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  • 特開-溝蓋 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023935
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】溝蓋
(51)【国際特許分類】
   E02B 13/00 20060101AFI20230209BHJP
   E02B 5/00 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
E02B13/00 301
E02B5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129912
(22)【出願日】2021-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】300082140
【氏名又は名称】エコ ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 文博
(57)【要約】
【課題】 用水路の視認性を確保すると共に、用水路転落による水難事故を防止できる溝蓋を提供する。
【解決手段】 本実施形態における溝蓋1は、幅方向より長さ方向に長く形成された枠材10Aと、幅方向より長さ方向に長く形成された枠材10Bと、幅方向より長さ方向に長く形成され、前記第1の枠材及び前記第2の枠材を連結した連結材20とを有する。連結材20は、枠材10A及び枠材10Bの間に位置し、枠材10A及び枠材10Bの長さ方向に複数配置される。また、隣り合う2つの連結材20の間隔Dは、少なくとも人の頭部が通り抜けない幅である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向より長さ方向に長く形成された第1の枠材と、
幅方向より長さ方向に長く形成された第2の枠材と、
型材、管材、又は棒材であり、前記第1の枠材及び前記第2の枠材を連結した連結材と
を有し、
前記連結材は、前記第1の枠材及び前記第2の枠材の間に位置し、当該第1の枠材又は当該第2の枠材の長さ方向に複数配置され、
隣り合う2つの前記連結材の間隔は、少なくとも人の頭部が通り抜けない幅である
溝蓋。
【請求項2】
前記連結材は、前記第1の枠材及び前記第2の枠材の端部端面より内側に位置している
請求項1に記載の溝蓋。
【請求項3】
前記第1の枠材は、幅方向より長さ方向に長い第1の面を含み、
前記第2の枠材は、幅方向より長さ方向に長い第2の面を含み、
前記連結材は、幅方向より長さ方向に長い第3の面を含み、
前記第1の面、前記第2の面、及び前記3の面は、連結された前記第1の枠材、前記第2の枠材、及び前記連結材における一方の面に位置し、かつ、全体として平らに形成される
請求項2に記載の溝蓋。
【請求項4】
前記連結材は、機械的接合により、前記第1の枠材及び前記第2の枠材を連結している
請求項3に記載の溝蓋。
【請求項5】
幅方向より長さ方向に長い第1の面を含む第1の枠材と、
幅方向より長さ方向に長い第2の面を含む第2の枠材と、
幅方向より長さ方向に長い第3の面を含み、前記第1の枠材及び前記第2の枠材を連結した連結材と
を有し、
前記連結材は、前記第1の枠材及び前記第2の枠材の間に位置し、当該第1の枠材又は当該第2の枠材の長さ方向に複数配置され、
前記第1の面、前記第2の面、及び前記3の面は、連結された前記第1の枠材、前記第2の枠材、及び前記連結材における一方の面に位置し、かつ、全体として平らに形成される
溝蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溝蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、一対の支持部上に架設される架設構造体であって、架け渡す方向を第1方向、前記第1方向に対して直交する横方向を第2方向としたとき、前記第1方向に延び、前記一対の支持部上に両端部が架設される複数の主部材であり、前記第2方向に所定間隔で並設される複数の主部材と、前記複数の主部材の上面に架け渡される網状板であり、前記複数の主部材のそれぞれに接合される網状板とを有する架設構造体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-46714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、用水路の視認性を確保すると共に、用水路転落による水難事故を防止できる溝蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る溝蓋は、幅方向より長さ方向に長く形成された第1の枠材と、幅方向より長さ方向に長く形成された第2の枠材と、型材、管材、又は棒材であり、前記第1の枠材及び前記第2の枠材を連結した連結材とを有し、前記連結材は、前記第1の枠材及び前記第2の枠材の間に位置し、当該第1の枠材又は当該第2の枠材の長さ方向に複数配置され、隣り合う2つの前記連結材の間隔は、少なくとも人の頭部が通り抜けない幅である。
【0006】
好適には、前記連結材は、前記第1の枠材及び前記第2の枠材の端部端面より内側に位置している。
【0007】
好適には、前記第1の枠材は、幅方向より長さ方向に長い第1の面を含み、前記第2の枠材は、幅方向より長さ方向に長い第2の面を含み、前記連結材は、幅方向より長さ方向に長い第3の面を含み、前記第1の面、前記第2の面、及び前記3の面は、連結された前記第1の枠材、前記第2の枠材、及び前記連結材における一方の面に位置し、かつ、全体として平らに形成される。
【0008】
好適には、前記連結材は、機械的接合により、前記第1の枠材及び前記第2の枠材を連結している。
【0009】
また、本発明に係る溝蓋は、幅方向より長さ方向に長い第1の面を含む第1の枠材と、
幅方向より長さ方向に長い第2の面を含む第2の枠材と、幅方向より長さ方向に長い第3の面を含み、前記第1の枠材及び前記第2の枠材を連結した連結材とを有し、前記連結材は、前記第1の枠材及び前記第2の枠材の間に位置し、当該第1の枠材又は当該第2の枠材の長さ方向に複数配置され、前記第1の面、前記第2の面、及び前記3の面は、連結された前記第1の枠材、前記第2の枠材、及び前記連結材における一方の面に位置し、かつ、全体として平らに形成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水路の視認性を確保すると共に、用水路転落による水難事故を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態における溝蓋1を例示する斜視図である。
図2】溝蓋1の構成をより詳細に説明する図である。
図3】伏臥位で倒れた要救助者を用水路Uに配置した溝蓋1で支持した状態を例示する図である。
図4】実施形態の溝蓋1における変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本発明がなされた背景を説明する。
農業農村地域において、農業用水路における転落事故が発生しており、農作業中以外での事故が多い傾向にある。死傷者としては、60代以上の割合が全体の7割程に上っているのが現状である。そして、今現在、我が国の総人口に占める65歳以上の割合は増大傾向にあるため、今後、高齢者における用水路への転落等事故の増加が懸念されている。転落事故の一例として、例えば、移動中や見回り中での水路またぎ、入水作業、又は転倒に起因する転落事故が挙げられる。また、除雪作業中において、積雪により視認しにくい水路への転落に起因する転落事故も挙げられる。また、用水路へ転落後に、うつ伏せの姿勢となれば顔が水に浸かり溺水する場合、または、仰向けの姿勢となれば立ち上がる暇もなく水が顔を覆うようにかかり溺水する場合があるため、溺死事故にもなり得る。
【0013】
そこで、上記事情を一着眼点にして本発明の実施形態を創作するに至った。本発明の実施形態によれば、用水路の視認性を確保すると共に、用水路に転落しても水に浸からない位置で人の頭部が引っ掛かるよう構成した溝蓋を配置することで、用水路転落による水難事故を抑制することが可能である。以下、このような本発明の実施形態による溝蓋1を図面を参照して説明する。
【0014】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。ただし、本発明の範囲は、図示例に限定されるものではない。
まず、実施形態における溝蓋1の構成を説明する。
図1は、実施形態における溝蓋1を例示する斜視図である。
図2は、溝蓋1の構成をより詳細に説明する図である。図2(A)は、溝蓋1の表面を例示する図であり、図2(B)は、溝蓋1の裏面を例示する図であり、図2(C)は、溝蓋1の断面を例示する図である。
図1に例示するように、溝蓋1は、農業用水路(用水路U)の開口部分に配置された溝用の蓋である。複数の溝蓋1(溝蓋1A及び溝蓋1B)を用水路Uの開口部分に並べて配置することで、連続的に配置することができる。なお、溝蓋1A及び溝蓋1Bは、実質的に同様の構成であり、特に区別する必要がない場合は、単に溝蓋1と称呼する。
【0015】
図2に例示するように、溝蓋1は、金属部材、又は、合成樹脂部材で形成された溝蓋であり、金属部材で形成される場合、例えば鉄(鋳鉄)、ステンレス鋼、又はアルミニウム合金等で形成され、合成樹脂部材で形成される場合、例えばFRP材等で形成される。なお、本例の溝蓋1は、鉄で形成される。溝蓋1は、枠材10と、連結材20とを有する。本例の枠材10及び連結材20は、冶金的接合(溶接)により連結される。また、溝蓋1は、長期耐久性の観点から溶融亜鉛メッキ処理を行ってもよい。また、溝蓋1の重さは、一人で持ち運びできる重さが好ましく、例えば、11kg以下、より好ましくは、4kg以上11kg以下、さらにより好ましくは、5kg以上8kg以下である。この範囲の重さであれば、高齢者であっても一人で持ち運びできる。なお2人で持ち運びする場合は、溝蓋1の重さを11kgより重くてもよい。
【0016】
枠材10は、枠材10A及び枠材10Bを含む。枠材10A及び枠材10Bは、実質的に同様の構成であり、特に区別する必要がない場合は、枠材10と称呼する。枠材10は、幅方向より長さ方向に長く形成された部材であり、材軸方向に長尺である長尺材である。枠材10は、型材、管材、又は棒材であり、本例では等辺山形鋼である形鋼である。
また、枠材10Aは、幅方向より長さ方向に長い平面(平面11A)を含む。平面11Aは、溝蓋1の表面に位置しており、後述する連結材20の平面21と連結して一体となっている。平面11A及び平面21は、平面11Aと平面21との連結位置において段差のないよう形成され、溝蓋1の表面全体として平らとなっている。なお、枠材10Aは、本発明に係る第1の枠材の一例であり、平面11Aは、本発明に係る第1の面の一例である。
【0017】
また同様に、枠材10Bは、幅方向より長さ方向に長い平面(平面11B)を含む。平面11Bは、溝蓋1の表面に位置しており、後述する連結材20の平面21と連結して一体となっている。平面11B及び平面21は、平面11Bと平面21との連結位置において段差のないよう形成され、溝蓋1の表面全体として平らとなっている。なお、枠材10Bは、本発明に係る第2の枠材の一例であり、平面11Bは、本発明に係る第2の面の一例である。
【0018】
連結材20は、枠材10A及び枠材10Bを連結した連結部材である。連結材20は、幅方向より長さ方向に長く形成された部材であり、材軸方向に長尺である長尺材である。連結材20は、型材、管材、又は棒材であり、本例では等辺山形鋼である形鋼である。
また、連結材20は、枠材10A及び枠材10Bの間に位置し、枠材10A又は枠材10Bの長さ方向に既定の間隔Dをあけて複数配置される。連結材20は、連結材20~連結材20Eを含む。連結材20~連結材20Eは、実質的に同様の構成であり、特に区別する必要がない場合は、連結材20と称呼する。
連結材20は、隣り合う2つの連結材20の間隔Dは、少なくとも人の頭部が通り抜けない幅となっている。ここで、人の頭部が通り抜けない幅とは、人の頭部における頭長及び頭幅より狭い幅であり、例えば150mm以下であり、好適には100mm以上150mm以下である。溝蓋1は、既存のグレーチングより間隔Dを大きく確保することにより、重さを軽くできる。さらに、溝蓋1は、用水路Uに設置した状態において、用水路内の視認性を確保できると共に、除雪作業中での排雪口としても機能する。
また、連結材20は、枠材10A及び枠材10Bの端部端面12より内側に位置している。換言すると、枠材10A及び枠材10Bの端部は、枠材10の長さ方向において、連結材20より外側に突出している。連結材20は、例えば、連結材20から枠材10の端部端面12までの長さ(突出長L)を、間隔Dの半分の長さ以下となる位置に配置している。これにより、図1に例示した同じ間隔Dを含むの溝蓋1を複数並べて配置しても、隣り合う2つの溝蓋1において、一方の溝蓋1Aの連結材20と、他方の溝蓋1Bの連結材20との間隔Dを、人の頭部が通り抜けない幅にすることができる。
また、連結材20は、幅方向より長さ方向に長い平面(平面21)を含む。平面21は、平面21A~平面21Eを含み、実質的に同様の構成であるため、特に区別する必要がない場合は、平面21と称呼する。平面21は、溝蓋1の表面に位置しており、平面11A及び平面11Bと連結して一体となっている。平面21は、平面11A及び平面11Bとの連結位置において段差のないよう形成され、溝蓋1の表面全体として平らとなっている。また、平面21は、平面11A及び平面11Bと同じ幅である。なお、連結材20は、本発明に係る連結材の一例であり、平面21は、本発明に係る第3の面の一例である。
【0019】
図3は、伏臥位で倒れた要救助者を用水路Uに配置した溝蓋1で支持した状態を例示する図である。図3(A)は、側面を例示した図であり、図3(B)は、断面を例示した図である。
図3に例示するように、溝蓋1は、用水路Uの開口を塞ぐよう配置されている。要救助者は、転落後に、頭部が用水路Uの上方に位置し、伏臥位の状態となっている。溝蓋1において、隣り合う2つの連結材20は、人の頭部が通り抜けない間隔で配置しているため、要救助者は、頭部が用水路U内に落ちることなく、連結材20により支持される。このように、溝蓋1は、要救助者の頭部を支持することにより、用水路Uに頭部が落ち込むことを防止することができる。その結果、水難死亡事故を抑制することができる。
【0020】
以上説明したように、本実施形態における溝蓋1によれば、用水路Uに頭部が落ち込むことを防止することができるため、水難死亡事故を抑制することができる。また、溝蓋1は、人の頭部が用水路内に落ちないような間隔で連結材20を配置しているため、用水路内の視認性を妨げない。
また、溝蓋1は、型材で構成することにより、既存のグレーチングに使用されるツイストバーを省くことができるため、高齢者でも持ち上げる程度の重さとすることができる。
【0021】
次に、上記実施例における変形例を説明する。
なお、変形例では、上記実施例と実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[変形例1]
上記実施形態では、型材のみで溝蓋1を構成したが、本例では、型材と管材とにより溝蓋2を構成する場合を説明する。
図4は、実施形態の溝蓋1における変形例を説明する図である。
図4に例示するように、溝蓋2は、等辺山形鋼である形鋼である枠材10と、管材である連結材20とにより構成される。枠材10及び連結材20は、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成される。
枠材10は、幅方向より長さ方向に長い平面(平面11)を含む。平面11は、溝蓋1の表面に位置しており、連結材20の平面21と段差が無いようフラットに配置される。すなわち、平面11は、平面11及び平面21との連結位置において段差のないよう配置される。
連結材20は、ビスホール付の角パイプ材(ビスホール材)である。連結材20は、ビスホール材であるため、機械的接合により、枠材10と連結することができる。ここで機械的接合とは、例えば、螺子接合、カシメ結合、及びリベット接合等である。本例の連結材20は、タッピングねじにより、枠材10と連結する。また、連結材20は、幅方向より長さ方向に長い平面(平面21)を含む。平面21は、溝蓋1の表面に位置しており、枠材10の平面11と段差が無いようフラットに配置される。すなわち、平面21は、平面11及び平面21との連結位置において段差のないよう配置される。
【0022】
このように、本例の溝蓋2によれば、枠材10の平面11と連結材20の平面21とが段差が無いようフラットに配置することにより、溝蓋2の表面全体として平らとなるため、歩行時におけるつまづきを防止することができる。
また、溝蓋2は、型材と、管材とにより構成することにより、既存のグレーチングに使用されるツイストバーを省くことができるため軽くすることができる。
また、溝蓋2は、タッピング結合により、枠材10及び連結材20を連結することで、製造コストを抑えることができる。
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、これらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、追加等が可能である。
【符号の説明】
【0023】
1、2 溝蓋
10 枠材
11 平面
20 連結材
21 平面
図1
図2
図3
図4