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特開2023-23761表示システム、表示方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023761
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】表示システム、表示方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09F 21/08 20060101AFI20230209BHJP
   G09F 19/00 20060101ALI20230209BHJP
   G09F 27/00 20060101ALI20230209BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20230209BHJP
   B64C 27/04 20060101ALI20230209BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20230209BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
G09F21/08
G09F19/00 Z
G09F27/00 E
B64C39/02
B64C27/04
B64D47/08
B64C13/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129568
(22)【出願日】2021-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】000191076
【氏名又は名称】日鉄ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117857
【弁理士】
【氏名又は名称】南林 薫
(72)【発明者】
【氏名】北山 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】江本 慎一朗
(57)【要約】
【課題】空中に掲示した情報を変更可能にし、状況に応じた情報を提供できるようにする。
【解決手段】空中を飛行可能な飛行体とともに空中を移動可能な表示部に表示する複数種の情報と、各情報の表示を行う表示条件とを対応付けて記憶し、表示部を搬送して飛行体が飛行しているとき、記憶された表示条件を満たすことを検知した場合、その表示条件に対応付けた情報を表示部に表示させるよう制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空中を飛行可能な飛行体と、
前記飛行体により搬送され、前記飛行体とともに空中を移動可能な表示手段と、
前記表示手段に表示する複数種の情報と、各情報の表示を行う表示条件とを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記表示条件を満たすことを検知した場合、該表示条件に対応付けた前記情報を前記表示手段に表示させる制御手段とを有することを特徴とする表示システム。
【請求項2】
前記飛行体の位置情報を取得する位置検出手段を有し、
前記記憶手段に前記複数種の情報と、前記表示条件として各情報の表示を行う位置情報とを対応付けて記憶し、
前記制御手段は、前記位置検出手段により取得された前記飛行体の位置情報に対応する前記情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1記載の表示システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記位置検出手段により取得された前記飛行体の位置情報に基づいて、前記飛行体が前記記憶手段に記憶された前記位置情報を用いて規定される範囲内にあると判定した場合に該位置情報に対応付けた前記情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項2記載の表示システム。
【請求項4】
前記飛行体により搬送され、前記飛行体とともに空中を移動可能な音声出力手段を有し、
前記記憶手段に複数種の音声情報と、各音声情報の出力を行う位置情報とを対応付けて記憶し、
前記制御手段は、前記位置検出手段により取得された前記飛行体の位置情報に応じて、該位置情報に対応する前記情報を前記表示手段に表示させる制御、及び該位置情報に対応する前記音声情報を前記音声出力手段で出力させる制御の少なくとも一方を行うことを特徴とする請求項2又は3記載の表示システム。
【請求項5】
前記飛行体により撮影された画像を解析する解析手段を有し、
前記記憶手段に前記複数種の情報と、前記表示条件として各情報の表示を行う事象とを対応付けて記憶し、
前記制御手段は、前記解析手段による解析の結果、前記記憶手段に記憶された前記事象が検知された場合に該事象に対応付けた前記情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の表示システム。
【請求項6】
前記飛行体により搬送され、前記飛行体とともに空中を移動可能な音声出力手段を有し、
前記記憶手段に複数種の音声情報と、各音声情報の出力を行う事象とを対応付けて記憶し、
前記制御手段は、さらに、前記解析手段による解析により検知された事象に応じて、該事象に対応する前記情報を前記表示手段に表示させる制御、及び該事象に対応する前記音声情報を前記音声出力手段で出力させる制御の少なくとも一方を行うことを特徴とする請求項5記載の表示システム。
【請求項7】
前記表示手段は、電子表示媒体を用いて構成されていることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の表示システム。
【請求項8】
前記表示手段は、前記飛行体から垂下されていることを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の表示システム。
【請求項9】
前記表示手段は、前記飛行体に搭載されていることを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の表示システム。
【請求項10】
前記記憶手段に記憶した前記複数種の情報及び前記表示条件が変更可能であることを特徴とする請求項1~9の何れか1項に記載の表示システム。
【請求項11】
前記記憶手段に記憶された前記表示条件が何れも満たされない場合、前記制御手段は、前記表示手段が情報を表示しないように制御することを特徴とする請求項1~10の何れか1項に記載の表示システム。
【請求項12】
空中を飛行可能な飛行体と、
前記飛行体により搬送され、前記飛行体とともに空中を移動可能な音声出力手段と、
前記音声出力手段で出力する複数種の音声情報と、各音声情報の出力を行う出力条件とを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記出力条件を満たすことを検知した場合、該出力条件に対応付けた前記音声情報を前記音声出力手段で出力させる出力制御手段とを有することを特徴とする表示システム。
【請求項13】
空中を飛行可能な飛行体と、前記飛行体により搬送され、前記飛行体とともに空中を移動可能な表示手段とを有する表示システムの表示方法であって、
前記表示手段に表示する複数種の情報と、各情報の表示を行う表示条件とを対応付けて記憶手段に記憶する記憶工程と、
前記飛行体の飛行中に、前記記憶手段に記憶された前記表示条件を満たすことを検知した場合、該表示条件に対応付けた前記情報を前記表示手段に表示させる制御工程とを有することを特徴とする表示方法。
【請求項14】
空中を飛行可能な飛行体と、前記飛行体により搬送され、前記飛行体とともに空中を移動可能な表示手段とを有する表示システムにおける前記飛行体のコンピュータに、
前記表示手段に表示する複数種の情報と、各情報の表示を行う表示条件とを対応付けて記憶手段に記憶する記憶ステップと、
前記飛行体の飛行中に、前記記憶手段に記憶された前記表示条件を満たすことを検知した場合、該表示条件に対応付けた前記情報を前記表示手段に表示させる制御ステップとを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空中に情報表示を行う表示システム、表示方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの人の目に情報を提供する方式として、特許文献1に記載の技術が提案されている。特許文献1では、ドローンに垂れ幕を接続し収容しておき、空中で垂れ幕を放出することにより、垂れ幕による掲示効果の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-27181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、多くの人々の注目をひくことはできるが、ドローンに固定された垂れ幕を掲示しているため、1つの表示内容で固定され、ドローンの飛行中は常に同じ情報を提供することしかできない。本発明は、空中に掲示した表示内容(情報)を変更可能にし、多くの人々に状況に応じた情報を提供することができる表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る表示システムは、空中を飛行可能な飛行体と、前記飛行体により搬送され、前記飛行体とともに空中を移動可能な表示手段と、前記表示手段に表示する複数種の情報と、各情報の表示を行う表示条件とを対応付けて記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記表示条件を満たすことを検知した場合、該表示条件に対応付けた前記情報を前記表示手段に表示させる制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、空中に掲示した情報を変更でき、状況に応じた情報を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態における表示システムの構成例を示す図である。
図2】表示システムのハードウェア構成の例を示す図である。
図3】位置情報と表示内容との対応の例を示す図である。
図4】第1の実施形態における表示制御を説明する図である。
図5】第1の実施形態における表示例を説明する図である。
図6】第2の実施形態における表示システムの構成例を示す図である。
図7】事象情報と表示内容との対応の例を示す図である。
図8】第2の実施形態における表示例を示す図である。
図9】事象情報と位置情報と表示内容との対応の例を示す図である。
図10】第2の実施形態における表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態における表示システムの構成例を示す図である。図1において、110は飛行体であり、120は表示部であり、130は端末装置である。
【0010】
飛行体110は、空中を飛行可能な飛行体である。飛行体は、例えばドローンと呼ばれる無人飛行機(無人飛行体)であり、マルチコプター型、固定翼型、垂直離着陸型等の型を問わず、任意のタイプのドローンを適用可能である。飛行体110は、飛行制御部111、位置検出部112、表示制御部113、記憶部114、通信部115、及び制御部116を有する。
【0011】
飛行制御部111は、飛行体110の移動や静止など飛行体110の飛行に係る制御を行う。例えば、飛行制御部111は、記憶部114に記憶されたプログラム又は端末装置130から受信する飛行指示に従って、飛行体110の飛行を制御する。飛行制御部111は、例えば、飛行体110がマルチコプター型のドローンである場合、プログラム又は飛行指示に従って各プロペラの回転速度等を制御する。
【0012】
位置検出部112は、飛行体110の位置を検出して位置情報を取得する。位置検出部112は、少なくとも飛行体110の水平方向における位置を検出して水平方向に係る位置情報を取得するが、飛行体110の高さ方向における位置を検出して高さ方向に係る位置情報も取得するようにしてもよい。位置検出部112は、例えばGPS(Global Positioning System)やビーコンを用いて飛行体110の位置を検出するものであってもよいし、WiFi電波などにより飛行体110の位置を検出するものであってもよい。位置情報は、飛行体110の位置を特定できればよく、例えば、ある基準点に対する相対的な位置情報(X座標やY座標)で示してもよいし、GPSなどにより得られる測位情報(緯度や経度)で示してもよい。
【0013】
表示制御部113は、表示部120の表示制御を行う。表示制御部113は、表示部120で表示させる情報(表示内容)の指示や、表示部120において情報(表示内容)の表示を行うか否か(表示の実施/不実施)の制御を行う。記憶部114は、各種プログラムやデータ等を記憶する。記憶部114は、例えば飛行体110の飛行制御に係るプログラム及びデータや、表示部120での表示制御に係るプログラム及びデータなどを記憶する。
【0014】
通信部115は、端末装置130等の外部機器との間で通信を行う。通信部115は、例えば端末装置130等からの飛行制御や表示制御に係る指示を受信する。また、通信部115は、端末装置130等に位置検出部112が取得した位置情報等の送信を行うようにしてもよい。制御部116は、飛行体110が有する各機能部111~115を制御する。例えば、制御部116は、記憶部114からプログラムを読み出して実行することにより、各機能部111~115を制御する。
【0015】
表示部120は、表示する情報(表示内容)を切り替え可能なものであり、飛行体110の表示制御部113による制御に従って情報(表示内容)の表示を行う。なお、ここでは表示制御部113は飛行体110に備える形態で説明するが、表示部120側に備えるようにしても構わない。表示部120は、例えば電子ペーパーやシート状の液晶ディスプレイ(LCD)やシート状の有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の電子表示媒体を用いて構成される。表示部120は、飛行体110によって搬送され、飛行体110とともに空中を移動させることができる。表示部120は、飛行体110とともに空中を移動搬送できればよく、飛行体110から表示部120が垂下されていてもよいし、飛行体110の上部あるいは下部に表示部120が搭載されていてもよい。また、飛行体110と表示部120とを一体化、言い換えれば表示部120が飛行体110の飛行機能を備えるように構成されてもよい。なお、表示部120を構成する電子表示媒体は、平面形状に限らず、円筒形状等であってもよい。
【0016】
端末装置130は、飛行体110の飛行制御に係る指示などを行う端末装置である。また、端末装置130は、表示部120での表示制御に係る指示などを行えるようにしてもよい。
【0017】
図2は、表示システムのハードウェア構成の一例を示す図である。本実施形態における表示システムは、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、記憶装置204、位置検出装置205、通信インターフェース(IF)206、及び入出力インターフェース(IF)207を含む。CPU201、ROM202、RAM203、記憶装置204、位置検出装置205、通信IF206、及び入出力IF207は、互いに通信可能に接続されている。
【0018】
CPU201は、ROM202又は記憶装置204に記憶されたプログラムを実行することで各構成部を統括的に制御する。例えば、CPU201は、ROM202や記憶装置204からプログラムを読み出して実行することで、飛行制御や表示制御に係る各種処理を行う。RAM203は、CPU201の主メモリやワークエリア等として機能する。記憶装置204は、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)等の記憶装置であり、プログラムや各種データ等を記憶する。
【0019】
位置検出装置205は、飛行体110の位置を検出して位置情報を出力する。位置検出装置205は、例えばGPSユニットやビーコンユニットや、高度センサや方位センサなどの位置検出センサである。通信IF206は、端末装置130等の外部機器との間の通信に利用されるインターフェースである。入出力IF207は、表示部120に対する指示やデータ等の入出力に利用されるインターフェースである。
【0020】
第1の実施形態における表示システムでは、図3に一例を示すように、複数種の表示内容(表示する情報)と、各表示内容(各情報)の表示を行う表示条件として位置情報とを対応付けて記憶する。以下の説明では、表示内容の表示を行う位置情報を「表示位置情報」とも称す。そして、表示システムは、記憶された表示内容(情報)及びその表示位置情報と、位置検出部112により取得される位置情報とに基づいて、電子表示媒体を用いて構成され、飛行体110によって搬送され飛行体110とともに移動される表示部120に飛行体110の位置に応じた表示内容(情報)を表示させる。
【0021】
具体的には、まず、複数種の表示内容(表示する情報)と、各表示内容の表示を行う位置情報(表示位置情報)とが対応付けて登録され、記憶部114に記憶される。なお、複数種の表示内容(情報)及び表示位置情報は、飛行体110(及び表示部120)が飛行中であっても端末装置130等の飛行体110と通信可能な外部機器により変更できるようにしてもよい。
【0022】
表示部120を搬送する飛行体110は、飛行中に位置検出部112が飛行体110の位置を随時検出して位置情報を取得する。飛行体110の制御部116は、位置検出部112により取得された位置情報に基づいて、飛行体110の位置が、記憶部114に記憶された表示位置情報を用いて規定される一定範囲内にあるか否かを判定する。なお、この判定は、記憶部114に記憶された表示位置情報のそれぞれに対して実行する。
【0023】
飛行体110の位置が表示位置情報を用いて規定される一定範囲内であると判定した場合、制御部116は、その表示位置情報に対応する表示内容(情報)を表示部120に表示させるよう表示制御部113に指示する。表示制御部113は、制御部116から受けた指示に基づいて、指定された表示内容(情報)を表示部120に表示させるよう制御を行う。これにより、電子表示媒体を用いて構成された表示部120では、飛行体110の位置に応じた表示内容(情報)が表示される。
【0024】
一方、飛行体110の位置が、それぞれの表示位置情報を用いて規定される一定範囲のいずれの範囲内にもないと判定した場合、制御部116は、表示部120において表示を行わないよう表示制御部113に指示する。表示制御部113は、制御部116から受けた指示に応じて、表示部120が表示を行わないよう制御する。これにより、電子表示媒体を用いて構成された表示部120では、情報の表示が行われない。
【0025】
このように制御することで、例えば図4に一例を示すように、座標(X1,Y1)を用いて規定された範囲401内に飛行体110が入っている場合、電子表示媒体を用いて構成された表示部120には、図5(A)に示すように「入口1」の情報が表示される。また、座標(X2,Y2)を用いて規定された範囲402内に飛行体110が入っている場合、電子表示媒体を用いて構成された表示部120には「入口2」の情報が表示される。同様に、座標(X3,Y3)を用いて規定された範囲403内に飛行体110が入っている場合、電子表示媒体を用いて構成された表示部120には、図5(B)に示すように「出口」の情報が表示され、座標(X4,Y4)を用いて規定された範囲404内に飛行体110が入っている場合、電子表示媒体を用いて構成された表示部120には「トイレ」の情報が表示される。また、範囲401~404の何れもの範囲から飛行体110が外れている場合、電子表示媒体を用いて構成された表示部120には情報が表示されない。
【0026】
第1の実施形態によれば、飛行体110の位置に基づいて、飛行体110によって搬送される表示部120により空中に掲示する表示内容(情報)を変更し、飛行体110の位置に応じた情報を多くの人々に提供することが可能となる。例えば、大人数が集まるイベント会場や避難所等で、混雑具合に応じて比較的空いている入口上空に飛行体110を位置させて入口を案内することにより来場者を誘導できる。或いは混雑している入口上空の表示を「入口」から「混雑」や「閉鎖中」などに変更したり、入口等の位置自体を変更したりした場合に、それに応じて情報を切り替えて空中に掲示することができ、リアルタイムでの的確な案内をすることが可能となる。
【0027】
また、例えば、ショッピング街等において、電子表示媒体を用いて構成された表示部120にQRコード(登録商標)のクーポンを表示して提供する場合、飛行体110の位置に応じて表示するQRコードを切り替えることで、店舗毎のQRコードのクーポンを、対応する店舗付近で表示しながら移動して飛行させることができ、広告効果の向上を図ることができる。
【0028】
なお、前述した説明では、複数種の表示内容(情報)と表示位置情報とを飛行体110の記憶部114に記憶するようにしているが、飛行体110と通信可能な端末装置130に記憶するようにしてもよい。このようにした場合、飛行体110の位置検出部112により取得された位置情報を端末装置130に送信し、端末装置130が制御部116と同様にして表示位置情報を用いて規定される一定範囲内に飛行体110があるか否かを判定し、判定結果に応じて、表示内容や表示の実施/不実施などの表示に係る指示を飛行体110に送信するようにすればよい。
【0029】
また、図4には、表示位置情報を用いて規定される一定範囲が表示位置情報として示される座標を中心とした円形である例を示したが、これに限定されるものではない。複数の座標を用いた表示位置情報によって規定した多角形領域等を一定範囲とするようにしてもよいし、表示位置情報を用いて規定した楕円領域を一定範囲とするようにしてもよい。また、表示位置情報を用いて規定される一定範囲の大きさは、表示位置情報に対してすべて同じであってもよいし、異なっていてもよい。表示位置情報毎に、表示位置情報を用いて規定される一定範囲の形状や大きさを設定するようにしてもよい。
【0030】
また、水平方向に係る位置情報に基づいて、電子表示媒体を用いて構成された表示部120に表示する情報を制御する例について説明したが、さらに図3の位置情報として座標(X1,Y1,Z1)のように規定して高さ方向に係る位置情報に基づいて表示部120に表示する情報を制御するようにしてもよい。例えば、建築物の階数に応じて表示内容(表示する情報)を変更するようにしてもよい。また、例えば、飛行体110が飛行している高さに応じて表示する大きさ(例えば、文字の大きさ)を変更してもよく、表示内容(情報)の視認性の向上を図ることができる。高さ方向においても上述の水平方向と同様に、ある座標からの一定範囲の距離や、複数の座標で特定される3次元空間内などを表示制御の条件としてもよい。
【0031】
なお、位置情報に基づいて一定範囲を設定した場合に、例えば、座標(X1,Y1)の範囲と、座標(X2,Y2)の範囲が重なることも想定される。この場合、より近い方の座標に対応する表示内容を優先して表示したり、逆に表示内容に優先順位を設け、優先度の高い方の内容を表示したりしてもよい。或いは、条件に合致する表示内容を交互に表示してもよい。
【0032】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第1の実施形態について説明する。
図6は、第2の実施形態における表示システムの構成例を示す図である。図6において、610は飛行体であり、620は表示部であり、630は端末装置である。
【0033】
飛行体610は、空中を飛行可能な飛行体である。飛行体は、例えばドローンと呼ばれる無人飛行機(無人飛行体)であり、マルチコプター型、固定翼型、垂直離着陸型等の型を問わず、任意のタイプのドローンを適用可能である。飛行体610は、飛行制御部611、位置検出部612、表示制御部613、記憶部614、通信部615、制御部616、撮像部617、及び解析部618を有する。
【0034】
飛行制御部611は、図1に示した飛行制御部111と同様に、飛行体610の移動や静止など飛行体610の飛行に係る制御を行う。例えば、飛行制御部611は、記憶部614に記憶されたプログラム又は端末装置630から受信する飛行指示に従って、飛行体610の飛行を制御する。
【0035】
位置検出部612は、図1に示した位置検出部112と同様に、飛行体610の位置を検出して位置情報を取得する。位置検出部612は、少なくとも飛行体610の水平方向における位置を検出して水平方向に係る位置情報を取得するが、飛行体610の高さ方向における位置を検出して高さ方向に係る位置情報も取得するようにしてもよい。位置検出部612は、例えばGPSやビーコンを用いて飛行体610の位置を検出するものであってもよいし、WiFi電波などにより飛行体610の位置を検出するものであってもよい。
【0036】
表示制御部613は、図1に示した表示制御部113と同様に、表示部620の表示制御を行う。記憶部614は、図1に示した記憶部114と同様に、飛行体610の飛行制御や表示部620での表示制御などに係る各種プログラムやデータ等を記憶する。通信部615は、図1に示した通信部115と同様に、端末装置630等の外部機器との間で通信を行う。制御部616は、図1に示した制御部116と同様に、記憶部614からプログラムを読み出して実行することにより、飛行体610が有する各機能部611~618を制御する。
【0037】
撮像部617は、例えば飛行体610に搭載されたカメラであり、飛行体610から見た画像を撮影する。撮像部617は、飛行体610から見た所定領域の画像を撮影するものであってもよいし、指示等に応じてズーム制御、パン制御及びチルト制御の少なくとも1つが可能な撮影領域を変更可能なものであってもよい。解析部618は、撮像部617により撮影された画像の解析を行う。解析部618は、例えば、予め学習を行って得られた学習済データを用いてAI(人工知能)により画像解析を行う。
【0038】
表示部620は、図1に示した表示部620と同様に、表示する情報(表示内容)を切り替え可能なものであり、飛行体610の表示制御部613による制御に従って情報(表示内容)の表示を行う。なお、ここでは表示制御部613は飛行体610に備える形態で説明するが、表示部620側に備えるようにしても構わない。表示部620は、例えば電子ペーパーやシート状の液晶ディスプレイやシート状の有機ELディスプレイ等の電子表示媒体を用いて構成される。表示部620は、飛行体610によって搬送され、飛行体610とともに空中を移動させることができる。表示部620は、飛行体610とともに空中を移動搬送できればよく、飛行体610から表示部620が垂下されていてもよいし、飛行体610の上部あるいは下部に表示部620が搭載されていてもよい。また、飛行体610と表示部620とを一体化、言い換えれば表示部620が飛行体610の飛行機能を備えるように構成されてもよい。なお、表示部620を構成する電子表示媒体は、平面形状に限らず、円筒形状等であってもよい。
【0039】
端末装置630は、飛行体610の飛行制御に係る指示などを行う端末装置である。また、端末装置630は、表示部620での表示制御に係る指示などを行えるようにしてもよい。
表示システムのハードウェア構成は、図2に示した第1の実施形態におけるハードウェア構成と同様であるので、説明は省略する。
【0040】
第2の実施形態における表示システムでは、図7に一例を示すように、複数種の表示内容(表示する情報)と、各表示内容(各情報)の表示を行う表示条件として特定事象情報とを対応付けて記憶する。そして、表示システムは、撮像部617により撮影された画像を解析部618で解析し、特定事象情報に対応する事象(特定事象)を検知した場合、その特定事象情報に対応する表示内容(情報)を、電子表示媒体を用いて構成され、飛行体610によって搬送され飛行体610とともに移動される表示部620に表示させる。以下では、人の行列の状況を特定事象とし、図7に示したように、それぞれの状況に応じた表示内容(情報)を表示部620に表示させる場合の例を説明する。
【0041】
まず、複数種の表示内容(表示する情報)と、各表示内容の表示を行う特定事象情報とが対応付けて登録され、記憶部614に記憶される。なお、複数種の表示内容(情報)及び特定事象情報は、飛行体610(及び表示部620)が飛行中であっても端末装置630等の飛行体610と通信可能な外部機器により変更できるようにしてもよい。
【0042】
表示部620を搬送する飛行体610は、飛行中に撮影部617が画像の撮影を行い、解析部618が撮影された画像の解析を行う。解析部618は、例えば、予め学習を行って得られた学習済データを用いてAI(人工知能)により画像解析を行い、人の行列の状況(最後尾、折り返し、合流、分岐等)を判断する。また、これらの状況(最後尾、折り返し、合流、分岐等)を示す看板を持った係員等が人の行列とともに存在する場合には、その看板に基づいて判断するようにしてもよい。
【0043】
飛行体610の制御部616は、解析部618での撮影画像の解析において、記憶部614に記憶された特定事象情報に対応する事象(特定事象)を検知したか否かを判定する。解析部618での撮影画像の解析において特定事象情報に対応する特定事象を検知したと判定した場合、制御部616は、その特定事象情報に対応する表示内容(情報)を表示部620に表示させるよう表示制御部613に指示する。表示制御部613は、制御部616から受けた指示に基づいて、指定された表示内容(情報)を表示部620に表示させるよう制御を行う。これにより、電子表示媒体を用いて構成された表示部620では、飛行体610の撮像部617により捉えた特定事象に応じた表示内容(情報)が表示される。
【0044】
一方、解析部618での撮影画像の解析において特定事象情報に対応する特定事象の何れも検知しなかったと判定した場合、制御部616は、表示部620において表示を行わないよう表示制御部613に指示する。表示制御部613は、制御部616から受けた指示に応じて、表示部620が表示を行わないよう制御する。これにより、電子表示媒体を用いて構成された表示部620では、情報の表示が行われない。
【0045】
このように制御することで、飛行体610の撮像部617が捉えた画像により人の行列の最後尾を検知した場合、電子表示媒体を用いて構成された表示部620には、図8(A)に示すように「最後尾」の情報が表示される。また、飛行体610の撮像部617が捉えた画像により人の行列の折り返しを検知した場合、電子表示媒体を用いて構成された表示部620には「折り返し地点」の情報が表示される。同様に、飛行体610の撮像部617が捉えた画像により人の行列の合流を検知した場合、電子表示媒体を用いて構成された表示部620には、図8(B)に示すように「合流します」の情報が表示され、人の行列の分岐を検知した場合、電子表示媒体を用いて構成された表示部620には「分岐します」の情報が表示される。また、特定事象情報に対応する特定事象の何れも検知されなかった場合、電子表示媒体を用いて構成された表示部620には情報が表示されない。ここでは人の行列を例に特定事象について説明したが、例えば、人の密集具合を解析して「この辺り混雑中」等と表示することもできる。
【0046】
第2の実施形態によれば、飛行体610の撮像部617が捉えた画像により検知された事象に基づいて、飛行体610によって搬送される表示部620により空中に掲示する表示内容(情報)を変更し、多くの人々に状況に応じた情報を提供することが可能となる。
【0047】
なお、前述した説明では、複数種の表示内容(情報)と特定事象情報とを飛行体610の記憶部614に記憶するようにしているが、飛行体610と通信可能な端末装置630に記憶するようにしてもよい。このようにした場合、飛行体610の解析部618での画像解析の結果を端末装置630に送信し、端末装置630が制御部616と同様にして特定事象情報に対応する事象(特定事象)が検知されたか否かを判定し、判定結果に応じて、表示内容や表示の実施/不実施などの表示に係る指示を飛行体610に送信するようにすればよい。
【0048】
また、前述した例では、複数種の表示内容(情報)と各表示内容の表示を行う特定事象情報とを対応付けるようにしているが、さらに各表示内容の表示を行う位置情報(表示位置情報)を対応付けるようにしてもよい。例えば、図9に一例を示すように、特定事象情報は行列の最後尾と同じ事象であるが、その事象を検知した飛行体610の位置に応じて、電子表示媒体を用いて構成された表示部620に表示する表示内容を変更するようにしてもよい。この場合には、飛行体610の制御部616が、第1の実施形態と同様に、位置検出部612により取得された位置情報に基づいて、飛行体610の位置が、記憶部614に記憶された表示位置情報を用いて規定される一定範囲内にあるか否かを判定し、判定結果に応じて、表示内容や表示の実施/不実施などの表示部620での表示制御を行えばよい。
【0049】
例えば、飛行体610の撮像部617が捉えた画像により人の行列の最後尾を検知した場合、座標(X1,Y1)を用いて規定された一定範囲内に飛行体610が入っていれば、電子表示媒体を用いて構成された表示部620には、図10(A)に示すように「最後尾30分」の情報を表示する。同様に、人の行列の最後尾を検知し、座標(X2,Y2)を用いて規定された一定範囲内に飛行体610が入っていれば、電子表示媒体を用いて構成された表示部620には「最後尾60分」の情報を表示し、座標(X3,Y3)を用いて規定された一定範囲内に飛行体610が入っていれば、電子表示媒体を用いて構成された表示部620には「最後尾60分」の情報を表示する。
【0050】
また、表示位置情報や特定事象情報に限らず、複数種の表示内容(情報)と時間情報とを対応付けて記憶しておき、時間に応じて表示内容を変更して表示するようにしてもよい。また、表示位置情報、特定事象情報、及び時間情報を適宜組み合わせて、複数種の表示内容(情報)と対応付けし、状況に応じて表示内容を変更して表示するようにしてもよい。
【0051】
また、前述した各実施形態においては、飛行体110の位置が表示位置情報を用いて規定される一定範囲内であると判定した場合、あるいは、特定事象情報に対応する事象(特定事象)を検知した場合に対応する表示内容(情報)を表示部120、620に表示し、これら条件から外れると情報が表示されないよう制御したがこれに限ることはない。例えば、条件から外れた場合には、広告や一般的な注意喚起をするような表示をしても良い。この場合、図3図7の対応表では、条件として「条件なし」、表示内容として単に「広告1」や「広告1→広告2→注意喚起」のように表示内容の順序や時間間隔などを設定しておく。このようにすることで、通常は広告等が表示され、条件が合致した時のみ特定の表示がされるようになる。
【0052】
また、前述した各実施形態において、電子表示媒体を用いて構成された表示部120、620に表示する表示内容(情報)は、静止画像に限らず、動画像であってもよいし、音声出力部を飛行体に設けて内容に対応した音声を発するようにしても良い。なお、音声出力する場合、表示部に対応する音声出力部、表示制御部に対応する出力制御部をそれぞれ設け、扱う対象データを表示用データではなく音声情報データとするようにすればよい。いうまでもなく、表示と音声出力両方を行ってもよい。このようにすることで、視覚的だけでなく聴覚的に情報を多くの人々に伝えることができるようになる。
【0053】
なお、前記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0054】
110、610 飛行体
111、611 飛行制御部
112、612 位置検出部
113、613 表示制御部
114、614 記憶部
115、615 通信部
116、616 制御部
120、620 表示部
130、630 端末装置
617 撮像部
618 解析部
図1
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