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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023818
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】情報分析システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0635 20230101AFI20230209BHJP
【FI】
G06Q10/06 326
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129688
(22)【出願日】2021-08-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】304021288
【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
(71)【出願人】
【識別番号】500578755
【氏名又は名称】株式会社創風システム
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】三上 喜貴
(72)【発明者】
【氏名】張 坤
(72)【発明者】
【氏名】村山 克志
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】事故情報の抽出・分析を行うユーザにとっての利便性を向上させた従来にない情報分析システムを提供する。
【解決手段】複数の属性項目で特徴付けられる事故情報が蓄積された事故情報データベースを用いて事故に関する分析を行う際に用いられる情報分析システムであって、任意に選択された事故情報グループ中から、指定された属性項目によって絞り込まれた第一の事故情報グループを提示する第一グループ提示手段と、前記第一の事故情報グループをさらに絞り込むための属性項目を提示する属性項目提示手段と、前記属性項目提示手段で選択された前記属性項目によって絞り込まれた第二の事故情報グループを提示する第二グループ提示手段とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の属性項目で特徴付けられる事故情報が蓄積された事故情報データベースを用いて事故に関する分析を行う際に用いられる情報分析システムであって、
任意に選択された事故情報グループ中から、指定された属性項目によって絞り込まれた第一の事故情報グループを提示する第一グループ提示手段と、
前記第一の事故情報グループをさらに絞り込むための属性項目を提示する属性項目提示手段と、
前記属性項目提示手段で選択された前記属性項目によって絞り込まれた第二の事故情報グループを提示する第二グループ提示手段とを有することを特徴とする情報分析システム。
【請求項2】
請求項1記載の情報分析システムにおいて、前記各グループ提示手段は、前記各事故情報グループに属する事故の件数をカウントして事故情報グループとしての事故の発生頻度若しくは発生確率を算出し、前記発生頻度若しくは発生確率を共通の軸として前記事故情報グループを表示するように構成されていることを特徴とする情報分析システム。
【請求項3】
請求項2記載の情報分析システムにおいて、前記発生頻度若しくは発生確率を、前記第一の事故情報グループを絞り込む際に指定された前記属性項目に応じて求められた分母から自動的に算出する自動算出手段を有することを特徴とする情報分析システム。
【請求項4】
請求項1~3いずれか1項に記載の情報分析システムにおいて、前記属性項目提示手段は、提示されている事故情報グループの更なる絞り込みを可能とする属性項目をリスト表示するように構成されていることを特徴とする情報分析システム。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載の情報分析システムにおいて、前記事故情報グループを、リスクマトリックスの対応する各セルに配置し、各セルに配置された事故情報の件数を表示するリスクマトリックス表示手段を有することを特徴とする情報分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報分析システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気・機械製品などの故障や不具合に起因する事故や、使用方法に起因する事故など、数多くの故障・事故情報(以下、単に「事故情報」という。)が報告されているが、これらの情報は企業や行政機関が保有しているデータベースに蓄積される。
【0003】
特許文献1には、このようなデータベースに蓄積された事故情報を用いて事故原因や事故内容を分析するため、テキストマイニングを用いて所望の事故情報を抽出する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、事故情報の抽出・分析を行うユーザにとっての利便性を向上させた従来にない情報分析システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨を説明する。
【0007】
複数の属性項目で特徴付けられる事故情報が蓄積された事故情報データベースを用いて事故に関する分析を行う際に用いられる情報分析システムであって、
任意に選択された事故情報グループ中から、指定された属性項目によって絞り込まれた第一の事故情報グループを提示する第一グループ提示手段と、
前記第一の事故情報グループをさらに絞り込むための属性項目を提示する属性項目提示手段と、
前記属性項目提示手段で選択された前記属性項目によって絞り込まれた第二の事故情報グループを提示する第二グループ提示手段とを有することを特徴とする情報分析システムに係るものである。
【0008】
また、請求項1記載の情報分析システムにおいて、前記各グループ提示手段は、前記各事故情報グループに属する事故の件数をカウントして事故情報グループとしての事故の発生頻度若しくは発生確率を算出し、前記発生頻度若しくは発生確率を共通の軸として前記事故情報グループを表示するように構成されていることを特徴とする情報分析システムに係るものである。
【0009】
また、請求項2記載の情報分析システムにおいて、前記発生頻度若しくは発生確率を、前記第一の事故情報グループを絞り込む際に指定された前記属性項目に応じて求められた分母から自動的に算出する自動算出手段を有することを特徴とする情報分析システムに係るものである。
【0010】
また、請求項1~3いずれか1項に記載の情報分析システムにおいて、前記属性項目提示手段は、提示されている事故情報グループの更なる絞り込みを可能とする属性項目をリスト表示するように構成されていることを特徴とする情報分析システムに係るものである。
【0011】
また、請求項1~4いずれか1項に記載の情報分析システムにおいて、前記事故情報グループを、リスクマトリックスの対応する各セルに配置し、各セルに配置された事故情報の件数を表示するリスクマトリックス表示手段を有することを特徴とする情報分析システムに係るものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述のように構成したから、事故情報の抽出・分析を行うユーザにとっての利便性を向上させた従来にない情報分析システムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本実施例のハザードマトリックスの概略説明図である。
【
図3】本実施例の絞り込み分析の概略説明図である。
【
図4】本実施例の絞り込み分析の概略説明図である。
【
図5】本実施例の絞り込み分析の概略説明図である。
【
図6】本実施例の絞り込み分析の概略説明図である。
【
図7】本実施例の絞り込み分析の概略説明図である。
【
図8】本実施例の検索結果表示手段の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0015】
蓄積されている事故データベース中から、事故情報を検索して分析を行うに際し、画面上に提示された事故情報グループから指定された属性項目によって絞り込みを行うと、第一の事故情報グループが提示される。
【0016】
この際、属性項目提示手段により提示された属性項目を選択すると、第一の事故情報グループをさらに絞り込んだ第二の事故情報グループが提示される。このプロセスを繰り返すことで、システムとの対話を通じて事故リスクの具体的な態様をインタラクティブに突き止めていくことが可能となる。すなわち、利用者は第一グループ提示手段に続いて、絞り込むための属性項目提示手段と絞り込まれた第二グループ提示手段を繰り返し実行することにより、事故の具体的な内容を解明することができる。
【実施例0017】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0018】
本実施例は、複数の属性項目で特徴付けられる事故情報が蓄積された事故情報データベースを用いて事故に関する分析を行う際に用いられる情報分析システムである。
【0019】
具体的には、任意に選択された事故情報グループ中から、指定された属性項目によって絞り込まれた第一の事故情報グループを提示する第一グループ提示手段と、前記第一の事故情報グループをさらに絞り込むための属性項目を提示する属性項目提示手段と、前記属性項目提示手段で選択された前記属性項目によって絞り込まれた第二の事故情報グループを提示する第二グループ提示手段とを有するものである。
【0020】
各グループ提示手段は、前記各事故情報グループを事故の発生頻度若しくは発生確率を共通の軸として、これらの値(区分)に基づいて当該軸上に並べて表示するように構成されている。
【0021】
また、前記発生頻度若しくは発生確率を、前記第一の事故情報グループを絞り込む際に指定された前記属性項目に応じて求められた分母から自動的に算出する自動算出手段を有する。例えば、人口、性別、地域などの属性項目が選択された場合、当該属性を持つ人口の母数は元の事故グループの内訳となるため、発生頻度若しくは発生確率を再計算する必要があるが、この再計算を自動的に行う。
【0022】
また、前記属性項目提示手段は、提示されている事故情報グループの更なる絞り込みを可能とする全ての属性項目をリスト表示するように構成されている。
【0023】
また、本実施例は、事故情報に付与されるタグ情報を該タグ情報に関連する事故情報の件数と共に提示するタグ情報提示手段と、提示された前記タグ情報中で選択されたタグ情報に関連する事故情報を抽出した検索結果を表示する検索結果表示手段とを有する。
【0024】
本実施例は、CPUなどの制御装置と、RAMなどの主記憶装置(メモリ)と、HDDやSSDなどの補助記憶装置と、液晶表示装置などの表示装置と、キーボードやマウスなどの入力装置と、通信ネットワークに接続するためのNICなどの通信装置と、バスとを備えた一般的なコンピュータに実装できる。例えば本実施例の機能は、コンピュータの補助記憶装置にプログラムの形式で格納される。プログラムは補助記憶装置から読み出されてメモリ上に展開され、CPUによって実行される。なお、本システムは、単体のコンピュータで構成しても良いし、サーバとこのサーバにネットワークを介して接続された少なくとも1つのコンピュータとで構成しても良い(機能の一部をネットワークを介して接続されたサーバ上で実行してもよい。)。
【0025】
本実施例は概略的には、事故情報データベースを参照して、選択された属性項目(タグ情報)が含まれる事故情報を検索・抽出する際、異なるタグ情報で順次絞り込みを行う場合に、検索された事故情報の所定のグループに含まれるタグ情報を並べて表示していくものである。
【0026】
図1に本実施例のフローチャートを示す。フローチャート中、少なくとも「案件インポート」→「案件編集」→「ハザードマトリックス作成」→「絞り込み分析」を順に行うことで、分析を行うことができる。
【0027】
補助記憶装置には、経済産業省、消費者庁の製品事故情報、リコール情報、顧客の声(要望やクレーム)および修理情報や、企業が保有する顧客の声、クレーム情報等を予め取り込んで、事故情報データベースを作成しておく(案件インポート)。また、タグ情報等に用いる語彙の定義・編集等を予め行っておいてもよい(語彙編集)。
【0028】
なお、タグ情報等に用いる語彙としてはIIDF(障害情報記述枠組みコーディングマニュアル)やAIDF(事故情報記述枠組みコーディングマニュアル)に基づくものとすることができる。IIDFはWHOの提案する疫学のモデルの4要素に障害結果を加えた5要素からなる枠組みであり、AIDFはさらに製品のリコール情報や事故に至る前のクレーム、修理情報を加えた枠組みである。
【0029】
取り込んだ情報は案件編集手段により適宜タグ情報に関連付ける(案件編集)。また、必要があればタグ情報編集手段により適宜タグ編集を行う。
【0030】
例えば、案件編集においては、手動に限らず、所定の文言が事故情報(案件)中の事故の内容欄や再発防止対策欄等に記載されている文言から自動的にタグ付けを行うようにし、自動的にタグ情報に関連付ける構成としても良い。また、タグ編集により所定の文言を所定のタグ情報に関連付けた場合に(AIの教師データとして利用し)、以後自動的に当該文言が含まれている場合には当該タグ情報に関連付けるようにしても良い。
【0031】
案件編集にて関連付けられたタグ情報をもとに集計を行いハザードマトリックスを作成・表示する(ハザードマトリックスの作成)。例えば縦軸を発生頻度、横軸を危害の程度としたマトリックス中に、危険源とメカニズムの組み合わせ毎に件数を集計したものを表示する(
図2参照)。
【0032】
ハザードマトリックスにおいて、選択された一の列の属性項目に含まれる事故情報の分析を行う際には、各列の下にあるリスクマップボタンを選択する(
図3~7参照)。そして当該列中の一の属性項目(本実施例では、危険源とメカニズムの組み合わせ)を選択すると、右隣にタグ情報表示領域とプルダウンメニューとが表示され、プルダウンメニューから一の属性項目を選択すると、当該属性項目に含まれるタグ情報がタグ情報表示領域に表示される。同様に繰り返すことで、当該属性項目中の案件を絞り込むことができる。この絞り込み操作は1~複数回行うことができる(絞り込み分析)。また、絞り込み操作は任意の段階に戻り、属性項目を選択しなおすことができるように構成されている。また、提示されたタグ情報を選択することで、当該タグ情報を含む事故情報を一覧表示することができる(
図8参照)。
【0033】
絞り込み分析について具体的に説明する。
図2中のリスクマップボタンを選択するとリスクスコープ画面が表示される。リスクスコープ画面は、ハザードマトリックスの一の列の左側にハザードマトリックスの縦軸(共通配置軸)と横軸の選択した危害の程度が表示された画面である。
【0034】
この状態で、一の属性項目(
図2ではH3.0M1)を選択すると、右隣にタグ情報表示領域とプルダウンメニューとが表示され、プルダウンメニューから一の属性項目(
図2では障害の部位)を選択すると、当該属性項目中のタグ情報が夫々件数と共に表示される。
【0035】
続いて、当該属性項目中の一のタグ情報(
図2では手首と手)を選択して確定ボタンを選択すると、右隣にさらにタグ情報表示領域とプルダウンメニューとが追加表示される。プルダウンメニューから属性項目として事故発生時の動作を選択すると、当該属性項目中のタグ情報が同様に表示され、一のタグ情報(握る)を選択して下の確定ボタンを選択すると、右隣にさらにタグ情報表示領域とプルダウンメニューと追加表示される。
【0036】
以下同様に、「治療分類」と「治療後、同一病院に入院」、「障害の酒類」と「やけど、電気など」、「事故における役割」を選択し、分析を行う。
【0037】
なお、
図8は「握る」を選択し、「握る」タグ情報を含む事故情報を一覧表示した状態である。
【0038】
上記処理を行うための各手段について以下に説明する。
【0039】
属性項目提示手段は、事象の危害の程度、傷害の種類、傷害の部位、治療分類、事故における役割および事故発生時の動作等のグループに分別されたタグ情報をグループ毎に表示する(事故情報は少なくとも1つのグループのタグ情報を含む。)。本実施例では、タグ情報提示手段によるタグ情報表示領域の下方のプルダウンメニューから選択する。
【0040】
タグ情報提示手段は、属性項目提示手段で提示された属性項目から選択した一の属性項目に含まれるタグ情報毎に集計した結果をタグ情報表示領域に表示する。
【0041】
検索結果表示手段は、表示されたタグ情報を選択し、そのタグ情報を含む事故情報を一覧表示する。本実施例では、タグ情報表示領域およびプルダウンメニューの下方に表示する。
【0042】
本実施例では、属性項目提示手段は、前記属性項目を複数箇所で提示可能であり、前記タグ情報提示手段は、異なる箇所で選択された夫々の前記グループに含まれる前記タグ情報同士を並べて表示させるように構成されている。
【0043】
具体的には、一の選択部(図中の確定ボタン)を選択することで既に選択された属性項目を除く他の属性項目の提示を開始させる属性項目提示開始手段(別のプルダウンメニューとタグ情報表示領域を右隣に表示する手段)を有している。
【0044】
また、前記事故情報は属性項目毎に分別されており、前記属性項目を提示する属性項目提示手段を有し、グループ提示手段は、選択された前記属性項目に関連する事故情報の中から前記タグ情報に関連する事故情報を抽出する。
【0045】
本実施例においては、属性項目には、「危険源」の種類と「メカニズム」の種類の組み合わせを含む。これは、危険源を示すHとメカニズムを示すMに夫々コードを付与し、HxxxMyyy(zzz)と表示される。例えばハザードマトリックスでH3M5(12)と表示されているものは、危険源が3且つメカニズムが5の属性項目の事故情報が12件であることを意味する。
【0046】
また、本実施例は、前記事故情報データベース中の前記事故情報から分析対象となる事故情報を予め選択する分析対象選択手段を有し、前記タグ情報提示手段は、前記分析対象選択手段により選択された前記事故情報中で選択された前記タグ情報を提示するように構成されている。
【0047】
具体的には、前記事故情報データベース中から任意の範囲の事故情報を選択してハザードマトリックスを作成するハザードマトリックス作成手段を有し、前記分析対象選択手段は、前記ハザードマトリックス中のいずれかの列に含まれる前記事故情報を分析対象として選択できるように構成されている。本実施例では、上述の通り、縦軸を発生頻度、横軸を危害の程度としたマトリックス中に、危険源とメカニズムの組み合わせ(属性項目)毎に件数を集計したものを表示する。
【0048】
また、本実施例はリスクマトリックスの作成・表示が可能に構成されている。
【0049】
例えば、案件に設定された危害の程度を用い、縦軸を発生頻度(業界毎の発生頻度区分)、横軸を危害の程度として集計し、マトリックス状に事故情報の件数を表示する。この状態から第一の事故情報を絞り込んでいく構成としても良い。また、セル(マス目)の件数を選択することで対象事故情報の詳細を一覧表示することができる(
図9参照)。
【0050】
また、以下の機能を備える構成としても良い。
【0051】
・マップ分析
事故発生件数を都道府県別に地図上に集計表示する。
【0052】
・グラフ分析
事故発生件数を発生時刻、地域、危険源、メカニズム、発生時の動作、発生場所、火災の有無、事故原因区分、年代、性別毎に棒グラフ、円グラフに集計表示する。
【0053】
・イベントドロップ分析
事故発生件数を都道府県毎に1980年から現在迄の間で傾向を分析する。
【0054】
・ヒートマップ分析
危険源軸とメカニズム、火災の有無、発生場所、傷害の種類毎に発生度合いを度合い毎に配色表示する。
【0055】
本実施例は上述のように構成したから、事故情報の抽出・分析を行うユーザにとっての利便性を向上させた従来にない情報分析システムとなる。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2022-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の属性項目で特徴付けられる事故情報が蓄積された事故情報データベースを用いて事故に関する分析を行う際に用いられる情報分析システムであって、
任意に選択された事故情報グループ中から、指定された属性項目によって絞り込まれた第一の事故情報グループを提示する第一グループ提示手段と、
前記第一の事故情報グループをさらに絞り込むための属性項目を提示する属性項目提示手段と、
前記属性項目提示手段で選択された前記属性項目によって絞り込まれた第二の事故情報グループを提示する第二グループ提示手段とを有し、
前記各グループ提示手段は、前記各事故情報グループに属する事故の件数をカウントして事故情報グループとしての事故の発生頻度若しくは発生確率を算出し、前記発生頻度若しくは発生確率を共通の軸として前記事故情報グループを表示するように構成されていることを特徴とする情報分析システム。
【請求項2】
複数の属性項目で特徴付けられる事故情報が蓄積された事故情報データベースを用いて事故に関する分析を行う際に用いられる情報分析システムであって、
任意に選択された事故情報グループ中から、指定された属性項目によって絞り込まれた第一の事故情報グループを提示する第一グループ提示手段と、
前記第一の事故情報グループをさらに絞り込むための属性項目を提示する属性項目提示手段と、
前記属性項目提示手段で選択された前記属性項目によって絞り込まれた第二の事故情報グループを提示する第二グループ提示手段と、
前記事故情報グループを、リスクマトリックスの対応する各セルに配置し、各セルに配置された事故情報の件数を表示するリスクマトリックス表示手段とを有することを特徴とする情報分析システム。
【請求項3】
請求項1記載の情報分析システムにおいて、前記発生頻度若しくは発生確率を、前記第一の事故情報グループを絞り込む際に指定された前記属性項目に応じて求められた分母から自動的に算出する自動算出手段を有することを特徴とする情報分析システム。
【請求項4】
請求項1~3いずれか1項に記載の情報分析システムにおいて、前記属性項目提示手段は、提示されている事故情報グループの更なる絞り込みを可能とする属性項目をリスト表示するように構成されていることを特徴とする情報分析システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報分析システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気・機械製品などの故障や不具合に起因する事故や、使用方法に起因する事故など、数多くの故障・事故情報(以下、単に「事故情報」という。)が報告されているが、これらの情報は企業や行政機関が保有しているデータベースに蓄積される。
【0003】
特許文献1には、このようなデータベースに蓄積された事故情報を用いて事故原因や事故内容を分析するため、テキストマイニングを用いて所望の事故情報を抽出する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、事故情報の抽出・分析を行うユーザにとっての利便性を向上させた従来にない情報分析システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨を説明する。
【0007】
複数の属性項目で特徴付けられる事故情報が蓄積された事故情報データベースを用いて事故に関する分析を行う際に用いられる情報分析システムであって、
任意に選択された事故情報グループ中から、指定された属性項目によって絞り込まれた第一の事故情報グループを提示する第一グループ提示手段と、
前記第一の事故情報グループをさらに絞り込むための属性項目を提示する属性項目提示手段と、
前記属性項目提示手段で選択された前記属性項目によって絞り込まれた第二の事故情報グループを提示する第二グループ提示手段とを有し、
前記各グループ提示手段は、前記各事故情報グループに属する事故の件数をカウントして事故情報グループとしての事故の発生頻度若しくは発生確率を算出し、前記発生頻度若しくは発生確率を共通の軸として前記事故情報グループを表示するように構成されていることを特徴とする情報分析システムに係るものである。
【0008】
また、複数の属性項目で特徴付けられる事故情報が蓄積された事故情報データベースを用いて事故に関する分析を行う際に用いられる情報分析システムであって、
任意に選択された事故情報グループ中から、指定された属性項目によって絞り込まれた第一の事故情報グループを提示する第一グループ提示手段と、
前記第一の事故情報グループをさらに絞り込むための属性項目を提示する属性項目提示手段と、
前記属性項目提示手段で選択された前記属性項目によって絞り込まれた第二の事故情報グループを提示する第二グループ提示手段と、
前記事故情報グループを、リスクマトリックスの対応する各セルに配置し、各セルに配置された事故情報の件数を表示するリスクマトリックス表示手段とを有することを特徴とする情報分析システムに係るものである。
【0009】
また、請求項1記載の情報分析システムにおいて、前記発生頻度若しくは発生確率を、前記第一の事故情報グループを絞り込む際に指定された前記属性項目に応じて求められた分母から自動的に算出する自動算出手段を有することを特徴とする情報分析システムに係るものである。
【0010】
また、請求項1~3いずれか1項に記載の情報分析システムにおいて、前記属性項目提示手段は、提示されている事故情報グループの更なる絞り込みを可能とする属性項目をリスト表示するように構成されていることを特徴とする情報分析システムに係るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述のように構成したから、事故情報の抽出・分析を行うユーザにとっての利便性を向上させた従来にない情報分析システムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】本実施例のハザードマトリックスの概略説明図である。
【
図3】本実施例の絞り込み分析の概略説明図である。
【
図4】本実施例の絞り込み分析の概略説明図である。
【
図5】本実施例の絞り込み分析の概略説明図である。
【
図6】本実施例の絞り込み分析の概略説明図である。
【
図7】本実施例の絞り込み分析の概略説明図である。
【
図8】本実施例の検索結果表示手段の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0014】
蓄積されている事故データベース中から、事故情報を検索して分析を行うに際し、画面上に提示された事故情報グループから指定された属性項目によって絞り込みを行うと、第一の事故情報グループが提示される。
【0015】
この際、属性項目提示手段により提示された属性項目を選択すると、第一の事故情報グループをさらに絞り込んだ第二の事故情報グループが提示される。このプロセスを繰り返すことで、システムとの対話を通じて事故リスクの具体的な態様をインタラクティブに突き止めていくことが可能となる。すなわち、利用者は第一グループ提示手段に続いて、絞り込むための属性項目提示手段と絞り込まれた第二グループ提示手段を繰り返し実行することにより、事故の具体的な内容を解明することができる。
【実施例0016】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0017】
本実施例は、複数の属性項目で特徴付けられる事故情報が蓄積された事故情報データベースを用いて事故に関する分析を行う際に用いられる情報分析システムである。
【0018】
具体的には、任意に選択された事故情報グループ中から、指定された属性項目によって絞り込まれた第一の事故情報グループを提示する第一グループ提示手段と、前記第一の事故情報グループをさらに絞り込むための属性項目を提示する属性項目提示手段と、前記属性項目提示手段で選択された前記属性項目によって絞り込まれた第二の事故情報グループを提示する第二グループ提示手段とを有するものである。
【0019】
各グループ提示手段は、前記各事故情報グループを事故の発生頻度若しくは発生確率を共通の軸として、これらの値(区分)に基づいて当該軸上に並べて表示するように構成されている。
【0020】
また、前記発生頻度若しくは発生確率を、前記第一の事故情報グループを絞り込む際に指定された前記属性項目に応じて求められた分母から自動的に算出する自動算出手段を有する。例えば、人口、性別、地域などの属性項目が選択された場合、当該属性を持つ人口の母数は元の事故グループの内訳となるため、発生頻度若しくは発生確率を再計算する必要があるが、この再計算を自動的に行う。
【0021】
また、前記属性項目提示手段は、提示されている事故情報グループの更なる絞り込みを可能とする全ての属性項目をリスト表示するように構成されている。
【0022】
また、本実施例は、事故情報に付与されるタグ情報を該タグ情報に関連する事故情報の件数と共に提示するタグ情報提示手段と、提示された前記タグ情報中で選択されたタグ情報に関連する事故情報を抽出した検索結果を表示する検索結果表示手段とを有する。
【0023】
本実施例は、CPUなどの制御装置と、RAMなどの主記憶装置(メモリ)と、HDDやSSDなどの補助記憶装置と、液晶表示装置などの表示装置と、キーボードやマウスなどの入力装置と、通信ネットワークに接続するためのNICなどの通信装置と、バスとを備えた一般的なコンピュータに実装できる。例えば本実施例の機能は、コンピュータの補助記憶装置にプログラムの形式で格納される。プログラムは補助記憶装置から読み出されてメモリ上に展開され、CPUによって実行される。なお、本システムは、単体のコンピュータで構成しても良いし、サーバとこのサーバにネットワークを介して接続された少なくとも1つのコンピュータとで構成しても良い(機能の一部をネットワークを介して接続されたサーバ上で実行してもよい。)。
【0024】
本実施例は概略的には、事故情報データベースを参照して、選択された属性項目(タグ情報)が含まれる事故情報を検索・抽出する際、異なるタグ情報で順次絞り込みを行う場合に、検索された事故情報の所定のグループに含まれるタグ情報を並べて表示していくものである。
【0025】
図1に本実施例のフローチャートを示す。フローチャート中、少なくとも「案件インポート」→「案件編集」→「ハザードマトリックス作成」→「絞り込み分析」を順に行うことで、分析を行うことができる。
【0026】
補助記憶装置には、経済産業省、消費者庁の製品事故情報、リコール情報、顧客の声(要望やクレーム)および修理情報や、企業が保有する顧客の声、クレーム情報等を予め取り込んで、事故情報データベースを作成しておく(案件インポート)。また、タグ情報等に用いる語彙の定義・編集等を予め行っておいてもよい(語彙編集)。
【0027】
なお、タグ情報等に用いる語彙としてはIIDF(障害情報記述枠組みコーディングマニュアル)やAIDF(事故情報記述枠組みコーディングマニュアル)に基づくものとすることができる。IIDFはWHOの提案する疫学のモデルの4要素に障害結果を加えた5要素からなる枠組みであり、AIDFはさらに製品のリコール情報や事故に至る前のクレーム、修理情報を加えた枠組みである。
【0028】
取り込んだ情報は案件編集手段により適宜タグ情報に関連付ける(案件編集)。また、必要があればタグ情報編集手段により適宜タグ編集を行う。
【0029】
例えば、案件編集においては、手動に限らず、所定の文言が事故情報(案件)中の事故の内容欄や再発防止対策欄等に記載されている文言から自動的にタグ付けを行うようにし、自動的にタグ情報に関連付ける構成としても良い。また、タグ編集により所定の文言を所定のタグ情報に関連付けた場合に(AIの教師データとして利用し)、以後自動的に当該文言が含まれている場合には当該タグ情報に関連付けるようにしても良い。
【0030】
案件編集にて関連付けられたタグ情報をもとに集計を行いハザードマトリックスを作成・表示する(ハザードマトリックスの作成)。例えば縦軸を発生頻度、横軸を危害の程度としたマトリックス中に、危険源とメカニズムの組み合わせ毎に件数を集計したものを表示する(
図2参照)。
【0031】
ハザードマトリックスにおいて、選択された一の列の属性項目に含まれる事故情報の分析を行う際には、各列の下にあるリスクマップボタンを選択する(
図3~7参照)。そして当該列中の一の属性項目(本実施例では、危険源とメカニズムの組み合わせ)を選択すると、右隣にタグ情報表示領域とプルダウンメニューとが表示され、プルダウンメニューから一の属性項目を選択すると、当該属性項目に含まれるタグ情報がタグ情報表示領域に表示される。同様に繰り返すことで、当該属性項目中の案件を絞り込むことができる。この絞り込み操作は1~複数回行うことができる(絞り込み分析)。また、絞り込み操作は任意の段階に戻り、属性項目を選択しなおすことができるように構成されている。また、提示されたタグ情報を選択することで、当該タグ情報を含む事故情報を一覧表示することができる(
図8参照)。
【0032】
絞り込み分析について具体的に説明する。
図2中のリスクマップボタンを選択するとリスクスコープ画面が表示される。リスクスコープ画面は、ハザードマトリックスの一の列の左側にハザードマトリックスの縦軸(共通配置軸)と横軸の選択した危害の程度が表示された画面である。
【0033】
この状態で、一の属性項目(
図2ではH3.0M1)を選択すると、右隣にタグ情報表示領域とプルダウンメニューとが表示され、プルダウンメニューから一の属性項目(
図2では障害の部位)を選択すると、当該属性項目中のタグ情報が夫々件数と共に表示される。
【0034】
続いて、当該属性項目中の一のタグ情報(
図2では手首と手)を選択して確定ボタンを選択すると、右隣にさらにタグ情報表示領域とプルダウンメニューとが追加表示される。プルダウンメニューから属性項目として事故発生時の動作を選択すると、当該属性項目中のタグ情報が同様に表示され、一のタグ情報(握る)を選択して下の確定ボタンを選択すると、右隣にさらにタグ情報表示領域とプルダウンメニューと追加表示される。
【0035】
以下同様に、「治療分類」と「治療後、同一病院に入院」、「障害の酒類」と「やけど、電気など」、「事故における役割」を選択し、分析を行う。
【0036】
なお、
図8は「握る」を選択し、「握る」タグ情報を含む事故情報を一覧表示した状態である。
【0037】
上記処理を行うための各手段について以下に説明する。
【0038】
属性項目提示手段は、事象の危害の程度、傷害の種類、傷害の部位、治療分類、事故における役割および事故発生時の動作等のグループに分別されたタグ情報をグループ毎に表示する(事故情報は少なくとも1つのグループのタグ情報を含む。)。本実施例では、タグ情報提示手段によるタグ情報表示領域の下方のプルダウンメニューから選択する。
【0039】
タグ情報提示手段は、属性項目提示手段で提示された属性項目から選択した一の属性項目に含まれるタグ情報毎に集計した結果をタグ情報表示領域に表示する。
【0040】
検索結果表示手段は、表示されたタグ情報を選択し、そのタグ情報を含む事故情報を一覧表示する。本実施例では、タグ情報表示領域およびプルダウンメニューの下方に表示する。
【0041】
本実施例では、属性項目提示手段は、前記属性項目を複数箇所で提示可能であり、前記タグ情報提示手段は、異なる箇所で選択された夫々の前記グループに含まれる前記タグ情報同士を並べて表示させるように構成されている。
【0042】
具体的には、一の選択部(図中の確定ボタン)を選択することで既に選択された属性項目を除く他の属性項目の提示を開始させる属性項目提示開始手段(別のプルダウンメニューとタグ情報表示領域を右隣に表示する手段)を有している。
【0043】
また、前記事故情報は属性項目毎に分別されており、前記属性項目を提示する属性項目提示手段を有し、グループ提示手段は、選択された前記属性項目に関連する事故情報の中から前記タグ情報に関連する事故情報を抽出する。
【0044】
本実施例においては、属性項目には、「危険源」の種類と「メカニズム」の種類の組み合わせを含む。これは、危険源を示すHとメカニズムを示すMに夫々コードを付与し、HxxxMyyy(zzz)と表示される。例えばハザードマトリックスでH3M5(12)と表示されているものは、危険源が3且つメカニズムが5の属性項目の事故情報が12件であることを意味する。
【0045】
また、本実施例は、前記事故情報データベース中の前記事故情報から分析対象となる事故情報を予め選択する分析対象選択手段を有し、前記タグ情報提示手段は、前記分析対象選択手段により選択された前記事故情報中で選択された前記タグ情報を提示するように構成されている。
【0046】
具体的には、前記事故情報データベース中から任意の範囲の事故情報を選択してハザードマトリックスを作成するハザードマトリックス作成手段を有し、前記分析対象選択手段は、前記ハザードマトリックス中のいずれかの列に含まれる前記事故情報を分析対象として選択できるように構成されている。本実施例では、上述の通り、縦軸を発生頻度、横軸を危害の程度としたマトリックス中に、危険源とメカニズムの組み合わせ(属性項目)毎に件数を集計したものを表示する。
【0047】
また、本実施例はリスクマトリックスの作成・表示が可能に構成されている。
【0048】
例えば、案件に設定された危害の程度を用い、縦軸を発生頻度(業界毎の発生頻度区分)、横軸を危害の程度として集計し、マトリックス状に事故情報の件数を表示する。この状態から第一の事故情報を絞り込んでいく構成としても良い。また、セル(マス目)の件数を選択することで対象事故情報の詳細を一覧表示することができる(
図9参照)。
【0049】
また、以下の機能を備える構成としても良い。
【0050】
・マップ分析
事故発生件数を都道府県別に地図上に集計表示する。
【0051】
・グラフ分析
事故発生件数を発生時刻、地域、危険源、メカニズム、発生時の動作、発生場所、火災の有無、事故原因区分、年代、性別毎に棒グラフ、円グラフに集計表示する。
【0052】
・イベントドロップ分析
事故発生件数を都道府県毎に1980年から現在迄の間で傾向を分析する。
【0053】
・ヒートマップ分析
危険源軸とメカニズム、火災の有無、発生場所、傷害の種類毎に発生度合いを度合い毎に配色表示する。
【0054】
本実施例は上述のように構成したから、事故情報の抽出・分析を行うユーザにとっての利便性を向上させた従来にない情報分析システムとなる。