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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023700
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】小便器
(51)【国際特許分類】
   A47K 17/02 20060101AFI20230209BHJP
   E03D 13/00 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
A47K17/02 Z
E03D13/00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129464
(22)【出願日】2021-08-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】321007933
【氏名又は名称】武谷 繁三
(71)【出願人】
【識別番号】312010308
【氏名又は名称】マフレン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】武谷 繁三
(72)【発明者】
【氏名】大徳 一美
【テーマコード(参考)】
2D037
2D039
【Fターム(参考)】
2D037BA22
2D039AA04
2D039AA06
2D039AC00
2D039DB04
(57)【要約】
【課題】和式や洋式の大便器は大便と小便を兼用している場合が多く、男性は立ったままで排尿する場合が通常であるため、飛沫の飛散により大便器やその周辺が汚れたり、ウイルスや細菌がまき散らかされたりする問題があった。近年では大便器で排尿する場合は男性も座って行なうことが推奨されたり、立ったまま排尿しても飛沫が飛散しにくい小便器が提案されたりしているが取扱いの不便さや臭いの残存などの問題があり具現化されていない。
【解決手段】和式や洋式のいずれの大便器にも兼用できる簡易式の小便器において、尿受器と該尿受器に接続された排尿管からなっており、尿受器に排尿された尿を、排尿管を通して大便器の封水部に排出するようにしており、大便器の封水を吸引するポンプと該ポンプから吐出された封水を尿受器に導いて散水し、尿受器及び排尿管を洗浄する小便器を具現化して飛散や臭いの問題を解決した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿受器と該尿受器に接続された排尿管からなり、前記尿受器に排尿された尿を、前記排尿管を通して大便器の封水部に排出するようにした小便器において、前記大便器の封水をポンプで吸引し該ポンプから吐出された前記封水を前記尿受器に導いて散水し、前記封水を前記封水部と前記小便器との間を循環させながら前記尿受器及び前記排尿管を洗浄することを特徴とする小便器。
【請求項2】
前記ポンプはトリガー式ポンプであることを特徴とする請求項1記載の小便器。
【請求項3】
前記ポンプは水中ポンプであることを特徴とする請求項1記載の小便器。
【請求項4】
前記尿受器の上端は、該尿受器の内側に湾曲して内周に空間部を形成しており、該空間部に複数の小孔を設けた散水管が設けられており、該散水管に導かれた前記封水が前記小孔から散水されることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の小便器。
フォームの始まり
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、和式や洋式の大便器で男性が立ち姿で小便するときに、尿の飛沫が便器や周辺に飛散し汚染するのを防止するために、尿受器に尿を受け止めて的確に大便器に誘導するための小便器に関する。
【背景技術】
【0002】
小便器は、通常男性専用であり座ることなく立ち姿で排尿できる形式になっている。大便器は和式のしゃがみ込み式と洋式の腰掛け式がある。小便器を備えていない家庭や公共施設においては、大便器は大便と小便で共用される場合が多く、男性はこのような共用便器に立ち姿で排尿するのが通常である。大便器に立ったまま排尿する場合は、飛沫のため便器や周辺が汚染され不衛生で悪臭の原因となっていた。又近年はウイルスによる感染症が危惧されており、大便器と兼用できる簡単な飛散防止機能を有する簡易小便器が求められている。
【0003】
従来、立ったままで大便器に排尿する際に飛沫を飛散させないための色々な簡易小便器が提案されているが、小便器に残存する臭いや析出物、取扱いの煩雑さなどの問題は未解決のままであり普及するに至っていない。
【0004】
特開2007-303064号広報には、ロート状の尿受け具で排尿を受け便器に誘導する機構と、排尿後尿受け部に給水タンクの水を供給して尿受け具を洗浄する方法が提案されている。この方法は給水タンクの洗面部から補水するため水圧や流量が低く洗浄力が小さかった。又、給水タンクの水を補水するので給水タンクに十分な洗浄水を貯めることができなかった。
【0005】
特願2014-169613号広報において、排尿筒、収納スタンドを備えた着脱式小便器が提案されている。この方法は、洗浄装置を備えていないため排尿後毎回水差しで水を流したり消臭剤を吹き付けたりする必要があり不便であった。又、排尿中に連続的して洗浄できないので経時的に尿成分が析出し悪臭が生じて不快であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-303064号広報
【特許文献2】特開2014-169613号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来大便器に小便をする際の飛散防止の補助として提案されている簡易的な小便器は色々な方式が提案されているが具体化されていない。具現化して実用に供するには以下の課題解決が必要である。1)和式や洋式の大便器に男性が立ったままで排尿する際に、飛沫が飛散しないように排尿を確実に受けて大便器に排出できるようにする。2)大便器に座って排尿しなければならない不便を解消する。3)尿受器や排尿管が臭くなったり尿受器や排尿管に尿成分が析出したりするのを防止する。4)大便器に簡単にセットして排尿できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の解決手段は特許請求項1に示すように、
尿受器と該尿受器に接続された排尿管からなり、前記尿受器に排尿された尿を、前記排尿管を通して大便器の封水部に排出するようにした小便器において、前記大便器の封水をポンプで吸引し該ポンプから吐出された前記封水を前記尿受器に導いて散水し、前記封水を前記封水部と前記小便器との間を循環させながら前記尿受器及び前記排尿管を洗浄することを特徴とする小便器である。
【0009】
第2の解決手段は特許請求項2に示すように、前記ポンプはトリガー式ポンプであることを特徴とする小便器である。
【0010】
第3の解決手段は特許請求項3に示すように、前記ポンプは水中ポンプであることを特徴とする小便器である。
【0011】
第4の解決手段は特許請求項4に示すように、前記尿受器の上端は、該尿受器の内側に湾曲して内周に空間部を形成しており、該空間部に複数の小孔を設けた散水管が設けられており、該散水管に導かれた前記封水が前記小孔から散水されることを特徴とする小便器である。
【発明の効果】
【0012】
第1の解決手段による効果は、1)和式や洋式の大便器に男性が立ち姿で排尿する際に、尿の飛沫が便器や周辺に飛散するのを防止し、臭いやウイルスや細菌のない清潔な大便器を維持することができる。2)封水部に溜まっている封水を、ポンプによって封水部と小便器の間で循環させるので水の節約ができる。3)大便器に座って排尿しなければならない不便を解消することができる。4)尿受器や排尿管を洗浄するので尿受器や排尿管が臭くならずいつも快適に使用できる。5)尿受器や排尿管に尿酸などの尿成分の析出を防止できるので定期的な掃除や取り替えが不要である。6)尿受器や排尿管を清潔に維持できるので公共設備に備えてある大便器を複数の人が気持ちよく使用できる。7)構造が簡単であり簡単に大便器にセットできるので手軽に使用できる。
【0013】
第2の解決手段による効果は、1)トリガー式ポンプで封水を吸い上げて尿受器に散布するので、尿受器や排尿管を洗浄できることから小便器を清潔に維持できる。2)トリガー式ポンプは電源不要なので取付けが容易である。
【0014】
第3の解決手段による効果は、1)水中ポンプで封水を吸い上げて尿受器に散布するので、尿受器や排排尿管を手軽に洗浄できる。2)電動式なのでスイッチを押すことにより自動的に封水を尿受器に散水できる。
【0015】
第4の解決手段による効果は、1)尿受器の上端が内側に向けて湾曲しているので洗浄水が尿受器から外側に噴出することがないので服や周辺を汚すことがない。2)尿受器の湾曲部は空間になっているので洗浄水を噴出すための散水管を収納できる。3)尿受器の隅々まで洗浄できるので、尿の洗い残しがなく臭いを解消し尿受器や排尿管の内壁に尿成分が析出することがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】は洋式トイレで小便器を使用して小便する際の部分断面図。
図2】はトリガー式ポンプを備えた小便器の断面図。
図3】は水中ポンプを備えた小便器の断面図。
図4】は水中ポンプを備えた小便器で、水中ポンプを排尿管に取付けた断面図。
図5】はスタンドで保持した小便器。
図6】は図1のa部詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を請求項1~4及び図1~6に基づいて説明する。
【0018】
第1の解決手段は特許請求項1に示すように、尿受器21と該尿受器21に接続された排尿管22からなり、前記尿受器21に排尿された尿を、前記排尿管22を通して大便器10の封水部11に排出するようにした小便器20において、前記大便器10の封水11bをポンプ100で吸引し該ポンプ100から吐出された前記封水11bを前記尿受器21に導いて散水し、前記封水11bを前記封水部11と前記小便器20との間を循環させながら前記尿受器21及び前記排尿管22を洗浄することを特徴とする小便器20である。
【0019】
図1は水中ポンプ120を使用して封水11bを汲み上げて尿受器21に供給する小便器20の使用例である。小便器20は尿受器21で受けた排尿を、排尿管22を通じて大便器10の封水部11に排出する。排尿は尿受器21で受けるので、尿が周辺に飛散して大便器10や床や壁を汚すことはない。
【0020】
小便器20の先端部20aは封水部11に溜められている封水11aに浸漬されている。ポンプ100の吸込管111で封水11aを吸い込んで吐出管112で散水管23に送水され、散水管23のノズル24から噴出し尿受器21の全面に散水され排尿管22を通じて封水部11に環流される。排尿しながら尿受器21や排尿管22を洗浄できるので常に小便器20を清潔に維持できる。封水11bは封水部11と小便器20を循環するので封水11bに新たに水を補給する必要は無く節水できる。
【0021】
洗浄水と混ざった排尿が封水部11に排出されるため、封水に対する排尿の混合濃度が徐々に増していくが、排尿後は通常封水部11に洗浄水を流すので、封水11bは排尿を含まないきれいな状態に戻る。洗浄後の封水11bをしばらく循環させることで尿受器21と排尿管22がきちんと洗浄され、小便器20の臭いや析出物は完全に浄化される。
【0022】
尿受器21にはハンドル25を設けて排尿時に小便器20を確実に保持できるようにしている。ハンドル25は使用者がハンドリングしやすいように、尿受器21の任意の位置や角度に取付けることができるようにしてもよい。ポンプ100が水中ポンプ120の場合は、ハンドル25に操作用のスイッチ124を取付けることができる。
【0023】
ポンプ100には手動式ポンプ110と自動式ポンプ120がある。手動式ポンプ110には、例えば図2に示すようなトリガー式ポンプ110などがある。トリガー式ポンプ110はトリガー115を押し引きすることにより水を吸い上げて噴射する機能を有している。一般的に消毒スプレーや洗浄スプレーなどに多用されている。自動式ポンプ120には、図3に示すような電動で汲み上げて噴射する水中ポンプ120などがあり例えば風呂の汲み上げ用ポンプとして利用されている。封水11bを汲み上げる方法はポンプ100であればよく、ポンプ構造や駆動形態は電動、手動のいずれでもよい。ポンプ100は流量0.1~1リットル/分、揚程は0.5~3m程度あればよい。
【0024】
図5は小便器20をスタンド30に収納した場合を示している。スタンド30には小便器20を保持するためのU字型アーム31が設けられており小便器20の尿受器21を載置して保持できる。排尿管22の先端22aやトリガー式ポンプ110の吸込管111、水中ポンプの吸込管121はバケツ32に収納されることにより排尿管22に残存した水滴を受けることができる。
【0025】
第2の解決手段は特許請求項2に示すように、前記ポンプ100はトリガー式ポンプ110であることを特徴とする小便器20である。
【0026】
図2はポンプ100にトリガー式ポンプ110を使用した場合の実施例である。トリガー式ポンプ110は固定ブラケット26により排尿管22に固定することができる。トリガー式ポンプ110は、吸込管111、吐出管112、シリンダ113、ピストン114、トリガー115、バネ116、グリップ117などから構成されている。吸込管111の下端111aには逆止弁118が設けられている。逆止弁118は吸込管111に吸い込んだ封水11bの逆流を防止する。実施例の逆止弁118はボール118aとストッパー118bの組み合わせになっているが他にも色々な構造があり、逆止弁118の機能があれば使用できる。吐出管112の下端112aにも同様な逆止弁118が設けられている。トリガー115を、ピン115aを支点としてA方向に押すとピストン114がシリンダ113を圧縮し、シリンダ113内の封水11aは吐出側逆止弁118を押し上げて散水管23に入り小孔24から噴出し、尿受器21や排尿管22を洗浄しながら封水部11に環流される。トリガー式ポンプ110は本実施例以外にも色々な実施態様が考えられるが、手動でトリガー115を引いて封水11aを吸い上げて散水管23から噴出できればよい。
【0027】
第3の解決手段は特許請求項3に示すように、前記ポンプ100は水中ポンプ120であることを特徴とする小便器20である。
【0028】
図3はポンプ100に水中ポン120を使用した場合の実施例である。水中ポンプ120は排尿管22の下端部22aに取付け治具126で取付けられている。水中ポンプ120は吸込管121、吐出管122、電源ケーブル123、スイッチ124、電源125を備えている。スイッチ124はハンドル25に取付けると操作が容易である。水中ポンプ120を封水11aに浸漬してスイッチ124を入れると吸込管121から封水11aが吸い込まれ吐出管122を通して散水管23に送水され小孔24から噴出し尿受器21や排尿管22を洗浄しながら封水部11に環流される。
【0029】
電源125は乾電池、バッテリーなどがある。又コンセントから直接受電するなどの方法がある。コンセントから受電する場合は交流電源を直流に変換する変換器や変圧器を用いることができる。水中ポンプの電圧は3V~100Vを使用できる。
【0030】
水中ポンプ120を排尿管22の外側に取付けているので、水中ポンプ120が故障した際に取り替えが容易である。
【0031】
図4は水中ポンプ120を排尿管22の内部に収納した場合の実施例ある。水中ポンプ120を排尿管22の内部に収納することによりコンパクトにできるので封水部11に浸漬しやすくなる。
【0032】
第4の解決手段は特許請求項4に示すように、前記尿受器21の上端21aは、該尿受器21の内側に湾曲して内周に空間部21bを形成しており、該空間部21bに複数の小孔24を設けた散水管23が設けられており、該散水管23に導かれた前記封水11aが前記小孔24から散水されることを特徴とする小便器20である。
【0033】
図1図6のa部詳細に示すように、尿受器の上端21aは円周状に内側に曲げられ、パイプを半割れにしたような空間部21bが形成されている。この空間部21bに散水管23が収納されており、散水管23の上部には複数の小孔24が設けられている。小孔24は空間部21bの天井面21cに向けられており、小孔24から噴出した封水11aは一旦天井面21cに衝突し、空間部21bの内面や尿受器21や排尿管22の内面を洗浄しながら大便器10内の封水部11に環流される。
【0034】
空間部21bは尿受器21の上端21aを内側に曲げて形成してもよいし、円く曲げたパイプを半分に切断して尿受器21に取付けてもよい。尿受器21にパイプ状の空間部21bを形成することにより、空間部21bの天井面21cに衝突した封水11bはパイプ状空間部11bの曲率中心に向かって跳ね返るので空間部11bの外側に飛散することがなく周辺を汚染することがない。
【符号の説明】
【0035】
10:大便器
11:封水部
11a:封水
20小便器:
21:尿受器
21a:(尿受器の)上端
21b:空間部
21c:天井面
22:排尿管
22a:(排尿管の)先端
23:散水管
24:小孔
25:ハンドル
26:固定ブラケット
30:スタンド
31:U字型アーム
32:バケツ
100:ポンプ
110:トリガー式ポンプ
111:吸込管
112:吐出管
112a:(吐出管の)下端
113:シリンダ
114:ピストン
115:トリガー
115a:ピン
116:バネ
117:グリップ
118:逆止弁
118a:ボール
118b:ストッパー
120:水中ポンプ
121:吸込管
122:吐出管
123:ケーブル
124:スイッチ
125:電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項4】
前記尿受器の上端は、該尿受器の内側に湾曲して内周に空間部を形成しており、該空間部に複数の小孔を設けた散水管が設けられており、該散水管に導かれた前記封水が前記小孔から散水されることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の小便器。