(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023938
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】耐熱性向上剤、水性オーバープリントニス、印刷用水性インキ組成物、及び印刷物
(51)【国際特許分類】
C09D 11/02 20140101AFI20230209BHJP
B41M 1/04 20060101ALI20230209BHJP
B41M 1/10 20060101ALI20230209BHJP
B41M 1/06 20060101ALI20230209BHJP
B41M 1/12 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
C09D11/02
B41M1/04
B41M1/10
B41M1/06
B41M1/12
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129916
(22)【出願日】2021-08-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098707
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 利英子
(74)【代理人】
【識別番号】100135987
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 重慶
(74)【代理人】
【識別番号】100168033
【弁理士】
【氏名又は名称】竹山 圭太
(74)【代理人】
【識別番号】100161377
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 薫
(72)【発明者】
【氏名】若林 純一
【テーマコード(参考)】
2H113
4J039
【Fターム(参考)】
2H113AA03
2H113AA06
2H113BA01
2H113BA03
2H113BA05
2H113BA09
2H113BB02
2H113BB22
2H113DA43
2H113DA45
2H113DA48
2H113DA50
2H113DA53
2H113DA57
2H113DA62
2H113DA63
2H113EA08
2H113EA10
4J039AD01
4J039AD03
4J039AD09
4J039AE04
4J039BA16
4J039BA26
4J039BA30
4J039BE01
4J039BE06
4J039BE16
4J039CA06
4J039EA36
4J039EA43
4J039EA48
4J039GA03
4J039GA09
(57)【要約】
【課題】耐熱性に優れた印刷層を形成しうる、オーバープリントニスや印刷用のインキ組成物等として有用な印刷用組成物を調製することが可能な耐熱性向上剤、及びこの耐熱性向上剤を用いた、オーバープリントニスやインキ組成物等として有用な印刷用組成物を提供する。
【解決手段】印刷用組成物で形成される印刷層の耐熱性を向上させるために印刷用組成物に配合される耐熱性向上剤である。未焼成貝殻の粉末、バインダー樹脂、及び水性媒体を含有する。また、この耐熱性向上剤を含有する、オーバープリントニスやインキ組成物等として用いられる印刷用組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用組成物で形成される印刷層の耐熱性を向上させるために前記印刷用組成物に配合される耐熱性向上剤であって、
未焼成貝殻の粉末、バインダー樹脂、及び水性媒体を含有する耐熱性向上剤。
【請求項2】
前記未焼成貝殻の粉末の含有量が、全固形分を基準として、40~80質量%である請求項1に記載の耐熱性向上剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の耐熱性向上剤を含有する印刷用組成物。
【請求項4】
未焼成貝殻の粉末、バインダー樹脂、及び水性媒体を含有する印刷用組成物。
【請求項5】
ワックスをさらに含有し、
前記未焼成貝殻の粉末の含有量が、全固形分を基準として、1~70質量%であり、
オーバープリントニスとして用いられる請求項3又は4に記載の印刷用組成物。
【請求項6】
顔料をさらに含有し、
前記未焼成貝殻の粉末の含有量が、全固形分を基準として、1~25質量%であり、
インキ組成物として用いられる請求項3又は4に記載の印刷用組成物。
【請求項7】
紙基材に印刷するために用いられる請求項3~6のいずれか一項に記載の印刷用組成物。
【請求項8】
紙基材と、前記紙基材の表面上に設けられた、請求項3~7のいずれか一項に記載の印刷用組成物で形成された印刷層と、を備える印刷物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷用組成物で形成される印刷層の耐熱性を向上させるために用いる耐熱性向上剤、印刷用組成物、及び印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、包装紙、包装袋、及び段ボール等の分野では、高級なイメージを内容物に付与するために、鮮明な印刷物が求められている。このような段ボール等の紙基材に印刷層を形成するためのインキとしては、例えば、顔料等の色材及び印刷層を紙基材に密着させるためのバインダー樹脂等の成分を水性媒体に配合した水性のグラビアインキやフレキソインキ等が一般的に用いられている。
【0003】
段ボール等の紙基材に印刷するためのインキとしては、例えば、カーボンブラックや酸化チタンや等の着色顔料、水溶性アクリル系樹脂、及び水を含有する、印刷適性及び塗膜物性等を改良した水性のインキ組成物が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インキを紙基材に付与し、印刷層を形成して得られた印刷物は、所定の温度で熱処理されることがある。例えば、段ボール等の包装材や包装容器等の場合、印刷物をコルゲート加工する際に加熱する。しかし、インキに配合される一般的な水性に使用可能なバインダー樹脂は耐熱性がさほど高くないため、印刷層の少なくとも一部が剥離したり、積層した他の層に貼り付いたりする等の不具合が生ずる場合があった。特許文献1で提案されたインキ組成物を用いた場合であっても、形成される印刷層の耐熱性は十分であるとはいえず、改良の余地があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、耐熱性に優れた印刷層を形成しうる、オーバープリントニスや印刷用のインキ組成物等として有用な印刷用組成物を調製することが可能な耐熱性向上剤を提供することにある。また、本発明の課題とするところは、耐熱性及び耐摩擦性に優れた印刷層を形成することが可能な、オーバープリントニスや印刷用のインキ組成物等として有用な印刷用組成物、及びこの印刷用組成物を用いて得られる印刷物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明によれば、以下に示す耐熱性向上剤が提供される。
[1]印刷用組成物で形成される印刷層の耐熱性を向上させるために前記印刷用組成物に配合される耐熱性向上剤であって、未焼成貝殻の粉末、バインダー樹脂、及び水性媒体を含有する耐熱性向上剤。
[2]前記未焼成貝殻の粉末の含有量が、全固形分を基準として、40~80質量%である前記[1]に記載の耐熱性向上剤。
【0008】
また、本発明によれば、以下に示す印刷用組成物が提供される。
[3]前記[1]又は[2]に記載の耐熱性向上剤を含有する印刷用組成物(以下、「第1の印刷用組成物」とも記す)。
[4]未焼成貝殻の粉末、バインダー樹脂、及び水性媒体を含有する印刷用組成物(以下、「第2の印刷用組成物」とも記す)。
[5]ワックスをさらに含有し、前記未焼成貝殻の粉末の含有量が、全固形分を基準として、1~70質量%であり、オーバープリントニスとして用いられる前記[3]又は[4]に記載の印刷用組成物。
[6]顔料をさらに含有し、前記未焼成貝殻の粉末の含有量が、全固形分を基準として、1~25質量%であり、インキ組成物として用いられる前記[3]又は[4]に記載の印刷用組成物。
[7]紙基材に印刷するために用いられる前記[3]~[6]のいずれかに記載の印刷用組成物。
【0009】
さらに、本発明によれば、以下に示す印刷物が提供される。
[8]紙基材と、前記紙基材の表面上に設けられた、前記[3]~[7]のいずれかに記載の印刷用組成物で形成された印刷層と、を備える印刷物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、耐熱性に優れた印刷層を形成しうる、オーバープリントニスや印刷用のインキ組成物等として有用な印刷用組成物を調製することが可能な耐熱性向上剤が提供される。また、本発明によれば、耐熱性及び耐摩擦性に優れた印刷層を形成することが可能な、オーバープリントニスや印刷用のインキ組成物等として有用な印刷用組成物、及びこの印刷用組成物を用いて得られる印刷物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<耐熱性向上剤>
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明者らは、オーバープリントニス(以下、「OPニス」とも記す)やインキ組成物(以下、単に「インキ」とも記す)等の印刷用組成物で形成される印刷層の耐熱性を向上させるための成分について種々検討した。その結果、未焼成貝殻の粉末を配合することで、バインダー樹脂を含有する水性の印刷用組成物で形成される印刷層の耐熱性が向上することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明の耐熱性向上剤は、印刷用組成物で形成される印刷層の耐熱性を向上させるために印刷用組成物に配合される耐熱性向上剤であり、未焼成貝殻の粉末、バインダー樹脂、及び水性媒体を含有する。以下、本発明の耐熱性向上剤の詳細について説明する。
【0012】
(未焼成貝殻の粉末)
未焼成貝殻は、バイオマス資材としても用いられる成分である。未焼成貝殻の粉末を用いることで、耐熱性及び耐摩擦性に優れた印刷層を形成しうるOPニスやインキ等の印刷用組成物を調製することが可能な耐熱性向上剤を得ることができるとともに、バイオマス度を高めることができる。
【0013】
未焼成貝殻の粉末は、未焼成貝殻を粉砕及び分級等することで得ることができる。未焼成の貝殻としては、例えば、ホタテ貝、牡蠣貝、ホッキ貝等の貝殻を用いることができる。
【0014】
耐熱性向上剤中の未焼成貝殻の粉末の含有量は、耐熱性向上剤中の全固形分(不揮発分)を基準として、40~80質量%であることが好ましく、45~70質量%であることがさらに好ましく、48~65質量%であることが特に好ましい。未焼成貝殻の粉末の含有量が少なすぎると、この耐熱性向上剤を配合して得られる印刷用組成物で形成される印刷層の耐熱性を向上させる効果がやや不足する場合がある。一方、未焼成貝殻の粉末の含有量が多すぎると、この耐熱性向上剤を配合して得られる印刷用組成物の印刷適性がやや低下することがある。
【0015】
未焼成貝殻の粉末の平均粒子径は、0.1~10μmであることが好ましく、0.3~5μmであることがさらに好ましく、0.8~2μmであることが特に好ましい。未焼成貝殻の粉末の平均粒子径が小さすぎると、取り扱いがやや困難になることがある。一方、未焼成貝殻の粉末の平均粒子径が大きすぎると、この耐熱性向上剤を配合して得られる印刷用組成物の印刷適性がやや低下する場合があるとともに、形成される印刷層(画像)の表面が粗くなる傾向にある。本明細書における「未焼成貝殻の粉末の平均粒子径」とは、体積基準の累積50%粒子径(メジアン径(D50))を意味する。
【0016】
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、OPニスやインキ等の印刷用組成物に用いられるバインダー樹脂と同様のものを用いることができる。このバインダー樹脂は、印刷用組成物の皮膜形成能を向上させ、紙基材等の基材と、印刷用組成物で形成される印刷層との密着性を高めるための成分である。
【0017】
バインダー樹脂としては、通常のOPニスや水性インキ等に使用することが可能なものをいずれも用いることができる。好適なバインダー樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂((メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体)、ウレタン変性(メタ)アクリル樹脂、シリコーン変性(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル共重合樹脂、スチレン-アクリル酸共重合樹脂、スチレン-マレイン酸共重合樹脂、エチレン-(メタ)アクリル共重合樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル-塩化ビニル共重合樹脂、酢酸ビニル-(メタ)アクリル酸共重合樹脂、エチレン-塩化ビニル共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル-(メタ)アクリル共重合樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、及びセルロース系樹脂等を挙げることができる。なかでも、紙用のバインダー樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、スチレン-アクリル樹脂が特に好適である。
【0018】
バインダー樹脂の形態としては、例えば、水溶液型、エマルジョン型、及びディスパージョン型等を挙げることができる。これらのなかでも、印刷インキとしての適性を高める観点から、水溶液型やエマルジョン型のバインダー樹脂を用いることが好ましい。
【0019】
耐熱性向上剤中のバインダー樹脂の含有量は、耐熱性向上剤中の全固形分(不揮発分)を基準として、30~80質量%であることが好ましく、40~65質量%であることがさらに好ましい。
【0020】
(水性媒体)
水性媒体としては、OPニスやインキ等の印刷用組成物に用いられる水性媒体と同様のものを用いることができる。水性媒体としては、水、又は水と水溶性有機溶剤との混合溶媒を用いることができる。水溶性有機溶剤としては、例えば、低級アルコール類、多価アルコール類、これらのアルキルエーテル、及びこれらのアルキルエステル類等を挙げることができる。水溶性有機溶剤のさらなる具体例としては、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;の他、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。
【0021】
(添加剤)
耐熱性向上剤には、上述した成分以外の種々の添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、分散剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、ワックス、艶消し剤、ブロッキング防止剤、レベリング剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防腐剤、防錆剤、防黴剤、沈降防止剤、可塑剤、難燃剤、及び顕色剤等を挙げることができる。
【0022】
耐熱性向上剤を調製する方法は特に限定されず、必須成分である未焼成貝殻の粉末、バインダー樹脂、及び水性媒体を配合し、さらに必要に応じて用いられる添加剤を配合し、混合することで、耐熱性向上剤を得ることができる。
【0023】
<印刷用組成物>
本発明の第1の印刷用組成物は、前述の耐熱性向上剤を含有する、紙基材等の基材への印刷に好適なOPニスやインキ等の組成物である。また、本発明の第2の印刷用組成物は、未焼成貝殻の粉末、バインダー樹脂、及び水性媒体を含有する、紙基材等の基材への印刷に好適なOPニスやインキ等の組成物である。以下、単に「印刷用組成物」というときは、「第1の印刷用組成物」及び「第2の印刷用組成物」のいずれをも意味する。
【0024】
第1の印刷用組成物は、前述の耐熱性向上剤を含有する。第1の印刷用組成物は、例えば、前述の耐熱性向上剤を公知の水性OPニスや水性インキ等に添加し、混合することで得ることができる。第1の印刷用組成物は、耐熱性向上剤に由来するバインダー樹脂及び水性媒体以外の成分として、公知の水性OPニスや水性インキ等に由来するバインダー成分及び水性媒体をさらに含有していてもよい。また、第2の印刷用組成物は、未焼成貝殻の粉末を含有する。第2の印刷用組成物は、例えば、バインダー樹脂及び水性媒体を含有する公知の水性OPニスや水性インキ等に未焼成貝殻の粉末を添加して混合したり、未焼成貝殻の粉末、バインダー樹脂、水性媒体、及び必要に応じて用いられる添加剤等を混合したりすることで得ることができる。印刷用組成物は未焼成の貝殻粉末を含有するため、耐熱性及び耐摩擦性が向上した印刷層を形成することができる。
【0025】
第2の印刷用組成物に含有させる未焼成貝殻の粉末としては、耐熱性向上剤に含有させる前述の未焼成貝殻の粉末と同様のものを用いることができる。また、第2の印刷用組成物に含有させるバインダー樹脂及び水性媒体としては、耐熱性向上剤に含有させる前述のバインダー樹脂及び水性媒体と同様のものを用いることができる。
【0026】
印刷組成物中の未焼成貝殻の粉末の含有量は、印刷組成物中の全固形分を基準として、通常、1~70質量%であり、好ましくは1~25質量%である。
【0027】
(ワックス)
印刷用組成物は、ワックスをさらに含有することが好ましい。ワックスをさらに含有させることで、形成される印刷層の耐摩擦性をさらに向上させることができる。ワックスとして、炭化水素系ワックスを用いることができる。炭化水素系ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、及びマイクロクリスタリンワックス等を挙げることができる。また、炭化水素系ワックスのJIS K 2207の規定に準拠して測定される25℃での針入度は、0.1~20の範囲内であることが好ましく、1~15の範囲内であることがさらに好ましい。
【0028】
(顔料)
印刷用組成物は、色材として顔料をさらに含有することが好ましい。顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉛、硫化亜鉛、アルミニウム、雲母、酸化チタン被覆雲母(パール顔料)、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、及びカーボンブラック等の無機顔料;硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、マイカ、カオリン、及びクレー等の体質顔料(無機顔料);モノアゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アンスラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ピロロピロール系顔料、アゾメチンアゾ系顔料、ペリノン系顔料、及びペリレン系顔料等の有機顔料;等を挙げることができる。
【0029】
(オーバープリントニス)
ワックスを含有する印刷用組成物は、オーバープリントニス(OPニス)として好適に用いることができる。OPニスは、基材上にインキ等で形成された画像や印字層を被覆する皮膜層(印刷層)を形成するための組成物である。OPニスとして用いる印刷用組成物中の未焼成貝殻の粉末の含有量は、印刷用組成物中の全固形分(不揮発分)を基準として、1~70質量%であることが好ましく、5~30質量%であることがさらに好ましく、10~20質量%であることが特に好ましい。未焼成貝殻の粉末の含有量が少なすぎると、形成される印刷層の耐熱性を向上させる効果がやや不足する場合がある。一方、未焼成貝殻の粉末の含有量が多すぎると、印刷用組成物の印刷適性がやや低下することがある。
【0030】
(インキ組成物)
顔料を含有する印刷用組成物は、インキ組成物(インキ)として好適に用いることができる。インキは、基材上に画像や印字層等の印刷層を形成するための組成物である。インキ組成物は、前述のワックスをさらに含有してもよい。インキとして用いる印刷用組成物中の未焼成貝殻の粉末の含有量は、印刷用組成物中の全固形分(不揮発分)を基準として、1~25質量%であることが好ましく、3~20質量%であることがさらに好ましく、5~15質量%であることが特に好ましい。未焼成貝殻の粉末の含有量が少なすぎると、形成される印刷層の耐熱性を向上させる効果がやや不足する場合がある。一方、未焼成貝殻の粉末の含有量が多すぎると、印刷用組成物の印刷適性がやや低下することがある。
【0031】
印刷用組成物は、紙基材等の基材への印刷に好適なグラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、及びスクリーン印刷等に用いられることが好ましい。すなわち、印刷用組成物は、グラビア印刷用、フレキソ印刷用、オフセット印刷用、又はスクリーン印刷用の組成物であることが好ましい。また、印刷用組成物は、紙基材への印刷に用いられることが好ましい。プラスチックフィルムの表面は平滑である。このため、未焼成貝殻の粉末を添加したインキでプラスチックフィルムに印刷すると、形成される印刷面に凹凸が形成されやすくなる場合があり、グロスがやや低下することがある。このことは、藍インキ等の有彩色のインキや黒インキにおいては、若干の白ボケを生じさせ、鮮明な印刷を阻害する要因になる。これに対して、紙基材の表面には凹凸があるため、未焼成貝殻の粉末を添加したインキで紙基材に印刷すると、未焼成貝殻の粉末が紙基材の表面の凹凸を埋め、均一な印刷面を形成することができ、白ボケ感を生じさせない。したがって、本発明の印刷用組成物を紙基材に印刷するためのインキ組成物として用いる場合には、白インキだけでなく、白インキ以外の有彩色インキや黒インキとしても好適である。
【0032】
<印刷物>
本発明の印刷物は、紙基材と、この紙基材の表面上に設けられた、前述の印刷用組成物で形成された印刷層とを備える。すなわち、本発明の印刷物は、前述の印刷用組成物を構成材料として用いて製造されるため、耐熱性及び耐摩擦性に優れているとともにバイオマス度の高い印刷層が形成されている。さらに、顔料を含有する印刷用組成物をインキとして用いて形成される印刷層は、高濃度である。
【0033】
紙基材としては、種々の紙を用いることができる。上述の印刷用組成物を用いて形成された印刷層は耐熱性が高いため、その製造工程で熱処理されることがある段ボール原紙(中しん原紙、表ライナー、及び裏ライナー)や、これらが組み合わせられた段ボールシート等の板紙がさらに好ましい。
【0034】
印刷用組成物で形成された印刷層を紙基材の表面上に設けることで、印刷物を得ることができる。すなわち、印刷物の製造方法は、紙基材の表面上に前述の印刷用組成物を印刷して付与し、印刷層を形成する工程(印刷工程)を有する。なお、形成される印刷層は耐熱性が良好であることから、形成された印刷層を、例えば160℃以上に熱処理する工程(熱処理工程)をさらに有することが好ましい。
【0035】
印刷工程では、例えば、印刷用組成物又は印刷用組成物を水や溶剤等で希釈した希釈インキを用いて印刷した後、揮発成分(溶剤)を乾燥除去することによって印刷層を形成する。これにより、印刷物を得ることができる。印刷層の厚さは、0.1~10μmであることが好ましく、0.5~7μmであることがさらに好ましく、1~3μmであることが特に好ましい。
【0036】
紙基材への印刷は、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、及びスクリーン印刷等により行うことができる。なかでも、グラビア印刷及びフレキソ印刷が好ましく、グラビア印刷がさらに好ましい。印刷層は、紙基材の全体又は一部に設けることができる。例えば、紙基材の片面に印刷層を設けてもよく、両面に印刷層を設けてもよく、片面全体に印刷層を設けてもよく、片面の一部に印刷層を設けてもよい。
【実施例0037】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
【0038】
<OPニスの調製(1)>
(実施例1)
水及び消泡剤を撹拌器に入れて撹拌後、アクリルエマルジョンを投入してさらに撹拌し、均一な分散用水系ワニスを得た。得られた分散用水系ワニスに未焼成貝殻の粉末を添加してさらに撹拌した後、メディアビーズミルを用いて分散処理して、高濃度の貝殻分散液を得た。得られた貝殻分散液に、アクリルエマルジョン、アクリル水溶液、ワックス分散体、消泡剤、及び水を添加して撹拌し、OPニスを得た。得られたOPニスの配合処方を表1に示す。また、用いた各成分の詳細を以下に示す。
【0039】
・消泡剤:商品名「FSアンチフォーム013A」、ダウケミカル社製
・アクリルエマルジョン:スチレン-アクリル共重合体の水分散体、商品名「ジョンクリルPDX-7177」、BASF社製、固形分36%
・アクリル水溶液:アクリルポリマーの水溶液、商品名「ジョンクリルPDX-6137A」、BASF社製、固形分28%
・未焼成貝殻の粉末:未焼成のホタテ貝殻の粉末、バイオマス度<100%、平均粒子径1.55μm、商品名「ホタテ末S」(エヌ・シー・コーポレーション社製)
・ワックス分散体:ポリオレフィンワックスの水分散体、商品名「ケミパールW310」、三井化学社製、固形分40%
【0040】
(実施例2~6、比較例1)
表1に示す配合処方としたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、OPニスを得た。
【0041】
【0042】
<OPニスの評価(1)>
(試験試料(印刷物)の作製)
水40部及びイソプロピルアルコール(IPA)60部の混合溶剤でOPニスを希釈し、ザーンカップ#3で16秒に粘度を調整して印刷用ニスを調製した。網グラ、175線、35μmの版をセットした輪転式のグラビア校正機を使用し、黒台紙、コートボール紙、及び片艶紙に水性グラビア藍インキをそれぞれ付与して下層を印刷した。次いで、ヘリオ175L コンプレストの版を用い、下層の印刷面上に印刷用ニスを重ねて付与して印刷した後、常温で1日間放置して試験試料(印刷物)を得た。
【0043】
(耐熱性)
作製した試験試料の印刷面に、ツヤ面が当接するように軟質のアルミニウム箔を載置した。アルミニウム箔上にヒートシールバーを載置して2kgfの荷重を負荷し、170℃、180℃、190℃、200℃、及び210℃で10秒間加熱した。試験試料の温度が常温に戻った後にアルミニウム箔を剥離し、以下に示す評価基準にしたがって印刷層の耐熱性を評価した。結果を表2~4に示す。
○:アルミニウム箔に印刷層が転移しておらず、剥離抵抗もなかった。
○△~△:アルミニウム箔に印刷層が中程度に転移しており、軽い剥離抵抗があった。
△×~×:アルミニウム箔に全面的に印刷層が転移しており、大きな剥離抵抗があった。
【0044】
(耐摩擦性)
学振型の耐摩擦堅牢度試験機を使用し、印刷層の表面を綿布で500g×100回擦過した。擦過後の綿布の状態を確認し、以下に示す評価基準にしたがって印刷層の耐摩擦性を評価した。結果を表2~4に示す。評価結果のうち、「○-」は、「○」と「○△」の中間の評価を意味する。
○:印刷層が転移していなかった。
○△~△:印刷層が中程度に転移していた。
△×~×:印刷層が全面的に転移していた。
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
<インキの調製(1)>
(実施例7)
水及び消泡剤を撹拌器に入れて撹拌後、アクリルエマルジョンを投入してさらに撹拌し、均一な分散用水系ワニスを得た。得られた分散用水系ワニスにP.Y.14、未焼成貝殻の粉末、軽質炭酸カルシウム、及び沈降性硫酸バリウムを添加してさらに撹拌した後、メディアビーズミルを用いて分散処理して、高濃度の顔料分散液を得た。得られた顔料分散液に、アクリルエマルジョン、アクリル水溶液、ワックス分散体、消泡剤、及び水を添加して撹拌し、イエローインキを得た。得られたイエローインキの配合処方を表5に示す。また、用いた各成分の詳細を以下に示す。
【0049】
・消泡剤:商品名「FSアンチフォーム013A」、ダウケミカル社製
・アクリルエマルジョン:アクリル-スチレン共重合体の水分散体、商品名「ジョンクリルPDX-7177」、BASF社製、固形分36%
・アクリル水溶液:アクリルポリマーの水溶液、商品名「ジョンクリルPDX-6137A」、BASF社製、固形分28%
・未焼成貝殻の粉末:未焼成のホタテ貝殻の粉末、バイオマス度100%、平均粒子径1.55μm、商品名「ホタテ末S」(エヌ・シー・コーポレーション社製)
・ワックス分散体:ポリオレフィンワックスの水分散体、商品名「ケミパールW310」、三井化学社製、固形分40%
・P.Y.14:ピグメントイエロー14
・P.B.15:4:ピグメントブルー15:4
・P.R.146:ピグメントレッド146
・P.Bk.7:ピグメントブラック7
【0050】
(実施例8~14、比較例2~13)
表5~8に示す配合処方としたこと以外は、前述の実施例7と同様にして、イエローインキ、シアンインキ、マゼンタインキ、及びブラックインキを得た。
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
<インキの評価(1)>
(試験試料(印刷物)の作製)
水40部及びイソプロピルアルコール(IPA)60部の混合溶剤で各インキを希釈し、ザーンカップ#3で16秒に粘度を調整して印刷用インキを調製した。ヘリオ175L コンプレストの版をセットした輪転式のグラビア校正機を使用し、アート紙、コートボール紙、Kライナー紙、及び白ライナー紙に印刷用インキを付与して印刷した後、常温で1日間放置して試験試料(印刷物)を得た。
【0056】
(濃度)
測色機(商品名「eXact」、エックスライト社製)を使用し、光源:D50、観察視野:2°の条件でアート紙に形成した印刷層の濃度(D)を測定した。結果を表9~12に示す。
【0057】
(転移性)
アート紙、コートボール紙、Kライナー紙、及び白ライナー紙にベタ印刷した印刷層の表面(印刷面)の状態を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって転移性(1)(アート紙、コートボール紙)、及び転移性(2)(Kライナー紙、白ライナー紙)を評価した。結果を表9~12に示す。
○:均一な印刷面であった。
○△:ほぼ均一な印刷面であった。
△:多少の印刷ムラが確認された。
△×:印刷ムラ及ザラツキが発生していた。
×:全面的に印刷ムラがあった。
【0058】
(耐熱性)
作製した試験試料の印刷面に、ツヤ面が当接するように軟質のアルミニウム箔を載置した。アルミニウム箔上にヒートシールバーを載置して2kgfの荷重を負荷し、170℃、180℃、190℃、200℃、及び210℃で10秒間加熱した。試験試料の温度が常温に戻った後にアルミニウム箔を剥離し、以下に示す評価基準にしたがって印刷層の耐熱性を評価した。結果を表9~12に示す。
○:アルミニウム箔に印刷層が転移しておらず、剥離抵抗もなかった。
○△~△:アルミニウム箔に印刷層が中程度に転移しており、軽い剥離抵抗があった。
△×~×:アルミニウム箔に全面的に印刷層が転移しており、大きな剥離抵抗があった。
【0059】
(耐摩擦性)
学振型の耐摩擦堅牢度試験機を使用し、印刷層の表面を綿布で500g×100回擦過した。擦過後の綿布の状態を確認し、以下に示す評価基準にしたがって印刷層の耐摩擦性を評価した。結果を表9~12に示す。
○:印刷層が転移していなかった。
○△~△:印刷層が中程度に転移していた。
△×~×:印刷層が全面的に転移していた。
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
<OPニスの調製(2)>
(実施例15)
水、IPA、及び消泡剤を撹拌器に入れて撹拌後、アクリルエマルジョンを投入してさらに撹拌し、均一な分散用水系ワニスを得た。得られた分散用水系ワニスに未焼成貝殻の粉末を添加してさらに撹拌した後、メディアビーズミルを用いて分散処理して、高濃度の貝殻分散液を得た。得られた貝殻分散液に、アクリルエマルジョン、ウレタンエマルジョン、ワックス分散体、消泡剤、及び水を添加して撹拌し、OPニスを得た。得られたOPニスの配合処方を表13に示す。また、用いた各成分の詳細を以下に示す。
【0065】
・消泡剤:商品名「FSアンチフォーム013A」、ダウケミカル社製
・アクリルエマルジョン:スチレン-アクリル共重合体の水分散体、商品名「ジョンクリルPDX-7177」、BASF社製、固形分36%
・ウレタンエマルジョン:ポリウレタン樹脂、商品名「ユーコートUWS-145」、三洋化成工業社製、固形分38%
・未焼成貝殻の粉末:未焼成のホタテ貝殻の粉末、バイオマス度<100%、平均粒子径1.55μm、商品名「ホタテ末S」(エヌ・シー・コーポレーション社製)
・ワックス分散体:ポリオレフィンワックスの水分散体、商品名「ケミパールW310」、三井化学社製、固形分40%
【0066】
(実施例16及び17、比較例14)
表13に示す配合処方としたこと以外は、前述の実施例15と同様にして、OPニスを得た。
【0067】
【0068】
<OPニスの評価(2)>
(試験試料(印刷物)の作製)
水でOPニスを希釈し、ザーンカップ#4で16秒に粘度を調整して印刷用ニスを調製した。アニロックスロール400LPIを用い、フレキソハンドプルーファーを使用し、片艶紙(2.0kg/cm2)に水性のフレキソ藍インキを付与して下層を印刷した。次いで、アニロックスロール300LPI用い、下層の印刷面上に印刷用ニスを重ねて付与して印刷した後、常温で1日間放置して試験試料(印刷物)を得た。
【0069】
(耐熱性)
作製した試験試料の印刷面に、ツヤ面が当接するように軟質のアルミニウム箔を載置した。アルミニウム箔上にヒートシールバーを載置して2kgfの荷重を負荷し、80℃、90℃、100℃、110℃、及び120℃で、2秒間及び10秒間加熱した。試験試料の温度が常温に戻った後にアルミニウム箔を剥離し、以下に示す評価基準にしたがって印刷層の耐熱性を評価した。結果を表14及び15に示す。
○:アルミニウム箔に印刷層が転移しておらず、剥離抵抗もなかった。
○△~△:アルミニウム箔に印刷層が中程度に転移しており、軽い剥離抵抗があった。
△×~×:アルミニウム箔に全面的に印刷層が転移しており、大きな剥離抵抗があった。
【0070】
(耐摩擦性)
学振型の耐摩擦堅牢度試験機を使用し、印刷層の表面を綿布で500g×100回擦過した。擦過後の綿布の状態を確認し、以下に示す評価基準にしたがって印刷層の耐摩擦性を評価した。結果を表14及び15に示す。
○:印刷層が転移していなかった。
○△~△:印刷層が中程度に転移していた。
△×~×:印刷層が全面的に転移していた。
【0071】
【0072】
【0073】
<インキの調製(2)>
(実施例18及び19、比較例15)
水性のフレキソ藍インキ(商品名「ハイドリックFCF 739藍 M-4、大日精化工業製、ウレタン系の水性フレキソインキ)と、実施例17で調製したOPニスとを表16に示す割合で配合及び撹拌して、インキを得た。
【0074】
【0075】
<インキの評価(2)>
(試験試料(印刷物)の作製)
水で各インキを希釈し、ザーンカップ#4で16秒に粘度を調整して印刷用インキを調製した。アニロックスロール400LPIを用い、フレキソハンドプルーファーを使用し、片艶紙(2.0kg/cm2)及びアート紙(2.0kg/cm2)に印刷用インキをそれぞれ付与して印刷した後、常温で1日間放置して試験試料(印刷物)を得た。
【0076】
(耐熱性)
作製した試験試料の印刷面に、ツヤ面が当接するように軟質のアルミニウム箔を載置した。アルミニウム箔上にヒートシールバーを載置して2kgfの荷重を負荷し、80℃、90℃、100℃、110℃、及び120℃で2秒間加熱した。試験試料の温度が常温に戻った後にアルミニウム箔を剥離し、以下に示す評価基準にしたがって印刷層の耐熱性を評価した。結果を表17及び18に示す。
○:アルミニウム箔に印刷層が転移しておらず、剥離抵抗もなかった。
○△~△:アルミニウム箔に印刷層が中程度に転移しており、軽い剥離抵抗があった。
△×~×:アルミニウム箔に全面的に印刷層が転移しており、大きな剥離抵抗があった。
【0077】
(耐摩擦性)
学振型の耐摩擦堅牢度試験機を使用し、印刷層の表面を綿布で500g×100回擦過した。擦過後の綿布の状態を確認し、以下に示す評価基準にしたがって印刷層の耐摩擦性を評価した。結果を表17及び18に示す。
○:印刷層が転移していなかった。
○△~△:印刷層が中程度に転移していた。
△×~×:印刷層が全面的に転移していた。
【0078】
【0079】
本発明の耐熱性向上剤は、耐熱性に優れた印刷層を形成しうる、オーバープリントニスや印刷用のインキ組成物等として有用な印刷用組成物を調製するための成分として有用である。