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特開2023-24032プリント配線板の回路の検査を行うための検査装置において用いられるプローブ、プローブユニット、及び該プローブユニットを備える検査装置
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  • 特開-プリント配線板の回路の検査を行うための検査装置において用いられるプローブ、プローブユニット、及び該プローブユニットを備える検査装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024032
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】プリント配線板の回路の検査を行うための検査装置において用いられるプローブ、プローブユニット、及び該プローブユニットを備える検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/06 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
G01R1/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021130075
(22)【出願日】2021-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】594033824
【氏名又は名称】マイクロクラフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】秀平 崇行
【テーマコード(参考)】
2G011
【Fターム(参考)】
2G011AA04
2G011AB01
2G011AC06
2G011AE01
(57)【要約】
【課題】プローブが押し上げられたときのプリント配線板に対するプローブの接触位置のずれを低減しつつ、比較的低コストで作製可能なプローブ等を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態のプローブは、プリント配線板の回路の検査を行うための検査装置において用いられるプローブであって、横方向に延びる第1のアーム部と、第1のアーム部と対向するように延びる第2のアーム部と、第1のアーム部の一方端と第2のアーム部の一方端を連結する第1の連結部であって、支持部材にプローブを取り付けるための固定部を含む、第1の連結部と、第1のアーム部の他方端と第2のアーム部の他方端を連結する第2の連結部と、第2の連結部の第2のアーム部の他方端側に連結された、プリント配線板に接触させるためのコンタクト部と、を含み、第1のアーム部及び第2のアーム部の各々は、コンタクト部が押し上げられたとき、撓むように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板の回路の検査を行うための検査装置において用いられるプローブであって、
横方向に延びる第1のアーム部と、
前記第1のアーム部と対向するように延びる第2のアーム部と、
前記第1のアーム部の一方端と前記第2のアーム部の一方端を連結する第1の連結部であって、前記プローブを支持するための支持部材に前記プローブを取り付けるための固定部を含む、第1の連結部と、
前記第1のアーム部の他方端と前記第2のアーム部の他方端を連結する第2の連結部と、
前記第2の連結部の前記第2のアーム部の他方端側に連結された、プリント配線板に接触させるためのコンタクト部と、
を含み、
前記第1のアーム部及び前記第2のアーム部の各々は、前記コンタクト部が押し上げられたとき、撓むように構成される、
プローブ。
【請求項2】
前記第1のアーム部及び前記第2のアーム部は、弾性変形可能な金属材料で形成される、請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記第1のアーム部と、前記第2のアーム部と、前記第1の連結部と、前記第2の連結部と、前記コンタクト部とは、一体的に形成される、請求項1又は2に記載のプローブ。
【請求項4】
前記第1のアーム部の一方端から他方端までの長さと前記第2のアーム部の一方端から他方端までの長さとの比は、前記コンタクト部が押し上げられたときの前記コンタクト部の横方向の変位が所定値以内となるような比である、請求項1から3のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項5】
前記第1のアーム部及び前記第2のアーム部の各々の幅と前記第2の連結部の幅との比は、前記コンタクト部が押し上げられたときに前記第2の連結部が変形しないような比である、請求項1から4のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項6】
プリント配線板の回路の検査を行うための検査装置において用いられるプローブユニットであって、
請求項1から5のいずれか1項に記載のプローブと、
前記支持部材と、
を備える、プローブユニット。
【請求項7】
前記支持部材は、前記第2の連結部の奥行方向の変位を規制するための規制部を含む、請求項6に記載のプローブユニット。
【請求項8】
前記支持部材は、前記コンタクト部がプリント配線板に接触していない状態において、前記第1のアーム部の変形を容易にするために縦方向に所定の力がかかるように前記第1のアーム部と接触する突起部を含む、請求項6又は7に記載のプローブユニット。
【請求項9】
2つの前記プローブを備え、
一方の前記プローブの片面は、前記コンタクト部の一部を除いて絶縁コーティングが施されており、
前記支持部材は、絶縁コーティングが施された面を介して重ね合わせられた2つの前記プローブを支持する、請求項6から8のいずれか1項に記載のプローブユニット。
【請求項10】
前記固定部には、前記プローブを前記支持部材に取り付けるのに用いられる固定具を挿入するための固定具挿入用孔が形成される、請求項6から9のいずれか1項に記載のプローブユニット。
【請求項11】
前記プローブの前記固定部は、他方の前記プローブの固定具挿入用孔に取り付けられた固定具と電気的に接触しないように孔が形成される、請求項10に記載のプローブユニット。
【請求項12】
請求項6から11のいずれか1項に記載のプローブユニットを備える、プリント配線板の回路の検査を行うための検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板の回路の検査を行うための検査装置において用いられるプローブ、プローブユニット、及び該プローブユニットを備える検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板は、絶縁体の基板上に電気的に接続された回路を有するものであり、近年、半導体製造技術の向上に伴い、プリント配線板の回路は微細化されてきている。製造されたプリント配線板は、スルーホール等を用いて電気的に接続された回路を複数有する。一般的に、プリント配線板の検査装置は、製造されたプリント配線板の回路が断線して導通不良を生じたり、他の回路と短絡して絶縁不良を生じたりせずに、設計どおりに正しく形成されているかどうかを電気的に検査している。
【0003】
これらの電気検査には、プローブが用いられる。例えば、特許文献1は、プローブ本体が検査対象に接触して更に付勢されたときに、支点の変形によってその付勢方向とは逆向き方向へのプローブ本体の近似的直動を許容するリンク機構を備えたプローブを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-304835号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プリント配線板の回路の検査を行うための検査装置において用いられるプローブは、プリント配線板からプローブが押し上げられたときにプリント配線板に対するプローブの接触位置がずれないようにすることが求められる。またこのような検査装置において用いられるプローブは、一定期間の使用後に交換が必要となるため、より低コストで作製可能なプローブが求められている。本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、プローブが押し上げられたときのプリント配線板に対するプローブの接触位置のずれを低減しつつ、比較的低コストで作製可能なプローブ、プローブユニット、又は該プローブユニットを備える検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態のプローブは、
プリント配線板の回路の検査を行うための検査装置において用いられるプローブであって、
横方向に延びる第1のアーム部と、
前記第1のアーム部と対向するように延びる第2のアーム部と、
前記第1のアーム部の一方端と前記第2のアーム部の一方端を連結する第1の連結部であって、前記プローブを支持するための支持部材に前記プローブを取り付けるための固定部を含む、第1の連結部と、
前記第1のアーム部の他方端と前記第2のアーム部の他方端を連結する第2の連結部と、
前記第2の連結部の前記第2のアーム部の他方端側に連結された、プリント配線板に接触させるためのコンタクト部と、
を含み、
前記第1のアーム部及び前記第2のアーム部の各々は、前記コンタクト部が押し上げられたとき、撓むように構成される。
【0007】
本発明の一実施形態では、前記第1のアーム部及び前記第2のアーム部は、弾性変形可能な金属材料で形成される。
【0008】
本発明の一実施形態では、前記第1のアーム部と、前記第2のアーム部と、前記第1の連結部と、前記第2の連結部と、前記コンタクト部とは、一体的に形成される。
【0009】
本発明の一実施形態では、前記第1のアーム部の一方端から他方端までの長さと前記第2のアーム部の一方端から他方端までの長さとの比は、前記コンタクト部が押し上げられたときの前記コンタクト部の横方向の変位が所定値以内となるような比である。
【0010】
本発明の一実施形態では、前記第1のアーム部及び前記第2のアーム部の各々の幅と前記第2の連結部の幅との比は、前記コンタクト部が押し上げられたときに前記第2の連結部が変形しないような比である。
【0011】
本発明の一実施形態のプローブユニットは、前記プローブと、前記支持部材とを備える。
【0012】
本発明の一実施形態では、前記支持部材は、前記第2の連結部の奥行方向の変位を規制するための規制部を含む。
【0013】
本発明の一実施形態では、前記支持部材は、前記コンタクト部がプリント配線板に接触していない状態において、前記第1のアーム部の変形を容易にするために縦方向に所定の力がかかるように前記第1のアーム部と接触する突起部を含む。
【0014】
本発明の一実施形態では、2つの前記プローブを備え、
一方の前記プローブの片面は、前記コンタクト部の一部を除いて絶縁コーティングが施されており、
前記支持部材は、絶縁コーティングが施された面を介して重ね合わせられた2つの前記プローブを支持する。
【0015】
本発明の一実施形態では、前記固定部には、前記プローブを前記支持部材に取り付けるのに用いられる固定具を挿入するための固定具挿入用孔が形成される。
【0016】
本発明の一実施形態では、前記プローブの前記固定部は、他方の前記プローブの固定具挿入用孔に取り付けられた固定具と電気的に接触しないように孔が形成される。
【0017】
本発明の一実施形態の検査装置は、前記プローブユニットを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、プローブが押し上げられたときのプリント配線板に対するプローブの接触位置のずれを低減しつつ、比較的低コストで作製可能なプローブ、プローブユニット、又は該プローブユニットを備える検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態のプローブユニットの正面側斜視図である。
図2】本発明の一実施形態のプローブユニットの背面側斜視図である。
図3】本発明の一実施形態のプローブの正面図である。
図4図3に示すプローブのコンタクト部が押し上げられたときのプローブの様子を示す図である。
図5】本発明の一実施形態のプローブユニットの一部の分解斜視図である。
図6】本発明の一実施形態の重ね合わせられた2つのプローブの先端部を拡大した斜視図である。
図7】端部が押し上げられていない場合のプローブユニットの一部(左側)と端部が押し上げられた場合のプローブユニットの一部(右側)の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態のプリント配線板50の回路の導通検査などの電気的な検査を行うための検査装置1、検査装置1が備えるプローブユニット2、及びプローブユニット2が備えるプローブ4について説明する。各図において同一の符号は、特に言及が無い限り同一又は相当部分を示すものとし、説明の便宜上、部材又は部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
【0021】
本発明の一実施形態の検査装置1(図示せず)は、プローブ4を含むプローブユニット2と、電圧等を測定する測定部(図示せず)と、各部の動作を制御する制御部(図示せず)とを備える。検査装置1は、プリント配線板50の検査を行うとき、プリント配線板50を基板載置面にセットし、プローブユニット2をプリント配線板50の上方に移動させる。検査装置1は、プローブユニット2を基板載置面(プリント配線板50)と平行方向(XY方向)及び垂直方向(Z方向)に移動させることが可能な移動機構(図示せず)を備える。1つの例では、移動機構は、X軸移動機構(図示せず)とY軸移動機構(図示せず)とZ軸移動機構(図示せず)とを備え、Z軸移動機構は、X軸移動機構又はY軸移動機構に取り付けられる。
【0022】
制御部は、CPU等の処理部と、ROM、RAM、ハードディスクドライブ等の記憶部とにより構成され、例えば処理部が記憶部に記憶されるプログラムを読み込むことにより各種動作を行う。例えば制御部は、モータの駆動制御を行うことで、移動機構を介して、プローブユニット2を基板載置面と平行方向及び垂直方向に移動させる。また例えば制御部は、測定部によって測定された抵抗値などが不良であるかどうかを判定する処理を行う。検査装置1は、画像を取得する撮像部(図示せず)を備えることもでき、制御部は、撮像部により取得された画像から基板の位置を認識する処理を行うこともできる。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態のプローブユニット2の正面側斜視図であり、図2は、本発明の一実施形態のプローブユニット2の背面側斜視図である。プローブユニット2は、2つのプローブ4(4a、4b)及びプローブ4を支持するための支持部材6を備え、2つのプローブ4は、それぞれ固定具70(70a、70b)により支持部材6に取り付けられる。1つの例では、プローブ4の縦・横・奥行の寸法は、10mm×20mm×200μmのオーダーであり、2つのプローブ4は、重ね合わされて支持部材6に取り付けられるため、プローブ4の奥行方向の長さは比較的小さい。1つの例では、プローブ4は、弾性変形可能な導電性を有する材料で形成され、支持部材6は、弾性変形しない導電性を有しない材料で形成される。1つの例では、プローブ4は、ステンレスや鋼などの弾性変形可能な金属材料で形成される。プローブ4は、導電性を有し、弾性変形可能であり、摩耗に強い材料であれば、金属材料以外の材料とすることもできる。1つの例では、支持部材6は、プラスチックや樹脂で形成される。
【0024】
図3は、本発明の一実施形態のプローブ4の正面図である。プローブ4は、横方向に延びる第1のアーム部11と、第1のアーム部11と対向するように横方向に延びる第2のアーム部12と、第1のアーム部11の一方端と第2のアーム部12の一方端を連結する第1の連結部13と、第1のアーム部11の他方端と第2のアーム部12の他方端を連結する第2の連結部14と、プリント配線板50に接触させるためのコンタクト部15とを含む。本実施形態では、プローブ4の横方向と縦方向は、検査装置1がプリント配線板50の検査を行うためにプローブユニット2をプリント配線板50の上方に移動させたときの、基板載置面と平行な方向と垂直な方向にそれぞれ対応する方向である。理解を容易にするため、図3には互いに直交するX方向、Y方向、及びZ方向の座標軸を示している。図3に示すように、プローブ4の横方向はX方向に対応し、プローブ4の奥行方向はY方向に対応し、プローブ4の縦方向はZ方向に対応する。以下の説明では、説明の便宜上、このZ方向の座標軸に基づいて上方向や下方向と表現する場合がある。
【0025】
コンタクト部15は、第2の連結部14の第2のアーム部12の他方端側(第2の連結部14の下端)に連結される。第1のアーム部11と、第2のアーム部12と、第1の連結部13と、第2の連結部14と、コンタクト部15とは、一体的に形成される。
【0026】
第1の連結部13は、支持部材6にプローブ4を取り付けるための固定部21を含む。固定部21には、プローブ4を支持部材6に取り付けるのに用いられる固定具70a、70bを挿入するための固定具挿入用孔31a、31bがそれぞれ形成される。また固定部21には、支持部材6に形成された突起部63に対応する箇所に突起部用孔32が形成される。
【0027】
コンタクト部15は、プリント配線板50に接触させるための先端に向けて先細り形状となるように形成された端部22を含む。1つの例では、端部22は、テーパー加工される。
【0028】
第2の連結部14は、端部22(コンタクト部15)がプリント配線板50により押し上げられたときの端部22のZ方向の変位量をセンサーで確認するためのセンサー用凸部23を含む。第2のアーム部12は、プローブ4のショートチェックを行うためのチェック用凸部24を含む。
【0029】
次に、端部22がプリント配線板50に接触する場合について説明する。制御部は、移動機構を介して、プローブユニット2を移動させてプリント配線板50の上方に位置させる。制御部は、移動機構を介して、プローブユニット2を下方向(Z方向)に移動させて、端部22をプリント配線板50に接触させる。制御部がプローブユニット2を更に下方向に移動させて端部22がプリント配線板50を押し付ける方向に移動させると、プリント配線板50により端部22は押し上げられる。第1のアーム部11と第2のアーム部12の各々は、端部22が押し上げられたとき、撓むように構成される。
【0030】
図4は、図3に示すプローブ4の端部22が押し上げられたときのプローブ4の様子を示す図である。端部22が押し上げられたとき、第1のアーム部11と第2のアーム部12がそれぞれ撓むことにより、プリント配線板50に接触したままの端部22のプリント配線板50上での横方向(X方向)への変位が低減される。
【0031】
1つの例では、第1のアーム部11の一方端から他方端までの長さL1と第2のアーム部12の一方端から他方端までの長さL2との比が、端部22が押し上げられたときの端部22の横方向の変位が所定値以内となるように、好ましくは端部22が横方向に変位しないように、設定される。この場合、第1のアーム部11の長さと第2のアーム部12の長さとの比率L1/L2が1より大きい所定の比率となるようにL1とL2は設定され、プローブ4が作製される。1つの例では、L1/L2は、1.04~1.08である。1つの例では、L1の長さは16.8mmであり、L2の長さは15.9mmである。これにより、端部22が上方向(Z方向)に変位したときのプリント配線板50に接触する端部22の横方向の変位を所定値以内に抑制することが可能となる。
【0032】
1つの例では、第1のアーム部11の幅D1及び第2のアーム部12の幅D2の各々と、第2の連結部14の幅D3との比が、端部22が押し上げられたときに第2の連結部14が変形しないように、設定される。この場合、第1のアーム部11の幅D1及び第2のアーム部12の幅D2の各々は、第2の連結部14の幅D3よりも小さく形成される。1つの例では、D3/D1は、6.3~6.5である。1つの例では、D1とD2の幅は0.36mmであり、D3の幅は2.3mmである。これにより、端部22が上方向(Z方向)に変位したときのプリント配線板50に接触する端部22の横方向の変位を所定値以内に抑制することが可能となる。
【0033】
再び図1に戻り、プローブ4が取り付けられた支持部材6について説明する。支持部材6は、第2の連結部14の奥行方向(Y方向)の変位を規制するための規制部61を含む。規制部61は、支持部材6に形成された突起物であり、プローブ4が支持部材6に取り付けられたときに(端部22が押し上げられていないときに)第2の連結部14に接触しないように形成される。1つの例では、規制部61は、L字状に突起した構造であり、プローブ4が支持部材6に取り付けられたときに第2の連結部14に接触せず、かつプローブ4の表面側にも接触しないように形成される。この場合、プローブ4は、規制部61が第2の連結部14を挟み込むような状態で支持部材6に固定される。
【0034】
支持部材6は、端部22がプリント配線板50に接触していない状態において、換言すると端部22が押し上げられていない状態において、第1のアーム部11の変形を容易にするために縦方向に所定の力がかかるように第1のアーム部と接触する初期張力用突起部62を含む。
【0035】
支持部材6は、固定用突起部63が形成される。固定用突起部63は、プローブ4の支持部材6への取り付けを容易にするために形成され、プローブ4の固定部21に形成された突起部用孔32内で突起部用孔32と少なくとも部分的に接触するように突起する。
【0036】
支持部材6は、2つのプローブ4が重ね合わされて取り付けられており、図1に示すプローブユニット2が備える2つのプローブ4は、手前側のプローブ4a及び支持部材6により近い位置の奥側のプローブ4bである。図5は、本発明の一実施形態のプローブユニット2の一部の分解斜視図である。2つのプローブ4a、4bの絶縁を確保するため、2つのプローブ4のうちの一方のプローブ4bの片面又は両面は、端部22の少なくとも一部を除いて絶縁コーティングが施されている。支持部材6は、絶縁コーティングが施された面を介して重ね合わせられた2つのプローブ4a、4bを支持する。1つの例では、プローブ4bの片面又は両面は、端部22のプリント配線板50に接触する先端部分を除いて5~10μm程度の厚さの絶縁コーティングが施されている。
【0037】
図6は、本発明の一実施形態の重ね合わせられた2つのプローブ4a、4bの端部22を拡大した斜視図である。1つの例では、端部22のプリント配線板50に接触する先端部分において回路の導通検査を行うために必要な部分を除いて、絶縁コーティングは施される。なお、端部22は、先端に向けて先細り形状となるように形成されている。
【0038】
プローブ4aは、固定具70aにより支持部材6に固定して取り付けられ、プローブ4bは、固定具70bにより支持部材6に固定して取り付けられる。支持部材6は、固定具70a、70bのそれぞれを貫通させることができる固定具用孔64(64a、64b)が形成される。固定具70aは、手前側のプローブ4aの固定具挿入用孔31a及び固定具用孔64a内に挿入することができる、幅方向(半径方向)の大きさが比較的小さい挿入部と、挿入部が挿入されたときにプローブ4aの表面側を押さえることができる、幅方向の大きさが比較的大きい基端部とを備える。固定具70bは、奥側のプローブ4bの固定具挿入用孔31b及び固定具用孔64b内に挿入することができる、幅方向の大きさが比較的小さい挿入部と、挿入部が挿入されたときにプローブ4bの表面側を押さえることができる、幅方向の大きさが比較的大きい基端部とを備える。1つの例では、固定具70は、螺子頭部分(基端部)とスクリュー部分(挿入部)を備え、導電性を有する螺子である。
【0039】
手前側のプローブ4aの固定具挿入用孔31aの大きさは、固定具70aの基端部の幅方向の大きさよりも小さく、当該孔31aに固定具70aを挿入することで、固定具70aによりプローブ4aの表面側を押さえることができる。手前側のプローブ4aの固定具挿入用孔31bの大きさは、固定具70bの基端部の幅方向の大きさよりも大きく、当該孔31bに固定具70bを挿入しても、固定具70bはプローブ4aと接触しない。奥側のプローブ4bの固定具挿入用孔31aの大きさは、固定具70aの挿入部の幅方向の大きさよりも大きく、当該孔31aに固定具70aを挿入しても、固定具70aはプローブ4bと接触しない。奥側のプローブ4bの固定具挿入用孔31bの大きさは、固定具70bの基端部の幅方向の大きさよりも小さく、当該孔31bに固定具70bを挿入することで、固定具70bによりプローブ4bの表面側を押さえることができる。
【0040】
このように、プローブ4aの固定部21は、他方のプローブ4bに取り付けられた固定具70bと電気的に接触しないように、固定具挿入用孔31bが形成される。同様にして、プローブ4bの固定部21は、他方のプローブ4aに取り付けられた固定具70aと電気的に接触しないように、固定具挿入用孔31aが形成される。2つの固定具70a、70bは、配線81、82と各々接続され、配線81、82の各々は、コネクタ83、84に接続される。これにより、プローブ4から測定部に電気信号が伝達される。
【0041】
次に、プリント配線板50を押し付ける方向にコンタクト部15(端部22)を移動させたときにプリント配線板50により押し上げられたコンタクト部15(端部22)の変位量の計測方法について説明する。図7は、端部22が押し上げられていない場合のプローブユニット2の一部(左側)と端部22が押し上げられた場合のプローブユニット2の一部(右側)の一例を示す図である。プローブ4の第2の連結部14が含むセンサー用凸部23は、センサードグとして機能する。図7の左側と右側の端部22の先端の変位量ΔZ1は、センサー用凸部23の変位量ΔZ2と同じである。したがって、検査装置1は、センサー(図示せず)を用いて変位量ΔZ2を計測することにより変位量ΔZ1を計測することができる。1つの例では、検査装置1が備えるセンサーは光センサーである。例えばこの場合、センサー用凸部23は、センサーが感知し易くなるように、光沢ニッケルめっきなどの反射率の高いめっきが施されるか、又はアルミテープなどの反射率の高いテープが貼り付けられる。計測されるコンタクト部15の変位量は、コンタクト部15の押し込み量に相当するものである。検査装置1は、この変位量(押し込み量)を所定の範囲内となるように制御して検査を行うことができる。これにより、この押し込み量が大きい場合に生じうるプリント配線板50の大きな打痕又は検査パッドの破壊やこの押し込み量が小さい場合に生じうるプローブ4のプリント配線板50に対する接触の不安定化による測定の不安定化を防ぐことが可能となる。
【0042】
次に、本発明の実施形態のプローブ4やプローブユニット2の主な作用効果について説明する。本発明の一実施形態では、プローブ4は、第1のアーム部11と、第2のアーム部12と、第1の連結部13と、第2の連結部14と、コンタクト部15とを備え、これらが一体として形成されたものである。本実施形態では、端部22が押し上げられたとき、第1のアーム部11と第2のアーム部12がそれぞれ撓むように構成される。このような構成とすることにより、本実施形態では、端部22が押し上げられたときのプリント配線板50に対する端部22の接触位置のずれを低減することが可能となる。
【0043】
また、従来のプローブは、コンタクト部15に対応するコンタクト部分と第1のアーム部11などに対応するアーム部分とで構成されている。本実施形態のようにプローブ4を一体として形成することにより、作製するパーツの数が少なくなり、またパーツ間の電気的な接続部も無いことから、各部分を製造して1つのプローブ体を作製するよりも、より低コストで作製可能なプローブ4を提供することが可能となる。
【0044】
また、従来のプローブのコンタクト部分は、弾性変形できる程度の弾性を有し、より摩耗に強い材料であることが求められ、アーム部分は、外力によって変形しない程度に硬く、比較的軽い材料であることが求められる。本発明の一実施形態では、プローブ4は、ステンレスや鋼などの弾性変形可能な金属材料で形成される。このように、従来のコンタクト部分とアーム部分の特性を有する材料でプローブ4を形成することにより、より摩耗に強いプローブを提供することが可能となる。またプローブ4は奥行方向の長さを比較的小さく設計して作製されるため、弾性変形可能な金属材料で一体的に形成されても比較的軽量で実現できる。また、例えば樹脂で形成される従来のプローブのアーム部分と比較して、弾性変形可能な金属材料で一体的に形成されたプローブ4は、繰り返し用いられることによる疲労により引き起こされる接触力の低下を抑制することが可能となる。また、例えば樹脂で形成される従来のプローブのアーム部分と比較して、弾性変形可能な金属材料で一体的に形成されたプローブ4は、温度、湿度、ガスなどの環境に起因する弾性部分の劣化や変形を抑制することが可能である。
【0045】
本発明の一実施形態では、プローブ4をSKH40などの鋼で作製することで、端部22の摩耗を低減することが可能となる。本発明の一実施形態では、端部22をめっき処理することで、端部22の摩耗を低減することが可能である。例えばこの場合のめっき処理は、ニッケル下地の硬質金めっき、ニッケル下地のロジウムめっき、又は硬質クロムめっきである。
【0046】
本発明の一実施形態では、第1のアーム部11の一方端から他方端までの長さL1と第2のアーム部12の一方端から他方端までの長さL2との比は、端部22が押し上げられたときの端部22の横方向の変位が所定値以内となるような比である。この場合、第1のアーム部11の長さと第2のアーム部12の長さとの比率L1/L2は、1より大きい所定の比率となる。このように第1のアーム部11と第2のアーム部12の長さの比を決定してプローブ4を作製することにより、プリント配線板50により端部22が押し上げられたときのプリント配線板50に対する端部22の接触位置のずれを低減することが可能となる。
【0047】
本発明の一実施形態では、第1のアーム部11の幅D1及び第2のアーム部12の幅D2の各々と第2の連結部14の幅D3との比は、端部22が押し上げられたときに第2の連結部14が変形しないような比である。この場合、第1のアーム部11の幅D1及び第2のアーム部12の幅D2の各々は、第2の連結部14の幅D3よりも小さく形成される。このように第1のアーム部11の幅と第2のアーム部12の幅と第2の連結部14の幅との比を決定してプローブ4を作製することにより、プリント配線板50により端部22が押し上げられたときのプリント配線板50に対する端部22の接触位置のずれを低減することが可能となる。
【0048】
本発明の一実施形態では、プローブユニット2は、プローブ4とプローブ4を支持する支持部材6とを備え、支持部材6は、第2の連結部14の奥行方向の変位を規制するための規制部61を含む。これにより、プリント配線板50により端部22が押し上げられたときのプリント配線板50に対する端部22の接触位置のずれを低減することが可能となる。
【0049】
本発明の一実施形態では、支持部材6は、初期張力用突起部62を含む。このような構成とすることにより、端部22がプリント配線板50に接触していない状態において、第1のアーム部11の変形を容易にするために縦方向に所定の力をかけることが可能となる。これにより、端部22が押し上げられたときに第1のアーム部11と第2のアーム部12が撓むのを容易にし、プリント配線板50により端部22が押し上げられたときのプリント配線板50に対する端部22の接触位置のずれを低減することが可能となる。
【0050】
本発明の一実施形態では、端部22は、先端に向けて先細り形状となるように形成され、一方のプローブ4bの片面又は両面に端部22の少なくとも一部(先端部分)を除いて絶縁コーティングが施され、重ね合わされた2つのプローブ4a、4bが支持部材6に取り付けられる。このように2つのプローブを並べて設置することで、2つのプローブ4a、4bのセットをケルビンプローブとして用いることができる。またこのような構成において、薄く絶縁コーティングを施すことにより、2つのプローブ4a、4bの絶縁を確保しつつ、2つのプローブ4a、4bの接触位置間の距離をより狭めることが可能となる。これにより、プリント配線板50上の微細なパッドにプローブ4を接触させて電気的な検査を行うことが可能となる。
【0051】
上記の作用効果は、特に言及が無い限り、他の実施形態や変形例においても同様である。
【0052】
本発明の一実施形態では、プローブユニット2は、2つのプローブ4a、4bの端部22が左右対称となるように作製された2つのプローブ4a、4bを備えることができる。2つのプローブユニット4a、4bは、重ね合わされて支持部6に取り付けられる。
【0053】
本発明の一実施形態では、2つのプローブ4aと4bは完全に同一の部品ではない。支持部材6への取り付けや取り外しなどを考慮し、一部異なる形状とすることができる。例えば、2つのプローブ4a、4bにおいて、第2のアーム部12の異なる位置にチェック用凸部24が形成されてもよい。
【0054】
本発明の一実施形態では、絶縁コーティングは、プローブ4aとプローブ4bを重ね合わせる面であれば、プローブ4aの片面又は両面に施されてもよい。
【0055】
本発明の一実施形態では、プローブユニット2は、3以上のプローブ4を備えることができる。この場合、絶縁を確保しつつ、各プローブ4に対応する固定具70により各プローブ4が支持部材6に取り付けられる。各プローブ4には、固定具70のそれぞれに対応する固定具挿入用孔31が形成され、支持部材6には、固定具70のそれぞれに対応する固定具用孔64が形成される。
【0056】
本発明の一実施形態では、プローブユニット2は、図3に示すプローブ4aと4bが一体となった1つのプローブ4を備えることができる。
【0057】
本発明の一実施形態では、一体的に形成されたプローブ4と同様の作用効果を備える場合、第1のアーム部11と、第2のアーム部12と、第1の連結部13と、第2の連結部14と、コンタクト部15とは、一体的に形成されなくてもよい。
【0058】
本発明の一実施形態では、プローブ4は、樹脂などの弾性変形可能な材料で形成され、その表面上が金属コーティングされたものとすることができる。この場合の金属コーティングは、検査装置1が検査を行うことができるように端部22と固定部70とが導通する程度の金属コーティングであればよい。なお、この場合、端部22を金属メッキ処理することで端部22の摩耗を低減することができる。
【0059】
本発明の一実施形態では、本発明の実施形態のプローブ4と同様の作用効果を備える場合、固定部21、センサー用凸部23及びチェック用凸部24の各々は、他の形状で形成されてもよいし、プローブ4又はプローブユニット2内の他の部分に他の形状で形成されてもよい。例えば、第2のアーム部12にチェック用凸部24は形成されなくてもよく、この場合、全体を通して幅D2が一定の第2のアーム部12が形成されてもよい。また例えば、第2の連結部14にセンサー用凸部23は形成されなくてもよく、この場合、全体を通して幅D3が一定の第2の連結部14が形成されてもよい。
【0060】
本発明の一実施形態では、発明の要旨を逸脱しない範囲内において、支持部材6は、規制部61、初期張力用突起部62、及び固定用突起部63の少なくとも1つを備えない構成とすることができる。
【0061】
以上に説明してきた各実施例は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。例えば上記実施例において、検査装置1は2つのプローブユニット2を備える場合を説明するが、検査装置1は4つのプローブユニット2又は8つのプローブユニット2を備えてもよい。各実施例は、矛盾が生じない限りにおいて、適宜組み合わせて本発明の任意の実施形態に適用することができる。すなわち本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 プリント配線板の検査装置
2 プローブユニット
4 プローブ
6 支持部材
11 第1のアーム部
12 第2のアーム部
13 第1の連結部
14 第2の連結部
15 コンタクト部
21 固定部
22 端部
23 センサー用凸部
24 チェック用凸部
31 固定具挿入用孔
32 突起部用孔
50 プリント配線板
61 規制部
62 初期張力用突起部
63 固定用突起部
64 固定具用孔
70 固定具
81、82 配線
83、84 コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7