(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002419
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20221227BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
H02J1/00 304E
H02J7/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103670
(22)【出願日】2021-06-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 和博
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
5G165CA02
5G165DA02
5G165DA06
5G165EA02
5G165EA06
5G165GA06
5G165JA07
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA11
5G503EA05
5G503GD02
5G503GD06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】通信機能を過度に低下させることなく、電波による人体への影響を抑止する情報処理装置を提供する。
【解決手段】データ転送及び送電が可能なケーブルを介して接続された他の情報処理装置との間で電力の授受が可能な情報処理装置(PC1)であって、ケーブルと接続可能な第1接続部(第1ポート11A)と、ケーブルと接続可能な第2接続部(第2ポート11B)と、電力を蓄積する充電部103と、第1接続部と第2接続部とを充電部を経由せずに送電可能に接続するバイパス送電部19と、バイパス送電部の通電状態のON/OFFを切り替えるパススルースイッチ20と、自機の充電状態と、自機とケーブルを介して接続する他の情報処理装置の充電状態とに基づいて、スイッチ部のON/OFFを切り替える制御部111と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ転送及び送電が可能なケーブルを介して接続された他の情報処理装置との間で電力の授受が可能な情報処理装置であって、
前記ケーブルと接続可能な第1接続部と、
前記ケーブルと接続可能な第2接続部と、
電力を蓄積する充電部と、
前記第1接続部と前記第2接続部とを前記充電部を経由せずに送電可能に接続するバイパス送電路と、
前記バイパス送電路の通電状態のON/OFFを切り替えるスイッチ部と、
自機の充電状態と、自機と前記ケーブルを介して接続する他の情報処理装置の充電状態とに基づいて、前記スイッチ部のON/OFFを切り替える制御部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記第1接続部及び前記第2接続部の少なくとも一方から取得されるデータに基づいて、前記ケーブルを介して接続された複数の情報処理装置間の送電方向における自機の位置を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づいて、自機の充電状態を示す充電状態情報を、前記送電方向において自機より上流側に接続された他の情報処理装置に前記ケーブルを介して送信する送信部と、
を更に備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記第1接続部及び前記第2接続部の少なくとも一方から取得されるデータに基づいて、前記送電方向における前記第1接続部及び前記第2接続部の位置を示す接続部ステータスを判定し、前記接続部ステータスに基づいて自機の位置を判定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定部は、定期的に自機の位置を再判定する、
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記送信部は、
自機が、前記送電方向における末端に接続された情報処理装置である末端装置である場合に、前記充電状態情報を自機の上流側に接続された他の情報処理装置に送信し、
自機が、外部電源と接続する情報処理装置である親装置と前記末端装置との間に接続された中間装置である場合に、自機の下流側に接続された他の情報処理装置の充電状態を示す情報と自機の充電状態を示す情報とを含む前記充電状態情報を、自機の上流側に接続された他の情報処理装置に送信する、
請求項2~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、自機が所定の充電不要状態である場合に、前記スイッチ部をONにする、
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートPC(Personal Computer)、タブレット端末、スマートフォン等の複数の情報処理装置をデータ転送及び送電が可能なケーブル(例えばUSB Type-Cケーブル等)を用いて数珠つなぎ状に接続することにより、複数の情報処理装置間での電力の授受を可能にする技術がある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術においては、送電方向のおける上流側の接続ポートから入力された電力が充電回路等を経由して下流側の接続ポートへ出力されるため、情報処理装置内で電力ロス等が生じ、充電制御を効率よく行うことが困難である。
【0005】
そこで、本開示の課題の一つは、複数の情報処理装置間での充電制御を効率よく行うことが可能な情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様としての情報処理装置は、データ転送及び送電が可能なケーブルを介して接続された他の情報処理装置との間で電力の授受が可能な情報処理装置であって、前記ケーブルと接続可能な第1接続部と、前記ケーブルと接続可能な第2接続部と、電力を蓄積する充電部と、前記第1接続部と前記第2接続部とを前記充電部を経由せずに送電可能に接続するバイパス送電路と、前記バイパス送電路の通電状態のON/OFFを切り替えるスイッチ部と、自機の充電状態と、自機と前記ケーブルを介して接続する他の情報処理装置の充電状態とに基づいて、前記スイッチ部のON/OFFを切り替える制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の情報処理装置によれば、複数の情報処理装置間での充電制御を高効率に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態にかかるPCを用いて行われる連結充電の状態の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかるPCのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかるPCの機能構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態にかかるPCにおける連結充電の実行時における処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態にかかる接続ステータス判定部による処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態にかかる接続ステータスとポートステータスとの関係の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態にかかる充電状態情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態にかかるPDコントローラによる充電不要状態におけるスイッチ制御の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態にかかるPDコントローラによる充電必要状態におけるスイッチ制御の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態においてケーブルの切断により接続ステータスが変化する場合の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態においてACの追加により接続ステータスが変化する場合の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態にかかる接続ステータスの変更時における処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、並びに当該構成によってもたらされる作用及び効果は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
【0010】
図1は、実施形態にかかるPC1を用いて行われる連結充電の状態の一例を示す図である。ここでいう連結充電とは、データ転送及び送電が可能なケーブル5を介して複数のPC1が数珠つなぎ状に接続された状態において、複数のPC1間での電力の授受により実現される充電である。
図1において、3つのPC1がケーブル5を介して接続された接続パスが例示されている。PC1は、連結充電に対応可能な情報処理装置の一例である。ケーブル5は、データ転送及び送電が可能なケーブルの一例であり、例えばUSB Type-Cケーブル等であり得る。
【0011】
接続パスを構成する複数のPC1のそれぞれには、接続パスにおける位置を示す接続ステータスが付与される。本実施形態においては、PC1の接続ステータスとして、親PC(親装置の一例)1A、中間PC(中間装置の一例)1B、及び末端PC(末端装置の一例)1Cの3種類のステータスが設定される。親PC1Aは、AC(外部電源の一例)が接続されるPCである。中間PC1Bは、親PC1Aと末端PC1Cとの間に接続されるPCである。末端PC1Cは、接続パスの末端に接続されるPCである。1つの接続パスにおいて、親PC1A及び末端PC1Cはそれぞれ1つずつであるが、中間PC1Bは複数存在してもよい。上記のような構成において、充電用の電力の送電方向Dpは、親PC1Aから末端PC1Cへ向かう方向となる。以下、親PC1A、中間PC1B、及び末端PC1Cを区別する必要がない場合には、これらをPC1と称する場合がある。
【0012】
図2は、実施形態にかかるPC1のハードウェア構成の一例を示す図である。PC1は、第1ポート11A(第1接続部の一例)、第2ポート11B(第2接続部の一例)、電源回路12、内蔵バッテリ13、充電回路14、電源マイコン15、第1コンシューマスイッチ16A、第2コンシューマスイッチ16B、第1プロバイダスイッチ17A、第2プロバイダスイッチ17B、第1突き合わせ回路18A、第2突き合わせ回路18B、バイパス送電路19、パススルースイッチ20(スイッチ部の一例)、及びPD(Power Delivery)コントローラ21を備える。
【0013】
第1ポート11A及び第2ポート11Bは、USB TYPE-Cケーブルを用いたデータ転送及び送電を可能にするポート(コネクタ)である。電源回路12は、PC1の駆動電力を制御する回路である。充電回路14は、電源マイコン15からの制御信号に応じて内蔵バッテリ13への充電及び内蔵バッテリ13から電源回路12への放電を制御する回路である。電源マイコン15は、プログラムに従って各種処理を行うCPU等を含む集積回路であり、PC1の駆動電力を制御するための各種演算処理及び制御処理を実行する。
【0014】
PDコントローラ21は、プログラムに従って各種処理を行うCPU等を含む集積回路であり、上述した連結充電により内蔵バッテリ13を充電するための各種演算処理及び制御処理を実行する。PDコントローラ21は、第1ポート11A、第2ポート11B、電源マイコン15等から取得される情報に基づいて、連結充電が適切に行われるように第1コンシューマスイッチ16A、第2コンシューマスイッチ16B、第1プロバイダスイッチ17A、第2プロバイダスイッチ17B、及びパススルースイッチ20を制御する。
【0015】
第1コンシューマスイッチ16AがONであり、第1プロバイダスイッチ17AがOFFであるとき、第1ポート11Aから入力された電力は、第1突き合わせ回路18A、第1コンシューマスイッチ16A、及び充電回路14を介して内蔵バッテリ13に供給可能となる。第2コンシューマスイッチ16BがONであり、第2プロバイダスイッチ17BがOFFであるとき、第2ポート11Bから入力された電力は、第2突き合わせ回路18B、第2コンシューマスイッチ16B、及び充電回路14を介して内蔵バッテリ13に供給可能となる。第1コンシューマスイッチ16AがOFFであり、第1プロバイダスイッチ17AがONであるとき、内蔵バッテリ13の電力は、電源回路12、第1プロバイダスイッチ17A、及び第1突き合わせ回路18Aを介して第1ポート11Aから出力可能となる。第2コンシューマスイッチ16BがOFFであり、第2プロバイダスイッチ17BがONであるとき、内蔵バッテリ13の電力は、電源回路12、第2プロバイダスイッチ17B、及び第2突き合わせ回路18Bを介して第2ポート11Bから出力可能となる。
【0016】
本実施形態においては、第1突き合わせ回路18Aと第2突き合わせ回路18Bとを直接接続するバイパス送電路19と、バイパス送電路19の通電状態のON/OFFを切り替えるパススルースイッチ20とが備えられている。これにより、第1ポート11Aと第2ポート11Bとの間の送電を、必要に応じて充電回路14及び電源回路12を経由せずに行うことが可能となる。
【0017】
図3は、実施形態にかかるPC1の機能構成の一例を示す図である。PC1は、充電部103、接続ステータス判定部106、充電状態判定部107、充電状態情報受信部108、充電状態情報生成部109、充電状態情報送信部110、及び制御部111を備える。
【0018】
充電部103は、電力を蓄積するための機能部であり、例えば上述した電源回路12、内蔵バッテリ13、充電回路14、電源マイコン15等の協働により構成され得る。
【0019】
接続ステータス判定部106は、PC1(自機)の接続ステータス、すなわち自機が接続パスにおいてどこに接続されているかを判定する機能部である。接続ステータス判定部106は、例えば上述したPDコントローラ21、PDコントローラ21を制御するプログラム等の協働により構成され得る。
【0020】
充電状態判定部107は、PC1(自機)の充電部103の充電状態を判定する機能部である。充電状態判定部107は、例えば上述した電源マイコン15、電源マイコン15を制御するプログラム、PDコントローラ21、PDコントローラ21を制御するプログラム等の協働により構成され得る。
【0021】
充電状態情報受信部108は、第1ポート11A又は第2ポート11Bにケーブル5を介して接続された他のPC1の充電部103の充電状態を示す充電状態情報を受信する機能部である。充電状態情報受信部108は、自機の下流側に接続されたPC1からの充電状態情報及び自機の上流側に接続されたPC1からの充電状態情報の少なくとも一方を、ケーブル5のデータ転送機能を利用して受信する。充電状態情報受信部108は、例えば上述した第1ポート11A、第2ポート、PDコントローラ21、PDコントローラ21を制御するプログラム等の協働により構成され得る。
【0022】
充電状態情報生成部109は、充電状態判定部107の判定結果と、充電状態情報受信部108により受信された充電状態情報とに基づいて、自機の充電状態を示す情報と、他のPC1の充電状態を示す情報とを含む充電状態情報を生成する機能部である。充電状態情報生成部109は、例えば上述したPDコントローラ21、PDコントローラ21を制御するプログラム等の協働により構成され得る。
【0023】
充電状態情報送信部110は、充電状態情報生成部109により生成された充電状態情報を、接続パス(送電方向Dp)において自機の上流側に接続された他のPC1にケーブル5を介して送信する機能部である。充電状態情報送信部110は、例えば上述した第1ポート11A、第2ポート、PDコントローラ21、PDコントローラ21を制御するプログラム等の協働により構成され得る。
【0024】
制御部111は、自機の充電状態と、第1ポート11A又は第2ポート11Bにケーブル5を介して接続された他のPC1の充電状態とに基づいて、パススルースイッチ20のON/OFFを切り替える機能部である。
図3において、太線で示す矢印は、電力の流れを例示している。第1ポート11A及び第2ポート11Bを介して入出力される充電用の電力は、パススルースイッチ20がONのときには充電部103を経由せずに第1ポート11A及び第2ポート11B間で送電可能となる。従って、充電部103への充電が不要なときには、パススルースイッチ20をONにすることにより、自機に入力された電力を直接他のPC1に受け渡すことが可能となる。制御部111は、例えばPDコントローラ21、PDコントローラ21を制御するプログラム等の協働により構成され得る。
【0025】
図4は、実施形態にかかるPC1における連結充電の実行時における処理の一例を示すフローチャートである。先ず、自機の接続ステータスを判定する接続ステータス判定プロセスが実行される(S11)。その後、接続ステータス判定プロセスの判定結果に基づいて、自機の充電状態の判定・送信、他のPC1の充電状態の受信、自他の充電情報の比較等を行う充電状態判定プロセスが実行される(S12)。その後、充電状態判定プロセスによる判定結果に基づいて、自機の充電部103への充電を制御する充電制御プロセスが実行される(S13)。充電制御プロセスには、
図2に例示する構成においては、第1コンシューマスイッチ16A、第1プロバイダスイッチ17A、第2コンシューマスイッチ16B、第2プロバイダスイッチ17B、パススルースイッチ20、充電回路14、電源回路12等の制御が含まれる。その後、自機や他のPC1の接続ステータスに変化があったか否かが判定される(S14)。接続ステータスに変化がない場合(S14:No)、充電状態判定プロセス(S12)が再度実行され、接続ステータスに変化がある場合(S14:Yes)、接続ステータス判定プロセス(S11)が再度実行される。
【0026】
図5は、実施形態にかかる接続ステータス判定部106による処理の一例を示すフローチャートである。本実施形態にかかる接続ステータス判定部106は、自機の第1ポート11A及び第2ポート11Bのそれぞれのポートステータス(接続部ステータス)を判定し、その判定結果に基づいて自機の接続ステータスを判定する。ポートステータスとは、送電方向Dpにおける第1ポート11A及び第2ポート11Bの位置を示す情報(例えばフラグ等)であり、本実施形態では、上流、下流、又はnull(上流又は下流のいずれでもない)の3種類のステータスが設定される。すなわち、第1ポート11A及び第2ポート11Bのそれぞれについて、上流、下流、又はnullのいずれかのポートステータスが付与される。
【0027】
図5に示すように、自機の一方のポート(第1ポート11A又は第2ポート11Bのいずれか)に、AC又はポートステータスが<下流>のポートが接続されているか否かを判定する(S101)。第1ポート11A及び第2ポート11BのいずれにもAC又はポートステータスが<下流>のポートが接続されていない場合(S101:No)、本ルーチンは終了する。一方のポート(例えば第1ポート11A)にAC又はポートステータスが<下流>のポートが接続されている場合(S101:Yes)、当該一方のポートのポートステータスを<上流>に設定する(S102)。その後、他方のポート(例えば第2ポート11B)にAC又は連結充電に対応するPC1が接続されているか否かを判定する(S103)。他方のポートにACが接続されている場合(S103:AC)、当該他方のポートのポートステータスを<上流>に設定する(S104)。他方のポートに連結充電に対応するPC1が連結されている場合(S103:連結充電対応PC)、当該他方のポートのポートステータスを<下流>に設定する(S105)。他方のポートにAC又は連結充電に対応するPC1のいずれも接続されていない場合(S103:No)、当該他方のポートのポートステータスを<null>に設定する(S106)。
【0028】
本実施形態にかかる接続ステータス判定部106は、上記のように設定された第1ポート11A及び第2ポート11Bのそれぞれのポートステータスに基づいて、自機の接続ステータス(親PC1A、中間PC1B、又は末端PC1Cのいずれであるか)を判定する。
【0029】
図6は、実施形態にかかる接続ステータスとポートステータスとの関係の一例を示す図である。
図6に示すように、親PC1Aにおいては、一方のポート(第1ポート11A)にACが接続され、一方のポートのポートステータスが<上流>となり、他方のポート(第2ポート11B)のポートステータスが<下流>となる。中間PC1Bにおいては、一方のポート(第1ポート11A)にACが接続されておらず、一方のポートのポートステータスが<上流>となり、他方のポート(第2ポート11B)のポートステータスが<下流>となる。末端PC1Cにおいては、一方のポート(第1ポート11A)にACが接続されておらず、一方のポートのポートステータスが<上流>となり、他方のポート(第2ポート11B)のポートステータスが<null>となる。このように、ポートステータスとACの接続状態とに基づいて、各PC1の接続ステータスを判定できる。
【0030】
また、
図6において、送電方向Dpと充電状態情報の情報伝達方向Diとの関係が示されている。充電状態情報は、末端PC1Cを始点として送電方向Dpに対して反対の方向に伝達され、最終的には末端PC1C及び全ての中間PC1Bのそれぞれの充電状態を示す情報として親PC1Aに到達する。
【0031】
図7は、実施形態にかかる充電状態情報121,121’のデータ構造の一例を示す図である。充電状態情報121,121’において、Message Headerは、通信経路等を示すヘッダである。VDM(Vendor Defined Message) Headerは、送信元等を示すヘッダである。PC INFO VDO(Vendor Data Object)1,2,…は、各PC1の充電状態を示すデータである。充電状態情報121,121’(PC INFO VDO1,2,…)には、例えば、各PC1の充電の必要性を示すピンチ指数等が含まれてもよい。ピンチ指数は、例えば、充電の必要性が高いほど大きくなる値等であり、内蔵バッテリ13の電圧(電力残量)、必要となる電力の予測値等に基づいて算出され得るものである。
【0032】
図7において、充電状態情報121は、末端PC1Cから送信される充電状態情報の一例であり、PC INFO VDO1は、末端PC1Cの充電状態を示す情報(ピンチ指数等)を含んでいる。充電状態情報121’は、末端PC1Cと接続する中間PC1Bから送信される充電状態情報の一例であり、PC INFO VDO2は、当該中間PC1Bの充電状態を示す情報を含んでいる。すなわち、充電状態情報121’には、受信した充電状態情報に自機の充電状態を示す情報を付加するように生成される。これにより、親PC1Aにより受信される充電状態情報には、末端PC1C及び全ての中間PC1Bのそれぞれの充電状態を示す情報が含まれることとなる。
【0033】
各PC1の制御部111は、自機の充電状態及び他のPC1の充電状態に基づいて、自機の充電部103への充電の要否を判定する。制御部111は、例えば自機のピンチ指数と他のPC1のピンチ指数とを比較し、ピンチ指数(充電の必要性)が高いPC1に優先的に電力が供給されるようにパススルースイッチ20等を制御する。制御部111は、例えばピンチ指数の比較結果に基づいて、自機が、充電が不要な状態(充電不要状態)であるか、充電が必要な状態(充電必要状態)であるかを判定する。
【0034】
図8は、実施形態にかかるPDコントローラ21による充電不要状態におけるスイッチ制御の一例を示す図である。充電不要状態である場合(例えば自機より下流側のPC1のピンチ指数が自機より高い場合等)、PDコントローラ21(制御部111)は、第1コンシューマスイッチ16A、第1プロバイダスイッチ17A、第2コンシューマスイッチ16B、及び第2プロバイダスイッチ17BをOFFにし、パススルースイッチ20をONにする。これにより、第1ポート11Aから入力された電力は、バイパス送電路19を経由して(充電回路14、電源回路12等を経由せず)第2ポート11Bから下流側のPC1へ送電される。これにより、充電を必要としている下流側のPC1に電力を効率的に送電できる。
【0035】
図9は、実施形態にかかるPDコントローラ21による充電必要状態におけるスイッチ制御の一例を示す図である。充電必要状態である場合(例えば自機のピンチ指数が自機より下流側のPC1のピンチ指数より高い場合等)、PDコントローラ21は、第1プロバイダスイッチ17A、第2コンシューマスイッチ16B、及び第2プロバイダスイッチ17BをOFFにし、第1コンシューマスイッチ16A及びパススルースイッチ20をONにする。これにより、第1ポート11Aから入力された電力は、第1コンシューマスイッチ16A及び充電回路14を介して内蔵バッテリ13に充電されると共に、バイパス送電路19を経由して第2ポート11Bから下流側のPC1へ送電される。これにより、自機への充電と、充電を必要としている下流側のPC1への送電とを効率的に実行できる。
【0036】
図10は、実施形態においてケーブル5の切断により接続ステータスが変化する場合の一例を示す図である。状態Aにおいて、親PC1Aと末端PC1Cとの間に2つの中間PC1Bが接続された接続パスが示されている。このような接続パスに対して、状態Bに示すように、2つの中間PC1Bを接続するケーブル5が切断されると、状態Cに示すように、左側の中間PC1Bの第2ポート11Bのポートステータスがnullとなり、右側の中間PC1Bの第1ポート11Aのポートステータスがnullとなる。このようなポートステータスの変化により、状態Dに示すように、左側2つのPCがそれぞれ親PC1A及び末端PC1Cとなることで新たな接続パスが形成され、右側2つのPCが当該接続パスから切断される。
【0037】
図11は、実施形態においてACの追加により接続ステータスが変化する場合の一例を示す図である。状態αにおいて、親PC1Aと末端PC1Cとの間に1つの中間PC1Bが接続された接続パスが示されている。このような接続パスに対して、状態βに示すように、末端PC1Cの第2ポート11BにACが接続されると、末端PCの第2ポート11Bのポートステータスが上流となる。このようにポートステータスが<上流>のポート同士が1つのPC1内に存在する場合、状態γに示すように、これらのポートのポートステータスは元から<上流>だった方が<null>に変更され、当初中間PC1BであったPCが末端PC1Cとなる。これにより、左側2つのPCがそれぞれ親PC1A及び末端PC1Cとなることで新たな接続パスが形成され、当初末端PC1CであったPC(新たにACが接続されたPC)が当該接続パスから切断される。
【0038】
図12は、実施形態にかかる接続ステータスの変更時における処理の一例を示すフローチャートである。ここで例示するルーチンは、所定条件が満たされた場合に実行される。所定条件は、例えば、第1ポート11A又は第2ポート11Bにケーブル5を介して他のPC1が接続されたとき、所定時間(例えば15分)が経過したとき等であり得る。所定条件が満たされると、1つのPC1における第1ポート11A及び第2ポート11Bのポートステータスの関係が上流/nullであるか否かが判定される(S201)。当該ポートステータスの関係が上流/nullである場合(S201:Yes)、末端PC1Cが発生したときの処理(充電状態情報の上流側への送信開始等)が開始される(S202)。このとき、充電状態情報(ピンチ指数等)に応じて充電対象となるPC1の更新等も行われる。
【0039】
1つのPC1における第1ポート11A及び第2ポート11Bのポートステータスの関係が上流/nullでない場合(S201:No)、当該ポートステータスの関係がnull/下流であるか否かが判定される(S203)。当該ポートステータスの関係がnull/下流である場合(S203:Yes)、
図10に例示するようなケーブル5の切断時の処理が行われる(S204)。
【0040】
1つのPC1における第1ポート11A及び第2ポート11Bのポートステータスの関係がnull/下流でない場合(S203:No)、1つのPC1における第1ポート11A及び第2ポート11Bのポートステータスの関係が上流/上流であるか否かが判定される(S205)。当該ポートステータスの関係が上流/上流である場合(S205:Yes)、
図11に例示するような2つのACが接続された場合の処理が行われる(S206)。当該ポートステータスの関係が上流/上流でない場合(S205:No)、本ルーチンを終了する。
【0041】
上記のような処理により、接続パスを構成する複数のPC1の接続ステータスが適宜更新され、連結充電の処理を適切に実行することが可能となる。
【0042】
以上のように、本実施形態によれば、複数のPC1間での充電制御を効率よく行うことが可能となる。
【0043】
また、上記実施形態においては、第1接続部(第1ポート11A)及び第2接続部(第2ポート11B)の少なくとも一方から取得されるデータに基づいて、ケーブル5を介して接続された複数の情報処理装置(PC1)間の送電方向Dpにおける自機の位置を判定する判定部と、判定部による判定結果に基づいて、自機の充電状態を示す充電状態情報を、送電方向Dpにおいて自機より上流側に接続された他の情報処理装置にケーブル5を介して送信する送信部とが備えられる。これにより、各情報処理装置の充電状態を示す充電状態情報を下流側から上流側へ向けて効率よく伝達できる。
【0044】
また、上記実施形態においては、判定部は、第1接続部及び第2接続部の少なくとも一方から取得されるデータに基づいて、送電方向Dpにおける第1接続部及び第2接続部の位置を示す接続部ステータス(ポートステータス)を判定し、接続部ステータスに基づいて自機の位置を判定する。これにより、自機の位置(接続ステータス)を効率よく且つ適切に判定できる。
【0045】
また、上記実施形態においては、判定部は、定期的に自機の位置を再判定する。これにより、接続パスの形態の変化に応じて適切に充電制御を行うことができる。
【0046】
また、上記実施形態においては、送信部は、自機が、送電方向Dpにおける末端に接続された情報処理装置である末端装置(末端PC1C)である場合に、充電状態情報を自機の上流側に接続された他の情報処理装置に送信し、自機が、外部電源(AC)と接続する情報処理装置である親装置(親PC1A)と末端装置との間に接続された中間装置(中間PC1B)である場合に、自機の下流側に接続された他の情報処理装置の充電状態を示す情報と自機の充電状態を示す情報とを含む充電状態情報を、自機の上流側に接続された他の情報処理装置に送信する。これにより、充電状態情報を効率的に上流側へ伝達できる。
【0047】
また、上記実施形態においては、制御部は、自機が所定の充電不要状態である場合に、スイッチ部をONにする。これにより、電力ロスを抑制して充電制御を効率よく行うことができる。
【0048】
上記機能を実現するプログラムは、例えばCPUに搭載された記憶素子に予め記憶された状態で提供され得るが、これに限定されるものではない。プログラムは、例えば、CD-ROM等の適宜な記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよいし、インターネット等のコンピュータネットワークを介して提供されてもよい。
【0049】
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1…PC(情報処理装置)、1A…親PC、1B…中間PC、1C…末端PC、5…ケーブル、11A…第1ポート(第1接続部)、11B…第2ポート(第2接続部)、12…電源回路、13…内蔵バッテリ、14…充電回路、15…電源マイコン、16A…第1コンシューマスイッチ、16B…第2コンシューマスイッチ、17A…第1プロバイダスイッチ、17B…第2プロバイダスイッチ、18A…第1突き合わせ回路、18B…第2突き合わせ回路、19…バイパス送電路、20…パススルースイッチ(スイッチ部)、21…PDコントローラ、103…充電部、106…接続ステータス判定部、107…充電状態判定部、108…充電状態情報受信部、109…充電状態情報生成部、110…充電状態情報送信部、111…制御部、121,121’…充電状態情報、Di…情報伝達方向、Dp…送電方向
【手続補正書】
【提出日】2022-01-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ転送及び送電が可能なケーブルを介して接続された他の情報処理装置との間で電力の授受が可能な情報処理装置であって、
前記ケーブルと接続可能な第1接続部と、
前記ケーブルと接続可能な第2接続部と、
電力を蓄積する充電部と、
前記第1接続部と前記第2接続部とを前記充電部を経由せずに送電可能に接続するバイパス送電路と、
前記バイパス送電路の通電状態のON/OFFを切り替えるスイッチ部と、
自機の充電状態と、自機と前記ケーブルを介して接続する他の情報処理装置の充電状態とに基づいて、前記スイッチ部のON/OFFを切り替える制御部と、
前記第1接続部及び前記第2接続部の少なくとも一方から取得されるデータに基づいて、前記ケーブルを介して接続された複数の情報処理装置間の送電方向における自機の位置を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づいて、自機の充電状態を示す充電状態情報を、前記送電方向において自機より上流側に接続された他の情報処理装置に前記ケーブルを介して送信する送信部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記第1接続部及び前記第2接続部の少なくとも一方から取得されるデータに基づいて、前記送電方向における前記第1接続部及び前記第2接続部の位置を示す接続部ステータスを判定し、前記接続部ステータスに基づいて自機の位置を判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、定期的に自機の位置を再判定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記送信部は、
自機が、前記送電方向における末端に接続された情報処理装置である末端装置である場合に、前記充電状態情報を自機の上流側に接続された他の情報処理装置に送信し、
自機が、外部電源と接続する情報処理装置である親装置と前記末端装置との間に接続された中間装置である場合に、自機の下流側に接続された他の情報処理装置の充電状態を示す情報と自機の充電状態を示す情報とを含む前記充電状態情報を、自機の上流側に接続された他の情報処理装置に送信する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、自機が所定の充電不要状態である場合に、前記スイッチ部をONにする、
請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。