(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023888
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】目盛り付きカップの製造方法
(51)【国際特許分類】
A47G 19/22 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
A47G19/22 G
A47G19/22 E
A47G19/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129819
(22)【出願日】2021-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】513206407
【氏名又は名称】株式会社ステレオ・スキップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】弁理士法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】田郷岡 聡
【テーマコード(参考)】
3B001
【Fターム(参考)】
3B001AA02
3B001BB10
3B001CC28
(57)【要約】
【課題】目盛りが正確である目盛り付きカップの製造方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも液体保持部を有し、前記液体保持部は、前記液体保持部に所定量の液体を注いだ際の液面位置に、前記液面位置における内容積を示す目盛りを有するカップの製造方法であって、前記カップの製造方法は、前記液体保持部を所定の形状に成型する成型工程と、成型した前記液体保持部の所定の位置に、転写紙の位置決め用の目印をつける印付け工程と、前記印付け工程でつけた前記目印に基づいて、前記目盛りを含む前記転写紙を前記液体保持部に貼りつける転写紙貼付工程と、前記転写紙が貼りつけられた前記カップを900℃乃至1400℃の温度で焼成する焼成工程と、を含むカップの製造方法
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも液体保持部を有し、前記液体保持部は、前記液体保持部に所定量の液体を注いだ際の液面位置に、前記液面位置における内容積を示す目盛りを有するカップの製造方法であって、前記カップの製造方法は、
前記液体保持部を所定の形状に成型する成型工程と、
成型した前記液体保持部の所定の位置に、転写紙の位置決め用の目印をつける印付け工程と、
前記印付け工程でつけた前記目印に基づいて、前記目盛りを含む前記転写紙を前記液体保持部に貼りつける転写紙貼付工程と、
前記転写紙が貼りつけられた前記カップを900℃乃至1400℃の温度で焼成する焼成工程と、
を含むカップの製造方法。
【請求項2】
前記カップは更に、使用者が把持するための把持部を有する、
請求項1に記載のカップの製造方法。
【請求項3】
前記焼成工程の前に、前記カップを700℃乃至800℃の温度で焼成する素焼き工程を更に有する、請求項1又は2に記載のカップの製造方法。
【請求項4】
前記素焼き工程の後に、前記カップの表面に釉薬を施して絵付けする工程を更に含む、
請求項3に記載のカップの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目盛り付きカップの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
手動でコーヒーや紅茶等をカップへ抽出する場合、最適な味や濃さを得るために抽出液(水又はお湯等の液体)の抽出量を計測する必要がある。
【0003】
抽出液の抽出量を計測するには、例えば計量カップを用いて予め所定量の抽出液の量を計測する方法や、カップとして目盛り付きカップを用いて目盛り位置まで抽出液を入れる方法などがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、計量カップを用いる方法では、計量カップで計量した抽出液を、再度飲料するためのカップに移しかえる必要があり不便であった。また、目盛り付きカップを用いる方法では、目盛りが正確ではないことが多く、カップによっては味や濃さが異なり、最適な味や濃さを得ることができないという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、目盛りが正確である目盛り付きカップの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のカップの製造方法は、少なくとも液体保持部を有し、前記液体保持部は、前記液体保持部に所定量の液体を注いだ際の液面位置に、前記液面位置における内容積を示す目盛りを有するカップの製造方法であって、前記カップの製造方法は、
前記液体保持部を所定の形状に成型する成型工程と、
成型した前記液体保持部の所定の位置に、転写紙の位置決め用の目印をつける印付け工程と、
前記印付け工程でつけた前記目印に基づいて、前記目盛りを含む前記転写紙を前記液体保持部に貼りつける転写紙貼付工程と、
前記転写紙が貼りつけられた前記カップを900℃乃至1400℃の温度で焼成する焼成工程と、
を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態に係る目盛り付きカップの製造方法は、目盛りが正確である目盛り付きカップの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るカップの一例の概略斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るカップの製造方法の一例のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
(カップの概略構成)
先ず、本実施形態に係るカップは、土を主原料として構成された陶磁器のカップを指し、ここで言う陶磁器は、原料成分の差異、焼成温度及び釉薬の有無等によって分類される土器、せっ器、陶器及び磁器を全て含む。即ち、有機物を含む土を主原料としても良いし、有機物の含有量が少ない土を主原料としても良いし、陶石を砕いたもの等を含んでいても良い。
【0012】
図1に、本発明の一実施形態に係るカップの一例の概略斜視図を示す。
図1に示すように、本実施形態におけるカップ100は、上方が開口され、円柱形又は逆円錐台形の液体保持部102(
図1に示す例では、液体保持部110は円柱形を有する)を有する容器を指す。
【0013】
カップ100は、使用者がカップ100を把持するための把持部120を有していても良い。
【0014】
また、カップ100の例えば液体保持部110の表面には、アートデザイン、企業のロゴマーク、商品名、又は、サービス名を書く(描く)ことで、カップ100を広告宣伝に使うことができる。
【0015】
カップ100の液体保持部110の内周面110a側には、カップ100に液体を注いだ際の液面位置に対応する液体量を示す目盛り112が設けられている。カップ100の目盛り112の位置における容積については、特に限定されないが、通常、販売されているコーヒーや紅茶のドリップパックにおける推奨されているお湯の量が、150ml乃至250ml程度であるため、目盛り112の位置における容積は、150ml乃至250mlとすることが好ましい。なお、目盛りは、複数の位置に設けられていても良く、例えば、カップ100の全容積が300mlであり、カップ100に液体を注いだ際の液面位置に対応する液体量が250ml、200ml、150ml、100ml、50mlの位置に各々対応して、5つの目盛り及び該目盛り位置における内容積を示す数値が設けられ、250ml~50mlの間の10ml毎に目盛りが設けられる構成であっても良い。なお、本発明において、「目盛り」とは、目盛り位置におけるカップの内容積を示す印、及び/又は、目盛り位置における内容積を示す又は示唆する数値又は言葉を指す。
【0016】
詳細については後述するが、カップ100の目盛り112は、転写紙と呼ばれるフィルム状のシートをカップ100の内周面110aに貼りつけ、所定の温度で焼き付けることで形成される。従来、この転写シートは、カップ100の上面の縁部114から内周面に這わせるように貼りつけていたため、目盛り位置における内容積と、目盛り位置における液体量とが数ml乃至数十ml程度の量で異なるという問題点を有していた。
【0017】
そこで、本実施形態に係るカップ100は、液体保持部110の内周面110aに設けられる予定の目盛り112のうち、いずれか1つ、好ましくは液体量が最も大きい目盛り位置に対応した位置に、予め、転写シートを貼りつける位置決めのための目印116を設ける。これにより、目印116位置を目印にして、転写シートを位置決めして貼りつけることができるため、目盛り位置における内容積と、目盛り位置における液体量との誤差をなくすことができる。
【0018】
目印の種類としては、特に限定されないが、例えば、液体保持部110の内周面110aに亘って形成される直線状の目印などが好適に採用される。
【0019】
また、本実施形態に係るカップの液体保持部110の上方開口の縁部には、注ぎ口118を形成することが好ましい。これにより、本実施形態に係るカップは、飲料用のカップとしてだけでなく、計量した液体を他の容器に注いで容易に移し替える事が出来る計量カップとしても好適に使用できる。
【0020】
(カップの製造方法)
次に、本実施形態に係るカップの製造方法について図を参照して説明する。
図2に、本発明の一実施形態に係るカップの製造方法の一例のフロー図を示す。なお、本実施形態においては、一例として、原料粘土(素地粘土)から陶器のカップを製造する方法について説明するが、上述の通り本発明はこの点において限定されない。
【0021】
図2に示すように、陶器の製造工程を開始する際には先ず、原料粘土を製品の形状に成型する成型工程が実施される(ステップS100)。本実施形態においては、対象となる製品がカップであるので、
図1を参照して説明したように、上方が開口され、円柱形又は逆円錐台形の液体保持部と、必要に応じて使用者が把持する把持部とを個別に成型する。
【0022】
次に、成型した液体保持部の所定の位置に、転写紙の位置決め用の目印をつける印付け工程が実施される(ステップS110)。目印の位置は、液体保持部に予め設定された所定量の液体を注いだ際の液面位置とする。なお、当然ではあるが、前記予め設定された所定量とは、液体保持部の内容積以下となる量である。
【0023】
印付け工程を経た中間品は、次に乾燥工程が実施され(ステップS120)、乾燥される。
【0024】
次にステップS130において、素焼き工程が実施される。素焼き工程は、例えば700℃~800℃程度の比較的低温で中間品を焼成する工程である。なお、本実施形態に係るカップが液体保持部及び把持部を有する場合、この素焼き工程前に各々が組み合わされて結合される。
【0025】
そして、印付け工程でつけた目印に基づいて、目盛りを含む転写紙を液体保持部に貼りつける転写紙貼付工程が実施される(ステップS140)。なお、使用できる転写紙の種類としては、特に限定されないが、通常、吸水性に優れた台紙に水溶性の糊を印刷し、その上に上絵の具を印刷して、さらにガラス皮膜及びアクリル樹脂等の保護膜を印刷したもの等が使用されている。なお、この転写紙貼付工程は、素焼き工程の前に実施されても良い。
【0026】
本実施形態に係るカップの製造方法は、必要に応じて絵付け工程が実施されても良い(ステップS150)。絵付け工程は、素焼きされた中間品の表面に釉薬を施して絵付けする工程である。
【0027】
最後に、本実施形態に係るカップの中間品は、素焼き工程よりも高温、例えば、陶器の場合、900℃~1400℃程度の温度で焼成する本焼成工程が実施されて(ステップS160)本実施形態に係るカップの製造方法は終了する。
【0028】
なお、本実施形態に係るカップの製造方法は、その他の工程を有していても良い。例えば、ラスター液、マーブル液又はクラックル液を塗布する工程、乾燥する工程及び焼成する工程などが有していても良い。
【0029】
以上、本実施形態に係るカップの製造方法は、少なくとも液体保持部を有するカップの製造方法であって、成型工程後に、成型した液体保持部の所定の位置に、目盛りを含む転写紙の位置決め用の目印をつける印付け工程が実施され、続いて印付け工程でつけた目印に基づいて、目盛りを含む転写紙を液体保持部に貼りつける転写紙貼付工程及び焼成工程が実施される。そのため、目盛りが正確なカップを製造することができる。
【0030】
以上本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0031】
100 カップ
110 液体保持部
110a 液体保持部の内周面
112 目盛り
114 縁部
116 目印
118 注ぎ口
120 把持部