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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023738
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6471 20110101AFI20230209BHJP
   H01R 13/6581 20110101ALI20230209BHJP
【FI】
H01R13/6471
H01R13/6581
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129534
(22)【出願日】2021-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】金子 展丈
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FB02
5E021FB11
5E021FC40
5E021LA06
5E021LA10
5E021LA15
5E021LA21
(57)【要約】
【課題】信号の伝送品質の低下を防止する。
【解決手段】プラグコネクタ10は、一対の同軸ケーブル90の信号導体に対して個別に接続すると共に、それぞれが同軸ケーブル90の延びる方向に沿って延び同軸ケーブルの信号導体に接続する接続部と、相手コネクタの信号コンタクトに接触するコンタクト接触部とを有する、一対の信号コンタクトを複数有する。プラグコネクタ10は、導電性のグランドコンタクトと、複数の一対の信号コンタクトと、グランドコンタクトを保持する絶縁ハウジングと、絶縁ハウジングの少なくとも一部を覆う導電性のシェルと、を含む。隣接する2つの一対の信号コンタクトの間に、グランドコンタクトとシェルとによって壁部20が形成される。壁部20ではグランドコンタクトとシェルとが電気的に接続される。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の方向に延びる一対の同軸ケーブルの信号導体に対して個別に接続すると共に、それぞれが、前記同軸ケーブルの延びる方向に沿って延び、前記同軸ケーブルの信号導体に接続する接続部と、相手コネクタの信号コンタクトに接触するコンタクト接触部とを有する、一対の信号コンタクトを複数有するコネクタであって、
前記一対の同軸ケーブルの外部導体に接続するグランド接続部と、前記相手コネクタのグランドコンタクトに接触するグランド接触部とを有する、導電性のグランドコンタクトと、
前記複数の一対の信号コンタクトと、前記グランドコンタクトを保持する絶縁ハウジングと、
前記絶縁ハウジングの少なくとも一部を覆う導電性のシェルと、
を含み、
前記複数の一対の信号コンタクトは、前記同軸ケーブルの延びる方向に対して交差する方向に配列し、
隣接する2つの前記一対の信号コンタクトの間に、前記グランドコンタクトと前記シェルとによって、壁部が形成され、前記壁部において前記グランドコンタクトと前記シェルとが電気的に接続される、コネクタ。
【請求項2】
前記壁部は、前記同軸ケーブルの延びる方向に沿った長さが、前記信号コンタクトの長さ以上であり、前記複数の一対の信号コンタクトの配列方向から見たときに、前記壁部は、前記信号コンタクトの全体と重なるように配置される、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記複数の一対の信号コンタクトの配列方向から見たときに、前記壁部は、前記同軸ケーブルの延びる方向に対して交差する方向において、前記信号コンタクトよりも大きい、請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記グランドコンタクトと前記シェルとは、前記同軸ケーブルの延びる方向に沿って延びる面における面接触によって、電気的に接続される、請求項1~3のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記複数の一対の信号コンタクトの配列方向から見たときに、前記信号コンタクトと少なくとも一部が重なる位置に前記グランドコンタクトが設けられ、
前記複数の一対の信号コンタクトの配列方向に沿った前記壁部を構成する前記シェルの幅は、前記壁部を構成するグランドコンタクトの幅よりも大きい、請求項1~4のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記シェルは、一対の主面のうち、前記グランドコンタクトと電気的に接続する面に対向する面において、前記相手コネクタのシェルと電気的に接続する、請求項1~5のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記グランドコンタクト、前記シェル、及び前記信号コンタクトは、前記絶縁ハウジングによって一体的に設けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板に接続された、一列に配列するコンタクトを有する電気コネクタにおいて、共振によるクロストークの増大を防止することを目的として伝送される信号毎にコンタクトを仕切る部分に導電性の壁部を設ける構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-175566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、高速伝送に適合したコネクタとして、信号の伝送品質の低下を抑制することが求められていることから、さらなる改良が求められている。
【0005】
本開示は、信号の伝送品質の低下を防止することが可能なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一形態に係るコネクタは、同一の方向に延びる一対の同軸ケーブルの信号導体に対して個別に接続すると共に、それぞれが、前記同軸ケーブルの延びる方向に沿って延び、前記同軸ケーブルの信号導体に接続する接続部と、相手コネクタの信号コンタクトに接触するコンタクト接触部とを有する、一対の信号コンタクトを複数有するコネクタであって、前記一対の同軸ケーブルの外部導体に接続するグランド接続部と、前記相手コネクタのグランドコンタクトに接触するグランド接触部とを有する、導電性のグランドコンタクトと、前記複数の一対の信号コンタクトと、前記グランドコンタクトを保持する絶縁ハウジングと、前記絶縁ハウジングの少なくとも一部を覆う導電性のシェルと、を含み、前記複数の一対の信号コンタクトは、前記同軸ケーブルの延びる方向に対して交差する方向に配列し、隣接する2つの前記一対の信号コンタクトの間に、前記グランドコンタクトと前記シェルとによって、壁部が形成され、前記壁部において前記グランドコンタクトと前記シェルとが電気的に接続される。
【0007】
上記のコネクタによれば、隣接する一対の信号コンタクトの間に、電気的に接続されたグランドコンタクトとシェルとによって壁部が形成される。グランドコンタクト自体を壁部として利用するため、信号コンタクトの間に壁部を容易に配置することができる。また、同軸ケーブルの外部導体が接続されるグランドコンタクトと、グランドコンタクトとの接続によって同電位とされたシェルとによって壁部が形成されるため、壁部の電位がグランド電位とされる。このような壁部によって一対の信号コンタクト間が区切られるため、クロストークが抑制され、信号の伝送品質の低下を抑制することができる。
【0008】
前記壁部は、前記同軸ケーブルの延びる方向に沿った長さが、前記信号コンタクトの長さ以上であり、前記複数の一対の信号コンタクトの配列方向から見たときに、前記壁部は、前記信号コンタクトの全体と重なるように配置される態様であってもよい。
【0009】
壁部を上記の構成とすることで、同軸ケーブルの延びる方向に沿ったどの位置においても信号コンタクト同士が壁部によって区切られるので、クロストークがさらに抑制され、信号の伝送品質の低下を抑制することができる。
【0010】
前記複数の一対の信号コンタクトの配列方向から見たときに、前記壁部は、前記同軸ケーブルの延びる方向に対して交差する方向において、前記信号コンタクトよりも大きい態様であってもよい。
【0011】
壁部を上記の構成とすることで、同軸ケーブルの延びる方向に対して交差する方向に沿ったどの位置においても信号コンタクト同士が壁部によって区切られるので、クロストークがさらに抑制され、信号の伝送品質の低下を抑制することができる。
【0012】
前記グランドコンタクトと前記シェルとは、前記同軸ケーブルの延びる方向に沿って延びる面における面接触によって、電気的に接続される態様であってもよい。
【0013】
壁部を上記の構成とすることで、グランドコンタクトとシェルとの接続が面接触によってなされるので、接続が安定した状態で両者の電位を等しくすることができる。また、壁部としては接触面が形成されることによって信号コンタクト同士の間に壁部が形成されない領域を減らすことができるため、クロストークがさらに抑制され、信号の伝送品質の低下を抑制することができる。
【0014】
前記複数の一対の信号コンタクトの配列方向から見たときに、前記信号コンタクトと少なくとも一部が重なる位置に前記グランドコンタクトが設けられ、前記複数の一対の信号コンタクトの配列方向に沿った前記壁部を構成する前記シェルの幅は、前記壁部を構成するグランドコンタクトの幅よりも大きい態様であってもよい。
【0015】
壁部を上記の構成とすることで、信号コンタクト同士の間はグランドコンタクトによって区切られると共に、グランドコンタクトよりも幅が大きいシェルが壁部を構成することで、信号の回り込みも効果的に防がれる。その結果、クロストークの発生がさらに抑制される。
【0016】
前記シェルは、一対の主面のうち、前記グランドコンタクトと電気的に接続する面に対向する面において、前記相手コネクタのシェルと電気的に接続する態様であってもよい。
【0017】
上記のように、シェルが相手コネクタのシェルとも電気的に接続する構成とすることで、相手コネクタのシェルもグランド電位とすることができ、信号を伝送する導体の周囲に想定外の電位差が形成されることによる信号の伝送品質の低下が防がれる。
【0018】
前記グランドコンタクト、前記シェル、及び前記信号コンタクトは、前記絶縁ハウジングによって一体的に設けられる態様であってもよい。
【0019】
上記の構成とした場合、グランドコンタクト、シェル、及び信号コンタクトの位置関係を、絶縁ハウジングによって適切に保持することができる。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、信号の伝送品質の低下を防止することが可能なコネクタが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、コネクタ装置の一例を示す斜視図である。
図2図2は、プラグコネクタの構成を示す斜視図である。
図3図3(a)は、プラグコネクタの平面図であり、図3(b)は、プラグコネクタの底面図である。
図4図4(a)は、図3(a)に示すプラグコネクタのIVA-IVA矢視図であり、図4(b)は、IVB-IVB矢視図である。
図5図5(a)は、プラグコネクタの一部を示す斜視図であり、図5(b)は、図5(a)の一部の拡大図である。
図6図6(a),(b)は、リセプタクルネクタの斜視図である。
図7図7(a),(b)は、リセプタクルコネクタを説明する図であり、それぞれ図4(a),(b)に対応する図である。
図8図8(a),(b)は、リセプタクルコネクタとプラグコネクタとの嵌合状態を説明する図であり、それぞれ図4(a),(b)に対応する図である。
図9図9は、変形例に係るコネクタの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に説明される本開示に係る実施形態について説明するが、本開示は以下の内容に限定されるべきではない。以下の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】
[コネクタ装置の概要]
図1を参照して、コネクタ装置の概要について説明する。図1に示すように、電気コネクタの一種であるコネクタ装置1は、プラグコネクタ10と、リセプタクルコネクタ30(相手方コネクタ)と、を備える。また、プラグコネクタ10は、プラグコネクタ10及びリセプタクルコネクタ30の嵌合状態を保持するロック部材50をさらに備える。
【0024】
プラグコネクタ10は、同軸ケーブル90の端部に取り付けられ、同軸ケーブル90に電気的に接続されている。リセプタクルコネクタ30は、回路基板70に取り付けられ、回路基板70に電気的に接続されている。
【0025】
プラグコネクタ10及びリセプタクルコネクタ30は、回路基板70の主面70s(例えば、XY平面)に沿って延びる一の方向(例えば、X軸方向)に沿って互いに嵌合及び抜去可能に構成されている。ロック部材50は、プラグコネクタ10とリセプタクルコネクタ30とが嵌合した嵌合状態を保持するように構成されている。プラグコネクタ10及びリセプタクルコネクタ30の嵌合状態において、回路基板70の主面70sに形成されている導電路(例えば配線であって、図示を省略する。)と同軸ケーブル90とが電気的に接続される。このように、コネクタ装置1は、当該導電路と電気ケーブルとを電気的且つ物理的に接続するための装置である。
【0026】
回路基板70は、電子回路や電子部品を搭載する各種の基板であり、例えばプリント配線基板またはフレキシブルプリント基板等である。回路基板70は、主面70s上にリセプタクルコネクタ30をハンダ接続等により実装している。
【0027】
複数の同軸ケーブル90は、サーバ装置等の電子機器に内蔵される各種の回路基板間で信号等を伝送するために用いられる配線である。同軸ケーブル90は、プラグコネクタ10及びリセプタクルコネクタ30の嵌合状態において、一の方向(例えばX軸方向)に沿って延びている。
【0028】
コネクタ装置1では、2本の同軸ケーブル90の組である一対の同軸ケーブル90がプラグコネクタ10の長手方向(Y軸方向)に並んで複数配置される。一対の同軸ケーブル90は、プラグコネクタ10の長手方向に並んで配置された2本の同軸ケーブル90によって形成される。一対の同軸ケーブル90は、差動信号の伝送を行う。一対の同軸ケーブル90は、プラグコネクタ10の長手方向に沿って、予め設定された所定間隔を設けて配置される。
【0029】
なお、同軸ケーブル90は、線状に延びる金属線(例えば銅線)からなる内部導体91(信号導体)と、内部導体91の周面を覆う絶縁体92と、円筒状を呈する金属編組線からなり且つ絶縁体92の周面を覆う外部導体93と、外部導体93の周面を覆う保護被膜94とを含む(図4(a)参照)。
【0030】
以下の実施形態では、プラグコネクタ10の短手方向がX軸方向であり、プラグコネクタ10の長手方向がY軸方向であり、これらに直交する上下方向がZ軸方向に沿うものとして説明する。X軸正方向は、リセプタクルコネクタ30に対するプラグコネクタ10の差し込み方向であり、X軸負方向は、リセプタクルコネクタ30に対するプラグコネクタ10の抜去方向である。なお、X軸正方向を「前方」と称し、X軸負方向を「後方」と称する場合がある。
【0031】
[プラグコネクタ]
次に、図2図6を参照し、プラグコネクタ10について詳細に説明する。なお、図4では、ロック部材50の位置を移動(回動)した状態を示している。
【0032】
プラグコネクタ10は、本体部分が所定の方向(Y軸方向)に沿って延びる長尺状のコネクタで、相手コネクタであるリセプタクルコネクタ30に嵌合するように構成され、且つ、同軸ケーブル90が接続されたコネクタである。図2、及び図4(a),(b)に示されるように、プラグコネクタ10は、ハウジング11(絶縁ハウジング)と、信号コンタクト部材12(信号コンタクト)と、第1シェル部材13(シェル)と、第2シェル部材14(シェル)と、第1グランドバー15と、第2グランドバー16と、グランドコンタクト部材17(グランドコンタクト)と、を含む。
【0033】
ハウジング11は、樹脂を含んだ絶縁材料で構成されており、複数の信号コンタクト部材12及びグランドコンタクト部材17を保持する。図2図3(a),(b)等に示されるように、例えばハウジング11は、本体部11aと、先端部11bと、を含む。本体部11aは、Y軸方向に沿って延び、同軸ケーブル90の内部導体91の先端と対向する位置に主要部分が設けられた状態で、同軸ケーブル90を支持する。
【0034】
なお、本体部11aの両端には、Y軸方向の外方に張り出した張出部11xが設けられている(図3(a)及び図3(b)参照)。張出部11xは、例えば、図3(b)に示されるように、プラグコネクタ10に取り付けられるロック部材50を後述する支持部13bと支持部14cと共に支持する部分として機能する。
【0035】
先端部11bは本体部11aの一端(同軸ケーブル90が挿入された端部とは逆の端部)からX軸方向に突出している。先端部11bは、X軸方向に延びる信号コンタクト部材12及びグランドコンタクト部材17を保持している。また、先端部11bは、信号コンタクト部材12及びグランドコンタクト部材17と共にプラグコネクタ10の凸部Wを構成している。そのため、先端部11bの厚さ(Z軸方向の長さ)は、後述のリセプタクルコネクタ30の凹部Vの高さ(Z軸方向の長さ)に対応している。図8に示されるように、プラグコネクタ10がリセプタクルコネクタ30と嵌合した状態においては、プラグコネクタ10の先端部11bに取り付けられた信号コンタクト部材12と、リセプタクルコネクタ30の凹部Vから露出した信号コンタクト部材33とが接触することで、例えば、信号回路の一部を構成する。
【0036】
ハウジング11の上方には、図3(a)に示すように、第1シェル部材13が設けられる。また、ハウジング11の下方には、図3(b)に示すように、第2シェル部材14が設けられる。ハウジング11と第2シェル部材14とは一体的に形成され得る。
【0037】
信号コンタクト部材12は、ハウジング11の先端部11bの上面に取り付けられる。信号コンタクト部材12は、一対の同軸ケーブル90に対応する形で一対の信号コンタクト部材12がプラグコネクタ10の長手方向(Y軸方向)に沿って露出するように設けられる。一対の信号コンタクト部材12は、プラグコネクタ10の長手方向に並んで配置された2本の信号コンタクト部材12である。
【0038】
一対の信号コンタクト部材12は、プラグコネクタ10の長手方向(Y軸方向)に一対の同軸ケーブル90と同様に、プラグコネクタ10の長手方向に沿って、予め設定された所定間隔を設けて配置される。
【0039】
信号コンタクト部材12は、導電性の金属部材によって形成される。信号コンタクト部材12は、ハウジング11の本体部11aから先端部11bにかけてプラグコネクタ10の短手方向(X軸方向)に沿って形成される。
【0040】
信号コンタクト部材12は、図4(a)に示すように、同軸ケーブル90の内部導体91と接触し、電気的に接続する。また、信号コンタクト部材12は、図7(a)に示すように、嵌合時はリセプタクルコネクタ30の信号コンタクト部材33と接触し、電気的に接続する。つまり、信号コンタクト部材12は、コンタクト接触部としての機能を有する。
【0041】
第1シェル部材13は、導電性の金属部材によって形成され、図3(a)、図4(a)等に示すように、ハウジング11の上方を覆うように装着される。第1シェル部材13は、図2及び図3(a)に示すように、上壁部13aと、プラグコネクタ10の長手方向(Y軸方向)の両端に支持部13bを有する。支持部13bは、下方が開口する略U字状とされる。支持部13bは、後述のロック部材50の軸受部分となる第2シェル部材14の支持部14cを覆うように形成される。
【0042】
また、上壁部13aは、図3(a),(b)に示すように、ハウジング11よりも後方で、第1グランドバー15と接触し、第1グランドバー15を介して同軸ケーブル90の外部導体93と電気的に接続する。このように、第1シェル部材13は、同軸ケーブル90の外部導体93と電気的に接続する。
【0043】
第2シェル部材14は、導電性の金属部材によって形成され、図3(b)及び図4(b)に示すように、ハウジング11と一体的に形成される。第2シェル部材14は、図3(b)に示すように、下壁部14aと、グランドコンタクト支持部14bと、支持部14cとを有する。
【0044】
第2シェル部材14の下壁部14aは、図3(b)及び図4(b)に示すように、ハウジング11の下表面に露出する。また、下壁部14aは、リセプタクルコネクタ30との嵌合時は、リセプタクルコネクタ30の第2シェル部材35と接触し、リセプタクルコネクタ30の第2シェル部材35と電気的に接続する。
【0045】
また、下壁部14aは、図4(a),(b)に示すように、ハウジング11よりも後方で、第2グランドバー16と接触し、第2グランドバー16を介して同軸ケーブル90の外部導体93と電気的に接続する。このように、第2シェル部材14は、同軸ケーブル90の外部導体93と電気的に接続する。
【0046】
グランドコンタクト支持部14bは、下壁部14aからプラグコネクタ10の短手方向(X軸方向)に向けて延びるように形成される。グランドコンタクト支持部14bは、プラグコネクタ10の長手方向に沿って、予め設定された所定間隔を設けて配置される。また、グランドコンタクト支持部14bは、隣接する一対の信号コンタクト部材12の間において、信号コンタクト部材12と同じ方向(X軸方向)に延びるように配置されている。なお、グランドコンタクト支持部14bは、グランドコンタクト部材17と接触し、例えば超音波接続、あるいははんだ接合されてもよい。これにより、グランドコンタクト支持部14bは、グランドフィンガー15bと電気的に接続する。
【0047】
なお、第2シェル部材14とグランドコンタクト部材17とをハウジング11と一体的に形成する工程の前に、第2シェル部材14とグランドコンタクト部材17とを予め電気的に接続することによって、確実な接続が可能となる。
【0048】
第1シェル部材13及び第2シェル部材14は、プラグコネクタ10の内部に形成される信号伝達経路を外方から覆うことにより電磁遮断を行うシール部材として装着される。
【0049】
支持部14cは、図2図3(b)に示すように、プラグコネクタ10の長手方向(Y軸方向)において、下壁部14aからさらに突出するように設けられる。支持部14cは、上方が開口する略U字状に形成される。支持部14cは、ロック部材50を回動可能に支持する軸受け部として機能する。なお、第1シェル部材13の上壁部13aと下壁部14aの一部と共に、支持部13bと第2シェル部材14の支持部14cとが接触していることにより、第1シェル部材13及び第2シェル部材14とが電気的に接続される。
【0050】
第1グランドバー15は、導電性の金属部材で形成され、図4(b)、図5(a)、(b)に示すように、本体部15aと、グランドフィンガー15bとを有する。第1グランドバー15の本体部15aは、図5(a)に示すように、プラグコネクタ10の長手方向(Y軸方向)に沿って延びるように形成される。本体部15aは、プラグコネクタ10の長手方向に沿って配置された複数の同軸ケーブル90の外部導体93と接触し、複数の同軸ケーブル90の外部導体93と電気的に接続する。すなわち、第1グランドバー15は、複数の同軸ケーブル90の外部導体93と電気的に接続する。
【0051】
グランドフィンガー15bは、図4(b)及び図5(a)、(b)に示すように、本体部15aの前端から前方に向けて突出する。また、グランドフィンガー15bは、斜め下方に向けて突出する。グランドフィンガー15bの前端は、後述のグランドコンタクト部材17とハンダ接合される。これにより、グランドフィンガー15bは、グランドコンタクト部材17と電気的に接続される。このように、プラグコネクタ10では、第1グランドバー15及びグランドコンタクト部材17が、同軸ケーブル90の外部導体93と接続されるグランドコンタクトとして機能する。そして、第1グランドバー15がグランド接続部として機能し、グランドコンタクト部材17がグランド接触部として機能する。
【0052】
また、同軸ケーブル90の外部導体93とグランドコンタクト部材17との接続は、例えば外部導体よりシールド線を延長し、直接グランドコンタクト部材17に電気的に接続する等、第1グランドバー15を介せずに行われても良い。
【0053】
第2グランドバー16は、導電性の金属部材で形成される。第1グランドバー15と同様に、プラグコネクタ10の長手方向(Y軸方向)に沿って延びるように形成される。第2グランドバー16は、プラグコネクタ10の長手方向に沿って配置された複数の同軸ケーブル90の外部導体93と接触し、複数の同軸ケーブル90の外部導体93と電気的に接続する。また、第2グランドバー16は、第2シェル部材14の下壁部14aと接触し、下壁部14aと電気的に接続する。
【0054】
グランドコンタクト部材17は、導電性の金属部材で形成され、プラグコネクタ10の短手方向(X軸方向)に向けて延びる長尺部材である。グランドコンタクト部材17は、グランドコンタクト支持部14bの上面に取り付けられる。グランドコンタクト部材17は、グランドコンタクト支持部14bに対応して、プラグコネクタ10の長手方向に所定の間隔で配置される。なお、図5(b)に示すように、グランドコンタクト部材17は断面が矩形となる四角柱状とされているが、断面形状は特に限定されない。
【0055】
上述のように、グランドコンタクト部材17は、グランドフィンガー15bとハンダ接合され、電気的に接続される。また、グランドコンタクト部材17とグランドコンタクト支持部14bともハンダ接合等によって電気的に接続される。本実施形態では、図4(b)及び図5(b)に示すように、グランドコンタクト部材17の下面の全面において、グランドコンタクト支持部14bと接触した状態が実現されていて、両者は電気的に接続されている。
【0056】
ロック部材50は、図2等に示すように、略U字状に形成され、第2シェル部材14の支持部14cによって回動可能に支持される。ロック部材50は、例えば金属の棒状部材(丸棒部材)によって構成され、弾性及び導電性を有する。上記のように、ロック部材50の両端を支持する支持部14cが軸受け部として機能することによって、ロック部材50は、Y軸方向に沿って延びる軸心を中心として回動可能とされる。ロック部材50はその中央部分にプラグコネクタ10の長手方向(Y軸方向)に沿って延びる腕部51を有する。腕部51は、ロック部材50が回動する際に、プラグコネクタ10の長手方向(Y軸方向)に延びる軸心の周囲を回転するように移動する。
【0057】
(信号コンタクト部材及びグランドコンタクト部材の周辺構造)
図5(a)、図5(b)を参照しながら、信号コンタクト部材12及びグランドコンタクト部材17の周辺の構造についてさらに説明する。
【0058】
図5(b)に示すように、一対の同軸ケーブル90に接続する一対の信号コンタクト部材12が、プラグコネクタ10の長手方向(Y軸方向)に沿って複数並んでいる。また、隣接する一対の信号コンタクト部材12同士の間に、グランドコンタクト部材17が配置されている。このように、プラグコネクタ10の長手方向(Y軸方向)に沿って、一対の信号コンタクト部材12と、グランドコンタクト部材17とが、交互に配列されている。
【0059】
グランドコンタクト部材17は、第2シェル部材14のグランドコンタクト支持部14bに対して固定されている。これにより、グランドコンタクト部材17とグランドコンタクト支持部14bとによって、隣接する一対の信号コンタクト部材12の間を区切る壁部20が形成されている。
【0060】
グランドコンタクト部材17及びグランドコンタクト支持部14b(第2シェル部材14)は、いずれも導電性の部材であるため、上記の壁部20は導電性である。また、グランドコンタクト部材17とグランドコンタクト支持部14bとは接触した状態で固定されていて、電気的に接続されているため、同電位となる。また、プラグコネクタ10とリセプタクルコネクタ30とが嵌合した状態では、グランドコンタクト部材17及びグランドコンタクト支持部14bはグランド電位となる。したがって、壁部20は、隣接する一対の信号コンタクト部材12間でのクロストークを抑制する機能を発揮し得る。
【0061】
コネクタ装置1のようにコネクタの小型化が求められている環境では、信号コンタクト部材12同士も比較的近接して配置されるため、クロストークが発生し、信号の伝送品質が低下する可能性がある。特に、信号コンタクト部材12のそれぞれが被覆等によって覆われていない状態で電気信号が伝播するため、クロストークが発生する可能性が高くなる。このような状況に対して、隣接する一対の信号コンタクト部材12間に導電性の壁部20が設けられている場合、壁部20がシールドとして機能して、クロストークを抑制し得る。
【0062】
壁部20の形状・配置が特定の条件を満たすように設定した場合、壁部20によるクロストークの抑制効果がさらに高められ得る。
【0063】
一例として、同軸ケーブル90の延びる方向に沿った壁部20の長さが、信号コンタクト部材12の長さ以上とされていることが挙げられる。本実施形態に示すプラグコネクタ10では、図4(a)に示すように、信号コンタクト部材12の長さをL1とし、壁部20の長さ(ここではグランドコンタクト部材17の長さをとしている)をL2とした場合、L2>L1の関係となっている。L1,L2をL2≧L1の関係とすることで、プラグコネクタ10の長手方向(Y軸方向)に信号が直線的に伝播することが防がれるため、クロストークの発生を抑制することができる。
【0064】
また、複数の一対の信号コンタクトの配列方向、すなわち、プラグコネクタ10の長手方向(Y軸方向)から見たときに、壁部20は、同軸ケーブル90の延びる方向(X軸方向)に対して交差する方向において、信号コンタクト部材12より大きくてもよい。本実施形態に示すプラグコネクタ10では、図4(b)に示すように、信号コンタクト部材12の上下方向(Z軸方向)の長さ(高さ)をH1とし、壁部20の長さ(高さ)(グランドコンタクト部材17及びグランドコンタクト支持部14bの長さの和)をH2とした場合、H2>H1の関係となっている。H1,H2をH2≧H1の関係とすることで、プラグコネクタ10の長手方向(Y軸方向)の信号の伝播がさらに防がれるため、クロストークの発生を抑制することができる。
【0065】
なお、上記のように、L1,L2の関係、または、H1,H2の関係が特定の条件を満たす場合、複数の一対の信号コンタクトの配列方向、すなわち、プラグコネクタ10の長手方向(Y軸方向)から見たときに、壁部20は、信号コンタクト部材12の全体と重なるように配置されていてもよい。この場合、プラグコネクタ10の長手方向(Y軸方向)の電気信号の漏れが抑制されるため、クロストークの抑制効果が高められる。
【0066】
複数の一対の信号コンタクトの配列方向、すなわち、プラグコネクタ10の長手方向(Y軸方向)から見たときに、信号コンタクト部材12と重なる位置にグランドコンタクト部材17が設けられているときに、プラグコネクタ10の長手方向(Y軸方向)に沿った、壁部20を構成するシェルの幅は、壁部20を構成するグランドコンタクト部材17の幅よりも大きくてもよい。本実施形態に示すプラグコネクタ10では、図4(a)、(b)に示すように、プラグコネクタ10の長手方向(Y軸方向)から見たときに、信号コンタクト部材12とグランドコンタクト部材17は重なる位置に設けられている。また、図5(b)に示すように、プラグコネクタ10の長手方向(Y軸方向)のグランドコンタクト部材17の長さ(幅)をW1とし、グランドコンタクト支持部14bの長さ(幅)をW2とした場合、W2>W1の関係となっている。W1,W2をW2>W1の関係とすることで、一対の信号コンタクト同士の間の信号伝搬の経路がより長くされるため、クロストークが発生する可能性を低減させることができる。
【0067】
また、本実施形態のプラグコネクタ10における壁部20のようにグランドコンタクト部材17とグランドコンタクト支持部14b(第2シェル部材14)とが、同軸ケーブル90の延びる方向(X軸方向)に沿って延びる面における面接触によって電気的に接続されていると、壁部20によるクロストークの抑制効果がさらに高くなる。なお、「面接触」とは、グランドコンタクト部材17とグランドコンタクト支持部14bとが接触している領域が壁部20の幅方向(X軸)及び長さ方向(Y軸方向)の両方における2次元領域であることをいう。本実施形態の例では、グランドコンタクト部材17のグランドコンタクト支持部14bとの対向面全体がグランドコンタクト支持部14bと接触しているので、「面接触」していると言える。
【0068】
[リセプタクルコネクタ]
図6(a)、(b)及び図7(a)、(b)を参照して、リセプタクルコネクタ30について説明する。リセプタクルコネクタ30は、ハウジング31と、グランドコンタクト部材32と、信号コンタクト部材33と、第1シェル部材34と、第2シェル部材35とを有する。なお、図6(a)、(b)では、回路基板70の主面70s上の導体領域70tを併せて示している。
【0069】
ハウジング31は、絶縁性の樹脂によって形成される。ハウジング31には、図7に示すように、後端が開口する凹部Vが形成される。凹部Vは、プラグコネクタ10が挿入される嵌合空間を形成する。凹部Vは、リセプタクルコネクタ30の長手方向(Y軸方向)に沿って延びるように形成される。なお、嵌合空間の一部は、第2シェル部材35によって形成される。
【0070】
ハウジング31の前壁部31aには、図7(a)、(b)に示すように、複数のグランドコンタクト部材32、および複数の信号コンタクト部材33が圧入され取り付けられる。なお、複数のグランドコンタクト部材32及び複数の信号コンタクト部材33は、インサート成形によってハウジング31と一体的に形成されてもよい。ハウジング31には、グランドコンタクト部材32、および一対の信号コンタクト部材33がリセプタクルコネクタ30長手方向(Y軸方向)に沿って交互に取り付けられる。ハウジング31の上壁部31bには、後述の第1シェル部材34が当接する。
【0071】
グランドコンタクト部材32は、導電性の金属部材によって形成される。また、グランドコンタクト部材32は、図7(b)に示すように、基端部32aと、中間部32bと、接触部32cとを含む。
【0072】
基端部32aは、回路基板70の主面70s上に配置され、回路基板70の導電路と例えばハンダ等によって接続されている。基端部32aは、ハウジング31の前壁部31aよりも前方(X軸正方向)に突出していて、回路基板70の接続部分から上方に延びている。
【0073】
中間部32bは、基端部32aと接触部32cとを連結している。中間部32bは、ハウジング31の前壁部31aから凹部V内まで延び、ハウジング31に固定されている。
【0074】
接触部32cは、凹部V内に突出する部分である。図7(b)に示されるように、接触部32cは、プラグコネクタ10及びリセプタクルコネクタ30の嵌合状態において、後述するプラグコネクタ10のグランドコンタクト部材17に接触する。接触部32cの先端部分は湾曲されていて、弾性変形可能に構成されている。
【0075】
信号コンタクト部材33は、図6(a)等に示すように、一対の信号コンタクト部材33として、リセプタクルコネクタ30の長手方向(Y軸方向)に並んで配置される。一対の信号コンタクト部材33は、リセプタクルコネクタ30の長手方向に並んで配置された2つの信号コンタクト部材33である。
【0076】
一対の信号コンタクト部材33は、リセプタクルコネクタ30の長手方向(Y軸方向)において、一対の同軸ケーブル90に対応する位置に配置される。一対の信号コンタクト部材33は、一対の同軸ケーブル90と同様に、リセプタクルコネクタ30の長手方向に沿って、予め設定された所定間隔を設けて配置される。
【0077】
信号コンタクト部材33は、基端部33aと、中間部33bと、接触部33cとを含む。なお、信号コンタクト部材33の具体的な形状は、グランドコンタクト部材32と同じであり、詳細の説明は省略する。信号コンタクト部材33は、プラグコネクタ10の信号コンタクト部材12(図4(a)参照)と電気的に接触して信号伝達経路を形成する。
【0078】
第1シェル部材34は、導電性の薄板状の金属部材を、例えばプレス加工することによって形成される。第1シェル部材34は、図6(a)に示すように、上壁部34aと、側壁部34bとを有する。
【0079】
上壁部34aは、ハウジング31の上壁部31bに沿って形成される。上壁部34aには、リセプタクルコネクタ30の長手方向(Y軸正負方向)の両端から前方に向けて突出する突出部34cが形成される。
【0080】
側壁部34bは、リセプタクルコネクタ30の長手方向(Y軸方向)における上壁部34aの両端から下方に向けて形成される。側壁部34bの下端には、基板の主面に沿った接合部34dが形成される。接合部34dは、回路基板70上に形成されたグランド接続用の導電路と接続される部分である。接続は、例えば、ハンダ接合によって行われる。これにより、グランド回路の電気的な接続が行われると共に、リセプタクルコネクタ30が基板に固定される。
【0081】
第2シェル部材35は、導電性の薄板状の金属部材を、例えばプレス加工することによって形成される。第2シェル部材35の前端は、図6(b)、図7(a)、(b)に示すように、ハウジング31の下壁部31cに対して重なるように配置される。第2シェル部材35は、下方からハウジング31の下壁部31cに支持され、且つ、下壁部31cに沿って形成される。第2シェル部材35は、ハウジング31の下壁部31eよりも後方に延びるように形成される。第2シェル部材35は、ハウジング31と共に嵌合空間を形成する。
【0082】
第1シェル部材34及び第2シェル部材35は、リセプタクルコネクタ30の内部に形成される信号伝達経路を外方から覆うことにより電磁遮蔽を行うシールド部材として装着される。
【0083】
[嵌合状態]
次に、図8を参照し、プラグコネクタ10及びリセプタクルコネクタ30の嵌合状態について説明する。プラグコネクタ10がリセプタクルコネクタ30に嵌合した際には、図8に示されるように、リセプタクルコネクタ30の凹部Vにプラグコネクタ10の凸部Wが収容される。
【0084】
嵌合状態においては、図8に示されるように、プラグコネクタ10の信号コンタクト部材12に対して、リセプタクルコネクタ30の信号コンタクト部材33の接触部13cが接触することにより、信号コンタクト部材同士が互いに電気的に接続される。また、プラグコネクタ10のグランドコンタクト部材17に対して、リセプタクルコネクタ30のグランドコンタクト部材32の接触部32cが接触することにより、グランドコンタクト部材同士が互いに電気的に接続される。
【0085】
また、プラグコネクタ10の第2シェル部材14は、下壁部14aがリセプタクルコネクタ30の第2シェル部材35と接触する。これにより、プラグコネクタ10の第2シェル部材14とリセプタクルコネクタ30の第2シェル部材35とのグランド接続が行われている。プラグコネクタ10では、第2シェル部材14がグランドコンタクト部材17と電気的に接続されているため、プラグコネクタ10及びリセプタクルコネクタ30のグランドコンタクト部材についてもグランド接続が行われる。
【0086】
なお、嵌合状態においては、図1図8等に示されるように、ロック部材50がプラグコネクタ10の長手方向(Y軸方向)に延びる軸心に沿って回動し、腕部51とプラグコネクタ10との間に、該プラグコネクタ10と嵌合した嵌合状態のリセプタクルコネクタ30が配置した状態となる。
【0087】
[作用]
上記のプラグコネクタ10では、隣接する一対の信号コンタクト部材12の間に、電気的に接続されたグランドコンタクトとシェル、具体的には、グランドコンタクト部材17と第2シェル部材14のグランドコンタクト支持部14bとによって壁部20が形成される。このように、グランドコンタクト部材17自体をクロストーク抑制のための壁部20として利用するため、複数配列される信号コンタクト部材12の間に壁部20を容易に配置することができる。また、同軸ケーブル90の外部導体93に第1グランドバー15を介して接続されるグランドコンタクト部材17と、グランドコンタクト部材17への接続によって同電位とされた第2シェル部材14とによって壁部20が形成されるため、壁部20の電位がグランド電位とされる。このような壁部20によって一対の信号コンタクト部材12間が区切られるため、クロストークが抑制され、信号の伝送品質の低下を抑制することができる。
【0088】
壁部20は、同軸ケーブル90の延びる方向に沿った長さL2が、信号コンタクト部材12の長さL1以上であってもよい。また、複数の一対の信号コンタクト部材12の配列方向から見たときに、壁部20は、信号コンタクト部材12の全体と重なるように配置される態様であってもよい。このような構成とすることで、同軸ケーブル90の延びる方向に沿ったどの位置においても、互いに異なる対を構成する信号コンタクト部材12同士が壁部20によって区切られる。そのため、クロストークがさらに抑制され、信号の伝送品質の低下を抑制することができる。
【0089】
また、複数の一対の信号コンタクト部材12の配列方向から見たときに、壁部20は、同軸ケーブル90の延びる方向に対して交差する方向において、信号コンタクト部材12よりも大きくてもよい。このような構成とすることで、同軸ケーブル90の延びる方向に対して交差する方向に沿ったどの位置においても、互いに異なる対を構成する信号コンタクト部材12同士が壁部20によって区切られる。そのため、クロストークがさらに抑制され、信号の伝送品質の低下を抑制することができる。
【0090】
壁部20を構成するグランドコンタクトとシェル、すなわち、グランドコンタクト部材17と第2シェル部材14のグランドコンタクト支持部14bとは、同軸ケーブル90の延びる方向に沿って延びる面における面接触によって、電気的に接続されてもよい。このような構成とすることで、グランドコンタクトとシェルとの接続が面的に構成されるので、両者の電位を等しくすることができる。また、壁部20としては、両者の接触面が形成されることによって、互いに異なる対を構成する信号コンタクト部材12同士の間に壁部20が形成されない領域を減らすことができる。そのため、クロストークがさらに抑制され、信号の伝送品質の低下を抑制することができる。
【0091】
複数の一対の信号コンタクト部材12の配列方向から見たときに、信号コンタクト部材12と少なくとも一部が重なる位置にグランドコンタクト部材17が設けられ、複数の一対の信号コンタクト部材12の配列方向に沿った壁部20を構成するシェル、すなわち、第2シェル部材14のグランドコンタクト支持部14bの幅は、壁部20を構成するグランドコンタクト部材17の幅よりも大きくてもよい。このような構成とすることで、互いに異なる対を構成する信号コンタクト部材12同士の間はグランドコンタクト部材17によって区切られる。その上で、グランドコンタクト部材17よりも幅が大きいグランドコンタクト支持部14bが壁部20を構成することによって、信号の回り込みも効果的に防がれる。その結果、クロストークの発生がさらに抑制される。
【0092】
なお、グランドコンタクト支持部14bを含む第2シェル部材14は、一対の主面のうち、グランドコンタクト部材17と電気的に接続する面に対向する面、すなわち下壁部14aにおいて、相手コネクタのシェルである第2シェル部材35と電気的に接続されていてもよい。このような構成とすることで、第2シェル部材14が相手コネクタのシェル(ここでは、第2シェル部材35)とも電気的に接続されるため、いずれもグランド電位とすることができる。このような構成とすることで、信号を伝送する導体の周囲に想定外の電位差が形成されることによる信号の伝送品質の低下が防がれる。
【0093】
また、プラグコネクタ10では、グランドコンタクト部材17、シェル(第2シェル部材14)、及び信号コンタクト部材12は、ハウジング11によって一体的に設けられてもよい。このような構成の場合、グランドコンタクト部材17、第2シェル部材14、及び信号コンタクト部材12の位置関係を、ハウジング11によって適切に保持することができる。
【0094】
[変形例]
上記実施形態で説明したプラグコネクタ10を含むコネクタ装置1の各部の構成・形状は特に限定されず、種々の変更を加えることができる。例えば、上記のプラグコネクタ10及びリセプタクルコネクタ30では、それぞれシェルが2つのシェル部材(第1シェル部材及び第2シェル部材)によって構成される例を示したが、シェルは1つの部材によって構成されていてもよいし上記のように複数の部材を組み合わせて構成していてもよい。
【0095】
また、壁部20の形状は適宜変更され得る。例えば、壁部20と信号コンタクト部材12との長さ(L1,L2)の関係、高さ(H1,H2)の関係は上述の関係に限定されない。さらに、グランドコンタクト部材17とグランドコンタクト支持部14bとの幅の関係(W1,W1)についても、上述の関係に限定されない。
【0096】
また、上述の実施形態では、壁部20を構成するグランドコンタクトがグランドコンタクト部材17であり、シェルが第2シェル部材14のグランドコンタクト支持部14bである場合について説明したが、シェルがグランドコンタクトとしての機能の一部を担っていてもよい。このような場合、壁部20を構成するグランドコンタクトがシェルによって構成されていてもよい。
【0097】
図9は、上記の変形例に係るプラグコネクタ10Aの例を示している。プラグコネクタ10Aでは、第2シェル部材14xのうち、下壁部14aからプラグコネクタ10の短手方向(X軸方向)に向けて延びるように形成されたグランドコンタクト支持部14bが、その先端で折り返された折り返し部14dを有している。折り返し部14dは、グランドコンタクト支持部14bに重ねられた状態でプラグコネクタ10の短手方向(X軸方向)に沿って、下壁部14aへ向けて延びている。この折り返し部14dは、図4(b)に示すグランドコンタクト部材17とほぼ同形状であり、端部では第1グランドバー15のグランドフィンガー15bと接合され得る。したがって、折り返し部14dは、グランドコンタクト部材17として機能する。さらに、リセプタクルコネクタ30と嵌合した状態では、折り返し部14dに対して、リセプタクルコネクタ30のグランドコンタクト部材32の接触部32cが接触し得る。このように、プラグコネクタ10Aでは、第1グランドバー15及び折り返し部14dがグランドコンタクトとして機能し得る。
【0098】
また、プラグコネクタ10Aでは、壁部20Aは、グランドコンタクトの一部として機能する折り返し部14dと、グランドコンタクト支持部14bとによって構成されている。このように、壁部20Aは、少なくともグランドコンタクトとして機能する部材と、シェルとして機能する部材との組み合わせによって構成されていればよく、その構成は適宜変更され得る。例えば、上述のように1つの部材(第2シェル部材14x)によって壁部20Aが構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0099】
1…コネクタ装置、10,10A…プラグコネクタ、11…ハウジング、12…信号コンタクト部材(信号コンタクト)、13…第1シェル部材(シェル)、14,14x…第2シェル部材(シェル)、14b…グランドコンタクト支持部、14c…支持部、14d…折り返し部、15…第1グランドバー(グランドコンタクト)、15b…グランドフィンガー、16…第2グランドバー、17…グランドコンタクト部材(グランドコンタクト)、20,20A…壁部、30…リセプタクルコネクタ(相手方コネクタ)、31…ハウジング、32…グランドコンタクト部材、33…信号コンタクト部材、34…第1シェル部材、35…第2シェル部材、50…ロック部材、70…回路基板、90…同軸ケーブル、91…内部導体、93…外部導体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9