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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023906
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】レインセンサ固定構造
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
G01N21/17 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129849
(22)【出願日】2021-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仙波 宏章
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059CC11
2G059EE02
2G059KK01
(57)【要約】
【課題】垂直な方向にウィンドシールドを押す荷重が、レインセンサとウィンドシールドの間の空気層の形成を防止するために必要な大きさを超えないようにしつつ、レインセンサをウィンドシールドの内面へ固定する作業を簡略化する。
【解決手段】レインセンサ1をウィンドシールド2の内面に固定するレインセンサ固定構造10であって、レインセンサ1とウィンドシールド2の内面との間に配置され、光を透過する弾性密着板3と、弾性密着板3の周囲を囲むようにウィンドシールド2の内面に固定された固定枠4と、ウィンドシールド2の内面に沿う方向へスライド可能に固定枠4に係合され、レインセンサ2を固定枠4に保持するスライド枠6と、を備え、スライド枠6には、スライド枠6を所定の位置へスライドすることによって、レインセンサ1をウィンドシールド2へ向かって押し付ける方向へ弾性力が作用するバネ63が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
降雨を検知するレインセンサをウィンドシールドの内面に固定するレインセンサ固定構造であって、
前記レインセンサと前記ウィンドシールドの内面との間に配置され、光を透過する弾性密着板と、
前記弾性密着板の周囲を囲むように前記ウィンドシールドの内面に固定された固定枠と、
前記ウィンドシールドの内面に沿う方向へスライド可能な状態で前記固定枠に係合され、前記レインセンサを前記固定枠に保持するスライド枠と、を備え、
前記スライド枠には、前記スライド枠を所定の位置へスライドすることによって、前記レインセンサを前記ウィンドシールドへ向かって押し付ける方向へ弾性力が作用するバネが設けられていることを特徴とするレインセンサ固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載されたレインセンサ固定構造であって、
前記ウィンドシールドから遠ざかる方向へ向かって突出するフランジ部が前記スライド枠に設けられていることを特徴とするレインセンサ固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、降雨を検知するレインセンサをウィンドシールドの内面に固定するレインセンサ固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発光素子及び受光素子を備え、ウィンドシールドの内面に固定されるレインセンサが開示されている。このレインセンサは、発光素子から光を照射し、ウィンドシールドの外面で反射した反射光を受光素子で受光し、その受光強度を計測することによりウィンドシールドの外面に付着した雨滴の量を検出することができる。そして、特許文献2には、レインセンサのカバーとカメラのカバーを一体化した構造が開示されている。
【0003】
図11は、特許文献1で開示された従来技術のレインセンサ固定構造の分解斜視図である。図11に示すように、レインセンサ1とウィンドシールド2の内面との間に、弾性を有し光を透過するシリコーンシート3が配置される。そして、レインセンサ1は、レインセンサ1を覆うカバー5とレインセンサ1の間に配置されたバネ8の弾性力でウィンドシールド2に押し付けられるように設置される。
【0004】
このようにシリコーンシート3が配置され、レインセンサ1がバネ8の弾性力でウィンドシールド2に押し付けられるように設置されることによって、レインセンサ1のプリズム11とシリコーンシート3の間に空気層が形成されたり、シリコーンシート3とウィンドシールド2の間に空気層が形成されたりすることを防止できる。
【0005】
シリコーンシート3の屈折率は、プリズム11やウィンドシールド2の屈折率とほぼ同じである。そのため、このように空気層が形成されることを防止することにより、プリズム11とシリコーンシート3の境界面やシリコーンシート3とウィンドシールド2の境界面で屈折させることなく、発光素子から照射した光をウィンドシールド2の外面で反射させて受光素子へ到達させることができる。
【0006】
上記のように、レインセンサ1の発光素子から照射されてウィンドシールド2の外面で反射した光の受光強度を正確に受光素子で計測するためには、レインセンサ1とウィンドシールド2の間に空気層が形成されないように、レインセンサ1をバネ8の弾性力でウィンドシールド2に押し付ける必要がある。
【0007】
ただし、ウィンドシールド2は垂直な方向に大きな荷重が加わると損傷する可能性がある。そのため、レインセンサ1をウィンドシールド2に固定する際に、ウィンドシールド2に垂直な方向にウィンドシールド2を押す荷重が、レインセンサ1とウィンドシールド2の間の空気層の形成を防止するために必要な大きさを超えて大きくなり過ぎないように配慮する必要がある。
【0008】
そのため、特許文献1で開示されている従来技術のレインセンサ固定構造では、カバー5でレインセンサ1を覆い、バネ8の弾性力によってカバー5が浮き上がらないようにカバー5をウィンドシールド2へ向かって押さえ込んだ状態で、カバー5の位置を固定するストッパ9を、ウィンドシールド2の内面に沿った矢印の方向へ挿入してブラケット4に係合することによって、レインセンサ1をウィンドシールド2に固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006-098124号公報
【特許文献2】特開2015-120492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図11に示す従来技術のレインセンサ固定構造では、ブラケット4をウィンドシールドに接着した後に、レインセンサ1やカバー5やストッパ9をブラケット4に取り付けるため、レインセンサ1をウィンドシールド2の内面に固定する作業に手間がかかる。
【0011】
そこで、本発明は、レインセンサをウィンドシールドに固定する際に、ウィンドシールドに垂直な方向にウィンドシールドを押す荷重が、レインセンサとウィンドシールドの間の空気層の形成を防止するために必要な大きさを超えないようにしつつ、レインセンサをウィンドシールドの内面へ固定する作業を簡略化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るレインセンサ固定構造は、降雨を検知するレインセンサをウィンドシールドの内面に固定するレインセンサ固定構造であって、前記レインセンサと前記ウィンドシールドの内面との間に配置され、光を透過する弾性密着板と、前記弾性密着板の周囲を囲むように前記ウィンドシールドの内面に固定された固定枠と、前記ウィンドシールドの内面に沿う方向へスライド可能な状態で前記固定枠に係合され、前記レインセンサを前記固定枠に保持するスライド枠と、を備え、前記スライド枠には、前記スライド枠を所定の位置へスライドすることによって、前記レインセンサを前記ウィンドシールドへ向かって押し付ける方向へ弾性力が作用するバネが設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るレインセンサ固定構造によれば、レインセンサ固定構造を一体とした状態で固定枠をウィンドシールドに固定した上で、スライド枠をスライドさせることによって、レインセンサをウィンドシールドへ固定することができるため、レインセンサをウィンドシールドに固定する際に、ウィンドシールドに垂直な方向にウィンドシールドを押す荷重が、レインセンサとウィンドシールドの間の空気層の形成を防止するために必要な大きさを超えないようにしつつ、レインセンサをウィンドシールドの内面へ固定する作業を簡略化することができる。
【0014】
本発明のレインセンサ固定構造の一態様において、前記ウィンドシールドから遠ざかる方向へ向かって突出するフランジ部が前記スライド枠に設けられていてもよい。
【0015】
この態様によれば、スライド枠にフランジ部が設けられているため、フランジ部を指で押すことによりスライド枠を容易にスライドさせることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、レインセンサをウィンドシールドに固定する際に、ウィンドシールドに垂直な方向にウィンドシールドを押す荷重が、レインセンサとウィンドシールドの間の空気層の形成を防止するために必要な大きさを超えないようにしつつ、レインセンサをウィンドシールドの内面へ固定する作業を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の実施形態のレインセンサ固定構造の分解斜視図である。
図2】スライド枠を仮固定位置に配置した状態のレインセンサ固定構造の斜視図である。
図3】スライド枠を正規位置にスライドした状態のレインセンサ固定構造の斜視図である。
図4】スライド枠の仮固定位置と正規位置を同時に示すレインセンサ固定構造の側面図である。
図5図4におけるA-A線断面図である。
図6】スライド枠の仮固定位置と正規位置を示すレインセンサ固定構造の平面図である。
図7図6におけるB-B線断面図である。
図8】スライド枠を正規位置に配置した状態のレインセンサ固定構造の平面図である。
図9図8におけるC-C線断面図である。
図10】本実施形態のレインセンサ固定構造とカメラ用カバーをウィンドシールド側から見た状態を示す斜視図である。
図11】従来技術のレインセンサ固定構造の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態のレインセンサ固定構造10について説明する。図1は、レインセンサ固定構造10の分解斜視図である。レインセンサ固定構造10は、レインセンサ1をウィンドシールド2の内面に固定する。図1に示すように、レインセンサ固定構造10は、弾性密着板3、固定枠4、カバー5及びスライド枠6を備える。
【0019】
レインセンサ1は、特許文献1で開示されたレインセンサと同様に、発光素子、プリズム及び受光素子を備え、発光素子から光を照射し、ウィンドシールド2の外面で反射した反射光を受光素子で受光し、その受光強度を計測することによりウィンドシールド2の外面に付着した雨滴の量を検出することができる。
【0020】
弾性密着板3は、弾性を有し光を透過するシリコーン製のシートであり、レインセンサ1がウィンドシールド2の内面に固定された際に、レインセンサ1とウィンドシールド2の内面との間に配置される。弾性密着板3の屈折率は、レインセンサ1のプリズムやウィンドシールド2の屈折率とほぼ同じである。
【0021】
固定枠4は、ウィンドシールド2と接する面の中央に開口部41を有し、レインセンサ1がウィンドシールド2の内面に固定された際に、開口部41内に弾性密着板3が配置される。そのため、レインセンサ1がウィンドシールド2の内面に固定された状態では、固定枠4は、弾性密着板3の周囲を囲むようにウィンドシールド2の内面に固定される。固定枠4は接着剤でウィンドシールド2の内面に固定される。
【0022】
カバー5は、1本の脚部51と4本の脚部52を備える。脚部51の先端には、脚部51の延びる方向とは垂直な方向へ突出する爪53が設けられている。固定枠4の内部にレインセンサ1を収納した状態で固定枠4にカバー5を挿入すると、固定枠4に設けられた貫通孔42に爪53が入り、爪53が貫通孔42内に入った状態が保持される。
【0023】
スライド枠6は、スライド可能な状態で固定枠4に係合される。スライド枠6の一端には2本の押さえ金具61が設けられ、他端にはフランジ部62が設けられている。そして、スライド枠6には、レインセンサ1がウィンドシールド2の内面に固定された際にレインセンサ1をウィンドシールド2へ向かって押し付ける方向へ弾性力が作用するバネ63が設けられている。
【0024】
レインセンサ固定構造10では、レインセンサ1をウィンドシールド2の内面に固定する際に、弾性密着板3が密着されたレインセンサ1を固定枠4の内部に収納した状態で固定枠4にカバー5を挿入し、スライド枠6を仮固定位置に配置して押さえ金具61でレインセンサ1を押さえ付けることによって、レインセンサ1、弾性密着板3、固定枠4、カバー5及びスライド枠6を一体とする。そして、このようにレインセンサ固定構造10を一体とした状態で、固定枠4を接着剤でウィンドシールド2に接着する。このようにレインセンサ固定構造10を一体とした上で固定枠4をウィンドシールド2に接着した状態を図2に示す。そして、このように接着した後に、スライド枠6を図2に示す仮固定位置から図3に示す正規位置までスライドさせる。このようにスライド枠6を正規位置までスライドさせることによって、スライド枠6に設けられたバネ63の弾性力がレインセンサ1をウィンドシールド2へ向かって押し付ける方向へ作用する。
【0025】
固定枠4をウィンドシールド2に接着した状態では、スライド枠6は、図2に示すようにウィンドシールド2の内面に沿ったL方向にスライドすることができる。スライド枠6には、ウィンドシールド2から遠ざかる方向へ突出するフランジ部62が設けられているため、フランジ部62を指で押すことによって、スライド枠6をスライドさせることができる。
【0026】
図4は、仮固定位置に配置されたスライド枠6と正規位置に配置されたスライド枠6を両方とも同時に描いたレインセンサ固定構造10の側面図である。図5は、図4におけるA-A線断面図である。図5に示すように、スライド枠6には、内側へ向かって突出する突出部64が両側面に設けられている。そして、固定枠4の外側面には、2箇所の凹部43が形成されている。スライド枠6が仮固定位置に配置された状態では、突出部64が凹部43に入っているため、スライド枠6がスライドする方向へスライド枠6に荷重が加わらない限り、スライド枠6は仮固定位置に保持される。
【0027】
また、図5に示すように、固定枠4の外面には、外側へ突出する凸部44が形成されている。スライド枠6を正規位置までスライドすると、スライド枠6の突出部64が固定枠4の凸部44の端まで到達する。そのため、スライド枠6が正規位置に到達すると、図2に示すL方向へスライド枠6に荷重をかけても、更にL方向へスライド枠6をスライドさせることができず停止する。
【0028】
図6は、仮固定位置に配置されたスライド枠6と正規位置に配置されたスライド枠6を両方とも同時に描いたレインセンサ固定構造10の平面図である。図7は、図6におけるB-B線断面図である。図7に示すように、カバー5のバネ63が接する面には、傾斜面54が形成されている。スライド枠6を仮固定位置からスライドさせると、バネ63が傾斜面54を乗り越えることによってスライド枠6が正規位置へ到達する。
【0029】
図8は、スライド枠6が正規位置に配置されたレインセンサ固定構造10の平面図である。図9は、図8におけるC-C線断面図である。図9に示すように、固定枠4は接着剤45でウィンドシールド2の内面に接着されている。スライド枠6の係合部65が固定枠4に係合することによって、スライド枠6は固定枠4にスライド可能な状態で係合される。図9に示すように、スライド枠6が正規位置までスライドされると、スライド枠6のバネ63の弾性力がカバー5及びレインセンサ1をウィンドシールド2へ向かって押し付ける方向へ作用する。この弾性力の作用により、レインセンサ1と弾性密着板3の間に空気層が形成されたり、弾性密着板3とウィンドシールド2の間に空気層が形成されたりすることを防止できる。
【0030】
レインセンサ固定構造10は、このようにレインセンサ固定構造10を一体とした状態で固定枠4をウィンドシールド2の内面に接着した後に、スライド枠6を仮固定位置から正規位置までスライドする作業によって、レインセンサ1をウィンドシールド2の内面に弾性密着板3を介して密着できるため、特許文献1で開示された従来技術と比較して、レインセンサ1をウィンドシールド2の内面へ固定する作業を簡略化することができる。
【0031】
また、固定枠4をウィンドシールド2の内面に接着する作業とスライド枠6をスライドさせる作業におけるウィンドシールド2に垂直な方向にウィンドシールド2を押す荷重の大きさは小さく、レインセンサ1とウィンドシールド2の間の空気層の形成を防止するために必要な大きさを超えない。そのため、レインセンサ固定構造10は、ウィンドシールド2に垂直な方向にウィンドシールド2を押す荷重が、レインセンサ1とウィンドシールド2の間の空気層の形成を防止するために必要な大きさを超えないようにしつつ、レインセンサ1をウィンドシールド2の内面へ固定する作業を簡略化することができる。
【0032】
また、レインセンサ固定構造10は、スライド枠6にフランジ部62が設けられているため、フランジ部62を指で押すことによりスライド枠6を容易にスライドさせることができる。
【0033】
なお、レインセンサ1全体を覆って密封するカバーがないと、レインセンサ1が外気に触れてレインセンサ1内のプリズムの表面で結露してレインセンサ1が雨滴を誤検知することになりかねない。そこで、図10に示すように、カメラ70のために用いるカメラ用カバー7でレインセンサ固定構造10全体を覆うことによって、ウィンドシールド2の内面とカメラ用カバー7の間に密封する。このようにレインセンサ固定構造10全体を密封することによって、レインセンサ1のプリズム表面の結露を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0034】
1 レインセンサ、2 ウィンドシールド、3 弾性密着板、4 固定枠、5 カバー、6 スライド枠、7 カメラ用カバー、10 レインセンサ固定構造、41 開口部、42 貫通孔、43 凹部、44 凸部、45 接着剤、51,52 脚部、53 爪、54 傾斜面、61 押さえ金具、62 フランジ部、63 バネ、64 突出部、65 係合部、70 カメラ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11