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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023833
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】塵芥収集車
(51)【国際特許分類】
   B65F 3/00 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
B65F3/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129728
(22)【出願日】2021-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】今岡 大策
(72)【発明者】
【氏名】中谷 祐輔
【テーマコード(参考)】
3E024
【Fターム(参考)】
3E024AA04
3E024BA01
3E024CA07
3E024DA01
3E024DC02
3E024HA02
3E024HB03
3E024HB04
3E024HB05
3E024HC02
3E024HD04
3E024HD05
(57)【要約】
【課題】作業者への安全性を確保しながらも、積込効率が低下することを抑制することができる塵芥収集車を提供する。
【解決手段】積込装置5に対して作業者が作業を行う作業エリアを撮像する撮像手段と、撮像手段が撮像した画像に基づいて制御をする制御部7と、を備え、画像には、作業エリアにおける積込装置近傍で、作業者に危険の及ぶ可能性がある危険エリアの境界を示す境界ラインが設定され、制御部7は、画像に撮像された人物像が境界ラインを危険エリア側に越えたか否かを判断する越境判断手段73と、越境判断手段73が越境したと判断した場合には、積込装置5の積込動作を停止させるように指示する指示手段74と、指示手段74の指示を一時的に解除する一時解除手段76と、を備え、一時解除手段76は、所定条件を満たすことにより一時解除手段76を無効にして指示手段74の指示を実行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥を収容する塵芥収容箱と、
作業者が塵芥を投入する投入部及び該投入部に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に押し込む押込部材を備える積込装置と、
該積込装置に対して作業者が作業を行う作業エリアを撮像する撮像手段と、
該撮像手段が撮像した画像に基づいて制御をする制御部と、を備え、
前記画像には、作業エリアにおける前記積込装置近傍で、作業者に危険の及ぶ可能性がある危険エリアの境界を示す境界ラインが設定され、
前記制御部は、
前記画像に撮像された人物像が前記境界ラインを危険エリア側に越えたか否かを判断する越境判断手段と、
前記越境判断手段が越境したと判断した場合には、前記積込装置の積込動作を停止させるように指示する指示手段と、
作業者の操作により、前記指示手段の指示を一時的に解除する一時解除手段と、を備え、
前記制御部は、前記一時解除手段の作動中の作業者の安全に関する所定条件を満たすことにより該一時解除手段の作動を解除して前記指示手段の指示を実行させるように構成されていることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
前記所定条件は、前記人物像が前記境界ラインを危険エリア側に複数回越えたことを前記越境判断手段が判断したことである請求項1に記載の塵芥収集車。
【請求項3】
前記所定条件は、前記一時解除手段が作動した時点から所定時間経過したことであり、前記積込装置を1回のサイクル動作を行って止める単独運転時と前記サイクル動作を繰り返す連続運転時で前記所定時間を異ならせている請求項1に記載の塵芥収集車。
【請求項4】
前記所定条件は、前記積込装置の積込動作を開始する操作部が操作されたことである請求項1に記載の塵芥収集車。
【請求項5】
前記所定条件は、走行用駆動源から動力を取り出して前記積込装置に供給する動力取出装置の作動開始又は作動停止を操作する動力取出操作部が操作されたことである請求項1に記載の塵芥収集車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥を塵芥収容箱に収容できる積込装置を備えた塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、塵芥を収容する塵芥収容箱と、作業者等により後方の投入口から投入された塵芥を一時的に保持し、前記塵芥収容箱の内部へ塵芥を移動させる積込装置を備える塵芥投入箱と、を備えた塵芥収集車が知られている。
【0003】
上記塵芥収集車には、塵芥投入箱の塵芥を積込装置で塵芥収容箱の内部へ移動させる際に、塵芥投入箱の投入口へ塵芥を投げ込む作業者が積込装置との接触を避けることができるように安全性を確保するための監視システムが設けられている。この監視システムは、塵芥収集車の後端部の上部に設けられ、積込装置の周辺を撮像するカメラと、カメラからの撮像情報に基づいて積込装置の駆動を停止させるための制御装置と、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記監視システムでは、制御部が、カメラで撮像した撮像情報に基づいて、侵入禁止領域内に侵入している人物像(例えば作業者)が存在しているか否かを判断し、侵入禁止領域内に人物像が侵入していると判断すると、積込装置の駆動を停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4283568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記構成では、例えば、塵芥投入口に投入される物体が、人物に類似した特徴を有する人形やマネキン等であると、その物体を人物であると誤検出してしまうことがある。その誤検出された物体が、塵芥投入口に投入されると、進入禁止エリア内に進入したと判定されるため、積込装置の駆動を停止してしまい、積込効率が低下するという不都合があり、改善の余地があった。
【0007】
そこで本発明は、作業者への安全性を確保しながらも、積込効率が低下することを抑制することができる塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の塵芥収集車は、塵芥を収容する塵芥収容箱と、作業者が塵芥を投入する投入部及び該投入部に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に押し込む押込部材を備える積込装置と、該積込装置に対して作業者が作業を行う作業エリアを撮像する撮像手段と、該撮像手段が撮像した画像に基づいて制御をする制御部と、を備え、前記画像には、作業エリアにおける前記積込装置近傍で、作業者に危険の及ぶ可能性がある危険エリアの境界を示す境界ラインが設定され、前記制御部は、前記画像に撮像された人物像が前記境界ラインを危険エリア側に越えたか否かを判断する越境判断手段と、前記越境判断手段が越境したと判断した場合には、前記積込装置の積込動作を停止させるように指示する指示手段と、作業者の操作により、前記指示手段の指示を一時的に解除する一時解除手段と、を備え、前記制御部は、前記一時解除手段の作動中の作業者の安全に関する所定条件を満たすことにより該一時解除手段の作動を解除して前記指示手段の指示を実行させるように構成されていることを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、塵芥投入口に投入される物体が、例えば人物に類似した特徴を有する人形やマネキン等である場合には、作業者は、一時解除手段により指示手段の指示を一時的に解除する。これによって、撮像手段で撮像される物体を人物であると制御部が誤検出して、積込装置の積込動作を停止することを回避できる。よって、積込効率が低下することを抑制することができる。しかも、一時解除手段の作動中の作業者の安全に関する所定条件を満たすことにより一時解除手段の作動を解除して指示手段の指示を実行させるように構成されているので、一時解除手段により指示手段の指示を一時的に解除している時に、危険な状態に陥った場合又は一時解除手段の作動を解除する操作をし忘れた場合でも、越境判断手段が越境したと判断すると、指示手段により積込装置の積込動作を停止させて作業者の安全を確保することができる。
【0010】
また、本発明の塵芥収集車は、前記所定条件が、前記人物像が前記境界ラインを危険エリア側に複数回越えたことを前記越境判断手段が判断したことであってもよい。
【0011】
上記構成によれば、一時解除手段で指示手段の指示を一時的に解除している場合でも、人物像が境界ラインを危険エリア側に複数回越えたことを越境判断手段が判断すると、危険な状態に陥っているとして、積込装置の積込動作を停止させて作業者の安全を確実に確保することができる。
【0012】
また、本発明の塵芥収集車は、前記所定条件は、前記一時解除手段が作動した時点から所定時間経過したことであり、前記積込装置を1回のサイクル動作を行って止まる単独運転時と前記サイクル動作を繰り返す連続運転時で前記所定時間を異ならせていてもよい。
【0013】
上記のように、一時解除手段で指示手段の指示を一時的に解除している場合に、一時解除手段により解除された時点から所定時間経過すると、越境判断手段が越境したと判断した場合には、積込装置の積込動作を停止させて作業者の安全を確保することができる。また、積込装置を1回のサイクル動作を行って止める単独運転時と前記サイクル動作を繰り返す連続運転時で前記所定時間を異ならせることにより、作業者の安全性と作業の効率化とをバランスよく確保できる。
【0014】
また、本発明の塵芥収集車は、前記所定条件が、前記積込装置の積込動作を開始する操作部が操作されたことであってもよい。
【0015】
上記のように、前回の積込時に一時解除手段で指示手段の指示を一時的に解除している場合に、次回の積込装置の積込動作を開始すべく操作部が操作されると、一時解除手段の作動が解除される。これにより、前回の積込終了後において一時解除手段の作動を解除する操作をし忘れた場合に、次回の積込時に、越境判断手段が越境したと判断すると、積込装置の積込動作を停止させて作業者の安全を確保することができる。
【0016】
また、本発明の塵芥収集車は、前記所定条件が、走行用駆動源から動力を取り出して前記積込装置に供給する動力取出装置の作動開始又は作動停止を操作する動力取出操作部が操作されたことであってもよい。
【0017】
上記のように、前回の積込時に一時解除手段で指示手段の指示を一時的に解除している場合に、次回の積込装置の積込動作を開始又は前回の積込を停止すべく動力取出操作部が操作されると、一時解除手段の作動が解除される。これにより、次回の積込装置の積込時に、越境判断手段が越境したと判断すると、積込装置の積込動作を停止させて作業者の安全を確保することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、指示手段の指示を一時的に解除する一時解除手段を備え、所定条件を満たすことにより一時解除手段の作動が解除されるので、作業者への安全性を確保しながらも、積込効率が低下することを抑制することができる塵芥収集車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る塵芥収集車の側面図である。
図2】前記塵芥収集車の背面図である。
図3】前記塵芥収集車における押込板の動作説明図であり、図3(a)は初期状態を示し、図3(b)は反転後の状態を示し、図3(c)は二次圧縮後の状態を示し、図3(d)は一次圧縮後の状態を示す。
図4】前記塵芥収集車の撮像手段の模式図である。
図5】前記塵芥収集車のブロック図である。
図6】前記塵芥収集車の撮像手段が撮像した画像を示す模式図である。
図7図6の枠周辺の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る塵芥収集車の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
図1及び図2に、ごみ等の塵芥を収集して処分施設まで運搬する塵芥収集車1が示され、塵芥収集車1は、塵芥収集車1への塵芥の積込作業を行うための積込装置5と、積込装置5に対して作業者等が作業を行う作業エリアを撮像する撮像手段と、撮像手段が撮像した画像に基づいて制御する制御部7と、を備えている。前記撮像手段は、塵芥収集車1の後方を撮像可能なカメラ61である。以下、塵芥収集車1の具体的な構成を説明する。
【0022】
塵芥収集車1は、運転室21を有する車台2と、車台2上において運転室21の後方に配置される塵芥収容箱3と、塵芥収容箱3の後部に連接される塵芥投入箱4と、塵芥投入箱4内に配置される積込装置(作業装置)5と、カメラ61を有し且つ塵芥投入箱4に取り付けられる撮像部6と、積込装置5を制御可能な制御部7と、を備える。
【0023】
塵芥収容箱3は、塵芥を収容する箱状の部位であり、後方に向けて開口する開口部31を有する。
【0024】
塵芥投入箱4は、後端部において後方に向けて開口する投入開口部(投入部)41を有し、該投入開口部41から塵芥が投入される。この塵芥投入箱4の内部において、底部45は、車幅方向から見て下方に凸となる円弧状の曲面形状を有する。また、塵芥投入箱4は、上下方向にスライドすることによって投入開口部41を開閉する蓋42も有する。この塵芥投入箱4は、上部に設けられ且つ車幅方向に延びる回動軸43を介して塵芥収容箱3に接続されている。塵芥投入箱4は、該回動軸43周りに回動可能であり、この回動によって塵芥収容箱3の開口部31を開閉する。例えば、塵芥投入箱4は、図1の実線で示す位置では塵芥収容箱3の開口部31を閉鎖し、図1の二点鎖線で示す位置のように上方に回動した位置では、塵芥収容箱3の開口部31を開放して塵芥収容箱3に収容された塵芥を外部に排出できる状態である。
【0025】
積込装置5は、投入開口部41から投入された塵芥を塵芥収容箱3に押し込む押込板(押込部材)53を有し、塵芥投入箱4内に配置される。本実施形態の積込装置5は、投入開口部41(詳しくは、投入開口部41の下縁部)に対して下降することで接近し、上昇することで離間して塵芥を塵芥収容箱3に押し込む押込板53を有する。この積込装置5は、制御部7に接続され、該制御部7によって制御される。具体的に、積込装置5は、塵芥投入箱4の両側壁に沿い且つ傾斜方向に延びる一対のガイドレール51と、各ガイドレール51に沿ってスライド可能な(案内される)一対のスライダ52と、一対のスライダ52間に配置される上述の押込板53と、各スライダ52と押込板53とを接続するピン54と、を有する。このピン54は、車幅方向に延び、該ピン54周りに押込板53が回動自在となるように該押込板53を各スライダ52に接続している。この押込板53は、塵芥投入箱4内に投入された塵芥を圧縮すると共に、塵芥収容箱3に押し込む部材であり、押込板53の先端53aは、車幅方向に真っ直ぐに延びている。
【0026】
また、積込装置5は、押込板53を駆動する一対のプッシュシリンダ(圧縮駆動手段)55及び一対のプレスシリンダ(押込駆動手段)56を有し、これら一対のプッシュシリンダ55及び一対のプレスシリンダ56のそれぞれは、シリンダ55c、56cと、該シリンダ55c、56cに対して進退するピストン55p、56pと、を有する。一対のプッシュシリンダ55のそれぞれは、塵芥投入箱4内の両側壁に沿って配置され、一対のプレスシリンダ56のそれぞれも、塵芥投入箱4内の両側壁に沿って配置されている。
【0027】
各プッシュシリンダ55において、シリンダ55c側の端部がピン551を介して塵芥投入箱4の側壁に接続され、ピストン55p側の端部がピン552を介してスライダ52(車幅方向において対応する側のスライダ52)の上端部に接続されている。このプッシュシリンダ55が、伸長動作することで、該プッシュシリンダ55が接続されているスライダ52がガイドレール51に沿って斜め上方に移動し、収縮動作することで、該プッシュシリンダ55が接続されているスライダ52がガイドレール51に沿って斜め下方に移動する。
【0028】
また、各プレスシリンダ56において、シリンダ56c側端部がピン561を介して押込板53に接続され、ピストン56p側端部が、プッシュシリンダ55のピストン55p側端部と共にピン552を介してスライダ52の上端部に接続されている。一対のプッシュシリンダ55が長さを維持した状態、即ち、シリンダ55cに対してピストン55pが進退しない状態で、これら一対のプレスシリンダ56が、互いに同期した状態で伸長動作することで、押込板53がピン54周りに回動(図1における時計回りの方向に回動)し、互いに同期した状態で収縮動作することで、押込板53がピン54周りに回動(図1における反時計回りの方向に回動)する。
【0029】
また、積込装置5は、塵芥を投入開口部41から塵芥投入箱4に投入する作業者等が該積込装置5を操作するための操作部57を有する。この操作部57は、積込装置5のON・OFFボタン(動作入力部)やスイッチ等の各種の入力を行うための入力部、積込装置5の緊急停止ボタン、リセットボタン等が配置されている。また、この操作部57には、積込装置5の制御についての設定や該設定の変更等のスイッチ、ボタン、ダイヤル等の各種の入力部も配置されている。
【0030】
なお、本実施形態の積込装置5は、モーメンタリ式(自動復帰型)で動作する。例えば、この積込装置5は、前記入力部がON操作されるとこれをトリガーとしてシーケンス動作が始動し、一連のシーケンス動作が終了すると自動的に停止する。なお、積込装置5は、入力部がON操作されるとOFF操作されるまで動作が継続するオルタネイト式(保持型)で動作するものであってもよい。
【0031】
操作部57は、塵芥の投入開口部41への投入作業中に作業者等が操作できるよう、塵芥投入箱4の後端部、詳しくは、車幅方向における投入開口部41の両側に配置されている。本実施形態の塵芥収集車1では、後方から見て投入開口部41の左側に配置された操作部57には、ボタン等の操作に必要な構成が複数配置され、投入開口部41の右側に配置された操作部57には、緊急停止ボタンのみが配置されている。
【0032】
以上のように構成される積込装置5の塵芥の積込動作の詳細について、図3(a)~図3(d)も参照しつつ、以下において説明する。ここで、図3(a)~図3(d)は、押込板53、プッシュシリンダ55、及びプレスシリンダ56のみを抜き出した動作説明図である。尚、図面を見易くするために各図においてプッシュシリンダ55の位置をずらしている。
【0033】
先ず、各構成53、55、56が初期状態(図3(a)に示す状態)のときに、各プレスシリンダ56が収縮動作することによって、押込板53の先端53aが塵芥収容箱3から離れる方向(図3(a)における反時計回りの方向)に押込板53がピン54周りに回動して(即ち、「反転」の行程が行われ)、図3(b)に示す状態となる。
【0034】
この状態から、各プッシュシリンダ55が収縮動作することによって、押込板53が、ピン54周りの回動方向における姿勢を維持しつつ、ガイドレール51の延びる方向に沿って斜め下方に移動し(即ち、「一次圧縮」の行程が行われ)、図3(d)に示す状態となる。即ち、押込板53が投入開口部41の下縁に接近する。
【0035】
続いて、各プレスシリンダ56が伸長動作することによって、押込板53の先端53aが塵芥収容箱3に近づく方向(図3(d)における時計回りの方向)に押込板53がピン54周りに回動して(即ち、「二次圧縮」の行程が行われ)、図3(c)に示す状態となる。この押込板53がピン54周りに回動することで、押込板53の先端53aは、塵芥投入箱4内の底部45に沿って移動する。即ち、塵芥投入箱4内の底部45は、二次圧縮行程において回動する押込板53の先端53aの軌跡に沿った曲面形状である。
【0036】
その後、各プッシュシリンダ55が伸長動作することによって、押込板53が、ピン54周りの回動方向における姿勢を維持しつつ、ガイドレール51の延びる方向に沿って斜め上方に移動し(即ち、「押込」の行程が行われ)、図3(a)に示す状態に戻る。即ち、押込板53は、一次圧縮及び二次圧縮された後の塵芥を開口部31から塵芥収容箱3内に押し込む。
【0037】
以上のようにして各プッシュシリンダ55及び各プレスシリンダ56が交互に伸縮動作することによって、押込板53は、1サイクルの行程動作(反転、一次圧縮、二次圧縮、押込)を行う。これにより、投入開口部41から塵芥投入箱4内に投入された塵芥が、塵芥収容箱3に収容される(積み込まれる)。この1サイクルの行程動作において、押込板53の先端53aの車幅方向から見た動作軌跡は、4点を結ぶ閉じた形状となる(図3(a)~図3(d)における二点鎖線参照)。
【0038】
撮像部6は、図4にも示すように、作業者等が塵芥投入箱4内の積込装置5に対して投入開口部41から塵芥の投入作業が行われる作業エリアを撮像可能なカメラ61と、カメラ61を支持する支持部62と、を有する。また、本実施形態の撮像部6は、カメラ61での撮像内容に基づいて作業者等に報知可能な報知部(報知手段)63を有する。
【0039】
カメラ61は、レンズ611と、該レンズ611を通じて作業エリアを撮像する撮像素子612と、を有する。本実施形態のカメラ61は、動画の撮像を行い、作業エリアを撮影する際に十分な範囲(広い範囲)を撮像できるような広角レンズ611を有している。この撮像素子612は、例えば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等であり、撮像された画像(本実施形態の例では、動画像)の画像データを出力する。また、カメラ61は、制御部7に接続されており、該制御部7に画像データを出力する。また、カメラ61は、運転室21内に配置されたバックモニタM(図1参照)にも接続されており、該バックモニタMにも画像データを出力する。
【0040】
支持部62は、投入開口部41の上方にカメラ61が位置するように該カメラ61を支持(保持)する。この支持部62は、塵芥投入箱4における投入開口部41の上側に固定される基部621と、基部621にカメラ61を接続するブラケット622と、基部621の周囲に取り付けられるカバー板624と、を有する。
【0041】
基部621は、長尺な板部材、パイプ等が組み合わされることによって構成されたフレーム状の部位であり、塵芥投入箱4における投入開口部41の上方部位から後方側(詳しくは、斜め上方)に向けて延びている。
【0042】
ブラケット622は、基部621の先端と、該先端の下方に配置されるカメラ61とを接続する。このブラケット622の基端部(基部621側の端部)622aは、車幅方向に延びる軸部材623を介して基部621の先端に接続され、先端部(基端部と反対側の端部)622bは、カメラ61に接続されている。該ブラケット622は、軸部材623周りに回動可能である。この回動により、カメラ61の撮像可能な範囲を変更することができる。
【0043】
カバー板624は、塵芥収集車1の走行中等に飛んでくるゴミ等からカメラ61を保護等するために基部621の周囲に配置されている板状の部材である。
【0044】
報知部63は、投入開口部41から塵芥投入箱4内への塵芥の投入作業を行っている作業者等やその周囲の人に対し、作業者等の安全についての報知を行う。本実施形態の報知部63は、発光したときの色が異なる複数のランプ63a、63b、63cを有し、発光するランプによって作業者等の安全についての報知を行う。例えば、報知部63では、作業者が作業エリアにおける安全エリア(積込装置5等への巻き込み事故が発生し難いエリア)で作業しているときには、第一のランプ63aが緑色に発光し、危険エリア(積込装置5等への巻き込み事故が発生する可能性の高いエリア)Ar1に接近したときには、第二のランプ63bが黄色に発光し、危険エリアAr1に進入したときには、第三のランプ63cが赤色に発光する。発光態様は、連続発光であってもよいし、点滅であってもよい。
なお、報知部63は、ランプ63a~63cに加え又は代えて音(ブザー又は音声)により報知してもよい。
【0045】
制御部7は、カメラ61が撮像した画像Im1に基づいて積込装置5を制御可能である。この制御部7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、このCPUによって実行される種々のプログラムやその実行に必要なデータ等を予め記憶するROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性記憶素子、このCPUのいわゆるワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶素子およびその周辺回路等を備えたマイクロコンピュータによって構成される。
【0046】
このように構成される制御部7では、図5に示すように、当該制御部7がプログラムを実行することによって、機能的に、人特定手段71と、境界設定手段72と、越境判断手段73と、指示手段74と、試運転制御手段75と、一時解除手段76と、が構成される。
【0047】
人特定手段71は、図6及び図7にも示すように、カメラ61が撮像した画像(動画像)Im1の被撮像物から人物像Im2を幾何学形状の枠Frで囲んで特定する。この人特定手段71は、枠Frで囲まれた人物像Im2が画像Im1内を移動すると、この人物像Im2の移動に伴って枠Frを移動させる。また、人物像Im2の姿勢の変化、作業エリアにおける位置等によって画像Im1に占める人物像Im2の領域(大きさ、形等)が変化するが、人特定手段71は、この変化に応じて枠Frの大きさを変化させる。なお、人物像Im2の変化に応じて枠Frの形状を変更してもよい。また、人特定手段71は、カメラ61からの画像Im1に複数の人物像Im2が含まれているときには、人物像Im2毎に枠Frで囲む。本実施形態の人特定手段71は、人物像Im2を四角の枠Frで囲む。なお、カメラ61が撮像した画像(動画像)Im1の被撮像物から人物像Im2を幾何学形状の枠Frで囲んで特定することは、カメラ61が撮像した画像(動画像)Im1の被撮像物のうち人物像Im2に幾何学形状を当てはめて、その幾何学形状の端縁を枠Frとすることや、人物像Im2と背景との境界(人物像の輪郭)に沿って不定形状に取り囲みその不定形状の端縁を枠Frとすることも含む。
【0048】
境界設定手段72は、カメラ61からの画像Im1内での所定のライン(境界ライン)Lの設定を行う。例えば、境界設定手段72は、カメラ61からの画像Im1に対してラインLを付加する。また、境界設定手段72は、カメラ61からの画像Im1内でのラインLの位置(境界位置)及び線形状の少なくとも一方を設定可能である。この境界設定手段72は、機能的に、境界付加手段721と、境界位置設定手段722と、境界曲率設定手段723と、を有する。
【0049】
境界付加手段721は、カメラ61からの画像Im1(画像データ上)にラインLを付加する。このラインLは、作業エリアにおける塵芥投入箱4の投入開口部41(積込装置5)近傍で、作業員等に危険の及ぶ可能性がある危険エリアAr1の境界又は該境界に沿った境界領域を示す線状のラインである。即ち、ラインLは、投入開口部41(積込装置5)の縁又はその近傍に設定され、積込装置5に起因する危険が作業者等に及ぶ可能性がある危険エリアAr1と他のエリア(危険エリアAr1以外のエリア)Ar2との境界又は境界領域を示す(図1参照)。
【0050】
本実施形態の境界付加手段721は、カメラ61からの画像Im1(画像データ上)に、危険ライン(停止境界ライン)L1と警告ラインL2との二種類のラインを付加する。即ち、ラインLは、危険ラインL1と、警告ラインL2と、を含む。この危険ラインL1は、制御部7が積込装置5の作業実行を停止するよう制御するためのラインである。また、警告ラインL2は、作業者等が危険エリアAr1(危険ラインL1)に接近していることを報知部63が報知するよう制御するためのラインであり、投入開口部41からの距離が危険ラインL1より大きくなる位置に設定されたラインである。本実施形態の警告ラインL2は、画像Im1において危険ラインL1の上側(危険ラインL1の積込装置5よりも遠い側)に設定されている。
【0051】
これら各ラインL1、L2は、左右方向に延びる直線、または、左右方向に延びる曲線である。本実施形態の各ラインL1,L2は、カメラ61が有するレンズ611の歪曲収差に基づいて設定された曲線である。具体的には、各ラインL1、L2は、地面等に引かれた車幅方向と平行な直線をカメラ61が撮像したときに、撮像された画像Im1における前記直線(即ち、レンズ611の歪曲収差によって湾曲した状態の前記直線)に即した形状の曲線である。カメラ61は、塵芥収集車1の後部に設けられその後方を撮像しているため、車幅方向と平行な直線はレンズ611による歪みが発生しない場合には水平方向に延びる直線として画像Imに撮像される。しかしながら、レンズ611は広角レンズを用いているため、本実施形態の危険ラインL1及び警告ラインL2では、画像Im1におけるレンズ611の光軸(詳しくは、レンズ611の光軸に相当する位置(以下、「光軸相当位置」とも称する。))からの距離に基づいてラインL1、L2の各部位の曲率が設定されている。仮に、危険ラインを撮像された画像Imに鉛直方向の線(車両前後方向と平行な直線)に基づいて危険ラインL1や警告ラインL2を設定する場合も光軸に相当する位置からの距離に基づいてラインL1,L2の各部位の曲率が設定される。
【0052】
境界位置設定手段722は、カメラ61からの画像Im1内での各ラインL1、L2の位置を設定(変更)する。また、境界位置設定手段722は、各ラインL1、L2の形状を変えることなく、画像Im1に対する上下方向及び左右方向の少なくとも一方における相対位置を変更する。
【0053】
詳しくは、操作部57がカメラ61からの画像Im1内でのラインL1、L2の位置(境界位置)を入力することができる境界位置入力部(境界位置入力手段)571を有し、境界位置設定手段722は、操作部57の境界位置入力部571からの入力に基づいて、画像Im1における各ラインL1、L2の位置(本実施形態の例では、上下方向の位置)を変更する。本実施形態の境界位置設定手段722は、画像Im1内での各ラインL1、L2の位置を上下方向(積込装置5の遠近方向)に変更できる。この境界位置設定手段722は、画像Im1内における各ラインL1、L2の位置を個別に変更する構成でもよく、両ラインL1、L2を一緒に(同時に)変更する構成でもよい。
【0054】
境界曲率設定手段723は、カメラ61からの画像Im1内での各ラインL1、L2の曲率を設定(変更)する。また、境界曲率設定手段723は、各ラインL1、L2の任意の一点(例えば、各ラインL1、L2の延伸方向における中央の一点)の画像Im1に対する上下方向及び左右方向における相対位置を保持したまま、各ラインL1、L2の曲率を変更する。
【0055】
詳しくは、境界位置設定手段722によって設定された(位置を変更された)各ラインL1、L2の画像Im1内における光軸相当位置からの距離に基づき、各ラインL1、L2の画像Im1内での曲率(詳しくは、各ラインL1、L2の各部位の曲率)を設定(変更)する。これにより、カメラ61からの画像Im1内におけるラインL1、L2の位置が境界位置設定手段722によって変更されたときに、この位置の変更に応じて(画像Im1における光軸相当位置からの距離の変化に応じて)ラインL1、L2の形状(各部位の曲率)が変化する。即ち、画像Im1内での位置が変更された各ラインL1、L2は、レンズ611の歪曲収差に応じて変形する。
【0056】
なお、前記「光軸からの距離」とは、光軸中心を基準とした径方向距離である。レンズ611の歪曲収差により、光軸中心からの径方向距離が小さい(近い)被写体に比べ、径方向距離が大きい(遠い)被写体の方が画像上での湾曲が大きくなる。具体的には、図6に示すように、画像Im1上で、塵芥投入箱4の投入開口部(投入部)41が大きく湾曲して映る。
【0057】
また、境界曲率設定手段723は、境界位置設定手段722による画像Im1内での各ラインL1、L2の位置の設定の有無にかかわらず、各ラインL1、L2の曲率を設定(変更)できる。具体的には、操作部57がカメラ61からの画像Im1内での各ラインL1、L2の曲率を入力することができる境界曲率入力部(境界曲率入力手段)572を有し、境界曲率設定手段723は、操作部57の境界曲率入力部572からの入力に基づいて、各ラインL1、L2の画像Im1内での曲率を設定(変更)する。
【0058】
越境判断手段73は、カメラ61からの画像Im1において人物像Im2が各ラインL1、L2を危険エリアAr1側に越えたか否かを判断し、越えたと判断したときに指示信号を出力する。本実施形態の越境判断手段73は、人特定手段71が特定した枠Frの少なくとも一部(例えば、枠Frの一部)が危険ラインL1を危険エリアAr1側に越えたか否かと、人特定手段71が特定した枠Frの少なくとも一部が警告ラインL2を危険エリアAr1側(危険ラインL1側)に越えたか否かのそれぞれを判断する。この越境判断手段73は、枠Frが越えたと判断したラインL1、L2によって、指示信号の出力先が異なる。
【0059】
指示手段74は、越境判断手段73の判断に基づいて、積込装置5及び報知部(報知手段)63の少なくとも一方に指示する。この指示手段74は、機能的に、停止指示手段741と警告指示手段742とを有する。
【0060】
また、停止指示手段741は、カメラ61からの画像Im1において枠Frの少なくとも一部(例えば、枠Frの一部)が危険ラインL1を危険エリアAr1側に越えたと越境判断手段73が判断したときに、積込装置5に該積込装置5の動作(作業実行)を停止するように指示する。即ち、停止指示手段741は、越境判断手段73からの指示信号を受信したときに、積込装置5の動作を停止させる。このとき、停止指示手段741は、第三のランプ63cが発光するように報知部63にも指示する。
【0061】
警告指示手段742は、カメラ61からの画像Im1において枠Frの少なくとも一部(例えば、枠Frの一部)が警告ラインL2を危険エリアAr1側(積込装置5側)に越えたと越境判断手段73が判断したときに、報知部63に警告を発するように指示する。即ち、警告指示手段742は、越境判断手段73からの指示信号を受信したときに、報知部63に報知させる。本実施形態の警告指示手段742は、枠Frの少なくとも一部が警告ラインL2を危険エリアAr1側に越えたときに、第二のランプ63bが発光するように報知部63に指示する。
【0062】
尚、警告指示手段742は、試運転制御手段75が機能(作動)している間、即ち、制御部7の試運転が行われている間は、枠Frの少なくとも一部が警告ラインL2を危険エリアAr1側に越えると、報知部63には指示を出力する。また、停止指示手段741は、制御部7の試運転が行われている間は、枠Frの少なくとも一部が危険ラインL1を危険エリアAr1側に越えても、積込装置5に指示を出さない。
【0063】
試運転制御手段75は、制御部7の試運転を実行する。詳しくは、操作部57が制御部7を試運転状態(設定モード)に切り替える試運転スイッチ(試運転入力手段)573を有し、試運転制御手段75は、操作部57の試運転スイッチ573からの入力に基づいて、制御部7の試運転を実行する。この試運転制御手段75は、機能的に、停止維持手段751と、報知指示手段752と、を有する。
【0064】
停止維持手段751は、積込装置5を停止維持させる。具体的に、停止維持手段751は、操作部57の試運転スイッチ573からの入力によって制御部7の試運転が実行されている間、積込装置5の停止状態を維持する。即ち、停止維持手段751は、制御部7の試運転が実行されている間は、作業者が操作部57を操作して積込装置5を作動させようとしても積込装置5を作動させない。つまり、試運転制御手段75は、試運転実行中の操作部57からの動作入力を無視する。
【0065】
報知指示手段752は、停止維持手段751が積込装置5を停止維持させた状態で(即ち、制御部7の試運転が実行されている間)枠Frが各ラインL1、L2を危険エリアAr1側に越えたと越境判断手段73が判断したときに、報知部63に報知を指示する。具体的に、報知指示手段752は、カメラ61からの画像Im1において枠Frの少なくとも一部が警告ラインL2を危険エリアAr1側に越えたときに、報知部63において対応するランプ63bを発光させるように指示し、さらに、画像Im1において枠Frの少なくとも一部が危険ラインL1を危険エリアAr1側に越えたときは、報知部63において対応するランプ63cを発光させるように指示する。
【0066】
一時解除手段76は、前記指示手段74の指示を一時的に解除する手段である。具体的には、一時解除手段76は、操作部57に備える一時解除ボタン761を備えている。例えば人物に類似した特徴を有する人形やマネキン等を投入開口部41に作業者が投入する場合に、作業者は、一時解除ボタン761を押す(ON操作する)ことにより、指示手段74の指示を一時的に解除する。これによって、カメラ61で撮像される物体(前記人形やマネキン等)が、人物であると制御部7が誤検出して、積込装置5の積込動作を停止することを回避できるようにしている。これにより、積込効率が低下することを抑制することができる。
【0067】
また、一時解除手段76は、所定条件を満たすことにより一時解除手段76の作動を解除して指示手段74の指示を実行するように構成されている。
【0068】
所定条件は、前記一時解除手段76の作動中の作業者の安全に関する条件であり、第1所定条件から第4所定条件の4つの所定条件があり、それら4つの所定条件のうちの少なくとも1つの所定条件を制御部7に備えている。
【0069】
第1所定条件は、カメラ61で撮像した人物像が境界ライン、つまり危険ラインL1を危険エリアAr1側に複数回越えたことを越境判断手段73が判断したことである。したがって、一時解除手段76の一時解除ボタン761が押されて指示手段74の指示を一時的に解除している場合でも、人物像が危険ラインL1を危険エリア側に複数回(この実施形態では2回であるが、3回でもよい)越えたことを越境判断手段73が判断すると、危険な状態に陥っている(危険性が高まっている)として、一時解除手段76の作動を解除する。そして、解除後に、枠Frの少なくとも一部が危険ラインL1を危険エリアAr1側に越えたと越境判断手段73が判断したときに、積込装置5に該積込装置5の動作(作業実行)を停止させることで、作業者の安全を確保することができる。この実施形態では、危険ラインL1を危険エリアAr1側に複数回越えたことを越境判断手段73が判断したことを第1所定条件としているが、警告ラインL2を危険エリアAr1側に複数回越えたことを第1所定条件としてもよい。
【0070】
第2所定条件は、一時解除手段76の一時解除ボタン761が押されることにより解除された時点から所定時間経過したことを検出したことである。この実施形態では、積込装置5が積込を開始して1回のサイクル動作を行って止まる単独運転の場合と、積込装置5が積込を開始してサイクル動作を繰り返す連続運転の場合とで前記所定時間を異ならせている。例えば、単独運転を開始して一時解除ボタン761が押された場合には、一時解除手段76の一時解除ボタン761が押されてから15秒後に一時解除手段76の作動を解除するように設定され、連続運転を行う場合は、連続運転を開始して一時解除ボタン761が押された場合には、一時解除手段76の一時解除ボタン761が押されてから60秒(単独運転よりも長い時間)に一時解除手段76の作動を解除するように設定されている。これは、ゴミのステーションが多い地域では、連続運転で積込装置5を動作し続けるため、単独運転よりも長い時間に所定時間を設定することで作業の効率化を図っている。また、単独運転では所定時間を短くして、安全性を優先している。つまり、積込装置5を1回のサイクル動作を行って止める単独運転時と前記サイクル動作を繰り返す連続運転時で前記所定時間を異ならせることにより、作業者の安全性と作業の効率化とをバランスよく確保できる。したがって、積込作業終了後に一時解除手段76の作動を解除する操作をし忘れた場合に、積込作業が開始して一時解除手段76が作動した時点から所定時間(単独運転の場合は、15秒、連続運転の場合は、60秒)経過した場合に、一時解除手段76の作動を解除するので、解除後に枠Frの少なくとも一部が危険ラインL1を危険エリアAr1側に越えたと越境判断手段73が判断すると、積込装置5の積込動作を停止させて作業者の安全を確保することができる。尚、単独運転の場合は、一時解除ボタン761が押されてから15秒が経過していなくても、単独運転が終了した時点で、一時解除手段76の作動を解除するように構成してもよい。また、連続運転の場合は、一時解除ボタン761が押されてから60秒が経過していなくても、連続運転を終了させた時点(後述する連続ボタン763が押された時点)で、一時解除手段76の作動が解除されるように構成してもよい。
【0071】
第3所定条件は、積込装置5の積込動作を開始する操作部57、具体的には、積込装置5を積込動作させるためのボタン(又はスイッチでもよい)が操作されたことである。ボタンは、積込装置5が1回のサイクル動作を行って止める単独運転用の単独ボタン762と、積込装置5がサイクル動作を繰り返す連続運転用の連続ボタン763と、を備えている(図2参照)。したがって、前回の積込時に一時解除手段76の一時解除ボタン761が押されて指示手段74の指示を一時的に解除している場合でも、次回の積込装置5の積込動作を開始すべく操作部57(単独ボタン762又は連続ボタン763)が操作されると、一時解除手段76の作動が解除される。これにより、前回の積込終了後に一時解除手段76の作動を解除する操作をし忘れた場合でも、次回の積込装置5の積込動作が開始され、枠Frの少なくとも一部が危険ラインL1を危険エリアAr1側に越えたと越境判断手段73が判断すると、積込装置5の積込動作を停止させて作業者の安全を確保することができる。
【0072】
第4所定条件は、走行用駆動源(この実施形態ではエンジンであるが、電気自動車の場合にはバッテリ)から動力を取り出して積込装置5に供給する動力取出装置PTO(図1参照)の作動開始又は作動停止を操作する動力取出操作部としてのスイッチ(図示せず、ボタンでもよい)が操作されることである。スイッチは、積込装置5の積込作業の開始時にON操作され、積込作業終了時にOFF操作される。したがって、前回の積込時に一時解除手段76の一時解除ボタン761が押されて指示手段74の指示を一時的に解除している場合でも、次回の積込装置5の積込動作を開始(又は前回の積込を停止)すべく動力取出操作部のスイッチがON操作(又はOFF操作)されることによって、一時解除手段76の作動が解除される。これにより、前回の積込終了後に一時解除手段76の作動を解除する操作をし忘れた場合でも、次回の積込装置5の積込時に、枠Frの少なくとも一部が危険ラインL1を危険エリアAr1側に越えたと越境判断手段73が判断すると、積込装置5の積込動作を停止させて作業者の安全を確保することができる。
【0073】
尚、前記一時解除手段76の作動を解除するには、一時解除ボタン761を再度押すことで、一時解除手段76の作動を解除するか、一時解除ボタン761とは別のリセットボタン又はリセットスイッチを押すことで一時解除手段76の作動を解除するようにしてもよい。
【0074】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。
【0075】
上記実施形態の塵芥収集車1では、境界ラインLとして危険ラインL1及び警告ラインL2の両方が設けられていたが、境界ラインLとして危険ラインL1のみが設けられていてもよく、この場合、特定した人物の枠Frが、危険エリアAr1の危険ラインL1を危険エリアAr1側に越えたときに積込装置5の停止のみがなされることとなる。また、境界ラインLとして、警告ラインL2のみが設けられていてもよく、この場合、枠Frが、危険エリアAr1の警告ラインL2を危険エリアAr1側に越えたときに警告のみがなされることとなる。
【0076】
また、上記実施形態の指示手段74は、機能的に、停止指示手段741と警告指示手段742とを有するものであった。しかし、停止指示手段741、警告指示手段742の一方のみを有するものであってもよい。また、前記実施形態の指示手段74は、停止指示手段741と警告指示手段742とを有する不可分のひとつの手段であった。しかし、停止指示手段741と警告指示手段742が独立した別個の手段であってもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、押込板53で塵芥を積み込むプレス式の積込装置5に構成したが、回転押込板と揺動押込板との協働により塵芥を積み込む回転板式の積込装置で構成してもよい。
【0078】
前記所定条件の複数を制御部7に備え、少なくともいずれか1つの条件を達成したときに一時解除手段76の作動を解除してもよい。所定条件は複数の所定条件から作業者が選択できるようにしてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、一時解除手段76の一時解除ボタン761が押されて指示手段74の指示を一時的に解除している場合でも、人物像が危険ラインL1を危険エリア側に複数回越えたことを越境判断手段73が判断すると、一時解除手段76の作動を解除したが、一時解除手段76の一時解除ボタン761が押されて指示手段74の指示を一時的に解除している場合でも、人物像が危険ラインL1を危険エリア側に一回でも越えたことを越境判断手段73が判断すると、一時解除手段76の作動を解除してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…塵芥収集車、
2…車台、21…運転室、
3…塵芥収容箱、31…開口部、
4…塵芥投入箱、41…投入開口部(投入部)、42…蓋、43…回動軸、45…底部、
5…積込装置(作業装置)、51…ガイドレール、52…スライダ、53…押込板(押込部材)、53a…先端、54…ピン、55…プッシュシリンダ(圧縮駆動手段)、56 プレスシリンダ(押込駆動手段)、55c、56c…シリンダ、55p、56p…ピストン、551…ピン、552…ピン、561…ピン、
57…操作部、571…境界位置入力部(境界位置入力手段)、572…境界曲率入力部(境界曲率入力手段)、573…試運転スイッチ(試運転入力手段)、
6…撮像部、61…カメラ、611…レンズ、612…撮像素子、62…支持部、621…基端部(基部)、622…ブラケット、622a…基端部、622b…先端部、623…軸部材、624…カバー板、63…報知部(報知手段)、63a…第一のランプ、63b…第二のランプ、63c…第三のランプ、
7…制御部、71…人特定手段、72…境界設定手段、721…境界付加手段、722…境界位置設定手段、723…境界曲率設定手段、73…越境判断手段、74…指示手段、741…停止指示手段、742…警告指示手段、75…試運転制御手段、751…停止維持手段、752…報知指示手段、76…一時解除手段、761…一時解除ボタン、762…単独ボタン、763…連続ボタン、
Ar1…危険エリア、Ar2…他のエリア、
Fr…枠、
Im1…画像、Im2…人物像、
L…ライン(境界ライン)、L1…危険ライン(停止境界ライン)、L2…警告ライン、
M…バックモニタ、
PTO…動力取出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7