(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024021
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】自己観察装置
(51)【国際特許分類】
H04M 1/04 20060101AFI20230209BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20230209BHJP
G03B 17/18 20210101ALI20230209BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20230209BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
H04M1/04 A
G03B17/56 A
G03B17/18 Z
H04N5/225 100
H04R1/02 102Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021130058
(22)【出願日】2021-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(72)【発明者】
【氏名】高畑 智輝
【テーマコード(参考)】
2H102
2H105
5C122
5D017
5K023
【Fターム(参考)】
2H102AA41
2H102BB06
2H102BB08
2H102CA02
2H105AA02
5C122EA60
5C122FK23
5C122GE01
5C122GE04
5D017AE29
5K023AA07
5K023DD06
5K023EE13
5K023EE19
5K023KK04
5K023PP12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】モバイル端末の表示画面に表示された映像および自らの姿を見ながら演技練習を行うことができる自己観察装置を提供する。
【解決手段】モバイル端末30が設置される自己観察装置1であって、本体ケース10には、凸面鏡による観察面20が設けられている。モバイル端末30の表示画面31と観察面20は、接近して上下に並んで位置している。観察者40は、モバイル端末30の表示画面31に、インストラクターなどの演技映像51を表示し、観察者40の姿を観察面20に反射映像41として表示し、演技練習を行うことができる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面を有するモバイル端末が設置される設置部と、観察者の姿を写し出す観察面が設けられており、
前記表示画面と前記観察面が、観察者が目視できる位置に並んで位置することを特徴とする自己観察装置。
【請求項2】
前記観察面が、凸面鏡である請求項1記載の自己観察装置。
【請求項3】
前記凸面鏡は、場所によって半径が相違している請求項2記載の自己観察装置。
【請求項4】
前記凸面鏡は、前記観察者のうちの前記観察面からの距離が長い部位を写し出す領域の半径が、前記距離の短い部位を写し出す領域の半径よりも大きい請求項3記載の自己観察装置。
【請求項5】
前記観察面は、前記凸面鏡を形成するハーフミラーと、その奥側に位置する表示デバイスとを有している請求項2ないし4のいずれかに記載の自己観察装置。
【請求項6】
前記ハーフミラーにタッチパネルが重ねられて、前記表示デバイスの動作で前記ハーフミラーに操作部画像が表示可能とされており、
前記タッチパネルからの操作信号により、前記モバイル端末が操作可能である請求項5記載の自己観察装置。
【請求項7】
前記観察面が表示デバイスを有しており、前記観察面と共に設けられたカメラまたは前記モバイル端末に設けられたカメラで撮影された観察者の映像が前記観察面に表示される請求項1記載の自己観察装置。
【請求項8】
スピーカを有しており、前記モバイル機器から前記スピーカに音響信号が与えられる請求項1ないしのいずれかに記載の自己観察装置。
【請求項9】
携帯可能な重さである請求項1ないし8のいずれかに記載の自己観察装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイル端末の表示画面を見ながら自己の姿を観察することができる自己観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を使用して、各種ダンスや劇の演技などの練習を行うことが一般に行われている。モバイル端末に設けられた表示画面に、離れた場所のスタジオ内の演技のライブ映像が表示され、または録画された映像が表示され、あるいはインターネットでダウンロードされた映像など、各種ダンスや演技に関する映像が表示される。演技練習者は、モバイル端末の表示画面に表示された映像を観察しながら演技の練習や確認を行うことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3205839号公報
【特許文献2】実用新案登録第3189463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モバイル端末の表示画面を見ながら演技の練習や確認を行うには、自らの演技の姿を観察する必要があり、この観察には、一般に観察鏡面が使用される。演技練習者の姿の全体を観察するためには大型の鏡を用いることが好ましいが、大型の鏡を準備できる場所は限られている。
【0005】
前記特許文献1には、マスコットに携帯電話を設置する携帯電話スタンドが記載され、特許文献2には、スピーカを備えた支持体にモバイル電子端末が設置されるホルダーが記載されている。しかしながら、演技練習者がモバイル端末の表示画面を見ながら演技練習する装置に関する従来技術は見当たらない。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、モバイル端末の表示画面に表示された映像を見ながら、さらに観察者の自らの姿を観察することもできる自己観察装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の自己観察装置は、表示画面を有するモバイル端末が設置される設置部と、観察者の姿を写し出す観察面が設けられており、
前記表示画面と前記観察面が、観察者が目視できる位置に並んで位置することを特徴とするものである。
【0008】
本発明の自己観察装置は、前記観察面が、凸面鏡であることが好ましい。
【0009】
本発明の自己観察装置における前記凸面鏡は、場所によって半径が相違していることが好ましい。
【0010】
例えば、前記凸面鏡は、前記観察者のうちの前記観察面からの距離が長い部位を写し出す領域の半径が、前記距離の短い部位を写し出す領域の半径よりも大きい。
【0011】
本発明の自己観察装置における前記観察面は、前記凸面鏡を形成するハーフミラーと、その奥側に位置する表示デバイスとを有しているものであってもよい。
【0012】
この場合に、前記ハーフミラーにタッチパネルが重ねられて、前記表示デバイスの動作で前記ハーフミラーに操作部画像が表示可能とされており、
前記タッチパネルからの操作信号により、前記モバイル端末が操作可能であるものとして構成できる。
【0013】
または、本発明の自己観察装置は、前記観察面が表示デバイスを有しており、前記観察面と共に設けられたカメラまたは前記モバイル端末に設けられたカメラで撮影された観察者の映像が前記観察面に表示される。
【0014】
本発明の自己観察装置は、スピーカを有しており、前記モバイル機器から前記スピーカに音響信号が与えられることが好ましい。
【0015】
本発明の自己観察装置は、携帯可能な重さであることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の自己観察装置は、モバイル端末の表示画面を見ながら、表示画面の近くにある観察面で自らの姿を観察できるので、目線を同じ方向に向けた状態で演技練習などを行うことができる。また、観察面を凸面鏡とすることにより、観察者はその姿の全体を観察面に写し出して演技練習などを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態の自己観察装置を、前方から見た斜視図、
【
図2】本発明の実施形態の自己観察装置を、後方から見た斜視図、
【
図3】本発明の実施形態の自己観察装置を、ミラーカバーを解放した状態で前方から見た斜視図、
【
図4】本発明の実施形態の自己観察装置を、凸面鏡を外した状態で、前方から示す斜視図、
【
図5】本発明の実施形態の自己観察装置にモバイル端末が設置された状態を、前方から見た斜視図、
【
図6】本発明の実施形態の自己観察装置にモバイル端末が設置された状態を、側方から見た断面図、
【
図7】本発明の実施形態の自己観察装置の第1の使用形態を示す斜視図、
【
図8】本発明の実施形態の自己観察装置の第2の使用形態を側方から示す断面図、
【
図9】本発明の実施形態の自己観察装置の観察面の他の構成を示す分解斜視図、
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1と
図2に示される本発明の実施形態の自己観察装置1は、携帯可能な重さであり、例えば5kg以下であり、好ましくは2kg以下である。また、前後と左右および上下の最大寸法は50cm以下であり、好ましくは30cm以下であり、さらに好ましくは20cm以下である。
【0019】
図1と
図2に示されるように、自己観察装置1は本体ケース10を有している。本体ケース10は自己観察装置1の外形を決める筐体である。
図2に示されるように、本体ケース10には後方に向けて一対の支持突起11が設けられ、この支持突起11に帯体2が取り付けられている。本体ケース10と帯体2との間に手を挿入して、本体ケース10を片手で保持して携帯することが可能である。
【0020】
図3と
図4に示されるように、本体ケース10には前方を向く観察面20が設けられている。この観察面20は凸面鏡である。
図4に示されるように、本体ケース10の前面に浅い凹部12が形成されており、観察面20は凹部12の内部に嵌められて固定されている。
【0021】
図1ないし
図4に示されるように、本体ケース10にミラーカバー15が取り付けられている。ミラーカバー15には、左右両側部に回動リング部15aが一体に形成されている。本体ケース10の両側部には筒状部13が一体に形成されており、回動リング部15aが筒状部13の外周に回動自在に嵌合させられている。その結果、ミラーカバー15は、
図1と
図2に示されるようにα方向へ回動して観察面20を覆う閉鎖姿勢と、
図3ないし
図6に示されるように、β方向へ回動して観察面20を露出させる解放姿勢との間で回動自在である。ミラーカバー15は、手の力によってα-β方向へ回動させられる。ただし、本体ケース10に収納されたモータの動力で、ミラーカバー15がα-β方向へ回動させられる構造であってもよい。
【0022】
図1と
図3ないし
図6に示されるように、本体ケース10の上部にモバイルストッパ16が上方に隆起して設けられている。
図4と
図6に示されるように、β方向へ回動して解放姿勢となったミラーカバー15の上部前端部がモバイル支持部15bとなっている。ミラーカバー15が開放姿勢になると、モバイルストッパ16とモバイル支持部15bとでモバイル設置部が構成される。
【0023】
図5と
図6に示される使用形態では、モバイル端末30であるスマートフォンが、長辺が水平に向く横向き姿勢で使用されている。モバイル端末30はタブレットであってもよいし、モバイル端末30は、長辺が上下に向く縦向き姿勢で設置されてもよい。
図6に示されるように、モバイル端末30は、下向きの縁部30aが、モバイルストッパ16の背後に掛けられ、背面30bが、モバイル支持部15bで支持されている。モバイル端末30が本体ケース10の上に設置されると、モバイル端末30の表示画面31が、ミラーカバー15の前方でやや上方に向けられ、表示画面31と観察面20とが上下に接近して並ぶ。
【0024】
図6では、本体ケース10の断面がハッチングを付して示されているが、本体ケース10の内部に空間が形成されており、この空間内に電子回路が内蔵されている。電子回路には、本体ケース10に設置されたモバイル端末30との間で近距離無線通信を行うBluetooth(登録商標)などの通信回路を有している。または、モバイル端末30との間で有線による通信を行うUSB(登録商標)などのインターフェースが設けられていてもよい。電子回路にはオーディオアンプが含まれており、本体ケース10の両側部の筒状部13にスピーカ17が設置されている。また、本体ケース10の上部に、前記電子回路を操作するための操作釦が配列した操作部18が設けられている。
【0025】
次に、自己観察装置1の使用方法を説明する。
自己観察装置1は、
図1と
図2に示されるように、ミラーカバー5をα方向へ回動させ閉鎖姿勢として手で保持して携帯することができる。携帯中は、凸面鏡である観察面20がミラーカバー5で覆われているため、観察面20が汚れ、傷つくのを防止しやすい。
【0026】
図7に示される第1の使用形態では、自己観察装置1を床面または地面に置き、ミラーカバー5をβ方向へ回動させ、観察面20を露出させる。
図5と
図6に示されるように、本体ケース10の上部に位置するモバイルストッパ16とモバイル支持部15bにモバイル端末30を設置する。自己観察装置1にモバイル端末30が設置されると、モバイル端末30の表示画面31と、本体ケース10に設けられた観察面20とが、上下に接近した位置に並んで配置される。演技練習者などの観察者40が、床面または地面の方向へ視線を向けると、ほぼ同一視線の視野内で、表示画面31と観察面20とを目視することができる。
【0027】
モバイル端末30にインストールされている専用のアプリケーションを起動するとともに、本体ケース10の上部に設けられた操作部18の操作釦などを操作して、本体ケース10の内部の電子回路を起動し、モバイル端末30と、本体ケース10の内部の電子回路とを近距離無線通信や有線で接続する。
【0028】
図7に示されるように、モバイル端末30の表示画面31に観察者40以外の演技者の演技映像51を表示する。演技映像51の演技者は、例えばインストラクターであり、離れた場所のスタジオ内の演技のライブ映像である。または録画された映像、あるいはインターネットでダウンロードされた映像などである。演技内容は、各種ダンス、ヨガ、フィットネス、各種スポーツ、芝居演技など、種々のものに適用することができる。また、演技に付随する音楽や声などは、モバイル端末30から本体ケース10内の電子回路に送信され、本体ケース10の左右両側に設けられたスピーカ17から発音される。
【0029】
観察者40が、視線を表示画面31に向けて、演技映像51を見ながら演技すると、観察者40の姿およびその動作が、凸面鏡である観察面20で反射され、観察者40が反射映像41を目視できる。観察面20は凸面鏡であるため、反射できる視野角が広くなり、反射映像41として観察者40の全身を写し出すことが可能である。観察者はほぼ同一姿勢の視野内で、演技映像51と反射映像41とを目視して比較できるため、大きな鏡などを準備する必要がなく、効果的な演技練習を行うことができる。また、本体ケース10が一対のスピーカ17を備えているため、モバイル端末30に備えられた発音スピーカよりも大きな音をスピーカ17から発出することが可能である。
【0030】
図7に示される使用例において、モバイル端末30に装備されたカメラで、観察者40の姿および動きを撮影して、離れたスタジオ内などで演技を行っているインストラクターや共演者などに、演技映像を送り、双方向で観察しながら演技することも可能である。また、自己観察装置1の本体ケース10などにカメラを内蔵させ、このカメラで撮影された観察者40の姿および動きを、モバイル端末30に転送し、モバイル端末30から送信することもできる。
【0031】
図10に示されるように、観察者40から凸面鏡の観察面20までの距離をa、観察面20から、虚像である反射映像41までの距離をbとすると、距離aが長くなるにしたがって、距離bが焦点距離fに近づいていき、虚像である反射映像41が小さく写し出されるようになる。
図7に示される第1の使用例では、自己観察装置1が床面または地面に設置され、観察者40が床面または地面に立っているため、観察者40の部位によって観察面20までの距離が相違する。観察者40の足元から観察面20までの距離L1が相対的に短く、胴から観察面20までの距離L2がそれよりも長く、頭部から観察面20までの距離L3が相対的に長くなる(L1<L2<L3)。そのため、観察面20の凸面鏡が単一の半径Rであり、単一の焦点距離fであると、反射映像41では、足元が大きく映し出され、頭部が小さく写し出される。
【0032】
そこで、
図6に示されるように、観察面20を縦方向(上下方向)に複数の領域に区分し、上の領域に向かうにしたがって凸面鏡の半径Rを大きくし、焦点距離fを長くすることにより、反射映像41における観察者40の足元から頭部までのバランス(大きさの比)を、実際の観察者40の足元から頭部までのバランスに近づけることができる。
図6に示される実施形態では、観察面20が上下に3つの領域T1,T2,T3に区分されており、凸面鏡の半径Rが、T1よりもT2で大きく、さらにT3で大きくなるように設定されている。観察面20の上下の区分数は4以上であってもよいし、観察面20の凸面鏡の半径Rが上に向かうにしたがってほぼ連続して大きくなるように、凸面鏡を構成してもよい。
【0033】
また、凸面鏡の領域によって半径Rを相違させる場合に、それぞれの領域を形成する凸面鏡の焦点位置が、直線状の同じ光軸上に位置していることが好ましい。
図7の使用例では、各焦点が位置する光軸が水平に延びていることが好ましい。焦点を同一の光軸上に位置させることで、凸面鏡の各領域に映し出される反射映像を、領域間で違和感なく連続させることができる。
【0034】
さらに、凸面鏡の半径Rが相違するそれぞれの領域で、倍率が一定となるように前記Rを設定することによって、反射映像41の足元から頭部までのバランス(大きさの比)を、実際の観察者40のバランスと一致させることが可能である。凸面鏡の倍率mは、m=(b/a)であるため、凸面鏡の方程式は、(1/a)-(1/m・a)=-(1/f)である。ここから、f=-m・a/(m-1)が導き出される。半径RはR=2fであるため、R=-2m・a/(m-1)である。ここで倍率mを一定の数値とし、観察者40の各部位から観察面20までの距離aの変化を代入して各領域の半径Rを求める。凸面鏡の各領域の半径Rをこのようにして設定すれば、反射映像41の足元から頭部までのバランス(大きさの比)を、実際の観察者40のバランスと一致させることができる
【0035】
例えば、
図6に示されるように、観察面20を下から上に向けてT1,T2,T3に区分した例を想定する。自己観察装置1の観察面20から観察者40までの使用時の推奨距離を決めておき、推奨距離に立った標準的な身長の観察者40の各部位から観察面20までの距離L1,L2,L3を設定する。そして、R=-2m・a/(m-1)の式で倍率mを一定とし、前記aに、L1,L2,L3を代入することにより、領域T1,T2、T3における凸面鏡の半径Rを決めることができる。標準的な身長の観察者40が、自己観察装置1の観察面20から推奨距離の位置に立てば、足元から頭部までのバランス(大きさの比)が、実際の観察者40のバランスに一致する反射映像41を得ることができる。また、観察者40が標準的な身長ではなくても、また推奨距離から前後に少しずれた位置に立ったとしても、反射映像41における足元から頭部までのバランス(大きさの比)を、実際の観察者40のバランスに近似させることができる。
【0036】
図8に、自己観察装置1の第2の使用形態が示されている。
この使用形態では、自己観察装置1が、
図7に示された使用例とは上下逆向きの姿勢とされ、自宅や練習場などの天井部または壁面の上部に設置される。モバイル端末30は、観察面20よりも下側に設置することになる。そのため、ミラーカバー15に落下防止フック19が回動自在に取り付けられており、モバイル端末30の下端部が落下防止フック19で支持される。すなわち、モバイル端末30はモバイルストッパ16とモバイル支持部15bおよび落下防止フック19で支持される。
【0037】
観察者40は、目線を水平またはやや上に向けて、ほぼ同一視線の視野内で上に位置する観察面20と下に位置する表示画面31を目視しながら、演技練習などを行うことができる。この場合、観察者40の頭部から観察面20までの距離Laが短く、胴から観察面20までの距離Lbがそれよりも長く、足元から観察面20までの距離Lcが最も長くなる。
図8に示す使用例のときは、観察面20の凸面鏡の半径Rは、下に向かうにしたがって大きくなるように設定する。観察面20が上下に3つの領域に区分されているときは、上部の領域Taで半径Rが小さく、中部の領域Tbで半径がそれよりも大きく、下部の領域Tcで半径が最も大きくなるように設定される。これにより、
図8の使用形態においても、反射映像41における足元から頭部までのバランス(大きさの比)を、実際の観察者40のバランスに近づけることができる。なお、本体ケース10から観察面20を取り外し自在とし、
図7に示される使用例と、
図8に示される使用例とで、観察面20を上下逆向きにして取付けることができるようにしてもよい。
【0038】
図9に、自己観察装置1に使用される観察面20の変形例が示されている。
観察面20は凸面鏡となるハーフミラー21を備えており、その後方に表示デバイス22が配置されている。表示デバイス22は、本体ケース10の内部に収納されている。表示デバイス22は、バックライトを備えた液晶表示デバイスまたはエレクトロルミネッセンスデバイスなどである。凸面鏡となるハーフミラー21の半径は、
図6などに示された実施形態における全反射の凸面鏡と同じである。
【0039】
ハーフミラー21に透光性のタッチセンサが重ねられている。例えば、ハーフミラー21の背部に重ねられるタッチセンサは、透光性基板に複数の透光性電極が形成されて、観察面20の表面に観察者40の指が接近しまたは接触したときの、電極間の相互容量の変化を検知し、または各電極の自己容量の変化を検知する静電容量式センサである。あるいは、ハーフミラー21の前部に重ねられるタッチセンサは、透光性の2枚の基板の対向面に透光性の抵抗層が設けられ、指で押されて、対向する抵抗層どうしが接触したときの抵抗値の変化を検知する抵抗式センサである。
図9に示されるように、表示デバイス22を駆動することで、凸面鏡であるハーフミラー21を透して操作部画像23を表示することができる。操作部画像23の表示領域を指で操作すると、これがタッチセンサで検知され、本体ケース10の内部の電子回路を経て、モバイル機器30を操作することが可能である。
【0040】
また、表示デバイス22を動作させることで、操作部画像23以外の各種情報を観察面20に表示することができる。例えば、自己観察装置1とモバイル端末30との接続状況を示す情報や、自己観察装置1の使用方向などを映像で表示できるようにしてもよい。
【0041】
本発明の自己観察装置1のさらに他の変形例として、観察面20に表示デバイス22を設け、観察者40が演技する姿を表示デバイスの表示映像として観察面20に映し出してもよい。例えば、
図7と
図8に示される使用例において、モバイル端末30に備えられたカメラで演技練習を行っている観察者40を撮影し、その撮影映像を観察面20に映し出してもよい。観察者40は、モバイル端末30の表示画面31に表示されているインストラクターなどの演技映像51と、観察面20に映し出された自らの映像の双方を見ながら、演技の練習や確認を行う。あるいは、本体ケース10にカメラを内蔵し、このカメラで観察者40の演技を撮影して観察面20の映像として映し出してもよい。
【0042】
この場合も、
図7に示される使用例では、観察者40の部位によって、カメラからの距離が相違するため、観察面20に映し出される映像における観察者の部位のバランスが、実際の観察者40のバランスと相違することがある。この場合には、電子回路による画像処理により、あるいは表示デバイス22の前方にレンズを配置するなどして、観察者40の部位とカメラとの距離の違いによる、映像内の観察者40の部位のバランス(大きさの差)を矯正することが可能である。
【0043】
また、
図9に示される構造において、表示デバイス22を駆動せずにハーフミラー21を凸面鏡として使用し、観察面20に反射映像41を表示し、表示デバイス22を駆動したときには、カメラで撮影した観察者40の姿を観察面20に映像として表示してもよい。
【0044】
上記実施形態では観察面20を凸面鏡で構成した例を説明したが、観察面20は、一般的な平面ミラーや、FFミラー(Fantastic Flat Mirror)と称される平面で且つ視野の広い鏡体で構成してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 自己観察装置
10 本体ケース
15 ミラーカバー
15b モバイル支持部
16 モバイルストッパ
17 スピーカ
20 観察面
21 ハーフミラー
22 表示デバイス
23 操作部画像
30 モバイル端末
31 表示画像
40 観察者
41 反射映像
51 演技映像