IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エンプラスの特許一覧

特開2023-23940光レセプタクル、光モジュールおよび光レセプタクルの製造方法
<>
  • 特開-光レセプタクル、光モジュールおよび光レセプタクルの製造方法 図1
  • 特開-光レセプタクル、光モジュールおよび光レセプタクルの製造方法 図2
  • 特開-光レセプタクル、光モジュールおよび光レセプタクルの製造方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023940
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】光レセプタクル、光モジュールおよび光レセプタクルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20230209BHJP
   H01L 31/0232 20140101ALI20230209BHJP
   H01S 5/02251 20210101ALI20230209BHJP
【FI】
G02B6/42
H01L31/02 C
H01S5/02251
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129929
(22)【出願日】2021-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 ほの香
(72)【発明者】
【氏名】今 亜耶乃
【テーマコード(参考)】
2H137
5F149
5F173
5F849
【Fターム(参考)】
2H137AB05
2H137AB06
2H137AB11
2H137AC12
2H137AC14
2H137BA03
2H137BA04
2H137BA12
2H137BA31
2H137BB03
2H137BB12
2H137BB22
2H137BC02
2H137BC08
2H137CA15A
2H137CA15B
2H137CA16A
2H137CA28A
2H137CA28B
2H137CA35
2H137CA46
2H137CA75
2H137CC01
2H137EA02
2H137EA06
5F149BA26
5F149BB01
5F149JA07
5F149JA14
5F149XB05
5F173MA02
5F173MB01
5F173MB05
5F173MC03
5F173MC15
5F173ME25
5F173ME69
5F173ME87
5F173MF03
5F173MF23
5F173MF39
5F849BA26
5F849BB01
5F849JA07
5F849JA14
5F849XB05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ピン状の金型を用いて成形しても光伝送体を適切に位置決めできる光レセプタクル光レセプタクルを提供すること。
【解決手段】光レセプタクル120は、第1光学面121と、第2光学面122と、第2光学面122の第2中心軸CA2を取り囲むように配置された環状の第1筒部124とを有する。第1筒部124は、第2中心軸CA2に垂直な断面形状が円形の第1内側面123aと、第1内側面123aよりも第2光学面122側に配置された第2中心軸CA2に垂直な断面形状が円形の第2内側面123bと、を含む。第1内側面123aの径は、第2内側面123bの径よりも大きく、第2内側面123bの第2中心軸CA2に沿う方向における長さは、0.5~4.0mmの範囲内である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換素子を含む光電変換素子パッケージおよび光伝送体の間に配置されたときに、前記光電変換素子および前記光伝送体を光学的に結合させるための一体成形された光レセプタクルであって、
前記光電変換素子パッケージから出射された光を前記光レセプタクルの内部に入射させるか、または前記光レセプタクルの内部を進行した光を前記光電変換素子パッケージに向けて出射させるための第1光学面と、
前記光レセプタクルの内部を進行した光を前記光伝送体に向けて出射させるか、または前記光伝送体から出射された光を前記光レセプタクルの内部に入射させるための第2光学面と、
前記第2光学面よりも前記第1光学面から離れた位置に前記第2光学面の第2中心軸を取り囲むように配置された第2筒部と、
を有し、
前記第2筒部は、
前記第2中心軸に垂直な断面形状が円形の第1内側面と、
前記第1内側面よりも前記第2光学面側に配置された、前記第2中心軸に垂直な断面形状が円形の、前記第2光学面と対向する位置に前記光伝送体を保持するための第2内側面と、
を含み、
前記第1内側面の径は、前記第2内側面の径よりも大きく、
前記第2内側面の前記第2中心軸に沿う方向における長さは、0.5~4.0mmの範囲内である、
光レセプタクル。
【請求項2】
前記第1光学面の第1中心軸を取り囲むように配置された、前記第1光学面と対向する位置に前記光電変換素子パッケージを保持するための第1筒部をさらに有する、請求項1に記載の光レセプタクル。
【請求項3】
光電変換素子を含む光電変換素子パッケージと、
前記光電変換素子および光伝送体を光学的に結合させるための請求項1または請求項2に記載の光レセプタクルと、
を有する、光モジュール。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の光レセプタクルの製造方法であって、
前記第1内側面と相補的な形状の第1成形面および前記第2内側面と相補的な形状の第2成形面を有する金型を使用して、前記第1筒部の内側面を形成する、
光レセプタクルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光レセプタクル、光モジュールおよび光レセプタクルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以前から、光ファイバーや光導波路などの光伝送体を用いた光通信には、面発光レーザ(例えば、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser))などの発光素子やフォトディテクターなどの受光素子を備えた光モジュールが使用されている。光モジュールは、1または2以上の光電変換素子(発光素子または受光素子)と、送信用、受信用または送受信用の光レセプタクルとを有する。
【0003】
特許文献1には、対物表面(第1光学面)と、像表面(第2光学面)とを含む樹脂製のレンズ構造体(光レセプタクル)が記載されている。特許文献1に記載のレンズ構造体では、対物表面に対向するように光源または光検出装置がレンズ構造体に固定され、筒部に光ファイバーが挿入されることで、像表面に対向するように光ファイバーがレンズ構造体に固定される。特許文献1に記載のレンズ構造体は、光源から出射された光を光ファイバーの端面に導くか、または光ファイバーから出射された光を光検出装置に導く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-163372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、光源または光検出装置と光ファイバーとの間の光結合率を高めるためには、光ファイバーを位置決めするための筒部を高い精度で成形する必要がある。一般に、特許文献1に記載されているようなレンズ構造体では、筒部の内側が一本の長いピン状の金型を用いて成形される。このとき、成形時における溶融樹脂の圧力によって、ピン状の金型の位置が僅かにずれてしまうことがある。また、このようなレンズ構造体は、樹脂製であるため、成形時における樹脂の収縮によって歪んでしまうこともある。このように、特許文献1に記載されているようなレンズ構造体では、軸方向に長い筒部の全体に対して高い成形精度が要求されるが、ピン状の金型の位置ずれや成形品の歪みなどの理由により要求された精度を出すのが難しい。
【0006】
本発明の目的は、ピン状の金型を用いて成形しても光伝送体を適切に位置決めできる光レセプタクルを提供することである。また、本発明の別の目的は、当該光レセプタクルを有する光モジュールを提供することである。さらに、当該光レセプタクルの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施の形態に係る光レセプタクルは、光電変換素子を含む光電変換素子パッケージおよび光伝送体の間に配置されたときに、前記光電変換素子および前記光伝送体を光学的に結合させるための一体成形された光レセプタクルであって、前記光電変換素子パッケージから出射された光を前記光レセプタクルの内部に入射させるか、または前記光レセプタクルの内部を進行した光を前記光電変換素子パッケージに向けて出射させるための第1光学面と、前記光レセプタクルの内部を進行した光を前記光伝送体に向けて出射させるか、または前記光伝送体から出射された光を前記光レセプタクルの内部に入射させるための第2光学面と、前記第2光学面よりも前記第1光学面から離れた位置に前記第2光学面の第2中心軸を取り囲むように配置された第2筒部と、を有し、前記第2筒部は、前記第2中心軸に垂直な断面形状が円形の第1内側面と、前記第1内側面よりも前記第2光学面側に配置された、前記第2中心軸に垂直な断面形状が円形の、前記第2光学面と対向する位置に前記光伝送体を保持するための第2内側面と、を含み、前記第1内側面の径は、前記第2内側面の径よりも大きく、前記第2内側面の前記第2中心軸に沿う方向における長さは、0.5~4.0mmの範囲内である。
【0008】
本発明の一実施の形態に係る光モジュールは、光電変換素子を含む光電変換素子パッケージと、前記光電変換素子および光伝送体を光学的に結合させるための上記本発明の一実施の形態に係る光レセプタクルと、を有する。
【0009】
本発明の一実施の形態に係る光レセプタクルの製造方法は、上記本発明の一実施の形態に係る光レセプタクルの製造方法であって、前記第1内側面と相補的な形状の第1成形面および前記第2内側面と相補的な形状の第2成形面を有する金型を使用して、前記第1筒部の内側面を形成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ピン状の金型を用いて成形しても光伝送体を適切に位置決めできる光レセプタクルを提供できる。したがって、本発明によれば、適切に光通信を行うことができる光レセプタクルおよび光モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、光伝送体を固定した状態の本発明の実施の形態に係る光モジュールの断面図である。
図2図2A、Bは、本発明の実施の形態に係る光レセプタクルの特徴を説明するための断面図である。
図3図3A~Cは、本発明の実施の形態に係る光レセプタクルの製造方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態に係る光レセプタクルおよび光モジュールについて、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(光モジュールの構成)
図1は、光伝送体130を固定した状態の本実施の形態に係る光モジュール100の断面図である。なお、図1では、光伝送体130、フェルール131、スタブ132およびスリーブ133を点線で示している。
【0014】
図1に示されるように、光モジュール100は、光電変換素子パッケージ110と、光レセプタクル120とを有する。光モジュール100は、光レセプタクル120に光伝送体130が接続されて使用される。本実施の形態では、あらかじめ光レセプタクル120にスタブ132およびスリーブ133が配置されており、スリーブ133に光伝送体130が保持されたフェルール131を挿入することで、光レセプタクル120および光伝送体130が接続される。本実施の形態では、フェルール131に保持された光伝送体130は第1内側面123aに保持されており、スタブ132に保持された光伝送体130は、第1内側面123aおよび第2内側面123bに保持されている。光モジュール100は、送信用の光モジュールでもよいし、受信用の光モジュールでもよい。本実施の形態では、光モジュール100は、送信用の光モジュールであり、光レセプタクル120は、光電変換素子パッケージ110から出射された光を光伝送体130の端面に導く。なお、光モジュール100が受信用の光モジュールの場合、光レセプタクル120は、光伝送体130の端面から出射された光を光電変換素子パッケージ110に導く。
【0015】
光電変換素子パッケージ110は、筐体111と、光電変換素子112と、リード113とを含む。筐体111の内部には、光電変換素子112が配置されている。光電変換素子パッケージ110は、光レセプタクル120に固定される。本実施の形態では、光電変換素子パッケージ110は、接着剤の硬化物116を介して光レセプタクル120に固定されている。
【0016】
光電変換素子112は、発光素子114または受光素子115であり、筐体111の内部に配されている。光モジュール100が送信用の光モジュールである場合、光電変換素子112は、発光素子114である。また、光モジュール100が受信用の光モジュールである場合、光電変換素子112は、受光素子115である。本実施の形態では、光モジュール100が送信用の光モジュールであるため、光電変換素子112は、発光素子114である。発光素子114は、例えば垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)である。光モジュール100が受信用の光モジュールの場合、光電変換素子112は、受光素子115である。受光素子115は、例えばフォトディテクターである。
【0017】
リード113は、その一方の端部が光電変換素子112に接続されている。リード113は、筐体111の底面から突出するように配置されている。リード113の数は、特に限定されない。本実施の形態では、リード113の数は、3本である。また、本実施の形態では、3本のリード113は、光電変換素子パッケージ110を底面視したときに周方向に等間隔となるように配置されている。
【0018】
光レセプタクル120は、光電変換素子パッケージ110と光伝送体130との間に配置されたときに、発光素子114または受光素子115を含む光電変換素子パッケージ110と、光伝送体130の端面とを光学的に結合させる。本実施の形態のように、送信用の光モジュール100では、光レセプタクル120は、光電変換素子112としての発光素子114から出射された光を入射させ、入射させた光を光伝送体130の端面に向けて出射する。なお、受信用の光モジュール100では、光レセプタクル120は、光伝送体130の端面から出射された光を入射させ、光電変換素子112としての受光素子115の受光面に向けて出射する。
【0019】
光伝送体130の種類は、特に限定されない。光伝送体130の種類の例には、光ファイバー、光導波路が含まれる。本実施の形態では、光伝送体130は、光ファイバーである。また、光ファイバーは、シングルモード方式でもよいし、マルチモード方式でもよいが、シングルモード方式が好ましい。
【0020】
本実施の形態では、光伝送体130は、フェルール131、スタブ132およびスリーブ133を介して光レセプタクル120に固定される。フェルール131は、光伝送体130を取り囲むように配置された略円筒形状の部材である。フェルール131に保持された光伝送体130は、その先端がフェルール131から突出している。スリーブ133は、光レセプタクル120の第2筒部123の第1内側面123aを覆うように配置された略円筒形状の部材である。スタブ132は、光レセプタクル120の第2筒部123の第2内側面123bと、スリーブ133の内側面の一部を覆うように配置された略円筒形状の部材である。本実施の形態では、スタブ132は、フェルール131と直接接続する、短く両端が研磨済の光ファイバー内蔵の単心円筒型フェルールである。スリーブ133およびスタブ132を配置した光レセプタクル120に、内部に光伝送体130を配置したフェルール131を挿入することで、光伝送体130は光レセプタクル120に位置決めされつつ固定される。
【0021】
なお、光伝送体130は、スタブ132およびスリーブ133を介さずに光レセプタクル120に固定されてもよい。たとえば、光伝送体130の端部を取り囲むように配置されたフェルール131を、光レセプタクル120の第2筒部123の第2内側面123bに接触するように光レセプタクル120に挿入することで、光伝送体130が光レセプタクル120に位置決めされつつ固定されてもよい。
【0022】
(光レセプタクルの構成)
光レセプタクル120は、略円筒状の光学部材である。本実施の形態では、光レセプタクル120の一端には光伝送体130が固定され、他端には光電変換素子パッケージ110が固定される。光レセプタクル120は、第1光学面121と、第2光学面122と、第2筒部123とを有する。本実施の形態では、光レセプタクル120は、上記構成に加え、第1筒部124をさらに有する。
【0023】
光レセプタクル120は、光通信に用いられる波長の光に対して透光性を有する材料を用いて形成される。光レセプタクル120の材料の例には、ウルテム(登録商標)などのポリエーテルイミド(PEI)や環状オレフィン樹脂などの透明な樹脂が含まれる。また、光レセプタクル120は、例えば射出成形により一体成形されて製造される。
【0024】
第1光学面121は、光電変換素子パッケージ110(発光素子114)から出射された光を光レセプタクル120の内部に入射させるか、または第2光学面122で入射し光レセプタクル120の内部を進行した光を光電変換素子パッケージ110(受光素子115)に向けて出射させるための光学面である。第1光学面121の形状は、特に限定されない。第1光学面121は、光電変換素子パッケージ110に向かって凸状の凸レンズ面でもよいし、光電変換素子パッケージ110に対して凹状の凹レンズ面でもよいし、平面であってもよい。本実施の形態では、第1光学面121は、光電変換素子パッケージ110に向かって凸状の凸レンズ面である。第1光学面121の平面視形状は、特に限定されない。第1光学面121の平面視形状は、円形状でもよいし、楕円形状でもよい。本実施の形態では、第1光学面121の平面視形状は、円形状である。
【0025】
第1光学面121の第1中心軸CA1は、光電変換素子112の表面(発光素子114の発光面)に対して垂直でもよいし、垂直でなくてもよい。本実施の形態では、第1中心軸CA1は、光電変換素子112の表面(発光素子114の発光面)に対して垂直である。また、第1光学面121の第1中心軸CA1は、光電変換素子パッケージ110の表面(発光素子114の発光面)の中心と一致することが好ましい。第1光学面121の周りには、第1筒部124が配置されている。
【0026】
第1筒部124は、第1光学面121の第1中心軸CA1を取り囲むように配置されており、第1光学面121と対向する位置に光電変換素子パッケージ110を保持する。第1筒部124の形状は、その内側面で光電変換素子パッケージ110を保持できれば、特に限定されない。本実施の形態では、第1筒部124の形状は、円筒形状である。第1筒部124には、光電変換素子パッケージ110が挿入される。第1筒部124に光電変換素子パッケージ110が挿入され、接着剤の硬化物116を介して固定されることで、光レセプタクル120に光電変換素子パッケージ110が固定される。
【0027】
第2光学面122は、第1光学面121で入射し光レセプタクル120の内部を進行した光を光伝送体130の端面に向けて出射させるか、または光伝送体130の端面から出射された光を光レセプタクル120の内部に入射させるための光学面である。第2光学面122の形状は、特に限定されない。第2光学面122は、光伝送体130に向かって凸状の凸レンズ面でもよいし、光伝送体130に対して凹状の凹レンズ面でもよいし、平面であってもよい。本実施の形態では、第2光学面122は、平面である。第2光学面122の平面視形状は、特に限定されない。第2光学面122の平面視形状は、円形状でもよいし、楕円形状でもよい。本実施の形態では、第2光学面122の平面視形状は、円形状である。
【0028】
第2光学面122の第2中心軸CA2は、光伝送体130の端面に対して垂直でもよいし、垂直でなくてもよい。本実施の形態では、第2中心軸CA2は、光伝送体130の端面に対して垂直である。第2光学面122の第2中心軸CA2は、光伝送体130の端面の中心と一致することが好ましい。なお、本実施の形態では、第1中心軸CA1と、第2中心軸CA2とは、一致している。第2光学面122の周りには、第2筒部123が配置されている。
【0029】
第2筒部123は、第2光学面122よりも第1光学面121から離れた位置に第2光学面122の第2中心軸CA2を取り囲むように配置されており、第2光学面122と対向する位置に光伝送体130を直接または間接的に保持する。第2筒部123の形状は、略円筒形状である。第2筒部123は、第1内側面123aと、第1内側面123aよりも第2光学面122側に配置された第2内側面123bとを有する。本実施の形態では、第2筒部123は、第1内側面123aおよび第2内側面123bを接続する第1段差面123cと、第2内側面123bよりもさらに第2光学面122側に配置された第3内側面123dと、第2内側面123bおよび第3内側面123dを接続する第2段差面123eとをさらに有する。
【0030】
第1内側面123aは、第2筒部123の開口部側に配置されている内側面である。第1内側面123aの形状は、特に限定されない。本実施の形態では、光伝送体130を挿入しやすくする観点から、第1内側面123aの開口部側の端部は、第2光学面122に向かうにつれて第2中心軸CA2に近づくように形成されているテーパー面である。一方、第1内側面123aのその他の部分は、スリーブ133を保持する観点から第1中心軸CA1に平行な曲面である。また、第1内側面123aの第2中心軸CA2に垂直な断面形状は、円形状である。第1内側面123aは、第2内側面123bと異なり光伝送体130を保持しなくてもよいため、第1内側面123aの径は、第2内側面123bの径より大きい。第1内側面123aの第2中心軸CA2に沿う方向における長さは、特に限定されない。本実施の形態では、第1内側面123aの長さは、スリーブ133を保持する観点から適宜設定される。たとえば、第1内側面123aの長さは、3.5~8.0mmの範囲内である。本実施の形態では、第1内側面123aの第2中心軸CA2に沿う方向における長さは、6mmである。
【0031】
第2内側面123bは、第1内側面123aよりも第2光学面122側に配置されており、第2光学面122と対向する位置に光伝送体130を保持する。本実施の形態では、第2内側面123bは、スタブ132を介して光伝送体130を間接的に保持している。本実施の形態では、第2内側面123bは、第1段差面123cを介して第1内側面123aと接続されており、第2段差面123eを介して第3内側面123dと接続されている。第2内側面123bの形状は、光伝送体130を直接または間接的に(例えばスタブ132またはフェルール131を介して)保持することができれば特に限定されない。本実施の形態では、第2内側面123bの第2中心軸CA2に垂直な断面形状は、スタブ132の外形に対応して円形状である。第2内側面123bの径は、保持対象(例えば光伝送体130、スタブ132またはフェルール131)に合わせて適宜設定される。第2内側面123bの径は、第1内側面123aの径よりも小さく、第3内側面123dの径より大きい。第2内側面123bの第2中心軸CA2に沿う方向における長さは、光伝送体130を適切に保持する観点、および後述するピン状の第1金型310における高精度加工部の長さを短縮する観点から、0.5~4.0mmの範囲内である。また、スタブ全長の40%程度は第2内側面に接触していることで効果を発揮しやすいので、第2内側面123bの第2中心軸CA2に沿う方向における長さは、1.0~2.5mmであることが好ましい。本実施の形態では、第2内側面123bの第1中心軸CA1に沿う方向における長さは、0.5mmである。
【0032】
第1段差面123cは、第1内側面123aおよび第2内側面123bを接続する。第1段差面123cの構成は、特に限定されない。本実施の形態では、第1段差面123cは、平面である。本実施の形態では、第1段差面123cには、スリーブ133の先端が当接する。
【0033】
第3内側面123dは、第2内側面よりもさらに第2光学面122側に配置されている。本実施の形態では、第3内側面123dは、第2段差面123eを介して第2内側面123bと接続されている。第3内側面123dの形状は、第2光学面122と光伝送体130の端面との間の光路に影響を与えなければ特に限定されない。本実施の形態では、第3内側面123dの第2中心軸CA2に垂直な断面形状は、円形状である。第3内側面123dの径は、第2内側面123bの径より小さい。
【0034】
第2段差面123eは、第2内側面123bおよび第3内側面123dを接続する。第2段差面123eの構成は、特に限定されない。本実施の形態では、第2段差面123eは、平面である。本実施の形態では、第2段差面123eには、スタブ132の先端が当接する。
【0035】
ここで、本実施の形態に係る光レセプタクル120の特徴について説明する。図2Aは、本実施の形態に係る光レセプタクル120の断面図である。図2Bは、比較例における光レセプタクル220の断面図である。比較例における光レセプタクル120は、第2筒部223が第1内側面123aを有しておらず、第2中心軸CA2に沿う方向における第2内側面123bの長さがその分長くなっている。すなわち、比較例における光レセプタクル120では、光伝送体130(スタブ132)を位置決めする第2内側面123bの長さが、本実施の形態に係る光レセプタクル120よりも顕著に長い。
【0036】
図2Aに示されるように、本実施の形態に係る光レセプタクル120では、スリーブ133が第1内側面123aを覆うように配置され、スタブ132が第2内側面123bと、スリーブ133の内側面の一部を覆うように配置される。次いで、フェルール131に固定された光伝送体130が挿入される。このように、本実施の形態に係る光レセプタクル120では、第2光学面122に対する光伝送体130の位置精度を決定しているのは、第2内側面123bである。よって、第2光学面122に対する光伝送体130の位置精度を確保するためには、第2内側面123bの成形精度が重要である。
【0037】
一方、図2Bに示されるように、比較例に係る光レセプタクル220では、スリーブ133が第1内側面123aを覆うように配置され、スタブ132がスリーブ133の内側面のうち第2光学面122側の一部を覆うように配置される。次いで、フェルール131に固定された光伝送体130が挿入される。このように、比較例に係る光レセプタクル220でも、第2光学面122に対する光伝送体130の位置精度を決定しているのは、第2内側面123bである。よって、第2光学面122に対する光伝送体130の位置精度を確保するためには、第2内側面123bの成形精度が重要である。
【0038】
本実施の形態に係る光レセプタクル120と、比較例に係る光レセプタクル220とでは、第2中心軸CA2に沿う方向における第2内側面123bの長さが異なる。具体的には、本実施の形態に係る光レセプタクル120では、当該長さは1mmであり、比較例に係る光レセプタクル220では、当該長さは、4mmである。
【0039】
このように、本実施の形態に係る光レセプタクル120では、第1内側面123aを設けたため、比較例に係る光レセプタクル220を比較して、第2内側面123bの第2中心軸CA2に沿う方向の長さが短い。これにより、射出成形により光レセプタクル120を製造する場合、第2筒部123の内側面を成形するためのピン状の第1金型310(後述)において、高い精度が要求される部分(第2光学面122に対する光伝送体130の位置精度に関係する部分)が小さくなるとともに、細い部分が小さくなり太い部分が増大する。このため、第1金型310の高い精度が求められる部分に修正が必要となった場合でも、容易に修正ができる。また、射出成形時において、第1金型310の位置がずれにくく、かつ第2内側面123bにおいて歪が生じにくくなる。
【0040】
一方、比較例に係る光レセプタクル220では、第1金型310において高い精度が要求される部分が大きい。よって、第1金型310の高い精度が求められる部分に修正が必要となった場合の修正が困難となる。また、射出成形時において、第1金型310の位置がずれやすく、かつ第2内側面123bにおいて歪が生じやすい。
【0041】
(光レセプタクルの製造方法)
次いで、光レセプタクル120の製造方法について説明する。図3A~Cは、光レセプタクル120の製造方法を説明するための図である。ここでは、射出成形によって射出成形品である光レセプタクル120を製造する方法について説明する。本実施の形態に係る光レセプタクルの製造方法では、第1内側面123aと相補的な形状の第1成形面311および第2内側面123bと相補的な形状の第2成形面312を有する第1金型310を使用して、第2筒部123の内側面を形成する。
【0042】
射出成形品である光レセプタクル120は、金型300を用いて製造される。金型300の構成は、第1金型310を有すれば特に限定されない。本実施の形態では、金型300は、第1金型310と、第2金型320とを有する。第1金型310は、第1内側面123aおよび第2内側面123bを成形するための金型駒である。本実施の形態では、第1金型310は、第1内側面123aおよび第2内側面123bに加えて、第1段差面123c、第3内側面123dおよび第2段差面123eも成形する。第1金型310は、第1成形面311と、第2成形面312とを有する。第1成形面311は、第1内側面123aと相補的な形状である。すなわち、本実施の形態では、第1成形面311の形状は、断面が円形状である。第2成形面312は、第2内側面123bと相補的な形状である。すなわち、本実施の形態では、第2成形面312の形状は、断面が円形状である。第2金型320の構成は、特に限定されない。第2金型320は、第2筒部123の内側面以外の光レセプタクル120の外面を成形する。第2金型320の駒数も特に限定されない。
【0043】
光レセプタクル120の製造方法は、型締め工程と、充填工程と、保圧工程と、型開き工程とを有する。
【0044】
図3Aに示されるように、型締めする工程では、第1金型310および第2金型320を型締めすることで、キャビティー350を形成する。キャビティー350は、光レセプタクル120と相補的な形状である。図3Bに示されるように、充填工程では、図外のゲートからキャビティー350内に溶融樹脂を充填する。図3Bに示されるように、保圧工程では、キャビティー350内の溶融樹脂を保圧しながら自然冷却する。図3Cに示されるように、型開き工程では、金型300を開いて射出成形品である光レセプタクルを取り出す。以上の工程により、射出成形品として光レセプタクル120を得られる。
【0045】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る光レセプタクル120では、第2光学面122に対する光伝送体130の位置精度に関係する第2内側面123bが小さいため、第2光学面122に対する光伝送体130の位置精度を向上させるための金型の修正が容易となる。また、射出成形時において、第1金型310の位置がずれにくく、かつ第2内側面123bにおいて歪が生じにくいため、本実施の形態に係る光レセプタクル120は、第2光学面122に対する光伝送体130の位置精度に優れており、高い光結合効率で光通信を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る光レセプタクルおよび光モジュールは、光伝送体を用いた光通信に有用である。
【符号の説明】
【0047】
100 光モジュール
110 光電変換素子パッケージ
111 筐体
112 光電変換素子
113 リード
114 発光素子
115 受光素子
116 接着剤の硬化物
120、220 光レセプタクル
121 第1光学面
122 第2光学面
123 第2筒部
123a 第1内側面
123b 第2内側面
123c 第1段差面
123d 第3内側面
123e 第2段差面
124 第1筒部
130 光伝送体
131 フェルール
132 スタブ
133 スリーブ
300 金型
310 第1金型
311 第1成形面
312 第2成形面
320 第2金型
350 キャビティー
CA1 第1中心軸
CA2 第2中心軸
図1
図2
図3