(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023962
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】道路ジョイント非排水化構造体
(51)【国際特許分類】
E01C 11/02 20060101AFI20230209BHJP
E01D 19/06 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
E01C11/02 B
E01D19/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129962
(22)【出願日】2021-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】509274407
【氏名又は名称】中日本ハイウェイ・メンテナンス名古屋株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188765
【弁理士】
【氏名又は名称】赤座 泰輔
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】楠本 正彦
(72)【発明者】
【氏名】桝田 尚史
(72)【発明者】
【氏名】片野 敏夫
【テーマコード(参考)】
2D051
2D059
【Fターム(参考)】
2D051AA01
2D051AC04
2D051AF01
2D051AG09
2D051AG12
2D051FA17
2D059AA13
(57)【要約】
【課題】簡便に施工することができ、漏水を抑制することができる道路ジョイント非排水化構造体を提供すること。
【解決手段】道路ジョイント非排水化構造体1は、連なる床版21間の遊間22に、表面を撥水加工された撥水骨材111が封入された撥水骨材層11と、撥水骨材層11を上下からそれぞれ封止する発泡体からなるバックアップ材層12、13と、上側のバックアップ材層13の上に設けられた防水シール材層14と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連なる床版同士を接合する道路ジョイント本体に形成される、道路ジョイント非排水化構造体であって、
連なる該床版間の遊間に、表面を撥水加工された撥水骨材が封入された撥水骨材層と、該撥水骨材層を上下からそれぞれ封止する発泡体からなるバックアップ材層と、を備えることを特徴とする非排水化構造体。
【請求項2】
前記撥水骨材の水の接触角が90°以上であることを特徴とする請求項1に記載の非排水化構造体。
【請求項3】
前記撥水骨材の平均粒子径(メジアン径D50)が50~500μmであることを特徴とする請求項1に記載の非排水化構造体。
【請求項4】
上側の前記バックアップ材層の上に、防水シール材層を備えることを特徴とする請求項1に記載の非排水化構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路を設ける床版の伸縮変位を吸収する道路ジョイント非排水化構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
道路を設ける床版の伸縮変位を吸収する道路ジョイント本体は、道路ジョイント本体から漏水が発生することにより、床版の下部構造体に、錆腐食、凍害、塩害などの損傷を与えるおそれがあるという問題があった。これに対して、漏水を防ぐため、非排水化された道路ジョイント非排水化構造体が現れつつある。道路ジョイント非排水化構造体として、従来、下記特許文献1において、道路ジョイント本体の床版間の遊間に沿って形成された凹部に、骨材と固化後に伸縮性を有する伸縮性バインダとを混合した接合材を充填して設けられた道路ジョイント非排水化構造体が知られている。また、下記特許文献2において、道路ジョイント本体の床版間の遊間に、常温下で硬化する低硬度ゴム材と骨材を用いて構成されたゴムコンクリートが充填された道路ジョイント非排水化構造体が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-240575号公報
【特許文献2】特開2015-067982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
道路ジョイント本体は、車両の通行による振動及び温度変化により、伸縮を繰り返すものである。そして、従来の道路ジョイント非排水化構造体は、伸縮性バインダ又はゴム材を結合材としているため、道路ジョイント本体の伸縮により結合材が道路ジョイント本体の床版の接合面(突合せ面)から徐々に剥離し、剥離した部分から漏水するおそれがあるという課題があった。また、従来の道路ジョイント非排水化構造体は、床版間の遊間に、結合材と骨材を混合した接合材を充填して施工するため、簡便に施工することができるものではないという課題もあった。
【0005】
本明細書の技術が解決しようとする課題は、上述の点に鑑みてなされたものであり、簡便に施工することができ、漏水を抑制することができる道路ジョイント非排水化構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書の実施形態に係る道路ジョイント非排水化構造体は、連なる床版同士を接合する道路ジョイント本体に形成される、道路ジョイント非排水化構造体であって、
連なる該床版間の遊間に、表面を撥水加工された撥水骨材が封入された撥水骨材層と、該撥水骨材層を上下からそれぞれ封止する発泡体からなるバックアップ材層と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本明細書の実施形態に係る道路ジョイント非排水化構造体によれば、床版間の遊間に、撥水骨材層が形成されているため、遊間の上から浸入する雨水が撥水骨材層によって撥水され、床版の下部構造体への漏水を抑制することができる。また、撥水骨材は発泡体からなるバックアップ材層で上下から封止されることにより、撥水骨材層として保持されるため、実施形態に係る道路ジョイント非排水化構造体は、簡便に施工することができる。
【0008】
ここで、上記道路ジョイント非排水化構造体において、前記撥水骨材の水の接触角が90°以上であるものとすることができる。
【0009】
これによれば、遊間の上から浸入する雨水が撥水骨材層によって撥水されるため、道路ジョイント非排水化構造体の漏水を抑制することができる。
【0010】
また、上記道路ジョイント非排水化構造体において、前記撥水骨材の平均粒子径(メジアン径D50)が50~500μmであるものとすることができる。
【0011】
これによれば、撥水骨材が密に充填され、撥水骨材層の雨水の流れる隙間が遮断されるため、道路ジョイント非排水化構造体の漏水をより抑制することができる。
【0012】
また、上記道路ジョイント非排水化構造体において、上側の前記バックアップ材層の上に、防水シール材層を備える構成とすることができる。
【0013】
これによれば、雨水は防水シール材層によって撥水骨材層への浸入が抑止されるため、道路ジョイント非排水化構造体の漏水をより抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
実施形態の道路ジョイント非排水化構造体によれば、簡便に施工することができ、漏水を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態の道路ジョイント非排水化構造体の道路の走行方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本明細書の実施形態に係る道路ジョイント非排水化構造体について、
図1に基づいて説明する。なお、本発明の範囲は、実施形態で開示される範囲に限定されるものではない。実施形態に係る道路ジョイント非排水化構造体1は、連なる床版21間の遊間22に、表面を撥水加工された撥水骨材111が封入された撥水骨材層11と、撥水骨材層11を上下からそれぞれ封止する発泡体からなるバックアップ材層12、13と、上側のバックアップ材層13の上に設けられた防水シール材層14と、を備える。道路ジョイント非排水化構造体1は、道路Rを設ける床版21の伸縮変位を吸収し、床版21の下部構造体(図示せず)への漏水を抑制する。
【0017】
本明細書における各用語の意味は次の通りである。「平均粒子径」は、JIS標準ふるい(JIS Z 8801-1:2019)で求めたメジアン径(D50)を意味する。また、本明細書において、道路ジョイント非排水化構造体1の向きとしての上下は、橋台や橋脚などの下部構造体に設置された状態の上下とし、左右は、道路Rの走行方向の一方を左、他方を右とし、図示で使用する、Uは上、Dは下、Lは左、Rは右を示す。
【0018】
撥水骨材111は、表面が撥水加工された骨材である。撥水加工は、骨材に撥水剤を塗布し、撥水剤をコーティングさせ、撥水剤層を形成させることによって行なった。撥水骨材111は、道路ジョイント非排水化構造体1が形成される床版21(道路R)の遊間22に充填されることにより、撥水骨材層11を形成する。撥水骨材層11は、撥水骨材111が充填されている層であるため、道路ジョイント本体の伸縮などの動きに対して、撥水骨材111が流動し、追従することができるため、撥水性が失われるおそれは少ない。また、撥水骨材層11は、合成樹脂などの結合材を含有していないため、樹脂劣化によって耐水性が失われるおそれは少ない。
【0019】
実施形態の撥水骨材111の水の接触角は、90°以上とすることができる。撥水骨材111から形成される撥水骨材層11が水を弾き、漏水を抑制することができるためである。別の実施形態として、撥水骨材111の水の接触角は、105°以上とすることができ、さらに別の実施形態として、120°以上とすることができる。
【0020】
撥水骨材111の基となる骨材は、実施形態では、珪砂、寒水砂、長石、輝石、ガラスビーズ、又は、これら混合物を使用することができる。別の実施形態として、流通量が多く入手が容易な珪砂と寒水砂を使用することができる。さらに別の実施形態として、硬度が高い珪砂を使用することができる。
【0021】
実施形態の骨材(撥水骨材111)の平均粒子径(メジアン径D50)は、50~500μmである。道路ジョイント非排水化構造体1の撥水骨材層11の撥水骨材111が密に充填され、撥水骨材層11の雨水の流れる隙間が遮断され、道路ジョイント非排水化構造体1の漏水をより抑制することができるためである。骨材の平均粒子径が50μm未満だと、道路ジョイント非排水化構造体1への充填の際に、細粒子が空気中に舞うおそれがある。一方、500μmを超えると、撥水骨材層11に撥水骨材111を密に充填することができず、撥水骨材層11に雨水の流れる隙間が生じてしまうおそれがある。別の実施形態として、骨材の平均粒子径は、100~300μm、さらに別の実施形態として、180~250μmとすることができる。
【0022】
撥水剤は、水性撥水剤(水性エマルジョンタイプ)、シラン撥水剤(シラン化合物)などを使用することができる。水性撥水剤として、DOWSIL Dry Seal S(ダウ・ケミカル日本株式会社製)、WACKER HC 303(旭化成ワッカーシリコン株式会社製)、Surfa Pore C(ナノフォスジャパン(株式会社GLI)製)、AG-E061(AGC株式会社製)、POLON-MK-206(信越化学工業株式会社製)、などを使用することができる。シラン撥水剤として、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、などを使用することができる。
【0023】
なお、撥水剤は、道路ジョイント非排水化構造体1が形成される床版21の突合せ面211に塗布することもできる。突合せ面211に撥水剤を塗布することにより、突合せ面211の錆腐食などの損傷を防ぐことができるとともに、突合せ面211が撥水性を有し、突合せ面211の表面を伝う漏水を防ぐことができるためである。
【0024】
バックアップ材とは、撥水骨材層11を上下からそれぞれ封止し、バックアップ材層12、13を形成する材料であり、樹脂発泡体から構成されている。バックアップ材は、見かけ密度が20~500kg/m3であるものを使用することができる。撥水骨材層11を好適に封止することができるためである。バックアップ材の見かけ密度が20kg/m3未満である場合には、バックアップ材の強度が弱く、撥水骨材層11を十分に封止することができないおそれがある。一方、バックアップ材の見かけ密度が500kg/m3を超えると、過剰な強度となり不経済となるおそれがある。別の実施形態として、バックアップ材の見かけ密度は、25~200kg/m3、さらに別の実施形態として、33~100kg/m3とすることができる。バックアップ材を形成する発泡体の材質は、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリフェノールなどからなる一般的な樹脂発泡体であれば使用することができる。
【0025】
防水シール材層14は、上側のバックアップ材層13の上に設けられ、道路ジョイント非排水化構造体1に降りかかる雨水を直接受けて、道路ジョイント非排水化構造体1へ雨水が流れるのを防止する材料である。防水シール材層14を形成する材料として、シリコーンなどのシーリング材、アスファルト、ポリブタジエン(ポリブタジエン系弾性シール材)などを使用することができる。
【0026】
次に、本明細書の実施形態に係る道路ジョイント非排水化構造体1の施工方法について説明する。道路ジョイント非排水化構造体1の施工方法は、連なる床版21間の遊間22に、道路ジョイント非排水化構造体1を施工する方法であって、遊間22を形成する床版21の突合せ面211に、撥水剤を塗布する撥水剤塗布工程と、撥水骨材層11の下側を封止する下側のバックアップ材層12を設置する下側バックアップ材層12設置工程と、下側バックアップ材層12の上側に、撥水骨材111を敷き均す撥水骨材層11形成工程と、撥水骨材層11の上側に、撥水骨材層11の上側を封止する上側のバックアップ材層13を設置する上側バックアップ材層13設置工程と、上側バックアップ材層13の上側に、防水シール材層14を設ける防水シール工程と、から構成される。
【0027】
なお、下側バックアップ材層12の下側に、より防水性を高めるために、弾性シール材層16を設ける場合には、下側バックアップ材層12設置工程の前に、弾性シール材層16を形成する弾性シールを充填する弾性シール充填工程を有するものとすることができる。弾性シールは、市販品である道路ジョイント非排水化構造体用弾性シール(非排水型鋼製伸縮装置用弾性シール)を使用することができ、施工方法はその市販品の施工方法に従う。
【0028】
撥水剤を塗布する撥水剤塗布工程とは、道路ジョイント非排水化構造体1が形成される、遊間22を形成する床版21の突合せ面211に、前述した撥水剤を塗布する工程である。撥水剤は、骨材に塗布した撥水剤と、同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。床版21の突合せ面211に、撥水剤が塗布されることにより、突合せ面211が撥水性を有し、突合せ面211の表面を伝う漏水を防ぐことができる。撥水剤の塗布は、刷毛、スプレー、ローラなどの汎用の塗布具によって塗布することができる。塗布量は、水系撥水剤の場合には、20~200g/m2、シラン撥水剤の場合には、10~100g/m2とすることができる。
【0029】
下側バックアップ材層12設置工程は、連なる床版21間の遊間22に、下側バックアップ材層12を設置する工程である。下側バックアップ材層12を形成するバックアップ材は、発泡体から形成されているため、圧縮変形によって縮小させて、遊間22に装入させ、遊間22内の設置位置で膨張させることにより、設置することができる。このため、バックアップ材は、遊間22の左右の幅の長さより10~50%長い幅のものを用意することによって、バックアップ材と突合せ面211との隙間を極力少なくすることができる。なお、バックアップ材と突合せ面211との間に隙間が生じた際には、シリコーンなどのシーリング材を用いて隙間を埋めることができる。
【0030】
撥水骨材層11形成工程は、下側バックアップ材層12の上側に、撥水骨材111を敷き均す工程である。敷き均す撥水骨材111の厚みは、10~50mmである。道路ジョイント非排水化構造体1の撥水性を好適に維持することができるためである。撥水骨材111の厚みが10mm未満である場合には、道路ジョイント本体の繰り返しの伸縮によって、撥水骨材111が片寄り、道路ジョイント非排水化構造体1の撥水性を維持することができないおそれがある。一方、撥水骨材111の厚みが50mmを超えると、道路ジョイント非排水化構造体1の撥水性を好適に維持することができるものの、過剰な厚みとなり、不経済となるおそれがある。別の実施形態として、敷き均す撥水骨材111の厚みは、15~40mm、さらに別の実施形態として、20~30mmとすることができる。
【0031】
上側バックアップ材層13設置工程は、敷き均された撥水骨材111(撥水骨材層11)の上側から、撥水骨材111に蓋をするように、上側バックアップ材層13を設置する工程である。下側バックアップ材層12と同様に、遊間22の前後の幅の長さより10~50%長い幅のものを用意し、縮小させて、遊間22内に装入させ、設置位置で膨張させることによって、バックアップ材と突合せ面211との隙間を極力小さくすることができる。バックアップ材と突合せ面211との間に隙間が生じた際には、シリコーンなどのシーリング材を用いて隙間を埋めることができる。
【0032】
防水シール工程は、上側バックアップ材層13の上側に、防水シール材を注入し、防水シール材層14を形成させる工程である。防水シール材層14の形成は、コーキングガンやパテベラを用いて充填することができる。上側バックアップ材層13の上側に防水シール材層14が形成されることにより、上側バックアップ材層13が道路ジョイント非排水化構造体1に伸縮可能に固定されるとともに、道路ジョイント非排水化構造体1の漏水を抑制することができる。
【0033】
このようにして形成された道路ジョイント非排水化構造体1は、防水シール材層14によって撥水骨材層11への雨水の浸入が抑止される。遊間22の上から雨水が侵入した際には、雨水は、撥水骨材層11によって撥水され、床版の下部構造体への漏水を抑制することができる。撥水骨材111が充填された撥水骨材層11は、道路ジョイント本体の伸縮などの動きに対して、撥水骨材111が流動し、撥水骨材層11が追従することができるため、撥水性が失われるおそれは少ない。また、撥水骨材層11は、合成樹脂などの結合材を含有していないため、樹脂劣化によって耐水性が失われるおそれは少ない。また、床版21の突合せ面211に、撥水剤が塗布されていることにより、突合せ面211が撥水性を有し、突合せ面211の表面を伝う漏水を防ぐことができる。さらに、撥水骨材111を、発泡体からなるバックアップ材層12、13で上下から封止することにより、撥水骨材層11が形成されているため、実施形態に係る道路ジョイント非排水化構造体1は、簡便に施工することができる。
【実施例0034】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。実施形態の道路ジョイント非排水化構造体1に使用する撥水骨材111は、骨材の種類と撥水剤の種類を変更したものを用意し、それぞれについて、評価(試験)を行なった。撥水骨材111の実施例を表1に記載し、使用した骨材の粒度分布を表2に記載する。撥水骨材111は、モルタル混錬鉢(JIS R 5201)に、表1に記載された比率で骨材と撥水剤を投入し、モルタル混錬匙(JIS R 5201)を用いて撹拌し、その後、天日干しすることによって得た。以下に、撥水骨材111の評価(試験)方法を記載する。
【0035】
水の接触角
水の接触角は、実施例の撥水骨材111とは別の試験体で測定し、骨材(珪砂)に見立てたガラス板に、撥水剤を塗布し、撥水剤が塗布されたガラス板の水の接触角を、撥水骨材111の水の接触角として測定した。
【0036】
撥水性1
撥水性1は、ガラスビーカの底に撥水骨材111を2.5cmの高さで敷き詰め、撥水骨材111から上に2.5cmの高さまで(カラスビーカの底から5cmの高さまで)水を加え、その状態を評価した。そして、試験結果は、カラスビーカの底まで水が回らなかったものを○、水を加えた直後は、カラスビーカの底まで水が回らなかったが、1日後には、カラスビーカの底まで水が回ったものを△、水を加えている途中からに、カラスビーカの底まで水が回ったものを×、として評価した。
【0037】
撥水性2
撥水性2は、連なる床版21間の遊間22に、撥水骨材111が異なる道路ジョイント非排水化構造体1を施工し、1年間の状態を評価した。そして、試験結果は、道路ジョイント非排水化構造体1からの漏水がなく、床版21の下部構造体に、水が回った痕跡がないものを○、床版21の下部構造体に、水が回った痕跡があるものを×、として評価した。なお、撥水性2における道路ジョイント非排水化構造体1の構成を表3に記載する。
【0038】
充填性
充填性は、撥水性2の施工の際に、道路Rの床版21の遊間22への撥水骨材111の充填性について評価した。そして、試験結果は、難なく充填することができるものを○、充填することはできるが、細かい撥水骨材111が周辺に舞い、作業環境上好ましくないものを△、撥水骨材111の転がりが悪く充填するのが難しいものを×、として評価した。
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
(実施例1)
実施例1は、骨材に8号珪砂を使用し、シラン撥水剤を用いた撥水骨材111を使用した実施例である。実施例1の撥水骨材111の水の接触角は、135°である。実施例1の撥水骨材111は、ガラスビーカでの撥水性確認(撥水性1)がカラスビーカの底まで水が回ることなく、道路ジョイント非排水化構造体1での撥水性確認(撥水性2)は、道路ジョイント非排水化構造体1からの漏水がなく、床版21の下部構造体に、水が回った痕跡が見られなく、良好なものであった。また、実施例1の撥水骨材111の充填性は、遊間22への充填の際に、充填することはできるが、細かい撥水骨材111が周辺に舞い、作業環境上好ましくないものであった。
【0043】
(実施例2)
実施例2は、骨材に7号珪砂を使用し、水性撥水剤を用いた撥水骨材111を使用した実施例である。実施例2の撥水骨材111の水の接触角は、135°である。実施例2の撥水骨材111は、ガラスビーカでの撥水性確認(撥水性1)がカラスビーカの底まで水が回ることなく、道路ジョイント非排水化構造体1での撥水性確認(撥水性2)は、道路ジョイント非排水化構造体1からの漏水がなく、床版21の下部構造体に、水が回った痕跡が見られなく、良好なものであった。また、実施例2の撥水骨材111の充填性は、遊間22へ難なく充填することができた。なお、実施例2がベストモードとなる実施例である。
【0044】
(実施例3)
実施例3は、骨材に6号珪砂を使用し、シラン撥水剤を用いた撥水骨材111を使用した実施例である。実施例3の撥水骨材111の水の接触角は、135°である。実施例3の撥水骨材111は、撥水性1、撥水性2及び充填性ともに、良好な結果であった。
【0045】
(実施例4)
実施例4は、骨材に5号珪砂を使用し、水性撥水剤を用いた撥水骨材111を使用した実施例である。実施例4の撥水骨材111の水の接触角は、135°である。実施例4の撥水骨材111は、ガラスビーカでの撥水性確認(撥水性1)は、水を加えた直後はカラスビーカの底まで水が回らなかったが、1日後には、カラスビーカの底まで水が回った結果となった。しかし、道路ジョイント非排水化構造体1での撥水性確認(撥水性2)では、道路ジョイント非排水化構造体1からの漏水がなく、床版21の下部構造体に、水が回った痕跡が見られなく、良好なものであった。また、実施例4の撥水骨材111の充填性は、遊間22へ難なく充填することができた。
1…道路ジョイント非排水化構造体、11…撥水骨材層、12…バックアップ材層、13…バックアップ材層、14…防水シール材層、16…弾性シール材層、21…床版、22…遊間、111…撥水骨材、211…突合せ面、R…道路。