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特開2023-23892増毛方法、増毛用材料の製造方法、及び増毛用キット
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  • 特開-増毛方法、増毛用材料の製造方法、及び増毛用キット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023892
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】増毛方法、増毛用材料の製造方法、及び増毛用キット
(51)【国際特許分類】
   A41G 5/00 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
A41G5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129824
(22)【出願日】2021-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】000126218
【氏名又は名称】株式会社アートネイチャー
(74)【代理人】
【識別番号】100154184
【弁理士】
【氏名又は名称】生富 成一
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】田中 一生
(57)【要約】
【課題】 頭部に生えている自毛への増毛方法において、自毛を増毛用毛髪に結びつける作業を行う必要がなく、結び目が小さく、自毛に増毛用毛髪を強力に固定することを可能にする。
【解決手段】 増毛用毛髪を二つ折りにして中央に曲げ部を形成し、この曲げ部の内側に増毛用毛髪の第一端部及び第二端部を通して第一環状部を形成し、第一環状部を捻って交差部を形成して、第一環状部を、第一端部及び第二端部に対して遠方側の第二環状部と、第一端部及び第二端部に対して近傍側の第三環状部とに分割し、第二環状部と第三環状部とを重ね合わせ、この重ね合わせた輪の中に第一端部及び第二端部を通して引き出し、重ね合わせた輪の中に頭部から生えている自毛を通して、第一端部と第二端部をそれぞれ反対方向に引っ張り結び目を形成する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
増毛用毛髪を二つ折りにして中央に曲げ部を形成し、この曲げ部の内側に増毛用毛髪の第一端部及び第二端部を通して第一環状部を形成し、
前記第一環状部を捻って交差部を形成して、前記第一環状部を、前記第一端部及び第二端部に対して遠方側の第二環状部と、前記第一端部及び第二端部に対して近傍側の第三環状部とに分割し、前記第二環状部と前記第三環状部とを重ね合わせ、この重ね合わせた輪の中に前記第一端部及び第二端部を通して引き出し、
前記重ね合わせた輪の中に頭部から生えている自毛を通して、前記第一端部と前記第二端部をそれぞれ反対方向に引っ張り結び目を形成する
ことを特徴とする増毛方法。
【請求項2】
前記重ね合わせた輪の中に前記第一端部及び第二端部を、前記第二環状部、前記第三環状部の順に通して引き出す
ことを特徴とする請求項1記載の増毛方法。
【請求項3】
前記重ね合わせた輪の中に頭部から生えている自毛を通した後、前記第一端部と前記第二端部を同一方向に引っ張りつつ、前記重ね合わせた輪を自毛の周囲に収縮させ、次いで前記第一端部と前記第二端部をそれぞれ反対方向に引っ張り前記結び目を形成する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の増毛方法。
【請求項4】
前記第一環状部を半回転捻って前記交差部を形成することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の増毛方法。
【請求項5】
頭部から生えている自毛に結着させる増毛用材料の製造方法であって、
増毛用毛髪を二つ折りにして中央に曲げ部を形成し、この曲げ部の内側に増毛用毛髪の第一端部及び第二端部を通して第一環状部を形成し、
前記第一環状部を捻って交差部を形成し、前記第一環状部を、前記第一端部及び第二端部に対して遠方側の第二環状部と、前記第一端部及び第二端部に対して近傍側の第三環状部とに分割し、前記第二環状部と前記第三環状部とを重ね合わせ、この重ね合わせた輪の中に前記第一端部及び第二端部を通して引き出す
ことを特徴とする増毛用材料の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の増毛用材料の製造方法によって得られる複数の増毛用材料が、帯状部材に保持されてなることを特徴とする増毛用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部に生えている自毛に増毛用材料を固定することによって増毛を行う増毛方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪の増毛方法として、頭部に生えている自毛に増毛用毛髪を固定する方法があった。
具体的には、まず増毛用毛髪を二つ折りにして中央に曲げ部を形成し、この曲げ部の内側に増毛用毛髪の2つの端部を通して環状部を形成し、環状部に自毛を通して増毛用毛髪を自毛に対してひばり結びにするための結び目を作る。
【0003】
次に、環状部において増毛用毛髪の周囲に自毛のリングを作り、これに自毛の先を通して固結びにするための結び目を作る。
そして、増毛用毛髪を自毛の根元まで下ろした後に固結びを締め、次いでひばり結びを締めることによって、自毛に増毛用毛髪を固定する方法があった。
【0004】
この従来の方法では、増毛用毛髪の結び目(ひばり結び)と自毛の結び目(固結び)が結合することで、増毛用毛髪を自毛に対してしっかりと固定することが可能になっている。
このように2つの結び目を作って固定する理由は、いずれか一方のみの結び目によって固定するだけでは、増毛用毛髪を自毛に対して十分に固定することができず、簡単に抜けてしまうためであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-53910号公報
【特許文献2】特開2004-316040号公報
【特許文献3】特許第5247930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この従来の方法は、増毛用毛髪が抜け落ちるのを防止するために、自毛を増毛用毛髪に結びつける作業を行う必要があり、煩雑な作業と熟練が必要なものであった。また、2つの結び目を結合させるために結び目が大きくなるという問題もあった。さらに、自毛を用いて結着作業を行うために自毛が短い場合には作業が行えず、短髪の人の増毛に適用することができないという問題もあった。
また、自毛を増毛用毛髪に結びつける作業においては、自毛が引っ張られる場合があるため、増毛を受ける被術者に痛みや不快感を与える虞があった。
【0007】
そこで、本発明者は、自毛を増毛用毛髪に結びつける作業を行うことなく増毛用毛髪を自毛に対して十分に固定することができ、結び目が小さく、自毛が短い場合にも適用可能な増毛方法を研究して本発明を完成させた。
具体的には、本発明では、増毛用毛髪を特別な形状に折りたたむことで増毛用材料を作成し、この増毛用材料を用いて増毛用毛髪を自毛に結び付けることによって増毛用毛髪が抜けないように自毛に絡まり合い、十分に固定することが可能となった。
このように本発明の増毛方法によれば、自毛を増毛用毛髪に結び付ける作業が不要であり、結び目が小さく、短髪の人に対しても増毛する可能ことが可能である。
【0008】
すなわち、本発明は、自毛を増毛用毛髪に結びつける作業が不要であるため、増毛の作業時間を短縮することが可能である。また、増毛作業に熟練が不要であり、例えば素人が自宅で実施することも可能である。さらに、本発明の増毛方法において使用する増毛用材料からなるキットは、本発明の増毛方法を簡易に行うことを可能にするものであるため、好適に物販に適用することが可能である。
【0009】
ここで、特許文献1には、自毛を増毛用毛髪に結びつける作業を行う必要のない人工毛結着方法が開示されている。この方法によっても、増毛用毛髪を自毛に固定することは可能である。しかし、本発明の増毛方法によれば、増毛用毛髪を自毛に対してより強く固定することが可能である。
【0010】
また、特許文献2には、自毛を増毛用毛髪に結びつける作業を行う必要のない増毛用材料装着法が開示されている。しかし、この方法は本発明における増毛用材料を作成するものではなく、また1本1本の自毛を増毛用毛髪に結びつけるものもなく、自毛の束に複数の増毛用毛髪を固定するためのものであって、ストッパーロープが必要なものであった。このため、本発明が解決しようとする課題の解消に適用することが困難なものであった。
【0011】
さらに、特許文献3には、自毛を増毛用毛髪に結びつける作業を行う必要のない結着法が開示されている。しかし、この方法も本発明における増毛用材料を作成するものではなく、本発明のように増毛用毛髪を自毛に強く固定することが可能なものではなかった。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、頭部に生えている自毛への増毛方法において、自毛を増毛用毛髪に結びつける作業を行う必要がなく、結び目が小さく、自毛に増毛用毛髪を強く固定することの可能な増毛方法、増毛用材料の製造方法、及び増毛用キットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の増毛方法は、増毛用毛髪を二つ折りにして中央に曲げ部を形成し、この曲げ部の内側に増毛用毛髪の第一端部及び第二端部を通して第一環状部を形成し、前記第一環状部を捻って交差部を形成して、前記第一環状部を、前記第一端部及び第二端部に対して遠方側の第二環状部と、前記第一端部及び第二端部に対して近傍側の第三環状部とに分割し、前記第二環状部と前記第三環状部とを重ね合わせ、この重ね合わせた輪の中に前記第一端部及び第二端部を通して引き出し、前記重ね合わせた輪の中に頭部から生えている自毛を通して、前記第一端部と前記第二端部をそれぞれ反対方向に引っ張り結び目を形成する方法としてある。
【0014】
また、本発明の増毛方法は、前記重ね合わせた輪の中に前記第一端部及び第二端部を、前記第二環状部、前記第三環状部の順に通して引き出す方法とすることが好ましい。
また、本発明の増毛方法は、前記重ね合わせた輪の中に頭部から生えている自毛を通した後、前記第一端部と前記第二端部を同一方向に引っ張りつつ、前記重ね合わせた輪を自毛の周囲に収縮させ、次いで前記第一端部と前記第二端部をそれぞれ反対方向に引っ張り前記結び目を形成する方法とすることも好ましい。
また、本発明の増毛方法は、前記第一環状部を半回転捻って前記交差部を形成する方法とすることも好ましい。
【0015】
本発明の増毛用材料の製造方法は、頭部から生えている自毛に結着させる増毛用材料の製造方法であって、増毛用毛髪を二つ折りにして中央に曲げ部を形成し、この曲げ部の内側に増毛用毛髪の第一端部及び第二端部を通して第一環状部を形成し、前記第一環状部を捻って交差部を形成し、前記第一環状部を、前記第一端部及び第二端部に対して遠方側の第二環状部と、前記第一端部及び第二端部に対して近傍側の第三環状部とに分割し、前記第二環状部と前記第三環状部とを重ね合わせ、この重ね合わせた輪の中に前記第一端部及び第二端部を通して引き出す方法としてある。
また、本発明の増毛用キットは、上記の増毛用材料の製造方法によって得られる複数の増毛用材料が、帯状部材に保持されてなる構成としてある。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、頭部に生えている自毛への増毛方法において、自毛を増毛用毛髪に結びつける作業を行う必要がなく、結び目が小さく、自毛に増毛用毛髪を強く固定することの可能な増毛方法、増毛用材料の製造方法、及び増毛用キットの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る増毛方法の工程(ステップ(1)~(2))を示す説明図である。
図2】本発明の実施形態に係る増毛方法の工程(ステップ(3)~(5))、及び本発明の実施形態における増毛用材料を示す説明図である。
図3】本発明の実施形態に係る増毛方法の工程(ステップ(6)~(7))を示す説明図である。
図4】本発明の実施形態に係る増毛用キットの構成を示す模式図である。
図5】従来の増毛用材料の重ね合わせた輪と本実施形態における増毛用材料の重ね合わせた輪に自毛を通した状態を示す説明図である。
図6】従来の増毛用材料の重ね合わせた輪と本実施形態における増毛用材料の重ね合わせた輪を、それぞれ自毛の周囲に収縮させた後の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の増毛方法、増毛用材料の製造方法、及び増毛用キットの実施形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態の具体的な内容に限定されるものではない。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の増毛方法は、まず増毛用毛髪1を二つ折りにして中央に曲げ部11を形成し、この曲げ部11の内側に増毛用毛髪1の第一端部12及び第二端部13を通して第一環状部14を形成する(ステップ(1))。
次に、第一環状部14を捻って交差部15を形成して、第一環状部14を、第一端部12及び第二端部13に対して遠方側の第二環状部16と、第一端部12及び第二端部13に対して近傍側の第三環状部17とに分割する(ステップ(2))。
【0020】
また、図2に示すように、第二環状部16と第三環状部17とを重ね合わせ(ステップ(3))、この重ね合わせた輪18の中に第一端部12及び第二端部13を通して引き出す(ステップ(4)~(5))。
これらのステップ(1)~(5)を行うことによって、自毛を増毛用毛髪1に結びつけることなく、増毛用毛髪1を自毛に結び付けることによって、増毛用毛髪1が抜けないように自毛に絡まり合い十分に固定することの可能な増毛用材料2を得ることができる。
【0021】
なお、図1図2において、構造の視認し易さ観点から、増毛用毛髪1として紐を用いて増毛用材料2を作成する工程を説明しているが、実際には人工毛髪(合成繊維からなるもの、及び天然の毛髪を加工したものを含む)を使用して、増毛用材料2を作成する。
【0022】
そして、図3に示すように、重ね合わせた輪18の中に頭部Hから生えている自毛3を通して(ステップ(6))、第一端部12と第二端部13をそれぞれ反対方向に引っ張り結び目Kを形成する(ステップ(7))。
この結び目Kは、自毛3を増毛用毛髪1に結びつけていないにも拘わらず、増毛用毛髪1と自毛3が絡まり合うことができ、増毛用毛髪1を自毛3に強く固定することが可能になっている。
【0023】
また、本実施形態の増毛方法のステップ(4)において、重ね合わせた輪18の中に第一端部12及び第二端部13を通す際に、これらを第三環状部17、第二環状部16の順に通して引き出しても良いが、これらを第二環状部16、第三環状部17の順に通して引き出すことがより好ましい。
このような方法にすることによって、増毛用毛髪1を自毛3により強く固定することが可能となる。
【0024】
さらに、本実施形態の増毛方法のステップ(6)において、重ね合わせた輪18の中に頭部Hから生えている自毛3を通した後、増毛用材料2を自毛3の根元の近傍に移動させることが好ましい。
これによって、増毛用毛髪1を頭部Hから自然に生えているように配置させることができる。
【0025】
また、本実施形態の増毛方法のステップ(7)において、第一端部12と第二端部13を同一方向に引っ張りつつ、重ね合わせた輪18を自毛3の周囲に収縮させた後、次いで第一端部12と第二端部13をそれぞれ反対方向に引っ張り結び目Kを形成することが好ましい。
これによって、結び目Kをよりスムーズに形成させることができる。
【0026】
さらに、本実施形態の増毛方法のステップ(2)において、第一環状部14を半回転捻って交差部15を形成することが好ましい。
このように第一環状部14を1回転以上捻って交差部15を形成するのではなく、半回転捻って交差部15を形成することによって、結び目を収縮させる際に絡んで引っかかりが生じることを抑制でき、結び目Kをよりスムーズに形成させることが可能となる。
【0027】
本実施形態において使用する増毛用毛髪1の素材としては、合成繊維や天然繊維、コラーゲン繊維、かつら用人毛などを用いることが好ましく、強度や伸度、退色性などを総合的に考慮すると、合成繊維を使用することが特に好ましい。
また、この合成繊維としては、例えば、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリアミド系繊維等を挙げることができ、ポリエステル系繊維を用いることが特に好ましい。
本実施形態において、このような素材からなる増毛用毛髪1を使用することによって、自毛3に対して結び目Kをさらにスムーズに形成させることの可能な増毛用材料2を作成することができ、自毛3に増毛用毛髪1を容易に強く固定することが可能となる。
【0028】
また、本実施形態において使用する増毛用毛髪1に対して、所定の加工を行うことも好ましい。
具体的には、増毛用材料2を自毛3に対して結着する際、重ね合わせた輪18を自毛3の周囲に収縮させる必要があるため、増毛用材料2は適度に滑ることが望ましい。
【0029】
このため、増毛用毛髪1に対して繊維処理剤(油剤)を施すことが好ましく、シリコーン系の繊維処理剤を施すことがより好ましい。
本実施形態において、このように加工した増毛用毛髪1を使用することによって、自毛3に対して結び目Kをより一層スムーズに形成させることの可能な増毛用材料2を作成することができ、自毛3に増毛用毛髪1をより容易に強く固定することが可能となる。
【0030】
また、本実施形態の増毛用材料の製造方法は、図1及び図2に示されるように、増毛用毛髪1を二つ折りにして中央に曲げ部11を形成し、この曲げ部11の内側に増毛用毛髪1の第一端部12及び第二端部13を通して第一環状部14を形成し、第一環状部14を捻って交差部15を形成し、第一環状部14を、第一端部12及び第二端部13に対して遠方側の第二環状部16と、第一端部12及び第二端部13に対して近傍側の第三環状部17とに分割し、第二環状部16と第三環状部17とを重ね合わせ、この重ね合わせた輪18の中に第一端部12及び第二端部13を通して引き出すことを特徴とする。
【0031】
このようにして得られる増毛用材料2を用いれば、自毛3を増毛用毛髪1に結びつけることなく、増毛用毛髪1を簡単に自毛3に強く固定することができ、熟練者でなくても増毛作業を容易に短時間で高い品質で行うことが可能となる。
【0032】
さらに、本実施形態の増毛用キット4は、図4に示されるように、上記の製造方法によって得られる複数の増毛用材料2が、帯状部材4に保持されてなることを特徴とする。
図4の例では、多数の増毛用材料2が、帯状部材4の接着部41に接着して保持されている様子が示されており、それぞれの増毛用材料2を接着部41から取り外して、順次自毛3に固定することが可能となっている。
このような増毛用キット4を用いれば、増毛作業を一層容易に短時間で行うことが可能となる。
【0033】
ここで、図5及び図6を参照して、従来の増毛用材料(図5及び図6の増毛用材料200)と、本実施形態における増毛用材料2との違いについて説明する。この従来の増毛用材料は、上述した本実施形態の増毛方法のステップ(1)~(3)のみを行った状態のものであり、特許文献1に記載の人工毛に近似している。
【0034】
図5には、従来の増毛用材料200の重ね合わせた輪218と本実施形態における増毛用材料2の重ね合わせた輪18に自毛3を通した状態が示されている。
図5に示されるように、従来の増毛用材料200では、第一端部212と第二端部213が重ね合わせた輪218から曲げ部211を通して下方に延びている。これに対して、本実施形態の増毛用材料2では、第一端部12と第二端部13が曲げ部11を通し、かつ重ね合わせた輪18を通して下方に延びている。
【0035】
次に、図6には、従来の増毛用材料200の重ね合わせた輪218と本実施形態における増毛用材料2の重ね合わせた輪18を、それぞれ自毛3の周囲に収縮させた後の状態が示されている。
図6に示されるように、従来の増毛用材料200では、二つ折りにより2本になった増毛用毛髪が揃って自毛3に巻き付く構造になっている。これに対して、本実施形態の増毛用材料2では、二つ折りにより2本になった増毛用毛髪が互いに絡み合って自毛3に巻き付く構造になっている。
【0036】
このように、本実施形態の増毛用材料2によれば、2本の増毛用毛髪1が互いに絡み合って自毛3に巻き付く構造になっているため、自毛3に対してよりしっかりと巻き付くことができ、従来の増毛用材料200に比較して増毛用毛髪1を自毛3により強く固定することが可能になっている。
【0037】
なお、本実施形態における増毛用材料2の重ね合わせた輪18を自毛3の周囲に縮めて得られる結び目Kの見かけ上の最終的な形状は、増毛用毛髪1の微妙な位置関係に従って様々に異なる場合がある。しかしながら、これらは、結び目Kにおける2本の増毛用毛髪1が互いに絡み合って自毛3に巻き付く構造としては同様のものである。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の増毛方法、増毛用材料の製造方法、及び増毛用キットによれば、毛髪の増毛において、自毛を増毛用毛髪に結びつける作業を行うことなく増毛用毛髪を自毛に対して強く固定することができ、また結び目が小さく、自毛が短い場合にも適用することが可能になっている。
また、本実施形態によって得られる増毛用材料や増毛用キットによれば、熟練者でなくても増毛作業を容易に短時間で高い品質で行うことが可能となる。
【0039】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。例えば、本実施形態の増毛方法のステップ(2)において、第一環状部14を反対方向に捻って交差部15を形成し、以下同様の方法としたり、本実施形態の増毛用キットにおいて図4に示した例と異なる数の増毛用材料2を保持させるなど適宜変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、毛髪の増毛において、被術者の毛髪の長さに拘わらず、熟練者でなくても簡易に短時間で高品質に増毛作業を行うことを可能にする場合などに、好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 増毛用毛髪
11 曲げ部
12 第一端部
13 第二端部
14 第一環状部
15 交差部
16 第二環状部
17 第三環状部
18 重ね合わせた輪
2 増毛用材料
3 自毛
4 帯状部材
41 接着部
H 頭部
K 結び目
図1
図2
図3
図4
図5
図6