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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023939
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】面光源装置および表示装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20230209BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20230209BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20230209BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230209BHJP
【FI】
F21S2/00 482
F21S2/00 481
F21V5/00 510
F21V5/00 530
F21V5/04 500
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129925
(22)【出願日】2021-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上條 佑
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA01
3K244BA08
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA22
3K244FA03
3K244GA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】発光素子から出射された光が複数の光束制御部材を透過することに起因する輝度ムラを抑制できる面光源装置を提供すること。
【解決手段】面光源装置は、基板と、発光素子220および光束制御部材をそれぞれ含む複数の発光装置200と、光拡散部材120とを有する。光束制御部材は、光束制御部材の裏側に、光束制御部材の中心軸と交わるように配置された凹部の内面であって、発光素子から出射された光を入射させるための入射面と、中心軸と交わるように光束制御部材の表側に配置され、入射面で入射した光を外部に出射するための出射面と、を含む。複数の発光装置200のうちの1つの発光装置200において発光素子220の発光中心から発光素子220の光軸に対して80°以下の出射角で出射され、入射面で入射し出射面から出射された光は、複数の発光装置200のうちの他の発光装置200に到達することなく光拡散部材120に到達する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置された発光素子および前記発光素子から出射された光の配光を制御するための光束制御部材をそれぞれ含む複数の発光装置と、
前記複数の発光装置から出射された光を拡散させつつ、透過させる光拡散部材と、
を有し、
前記光束制御部材は、
前記光束制御部材の裏側に、前記光束制御部材の中心軸と交わるように配置された凹部の内面であって、前記発光素子から出射された光を入射させるための入射面と、
前記中心軸と交わるように前記光束制御部材の表側に配置され、前記入射面で入射した光を外部に出射するための出射面と、を含み、
前記複数の発光装置のうちの1つの発光装置において前記発光素子の発光中心から前記発光素子の光軸に対して80°以下の出射角で出射され、前記入射面で入射し前記出射面から出射された光は、前記複数の発光装置のうちの他の発光装置に到達することなく前記光拡散部材に到達する、
面光源装置。
【請求項2】
前記複数の発光装置のうちの第1発光装置において前記発光素子の発光中心から前記発光素子の光軸に対する出射角θ1(ただし0°<θ1≦50°)で出射された光が、前記入射面で入射し、前記出射面の点aから前記光軸に平行な直線に対して角度θ2で出射されたとし、
前記第1発光装置の前記中心軸と、前記複数の発光装置のうちの前記第1発光装置に隣接する第2発光装置の中心軸との間の距離をPとし、
前記基板と前記光拡散部材との間の距離をHとし、
前記点aと前記基板との間の距離をAとし、
前記第1発光装置における前記点aと前記中心軸との間の距離をBとしたとき、
0<(H-A)tanθ2≦(P-B)を満たす、
請求項1に記載の面光源装置。
【請求項3】
前記複数の発光装置のうちの1つの発光装置において前記発光素子の発光中心から前記発光素子の光軸に対する出射角θ1(ただし0°<θ1≦60°)で出射された光が、前記入射面で入射し、前記出射面の点aから前記光軸に平行な直線に対して角度θ2で出射されたとしたとき、以下の式(1)をさらに満たす、請求項1または請求項2に記載の面光源装置。
Δθ2/Δθ1≧0 ・・・(1)
[式(1)において、Δθ2/Δθ1は、横軸θ1および縦軸θ2のグラフで示した曲線の接線の傾きである。]
【請求項4】
前記複数の発光装置は、格子状に配置されており、
前記複数の発光装置のうちの最外部以外に配置された発光装置において、前記発光素子の発光中心から前記発光素子の前記光軸に対して80°以下の出射角で出射され、前記入射面で入射し前記出射面から出射された光は、他の部材を経由することなく前記光拡散部材に到達する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の面光源装置。
【請求項5】
前記入射面および前記出射面は、前記中心軸を回転軸とした円対称である、請求項1~4のいずれか一項に記載の面光源装置。
【請求項6】
前記Hは、10mm以下である、請求項2~4のいずれか一項に記載の面光源装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の面光源装置と、
前記面光源装置から出射された光を照射される表示部材と、
を有する、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面光源装置および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置などの透過型画像表示装置では、光源として複数の発光素子を有する、直下型の面光源装置が使用されている。また、直下型の面光源装置では、広い範囲に光を照射するために多くの発光素子が配置されることがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、基板と、基板上にマトリックス状に配置された複数の発光ダイオードと、各発光ダイオードを覆うように配置された複数のレンズと、複数のレンズに対向して配置された拡散板とを有する面光源装置が開示されている。レンズは、裏側に形成された凹部の内面である入射面と、表側に形成され、表側に向かって凸状の出射面とを有している。発光ダイオードから出射された光は、入射面で入射した後、出射面から拡散板全体に拡げられるように出射する。これにより、発光ダイオードから出射された光は、拡散板全体に照射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2011/096192号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の面光源装置では、レンズが発光ダイオードから出射された光を拡散板の面方向に拡げるため、第1レンズから出射された光のうち一部の光は隣接する第2レンズに直接到達することがある。第1レンズから第2レンズに到達した光のうち一部の光は、第2レンズを透過して基板で反射され、再度第2レンズを透過して拡散板に到達する。このように、特許文献1に記載の面光源装置では、あるレンズから出射された光のうち一部の光が他のレンズを経由してしまうため、意図しない輝度ムラが生じてしまうことがある。
【0006】
本発明の目的は、発光素子から出射された光の配光を制御する光束制御部材として光を拡げるタイプの光束制御部材を用いながらも、発光素子から出射された光が複数の光束制御部材を透過することに起因する輝度ムラを抑制できる面光源装置を提供することである。また、当該面光源装置を有する表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施の形態に係る面光源装置は、基板と、前記基板上に配置された発光素子および前記発光素子から出射された光の配光を制御するための光束制御部材をそれぞれ含む複数の発光装置と、前記複数の発光装置から出射された光を拡散させつつ、透過させる光拡散部材と、を有し、前記光束制御部材は、前記光束制御部材の裏側に、前記光束制御部材の中心軸と交わるように配置された凹部の内面であって、前記発光素子から出射された光を入射させるための入射面と、前記中心軸と交わるように前記光束制御部材の表側に配置され、前記入射面で入射した光を外部に出射するための出射面と、を含み、前記複数の発光装置のうちの1つの発光装置において前記発光素子の発光中心から前記発光素子の光軸に対して80°以下の出射角で出射され、前記入射面で入射し前記出射面から出射された光は、前記複数の発光装置のうちの他の発光装置に到達することなく前記光拡散部材に到達する。
【0008】
本発明の一実施の形態に係る表示装置は、本発明の面光源装置と、前記面光源装置から出射された光を照射される表示部材と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、発光素子から出射された光が複数の光束制御部材を透過することに起因する輝度ムラを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1A、Bは、本発明の一実施の形態に係る面光源装置の構成を示す図である。
図2図2A、Bは、本発明の一実施の形態に係る面光源装置の構成を示す他の図である。
図3図3は、図2Bの一部を拡大した部分拡大断面図である。
図4図4A、Bは、本発明の一実施の形態における光束制御部材の構成を示す図である。
図5図5A、Bは、本発明の一実施の形態における光束制御部材の構成を示す他の図である。
図6図6A、Bは、面光源装置の特徴を説明するための模式図である。
図7図7A~Dは、本実施の形態に係る面光源装置の光路図である。
図8図8A~Dは、本実施の形態に係る面光源装置の光路図である。
図9図9A~Dは、比較例に係る面光源装置の光路図である。
図10図10A~Dは、比較例に係る面光源装置の光路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、本発明に係る面光源装置の代表例として、液晶表示装置のバックライトなどに適する面光源装置について説明する。これらの面光源装置は、面光源装置からの光を照射される表示部材102(例えば液晶パネル)と組み合わせることで、表示装置100’として使用されうる(図1B参照)。
【0012】
(面光源装置の構成)
図1A、B、図2A、Bおよび図3は、本発明の一実施の形態に係る面光源装置100の構成を模式的に示す図である。図1Aは、本発明の一実施の形態に係る面光源装置100の平面図であり、図1Bは、正面図である。図2Aは、図1Bに示されるA-A線の断面図であり、図2Bは、図1Aに示されるB-B線の断面図である。図3は、図2Bの一部を拡大した部分拡大断面図である。
【0013】
図1A、B、図2A、Bおよび図3に示されるように、面光源装置100は、筐体110と、複数の発光装置200と、光拡散部材120とを有する。
【0014】
筐体110の底板112の内面は、拡散反射面として機能する。底板112上には、発光装置200が配置された基板210が所定の位置に配置されている。また、筐体110の天板114には、開口部が設けられている。光拡散部材120は、この開口部を塞ぐように配置されており、発光面として機能する。発光面の大きさは、例えば約400mm×約700mmとすることができる。本実施の形態では、基板210と光拡散部材120との間の距離Hは、10mm以下が好ましく、5~7mmがより好ましい(図6参照)。Hが10mm超の場合、本発明の効果を発揮しにくい場合がある。
【0015】
複数の発光装置200は、筐体110の底板112上の基板210上に格子状に配列されている。ここで「格子状に配列」とは、単位格子が多角形となるように配列されていることをいう。単位格子の例には、長方形の格子、正方形の格子(正方格子)、三角形の格子を含む。本実施の形態では、複数の発光装置200は、正方格子状に配列されている。複数の発光装置200は、それぞれ発光素子220および光束制御部材300を有する。
【0016】
発光装置200(第1発光装置)の中心軸CAと、複数の発光装置200のうちの発光装置200(第1発光装置)に隣接する発光装置200(第2発光装置)の中心軸CAとの間の距離Pに対する、基板210と光拡散部材120との間の距離Hは、0.21以上が好ましく、0.25~0.35がより好ましい。このように、本実施の形態では、薄い面光源装置100において特に効果を発揮する。
【0017】
詳細は後述するが、複数の発光装置200のうちの1つの発光装置200において発光素子220の発光中心から発光素子220の光軸に対して80°以下の出射角で出射され、入射面310で入射し出射面320から出射された光は、複数の発光装置200のうちの他の発光装置200に到達することなく光拡散部材120に到達する。また、複数の発光装置200のうちの最外部以外に配置された発光装置200において、発光素子220の発光中心から発光素子220の光軸OAに対して80°以下の出射角θ1で出射され、入射面310で入射し出射面320から出射された光は、他の部材を経由することなく光拡散部材120に到達する。なお、格子状に配置された複数の発光装置200のうちの最も外側に配置された発光装置200において、出射面320から外側に向かって出射される光は、筐体110で反射された後に光拡散部材120に到達してもよいし、直接光拡散部材120に到達してもよい。
【0018】
発光素子220は、面光源装置100の光源であり、基板210上に実装されている。発光素子220は、例えば白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。本実施の形態では、発光素子220は、その発光中心(光軸OA)が光束制御部材300の中心軸CA上に位置するように配置されている。ここで、「発光素子220の光軸OA」とは、発光素子220からの立体的な出射光束の中心の光線を意味する。発光素子220の発光面は、光束制御部材300の裏面と同じ高さとなるように配置されていてもよいし、光束制御部材300の裏面よりも低い位置となるように配置されていてもよい。本実施の形態では、発光素子220の発光面は、光束制御部材300の裏面よりも低い位置(基板210側)となるように配置されている。
【0019】
光束制御部材300は、いわゆる拡散レンズであり、基板210上に固定されている。光束制御部材300は、発光素子220から出射された光の配光を制御し、当該光の進行方向を基板210の面方向に拡げる。光束制御部材300は、その中心軸CAが発光素子220の光軸OAと一致するように、発光素子220の上に配置されている(図3参照)。なお、後述する光束制御部材300の入射面310および出射面320は回転対称(本実施の形態では円対称)であり、かつこれらの回転軸は発光素子220の光軸OAと一致する。この入射面310および出射面320の回転軸を「光束制御部材300の中心軸CA」という。
【0020】
光束制御部材300は、一体成形により形成することができる。光束制御部材300の材料は、所望の波長の光を通過させ得る材料であればよい。たとえば、光束制御部材300の材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)、シリコーン樹脂などの光透過性樹脂、またはガラスである。光束制御部材300の備えるべき特徴については、別途詳細に説明する。
【0021】
光拡散部材120は、光拡散性を有する板状の部材であり、発光装置200からの出射光を拡散させつつ透過させる。光拡散部材120は、複数の発光装置200の上に基板210の表面と略平行に配置されている。通常、光拡散部材120は、液晶パネルなどの被照射部材とほぼ同じ大きさである。たとえば、光拡散部材120は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、スチレン・メチルメタクリレート共重合樹脂(MS)などの光透過性樹脂により形成される。光拡散性を付与するため、光拡散部材120の表面に微細な凹凸が形成されているか、または光拡散部材120の内部にビーズなどの光拡散子が分散している。
【0022】
本発明に係る面光源装置100では、各発光素子220から出射された光は、光束制御部材300により光拡散部材120の所定の照射領域を照らすように制御される。後述するように、各発光装置200は、光拡散部材120内の所定の照射領域を適切に照らすため、光拡散部材120の内面は略均一に照らされる。各発光装置200(光束制御部材300)から光拡散部材120に到達した光は、拡散されつつ光拡散部材120を透過する。その結果、本発明に係る面光源装置100は、面状の被照射部材(例えば液晶パネル)を均一に照らすことができる。
【0023】
(光束制御部材の構成)
図4A、Bおよび図5A、Bは、光束制御部材300の構成を示す図である。図4Aは、光束制御部材300の平面図である。図4Bは、光束制御部材300の底面図である。図5Aは、光束制御部材300の右側面図である、図5Bは、図4Aに示されるA-A線の断面図である。
【0024】
図4A、Bおよび図5A、Bに示されるように、本実施の形態では、光束制御部材300は、入射面310と、出射面320と、裏面330と、鍔部340と、脚部350とを有する。なお、本実施の形態では、ゲート跡360が残っている。
【0025】
入射面310は、発光素子220から出射された光のうちの大部分の光を、その光の進行方向を制御しつつ光束制御部材300の内部に入射させる。入射面310は、裏側に向けて開口した凹部312の内面である。凹部312は、光束制御部材300の中心軸CA(発光素子220の光軸OA)と交わるように裏面330の中央部に開口している(図5B参照)。すなわち、入射面310は、中心軸CA(光軸OA)と交わるように配置されている。入射面310は、光束制御部材300の中心軸CAと交わり、中心軸CAを回転軸とした回転対称(本実施の形態では円対称)である。
【0026】
出射面320は、光束制御部材300の表側(光拡散部材120側)に配置されている。出射面320は、光束制御部材300内に入射した光を、進行方向を制御しつつ外部に出射させる。出射面320は、中心軸CAと交わり、中心軸CAを回転軸とした回転対称(本実施の形態では円対称)である。
【0027】
本実施の形態では、出射面320は、中心軸CAを中心とする所定範囲に位置する第1出射面320aと、第1出射面320aの周囲に連続して形成される第2出射面320bと、第2出射面320bと鍔部340とを接続する第3出射面320cとを有する(図6D参照)。第1出射面320aは、裏側に凸の曲面である。第2出射面320bは、第1出射面320aの周囲に位置する、表側に凸の滑らかな曲面である。第2出射面320bの形状は、円環状の凸形状である。第3出射面320cは、第2出射面320bの周囲に位置する曲面である。
【0028】
裏面330は、光束制御部材300の裏側に位置し、凹部312の開口縁部に接続され、凹部312の開口縁部から離れるように形成された面である。本実施の形態では、裏面330には、複数の凸条333を有する環状溝334が配置されている。
【0029】
環状溝334は、凹部312(入射面310)を囲むように裏面330に形成されている。環状溝334は、中心軸CAを軸とした回転対称である。環状溝334は、中心軸CA側に配置された第1内面331と、中心軸CAに対して第1内面331より離れて配置された第2内面332と、を含む。また、第2内面332には、複数の凸条333が配置されている。
【0030】
第1内面331は、中心軸CAと平行となるように配置されていてもよいし、中心軸CAから離れるにつれて表側に向かって傾斜していてもよい。本実施の形態では、第1内面331は、中心軸CAと平行となるように配置されている。
【0031】
第2内面332は、第1内面331を囲むように光束制御部材300の裏側に形成されている。第2内面332は、中心軸CAから離れるにつれて裏側に向かって傾斜している。
【0032】
裏面330における環状溝334の位置は適宜設定できる。裏面330における環状溝334の位置は、出射面320で内部反射した光が多く到達する領域に形成されていることが好ましい。なお、上記領域に第2内面332が位置している。出射面320で反射した光の到達位置は、出射面320の形状など様々な要因により変化するため、光束制御部材300に応じて適宜設定される。なお、出射面320で内部反射した光は、光拡散部材120上における輝度分布にほとんど影響しない。
【0033】
複数の凸条333は、稜線338に直交する断面がそれぞれ略三角形状であり、かつ中心軸CAに対して回転対称(凸条333の数をnとしたときn回対称)となるように形成されている。各凸条333は、平面状の第1傾斜面336と、平面状の第2傾斜面337と、第1傾斜面336と第2傾斜面337の間に配置された稜線338とを有しており、全反射プリズムのように機能する。稜線338は、中心軸CAから離れるにつれて、裏面330側に向かう方向に傾斜している。複数の凸条333は、出射面320で内部反射した光を光拡散部材120に向けて反射させる。
【0034】
鍔部340は、光束制御部材300の外周部に配置されている。鍔部340は、光束制御部材300の取扱を容易にする。鍔部340の数は、特に限定されない。鍔部340の数は、1つでもよいし、複数でもよい。本実施の形態では、鍔部340の数は、5つである。鍔部340の平面視形状も特に限定されない。本実施の形態では、鍔部340の平面視形状は、略半円形状である。
【0035】
脚部350は、光束制御部材300を基板に210に固定するために使用される。脚部350の形状は、前述の機能を発揮できれば適宜設定できる。本実施の形態では、脚部350は、略円柱状に形成されている。脚部350の数は、特に限定されない。脚部350の数は、1つでもよいし、複数でもよい。本実施の形態では、脚部350の数は、3つである。
【0036】
(シミュレーション)
ここで、発光素子220から出射された光の光路について詳細に説明する。なお、比較のため本実施の形態に係る面光源装置100の特徴を有さない面光源装置100Aにおける発光装置200Aから出射される光の光路についても調べた。図6A、Bは、発光素子220から出射された光の光路を説明するための模式図である。図6Aは、発光装置200から出射された光の光拡散部材120に到達する位置を説明するための図である。図6Bは、発光素子220から出射される光の出射角度(第1出射角度;出射角θ1)と光束制御部材300から出射される光の出射角度(第2出射角度;角度θ2)との関係を示す図である。
【0037】
図7A~Dおよび図8A~Dは、本実施の形態に係る面光源装置100における発光装置200から出射された光の光路図である。図7Aは、出射角θ1が0°超、10°以下の場合の光の光路図である。図7Bは、出射角θ1が10°超、20°以下の場合の光の光路図である。図7Cは、出射角θ1が20°超、30°以下の場合の光の光路図である。図7Dは、出射角θ1が30°超、40°以下の場合の光の光路図である。図8Aは、出射角θ1が40°超、50°以下の場合の光の光路図である。図8Bは、出射角θ1が50°超、60°以下の場合の光の光路図である。図8Cは、出射角θ1が60°超、70°以下の場合の光の光路図である。図8Dは、出射角θ1が70°超、80°以下の場合の光の光路図である。これらの図では、基板210で反射した後の光については省略している。
【0038】
図9A~Dおよび図10A~Dは、比較例に係る面光源装置100Aにおける発光装置200Aから出射された光の光路図である。図9Aは、出射角θ1が0°超、10°以下の場合の光の光路図である。図9Bは、出射角θ1が10°超、20°以下の場合の光の光路図である。図9Cは、出射角θ1が20°超、30°以下の場合の光の光路図である。図9Dは、出射角θ1が30°超、40°以下の場合の光の光路図である。図10Aは、出射角θ1が40°超、50°以下の場合の光の光路図である。図10Bは、出射角θ1が50°超、60°以下の場合の光の光路図である。図10Cは、出射角θ1が60°超、70°以下の場合の光の光路図である。図10Dは、出射角θ1が70°超、80°以下の場合の光の光路図である。これらの図では、基板210で反射した後の光については省略している。
【0039】
これらの図では、基板210の表面と、光拡散部材120の裏面までの距離Hは、5mmとした。また、隣接する発光装置200間の中心間距離Pは、20mmとした。本実施の形態に係る面光源装置100における光束制御部材300を平面視したときの最小径(図4のA-A線に相当する距離)は、6.2mmである。比較例に係る面光源装置100Aにおける光束制御部材300Aを平面視したときの最小径(図4のA-A線に相当する距離)は、12.0mmである。これらの図では、光束制御部材300、300Aのハッチングを省略している。なお、実実施の形態における光束制御部材300と、比較例に係る光束制御部材300Aとは、入射面310、310Aの形状および出射面320、320Aの形状がそれぞれ異なる。
【0040】
本実施の形態に係る面光源装置100では、図6A図7A~Dおよび図8A~Dに示されるように、複数の発光装置200のうちの1つの発光装置200において発光素子220の発光中心から発光素子220の光軸OAに対して80°以下の出射角θ1で出射され、入射面310で入射し出射面320から出射された光は、複数の発光装置200のうちの他の発光装置200に到達することなく光拡散部材120に到達することがわかる。このように、発光装置200から出射された光のうち、大部分の光は、隣接する発光装置200に直接到達せずに、他の部材に到達することなく、光拡散部材120に到達する。すなわち、本実施の形態に係る光束制御部材300は、発光素子220から出射した光が上記のように進行するように、入射面310および出射面320が形成されている。なお、ここでは、入射面310で入射し出射面320で内部反射した光については、考慮しないものとする。以下も同じである。
【0041】
また、図6A図7A~Dおよび図8Aに示されるように、複数の発光装置200のうちの第1発光装置200において発光素子220の発光中心から発光素子220の光軸OAに対する出射角θ1(ただし0°<θ1≦50°)で出射された光が、入射面310で入射し、出射面320の点aから光軸OAに平行な直線に対して角度θ2で出射されたとし、第1発光装置200の中心軸CAと、複数の発光装置200のうちの第1発光装置200に隣接する第2発光装置200の中心軸CAとの間の距離をPとし、基板210と光拡散部材120との間の距離をHとし、点aと基板210との間の距離をAとし、第1発光装置200における点aと中心軸CAとの間の距離をBとしたとき、0<(H-A)tanθ2≦(P-B)を満たすことが好ましい。すなわち、格子の辺に対応する隣接する2つの発光装置200を考えた場合、一方の発光装置200においてθ1が0°超であって、50°以下で出射された光は、隣接する他方の発光装置200の中心軸CAよりも、一方の発光装置200側の光拡散部材120の領域に到達する。これにより、発光装置200から出射された光は、光拡散部材120の所定の領域のみに到達させることができる。
【0042】
また、図6B図7A~Dおよび図8A、Bに示されるように、複数の発光装置200のうちの1つの発光装置200において発光素子220の発光中心から発光素子220の光軸OAに対する出射角θ1(ただし0°<θ1≦60°)で出射された光が、入射面310で入射し、出射面320の点aから光軸OAに平行な直線に対して角度θ2で出射されたとしたとき、以下の式(1)をさらに満たすことが好ましい。
Δθ2/Δθ1≧0 ・・・(1)
式(1)において、θ1の変化に伴うθ2の値を横軸θ1および縦軸θ2のグラフで示した曲線の接線の傾きである。
すなわち、発光装置200においてθ1が0°超であって、60°以下の範囲内では、発光素子220における出射角θ1が大きくなるほど、出射面320から出射される光の角度θ2が大きくなることが好ましい。これにより、光量が多い光を光拡散部材120の所望の領域に到達させることができるため、輝度ムラを抑制できる。本実施の形態では、θ1が60°の光は、隣接する他の発光装置200の直上に到達している。
【0043】
一方、出射角θ1が60°超であって、80°未満の場合には、以下の式(2)を満たすことが好ましい。
Δθ2/Δθ1<0 ・・・(2)
すなわち、格子の辺に対応する隣接する2つの発光装置200を考えた場合、一方の発光装置200においてθ1が60°超であって、80°未満の範囲内では、発光素子220における出射角θ1が大きくなるほど、出射面320から出射される光の角度θ2が小さくなることが好ましい。なお、角度θ2が60°超であって、80°未満の範囲内の光の光量は、角度θ2が60°未満の光と比較して、光量が小さいため、光拡散部材120上における輝度分布にはほとんど影響しない。
【0044】
また、特に図示しないが、出射角θ1が80°超の光は、入射面310でなく、裏面330かから入射し、出射面320から出射されるが、他の出射角の光と比較して、光量が小さいため、光拡散部材120上における輝度分布にはほとんど影響しない。
【0045】
一方、図9A~Dおよび図10A~Dに示されるように、比較例に係る面光源装置100Aでは、特に、図9Dおよび図10Aに示されるように、出射面320Aからの角度θ2が35°以上55°未満の光の場合において、発光装置200Aから出射された光が、隣接する発光装置200Aに直接到達する光があった。隣接する発光装置200Aに直接到達した光は、光束制御部材300Aの出射面320Aおよび入射面310Aによって、発光素子220近傍に集光しつつ、基板210に到達していることがわかる。特に図示していないが、基板210に到達した光は、基板210で反射して再度光束制御部材300Aを透過して、光拡散部材120の意図しない領域に到達した。
【0046】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る面光源装置100では、発光装置200から出射された光は、隣接する発光装置200に直接到達せず、光拡散部材120に直接到達するため、光拡散部材120における所望の位置に光を到達させることができる。よって、本実施の形態に係る面光源装置100では、輝度ムラを抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る発光装置および面光源装置は、例えば、液晶表示装置のバックライトや一般照明などに適用できる。
【符号の説明】
【0048】
100、100A 面光源装置
100’ 表示装置
102 表示部材
110 筐体
112 底板
114 天板
120 入射面
120 光拡散部材
200、200A 発光装置
210 基板
220 発光素子
300、300A 光束制御部材
310、310A 入射面
312 凹部
320、320A 出射面
320a 第1出射面
320b 第2出射面
320c 第3出射面
330 裏面
331 第1内面
332 第2内面
333 凸条
334 環状溝
336 第1傾斜面
337 第2傾斜面
338 稜線
340 鍔部
350 脚部
360 ゲート跡
CA 中心軸
OA 光軸
θ1 出射角
θ2 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10