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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023715
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】流体制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 37/00 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
F16K37/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129498
(22)【出願日】2021-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】丹野 竜太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕也
(72)【発明者】
【氏名】芝田 裕登
(72)【発明者】
【氏名】中田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】辻野 健吾
【テーマコード(参考)】
3H065
【Fターム(参考)】
3H065AA01
3H065BA01
3H065BA07
3H065BB18
3H065CA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】流体制御装置に内蔵されるセンサの検出精度を担保する。
【解決手段】シート13に当接離反することで流路を遮断開放するダイヤフラム22と、上下動可能に設けられダイヤフラムを押圧するディスク23と、磁石M1および磁性体M2を含む磁気センサMと、磁石および磁性体の一方を保持し、ディスクが挿通される円環状のマグネットホルダM10と、マグネットホルダの半径方向外側に位置し、磁石および磁性体の他方を保持するセンサホルダ241と、ディスクに螺合してマグネットホルダを固定するロックナット231と、を備え、センサホルダは、半径方向内側に突出する位置決め部材を有し、マグネットホルダの外周には、位置決め部材が係合する凹部が形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに当接離反することで流路を遮断開放するダイヤフラムと、
上下動可能に設けられ前記ダイヤフラムを押圧するディスクと、
磁石および磁性体を含む磁気センサと、
前記磁石および前記磁性体の一方を保持し、前記ディスクが挿通される円環状のマグネットホルダと、
前記マグネットホルダの半径方向外側に位置し、前記磁石および前記磁性体の他方を保持するセンサホルダと、
前記ディスクに螺合して前記マグネットホルダを固定するロックナットと、
を備え、
前記センサホルダは、半径方向内側に突出する位置決め部材を有し、
前記マグネットホルダの外周には、前記位置決め部材が係合する凹部が形成されている、
流体制御装置。
【請求項2】
前記センサホルダは非磁性体により形成されている、
請求項1記載の流体制御装置。
【請求項3】
前記マグネットホルダは非磁性体により形成されている、
請求項1又は2記載の流体制御装置。
【請求項4】
前記マグネットホルダには前記磁石が保持され、前記センサホルダには前記磁性体が保持されている、
請求項1乃至3のいずれかに記載の流体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器内にセンサを備えると共に、当該センサによって検出したデータを出力可能な流体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハの表面に薄膜を形成する成膜処理においては薄膜の微細化が求められ、近年では原子レベルや分子レベルの厚さで薄膜を形成するALD (Atomic Layer Deposition)という成膜方法が使われている。
しかし、そのような薄膜の微細化は流体制御装置に今まで以上の高頻度な開閉動作を要求しており、その負荷により流体の漏出等を引き起こしやすくなる場合がある。そのため、流体制御装置における流体の漏出を容易に検知できる技術への要求が高まっている。
また、漏出を容易に検知するだけでなく、動作に伴うデータを収集することができれば、従来は考慮できていなかった流体制御装置の使用頻度や個体差などを把握し、流体制御装置をこれまで以上に精度よく制御することも可能と考えられる。
【0003】
また、近年、流体制御装置に流れる流体の温度管理が厳密になっており、測定精度の要求が高まっているが、流体制御装置に使われる機器が集積化されているので、各機器にセンサを外付けで搭載することができない。
【0004】
この点、特許文献1では、内部のセンサに接続された通信用のケーブルを外側へ導出させるスリットを有する流体制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2020/012828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、流体制御装置に内蔵されるセンサの検出精度を担保することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る流体制御装置は、シートに当接離反することで流路を遮断開放するダイヤフラムと、上下動可能に設けられ前記ダイヤフラムを押圧するディスクと、磁石および磁性体を含む磁気センサと、前記磁石および前記磁性体の一方を保持し、前記ディスクが挿通される円環状のマグネットホルダと、前記マグネットホルダの半径方向外側に位置し、前記磁石および前記磁性体の他方を保持するセンサホルダと、前記ディスクに螺合して前記マグネットホルダを固定するロックナットと、を備え、前記センサホルダは、半径方向内側に突出する位置決め部材を有し、前記マグネットホルダの外周には、前記位置決め部材が係合する凹部が形成されている。
【0008】
前記センサホルダは非磁性体により形成されているものとしてもよい。
【0009】
前記マグネットホルダは非磁性体により形成されているものとしてもよい。
【0010】
前記マグネットホルダには前記磁石が保持され、前記センサホルダには前記磁性体が保持されているものとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る流体制御装置によれば、流体制御装置に内蔵されるセンサの検出精度を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る流体制御装置を示した外観斜視図である。
図2】本実施形態に係る流体制御装置の内部構造を示した縦断面図であって、弁開状態を示す図である。
図3】本実施形態に係る流体制御装置の内部構造を示した部分拡大縦断面図であって、(a)弁開状態、(b)弁閉状態を示す。
図4】本実施形態に係る流体制御装置が有するマグネットホルダの外観斜視図である。
図5】本実施形態に係る流体制御装置が有するボンネットを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る流体制御装置について、図を参照して説明する。
なお、以下の説明では、便宜的に図面上での方向によって部材等の方向を上下左右と指称することがあるが、これらは本発明の実施あるいは使用の際の部材等の方向を限定するものではない。
図1に示されるように、本実施形態に係る流体制御装置Vは、流体制御装置Vの内部動作を検出するセンサを内蔵し、他の端末等と有線による通信を実行するエア作動式のダイレクトダイヤフラムバルブである。
なお、ここにいう他の端末には、サーバ等の所謂コンピュータのほか、他の流体制御装置や流量制御装置などの機器や装置が含まれる。
【0014】
本実施形態に係る流体制御装置Vは内部動作に関するデータを取得可能な機器であって、図1および図2に示されるように、バルブボディ部1、第1ボンネット部2、第2ボンネット部4、アクチュエータ部5を備える。
【0015】
●バルブボディ部1
図1および図2に示されるように、バルブボディ部1は、流路が形成された基台部11と、基台部11上に設けられた略円筒形状の円筒部12と、環状のシート13からなる。
基台部11内には、流体が流入する流入路111と流体が流出する流出路113、及び当該流入路111と流出路113に連通する弁室112が形成されている。弁室112には流入路111の開口、流出路113の開口が夫々形成されて、流入路111、流出路113、及び弁室112は流体が流通する流路を一体的に構成している。
基台部11は平面視矩形状からなり、複数の流体制御装置Vによってユニット化された流体制御装置を構成する場合には、基板あるいはマニホールドブロック上に設置される部分となる。
【0016】
円筒部12は、端面が開口した中空形状からなり、基台部11にねじ込み固定されている。中空の内部は第1ボンネット部2が収容される凹部12aを構成する。
【0017】
環状のシート13は、弁室における流入路111の開口の周縁に設けられている。シート13上には、シート13に当接離反することによって流路の開閉、すなわち遮断開放を行うダイヤフラム22が設けられている。
【0018】
●第1ボンネット部2
図2に示されるように、第1ボンネット部2は、バルブボディ部1の凹部12a内に収容した状態に配設される。
この第1ボンネット部2は、ダイヤフラム22、ディスク23、センサボンネット24、ダイヤフラム押さえ25、および押さえアダプタ26を備える。
【0019】
図3(a)および(b)に示すように、ダイヤフラム22は、ステンレス、Ni-Co系合金等の金属やフッ素系樹脂からなる、中央部221が凸状に膨出した球殻状の部材であり、弁室112と第2ボンネット部4が動作する空間とを隔離している。
【0020】
このダイヤフラム22は、駆動圧としての駆動流体の供給がされていない状態ではダイヤフラム22がダイヤフラム押さえ25により押圧されて弾性変形し、ダイヤフラム22の中央部221がシート13と当接し流路が遮断された状態となる。駆動圧としての駆動流体が供給されてダイヤフラム押さえ25による押圧から開放されるにつれ、自身の復元力や流路内の圧力によって中央部221がシート13から離反する方向に変位してシート13から離反し、流路が開放された状態となる。
【0021】
すなわち、ダイヤフラム22の中央部221は、駆動流体の供給により変位する可動部となっており、周縁部222は、駆動流体が供給されても変位しない非可動部である。
【0022】
ダイヤフラム22の周縁部222は、後述する押さえアダプタ26と当接し、この押さえアダプタ26とバルブボディ部1の凹部12a内部に上向きに設けられている突起部121a(図3(a)および(b)参照)とに挟持されている。
【0023】
ディスク23は、ダイヤフラム22の上側に設けられた略円柱状の部材であり、センサボンネット24に対して上下動可能に配置されると共に、上下方向に摺動するステム43に連動してダイヤフラム22の中央部を押圧する。
【0024】
ディスク23の外周面上にはOリングO1が取り付けられており、このOリングO1はディスク23とセンサボンネット24の内周面をシールしている。
【0025】
ディスク23の上部は外径が小さくなっており、当該上部はマグネットホルダM10に挿通されている。図4に示すように、マグネットホルダM10は、一部が切り欠かれた略円環状の部材であり、この切欠部M11に磁石M1が取り付けられている。この磁石M1は、センサボンネット24の凹部にはめ込まれてなるセンサホルダ241に取り付けられた磁性体M2と共に、後述する磁気センサMを構成する。
【0026】
図2に示すセンサホルダ241は、後述するセンサボンネット24の凹部にはめ込まれ、磁性体M2を保持する略円環状の部材である。センサホルダ241はマグネットホルダM10の半径方向外側に位置しており、センサホルダ241の内周面とマグネットホルダM10の外周面が対向している。また、センサホルダ241は、半径方向に貫通する貫通孔242を有し、この貫通孔242は、半径方向において磁性体M2の反対側に設けられている。
【0027】
貫通孔242の半径は孔内に渡って略一定であるところ、外側端部の半径は孔内の半径より大きくなっている。図2においては、貫通孔242の外側端部はセンサホルダ241の外周にいくに従って次第に広がる形状をしている。この構成によれば、貫通孔242に挿通されるボルトの頭を孔内に収容できる。なお、貫通孔242は、図2の構成に代えて、外側端部が不連続に広がっていてもよく、例えば内部が段付きボルトに対応するような形状になっていてもよい。
【0028】
マグネットホルダM10は外周面に凹部M12を備える。本実施形態においては、凹部M12は、略直方体状に切り欠かれた形状であり、マグネットホルダM10の軸方向に渡って設けられている。また、凹部M12は、半径方向において切欠部M11の反対側に設けられている。凹部M12は、組立状態において、センサホルダ241の貫通孔242と対向している。センサホルダ241の貫通孔242にはボルト等の位置決め部材が挿通され、凹部M12に当接する。すなわち、位置決め部材が当該凹部M12と係合することで、マグネットホルダM10の位置ずれが防止される。なお、ディスクの上下動を阻害しないようにマグネットホルダM10とセンサホルダ241の円周方向の位置関係が規定されればよく、凹部M12および位置決め部材は本実施形態の形状に限られない。
【0029】
ディスク23上端部であってマグネットホルダM10の上方から突出した部分にはねじ切りがなされ、ロックナット231が螺合(図示なし)されている。ロックナット231はマグネットホルダM10に当接し下方に押圧することで、マグネットホルダM10とディスク23を固定している。なお、マグネットホルダM10の内周にねじ切りを行い、マグネットホルダM10とディスク23を螺合させることも可能である。この場合、ダブルナット構造により、マグネットホルダの上下方向位置を調整することも可能である。
【0030】
このように、磁気センサMを構成する磁石M1がマグネットホルダM10に固定され、位置決め溝としての凹部M12と貫通孔242により磁性体M2との位置関係を規制しつつロックナット231で固定されている構成によれば、組み立て精度や機差によらず、容易に磁気センサMの検出精度を担保することができる。例えば、磁石をダイヤフラム押えに直接固定する構成では、磁石の位置を調整するためにはディスクの方向を変える必要があるところ、センサボンネットとディスクはOリングでシールされているため、ディスクを回転させることが出来ず、磁石位置の調整が困難であった。一方、本発明に係る構成によれば、磁石M1の位置の調整が容易である。
【0031】
なお、本実施形態においては、マグネットホルダM10に磁石M1が保持され、センサホルダ241に磁性体M2が保持されているものとしたが、マグネットホルダM10に磁性体が保持され、センサホルダ241に磁石が保持されていてもよい。
【0032】
マグネットホルダM10およびセンサホルダ241は、非磁性体で形成されている。マグネットホルダM10およびセンサホルダ241は、例えばアルミ材で形成されている。この構成によれば、マグネットホルダM10およびセンサホルダ241が磁化しないため、磁気センサMの精度をより高くすることができる。
【0033】
ディスク23の下端にはダイヤフラム押さえ25が連結されている。ダイヤフラム押さえ25は、下面側が下に膨らんだ凸面となっていて、その下面側においてダイヤフラム22の中央部221に当接し、摺動するステム43に連動してダイヤフラム22を押圧する。
【0034】
図3(a)および(b)に示されるように、ダイヤフラム押さえ25の下端は、弁開時および弁閉時のいずれにおいても、ダイヤフラム22の中央部221に当接している。
【0035】
図2および図5に示されるように、センサボンネット24は、略円筒状からなり、バルブボディ部1の凹部12a内に収容される。
センサボンネット24の内部には、ディスク23が貫挿される貫挿孔241aが中心部に形成されている。
また、センサボンネット24には、圧力センサPおよび温度センサTに連通する連通孔241dが設けられている。連通孔241dを介して圧力センサPおよび温度センサTが設けられていることにより、ダイヤフラム22、ディスク23およびセンサボンネット24によって画定された空間内の圧力および温度を測定することができる。
なお、本実施形態では、温度センサTはセンサボンネット24内部に設けられているものとしたが、温度センサTはバルブボディ部1の内側にあればよく、特に、少なくとも温度センサTの温度の検出部分がバルブボディ部1の内側に載置されていればよい。この構成によれば、流体制御装置Vを設置するだけで、別途温度センサの設置作業等を行うことなく、当該流体制御装置V内の温度を正確に測定することができる。
【0036】
温度センサTによれば、流体制御装置V内の温度を測定するため、実際の流体に近い位置で測定することができる。したがって、設定温度と実際の流体温度に差が存在する場合にも、流体温度をより正確に測定することができる。また、ダイヤフラム22付近の温度が低下すると流体の液化の原因となるところ、温度センサTによれば、この液化のおそれを早期に検知することができる。
【0037】
また、センサボンネット24の側面から、センサボンネット24内部の圧力センサP、温度センサTおよび磁気センサMと接続されるフレキシブルケーブル60が外側へ伸び出ている。
【0038】
センサボンネット24の内周面には、センサホルダ241に保持された磁性体M2が取り付けられていて、ディスク23に取り付けられた磁石と共に磁気センサMを構成する。
【0039】
センサボンネット24は、アルミ材から構成されている。アルミ材は、例えばSUS等に比べて熱伝導率が高いため、センサボンネット24内部の温度センサTに、流体温度をより正確に伝達することができる。また、アルミ材からなるセンサボンネット24によれば、磁化しないため、温度センサTおよび圧力センサPに対する磁気センサMの影響を小さくすることができる。
【0040】
押さえアダプタ26は、ダイヤフラム22の周縁部222と当接し、ダイヤフラム22をバルブボディ部1の凹部12a内の突起部121aとの間で挟持する。また、基台部11にねじ込まれた円筒部12により下方に押圧されることで周縁部222を上方から押さえつけ、流入路111および流出路113を流れる流体が、周縁部222近傍から外部に漏出するのを防止している。
【0041】
押さえアダプタ26は、ダイヤフラム22の弁開時および弁閉時のいずれにおいても、ダイヤフラム22の可動部分、言い換えれば中央部221に触れない。また、押さえアダプタ26とダイヤフラム22との接触面積は、弁開時および弁閉時で同一である。この構成によれば、弁開時と弁閉時とでダイヤフラム22の伝熱面積を一定にすることができる。ひいては、ダイヤフラム22からの伝導熱が一定になるため、弁の開閉状態に関わらず、後述する温度センサTによる正確な測温が可能である。
【0042】
●第2ボンネット部4
第2ボンネット部4は、第1ボンネット部2上に配設される。
図2に示されるように、この第2ボンネット部4は、第2ボンネットボディ41、ステム43、バネ44を備える。
【0043】
第2ボンネットボディ41は、円筒部12にねじ込み固定されており、センサボンネット24を上方から押圧することでセンサボンネット24はバルブボディ部1に対して固定される。
この第2ボンネットボディ41は略円柱形状からなり、中心部には、ステム43とディスク23が貫挿される貫挿孔41aが長さ方向に沿って設けられている。図2に示されるように、貫挿孔41a内ではステム43とディスク23が当接しており、ディスク23はステム43の上下動に連動して上下動する。第2ボンネットボディ41には、基台部11とは反対側の一端が開口すると共に、外側から凹部12a側へ貫通したスリット12bが設けられている。
【0044】
ステム43は、駆動圧の供給と停止に応じて上下動し、ディスク23およびダイヤフラム押さえ25を介してダイヤフラム22をシート13に当接離反させる。
ステム43は、上面側においてバネ44の付勢力を受ける。
【0045】
バネ44は、ステム43の外周面上に巻回されており、ステム43の上面に当接してステム43を下方、即ちダイヤフラム22を押下する方向に付勢している。
【0046】
●アクチュエータ部5
アクチュエータ部5は駆動流体が供給される開口部51を有する有底円筒形の部材である。アクチュエータ部5の内部空間には、内壁に沿って上下動可能な円盤状のピストン54が複数収容されていて、ピストン54の間は開口部51に連通する複数の駆動圧導入室52となっている。また、アクチュエータ部5の内部空間には、アクチュエータ部5外部と連通する駆動流体供給口LPが形成されている。開口部51は、ステム43の上端面に形成される開口部43aに接続されている。
【0047】
ここで、駆動圧の供給と停止に伴う弁の開閉動作について言及する。開口部42aに接続された導入管(図示省略)から駆動流体が供給されると、駆動流体はステム43内の駆動圧導入路432を介して駆動圧導入室52に導入される。これに応じて、ステム43はバネ44の付勢力に抗して上方に押し上げられる。これにより、ダイヤフラム22がシート13から離反して開弁した状態となり、流体が流路を流通する。
一方、駆動圧導入室52に駆動流体が導入されなくなると、ステム43がバネ44の付勢力に従って下方に押し下げられる。これにより、ダイヤフラム22がシート13に当接して閉弁した状態となって、流体の流通が遮断される。
【0048】
●センサ
流体制御装置Vは、機器内の動作を検出するためのセンサとして、センサボンネット24の内部に、圧力センサPと、温度センサTと、磁気センサMと、を備えている。各センサは、センサボンネット24の連通孔241dを介してセンサボンネット24の貫挿孔241aに面していて、ダイヤフラム22、ディスク23およびセンサボンネット24によって画定された空間に連通している。これにより圧力センサPは、当該空間内の圧力を検出することができる。
なお、圧力センサPが連通孔241dに通じる箇所にはパッキン等のシール部材が介装されており、気密状態が担保されている。
【0049】
温度センサTは、ダイヤフラム22、ディスク23およびセンサボンネット24によって画定された空間の温度を測定する。温度センサTを有する流体制御装置Vによれば、流体の制御と共に流体の温度を測定することができる。
【0050】
センサボンネット24の貫通孔241eには磁性体M2が取り付けられており、この磁性体M2は、マグネットホルダM10に取り付けられた磁石と共に磁気センサMを構成する。
この磁気センサMによって以下の通り、弁の開閉動作、及びステム43の移動量を検知することができる。即ち、マグネットホルダM10に保持される磁石M1がディスク23の上下動に応じて摺動するのに対し、磁性体M2はセンサボンネット24と共にバルブボディ部1内に固定されている。この結果、ディスク23の上下動に従って上下動するマグネットホルダM10に保持される磁石M1と、位置が固定されている磁性体M2との間に発生する磁界の変化に基づき、ディスク23およびダイヤフラム押さえ25の動作、ひいては弁の開閉動作、及びステム43の移動量を検知することができる。
なお、本実施形態では磁気センサMを用いたが、これに限らず、他の実施形態においては、光学式の位置センサ等、他の種類のセンサを用いることもできる。
【0051】
圧力センサP、温度センサTと磁気センサMには夫々、可撓性を有する通信用のフレキシブルケーブル60の一端が接続しており(磁気センサMについては、詳細には磁性体M2に接続している)、フレキシブルケーブル60の他端は、流体制御装置Vの外側に設けられた回路基板に接続している。さらに、回路基板には外部端子接続用の略矩形状のコネクタが設けられており、これにより、圧力センサP、温度センサT、および磁気センサMによって測定されたデータを抽出することができる。コネクタの種類や形状は、各種の規格に応じて適宜に設計し得る。
【0052】
このような構成からなる流体制御装置Vによれば、容易に磁気センサMの検出精度を担保することができる。また、圧力センサP、温度センサT及び磁気センサMによって検出されたデータを外部へ出力させることができる。そして、このようなデータは、弁の開閉動作、ダイヤフラム22の破損等によるリーク、流体制御装置Vの経年劣化や個体差などを把握するための情報となり得る。
【符号の説明】
【0053】
1 バルブボディ部
11 基台部
12 円筒部
13 シート
2 ボンネット部
22 ダイヤフラム
23 ディスク
231 ロックナット
24 センサボンネット
241 センサホルダ
25 ダイヤフラム押さえ
26 押さえアダプタ
4 第2ボンネット部
41 第2ボンネットボディ
43 ステム
44 バネ
60 フレキシブルケーブル
M10 マグネットホルダ
M 磁気センサ
M1 磁石
M2 磁性体
図1
図2
図3
図4
図5