時間経過や温度変化等の環境要因によってセメント系材料Cの流動性に変化が生じても、ノズル13からの吐出量を常に一定とすることができる。また、検出装置7を用いることで、セメント系材料Cの供給を行っている期間中でのフィードバック制御が可能になる。
【0029】
[第2実施形態]
<第2実施形態に係る立体造形システムの構成>
図9を参照して(適宜、
図1を参照)、第2実施形態に係る立体造形システム100Bの構成について説明する。
図9は、本発明の第2実施形態に係る立体造形システム100Bの概要を示す正面図である。第2実施形態に係る立体造形システム100Bは、前述した通り、比較的大型の3Dプリンタを想定している。
立体造形システム100Bは、セメント系材料Cをノズル装置101から押し出しながら2次元形状を生成し、これを高さ方向に積層することにより3次元の造形物を形成するものであり、いわゆる3Dプリンタである。セメント系材料Cは、例えばコンクリート、モルタル、セメントペースト等、水和反応により硬化する水硬性組成物(セメントを含まない場合もある)である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0030】
図9に示すように、立体造形システム100Bは、主に、ノズル装置101と、ノズル支持装置102と、製作テーブル103と、供給装置4(
図1参照)と、制御装置5(
図1参照)とを備える。
ノズル装置101は、製作テーブル103上に造形物を形成する装置である。ノズル装置101は、その先端(下端)に、セメント系材料Cを吐出するノズル113を有している。ノズル装置101は、ノズル113からセメント系材料Cを吐出しながら平面移動する。ノズル装置101は、平面移動により所定の2次元形状を形成したら、上方に移動する。すなわち、ノズル装置101は、3次元的に移動可能に、ノズル支持装置102によって支持されている。ノズル装置101は、制御装置5に接続されており、制御装置5からの信号に応じてセメント系材料Cの吐出を行う。
製作テーブル103は、造形物が形成される部分である。製作テーブル103は、造形物が形成される形成面103aを備える、製作テーブル103は、床面に固定されており、本実施形態の形成面103aは上下動しない。
【0031】
図9に示すノズル支持装置102は、ノズル装置101を支える装置である。ノズル支持装置102は、ノズル装置101をX軸およびY軸に沿って平面移動させるとともに、Z軸に沿って上下動させる。すなわち、立体造形システム100Bは、ノズル支持装置102を介してノズル装置101を3次元的に移動させることで、立体的な造形物を形成することを可能としている。本実施形態のノズル支持装置102は、X軸に沿って配設されたX軸レール121と、Y軸に沿って配設された一対のY軸レール122と、Z軸に沿って立設されたZ軸柱123と、ノズル支持装置102とともにZ軸方向に移動するZ軸スライド部119を保持してノズル支持装置102のZ軸方向の位置を固定する昇降機構124とを備えている。昇降機構124は、X軸レール121に摺動可能に設置されている。昇降機構124がX軸レール121に沿って摺動することで、ノズル装置101がX軸方向に移動する。また、X軸レール121は、一対のY軸レール122に摺動可能に横架されている。X軸レール121がY軸レール122に沿って摺動することで、ノズル装置101がY軸方向に移動する。また、昇降機構124がX軸レール121に沿って移動するのと同時にX軸レール121がY軸レール122に沿って移動することで、ノズル装置101が斜め方向に移動する。すなわち、X軸レール121およびY軸レール122により、ノズル装置101を自由に平面移動させることができる。さらに、昇降機構124は、ノズル装置101が固定されたZ軸スライド部119を摺動可能に支持している。Z軸スライド部119は、Z軸に沿って配置されたZ軸フレーム119aを有しており、昇降機構124がZ軸フレーム119aを保持する位置を変更することで、ノズル装置101が上下動する。ノズル支持装置102は、制御装置5に接続されており、制御装置5から送信された信号に応じてノズル装置101を所定の方向に移動させる。
【0032】
図10を参照して、ノズル装置101の構造について説明する。
図10は、ノズル装置101の拡大正面図である。なお、ノズル装置101の基本構造は、第1実施形態のノズル装置1と同様である。
図10に示すように、ノズル装置101は、上下方向を中心軸方向とするシリンダ部111と、内部にスクリュ114が収容されたスクリュ搬送部112と、スクリュ搬送部112の先端に着脱可能に装着されるノズル113とを備えている。ノズル113は、漏斗状を呈しており、その先端に吐出口113aが下向きに設けられている。シリンダ部111には、供給パイプ43が接続されている。
【0033】
ノズル装置101の上部には、駆動モータ115が設けられている。駆動モータ115の出力軸には、回転軸116がカップリング(図示省略)を介して接続されている。回転軸116には、駆動モータ115の回転駆動力が伝達される。回転軸116には、シリンダ部111の貯留室111a内の位置に、らせん状線材を組み合わせた撹拌部材としての撹拌翼117が装着されている。なお、ノズル装置101の構成はあくまで例示であって、例えば撹拌翼117を備えない構成であってもよい。
回転軸116の下端には、螺旋状の雄ねじ部が外周面に形成されたスクリュ114が回転軸116と同軸に垂下された姿勢で固定されている。駆動モータ115の正転駆動によってスクリュ114が任意の定常速度で回転すると、貯留室111a内のセメント系材料Cが螺旋状の雄ねじ部によりノズル113の先端に向けて押し出される。これにより、シリンダ部111内のセメント系材料Cは、スクリュ搬送部112の先端に向けて定量圧送可能とされている。
【0034】
また、立体造形システム100Bは、検出装置106を備える。検出装置106は、ノズル113の吐出量に相関する情報を検出する装置である。検出装置106によって検出された情報は、制御装置5に送られて、ノズル113の吐出量を調整するフィードバック制御に使用される。
本実施形態の検出装置106は、ノズル装置101に取り付けられており、ノズル装置101の重さを計測する。検出装置106は、引張型のロードセルであり、Z軸スライド部119の下部でノズル装置101を支持している。つまり、検出装置106の一部(不動体に固定する側)は、Z軸スライド部119の下部プレート119bに固定され、検出装置106の一部(荷重を測定する側)は、シリンダ部111に取り付けられるフレーム部118を、ブラケット106aを介して支持している。
図10に示すフレーム部118は、ノズル装置101を補強する役割を担い、シリンダ部111を取り囲むように取り付けられている。フレーム部118は、主に、シリンダ部111の下部に配置される下部プレート118aと、駆動モータ115の固定に利用されるモータプレート118cと、下部プレート118aとモータプレート118cとを連結するZ軸フレーム118dとを備える。
【0035】
また、
図10に示すように、フレーム部118のZ軸フレーム118dの側部には、一対のリニアブッシュ118gが上下方向に並べて設置されている。リニアブッシュ118gには、Z軸スライド部119のZ軸フレーム119aに固定されるリニアシャフト119dが挿通している。リニアシャフト119dは、Z軸フレーム119aの側面に設けられたシャフトホルダ119cを介して固定されており、Z軸に沿って配置されている。リニアシャフト119dおよびリニアブッシュ118gによって、検出装置106で検出する荷重はZ軸方向の荷重(垂直荷重)に制限されている。
以上説明した第2実施形態に係る立体造形システム100Bによっても、第1実施形態と略同等の効果を奏することができる。つまり、第2実施形態に係る立体造形システム100Bでは、時間経過や温度変化等の環境要因によってセメント系材料Cの流動性に変化が生じても、ノズル113からの吐出量が常に一定となり安定する。その結果、積層精度の低下や乱れ、造形物の倒壊を防ぐことができる。
【0036】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を変えない範囲で実施することができる。
例えば、各実施形態やその変形例では、ノズル13,113の吐出量に相関する情報として、検出装置6,7,106は、ノズルの重さの減少量や造形物が形成されるテーブルの重さを検出していた。しかしながら、例えば、ノズルから吐出するセメント系材料Cの流量を検出するセンサ、または、ノズルから吐出するセメント系材料Cを撮影した画像を解析することで吐出するセメント系材料Cの流量を算出する画像解析手段を検出装置として用いてもよい。
また、各実施形態では、フィードバック制御としてPI制御を説明したが、他の制御(例えば、電流値制御やアナログ制御など)を用いてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1,101 ノズル装置
2,102 ノズル支持装置
3 テーブル装置
103 製作テーブル
3a,103a 形成面
4 供給装置
5 制御装置
6,106 検出装置
7 検出装置
11 シリンダ部
12 スクリュ搬送部
13 ノズル
15 駆動モータ
18 フレーム部
19 X軸スライド機構
21 X軸レール
22 Y軸レール
23 Z軸柱
31 製作テーブル
32 製作テーブル
33 柱フレーム
34 テーブルレベル調整ねじ
35 下フレーム
41 ホッパ
42 ポンプ
43 供給パイプ
51a,51b コンピュータ
52 3Dプリンタコントローラ(第1の制御装置)
54a モータコントローラ
54b モータコントローラ(第2の制御装置)
100A,100B 立体造形システム
119 Z軸スライド部
121 X軸レール
122 Y軸レール
123 Z軸柱
124 昇降機構