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特開2023-23825トークン管理プログラム、トークン管理装置、及びトークン管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023825
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】トークン管理プログラム、トークン管理装置、及びトークン管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/06 20120101AFI20230209BHJP
   G06Q 20/38 20120101ALI20230209BHJP
【FI】
G06Q20/06
G06Q20/38 310
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129712
(22)【出願日】2021-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】318013835
【氏名又は名称】M Entertainment Works株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小平 託
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA12
5L055AA71
(57)【要約】
【課題】トークンに新たな用途を与えることができるトークン管理プログラム、トークン管理装置、及びトークン管理方法を提供する。
【解決手段】トークン管理プログラムは、コンピュータに、電子データへのアクセス権を示す第1トークンを、第1ユーザからの第1トークン発行要求に基づいて、コンピュータと通信可能なブロックチェーンネットワークにおいて発行する第1発行トランザクションを、ブロックチェーンネットワークに送信する、第1トークン発行処理と、電子データへのアクセス権を示す第2トークンを、第1トークンを保有する第2ユーザからの第2トークン発行要求に基づいて、ブロックチェーンネットワークにおいて発行する第2発行トランザクションを、ブロックチェーンネットワークに送信する、第2トークン発行処理と、を実行させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
電子データへのアクセス権を示す第1トークンを、第1ユーザからの第1トークン発行要求に基づいて、前記コンピュータと通信可能なブロックチェーンネットワークにおいて発行する第1発行トランザクションを、前記ブロックチェーンネットワークに送信する、第1トークン発行処理と、
前記電子データへのアクセス権を示す第2トークンを、前記第1トークンを保有する第2ユーザからの第2トークン発行要求に基づいて、前記ブロックチェーンネットワークにおいて発行する第2発行トランザクションを、前記ブロックチェーンネットワークに送信する、第2トークン発行処理と、を実行させる、トークン管理プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のトークン管理プログラムであって、
前記第2トークン発行要求には、前記ブロックチェーンネットワークにおいて発行される前記第2トークンの発行数を示す情報が含まれ、
前記第2トークン発行処理は、前記発行数の前記第2トークンを発行するための前記第2発行トランザクションを前記ブロックチェーンネットワークに送信する、トークン管理プログラム。
【請求項3】
請求項2に記載のトークン管理プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記第2ユーザからの発行数減少要求に基づいて、前記ブロックチェーンネットワークにおいて、前記第2ユーザが保有する前記第2トークンの数を減少させる減少トランザクションを、前記ブロックチェーンネットワークに送信する、トークン数調整処理、をさらに実行させる、トークン管理プログラム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のトークン管理プログラムであって、
前記第1トークン発行処理は、前記第1トークンの価格を示す情報を含む前記第1トークン発行要求に基づいて、前記第1トークンを発行する前記第1発行トランザクションを、前記ブロックチェーンネットワークに送信し、
前記コンピュータに、
前記第2ユーザによって前記価格に対する支払がなされた場合に、前記第1トークンの保有者を前記第2ユーザとする移転トランザクションを、前記ブロックチェーンネットワークに送信する、第1トークン移転処理、をさらに実行させる、トークン管理プログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のトークン管理プログラムであって、
前記価格は第1価格であり、前記移転トランザクションは第1移転トランザクションであって、
前記第2トークン発行処理は、前記第2トークンの第2価格を示す情報を含む前記第2トークン発行要求に基づいて、前記第2トークンを発行する前記第2発行トランザクションを、前記ブロックチェーンネットワークに送信し、
前記コンピュータに、
前記第2トークンの保有者を前記第2ユーザとする第2移転トランザクションを、前記ブロックチェーンネットワークに送信する、第2トークン移転処理、をさらに実行させる、トークン管理プログラム。
【請求項6】
トークン管理装置であって、
電子データへのアクセス権を示す第1トークンを、前記電子データの管理者からの第1トークン発行要求に基づいて、前記トークン管理装置と通信可能なブロックチェーンネットワークにおいて発行する第1発行トランザクションを、前記ブロックチェーンネットワークに送信する、第1トークン発行部と、
前記電子データへのアクセス権を示す第2トークンを、前記第1トークンの保有者からの第2トークン発行要求に基づいて、前記ブロックチェーンネットワークにおいて発行する第2発行トランザクションを、前記ブロックチェーンネットワークに送信する、第2トークン発行部と、を備える、トークン管理装置。
【請求項7】
コンピュータが、
電子データへのアクセス権を示す第1トークンを、前記電子データの管理者からの第1トークン発行要求に基づいて、前記コンピュータと通信可能なブロックチェーンネットワークにおいて発行する第1発行トランザクションを、前記ブロックチェーンネットワークに送信し、
前記電子データへのアクセス権を示す第2トークンを、前記第1トークンの保有者からの第2トークン発行要求に基づいて、前記ブロックチェーンネットワークにおいて発行する第2発行トランザクションを、前記ブロックチェーンネットワークに送信する、トークン管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トークン管理プログラム、トークン管理装置、及びトークン管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブロックチェーンネットワークを活用した電子的価値の取引が広く行われている。ブロックチェーンネットワークにおいては、トークンと呼ばれる暗号資産をユーザが発行することができる。トークンの種類として、代替性トークン(Fungible token:FT)と非代替性トークン(Non-fungible token:NFT)とが存在する。
【0003】
代替性トークンは、例えば、疑似的な通貨として機能し得るトークンであり、共通の規格の下で発行された1つの代替性トークンと他の1つの代替性トークンとは等価である。例えば、通貨としての利用が可能な暗号資産の1つであるイーサリアムネットワークにおけるイーサ(ETH)は、代替性トークンである。一方、非代替性トークンは、個々の非代替性トークンが固有の価値を有し、1つの非代替性トークンと同じトークンはブロックチェーンネットワーク上に存在しないという性質を有するトークンである。特許文献1には、非代替性トークンを、非代替性トークンとは別の対象物についての取引等の管理に利用する方法が示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-89640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非代替性トークンは、例えば、デジタルアート等の電子データの管理に用いられる。この場合、ある電子データに関連付けられた非代替性トークンを保有するユーザのみが、電子データを利用できるようにすることによって、電子データの希少性が確保される。
【0006】
非代替性トークンは、非代替性トークンが関連付けられる対象の利用や非代替性トークン自体の売買取引など、様々な用途に用いられており、非代替性トークンを含むトークンの新たな用途は日々検討されている。
【0007】
そこで、本発明は、トークンに新たな用途を与えることができる、トークン管理プログラム、トークン管理装置、及びトークン管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るトークン管理プログラムは、コンピュータに、電子データへのアクセス権を示す第1トークンを、第1ユーザからの第1トークン発行要求に基づいて、コンピュータと通信可能なブロックチェーンネットワークにおいて発行する第1発行トランザクションを、ブロックチェーンネットワークに送信する、第1トークン発行処理と、電子データへのアクセス権を示す第2トークンを、第1トークンを保有する第2ユーザからの第2トークン発行要求に基づいて、ブロックチェーンネットワークにおいて発行する第2発行トランザクションを、ブロックチェーンネットワークに送信する、第2トークン発行処理と、を実行させる。
【0009】
この態様によれば、第1ユーザは、電子データへのアクセス権を示す第1トークンをブロックチェーンネットワークにおいて発行することができる。第1トークンと同じ電子データへのアクセス権を示す第2トークンは、第1トークンを保有する第2ユーザによって発行される。第1トークンを保有する第2ユーザは、自身が保有する第1トークンに示されるアクセス権に基づく電子データの利用、及び第1トークンを他のユーザへ売却する等による第1トークンの処分に加えて、自身のアクセス権を維持しつつ、第2トークンを発行することができるようになる。よって、第1トークンについて、新たな用途が提供される。
【0010】
上記態様のプログラムにおいて、第2トークン発行要求には、ブロックチェーンネットワークにおいて発行される第2トークンの発行数を示す情報が含まれ、第2トークン発行処理は、発行数の第2トークンを発行するための第2発行トランザクションをブロックチェーンネットワークに送信してもよい。
【0011】
この態様によれば、第2トークンの発行数を、第1トークンを保有する第2ユーザが調整することができる。よって、第2ユーザが、第1トークン及び第2トークンの希少性を保つように第2トークンを発行することができる。これにより、第1トークン及び第2トークンの価値が、第2ユーザによって調整されるようにできる。
【0012】
上記態様のプログラムは、コンピュータに、第2ユーザからの発行数減少要求に基づいて、ブロックチェーンネットワークにおいて、第2ユーザが保有する第2トークンの数を減少させる減少トランザクションを、ブロックチェーンネットワークに送信する、トークン数調整処理、をさらに実行させてもよい。
【0013】
この態様によれば、ブロックチェーンネットワークに流通する第2トークンの発行数を、第1トークンを保有する第2ユーザが減少させることができる。これにより、第1トークン及び第2トークンの価値が、第2ユーザによって調整されるようにできる。
【0014】
上記態様のプログラムにおいて、第1トークン発行処理は、第1トークンの価格を示す情報を含む第1トークン発行要求に基づいて、第1トークンを発行する第1発行トランザクションを、ブロックチェーンネットワークに送信し、プログラムは、コンピュータに、第2ユーザによって価格に対する支払がなされた場合に、第1トークンの保有者を第2ユーザとする移転トランザクションを、ブロックチェーンネットワークに送信する、第1トークン移転処理、をさらに実行させてもよい。
【0015】
この態様によれば、第1ユーザが、第1トークンの価格を設定可能となる。上記態様のプログラムが記憶されたトークン管理装置の管理者は、第1ユーザによって設定された価格に対して、第2ユーザから支払を受けることができる。例えば、電子データの提供者が、第1トークンの価格を設定し、管理者が提供者に対して、支払額の一部を分配することが可能となる。これにより、トークンの価値を調整可能としつつ、電子データの提供者に利益を安定的に分配することが可能となる。
【0016】
上記態様のプログラムにおいて、価格は第1価格であり、移転トランザクションは第1移転トランザクションであって、第2トークン発行処理は、第2トークンの第2価格を示す情報を含む第2トークン発行要求に基づいて、第2トークンを発行する第2発行トランザクションを、ブロックチェーンネットワークに送信し、プログラムは、コンピュータに、第2トークンの保有者を第2ユーザとする第2移転トランザクションを、ブロックチェーンネットワークに送信する、第2トークン移転処理、をさらに実行させてもよい。
【0017】
この態様によれば、第1トークンを保有する第2ユーザが、第2トークンの価格を設定可能となる。これにより、第2ユーザは、第1トークン及び第2トークンの価値が保たれるような価格を設定して第2トークンを発行することができる。これにより、第1トークン及び第2トークンの価値が、第2ユーザによって調整されるようにできる。
【0018】
本発明の他の態様に係るトークン管理装置は、電子データへのアクセス権を示す第1トークンを、電子データの管理者からの第1トークン発行要求に基づいて、トークン管理装置と通信可能なブロックチェーンネットワークにおいて発行する第1発行トランザクションを、ブロックチェーンネットワークに送信する、第1トークン発行部と、電子データへのアクセス権を示す第2トークンを、第1トークンの保有者からの第2トークン発行要求に基づいて、ブロックチェーンネットワークにおいて発行する第2発行トランザクションを、ブロックチェーンネットワークに送信する、第2トークン発行部と、を備える。
【0019】
本発明の他の態様に係るトークン管理方法は、コンピュータが、電子データへのアクセス権を示す第1トークンを、電子データの管理者からの第1トークン発行要求に基づいて、コンピュータと通信可能なブロックチェーンネットワークにおいて発行する第1発行トランザクションを、ブロックチェーンネットワークに送信し、電子データへのアクセス権を示す第2トークンを、第1トークンの保有者からの第2トークン発行要求に基づいて、ブロックチェーンネットワークにおいて発行する第2発行トランザクションを、ブロックチェーンネットワークに送信することを含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、トークンに新たな用途を与えることができるトークン管理プログラム、トークン管理装置、及びトークン管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態に係るトークン管理システムの概略図である。
図2】本実施形態に係るトークン発行のステップを説明する図である。
図3】本実施形態に係るトークン管理装置のブロック図である。
図4】本実施形態に係るモーション管理装置のブロック図である。
図5】本実施形態に係るトークン管理システムにおけるトークン発行までの処理を説明する図である。
図6】本実施形態に係るトークン購入画面の一例を示す図である。
図7】本実施形態に係るトークン発行画面の一例を示す図である。
図8】本実施形態に係るトークン購入画面の他の一例を示す図である。
図9】本実施形態に係るトークン管理システムにおけるトークン購入までの処理を説明する図である。
図10】本実施形態に係るブロックチェーンネットワークにおけるトークンの状態の一例を説明する図である。
図11】本実施形態に係るトークン管理システムにおけるトークン破棄までの処理を説明する図である。
図12】本実施形態に係るトークン購入画面の他の一例を示す図である。
図13】本実施形態に係るトークン破棄画面の一例を示す図である。
図14】本実施形態に係るブロックチェーンネットワークにおけるトークンの状態の他の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0023】
本実施形態では、トークン管理システム10によって管理されるトークンは、3次元空間における物体の動きを示すデータであるモーションデータ(3次元モーションデータ)に関連付けられるトークンであるとして説明する。なお、本実施形態で説明するトークンは、モーションデータ以外にも、画像、動画、音声その他の電子データに関連付けることができる。
【0024】
(トークン管理システム10の構成の概略)
図1には、トークン管理システム10の概略図が示される。トークン管理システム10は、トークン管理装置100、ブロックチェーンネットワーク200、ユーザ端末300a,300b、モーション提供者端末400、及びモーション管理装置500を有する。
【0025】
トークン管理装置100は、ブロックチェーンネットワーク200、ユーザ端末300a,300b、モーション提供者端末400、及びモーション管理装置500とネットワークNを通じて通信可能に接続される。ネットワークNは例えばインターネットである。
【0026】
トークン管理装置100は、所定のプログラムを実行することによって所定の処理を行うコンピュータを有する情報処理装置である。例えば、トークン管理装置100は、サーバ、あるいはパーソナルコンピュータである。トークン管理装置100は、トークン管理システム10においてトークンの発行、購入及び破棄を管理する装置である。トークン管理装置100は、ウェブサイトをユーザに提供し、ウェブサイトを通じてユーザからの操作を受け付けるウェブサーバとしても機能し得る。トークン管理装置100の各部については後述する。
【0027】
ブロックチェーンネットワーク200は、トランザクションが記録された台帳を複数の端末が共有して管理するシステムである。ブロックチェーンは、時系列にそって複数のブロックがチェーン状に繋がったデータであり、各ブロックは、一定期間におけるトランザクションのデータを含む。ブロックチェーンの技術では、複数のブロックが過去の情報を保持した状態で追加されるので、情報の改ざんが困難であるという特徴がある。
【0028】
本実施形態では、ブロックチェーンネットワーク200として、例えば、イーサリアム(Ethereum)を用いるものとする。また、ブロックチェーンネットワーク200は、トークンの発行が可能な他のブロックチェーンネットワークを用いてもよい。
【0029】
ユーザ端末300a,300bは、モーションデータのユーザが利用する電子機器であり、ここでは、通信部や表示部を備えるパーソナルコンピュータであるとする。なお、ユーザ端末は、さらに複数あってもよい。また、ユーザ端末300a,300bは、タブレット端末やスマートフォンであってもよい。
【0030】
モーション提供者端末400は、モーションデータの提供者が利用する電子機器であり、ここでは、通信部や表示部を備えるパーソナルコンピュータであるとする。なお、モーション提供者端末400は、さらに複数あってもよい。また、モーション提供者端末400は、タブレット端末やスマートフォンであってもよい。
【0031】
モーション管理装置500は、所定のプログラムを実行することによって所定の処理を行うコンピュータを有する情報処理装置である。例えば、モーション管理装置500は、サーバ、あるいはパーソナルコンピュータである。モーション管理装置500は、トークン管理システム10においてモーションデータの生成及び提供を管理する装置である。モーション管理装置500の各部については後述する。なお、モーション管理装置500とトークン管理装置100とは、図1のように別個の装置として実現されてもよく、1つの装置として実現されてもよい。
【0032】
(トークン管理システム10の動作の概略)
図2を参照して、トークン管理システム10における、トークンの発行及び分配と、モーションデータへのアクセスのステップについて説明する。
【0033】
図2のステップ(A)において、モーション提供者端末400は、モーション管理装置500に、モーションデータを生成するための情報として、動画データを送信する。動画データは、例えば、人間がダンスをする動画である。このとき、モーション提供者は、ダンサー、振付師又は動画に関する権利を有する者である。
【0034】
ステップ(B)において、モーション管理装置500は、動画データから、モーションデータを生成する。モーションデータは、例えば、機械学習されたモデルを用いたモーション抽出プログラムによる処理によって生成される。生成されたモーションデータは、元となる動画データに関連付けられてモーション管理装置500に記憶される。あるいは、モーション管理装置500は、既にモーションデータが生成されている動画データから、より精度の高い学習モデルを用いて生成されたモーションデータを生成し、当該動画データに更新されたモーションデータを関連付けて記憶してもよい。つまり、後述の親トークン又は子トークンを保有するユーザがアクセスする対象としてのモーションデータあるいは他の電子データは、更新され得るデータであってもよい。
【0035】
ステップ(C)において、モーション提供者(第1ユーザ)は、モーション提供者端末400を通じて、トークン管理装置100に親トークン発行要求(第1トークン発行要求)を送信する。親トークン(第1トークン)は、ブロックチェーンネットワーク200上に発行されるトークンである。親トークンは、例えば、ブロックチェーンネットワーク200がイーサリアムネットワークである場合、ERC721規格に基づいて発行された非代替性トークンである。親トークンは、固有のトークンIDを有し、トークンIDによって他のトークンと区別される。
【0036】
ブロックチェーンネットワーク200において親トークンを保有するユーザは、モーション管理装置500における対応するモーションデータにアクセスし、モーションデータを利用することができる権利であるアクセス権を有する。
【0037】
ここで、「親」という言葉は、後に説明するように、「親」トークンを有するユーザが、当該「親」トークンと共通のモーションデータへのアクセス権を示す「子」トークンを発行することができるという、トークン管理装置100の特徴に由来する。
【0038】
ステップ(D)において、トークン管理装置100は、ブロックチェーンネットワーク200に親トークン発行トランザクション(第1発行トランザクション)を送信する。親トークン発行トランザクションは、例えば、ブロックチェーンネットワーク200に設けられるスマートコントラクトに送信され、当該スマートコントラクトによって、ブロックチェーンネットワーク200上に親トークンが発行される(第1トークン発行処理)。
【0039】
ステップ(E)において、ユーザ端末300aを操作するユーザA(第2ユーザ)が、親トークンを購入する。ユーザAが親トークンを購入することによって、親トークンの保有者がユーザAとなるように、ブロックチェーンネットワーク200にトランザクションが送信される。購入ステップの詳細については後述する。
【0040】
ステップ(F)において、ユーザAは、ユーザ端末300aを通じてトークン管理装置100に、子トークン発行要求(第2トークン発行要求)を送信する。子トークン(第2トークン)は、例えば、親トークンと同様に、ERC721規格に基づいて発行された非代替性トークンである。子トークンは、自身の親トークンの情報を含み、親トークンと共通のモーションデータへのアクセス権を示すトークンである。子トークンは、固有のトークンIDを有し、トークンIDによって他の子トークンと区別される。
【0041】
ステップ(G)において、トークン管理装置100は、ブロックチェーンネットワーク200に子トークン発行トランザクション(第2発行トランザクション)を送信する。子トークン発行トランザクションは、例えば、ブロックチェーンネットワーク200に設けられるスマートコントラクトに送信され、当該スマートコントラクトによって、ブロックチェーンネットワーク200上に子トークンが発行される(第2トークン発行処理)。発行された子トークンは、親トークンの保有者であるユーザAに移転される(第2トークン移転処理)。
【0042】
ステップ(H)において、ユーザ端末300bを操作するユーザBが、子トークンを購入する。ユーザBが子トークンを購入することによって、子トークンの保有者がユーザBとなるように、ブロックチェーンネットワーク200にトランザクションが送信される。この購入ステップの詳細についても、ステップ(E)と同様に後述する。
【0043】
親トークンを保有するユーザA及び子トークンを保有するユーザBは、それぞれ、モーション管理装置500にアクセスし、モーションデータを利用することができる。モーションデータの利用とは、例えば、当該モーションデータを利用した、新たな動画の生成などである。
【0044】
(トークン管理装置100の構成)
図3を参照してトークン管理装置100の各部について説明する。図3には、トークン管理装置100のブロック図が示される。トークン管理装置100は、通信部101、記憶部102、親トークン発行部1031、親トークン移転部1032、子トークン発行部1033、子トークン移転部1034、及びトークン数調整部1035を有する。トークン管理装置100の各部は、例えば、トークン管理装置100において、メモリ等の記憶領域を用いたり、記憶領域に格納されたプログラムをプロセッサが実行したりすることによって、実現することができる。
【0045】
通信部101は、トークン管理装置100によるネットワークNを通じたブロックチェーンネットワーク200、ユーザ端末300a,300b、モーション提供者端末400、及びモーション管理装置500を含む外部との間の通信を制御する。
【0046】
記憶部102は、トークン管理装置100での処理に用いられる各種の情報を記憶する。
【0047】
親トークン発行部1031(第1トークン発行部)は、親トークン発行要求に基づいて、ブロックチェーンネットワーク200において親トークンを発行する親トークン発行トランザクションを、ブロックチェーンネットワーク200に送信する。親トークン発行部1031は、親トークンの価格をモーション提供者端末400から取得し、親トークン発行要求に価格が含まれるように、親トークン発行トランザクションを送信してもよい。
【0048】
親トークン移転部1032(第1トークン移転部)は、親トークンを購入するユーザによって親トークンの価格に対する支払がなされた場合に、親トークンの保有者を当該ユーザとする移転トランザクション(第1移転トランザクション)を、ブロックチェーンネットワーク200に送信する。また、親トークン移転部1032は、発行直後の親トークンの移転のみならず、親トークンを購入したユーザが、他のユーザに親トークンを売却する場合のトークンの移転のためのトランザクションをブロックチェーンネットワーク200に送信するようにもできる。
【0049】
子トークン発行部1033(第2トークン発行部)は、子トークン発行要求に基づいて、子トークンをブロックチェーンネットワーク200において発行する子トークン発行トランザクションを、ブロックチェーンネットワーク200に送信する。子トークン発行部1033は、子トークンの発行数を、親トークンを保有するユーザのユーザ端末(例えばユーザ端末300a)から取得する。子トークン発行部1033は、取得した発行数の子トークンがブロックチェーンネットワーク200において発行されるように子トークン発行トランザクションを送信する。また、子トークン発行部1033は、子トークンの価格を、親トークンを保有するユーザのユーザ端末から取得する。子トークン移転部1034は、子トークン発行要求に子トークンの価格が含まれるように、子トークン発行トランザクションを送信してもよい。
【0050】
子トークン移転部1034(第2トークン移転部)は、発行直後の子トークンの保有者を、親トークンを保有するユーザとする子トークン移転トランザクション(第2移転トランザクション)を、ブロックチェーンネットワーク200に送信する。また、子トークン移転部1034は、発行直後の子トークンの移転のみならず、子トークンを購入したユーザが、他のユーザに子トークンを売却する場合のトークンの移転のためのトランザクションをブロックチェーンネットワーク200に送信するようにもできる。
【0051】
トークン数調整部1035は、親トークンを保有するユーザのユーザ端末(例えばユーザ端末300a)から子トークンの発行数を減少させる発行数減少要求を取得する。トークン数調整部1035は、発行数減少要求に基づいて、ブロックチェーンネットワーク200において、親トークンを保有するユーザが保有する子トークンの数を減少させる減少トランザクションを、ブロックチェーンネットワーク200に送信する。減少トランザクションは、例えば、ブロックチェーンネットワーク200上において、親トークンを保有するユーザが保有する子トークンを破棄するためのトランザクションである。
【0052】
(モーション管理装置500の構成)
図4を参照して、モーション管理装置500の各部について説明する。図4にはモーション管理装置500のブロック図が示される。モーション管理装置500は、通信部501、モーションデータ生成部502,モーションデータ提供部503、及び記憶部504を有する。モーション管理装置500の各部は、例えば、モーション管理装置500において、メモリ等の記憶領域を用いたり、記憶領域に格納されたプログラムをプロセッサが実行したりすることによって、実現することができる。
【0053】
通信部501は、モーション管理装置500によるネットワークNを通じたトークン管理装置100、ブロックチェーンネットワーク200、ユーザ端末300a,300b、及びモーション提供者端末400を含む外部との間の通信を制御する。
【0054】
モーションデータ生成部502は、モーション提供者端末400を通じてモーション管理装置500に送信された動画データに基づいて、モーションデータを生成する。モーションデータ生成部502は、例えば、機械学習されたモデルを用いて、モーションデータを生成する。
【0055】
モーションデータ提供部503は、モーション管理装置500にアクセスするユーザに対して、モーションデータの提供の可否を判断し、モーションデータの提供を管理する。モーションデータ提供部503は、ユーザからモーションデータの要求を受け付けると、ブロックチェーンネットワーク200において、対象のモーションデータの親トークン又は子トークンを参照する。モーション管理装置500にアクセスしたユーザが、親トークン又は子トークンを保有する場合、モーションデータ提供部503は、対象のモーションデータへのアクセスを許可する。
【0056】
記憶部504は、モーション管理装置500での処理に用いられる各種の情報を記憶する。記憶部504には、図4のテーブルに示されるように、「モーション提供者」、「動画データ」、「動画情報」、「モーションデータ」、及び「親トークン」の情報が互いに関連付けられて記憶される。
【0057】
「モーション提供者」の項目には、モーションデータの基となる動画データの提供者の情報が記憶される。「動画データ」の項目には提供された動画データの情報が記憶される。「動画情報」の項目には、動画の撮影日時や動画が撮影されたイベント名又は動画に用いられる楽曲名を示す情報が記憶される。「モーション提供者」、「動画データ」、「動画情報」の各情報は、モーション提供者によって、モーション提供者端末400を通じてモーション管理装置500に送信され、記憶される。
【0058】
「モーションデータ」の項目には、モーションデータ生成部502によって生成されたモーションデータが記憶される。「親トークン」の項目には、モーションデータが対応する親トークンの情報が記憶される。親トークンの情報とは、例えば、親トークンのトークンIDである。親トークンの情報は、親トークンの発行時に、トークン管理装置100から送信され、記憶部504に記憶される。また、親トークンの情報は、親トークンの移転時にもトークン管理装置100から送信され、記憶部504に更新されて記憶される。
【0059】
(親トークン発行処理及び子トークン発行処理)
図5を参照して、トークン管理システム10における子トークンの発行までの処理について説明する。
【0060】
ステップS501において、モーション管理装置500は、動画データからモーションデータを生成する。生成されたモーションデータは、モーション管理装置500に記憶される。
【0061】
ステップS502において、親トークン発行部1031は、親トークン発行要求を取得する。親トークン発行要求は、図2で説明したように、モーション提供者端末400を通じて取得されてもよく、あるいは、トークン管理装置100の管理者による操作によって取得されてもよい。親トークン発行要求には、親トークンの価格が含まれており、トークン管理装置100は、価格を親トークンに関連付けて記憶部102に記憶する。
【0062】
ステップS503において、親トークン発行部1031は、親トークン発行トランザクションをブロックチェーンネットワーク200に送信する。
【0063】
ステップS504において、ブロックチェーンネットワーク200上に親トークンが発行される。なお、この時点でのトークンの保有者は、トークン管理装置100の管理者である。
【0064】
ステップS505において、親トークン発行部1031は、ブロックチェーンネットワーク200を参照して親トークンの情報を取得し、取得された親トークンの情報を、モーション管理装置500に送信する。モーション管理装置500は、モーションデータに親トークンの情報を関連付けて記憶部504に記憶する。
【0065】
ステップS506において、親トークンを購入しようとするユーザAから、ユーザ端末300aを通じてトークン管理装置100に、親トークン購入画面の要求が送信される。
【0066】
ステップS507において、親トークン移転部1032は、親トークン購入画面の情報をユーザ端末300aに送信する。
【0067】
ステップS508において、ユーザ端末300aは、親トークン購入画面をユーザAに表示する。
【0068】
図6には、一例として、ユーザAの親トークン購入画面601が示される。親トークン情報表示欄602には、親トークンが関連付けられるモーションデータの「ダンサー」、「振付師」を示す情報、親トークンの「価格」、及び「手数料」が表示される。例えば、モーションデータのダンサーや振付師を示す情報は、親トークン発行要求に含まれてトークン管理装置100に送信された情報に基づいて表示される。あるいは、モーションデータのダンサーや振付師を示す情報は、トークン管理装置100がモーション管理装置500に記憶された情報を参照して得られた情報に基づいて表示される。また、価格の情報は、親トークン発行要求に含まれた情報に基づいて表示される。また、手数料の情報は、トークン管理装置100の管理者が設定した手数料率の情報に基づいて表示される。手数料は、例えば、価格に対する割合として設定されている。図6の例では、10,000円という価格のうち、15%が管理者への手数料であり、残りが親トークンの保有者への対価となる。あるいは、10,000円の15%が10,000円に上乗せされて、手数料として決済されてもよい。
【0069】
ステップS509において、ユーザAによる購入ボタン603の選択に基づいて、所定の決済情報を含んだ購入情報がトークン管理装置100に送信される。購入情報には、ユーザAのブロックチェーンネットワーク200におけるアドレスが含まれる。
【0070】
ステップS510において、トークン管理装置100は、ユーザAによる決済を確認する。決済は、例えば、ブロックチェーンネットワーク200上の暗号資産によって行われてもよく、あるいはクレジットカード情報に基づく決済が行われてもよい。トークン管理装置100は、ブロックチェーンネットワーク200を参照すること、又はクレジットカード会社のサーバから決済結果を取得することによって、決済を確認することができる。
【0071】
ステップS511において、親トークン移転部1032は、親トークンをユーザAに移転する親トークン移転トランザクションをブロックチェーンネットワーク200に送信する。これにより、親トークンがトークン管理装置100の管理者からユーザAに移転される。
【0072】
ステップS512において、ユーザAは、ユーザ端末300aを通じて、モーション管理装置500にモーションデータの要求を送信する。
【0073】
ステップS513において、モーションデータ提供部503は、ブロックチェーンネットワーク200における対象のモーションデータの親トークンの情報を参照する。
【0074】
ステップS514において、モーションデータ提供部503は、ブロックチェーンネットワーク200における親トークンの保有者がユーザAであるかどうかを判断することによって、親トークンの保有状態を確認する。
【0075】
ユーザAが親トークンの保有者であることが確認された場合、ステップS515において、モーション管理装置500は、ユーザ端末300aにモーションデータを送信する。なお、モーション管理装置500は、親トークンの保有者でないユーザには、モーションデータを送信しない。
【0076】
次に、子トークンの発行について説明する。ステップS516において、親トークンの保有者であるユーザAは、ユーザ端末300aを通じて、トークン管理装置100に子トークン発行画面の要求を送信する。
【0077】
ステップS517において、子トークン発行部1033は、ブロックチェーンネットワーク200における、子トークンの親となる親トークンの情報を参照する。
【0078】
ステップS518において、子トークン発行部1033は、ブロックチェーンネットワーク200における親トークンの保有者がユーザAであるかどうかを判断することによって、親トークンの保有状態を確認する。
【0079】
ユーザAが親トークンの保有者であることが確認された場合、ステップS515において、子トークン発行部1033は、子トークン発行画面の情報をユーザ端末300aに送信する。なお、モーション管理装置500は、親トークンの保有者でないユーザには、子トークン発行画面の情報を送信しない。
【0080】
ステップS520において、ユーザ端末300aは、子トークン購入画面をユーザAに表示する。
【0081】
図7には、一例として、ユーザAの子トークン発行画面701が示される。子トークン発行画面701は、子トークン情報入力欄702を有する。子トークン情報入力欄702の「価格」及び「発行数」には、対応する情報がユーザAによって入力される。なお、発行数は、1つであってもよい。また、発行数が1つであることがトークン管理装置100の管理者によって予め定められている場合には、発行数は入力されなくともよく、子トークン情報入力欄702には発行数の入力欄が設けられなくてもよい。
【0082】
ステップS521において、ユーザAによる発行ボタン703の選択に基づいて、子トークン情報入力欄702に入力された情報を含む子トークン発行要求が、トークン管理装置100に送信される。子トークン発行要求には、ユーザAのブロックチェーンネットワーク200におけるアドレスが含まれる。
【0083】
ステップS522において、子トークン発行部1033は、子トークン発行トランザクションをブロックチェーンネットワーク200に送信する。
【0084】
ステップS523において、ブロックチェーンネットワーク200上に子トークンが発行される。なお、発行された子トークンの保有者は、子トークン移転部1034がブロックチェーンネットワーク200に送信するトランザクションによって、ユーザAとされる。
【0085】
(子トークン購入処理)
図8を参照して、ユーザBによる子トークンの購入について説明する。
【0086】
ステップS801において、子トークンを購入しようとするユーザBから、ユーザ端末300bを通じてトークン管理装置100に、子トークン購入画面の要求が送信される。
【0087】
ステップS802において、子トークン移転部1034は、子トークン購入画面の情報をユーザ端末300bに送信する。
【0088】
ステップS803において、ユーザ端末300bは、子トークン購入画面をユーザBに表示する。
【0089】
図9には、一例として、ユーザBの子トークン購入画面901が示される。子トークン情報表示欄902には、親トークン購入画面601と同様に、親トークンが関連付けられるモーションデータのダンサーや振付師を示す情報、親トークンの価格、及び手数料が表示される。また、子トークン情報表示欄902には、親トークンの保有者を示す情報が表示されてもよい。子トークン情報表示欄902における価格は、ユーザAによって入力された価格に基づいて表示される。また、手数料は、親トークンと同様の手数料が表示される。なお、手数料は、トークン管理装置100の管理者によって親トークンと子トークンとで変更されてもよい。
【0090】
ステップS804において、ユーザBによる購入ボタン903の選択に基づいて、所定の決済情報を含んだ購入情報がトークン管理装置100に送信される。購入情報には、ユーザBのブロックチェーンネットワーク200におけるアドレスが含まれる。
【0091】
ステップS805において、トークン管理装置100は、ユーザBによる決済を確認する。この処理は、ステップS510における処理と同様である。
【0092】
ステップS806において、子トークン移転部1034は、子トークンをユーザBに移転する子トークン移転トランザクションをブロックチェーンネットワーク200に送信する。これにより、子トークンがユーザAからユーザBに移転される。
【0093】
ステップS807において、ユーザBは、ユーザ端末300bを通じて、モーション管理装置500にモーションデータの要求を送信する。
【0094】
ステップS808において、モーションデータ提供部503は、ブロックチェーンネットワーク200における対象のモーションデータの子トークンの情報を参照する。
【0095】
ステップS809において、モーションデータ提供部503は、ブロックチェーンネットワーク200における子トークンの保有者がユーザAであること及び子トークンの親トークンが、対象のモーションデータに関連付けられた親トークンであるかどうかを判断することによって、子トークンの保有状態を確認する。
【0096】
ユーザBが適切な子トークンの保有者であることが確認された場合、ステップS810において、モーション管理装置500は、ユーザ端末300bにモーションデータを送信する。
【0097】
図10は、ここまで説明した子トークンの発行及び子トークンの移転までの処理による、ブロックチェーンネットワーク200上のトークンの個数及び保有者の変遷を模式的に説明する図である。
【0098】
ブロックチェーンネットワーク200では、トークンが、「トークンID」、「モーション提供者」、「トークン種別」、「利用可能モーションデータ」、及び「トークン保有者」の情報を有するように、トークンの発行が行われる。これは、親トークンと子トークンいずれでも共通である。
【0099】
「トークンID」及び「トークン保有者」の情報は、ブロックチェーンネットワーク200に直接記憶される情報であるが、「モーション提供者」、「トークン種別」、「利用可能モーションデータ」の情報は、ブロックチェーンネットワーク200の外部のサーバにて管理されるメタ情報として、ブロックチェーンネットワーク200では管理される。
【0100】
「トークンID」は、ブロックチェーンネットワーク200においてトークンを一意に識別する情報である。「トークンID」は、例えば、トークン発行時にブロックチェーンネットワーク200のスマートコントラクトによって生成される。
【0101】
「モーション提供者」、「トークン種別」、「利用可能モーションデータ」の情報は、トークン管理装置100がブロックチェーンネットワーク200に送信する親トークン発行トランザクション又は子トークン発行トランザクションに含まれる情報である。「トークン種別」は、当該トークンが親トークンであるか子トークンであるかを示す情報である。「トークン種別」は、子トークンの場合、例えば、親トークンのトークンIDを含むようにして、子トークンの親トークンが判別できるように記憶される。「利用可能モーションデータ」の情報は、当該トークンの保有者がアクセス可能なモーションデータを示す情報である。
【0102】
「トークン保有者」の情報は、ブロックチェーンネットワーク200における各ユーザのアドレスであり、トークンの保有者を示す情報である。
【0103】
図10では、(A)子トークンの発行のステップによって、ブロックチェーンネットワーク200上に親トークンに基づいて、子トークンが発行された状態が示される。発行直後の子トークンの保有者は親トークンの保有者であるユーザAである。
【0104】
図10では、(B)子トークンの移転のステップによって、ブロックチェーンネットワーク200上で子トークンが移転された状態が示される。
【0105】
(子トークンの破棄処理)
図11を参照して、子トークンの破棄について説明する。ここでは、親トークンの保有者であるユーザAが自身の子トークンを破棄するまでの処理を説明する。子トークンの破棄は、子トークンの発行数を減少させ、子トークンの希少性を高め、親トークン及び子トークンの価値を高くするために、親トークンの保有者によって行われる。
【0106】
ステップS1101において、子トークンを購入しようとするユーザAから、ユーザ端末300aを通じてトークン管理装置100に、子トークン購入画面の要求が送信される。
【0107】
ステップS1102において、子トークン移転部1034は、子トークン購入画面の情報をユーザ端末300aに送信する。
【0108】
ステップS1103において、ユーザ端末300aは、子トークン購入画面をユーザAに表示する。
【0109】
図12には、一例として、ユーザAの子トークン購入画面1201が示される。子トークン情報表示欄1202には、子トークン情報表示欄902と同様の情報が示される。子トークン情報表示欄1202における価格の情報は、ユーザBによって入力された価格に基づいて表示される。なお、子トークン情報表示欄1202における「¥5,000」という価格は、子トークンの需要の変動に伴う価値の低下を示している。
【0110】
ステップS1104において、ユーザAによる購入ボタン1203の選択に基づいて、所定の決済情報を含んだ購入情報がトークン管理装置100に送信される。購入情報には、ユーザAのブロックチェーンネットワーク200におけるアドレスが含まれる。
【0111】
ステップS1105において、トークン管理装置100は、ユーザAによる決済を確認する。この処理は、ステップS510における処理と同様である。
【0112】
ステップS1106において、子トークン移転部1034は、子トークンをユーザAに移転する子トークン移転トランザクションをブロックチェーンネットワーク200に送信する。これにより、子トークンがユーザBからユーザAに移転される。
【0113】
ステップS1107において、子トークンを破棄しようとするユーザAから、ユーザ端末300aを通じてトークン管理装置100に、子トークン破棄画面の要求が送信される。
【0114】
ステップS1108において、トークン数調整部1035は、ブロックチェーンネットワーク200における、子トークンの親トークンの情報を参照する。
【0115】
ステップS1109において、トークン数調整部1035は、ブロックチェーンネットワーク200における親トークンの保有者がユーザAであるかどうかを判断することによって、親トークンの保有状態を確認する。
【0116】
ユーザAが親トークンの保有者であることが確認された場合、ステップS1110において、トークン数調整部1035は、子トークン破棄画面の情報をユーザ端末300aに送信する。なお、トークン数調整部1035は、親トークンの保有者でないユーザには、子トークン破棄画面の情報を送信しない。
【0117】
ステップS1111において、ユーザ端末300aは、子トークン破棄画面をユーザAに表示する。
【0118】
図13には、一例として、ユーザAの子トークン購入画面1301が示される。子トークン破棄情報表示欄1302には、「価格」、「破棄数」、「手数料」の項目に対応する情報が表示される。「価格」の情報は、子トークンの価格である。「破棄数」の情報は、ユーザAが破棄したいトークンの数を示す情報である。破棄数は、ユーザAによって入力される。「手数料」の情報は、トークン管理装置100の管理者が設定した手数料率の情報に基づいて表示される。なお、破棄の場合の手数料は、購入の場合と同じであっても異なっていてもよい。
【0119】
ステップS1112において、ユーザAによる破棄ボタン1303の選択に基づいて、子トークン破棄情報表示欄1302の情報を含む発行数減少要求がトークン管理装置100に送信される。
【0120】
ステップS1113において、トークン管理装置100は、ユーザAによる、破棄手数料の決済を確認する。この処理は、ステップS510における処理と同様である。
【0121】
ステップS1114において、トークン数調整部1035は、子トークンを破棄する子トークン破棄トランザクションをブロックチェーンネットワーク200に送信する。
【0122】
ステップS1115において、ブロックチェーンネットワーク200上の、ユーザAの子トークンが破棄される。
【0123】
図14は、ユーザAによる子トークンの購入及び子トークンの破棄までの処理による、ブロックチェーンネットワーク200上のトークンの個数及び保有者の変遷を、図10と同様に模式的に説明する図である。
【0124】
図14では、(A)子トークンの買い戻しによって、ブロックチェーンネットワーク200上に子トークンが親トークンの保有者であるユーザAによって、買い戻された状態が示される。
【0125】
図14では(B)子トークンの破棄によって、ブロックチェーンネットワーク200上でユーザAが保有する子トークンが破棄された状態が示される。なお、このとき、ブロックチェーンネットワーク200では、ユーザD又はユーザEが保有する子トークン、つまりユーザAが保有していない子トークンは破棄されていない。
【0126】
このように、子トークンを親トークンの保有者が破棄できるようにすることで、子トークンの発行数を減少させ、親トークン及び子トークンの価値を高くすることができる。なお、子トークンを親トークンの保有者が買い戻し、保有し続けることによっても、子トークンの流通量を制御することは可能である。
【0127】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、条件等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0128】
10…トークン管理システム、100…トークン管理装置、200…ブロックチェーンネットワーク、300a,300b…ユーザ端末、400…モーション提供者端末、500…モーション管理装置、1031…親トークン発行部、1032…親トークン移転部、1033…子トークン発行部、1034…子トークン移転部、1035…トークン数調整部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2022-09-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
電子データへのアクセス権を示す第1トークンを、第1ユーザからの第1トークン発行要求に基づいて、前記コンピュータと通信可能なブロックチェーンネットワークにおいて発行する第1発行トランザクションを、前記ブロックチェーンネットワークに送信する、第1トークン発行処理と、
記第1トークンを保有する第2ユーザからの第2トークン発行要求に基づいて、前記ブロックチェーンネットワークにおいて、前記第2ユーザが保有者とされ、前記電子データへのアクセス権を示す第2トークンを発行する第2発行トランザクションを、前記ブロックチェーンネットワークに送信する、第2トークン発行処理と、を実行させる、トークン管理プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のトークン管理プログラムであって、
前記第2トークン発行要求には、前記ブロックチェーンネットワークにおいて発行される前記第2トークンの発行数を示す情報が含まれ、
前記第2トークン発行処理は、前記発行数の前記第2トークンを発行するための前記第2発行トランザクションを前記ブロックチェーンネットワークに送信する、トークン管理プログラム。
【請求項3】
請求項2に記載のトークン管理プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記第2ユーザからの発行数減少要求に基づいて、前記ブロックチェーンネットワークにおいて、前記第2ユーザが保有する前記第2トークンの数を減少させる減少トランザクションを、前記ブロックチェーンネットワークに送信する、トークン数調整処理、をさらに実行させる、トークン管理プログラム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のトークン管理プログラムであって、
前記第1トークン発行処理は、前記第1トークンの価格を示す情報を含む前記第1トークン発行要求に基づいて、前記第1トークンを発行する前記第1発行トランザクションを、前記ブロックチェーンネットワークに送信し、
前記コンピュータに、
前記第2ユーザによって前記価格に対する支払がなされた場合に、前記第1トークンの保有者を前記第2ユーザとする移転トランザクションを、前記ブロックチェーンネットワークに送信する、第1トークン移転処理、をさらに実行させる、トークン管理プログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のトークン管理プログラムであって、
前記価格は第1価格であり、前記移転トランザクションは第1移転トランザクションであって、
前記第2トークン発行処理は、前記第2トークンの第2価格を示す情報を含む前記第2トークン発行要求に基づいて、前記第2トークンを発行する前記第2発行トランザクションを、前記ブロックチェーンネットワークに送信し、
前記コンピュータに、
前記第2トークンの保有者を前記第2ユーザとする第2移転トランザクションを、前記ブロックチェーンネットワークに送信する、第2トークン移転処理、をさらに実行させる、トークン管理プログラム。
【請求項6】
トークン管理装置であって、
電子データへのアクセス権を示す第1トークンを、前記電子データの管理者からの第1トークン発行要求に基づいて、前記トークン管理装置と通信可能なブロックチェーンネットワークにおいて発行する第1発行トランザクションを、前記ブロックチェーンネットワークに送信する、第1トークン発行部と、
記第1トークンを保有するユーザからの第2トークン発行要求に基づいて、前記ブロックチェーンネットワークにおいて、前記ユーザが保有者とされ、前記電子データへのアクセス権を示す第2トークンを発行する第2発行トランザクションを、前記ブロックチェーンネットワークに送信する、第2トークン発行部と、を備える、トークン管理装置。
【請求項7】
コンピュータが、
電子データへのアクセス権を示す第1トークンを、前記電子データの管理者からの第1トークン発行要求に基づいて、前記コンピュータと通信可能なブロックチェーンネットワークにおいて発行する第1発行トランザクションを、前記ブロックチェーンネットワークに送信し、
記第1トークンを保有するユーザからの第2トークン発行要求に基づいて、前記ブロックチェーンネットワークにおいて、前記ユーザが保有者とされ、前記電子データへのアクセス権を示す第2トークンを発行する第2発行トランザクションを、前記ブロックチェーンネットワークに送信する、トークン管理方法。