(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024173
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】蚊取り線香ホルダ
(51)【国際特許分類】
A01M 1/20 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
A01M1/20 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021130304
(22)【出願日】2021-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】596037194
【氏名又は名称】パスカルエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134131
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 知理
(74)【代理人】
【識別番号】100092738
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】北浦 一郎
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA13
2B121CA09
2B121CA16
2B121CA56
2B121CA62
2B121CA90
2B121CC02
2B121FA02
2B121FA15
(57)【要約】
【課題】 本発明は、構造が簡単で、着火が容易で、かつ簡単に消火することができる取扱容易な蚊取り線香ホルダを提供することを目的とする。
【解決手段】 本件発明の蚊取り線香ホルダは、渦巻き型蚊取り線香5を載置する載置部4と、該載置部4に載置された前記蚊取り線香5から落下する灰を受ける受け皿部2とを有する本体1と、前記蚊取り線香5を前記載置部4に保持する重り8と、前記重り8を前記載置部4に対して着脱自在に位置決めする位置決め手段9と、を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
渦巻き型蚊取り線香を載置する載置部と、該載置部に載置された前記蚊取り線香から落下する灰を受ける受け皿部とを有する本体と、
前記蚊取り線香を前記載置部に保持する重りと、
前記重りを前記載置部に対して着脱自在に位置決めする位置決め手段と、
を備えた蚊取り線香ホルダ。
【請求項2】
前記位置決め手段は、前記本体に固定された固定部と、該固定部に対して前記重りを上下動自在に支持する支持部とを有する請求項1記載の蚊取り線香ホルダ。
【請求項3】
前記位置決め手段は、前記本体に固定された枢支部と、該枢支部に対して前記重りを上下揺動動自在に支持するアームとを有する請求項1記載の蚊取り線香ホルダ。
【請求項4】
前記位置決め手段は、前記本体に対して着脱自在に当接して前記重りを前記載置部に対して位置決めする当接部を前記重りに備えている請求項1記載の蚊取り線香ホルダ。
【請求項5】
前記重りは、前記蚊取り線香を前記載置部に保持する重さを有し、かつ、消火に際して燃焼部分を挟持可能としている請求項1~4のいずれか一つに記載の蚊取り線香ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着火された蚊取り線香を保持するための蚊取り線香ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
実公昭49-33967号公報(特許文献1)に記載のものは、中空な容器本体内の中央部に突設された線香保持体の上端周側に設けた切欠部に蚊取り線香の内端部を嵌合し、この保持体の上端に螺合した止めネジで線香内端を固定するものであった。
【0003】
実開平2‐9079号公報(特許文献2)に記載のものは、蚊取り線香の中心穴に差し込む線香立てと、その線香立てから線香が抜け落ちるのを防止する当て具で構成されるものであった。
【0004】
特開平9-140312号公報(特許文献3)に記載のものは、蚊取り線香立ての蚊取り線香取付部を鰐口状のクリップにし、蚊取り線香の燃焼部分が同クリップに挟まれた部分に差しかかると,同クリップが金具で形成されていることにより,燃焼部分は熱を奪われ,蚊取り線香の火はその位置で自動的に消火されることとなるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公昭49-33967号公報
【特許文献2】実開平2‐9079号公報
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1記載のものは、線香の固定がねじ止め構造となっているため、構造が複雑で、取り扱いが面倒なものであった。
【0008】
特許文献2記載のものは、携帯用のものであり、線香の抜け落ち防止の当て具は、蓋により構成されるものであり、容器本体に固定される蓋が必要となり、構造が複雑になるものであった。またこの蓋式のものでは、香取線香に着火するとき、線香を手で保持してマッチ等で着火しなければならず、着火後に容器本体に収納して蓋を閉めなければならず、取り扱いが不便であった。
【0009】
特許文献3記載のものは、蚊取り線香取付部を鰐口状のクリップにしなければならず、構造が複雑であった。
【0010】
そこで、本発明は、構造が簡単で、着火が容易で、かつ簡単に消火することができる取扱容易な、着火された状態の蚊取り線香を安定的に保持するための蚊取り線香ホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明は、次の手段を講じた。すなわち、本件発明の蚊取り線香ホルダは、渦巻き型蚊取り線香を載置する載置部と、該載置部に載置された前記蚊取り線香から落下する灰を受ける受け皿部とを有する本体と、前記蚊取り線香を前記載置部に保持する重りと、前記重りを前記載置部に対して着脱自在に位置決めする位置決め手段と、を備えている。
【0012】
前記位置決め手段は、前記本体に固定された固定部と、該固定部に対して前記重りを上下動自在に支持する支持部とを有するのが好ましい。
【0013】
前記位置決め手段は、前記本体に固定された枢支部と、該枢支部に対して前記重りを上下揺動動自在に支持するアームとを有するのが好ましい。
【0014】
前記位置決め手段は、前記本体に対して着脱自在に当接して前記重りを前記載置部に対して位置決めする当接部を前記重りに備えているのが好ましい。
【0015】
前記重りは、前記蚊取り線香を前記載置部に保持する重さを有し、かつ、消火に際して燃焼部分を挟持可能としているのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本件発明によれば、従来のものに比べて、構造が簡単で、着火が容易で、かつ簡単に消火することができる取扱容易な安定的な保持具となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態を示す蚊取り線香ホルダの斜視図。
【
図5】本発明の他の実施の形態を示す蚊取り線香ホルダの斜視図。
【
図9】本発明の他の実施の形態を示す蚊取り線香ホルダの斜視図。
【
図13】短くなった蚊取り線香の着火の容易性を示す使用の態様の斜視図。
【
図14】蚊取り線香の破片を保持した使用の態様を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0019】
図1~
図4において、蚊取り線香ホルダは、本体1を備える。本体1は、蚊取り線香から落下する灰を受ける受け皿部2を有する。受け皿部2は、円盤状であり、その外周縁に周壁3が立設されている。周壁3には、径外方向に張り出す取っ手3aが左右一対設けられている。
【0020】
本体1は、載置部4を有する。載置部4は、受け皿部2の中心部に立設されている。載置部4は、渦巻き型蚊取り線香5を載置する頂面6を有する。頂面6は、円形状の平面に形成されている。
【0021】
蚊取り線香ホルダは、蚊取り線香5を載置部4に保持する重り8を備える。重り8は、載置部4の頂面6と同じ直径の円筒体に形成されている。円筒体の上面にガイド棒8aが立設されている。ガイド棒8aの上端に抜け止め兼操作部8bが形成されている。重り8は、香取線香5を支承部4に保持する重さを有する。
【0022】
蚊取り線香ホルダは、重り8を載置部4に対して着脱自在に位置決めする位置決め手段9を備える。
【0023】
前記位置決め手段9は、重り8を支持する支持部10を有する。
【0024】
前記位置決め手段9は、本体1に固定された固定部11を有し、固定部11に前記支持部10が設けられている。
【0025】
すなわち、固定部11は、本体1の周壁3の外面に固定されて、上方に延出し、その上端が受け皿部2の中心に向かって屈曲成形されたロッド部材から構成されている。固定部11は2本のロッド部材で構成されている。ロッド部材の先端に前記支持部10が固定されている。
【0026】
支持部10の中心に上下方向に貫通するガイド孔10aが形成されている。このガイド孔10aに重り8のガイド棒8aが上下方向摺動自在に挿通されている。すなわち、支持部10は、固定部11に対して重り8を上下動自在に支持する。
【0027】
図3に示すように、支持部10に支持された重り8の操作部8bを持って、仮想線に示すように上方に引き上げ、載置部4の頂面6と重り8の下面間に、蚊取り線香5を挿入する。操作部8bから手を離すことにより、重り8は下降し、蚊取り線香5を載置部4に保持する。
【0028】
図4に示す渦巻き型蚊取り線香5の先端に着火装置で点火する。この着火は、蚊取り線香5を重り8で保持した状態で行えるので、手で持って着火するものに比べて点火作業が容易である。
【0029】
点火された蚊取り線香は燃焼し、殺虫成分を空中に放出する。燃焼した灰は、受け皿部2に回収される。
【0030】
燃焼が進行し、重り8で保持されている部分まで達すると、載置部4と重り8で挟持されている蚊取り線香5の燃焼は、消火される。載置部4の頂面6と重り8は、金属で構成されているので、これら金属に熱が奪われて燃焼が消火する。
【0031】
蚊取り線香5の渦巻き中心端部を重り8で保持しないで、巻きの中途部を重り8で保持すれば、所定時間で自動消火させることができる。
【0032】
図5~
図8に示すものは、本発明の他の実施の形態である。蚊取り線香ホルダは、本体1を有する。本体1は、底部2と底部周縁から立設された周壁3とを有して上方開口している。本体1の中心部に載置部4が底部2から突設されている。載置部4は、蚊取り線香5を支承する頂面6を有する。
【0033】
本体1の底部2は、蚊取り線香5の燃焼かすの受け皿部2とされている。蚊取り線香5は渦巻き状に形成されている。
【0034】
底部2の下面には、接地安定部7が設けられている。この接地安定部7はリング状のものが例示されているが、3個の突起であっても良い。
【0035】
蚊取り線香ホルダは、重り8を有する。重り8は、載置部4の頂面6に載置された線香5の上面に載置されるものである。重り8は、香取線香5を支承部4に保持する重さを有する。
【0036】
蚊取り線香ホルダは、重り8を載置部4に対して着脱自在に位置決めする位置決め手段9を備えている。
【0037】
位置決め手段9は、本体1に固定された固定部11と、固定部11に対して重り8を上下動自在に支持する支持部10とを有する。
【0038】
頂面6は、線香5を支承するに足りるだけの小面積とされている。小面積とすることにより、線香5を最後まで燃焼させることができる。
【0039】
具体的には、頂面6は直径30mmの平坦面に形成されている。載置部4の底部2からの高さは36mmとされ、周壁3の外周面の直径は170mmとされ、周壁3の高さは44mmとされ、接地安定部7の高さは底部下面から6mmとされている。
【0040】
頂面6は、周壁3の上面とほぼ同じ高さとされている。
【0041】
重り8の下面は、頂面6と同じ直径の平坦面とされている。重り8の高さ方向の寸法は40mmとされ、重り8の上部から支持部10が突出している。支持部10は直径6mmの金属線材からL字型に成形されている。L字の一端が、前記頂面6に載置された重り8に固定され、重り8から水平状に延出して下垂して、その下垂した下端部が周壁3の外周面の近傍に位置している。
【0042】
固定部11は、周壁3に固定され、上下方向に貫通するガイド孔11aが設けられている。固定部11には、ガイド孔11aと外方とを連通する上下方向に長い長孔11bが設けられている。
【0043】
支持部10の下垂した下端部が、ガイド孔11aに上下方向摺動自在に挿通されている。ガイド孔11aに挿通された部分の支持部10に、長孔11bに突出するピンが突設されている。このピンにより、支持部10の回動が防止され、重り8の下面が支承部4の頂面8に常時対面するよう構成されている。
【0044】
重り8は、複数枚の蚊取り線香5を保持可能な重さを有するものとするのが好ましい。 この重り8は、消火に際して線香5の燃焼部分を挟持可能とする。
【0045】
載置部4の頂面6は磁性体で形成され、磁性体に吸着する磁石12が重り8の下面に設けられている。
【0046】
磁石12の吸着力は、重り8が直接、頂面6に直接載置された状態において、支持部10を手で保持して本体1を持ち運び可能とする強さとされている。
【0047】
周壁3に、携帯用ハンドル13が設けられている。このハンドル13を保持して、本体1を持ち運びすることもできる。このハンドル13を設けた場合、重り8の磁石12は不要となる。
【0048】
なお、磁石12は、載置部4の頂面6に設け、重り8の下面を磁性体にしても良い。
【0049】
前記実施の形態の蚊取り線香ホルダは、
図5、6に示すように、蚊取り線香5を使用しないときは、重り8を載置部4の頂面6に載置する。重り8は、磁石12により支承部4に吸着されるので、アーム10を手で持つことにより、本体1を持ち運びできる。
【0050】
図7、8に示すように、蚊取り線香5の使用に際しては、重り8を上方に移動させ、支承部4の頂面6に蚊取り線香5の中心部を載置し、その線香5の中心部の上面に重り8を下降させる。
【0051】
この実施の形態では、蚊取り線香5は、1本のみならず複数本を重ねて保持することができる。図示では2本の渦巻き蚊取り線香5を2枚重ねた状態で保持している。
【0052】
このような保持状態で、
図4に示すように着火器14で線香5に着火する。従来のように手で線香を保持して着火するものに比べ、着火が容易になる。
【0053】
途中で、消火したい場合、線香5の燃焼部を頂面6に載置し、その上面を重り8で押圧すれば、燃焼部を消火することができる。
【0054】
なお、渦巻き式蚊取り線香5の中心部を重り8で保持固定せずに、香取り線香5の中途位置で保持固定すれば、その保持位置で線香は消火する。したがって、所定時間で自動消火したい場合、燃焼で達すると予想される位置で、重りで保持しておけば、所定時間で自動消火することができるので、就寝時の使用に便利である。
【0055】
図9~
図12に示すものは、本発明の他の実施の形態である。
【0056】
この実施の形態では、位置決め手段9が前記実施の形態と異なっている。
【0057】
位置決め手段は、本体1に固定された枢支部15と、枢支部15に対して重り8を上下揺動動自在に支持するアーム16とを有する
【0058】
枢支部15は、本体1の周壁3に固定されている。アーム16の一端は、枢支部15に上下揺動自在に枢支されている。アーム16の他端は、重り8に固定されている。
【0059】
その他の構成は、前記の実施の形態と同じである。
【0060】
図13、
図14に示すものは、使用の態様に関わり、前記各実施の態様において、香取線香5の任意の位置を挟持保持できることを示す。どのような長さの蚊取り線香5(かなり短いものでも、半分程度の長さでも)でも安定的に固定できる。
図14は線香の破片5を保持している。
【0061】
このような短い線香5を着火しようとした場合、従来は手で持って着火していたが、この実施の形態では、重り8で挟持保持した状態で着火できるので、着火操作が容易になる。
【0062】
図15~
図17に示すものは、本発明の他の実施の形態で、位置決め手段9が異なるものである。
【0063】
位置決め手段9は、本体1に対して着脱自在に当接して重り8を載置部4に対して位置決めする当接部17を重り8に備えている。
【0064】
すなわち、重り8から2本のアーム18を突設させ、そのアーム18の下端に当接部17を設け、当接部17を周壁3の2点で接触させることにより、重り8のセンタリングを容易にしている。重り8の上部の外周面に摘まみ用のローレット加工が施されている。
【0065】
また、当接部17の下端に二股状の係合部を設け、二股状係合部を周壁の内外周面に係脱自在に係合させるようにしたものであっても良い。
【0066】
当接部17を磁石として周壁3に吸着させるようにしても良い。
【0067】
本発明の実施の形態によれば、渦巻き状の香取線香5の中心部を小面積の頂面6に、重り8により保持するようにしたので、最後まで無駄なく燃焼させることができる。また途中で消火したい場合、燃焼部分を頂面6と重り8で挟持することにより、簡単に消火でき、従来のような消火のための他の部材を必要としない。
【0068】
線香5の着火に際して、重り8で保持した状態で着火できるので、手で保持して着火する場合に比べ、着火が容易になる。
【0069】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。
【0070】
例えば、本体は金属板をプレス加工したものを例示したが、陶器等で製作することができる。陶器の場合は、載置部の頂面に磁性体を埋め込めばよい。重りも金属に限らずセラミック製でもよい。重りの位置決め手段は、周壁を利用して位置決めするものに限らず、載置部の頂面と重りの下面に、線香保持に邪魔にならない位置に、凹凸係合部を設けて位置決めするようにしたものであっても良い。
【0071】
本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1 本体
2 底部
3 周壁
4 載置部
5 蚊取り線香
6 頂面
7 接地安定部
8 重り
9 位置決め手段
10 支持部
11 固定部
12 磁石
13 ハンドル
14 着火器
15 枢支部
16 アーム
17 当接部