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特開2023-23728情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023728
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20230209BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129514
(22)【出願日】2021-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】521348487
【氏名又は名称】株式会社青山芸術
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】桂 竜馬
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】設計事務所などの組織におけるリソースの不足や余剰について適切に対応することを可能にする新たな仕組みを提供すること。
【解決手段】情報処理方法であって、プロセッサが、1又は複数の従業員に関する従業員情報と対応可能業務を含む事務所情報とを含む事務所関連情報を取得することと、繁忙状況に関する繁忙情報を取得することと、プロジェクトに含まれる複数の工程のうちの少なくとも1つの工程に対する業務委託に関する依頼情報であって、所望の従業員に関する情報を含む依頼情報を取得することと、依頼情報、繁忙情報及び事務所関連情報に基づいて、業務委託を受託可能であり、所望の従業員に対応する従業員が所属する第2設計事務所を抽出することと、第2設計事務所が使用する第2処理装置に対し、業務委託の受託又は応募に関する問い合わせ情報を出力することと、を実行する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを含む情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記プロセッサが、
各設計事務所が使用する処理装置から、1又は複数の従業員に関する従業員情報と対応可能業務を含む事務所情報とを含む事務所関連情報を取得することと、
各設計事務所が使用する処理装置から、繁忙状況に関する繁忙情報を取得することと、
第1設計事務所が使用する第1処理装置から、プロジェクトに含まれる複数の工程のうちの少なくとも1つの工程に対する業務委託に関する依頼情報であって、所望の従業員に関する情報を含む前記依頼情報を取得することと、
前記依頼情報、前記繁忙情報及び前記事務所関連情報に基づいて、前記業務委託を受託可能であり、前記所望の従業員に対応する従業員が所属する第2設計事務所を抽出することと、
前記第2設計事務所が使用する第2処理装置に対し、前記業務委託の受託又は応募に関する問い合わせ情報を出力することと、を実行する情報処理方法。
【請求項2】
前記第2処理装置から、従業員の補充に関するリソース要求を取得することを前記プロセッサが更に実行し、
前記抽出することは、前記リソース要求に応じて、前記依頼情報に含まれる前記業務委託を受託可能であり、前記所望の従業員に対応する従業員が所属する第3設計事務所を抽出することを含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記第3設計事務所が抽出される場合、前記出力することは、前記業務委託を前記第3設計事務所に新たに委託可能か否かに関する問い合わせ情報を、前記第1処理装置に出力することを含む、請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記第2処理装置から、従業員の補充に関するリソース要求を取得することを前記プロセッサが更に実行し、
前記抽出することは、前記リソース要求に含まれる業務委託を受託可能であり、前記リソース要求に含まれる所望の従業員に対応する従業員が所属する第3設計事務所を抽出することを含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記第3設計事務所が抽出される場合、前記出力することは、前記第3設計事務所が使用する第3処理装置に、前記リソース要求に含まれる前記業務委託を受託可能か否かに関する問い合わせ情報を出力することを含む、請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記第1設計事務所からの所定金額の支払報告を受け付け、前記業務委託の報酬設定に基づいて前記所定金額を管理することを前記プロセッサがさらに実行し、
前記出力することは、前記第2処理装置に、前記所定金額の着金報告を出力することを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記繁忙情報を取得することは、前記繁忙情報を順次取得することを含み、
前記抽出することは、最新の前記繁忙情報に基づいて、前記第2設計事務所を抽出することを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記出力することは、前記第1設計事務所を匿名にした問い合わせ情報を出力することを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
情報処理装置に
各設計事務所が使用する処理装置から、1又は複数の従業員に関する従業員情報と対応可能業務を含む事務所情報とを含む事務所関連情報を取得することと、
各設計事務所が使用する処理装置から、繁忙状況に関する繁忙情報を取得することと、
第1設計事務所が使用する第1処理装置から、プロジェクトに含まれる複数の工程のうちの少なくとも1つの工程に対する業務委託に関する依頼情報であって、所望の従業員に関する情報を含む前記依頼情報を取得することと、
前記依頼情報、前記繁忙情報及び前記事務所関連情報に基づいて、前記業務委託を受託可能であり、前記所望の従業員に対応する従業員が所属する第2設計事務所を抽出することと、
前記第2設計事務所が使用する第2処理装置に対し、前記業務委託の受託又は応募に関する問い合わせ情報を出力することと、を実行させるプログラム。
【請求項10】
プロセッサを含む情報処理装置であって、
前記プロセッサが、
各設計事務所が使用する処理装置から、1又は複数の従業員に関する従業員情報と対応可能業務を含む事務所情報とを含む事務所関連情報を取得することと、
各設計事務所が使用する処理装置から、繁忙状況に関する繁忙情報を取得することと、
第1設計事務所が使用する第1処理装置から、プロジェクトに含まれる複数の工程のうちの少なくとも1つの工程に対する業務委託に関する依頼情報であって、所望の従業員に関する情報を含む前記依頼情報を取得することと、
前記依頼情報、前記繁忙情報及び前記事務所関連情報に基づいて、前記業務委託を受託可能であり、前記所望の従業員に対応する従業員が所属する第2設計事務所を抽出することと、
前記第2設計事務所が使用する第2処理装置に対し、前記業務委託の受託又は応募に関する問い合わせ情報を出力することと、を実行する情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多数の建築家の中から依頼者の希望に沿う建築家を容易に選定するシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-1346722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、顧客と建築家とのマッチングというニーズにしか対応していない。ここで、建築家が所属する設計事務所において、一般的に建築設計及び施工管理は不確定要素(土地の選定、ローンの決済、案件ストップ等)が多く、また、1件ごとの負荷が大きく期間が長い。したがって、設計事務所では、業務の見通しが立てづらく、急に変化しうる繁忙期や閑散期に対応しにくいという課題があった。なお、この課題は、一般的な組織においても当てはまる場合がある。
【0005】
そこで、本開示の技術は、設計事務所などの組織におけるリソースの不足や余剰について適切に対応することを可能にする新たな仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、プロセッサを含む情報処理装置が実行する情報処理方法であって、前記プロセッサが、各設計事務所が使用する処理装置から、1又は複数の従業員に関する従業員情報と対応可能業務を含む事務所情報とを含む事務所関連情報を取得することと、各設計事務所が使用する処理装置から、繁忙状況に関する繁忙情報を取得することと、第1設計事務所が使用する第1処理装置から、プロジェクトに含まれる複数の工程のうちの少なくとも1つの工程に対する業務委託に関する依頼情報であって、所望の従業員に関する情報を含む前記依頼情報を取得することと、前記依頼情報、前記繁忙情報及び前記事務所関連情報に基づいて、前記業務委託を受託可能であり、前記所望の従業員に対応する従業員が所属する第2設計事務所を抽出することと、前記第2設計事務所が使用する第2処理装置に対し、前記業務委託の受託又は応募に関する問い合わせ情報を出力することと、を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、設計事務所などの組織におけるリソースの不足や余剰について適切に対応することを可能にする新たな仕組みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】開示の一実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図2】開示の一実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す図である。
図3】開示の一実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す図である。
図4】本開示における事務所関連情報の一例を示す図である。
図5】本開示における繁忙情報の一例を示す図である。
図6】本開示における依頼情報の一例を示す図である。
図7】本開示の一実施形態に係る業務委託に関する処理の一例を示すシーケンス図である。
図8】本開示の一実施形態に係る依頼側と受託側の合意後に関する処理の一例を示すシーケンス図である。
図9】本開示の一実施形態に係る受託側のリソース不足に関する処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、開示技術の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0010】
[第1実施形態]
<システム>
図1は、開示の一実施形態に係る情報処理システム1の構成の一例を示す図である。図1に示すとおり、情報処理システム1は、情報処理装置(例、サーバ)10と、各情報処理装置20A、20B、20C、20D(以下、「各情報処理装置20」とも表記する。)とを含み、各情報処理装置10、20は、ネットワークNを介して相互にデータの送受信が可能である。
【0011】
ここで、図1に示す情報処理システム1により実現される、設計事務所におけるリソースをシェアするプラットフォームの概要について説明する。例えば、このプラットフォームを提供する提供者が主に利用する情報処理装置10は、各設計事務所の情報、繁忙期に関する繁忙情報を取得し、管理する。
【0012】
少なくとも1人の建築家が所属する設計事務所により主に利用される情報処理装置20は、設計事務所の情報に関する事務所関連情報と、繁忙状況に関する繁忙情報を情報処理装置10に送信する。また、情報処理装置20は、プロジェクト(例、建築設計)に含まれる複数の工程のうちの少なくとも1つの工程に対する業務委託に関する依頼情報であって、所望の従業員に関する情報を含む依頼情報を情報処理装置10に送信する。
【0013】
情報処理装置10は、取得した依頼情報と、管理している事務所関連情報及び繁忙情報とに基づいて、業務委託を受託可能な従業員を特定し、この従業員が所属する設計事務所が利用する情報処理装置20に、受託又は応募に関する問い合わせを行う。選定された設計事務所が応募し、両当事者間(業務委託の依頼側と受託側)で合意に至れば、業務委託契約、支払いに関する処理が行われる。
【0014】
これにより、設計事務所などの組織におけるリソースの不足や余剰について適切に対応することが可能になる。例えば、複数の工程を含むプロジェクトのうちの任意の工程に対して、設計事務所間でリソース(従業員)をシェアすることで、急に訪れうる繁忙期や閑散期にも対応することが可能になる。また、自組織のリソースが足りないところは、他組織のリソースを借りることで、自組織だけでは受注できないような大型案件も受注することが可能になる。
【0015】
上述した各情報処理装置10、20は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン等の携帯端末、タブレット端末、サーバ装置などであり、それぞれ第nの情報処理装置(1≦n≦2)と表記し、それぞれを区別してもよい。
【0016】
<構成>
図2は、開示の一実施形態に係る情報処理装置10の構成の一例を示す図である。図3は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置20の構成の一例を示す図である。以下では、設計事務所におけるリソースシェアリングの具体例を用いて各装置の処理について説明する。
【0017】
情報処理装置10は、1つ又は複数のプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)110、1つ又は複数のネットワーク通信インタフェース120、メモリ130、ユーザインタフェース150及びこれらの構成要素を相互接続するための1つ又は複数の通信バス170を含む。ユーザインタフェース150は、ディスプレイ、及び入力装置(キーボード及び/又はマウス、又は他の何らかのポインティングデバイス等)を含むが、必ずしも情報処理装置10に設けられる必要はなく、外部装置として接続されてもよい。
【0018】
メモリ130は、例えば、DRAM、SRAM、他のランダムアクセス固体記憶装置などの高速ランダムアクセスメモリ(主記憶装置)である。また、メモリ130は、1つ又は複数の磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、又は他の不揮発性固体記憶装置などの不揮発性メモリ(補助記憶装置)でもよい。また、メモリ130は、プログラム等を記憶した、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記録媒体でもよい。また、メモリ130は、主記憶装置(メモリ)又は補助記憶装置(ストレージ)のいずれかでもよく、あるいは両方を備えてもよい。
【0019】
メモリ130は、情報処理システム1により用いられるデータを記憶する。例えば、メモリ130は、1又は複数の従業員に関する従業員情報と対応可能業務を含む事務所情報とを含む事務所関連情報と、繁忙状況に関する繁忙情報と、プロジェクトに含まれる複数の工程のうちの少なくとも1つの工程に対する業務委託に関する依頼情報であって、所望の従業員に関する情報を含む依頼情報とを記憶する。
【0020】
また、メモリ130の他の例として、プロセッサ110から遠隔に設置される1つ又は複数の記憶装置でもよい。ある実施形態において、メモリ130はプロセッサ110により実行されるプログラム、モジュール及びデータ構造、又はそれらのサブセットを格納する。
【0021】
プロセッサ110は、メモリ130に記憶されるプログラムを実行することで、制御部112、取得部113、抽出部114、問合せ部115、出力部116、契約管理部117、費用管理部118を構成する。
【0022】
制御部112は、設計事務所におけるリソースシェアリングを制御する。制御部112は、取得部113、抽出部114、問合せ部115、出力部116、契約管理部117、費用管理部118の処理を制御する。
【0023】
取得部113は、各設計事務所が使用する各処理装置(例えば各情報処理装置20)から、1又は複数の従業員に関する従業員情報と、対応可能業務を含む事務所情報とを含む事務所関連情報を取得する。例えば、取得部113は、ネットワーク通信インタフェース120を介して、所定のタイミングで、各処理装置から送信された事務所関連情報を取得する。
【0024】
事務所関連情報は、図4を用いて後述するが、例えば、設計事務所を識別する事務所IDに関連付けて、設計事務所に関する事務所情報、所属する従業員(建築家を含む)に関する従業員情報、業務委託に関する業務委託情報などの情報を含む。
【0025】
また、取得部113は、各設計事務所が使用する各処理装置(例えば各情報処理装置20)から、繁忙状況に関する繁忙情報を取得する。例えば、取得部113は、ネットワーク通信インタフェース120を介して、所定のタイミングで、各処理装置から送信された繁忙情報を取得する。
【0026】
繁忙情報は、図5を用いて後述するが、例えば、事務所IDに関連付けて、繁忙状況、経営状況、業務委託可否、業務委託依頼意向などの情報を含む。
【0027】
また、取得部113は、第1設計事務所が使用する第1処理装置(例えば情報処理装置20A)から、プロジェクトに含まれる複数の工程のうちの少なくとも1つの工程に対する業務委託に関する依頼情報を取得する。依頼情報は、所望の従業員に関する情報も含む。例えば、取得部113は、ネットワーク通信インタフェース120を介して、第1設計事務所が業務委託を依頼したいタイミングで第1処理装置から送信された依頼情報を取得する。
【0028】
依頼情報は、図6を用いて後述するが、例えば、業務を依頼する事務所の事務所IDに関連付けて、プロジェクト情報、業務情報、納品物情報、時期情報、所望人材情報、役割情報、金額情報、依頼形態情報、依頼場所情報、依頼者情報などの情報を含む。
【0029】
抽出部114は、取得部113により取得された依頼情報、繁忙情報及び事務所関連情報に基づいて、業務委託を受託可能であり、所望の従業員に対応する従業員が所属する第2設計事務所(例えば情報処理装置20B)を抽出する。例えば、抽出部114は、依頼情報に含まれる依頼条件を満たす第2設計事務所を1又は複数抽出する。依頼条件とは、例えば、業務情報(例、工程)等が対応可能な設計事務所であり、また、所望の従業員が所属する設計事務所であり、さらに、繁忙情報に基づき、現在、業務委託を受託可能な設計事務所を抽出する。
【0030】
問合せ部115は、抽出部114により抽出された第2設計事務所が使用する第2処理装置に対し、依頼情報に含まれる業務委託の受託又は応募に関する問い合わせ情報を生成する。例えば、問合せ部115は、業務委託に関する案件の概要、業務内容、報酬内容、所望の従業員に合致する従業員名などを含む受託問合せ情報を生成する。
【0031】
出力部116は、ネットワーク通信インタフェース120を介して、問合せ部115により生成された受託問合せ情報を第2処理装置に出力する。
【0032】
以上の処理により、プロジェクトの少なくとも1部の業務委託を依頼する設計事務所と、この業務委託の内容に対応可能であり、所望の従業員が所属する設計事務所とのマッチングを行うことができる。その結果、開示のシステム1は、設計事務所などの組織におけるリソースの不足や余剰について適切に対応することが可能になる。例えば、設計事務所間でリソースをシェアリングすることで、急に訪れうる繁忙期や閑散期にも対応することが可能になる。
【0033】
また、業務委託を受託し、従業員を他の事務所にシェアした設計事務所が、契約期間中に急に忙しくなることもありうる。この場合、業務委託を受託した第2設計事務所が、今度は、業務委託を依頼する側になりうる。つまり、第2設計事務所が利用する第2処理装置が、リソース要求を情報処理装置10に送信する。リソース要求は、例えば依頼情報と同じ形式のリクエストであってもよいし、シェアリングしている従業員の返還リクエストであってもよい。
【0034】
情報処理装置10の取得部113は、ネットワーク通信インタフェース120を介して、第2処理装置から、従業員の補充に関するリソース要求を取得してもよい。例えばリソース要求は、主に2種類ある。1つは、第2設計事務所が新たにリクエストする業務委託の依頼要求であり、もう1つは、第1設計事務所にシェアしている従業員の返還要求である。
【0035】
(返還要求に対応するリソース要求)
抽出部114は、返還要求に対応するリソース要求に応じて、第1設計事務所からの依頼情報に含まれる業務委託を受託可能であり、所望の従業員に対応する従業員が所属する第3設計事務所を抽出する。例えば、抽出部114は、もう一度、第1設計事務所からの依頼情報に基づいて、第3設計事務所を抽出してもよい。また、抽出部114は、前回の抽出処理の結果(抽出リスト)を所定期間保持させておき、リソース要求の要求時点が前回の抽出時点から所定期間内であれば、このときの抽出リストを用いてもよい。具体例として、抽出部114は、前回抽出した抽出リストから、第2設計事務所以外の設計事務所を第3設計事務所として抽出してもよい。また、抽出リストの保持期間は、閾値となる期間が経過すると破棄されてもよい。
【0036】
以上の処理により、リソースをシェアした第2設計事務所のリソースが足りなくなった場合であっても、シェアした従業員の返還を可能にし、代替のリソースを有する第3設計事務所を第1設計事務所に提案することで、第1設計事務所及び第2設計事務所の業務に支障がでないようにするシステムを提供することができる。
【0037】
また、抽出部114により第3設計事務所が抽出される場合、問合せ部115は、第1設計事務所の業務委託を第3設計事務所に新たに委託可能か否かに関する問い合わせ情報を生成する。例えば、この問い合わせ情報は、第3設計事務所の情報を含み、第3設計事務所に切り替えて業務を委託してよいか否かを第1設計事務所に問い合わせる内容を含む。出力部116は、ネットワーク通信インタフェース120を介して、問い合わせ情報を第1処理装置に出力する。
【0038】
以上の処理により、システム側で抽出された新たな第3設計事務所に業務委託を変更してもよいか否かを、業務委託の依頼元の第1設計事務所に問い合わせることが可能になる。依頼元の第1設計事務所は、シェアしてもらっている従業員と同等の従業員を新たにシェアしてもらうことになり、業務を引き続き円滑に進めることが可能になる。
【0039】
(依頼情報に対応するリソース要求)
抽出部114は、第2設計事務所を依頼元とする業務委託の依頼情報に対応するリソース要求を取得し、このリソース要求に含まれる業務委託を受託可能であり、このリソース要求に含まれる所望の従業員に対応する従業員が所属する第3設計事務所を抽出する。例えば、抽出部114は、新たな依頼情報に基づいて、繁忙情報と事務所関連情報とを用いて第3設計事務所を抽出してもよい。
【0040】
以上の処理により、リソースをシェアした第2設計事務所のリソースが足りなくなった場合であっても、他のリソースのシェアを受けることで、第2設計事務所の業務に支障がでないようにするシステムを提供することができる。
【0041】
また、抽出部114により第3設計事務所が抽出される場合、問合せ部115は、リソース要求に含まれる業務委託を受託可能か否かに関する、第3設計事務所への受託問い合わせ情報を生成する。出力部116は、ネットワーク通信インタフェース120を介して、受託問い合わせ情報を第3設計事務所が使用する第3処理装置(例、情報処理装置20C)に出力する。
【0042】
以上の処理により、システム側で抽出された新たな第3設計事務所に対して業務委託を受託することが可能か否かを問い合わせることが可能になる。依頼元の第2設計事務所は、所望の従業員を他の設計事務所(例、第3設計事務所)からシェアしてもらうことになり、業務を円滑に遂行することが可能になる。
【0043】
(契約管理)
情報処理装置10の契約管理部117は、業務委託契約のひな型データの送信指示を受けると、ひな形データをメモリ130から取得し、ネットワーク通信インタフェース120を介して第1処理装置に送信する。送信指示は、第1処理装置又は第2処理装置から受信してもよく、情報処理装置10の管理者の操作により指示されてもよい。
【0044】
契約管理部117は、第1設計事務所と第2設計事務所と間で合意した業務委託契約のデータを取得し、ひな形からの修正部分を抽出して、必要に応じてひな型に修正部分を反映してもよい。
【0045】
(費用管理)
情報処理装置10の費用管理部118は、業務委託の依頼元の第1設計事務所から、所定金額の支払報告を受け付ける。契約管理部117は、支払報告を受けると、業務委託の報酬設定に基づいて所定金額を管理する。費用管理部118は、詳細は後述するが、業務委託に関する報酬についてエスクローによる管理処理を実行してもよい。
【0046】
この場合、出力部116は、業務委託を受託した第2設計事務所の第2処理装置に、所定金額の着金報告を出力する。第2設計事務所は、着金報告を受けて、役務の提供(従業員の派遣等)を開始してもよい。
【0047】
以上の処理により、第2設計事務所は、第3者に報酬が支払われて管理されることで、安心して役務を提供することができる。報酬の支払いは、役務を提供する従業員に直接的に行われるのではなく、設計事務所に行われ、従業員には間接的に対価の支払いが行われる。
【0048】
また、取得部113は、繁忙情報を順次取得することを含んでもよい。例えば、制御部112は、定期的に繁忙状況を各情報処理装置20に問い合わせ、取得部113は、その回答を含む繁忙情報を順次取得してもよい。また、各情報処理装置20が、繁忙状況が変わったタイミングで繁忙情報を情報処理装置10に送信してもよい。
【0049】
この場合、抽出部114は、最新の繁忙情報に基づいて、依頼情報にマッチングする第2設計事務所を抽出することを含んでもよい。
【0050】
以上の処理により、繁忙状況は突然変わり得るため、抽出部114は、各設計事務所の最新の繁忙情報を用いて抽出処理を実行することができる。なお、事務所関連情報についても従業員等は変わりうるため、取得部113は、繁忙情報と同様に、事務所関連情報を順次し、更新してもよい。
【0051】
また、問合せ部115は、業務委託の依頼元である第1設計事務所を匿名にした問い合わせ情報を生成してもよい。例えば、問合せ部115は、問い合せ情報を生成する際に、依頼元の設計事務所を、予め設定された所在地名(例、東京都内事務所など)や、架空の事務所(例、AAA事務所など)などに変換する。また、問合せ部115は、依頼元の事務所の匿名希望の有無に応じて、依頼元の事務所名を含めるか否かを決定してもよい。出力部116は、匿名の依頼元を含む問い合わせ情報を、ネットワーク通信インタフェース120を介して出力する。
【0052】
以上の処理により、依頼元のプライバシーを保護するとともに、業務委託の受託判断を公平に行わせることが可能になる。
【0053】
図3は、開示の一実施形態に係る情報処理装置20の一例を示す図である。情報処理装置20は、1つ又は複数のプロセッサ(例、CPU)210、1つ又は複数のネットワーク通信インタフェース220、メモリ230、ユーザインタフェース250、及びこれらの構成要素を相互接続するための1つ又は複数の通信バス270を含む。ユーザインタフェース250は、ディスプレイ、及び入力装置(キーボード及び/又はマウス、又は他の何らかのポインティングデバイス等)を含む。
【0054】
メモリ230は、例えば、DRAM、SRAM、他のランダムアクセス固体記憶装置などの高速ランダムアクセスメモリ(主記憶装置)である。また、メモリ230は、1つ又は複数の磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、又は他の不揮発性固体記憶装置などの不揮発性メモリ(補助記憶装置)でもよい。また、メモリ230は、プログラム等を記憶した、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記録媒体でもよい。また、メモリ230は、主記憶装置(メモリ)又は補助記憶装置(ストレージ)のいずれかでもよく、あるいは両方を備えてもよい。
【0055】
メモリ230は、情報処理システム1により用いられるデータやプログラムを記憶する。例えば、メモリ230は、情報処理システム1における携帯端末用のアプリケーションプログラムなどを記憶する。
【0056】
プロセッサ210は、メモリ230に記憶されるプログラムを実行することで、設計事務所におけるリソースシェアをクライアント側で制御する制御部212を構成する。例えば、制御部212は、ウェブブラウザ又はリソースシェアアプリケーションなどを含む。
【0057】
ウェブブラウザは、情報処理装置10により提供されるリソースシェアプラットフォームのウェブページの閲覧を可能にする。ウェブブラウザは、適宜ウェブページの表示、遷移をし、情報の提供、データの送受信等を行う。例えば、ウェブブラウザは、ウェブページを用いて、ユーザにより設定又は入力されたリソースシェアリングに関する情報を情報処理装置10に送信する。送信される情報は、例えば、設計事務所関連情報、繁忙情報、依頼情報などである。
【0058】
また、制御部212は、インストールされたクライアント用のリソースシェアアプリケーションの実行により、リソースシェアプラットフォームが提供する機能の実行を可能にしてもよい。制御部212は、本開示のリソースシェアをクライアント側で実行するため、出力部213、委託制御部214、取得部215を有する。
【0059】
出力部213は、ユーザインタフェース250を用いてユーザにより設定又は入力されたデータ等に基づく、事務所関連情報、繁忙情報、依頼情報などを、ネットワーク通信インタフェース220を介して情報処理装置10に出力する。また、情報処理装置10から問合せ情報が取得された場合、出力部213は、問い合わせ情報に対する回答情報を情報処理装置10に出力する。
【0060】
委託制御部214は、業務委託に関する処理を制御する。例えば、委託制御部214は、リソースシェアプラットフォームへの登録処理と、事務所関連情報、繁忙情報、及び依頼情報の設定処理と、契約関連処理と、費用関連処理とを制御する。
【0061】
リソースシェアプラットフォームへの登録処理は、本プラットフォームに参加するための登録情報の取得及び送信に関する処理を含む。設定処理は、事務所関連情報に含まれる各項目、繁忙情報に含まれる各項目又は依頼情報に含まれる各項目の取得及び送信に関する処理を含む。なお、事務所関連情報の設定処理は登録処理に含まれてもよい。契約関連処理は、業務委託契約のひな型データの受信、修正、及び送信に関する処理を含む。費用関連処理は、業務委託の報酬に関する支払又は受取に関する処理を含む。
【0062】
取得部215は、情報処理装置10から、受託に関する問合せ情報、リソース要求に関する問合せ情報、契約のひな型データ、報酬に関する報告情報などを、ネットワーク通信インタフェース220を介して取得する。
【0063】
<データ例>
図4は、本開示における事務所関連情報の一例を示す図である。図4に示す事務所関連情報は、登録された設計事務所の事務所IDに関連付けて、事務所情報、従業員情報、業務委託情報を含む。事務所情報は、例えば、代表建築家、設立年月日、所在地、資本金、建築士事務所、登録情報、対応可能業務、連絡先、従業員数、所属建築家数、過去に手がけた案件などの情報を含む。
【0064】
従業員情報は、例えば、所属する従業員(例、建築家)に関する情報であり、スキル(例、資格)、学歴、経歴、建築的な経験や実績の内容、人柄や性格の情報などの情報を含む。業務委託情報は、例えば、他事務所からの業務委託を受け付けるか否か、許容可能なの賃金体系、対応可能時期、対応可能な案件又は業務などの情報を含む。
【0065】
図5は、本開示における繁忙情報の一例を示す図である。図5に示す繁忙情報は、繁忙情報を送信した事務所の事務所IDに関連付けて、繁忙状況、経営状況、業務委託の可否、業務委託の依頼意向などの情報を含む。繁忙状況情報は、例えば、繁忙状況を示す多段階のスケールや、忙しい、忙しくないの2拓などである。経営状況情報は、例えば、今抱えている案件概要、今動いている案件の数、ボリューム、見込み収益、停止中の案件の数と概要、提案中の案件の数と概要、相談を受けている案件の数と概要、頓挫した案件などの情報を含む。
【0066】
業務委託可否情報は、例えば、今業務委託を受けられるか否か、何人/月のリソース空き状況があるか、リソース空き状況の見込み期間などの情報を含む。業務委託の依頼意向情報は、今依頼したいか否か、近々依頼したくなりそうか否か、どのような業務委託が可能か否か、どういうリソースが空いているかの提案を受けたいかなどの情報を含む。
【0067】
図6は、本開示における依頼情報の一例を示す図である。図6に示す依頼情報は、業務委託を依頼した事務所の事務所IDに関連付けて、プロジェクト情報、業務情報、納品物情報、時期情報、所望人材情報、役割情報、金額情報、依頼形態情報、依頼場所情報、依頼者情報などを含む。
【0068】
プロジェクト情報は、例えば、対象クライアント、建築やプロジェクトの目的、予算/案件金額規模、敷地の情報、敷地の位置情報、敷地の面積、敷地にかかる法令的な制約、周辺環境、地盤の状況などの情報を含む。
【0069】
業務情報は、例えば、依頼元との初回面談の内容(依頼元へのヒアリング、コンセプトの策定、現地調査/法令調査、平面図の作成、立体図の作成、ビジュアルイメージの作成、クライアントへのプレゼンテーション)、基本設計(次に記載のものから必要なもの:計画説明書、配置図、平面図、立面図、断面図、矩形図、外構・主要部分の展開図、建具表、建築(構造)又は構造計画説明書、仕様概要書、構造設計概要書、電気設備設計概要書、給排水衛生設備設計概要書、空調換気設備設計概要書、昇降機設備設計概要書、透視図、模型、工事費概算書、等)、実施設計(次に記載の業務範囲から必要なもの:意匠設計、構造設計、設備設計)、施工管理業務、その他必要となる業務内容などの情報を含む。
【0070】
納品物情報は、例えば、業務委託を受けた事務所が、具体的にどういった成果物を納品しなければならないかを示す情報である。時期情報は、例えば、どのような成果物がいつ必要になるかの納期に関する情報である。所望人材情報は、例えば、依頼元が求める人材像を示す情報であり、スキル、学歴、経歴、建築的な経験や実績の内容、人柄や性格の情報などを含む。
【0071】
役割情報は、例えば、依頼元が業務の中でどのような役割を求めるのかを示す情報であり、事務作業担当、ミドルマネジメント、対クライアントのコミュニケーション等の情報を含む。金額情報は、受注金額、想定される設計監理料(事務所収入)、業務委託に想定している金額感などの情報を含む。
【0072】
依頼形態情報は、例えば、作業スコープベースか否か、時間ベースか否かを含む情報である。依頼場所情報は、例えば、作業やアウトプットで滞在する必要がある場所と内容、リモートワークの可否などの情報を含む。依頼者情報は、例えば、依頼元の設計事務所についての情報(例、事務所概要、実績、建築思想、働き方や事務所の雰囲気、平均的な勤務時間など)、担当の建築家やチームメンバーについての情報(例、当該案件に関与する予定のメンバーの概要、それぞれの役割)などの情報を含む。
【0073】
<動作説明>
次に、情報処理システム1の業務委託に関する各動作について説明する。図7は、本開示の一実施形態に係る業務委託に関する処理の一例を示すシーケンス図である。図7に示す処理は、事務所関連情報の登録処理、繁忙情報の登録処理、業務委託のマッチング処理を含む。図7に示す例では、情報処理装置20Aが、業務委託を依頼する設計事務所Aが利用する第1処理装置とし、情報処理装置20Bが、業務委託にマッチングした設計事務所Bが利用する第2処理装置とする。
【0074】
(事務所関連情報の登録、更新処理)
ステップS102において、情報処理装置20Aの出力部213は、ユーザにより設定又は入力された事務所関連情報を情報処理装置10に対して出力する。
【0075】
ステップS104において、情報処理装置10の取得部113は、設計事務所Aの事務所関連情報を取得し、設計事務所Aを識別する事務所IDに関連付けて、事務所関連情報をメモリ130に登録する。なお、設計事務所Aについて二回目以降にメモリ130に事務所関連情報が記憶される場合、その処理は更新処理となる。
【0076】
ステップS106において、情報処理装置20Bの出力部213は、ユーザにより設定又は入力された事務所関連情報を情報処理装置10に対して出力する。
【0077】
ステップS108において、情報処理装置10の取得部113は、設計事務所Bの事務所関連情報を取得し、設計事務所Bを識別する事務所IDに関連付けて、事務所関連情報をメモリ130に登録する。なお、設計事務所Bについて二回目以降にメモリ130に事務所関連情報が記憶される場合、その処理は更新処理となる。なお、その他の各情報処理装置20から事務所関連情報が送信される場合、その処理はステップS102及びS104の処理と同様である。これにより、リソースシェアプラットフォームに対して各設計事務所に関連する情報を登録することができる。
【0078】
(繁忙情報の登録、更新処理)
ステップS202において、情報処理装置20Aの出力部213は、ユーザにより設定又は入力された繁忙情報を情報処理装置10に対して出力する。
【0079】
ステップS204において、情報処理装置10の取得部113は、設計事務所Aの繁忙情報を取得し、設計事務所Aを識別する事務所IDに関連付けて、繁忙情報をメモリ130に登録する。なお、設計事務所Aについて二回目以降にメモリ130に繁忙情報が記憶される場合、その処理は更新処理となる。
【0080】
ステップS206において、情報処理装置20Bの出力部213は、ユーザにより設定又は入力された繁忙情報を情報処理装置10に対して出力する。
【0081】
ステップS208において、情報処理装置10の取得部113は、設計事務所Bの繁忙情報を取得し、設計事務所Bを識別する事務所IDに関連付けて、繁忙情報をメモリ130に登録する。なお、設計事務所Bについて二回目以降にメモリ130に繁忙情報が記憶される場合、その処理は更新処理となる。なお、その他の各情報処理装置20から繁忙情報が送信される場合、その処理はステップS202及びS204の処理と同様である。これにより、リソースシェアプラットフォームに各設計事務所の繁忙状況を登録することができる。
【0082】
(業務委託のマッチング処理)
ステップS302において、情報処理装置20Aの出力部213は、ユーザにより設定又は入力された業務委託の依頼情報を情報処理装置10に対して出力する。
【0083】
ステップS304において、情報処理装置10の取得部113は、設計事務所Aからの依頼情報を取得する。情報処理装置10の抽出部114は、依頼情報、繁忙情報、及び事務所関連情報に基づいて、依頼情報に含まれる業務委託を受託可能であり、依頼情報に含まれる所望の従業員に対応する従業員が所属する設計事務所を抽出する。
【0084】
例えば、抽出部114は、依頼情報に含まれる時期情報から納期を特定し、繁忙情報を参照して、この納期までリソースを割り当てられそうな設計事務所を抽出する。また、抽出部114は、依頼情報に含まれる金額情報と、事務所関連情報の業務委託情報に含まれる賃金体系とに基づいて、業務委託の請負金額に対応可能な設計事務所を絞り込む。また、抽出部114は、依頼情報に含まれる所望人材情報、プロジェクト情報、業務情報、納品物情報、役割情報、依頼形態情報、依頼場所情報と、事務所関連情報に含まれる事務所情報、従業員情報とに基づいて、依頼情報の条件をみたす従業員(例、建築家)や事務所をさらに絞り込む。ここでは、最終的に絞り込まれた1又は複数の設計事務所が設計事務所Bとする。なお、抽出部114において、設計事務所の絞り込みの順序は問わない。
【0085】
ステップS306において、情報処理装置10の問合せ部115は、業務委託の受託に関する問い合わせ情報を生成する。問い合わせ情報には、受託や応募の判断ができるようにまずは定性的な情報である、依頼情報に含まれるプロジェクト情報と業務情報とが少なくとも含まれる。このとき、依頼者の情報は匿名にされてもよい。
【0086】
ステップS308において、情報処理装置10の出力部116は、抽出部114により抽出された1又は複数の設計事務所Bが利用する情報処理装置20Bに、問い合わせ情報を送信する。
【0087】
ステップS310において、情報処理装置20Bの委託制御部214は、問い合わせ情報を画面に表示するよう制御し、この業務委託を受託又は応募するか否かの操作を受け付ける。情報処理装置20Bの出力部213は、受け付けられた受託又は応募の回答を含む回答情報を情報処理装置10に送信する。
【0088】
以上、本開示のシステム1により、プロジェクトにおける複数工程の中の任意の工程に対してリソースをシェアすることが可能になり、その結果、繁忙期がよみづらい、人員を採用しづらいなどの設計事務所に特有な課題を解決することが可能になる。また、リソースシェアプラットフォームを提供する提供者が、業務委託を受託又は応募した設計事務所Bと、業務委託を依頼した設計事務所Aとの交渉に参加し、円滑な交渉を手助けしてもよい。
【0089】
図8は、本開示の一実施形態に係る依頼側と受託側の合意後に関する処理の一例を示すシーケンス図である。図8に示す処理には、契約書の締結に関する処理と、対価の支払いに関する処理とが含まれる。
【0090】
(契約締結処理)
ステップS402において、情報処理装置10の契約管理部117は、業務委託契約の契約書類に関するデータを、依頼元の設計事務所Aが利用する情報処理装置Aに送信する。契約書類に関するデータには、例えば、契約書のひな型データが含まれる。
【0091】
ステップS404において、情報処理装置20Aの取得部215は、契約書類に関するデータを取得し、委託制御部214は、取得したデータを画面に表示するよう制御する。このとき、委託制御部214は、契約書類に関するデータを確認、修正可能な表示形態で画面に表示する。例えば、業務委託の依頼元のユーザは、契約書のひな型データを確認し、修正したとする。
【0092】
ステップS406において、情報処理装置20Aの出力部213は、修正されたひな型データを含む契約書類に関するデータを、情報処理装置20Bに送信する。
【0093】
ステップS408において、情報処理装置20Bの取得部215は、契約書類に関するデータを取得し、委託制御部214は、取得したデータを画面に表示するよう制御する。委託制御部214は、委託制御部214は、契約書類に関するデータを確認、修正可能な表示形態で画面に表示する。例えば、業務委託を受託したユーザは、契約書のひな型データを確認し、修正したとする。
【0094】
ステップS410において、情報処理装置20Bの出力部213は、修正されたひな型データを含む契約書類に関するデータを、情報処理装置20Aに送信する。ここで、修正後の契約種類に基づいて、設計事務所Aと設計事務所Bとの間で契約が締結されたとする。なお、契約書類に関する確認、修正は、契約が締結されるまで繰り返される。
【0095】
ステップS412において、情報処理装置20Aの出力部213は、契約締結通知を情報処理装置10に送信する。例えば、契約締結通知は、リソースシェアアプリケーションによる契約締結ボタン、又はウェブページにおいて提供されるリソースシェアプラットフォーム上の契約締結ボタン等が操作されることで、送信される。
【0096】
ステップS414において、情報処理装置20Bの出力部213は、契約締結通知を情報処理装置10に送信する。なお、契約締結通知は、情報処理装置20A及び情報処理装置20Bのいずれか一方からの通知だけでもよい。
【0097】
(対価支払処理)
契約締結が完了すると、業務委託の依頼元が、対価に対応する所定金額を、リソースシェアプラットフォームの提供者が指定する所定の口座に支払う。ステップS502において、情報処理装置20Aの出力部213は、所定金額の支払が完了したことを示す支払報告を情報処理装置10に送信する。
【0098】
ステップS504において、情報処理装置10の費用管理部118は、業務委託に関して支払われた所定金額を管理する。これにより、リソースシェアプラットフォームの提供者がエスクロー的な役割を果たすことができ、受託側に安心感を与えることができる。
【0099】
ステップS506において、情報処理装置10の出力部116は、所定金額の支払が行われたことを示す着金報告を情報処理装置20Bに送信する。これにより、受託側は、業務委託における役務の提供を開始する。
【0100】
業務委託の役務提供が無事に完了した場合、ステップS508において、依頼元の情報処理装置20Aの出力部213は、業務完了報告を情報処理装置10に送信する。
【0101】
ステップS510において、情報処理装置10の費用管理部118は、業務委託契約の報酬設定に基づき対価の支払い処理を実行する。例えば、費用管理部118は、対価を設計事務所Bが指定する所定口座に支払う処理を実行する。
【0102】
ステップS512において、情報処理装置10の出力部116は、対価の支払いが完了したことを示す対価支払い報告を情報処理装置20Bに送信する。これにより、役務提供が完了した場合の業務委託に関する処理が完了する。
【0103】
また、業務委託の役務提供が完了しなかった場合、又は不備があった場合、ステップS514において、依頼元の情報処理装置20Aの出力部213は、中断又は不備報告を情報処理装置10に送信する。
【0104】
ステップS516において、情報処理装置10の費用管理部118は、業務委託契約の報酬設定基づき、中断又は不備がある場合の一部対価の支払い処理を実行する。例えば、費用管理部118は、一部対価を設計事務所Bが指定する所定口座に支払う処理を実行し、所定金額と一部対価との差額を設計事務所Aが指定する所定口座に支払う処理を実行する。
【0105】
ステップS518において、情報処理装置10の出力部116は、一部対価の支払いが完了したことを示す一部対価支払い報告を情報処理装置20Bに送信する。
【0106】
ステップS520において、情報処理装置10の出力部116は、差額の支払いが完了したことを示す差額払い戻し報告を情報処理装置20Aに送信する。これにより、役務提供が中断又は不備がある場合の業務委託に関する処理が完了する。
【0107】
図9は、本開示の一実施形態に係る受託側のリソース不足に関する処理の一例を示すシーケンス図である。図9に示す処理は、例えば、受託側が、契約期間中に、予期していなかった案件を受注して、自社のリソースが足りなくなるケースの時に実行される。このとき、業務委託を解消して、依頼元で働いている従業員の返還を希望するか、他事務所からリソースをシェアしてもらうかのいずれかが考えられる。
【0108】
ステップS602において、業務委託の受託側の情報処理装置20Bの出力部213は、リソース要求を情報処理装置10に送信する。リソース要求は、例えば、他の設計事務所にシェアリング中の従業員の返還要求、又は、リソースのシェアを求める依頼情報に対応する依頼要求を含む。
【0109】
ステップS604において、情報処理装置10の抽出部114は、リソース要求に応じた抽出処理を実行する。例えば、リソース要求が返還要求の場合、抽出部114は、設計事務所Aの依頼情報に基づいて、現時点で対応可能な従業員が所属する設計事務所を抽出する。また、リソース要求が依頼要求の場合、抽出部114は、設計事務所Bの依頼要求の依頼情報に基づいて、依頼情報に含まれる条件を満たす設計事務所を抽出する。例えば、設計事務所Cが、抽出部114により抽出されたとする。
【0110】
ステップS606において、情報処理装置10の問合せ部115は、リソース要求に応じた問い合わせ情報を生成する。例えば、リソース要求が返還要求の場合、問合せ部115は、設計事務所Aに対しての、業務委託を設計事務所Cに切り替えることが可能か否かに関する問い合わせ情報を生成する。また、リソース要求が依頼要求の場合、問合せ部115は、設計事務所Cに対しての、依頼要求の依頼情報に含まれる業務委託を受託可能か否かに関する問い合わせ情報を生成する。
【0111】
リソース要求が返還要求の場合、ステップS608において、情報処理装置10の出力部116は、問合せ部115により生成された問い合わせ情報を、設計事務所Aが利用する情報処理装置20Aに送信する。
【0112】
ステップS610において、情報処理装置20Aの委託制御部214は、問い合わせ情報を画面に表示するよう制御し、この業務委託を設計事務所Cに途中で変更するか否かの操作を受け付ける。情報処理装置20Aの出力部213は、受け付けられた変更の回答を含む回答情報を情報処理装置10に送信する。
【0113】
回答情報が変更可能を示す場合、情報処理装置10は、業務委託を設計事務所Bから設計事務所Cに切り替える処理を実行する。例えば、業務委託の契約締結処理や、一部の対価を設計事務所Bに支払う処理が実行される。また、業務完了時には、差額が設計事務所Cに支払われる。
【0114】
リソース要求が依頼要求の場合、ステップS612において、情報処理装置10の出力部116は、問合せ部115により生成された問い合わせ情報を、設計事務所Cが利用する情報処理装置20Cに送信する。
【0115】
ステップS614において、情報処理装置20Cの委託制御部214は、問い合わせ情報を画面に表示するよう制御し、設計事務所Bからの業務委託を受託又は応募するか否かの操作を受け付ける。情報処理装置20Aの出力部213は、受け付けられた受託又は応募の回答を含む回答情報を情報処理装置10に送信する。
【0116】
回答情報が受託又は応募を示す場合、情報処理装置10は、業務委託の締結処理、対価の支払いに関する処理を実行する。例えば、図8に示すS402~S412と、S502~S520との処理において、依頼側が設計事務所Bとし、受託側が設計事務所Cとして同様の処理が実行される。
【0117】
<第2実施形態>
第1実施形態では、建築家が所属する設計事務所を例に挙げて説明したが、第2実施形態では、設計事務所に限らず、1又は複数の従業員が所属する組織においても本開示の技術は適用可能である。
【0118】
この場合、委託される業務は特に制限されないが、長い期間において遂行されるプロジェクトであって、複数の工程に分かれているプロジェクト(例えばシステム開発など)の一部が委託される場合が好適である。また、業務の繁忙期の見通しを立てることが難しく、従業員を容易に雇うことが難しい組織(例えば、有資格者が所属する組織など)にも、本開示の技術は好適に適用されうる。
【0119】
以上、本開示の一実施形態について詳述したが、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。例えば、本開示は、各情報処理装置10、20が実行する処理について、一部の処理を、他の情報処理装置に移行したり、複数の情報処理装置を適宜統合したりしてもよい。また、報酬設定については以下のような報酬設定もあり得る。
【0120】
(運命共同体に基づく報酬設定)
例えば、報酬設定Aは、業務委託の依頼側に売り上げが生じなかったら(案件が頓挫したら)、受託側の業務委託対価もゼロになるという報酬設定である。この場合、最低保証金額を別途設定することもあり得る。例えば、もし案件が頓挫した場合、受託側は、業務委託費用の満額を受け取ることはできないが、10万円の最低保証金額を受け取ることができる。
【0121】
(業務委託報酬が変動する仕組み)
例えば、報酬設定Bは、受託側の業務委託報酬は、依頼側の売上に連動して(例えば 20%など)として設定する。
メリット1:依頼側が、業務委託を依頼するハードルが大きく下がる。
メリット2:受託側の責任感が増し、インセンティブの構造として仕事の精度が上がる。
単に業務をこなせば対価がもらえるわけではなく、案件全体の成否と自分の対価が連動しているため、受託側の達成感やモチベーションも上がる。この場合でも、エスクローの利用は一定の価値がある。最終的な支払い金額が未定でも、所定の金額を依頼側が事前にエスクローに振り込んでおくことで、対価の未納を防ぐことができる。
【0122】
(最低保証を管理者が負担する仕組み)
報酬設定Cは、報酬設定Aの最低保証金額を、依頼側ではなくリソースシェアプラットフォームの管理者が支払う。
メリット:依頼側の負担がなくなり、業務委託の募集・依頼がよりしやすくなる。
以上の報酬設定AからCのいずれかが、費用管理部118により選択又は設定され、管理される。また、費用管理部118は、複数の報酬設定の中から1つの報酬設定が設定された場合、依頼情報に関連付けて、報酬設定を識別する報酬識別情報を記憶させてもよい。これにより、依頼側は、複数の報酬設定の中から自組織に合う報酬設定を選択することができるようになる。
【0123】
また、業務委託をしたプロジェクトが完了した場合、制御部112は、プロジェクトに関する情報(例えば建物名)を、依頼元の事務所の事務所関連情報に含まれる過去に手がけた案件に登録し、公開してもよい。なお、依頼元と受託側とで事前合意がなされていれば、制御部112は、依頼元と受託側の双方の事務所関連情報に含まれる過去に手がけた案件に、プロジェクトに関する情報を登録し、公開してもよい。
【符号の説明】
【0124】
1…情報処理システム、10、20…情報処理装置、110…プロセッサ、112…制御部、113…取得部、114…抽出部、115…問合せ部、116…出力部、117…契約管理部、118…費用管理部、130…メモリ、210…プロセッサ、230…メモリ、212…制御部、213…出力部、214…委託制御部、215…取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9