(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024050
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】シャツ
(51)【国際特許分類】
A41B 1/00 20060101AFI20230209BHJP
A41D 13/00 20060101ALI20230209BHJP
A41D 1/04 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
A41B1/00 B
A41D13/00 112
A41D1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021130102
(22)【出願日】2021-08-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)2021年8月5日、ウェブサイト「https://reonpocket.sony.co.jp/lifestyle/」において、株式会社ロイネから情報提供を受けたソニーグループ株式会社が、本願発明を公開した。また、同日、前記ウェブサイトについてプレスリリースを行い、ウェブサイト「https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000148.000015876.html」で配信された。 (2)2021年8月4日、ウェブサイト「https://haruyama.jp/contents/haruyama/20210712/」「https://perfect-s.com/contents/psfa/20210712/」において、株式会社ロイネから情報提供を受けた株式会社はるやまホールディングスが、本願発明を公開した。また、2021年7月30日、前記ウェブサイトの内容についてプレスリリースを行い、ウェブサイト「https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000148.000015876.html」で配信された。 (3)2021年8月6日、ウェブサイト「https://online.taka-q.jp/shop/pages/2021_reonpocket.aspx」において、株式会社ロイネから情報提供を受けた株式会社タカキューが、本願発明を公開した。また、2021年7月30日、前記ウェブサイトの内容についてプレスリリースを行い、ウェブサイト「https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000083591.html」で配信された。
(71)【出願人】
【識別番号】597002748
【氏名又は名称】株式会社ロイネ
(74)【代理人】
【識別番号】100165755
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】藤本 康弘
【テーマコード(参考)】
3B011
3B031
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AC02
3B011AC18
3B011AC21
3B031AA02
3B031AB06
3B031AB13
3B031AC03
3B031AC07
3B031AC14
(57)【要約】
【課題】空調器の裏面側で通風路を確保しつつ、適切に空調器を保持し、空調器による冷却感を体感できるシャツを提供すること。
【解決手段】前身頃2と、後身頃3と、肩ヨーク4を有し、空調器Sを肩ヨーク4の内側の空調器収容部10で保持するもので、肩ヨーク4の内面側に高通気性生地20、肩ヨークの外面側の空調器収容部の位置に配する収容ヨーク部30とを有し、収容ヨーク部30の上縁と下縁とを通気する通気路40が形成されていることを特徴とするシャツ。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃と、後身頃と、肩ヨークを有し、空調器を肩ヨークの内側で保持可能にするものであって、
前記肩ヨークは、内面側に配される高通気性生地と、着用者の首付け根付近内側に前記空調器を保持可能にするために前記高通気性生地に縫着される空調器収容部と、前記空調器収容部の位置に配する収容ヨーク部と、を有し、
前記収容ヨーク部は、収容ヨーク部上縁と収容ヨーク部下縁の一部又は全部が開放されて上下の通気路が形成されていることを特徴とするシャツ。
【請求項2】
収容ヨーク部は、肩ヨークから連続する一体の生地からなり、収容ヨーク部下縁の左右方向長さが後身頃の左右方向長さよりも長くなるように左右両側を縫着する縫着線を有することを特徴とする請求項1に記載のシャツ。
【請求項3】
収容ヨーク部上縁は、下方に抉れて開放する開放部を有し、前記開放部により外方から高通気性生地が露出することを特徴とする請求項1または2に記載のシャツ。
【請求項4】
空調器収容部は、肩ヨーク内側に配される高通気性生地と、前記高通気性生地に縫着される空調器上部保持部と空調器下部保持部とを有することで、保持対象の空調器の中央部分が露出するように保持可能とすることを特徴とする請求項1,2または3のいずれか一項に記載のシャツ。
【請求項5】
空調器上部保持部は、空調器下部保持部の左右端よりも外方に位置する拡張部分と、空調器下部保持部の上辺と左右方向長さを同じくする仕切りを有することを特徴とする請求項4に記載のシャツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が空調器を取り付け可能にするシャツに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から冷却素材を用いた空調用被服は存在した(特許文献1)。特許文献1に記載の先行技術は、後身頃の型部の中央を弛ませた状態で保冷剤を収容するための保冷剤収容部を有し、保冷剤収容部の上辺と下片とが不縫合となって通風路が形成されるものである。その課題は首周りの排出口を確保し、通風路の下方となる流入口より上方(首周り)の排出口を狭めて排出口に風が集められることを効果としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術である特許文献1に記載の上着は、ジャンパー類の上着(アウター)であるからこそ、後身頃の内部、内方(着用時の着用者側面)で襟の内側で通風を行うことを前提とし、上方に抜ける排出口近辺に保冷材により冷却された風を集めて冷却感を高めるものである。しかし、従前より市販されている電動空調器は直方体形状の立方体形状であって、電動で裏面側から気体を流入して表面側で冷却感を体感するものであって、後身頃の内部で通気路を確保しても適切に冷却感を体感することはできない。
【0005】
そこで、本発明のシャツは、空調器の裏面側で通風路を確保しつつ、適切に空調器を保持し、空調器による冷却感を体感できるシャツを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシャツは、前身頃と、後身頃と、肩ヨークを有し、空調器を肩ヨークの内側で保持可能にするものであって、前記肩ヨークは、内面側に配される高通気性生地と、着用者の首付け根付近内側に前記空調器を保持可能にするために前記高通気性生地に縫着される空調器収容部と、前記空調器収容部の位置に配する収容ヨーク部と、を有し、前記収容ヨーク部は、収容ヨーク部上縁と収容ヨーク部下縁の一部又は全部が開放されて上下の通気路が形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
また、収容ヨーク部は、肩ヨークから連続する一体の生地からなり、収容ヨーク部下縁の左右方向長さが後身頃の左右方向長さよりも長くなるように左右両側を縫着する縫着線を有することが好ましい。
【0008】
また、収容ヨーク部上縁は、下方に抉れて開放する開放部を有し、前記開放部により外方から高通気性生地が露出することが好ましい。
【0009】
また、空調器収容部は、肩ヨーク内側に配される高通気性生地と、前記高通気性生地に縫着される空調器上部保持部と空調器下部保持部とを有することで、保持対象の空調器の中央部分が露出するように保持可能とすることが好ましい。
【0010】
また、空調器上部保持部は、空調器下部保持部の左右端よりも外方に位置する拡張部分と、空調器下部保持部の上辺と左右方向長さを同じくする仕切りを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明により、空調器の位置が着用者の首の付け根付近であって肩ヨークの内側になるのに対して、通気路が膨れ上がった収容ヨーク部に配されることとなり、通気路による吸気と排気が空調器による冷却を邪魔せずに冷却感を感得することが可能になる。
【0012】
請求項2に記載の発明により、収容ヨーク部下縁の長さが長くなり開放されているので、着用時に自然に収容ヨーク部の下方を開放した状態となり、シャツの下方からの吸気が容易になる。
【0013】
請求項3に記載の発明により、開放部が形成されることで常時空調器の上方からの排気をすることが可能になる。着用者の姿勢に応じて排気口が遮蔽されると逆に熱気が籠ることとなるが、抉れて形成された開放部が常に開口されることで、着用者の姿勢にかかわらず常時排気が可能になる。
【0014】
請求項4に記載の発明により、上下の保持部により空調器を安定的に保持できるだけでなく、保持状態で空調器の中央部分を大きく露出することが可能になる。これにおり空調器に着用者が直接接触して冷却効果を体感することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明により、拡張部分を有することで、空調器を空調器下部保持部分に入れた後、空調器上部保持部分に挿入しやすくする遊び部分をもたせることができる。さらに空調器下部保持部の上辺と同じ長さとなる仕切りがあることで、収容部分とを区切ることができるだけでなく、着用時に長方形状の空調器を安定的に保持することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】本実施形態の肩ヨークの内面側を展開した状態の正面図であって、(a)が空調器を保持していない状態、(b)が空調器を保持した状態を示す。
【
図4】本実施形態の肩ヨークの外面側を展開した状態の背面図であって、(a)が全体を示し、(b)が収容ヨーク部を拡大した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、図面に沿って説明する。
図1,
図2に示すように、本発明のシャツ1は、前身頃2、後身頃3と、後身頃3の上方で縫着された肩ヨーク4と、襟5と、袖6,6とからなる。
図1,2はポロシャツを図示しているが、ワイシャツ等に用いることも可能である。本説明において、図面上のシャツ1をもとに上下左右として説明し、シャツ1を着用した状態で着用者側を内側、内部、内方とし、その反対を外側、外部、外方として説明している。
【0018】
本実施形態で用いる空調器Sは、直方体形状の電動空調器であり、躯体の裏面側(後方面側)の下方向から気体を流入して、表面側(前方面側)に接触すると冷却効果を感じる機器を対象としている。例えば、ソニー社製のREON POCKET(登録商標)を用いるものであってもよい。電動空調器は、一般的に躯体の下方から吸気し、上方から廃熱を廃棄して、前面側に接触して冷却感を得ることができる。その他、空調器Sとしては、表面側から冷風を送風する機器であってもよい。
【0019】
図1,
図3に示すように、本実施形態のシャツ1は、肩ヨーク4の生地の内側(着用者側)に空調器収容部10と高通気性生地20が配されている。具体的には、肩ヨーク4の内側のほぼ全体にメッシュ生地等の高通気性生地20を縫着して配し、高通気性生地20のさらに内側(着用者側)に空調器収容部10を縫着して配置している。空調器収容部10は、着用時に着用者の首の付け根付近に空調器Sを保持可能にしており、襟5のすぐ下方に位置するようにしている。
【0020】
本実施形態は、高通気性生地20としてメッシュ生地を採用しており、視認可能な直径1~2mmの小孔が連続して形成される生地を用いている。このほか、高通気性生地として、空調器収容部10に収容された空調器Sの吸気、排気が円滑になされる生地を用いるものであってもよい。
【0021】
高通気性生地20の内側に空調器収容部10を配している。本実施形態における空調器収容部10は、空調器上部保持部11を肩ヨーク4の上縁(襟5との接続縁)で縫着して配し、空調器下部保持部12を肩ヨーク4の下縁に縫着して配している。空調器上部保持部11と空調器下部保持部12はいずれもポケットとして形成されており、本実施形態においては空調器下部保持部12の保持体積(ポケット内の空間体積)が空調器上部保持部11の保持体積(ポケット内の空間体積)よりも大きく形成されている。これにより、空調器Sを保持した状態で空調器Sの中央部分を大きく露出することとなり、空調器Sに着用者が接触して冷却効果を体感することができるとともに、空調器下部保持部12が空調器上部保持部11よりも大きく収容スペースを有するポケットで形成されることで安定的に空調器Sを保持することが可能になる。
【0022】
空調器下部保持部12の具体的な形態は、正面視において両側を長辺とする長方形状の生地の両側辺と下辺とを高通気性生地20に縫着し、上辺を縫着せずに開放することで、上方に向けて開口するポケット状に形成される。一方、空調器上部保持部11は、下辺を短辺として上辺を長辺とする逆台形状の生地の上辺と両側の傾斜辺とを高通気性生地20に縫着し、下辺を縫着せずに開放することで、下方に向けて開口とするポケット状に形成される。
【0023】
本実施形態の空調器上部保持部11の下辺は、空調器下部保持部12の上辺と略同じ左右方向長さを有し、逆台形となるように左右両端から上辺に至るまで傾斜して拡張する拡張部分11a、11aを有する。この拡張部分11a、11aを有することで、空調器Sを先ず空調器下部保持部12に入れて空調器上部保持部11に挿入すると、空調器上部保持部11の左右の遊び部分をもたせることができ、空調器Sの挿入が容易となる。
【0024】
また、空調器上部保持部11は、拡張部分11a、11aと中央の収容部分11bとを区切るための、上辺から一定長さ分だけ下方に向かう、短い仕切り11c、11cが形成される。この仕切り11c、11cは、本実施形態では短い縫着線で形成されており、空調器下部保持部12の上辺の両側端と同じ左右方向位置に形成される。この仕切り11c、11cを有することで、収容部分11bとを区切ることができるだけでなく、着用時に長方形状の空調器Sを上方で安定的に保持することが可能になる。
【0025】
次に、肩ヨーク4の外側について説明する。肩ヨーク4は、一般のシャツと同じく、肩ヨーク4の下縁と後身頃3の上縁とを一部重複させつつ縫着し、肩ヨーク4の上縁も前身頃2の上縁と一部重複させつつ縫着して固定している。
【0026】
肩ヨーク4は、内部で空調器収容部10を有する位置を収容ヨーク部30としている。具体的には、内部における空調器収容部10の空調器上部保持部11の上縁の左右方向両側端の余白を開けた外方位置30a、30aから直線状に垂下する垂下位置30b、30bまで肩ヨーク4と高通気性生地20とを縫着することで、縫着線30c、30cに囲まれた部分が収容ヨーク部30となる。
【0027】
収容ヨーク部30は、縫着線30c、30cで左右両側が縫着されているが、上縁(後述する開放部33)と下縁が縫着されずに開放されている。そのため、収容ヨーク部30は上下に開放された通気路40を形成している。
【0028】
収容ヨーク部30の上縁は、襟5との接続縁となるものであるが、両側の襟部接続部分32,32を有し、2つの襟部接続部分32,32の中央側端から下方に湾曲して抉れて開放部33が形成される。肩ヨーク4を外方からみると、開放部33により一部切り欠かれており、高通気性生地20が露出している。本実施形態の開放部33は湾曲して抉れて形成されるが、長方形状に抉れて形成されるものであってもよい。また、開放部33の両側には短い縫着線34,34が形成され、開放部33から排気が大きくなったときに開放部33が凸状に膨れ上がるようにしている。
【0029】
収容ヨーク部30の生地自体の左右長さは、上縁から下縁にかけて徐々に長くなっている。そのため、収容ヨーク部30の下縁35の左右方向長さL1は、仮想線である一点鎖線で示す垂下位置30b,30b間の長さL2よりも長くなっており、自然に開放した状態となる。さらに言うと、収容ヨーク部30の下縁35が最も開口面積が大きくなり、シャツの下方からの吸気が容易になる。なお、収容ヨーク部30の上縁では、外方位置30a、30a間の左右方向長さと、開放部33が無い場合の収容ヨーク部30の生地自体の左右方向長さとをほぼ同じくしている。
【0030】
収容ヨーク部30は、上縁から下縁に掛けて徐々に生地の左右方向長さが長くなっており、側面視において半分に割った円錐状の通気路40が形成される。この形態の通気路が形成されることで、下方からの吸気が容易になり、上方からの排気も開放部33が常に開口されることで常時排気ができることとなり、空調器Sの吸気と排気を円滑に行うことが可能になる。さらに言うと、接触して冷却感を得る空調器Sを使用した場合、空調器Sの位置が肩ヨーク4の内側になるのに対して、通気路40が膨れ上がった収容ヨーク部30に配されることとなり、通気路40による空調器Sの接触感を邪魔せずに冷却感を感得することが可能になる。
【符号の説明】
【0031】
1…シャツ、2…前身頃、3…後身頃、4…肩ヨーク、5…襟、6…袖、10…空調器収容部、11…空調器上部保持部、11a…拡張部分、11b…収容部分、11c…仕切り、12…空調器下部保持部、20…高通気性生地、30…収容ヨーク部、30a…外方位置、30b…垂下位置、30c…縫着線、32…襟部接続部分、33…開放部、34…縫着線、35…下縁、S…空調器。