(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023725
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】ペン型容器
(51)【国際特許分類】
B65D 25/20 20060101AFI20230209BHJP
B65D 83/02 20060101ALI20230209BHJP
A45D 40/24 20060101ALI20230209BHJP
A45D 34/06 20060101ALI20230209BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
B65D25/20 A
B65D83/02 Z
A45D40/24 Z
A45D34/06
B65D83/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129511
(22)【出願日】2021-08-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示会名「第10回化粧品産業技術展」 展示日 令和3年5月19日~令和3年5月21日 〔刊行物等〕 刊行物「選べる○○○2way multi container」 頒布日 令和3年5月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000206185
【氏名又は名称】大成化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100107593
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194777
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 憲治
(72)【発明者】
【氏名】林 大貴
(72)【発明者】
【氏名】中塚 義映
(72)【発明者】
【氏名】小川 幸弘
【テーマコード(参考)】
3E014
3E062
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PC08
3E014PC16
3E014PD12
3E014PE14
3E014PE25
3E014PF05
3E014PF10
3E062AA09
3E062AB01
3E062JA01
3E062JA08
3E062JB08
(57)【要約】
【課題】使用済みのボトルを交換可能な新しいペン型容器を提供する
【解決手段】ペン型容器1は、使用時に使用者が把持するペン本体6と、ペン本体6に着脱可能に取り付けられる交換ボトル2と交換ボトル3とを有する。交換ボトル2は、筒状の胴部21と、胴部21の一端部に設けられた吐出口22とを有する。交換ボトル3は、筒状の胴部31と、胴部31の一端部に設けられた吐出口32とを有する。胴部21、31は、一端部側近傍の外周に係合部211、311を有する。ペン本体6は、胴部21の係合部211に対して軸方向移動不能に係合する移動規制部61を有する。ペン本体6は、胴部31の係合部311に対して軸方向移動不能に係合する移動規制部63を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に使用者が把持するペン本体と、前記ペン本体に着脱可能に取り付けられる第1交換ボトルとを有し、
前記第1交換ボトルは、筒状の胴部と、該胴部の一端部に設けられた吐出口とを有し、
前記胴部は、前記一端部側近傍の外周に係合部を有し、
前記ペン本体は、前記胴部の前記係合部に対して軸方向移動不能に係合する第1移動規制部と、該第1移動規制部から前記胴部の他端部側へ延びて前記胴部の外周を覆う第1外装部とを有する、ペン型容器。
【請求項2】
請求項1に記載のペン型容器において、
前記第1移動規制部は、前記ペン本体に対する前記第1交換ボトルの回転を阻止するように前記係合部に係合されている、ペン型容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のペン型容器において、
前記ペン型容器は、前記ペン本体に着脱可能に取り付けられる第2交換ボトルをさらに有し、
前記第2交換ボトルは、筒状の胴部と、該胴部の一端部に設けられた吐出口とを有し、
前記第2交換ボトルの前記胴部は、前記一端部側近傍の外周に係合部を有し、
前記第1及び第2交換ボトルは、それらの他端面同士が対向し且つそれらの吐出口が反対方向を向くように前記ペン本体に取り付けられ、
前記ペン本体は、前記第2交換ボトルの前記胴部の前記係合部に対して軸方向移動不能に係合する第2移動規制部と、該第2移動規制部から前記第2交換ボトルの前記胴部の他端部側へ延びて前記第2交換ボトルの前記胴部の外周を覆う第2外装部と、をさらに有する、ペン型容器。
【請求項4】
請求項3に記載のペン型容器において、
前記第2移動規制部は、前記ペン本体に対する前記第2交換ボトルの回転を阻止するように前記係合部に係合されている、ペン型容器。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のペン型容器において、
前記ペン本体は、径方向に分離可能な第1及び第2の分割部材から筒状に構成されている、ペン型容器。
【請求項6】
請求項5に記載のペン型容器において、
前記第1移動規制部は、前記第1の分割部材に設けられた第1係止片と、前記第2の分割部材に設けられた第2係止片とからなり、
前記第1係止片は、前記胴部の前記係合部に対して径方向の一方向に離脱可能に係合し、
前記第2係止片は、前記胴部の前記係合部に対して前記一方向とは反対方向に離脱可能に係合する、ペン型容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みのボトルを交換可能なペン型容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内容物を使い切った際に、使用済みになったボトルを交換可能な包装用容器として、以下のものが知られている。
【0003】
実開昭59-013218号公報(特許文献1)は、棒状体の結合機構を開示している。棒状体の結合機構は、棒状体の両端いずれにも結合可能なキャップ体と、このキャップ体先端に反転自在に取り付けられ、一端に他の同一形状の結合部と結合可能な結合部を有する結合体と、棒状体の一端に形成され、結合体の結合部側と結合する受具とを有し、複数の瓶同士を結合可能としている。
【0004】
実用新案登録第3089979号公報(特許文献2)は、筆形容器を開示している。筆形容器は、第1の円筒体、第2の円筒体、並びに、第1の円筒体及び第2の円筒体を着脱可能に連結するユニオン継手を有している。
【0005】
実用新案登録第3127399号公報(特許文献3)は、多機能式化粧品用容器を開示している。多機能式化粧品用容器は、第1ケーシング、第2ケーシング、並びに、第1ケーシング及び第2ケーシングの内部に夫々収容される化粧品ユニットから構成されている。化粧品ユニットは、本体部とキャップ部とを有する。本体部は、第1ケーシング又は第2ケーシングの内部に収容される。第1ケーシングと第2ケーシングとは、第2ケーシングの側面に形成された摺動用フックが第1ケーシングの側面に形成された係合凹部に引っかかることにより一体化される。これにより、化粧品をコンパクトに一つに纏めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭59-013218号公報
【特許文献2】実用新案登録第3089979号公報
【特許文献3】実用新案登録第3127399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、使用済みのボトルを交換可能な新しいペン型容器を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成した。すなわち、本発明に係るペン型容器は、使用時に使用者が把持するペン本体と、ペン本体に着脱可能に取り付けられる第1交換ボトルとを有してよい。第1交換ボトルは、筒状の胴部と、胴部の一端部に設けられた吐出口とを有してよい。胴部は、一端部側近傍の外周に係合部を有してよい。ペン本体は、胴部の係合部に対して軸方向移動不能に係合する第1移動規制部と、第1移動規制部から胴部の他端部側へ延びて前記胴部の外周を覆う第1外装部とを有してよい。
【0009】
このように胴部の係合部と第1移動規制部とが一端部側近傍で係合することにより、使用者がペン本体を把持した状態で内容物を吐出しようする際に吐出口が軸方向に位置ズレしにくい。その結果、ペン本体を使用者が把持した状態で吐出口から第1交換ボトルに収容された内容物を安定して吐出することができる。さらに、吐出口に近い位置にある係合部で第1交換ボトルがペン本体に支持されるようになるため、吐出口に取り付けられる塗布具やスプレー装置等の吐出装置に使用時に軸方向と交差する方向の外力が生じた場合でも、その外力により支持部分に生じるモーメントが小さくなり、より安定した吐出操作を行うことができる。また、ペン本体の第1外装部が交換ボトルの胴部の外周を覆うことにより、ペン型容器全体としてのデザイン性を第1外装部によって向上することができる。なお、第1外装部は、胴部の外周を全周にわたって覆うものであってもよく、周方向一部を覆うものであってもよい。
【0010】
胴部の外周面は、少なくとも係合部よりも他端部側において、第1外装部の内周面に支持されてよい。これにより、胴部の外周面が第1移動規制部と係合部よりも他端部側との少なくとも2点で支持される。その結果、ペン本体と吐出口との軸がズレにくくなり、ペン本体を使用者が把持した状態で吐出口から第1交換ボトルに収容された内容物をより安定して吐出することができる。なお、第1外装部の内周面の全体が胴部の外周面に接触乃至近接していてもよいし、第1外装部の内周面の一部が胴部の外周面に接触乃至近接していてもよい。
【0011】
第1移動規制部は、ペン本体に対する第1交換ボトルの回転を阻止するように係合部に係合されてよい。これにより、吐出口が回転移動しにくくなる。その結果、ペン本体を使用者が把持した状態で吐出口から第1交換ボトルに収容された内容物をさらに安定して吐出することができる。
【0012】
ペン型容器は、ペン本体に着脱可能に取り付けられる第2交換ボトルをさらに有してよい。第2交換ボトルは、筒状の胴部と、胴部の一端部に設けられた吐出口とを有してよい。第2交換ボトルの胴部は、一端部側近傍の外周に係合部を有してよい。第1及び第2交換ボトルは、それらの他端面同士が対向し且つそれらの吐出口が反対方向を向くようにペン本体に取り付けられてよい。ペン本体は、第2交換ボトルの胴部の係合部に対して軸方向移動不能に係合する第2移動規制部と、第2移動規制部から第2交換ボトルの胴部の他端部側へ延びて第2交換ボトルの胴部の外周を覆う第2外装部とをさらに有してよい。
【0013】
このように、第2交換ボトルの胴部の係合部と第2移動規制部とが一端部側近傍で係合することにより、第2交換ボトルにおいてもペン本体を使用者が把持した状態で吐出口から第2交換ボトルに収容された内容物を安定して吐出することができる。また、第1交換ボトルと第2交換ボトルとがペン本体によって連結されているため、それらの吐出口からそれぞれ第1交換ボトルと第2交換ボトルとに収容された内容物を吐出させることができる。その結果、ペン型容器は、異なる2種の内容物を吐出させることができ、使用者の嗜好に応じて内容物を変更することにより、使用者の利便性を向上させることができる。また、第1及び第2交換ボトルの一方のみを交換することができるため、内容物が残る交換ボトルを廃棄する必要がない。
【0014】
第2移動規制部は、ペン本体に対する第2交換ボトルの回転を阻止するように係合部に係合されてよい。これにより、第2交換ボトルの吐出口が回転しにくくなる。その結果、ペン本体を使用者が把持した状態で吐出口から第2交換ボトルに収容された内容物をより安定して吐出することができる。
【0015】
第1交換ボトルの胴部は円筒状に構成されてよい。ペン本体は、周方向一部に第1交換ボトルを径方向に抜き出すためのスリットを有する断面視C字形の長尺部材であってよい。スリットの幅は、第1交換ボトルの胴部の直径よりも狭くてよい。ペン本体は、第1交換ボトルを抜き出す際にスリットの幅が第1交換ボトルの胴部の直径よりも大きくなるように弾性変形可能であってよい。これにより、ペン本体と第1交換ボトルとを容易に着脱することができる。
【0016】
また、ペン本体は、周方向一部に第2交換ボトルを径方向に抜き出すためのスリットを有する断面視C字形の長尺部材であってよい。スリットの幅は、第2交換ボトルの胴部の直径よりも狭くてよい。ペン本体は、第2交換ボトルを抜き出す際にスリットの幅が第2交換ボトルの胴部の直径よりも大きくなるように弾性変形可能であってよい。これにより、ペン本体と第2交換ボトルとを容易に着脱することができる。なお、第1交換ボトル用のスリットと、第2交換ボトル用のスリットとは、軸方向に連続する単一のスリットによって構成することができる。第1及び第2交換ボトルの胴部の直径が異なる場合は、対応するボトルの直径にあわせてそれぞれのスリットの幅を設定することができる。
【0017】
ペン本体は、径方向に分離可能な第1及び第2の分割部材から筒状に構成されてよい。これにより、第1交換ボトル(第2交換ボトルが存在する場合は第1及び第2交換ボトル)を第1の分割部材と第2の分割部材とによって挟み込むようにして取り付けることができ、第1交換ボトルの全周を第1及び第2の分割部材によって覆うものでありながらも、第1交換ボトルをペン本体から容易に着脱することができる。
【0018】
第1移動規制部は、第1の分割部材に設けられた第1係止片と、第2の分割部材に設けられた第2係止片とからなってよい。第1係止片は、胴部の係合部に対して径方向の一方向に離脱可能に係合してよい。第2係止片は、胴部の係合部に対して一方向とは反対方向に離脱可能に係合してよい。これにより、各分割部材を第1交換ボトルの胴部の係合部にそれぞれ係合させ、より安定的に第1交換ボトルを支持することができる。
【0019】
さらに、第1係止片と第2係止片とは、径方向への離脱を阻止するように係合するとともに、これら係止片の弾性変形によって上記係合解除されるよう構成されていてよい。これにより、第1の分割部材と第2の分割部材とを係止させて、ペン型容器の使用時に第1の分割部材と第2の分割部材とが意図せず離脱することを抑制することができる。
【0020】
第1外装部は、第1の分割部材に設けられた第1半筒部と、第2の分割部材に設けられた第2半筒部とからなってよい。第1及び第2半筒部の内周面により径方向両側から胴部の外周面を支持してよい。これにより、胴部と第1外装部とが径方向に位置ズレしたり、係合部を支点として揺動することを抑制することができる。その結果、ペン本体を使用者が把持した状態で吐出口から内容物をより安定して吐出することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、使用済みのボトルを交換可能な新しいペン型容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るペン型容器の構造を示す外観斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すペン型容器の構造を示す外観斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すペン型容器の構造を示すA-A’断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すペン型容器の構造を示すB-B’断面図である。
【
図5】
図5は、他の実施形態に係るペン型容器の構造を示す外観斜視図である。
【
図6】
図6は、他の実施形態に係るペン型容器の構造を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係るペン型容器1を
図1~4に基づいて具体的に説明する。
図1及び
図2に示すように、ペン型容器1は、交換ボトル2と、交換ボトル3と、キャップ4と、キャップ5と、ペン本体6とを備える。
【0024】
図2に示すように、交換ボトル2は、円筒状の胴部21と、胴部21の一端に連続し形成されて胴部21と内部空間で連通する吐出口22とを有する。胴部21は、その内部空間に液剤等の内容物を収容する。胴部21は、一端部側近傍の外周に係合部211を有する。係合部211は、胴部21の外周を平面状に切り欠いて形成されている。係合部211は、平面部211aと、平面部211aの軸方向両端に形成された段差部211b、211bとを有する。すなわち、交換ボトル2の外周面を切り欠いたことにより、交換ボトル2の外周面と平面部211aとの間に段差が形成される。係合部211は、後述するペン本体6の移動規制部61と軸方向に係合することにより、交換ボトル2がペン本体6に対して軸方向に移動することを不能にしている。なお、胴部21は、円筒状に限られず、楕円筒状又は多角筒状であってもよい。多角筒状の胴部21である場合、断面視多角形の角部を平面状に切り欠いてもよく、胴部21の平面状の外側面を切り欠いて係合部211としてもよい。
【0025】
吐出口22は、交換ボトル2のうち胴部21よりも一端側の部分をいう。
図2及び
図4を参照して、吐出口22は、胴部21から連続して形成され、キャップ4と螺合するための雄ねじが形成された筒部分とスプリングを含む吐出部分とを含む。吐出口22は、軸方向外側(図示の上方)に交換ボトル2の内部空間に収容された内容物を吐出する。例えば、本実施形態の吐出口22は、所謂スプリング中栓であるため、内容物が吐出される吐出口22の先端を使用者の肌又は頭皮等の塗布部に押し当てることにより、内容物を吐出することができる。
【0026】
吐出口22は、上述に限られず、交換ボトル2の内容物を吐出できれば特に限定されるものではない。例えば、径方向に弾性変形可能な交換ボトル2の胴部21の外周面を半径方向外方から内方に向かって押圧することにより、交換ボトル2の内容物を吐出口22から吐出するようにしてもよい。この場合、交換ボトル2を押圧できるように、ペン本体6も径方向に弾性変形可能に構成してもよく、或いは、ペン本体6に貫通孔を設け、貫通孔から使用者の指を挿通するようにして交換ボトル2を直接押圧できるようにしてもよい。また、例えば、交換ボトル2にマスカラを収容し、キャップ4に取付けたブラシを吐出口22から取り出すようにしてもよく、或いは、キャップ4に取付けた口紅を交換ボトル2の内部空間に収容し、吐出口22から口紅を取り出すようにしてもよい。また、胴部21にインクを収容し、吐出口22にボールペンのボールやマーキングペン(蛍光マーカー)のペン先を取り付けてもよい。さらに、交換ボトル2に綿棒又は爪楊枝等の棒状用具を収納しておき、使用時に棒状用具を交換ボトル2から取り出すようにしてもよい。このように、ペン型容器1は、ペンとしての利用だけでなく、交換ボトル2及び交換ボトル3に収容される内容物によって種々の利用が可能となる。なお、後述する交換ボトル3の吐出口32においても同様である。
【0027】
交換ボトル3は、円筒状の胴部31と、胴部31の一端に連続して形成され、胴部31と内部空間で連通する吐出口32とを有する。胴部31は、その内部空間に液剤等の内容物を収容する。胴部31は、一端部側近傍の外周に係合部311を有する。係合部311は、胴部31の外周を平面状に切り欠いて形成されている。係合部311は、平面部311aと、平面部311aの軸方向両端に形成された段差部311b、311bとを有する。すなわち、交換ボトル3の外周面を切り欠いたことにより、交換ボトル3の外周面と平面部311aとの間に段差が形成される。段差部311bは、後述するペン本体6の移動規制部63と軸方向に係合することにより、交換ボトル3がペン本体6に対して軸方向に移動することを不能にしている。なお、胴部31は、円筒状に限られず、楕円筒状又は多角筒状であってもよい。多角筒状の胴部31である場合、断面視多角形の角部を平面状に切り欠いてもよく、胴部31の平面状の外側面を切り欠いて係合部211としてもよい。交換ボトル3の他端面(底面)は、交換ボトル2の他端面(底面)と対向している。そして、交換ボトル2と交換ボトル3とは、互いの吐出口22及び吐出口32が反対方向を向くようにペン本体6に取付けられる。なお、交換ボトル2の胴部21の軸方向の長さと交換ボトル3の胴部31の軸方向の長さとは、図示において略同一であるが、胴部21及び胴部31に収容される内容物の種類によって適宜変更可能である。例えば、必要量が少ない内容物と必要量が多い内容物とをそれぞれ胴部21及び胴部31に収容する場合、胴部21及び胴部31のいずれか一方の軸方向の長さを小さくして必要量が少ない内容物を収容し、他方の軸方向の長さを大きくして必要量が多い内容物を収容してもよい。
【0028】
吐出口32は、交換ボトル3のうち胴部31よりも一端側の部分をいう。軸方向外側(図示の下方)に胴部31の内部空間に収容された内容物を吐出する。例えば、吐出口32は、軸方向内側に先端をプッシュすることにより、胴部31から内容物を径方向外方に噴霧するスプレー装置である。
【0029】
キャップ4は、吐出口22を覆うように交換ボトル2よりも軸方向外側(図示の上方)に取り付けられている。
【0030】
キャップ5は、吐出口32を覆うように交換ボトル3よりも軸方向外側(図示の下方)に取り付けられている。なお、キャップ4及びキャップ5は、吐出口22及び吐出口32を覆うことができればよく、特に限定されるものではない。
【0031】
ペン本体6は、ペン型容器1の使用時に使用者によって把持される。ペン本体6は、移動規制部61、外装部62、移動規制部63及び外装部64を有する。移動規制部61は、胴部21の係合部211に対して軸方向移動不能に係合する。外装部62は、断面視半円形状であり、移動規制部61から胴部21の他端部側へ延びて胴部21の外周を覆う。移動規制部63は、胴部31の係合部311に対して軸方向移動不能に係合する。外装部64は、断面視半円形状であり、移動規制部63から交換ボトル3の胴部31の他端部側へ延びて交換ボトル3の胴部31の外周を覆う。図示のように、外装部62と外装部64とは連続して一体的に形成されている。このように、外装部62及び外装部64は、円筒状に形成されているが、これに限られず、上述した交換ボトル2の胴部21及び交換ボトル3の胴部31の形状に応じて、楕円筒状又は多角筒状に形成してもよい。なお、外装部62は、胴部21の外周を全周にわたって覆うものであってもよく、周方向一部を覆うものであってもよい。外装部64は、胴部31の外周を全周にわたって覆うものであってもよく、周方向一部を覆うものであってもよい。移動規制部61と係合部211との関係については、
図3及び
図4を用いて後述する。
【0032】
ペン本体6は、径方向に分離可能な分割部材6a及び分割部材6bとから構成されている。外装部62は、分割部材6aに設けられた半筒部62aと、分割部材6bに設けられた半筒部62bとを有する。外装部64は、分割部材6aに設けられた半筒部64aと、分割部材6bに設けられた半筒部64bとを有する。胴部21の外周面は、半筒部62a及び半筒部62bの内周面により径方向両側から支持されている。胴部31の外周面は、半筒部64a及び半筒部64bの内周面により径方向両側から支持されている。これにより、胴部21と外装部62とが径方向に位置ズレしたり、係合部211を支点として揺動することを抑制することができる。その結果、ペン本体6を使用者が把持した状態で吐出口22から内容物を安定して吐出することができる。胴部31と外装部64とにおいても同様に吐出口32から内容物を安定して吐出することができる。なお、分割部材6a及び分割部材6bは、
図2において径方向に分離されているが、互いに対向する一方の端辺同士をヒンジ等で連結し、このヒンジを軸として分割部材6a及び分割部材6bを径方向に回転させて他方の端辺同士を開閉させることにより、交換ボトル2及び交換ボトル3をペン本体6の内部に取付けてもよい。
【0033】
また、胴部21の外周面は、少なくとも係合部211よりも他端部側(交換ボトル2の底面側)において、外装部62の内周面に支持されている。また、胴部31の外周面は、少なくとも係合部311よりも他端部側(交換ボトル3の底面側)において、外装部64の内周面に支持されている。すなわち、胴部21及び胴部31の外周面は、係合部211及び係合部311、並びに、各々の他端部側の少なくとも2点において、外装部62及び外装部64の内周面に支持されている。これにより、吐出口22及び吐出口32の軸がペン本体6に対してズレにくくなるため、安定して交換ボトル2及び交換ボトル3の内容物を吐出することができる。なお、外装部62の内周面の全体が胴部21の外周面に接触乃至近接していてもよいし、外装部62の内周面の一部が胴部21の外周面に接触乃至近接していてもよい。また、外装部64の内周面の全体が胴部31の外周面に接触乃至近接していてもよいし、外装部64の内周面の一部が胴部31の外周面に接触乃至近接していてもよい。
【0034】
図3に示すように、移動規制部61は、胴部21の外周面が平面状に切り欠かれた係合部211に対応して周方向内側に向かって突状に形成されている。移動規制部61は、係合部211の平面部211aに対して径方向で対向する回転規制面61aと、係合部211の段差部211b、211bの各々に対向する軸方向移動規制面61b、61bとを有する。
図3及び
図4に示すように、回転規制面61aは、ペン本体6に対して胴部21が回転しようとすると平面部211aに接触する。すなわち、回転規制面61aは、平面部211aに対向する平面状の接触面を含む。これにより、ペン本体6に対して胴部21が回転することを阻止することができる。
【0035】
軸方向移動規制面61b、61bは、周方向内側に向かって突状に形成された移動規制部61の一端部側(図示の上側)の端面と、移動規制部61の他端部側(図示の下側)の端面である。軸方向移動規制面61b、61bは各々、係合部211の段差部211b、211bに軸方向に接触する。これにより、移動規制部61は、ペン本体6に対して胴部21が軸方向に移動することを不能にすることができる。このように、移動規制部61と係合部211とが係合することにより、ペン本体6に対する胴部21の回転及び軸方向への移動を阻止することができ、その結果、ペン本体6を使用者が把持した状態で吐出口22から交換ボトル2に収容された内容物を安定して吐出することができる。
図1~4に示すように、本実施形態において、係合部211及び移動規制部61は、胴部21の外周面において、各々対向する位置に一対形成されている。交換ボトル3の係合部311及び移動規制部63の構成は、交換ボトル2の係合部211及び移動規制部61の構成と同じである。そのため、交換ボトル3の係合部311及び移動規制部63の詳細な説明は省略する。なお、交換ボトル2の底面及び交換ボトル3の底面は、
図3に示すように平面であるが、これに限られるものではない。例えば、交換ボトル2の底面及び交換ボトル3の底面のいずれか一方の底面に凹部を設け、この凹部に対応する形状の凸部を他方の底面に設けてもよい。凹部は、すり鉢形状であってもよく、凸部は、すり鉢形状に対応する円錐形状であってもよい。これにより、交換ボトル2の底面及び交換ボトル3の底面のいずれか一方に設けた凹部と他方の設けた凸部とが係合し、交換ボトル2と交換ボトル3とが互いに径方向にズレることを抑制して連結することができる。さらに、このように交換ボトル2と交換ボトル3とを連結し、各々の一端部側に設けた係合部211及び係合部311が移動規制部61及び移動規制部63に係合することにより、胴部21及び胴部31の回転及び軸方向への移動をより確実に阻止することができる。
【0036】
なお、
図3において、円筒状の胴部21と雄ねじが形成された吐出口22の筒部分とは連続して一体的に形成されている。この場合、交換ボトル2を一体的に交換である。また、キャップ4も含めて交換してもよい。上述のように、交換ボトル2に収容される内容物は種々異なるものであり、内容物の種類によって吐出口22及びキャップ4の構成は異なる。そのため、胴部21と吐出口22とを着脱自在に構成した場合には、内容物を収容する胴部21のみを交換してもよい。すなわち、少なくとも胴部21は交換されてもよい。交換ボトル3の胴部31及び吐出口32、並びに、キャップ5においても同様である。
【0037】
図4に示すように、移動規制部61は、周方向(図示の上下方向)の中央近傍で分離可能である。すなわち、移動規制部61は、分割部材6aの周方向端部側の移動規制部61と分割部材6bの周方向端部側の移動規制部61とから構成されている。移動規制部61は、係止片611と係止片612を有する。係止片611は、分割部材6aの周方向の両端部に設けられている。係止片612は、分割部材6bの周方向の両端部に設けられている。図示のように、係止片611及び係止片612のいずれか一方の外側面は緩やかな突部を有し、他方の内側面は突部に対応する位置に緩やかな溝部を有する。分割部材6a及び分割部材6bは、係止片611又は係止片612のいずれか一方の突部が他方の溝部に係合されることにより、一体化されてペン本体6となる。すなわち、係止片611と係止片612とは、径方向への離脱を阻止するように係合して分割部材6aから分割部材6bが離脱することを抑制するとともに、係止片611と係止片612の弾性変形によって係合解除されるように構成されている。また、係止片611は、胴部21の係合部211に対して径方向の一方向に離脱可能に係合している。係止片612は、胴部21の係合部211に対して係止片611とは反対方向に離脱可能に係合している。すなわち、係止片611及び係止片612の内側面(回転規制面61a)を係合部211の平面部211aに沿って径方向にスライドさせることにより、ペン本体6は、胴部21に着脱可能に形成されている。交換ボトル3の係合部311及び移動規制部63の構成は、交換ボトル2の係合部211及び移動規制部61と同様である。そのため、移動規制部63の係止片の説明は省略する。このようにして、ペン本体6は、交換ボトル2及び交換ボトル3に着脱可能に設けられ、その内部に交換ボトル2及び交換ボトル3を収納する。また、交換ボトル2及び交換ボトル3は、互いの他端面(底面)を対向した状態、すなわち、吐出口22及び吐出口32が反対方向を向くようにして、ペン本体6によって連結される。
【0038】
また、係止片611は、押圧部611aを有する。係止片612は、押圧部612aを有する。
図4に示すように、移動規制部61の外周面は、凹状に形成されている。押圧部612a及び押圧部612bは、凹状において軸方向に沿う壁面である。使用者は、分割部材6a及び分割部材6bを分離する際に、押圧部611aを自身の指で径方向の一方向に押圧し、また、押圧部612bを自身の指で一方向とは反対方向に押圧する。これにより、分割部材6aと分割部材6bとを容易に分離することができ、使用済みの交換ボトル2を容易に交換することができる。なお、押圧部611a及び押圧部612bは、係止片611及び係止片612の外周面に設けた突起の側面であってもよい。また、移動規制部63においても同様である。
【0039】
このように、ペン型容器1によれば、吐出口22、32から安定して内容物を吐出することができ、ペン本体6によって連結された交換ボトル2及び交換ボトル3に種々の内容物を収容することにより、使用者の嗜好に応じて利用することができる。また、交換ボトル2及び交換ボトル3の胴部21及び胴部31は、ペン本体6によって覆われているため、一例として、ペン本体6の外周面に装飾等をすればペン型容器1全体としてのデザイン性を向上させることができる。また、ペン本体6によって交換ボトル2及び交換ボトル3の損傷等を抑制することができる。さらに、交換ボトル2又は交換ボトル3の一方のみを交換することができるため、内容物が残る交換ボトル2又は交換ボトル3のいずれかを廃棄する必要がない。
【0040】
また、ペン本体6を径方向に分離可能な分割部材6aと分割部材6bとから構成したことにより、交換ボトル2又は交換ボトル3の全周をペン本体6によって覆うものでありながら交換ボトル2又は交換ボトル3をペン本体6から容易に着脱することができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態のペン型容器1について、
図5を用いて具体的に説明する。基本的に、第1実施形態のペン型容器1と同じ構成については説明を省略し、第1実施形態のペン型容器1と異なる構成についてのみ説明する。
【0042】
図5に示すように、ペン型容器1は、第1実施形態のペン型容器1とは異なり、交換ボトル3が構成されていない。ペン型容器1は、1つの交換ボトル2を有している。ペン本体6は、交換ボトル2の外周に着脱可能に取り付けられる。係合部311は、交換ボトル2の他端部側(底面部側)の外周を切り欠いて形成されている。係合部311は、一端部側(吐出口22側)の段差部311bのみ形成されており、他端部側に段差部311bが形成されていない。移動規制部63は、底部65を有する。底部65の内面は、交換ボトル2の底面に接触する。これにより、交換ボトル2が軸方向(図示の下方)へ移動することを不能にすることができる。
【0043】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態のペン型容器1について、
図6を用いて具体的に説明する。基本的に、第1実施形態のペン型容器1と同じ構成については説明を省略し、第1実施形態のペン型容器1と異なる構成についてのみ説明する。
【0044】
図6に示すように、ペン型容器1は、第1実施形態のペン型容器1とはペン本体6の構成においてのみ異なる。すなわち、本実施形態のペン本体6は、断面視C字形の長尺部材である。ペン本体6は、周方向の一部に交換ボトル2及び交換ボトル3を径方向に抜き出すためのスリット66を有する。移動規制部61及び移動規制部63は、断面視C字形の両端部、かつ、ペン本体6の軸方向の両端部に形成されている。スリット66の幅は、交換ボトル2及び交換ボトル3の胴部21及び胴部31の直径(外径)よりも狭く、かつ、ペン本体6は、交換ボトル2及び交換ボトル3を抜き出す際にスリット66の幅が胴部21及び胴部31の直径よりも大きくなるように弾性変形可能である。これにより、ペン本体6から交換ボトル2及び交換ボトル3を抜き出すことができる。一方、スリット66から交換ボトル2及び交換ボトル3を押し込むと、ペン本体6の断面視C字形の両端部が径方向外方に撓む。そして、さらに押し込むことにより、ペン本体6に交換ボトル2及び交換ボトル3を容易に取り付けることができる。なお、本実施形態において、交換ボトル2用のスリット66と、交換ボトル3用のスリット66とは、軸方向に連続する単一のスリット66によって構成されているが、各々周方向に位置ズレさせて構成してもよい。また交換ボトル2の胴部21及び交換ボトル3の胴部31の直径が異なる場合は、対応するボトルの直径にあわせてそれぞれのスリット66の幅を設定してもよい。また、断面視C字形のペン本体6は、第2実施形態のように1つの交換ボトル2に対しても適用可能である。
【0045】
以上、実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 ペン型容器
2 交換ボトル
21 胴部
22 吐出口
211 係合部
211a 平面部
211b 段差部
3 交換ボトル
31 胴部
32 吐出口
311 係合部
311a 平面部
311b 段差部
4 キャップ
5 キャップ
6 ペン本体
61 移動規制部
61a 回転規制面
61b 軸方向移動規制面
611 係止片
611a 押圧部
612 係止片
612a 押圧部
62 外装部
63 移動規制部
64 外装部
65 底部
66 スリット