(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024206
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】フランジ付きナット供給装置
(51)【国際特許分類】
B23P 19/06 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
B23P19/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021145786
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】392014760
【氏名又は名称】新光機器株式会社
(72)【発明者】
【氏名】蕗澤 武夫
(72)【発明者】
【氏名】浅井 直樹
(57)【要約】
【課題】ネジ孔が貫通していない袋ナットもフランジナットと同様に供給することができ、また、ナット保持部の構成を簡単にできるフランジ付きナットの供給装置を提供すること。
【解決手段】ロッド3を水平方向に進退するシリンダ1と、このシリンダ1のロッド3の先端に取付けられた下面側で上下にロッド9を進退するコンパクトシリンダ7と、このコンパクトシリンダ7のロッド9先端に取付けられ下面にフランジ付きナット19のナット部19aを挟持する一対のチャック17、17を備えた開閉式チャック13とからなる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッドを水平方向に進退するシリンダと、このシリンダのロッドの先端に取付けられ上下にロッドを進退するコンパクトシリンダと、このコンパクトシリンダのロッドに取付けられ下面にフランジ付きナットのナット部を挟持する一対のチャックを備えた開閉式チャックとからなるフランジ付きナット供給装置。
【請求項2】
前記シリンダのロッドがピストンロッドと、ピストンロッドの両側に突設させたガイドロッドと、ピストンロッドとガイドロッドの先端を連結する連結板とからなり、前記コンパクトシリンダのロッドがピストンロッドと、ピストンロッドの先端に水平片が取付けられ、垂直片のガイド部が本体の側面を摺動するL字形テーブルからなり、シリンダの連結板にコンパクトシリンダが取付けられるとともに、コンパクトシリンダのL字形テーブルの垂直片に前記開閉式チャックが取付けられていることを特徴とした請求項1記載のフランジ付きナットの供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗溶接機にフランジナット、袋ナット等のフランジ付きナットを供給するためのフランジ付きナット供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フランジナットの供給装置として、
図8に示すように、保持部51にフランジナット52が通過可能な開口部53を形成するとともに、フランジナット52の供給時に開く蓋54を、開口部53を覆うように設け、この蓋54を閉じたとき、蓋54と後板部55との間にフランジナット52のフランジ52aが嵌入可能な隙間を設けるとともに、蓋54にフランジナット52のナット部52bが載置される載置部56を設け、フランジナット52の下部フランジ52aが蓋54と後板部55との隙間に嵌入されるとともに、フランジナット52のナット部52bが蓋54の載置部56に載置され、供給ロッド57を進出させ、供給ロッド57の先端をフランジナット52のネジ孔に串刺しして、フランジナット52を供給していた。(例えば、特許文献1を参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のものでは、袋ナットのようなネジ孔が貫通していないフランジ付きナットを供給することができず、また、ナット保持部51にフランジナット52のネジ孔と供給ロッドとを一直線になるようにフランジナット52を安定して保持しなければならないため、フランジナット52を保持する構成が複雑になるという問題があった。
【0005】
本発明は、前記の問題を解決し、ネジ孔が貫通していない袋ナットもフランジナットと同様に供給することができ、また、ナット保持部の構成を簡単にできるフランジ付きナットの供給装置を提供することを目的になされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明のフランジ付きナットの供給装置は、ロッドを水平方向に進退するシリンダと、このシリンダのロッドの先端に取付けられ上下にロッドを進退するコンパクトシリンダと、このコンパクトシリンダのロッドに取付けられ下面にフランジ付きナットのナット部を挟持する一対のチャックを備えた開閉式チャックとからなることを特徴とするものである。
【0007】
前記シリンダのロッドがピストンロッドと、ピストンロッドの両側に突設させたガイドロッドと、ピストンロッドとガイドロッドの先端を連結する連結板とからなり、前記コンパクトシリンダのロッドがピストンロッドと、ピストンロッドの先端に水平片が取付けられ、垂直片のガイド部が本体の側面を摺動するL字形テーブルからなり、シリンダの連結板にコンパクトシリンダが取付けられるとともに、コンパクトシリンダのL字形テーブルの垂直片に前記開閉式チャックが取付けられているものであることが好ましく、これを請求項2に係る発明とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、ロッドを水平方向に進退するシリンダと、このシリンダのロッドに取付けられ上下にロッドを進退するコンパクトシリンダと、このコンパクトシリンダのロッドに取付けられ下面にフランジ付きナットのナット部を挟持する一対のチャックを備えた開閉式チャックとからなるので、ネジ孔が貫通していない袋ナットもフランジナットと同様に供給することができ、また、ナット保持部の構成を簡単にできる
【0009】
請求項2の発明では、前記シリンダのロッドがピストンロッドと、ピストンロッドの両側に突設させたガイドロッドと、ピストンロッドとガイドロッドの先端を連結する連結板とからなり、前記コンパクトシリンダのロッドがピストンロッドと、ピストンロッドの先端に水平片が取付けられ、垂直片のガイド部が本体の側面を摺動するL字形テーブルからなり、シリンダの連結板にコンパクトシリンダが取付けられるとともに、コンパクトシリンダのL字形テーブルの垂直片に前記開閉式チャックが取付けられているので安定して動作できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図1のフランジナットを保持する状態の正面図である。
【
図3】
図1のシリンダのロッドを進出させた状態を示す正面図である。
【
図6】フランジナットを供給装置に保持する方法を説明する図であり、(イ)はラッチが開いている状態の図、(ロ)はラッチを閉じた状態の図である。
【
図7】フランジナットの保持装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について
図1から
図7に基づいて説明する。
【0012】
1は、本体2と、本体2の一端面に水平方向に進退可能に突設されたロッド3とからなるガイド付きシリンダであり、ガイド付きシリンダ1のロッド3は本体2の一端面中央部に突設させたピストンロッド4と、ピストンロッド4の上下両側に突設させたガイドロッド5、5と、ピストンロッド4とガイドロッド5、5の先端を連結する連結板6からなり、本体2の動作によりピストンロッド4が進退され、このピストンロッド4の進退により、ガイドロット5、5にガイドされてロッド3は安定して進退する。
【0013】
7は、本体8と上下方向に進退するロッド30とからなり、前記ガイド付きシリンダ1のロッド3の先端の連結板6に取付け板12を介して取付けられているコンパクトシリンダであり、コンパクトシリンダ7のロッド30は本体8の下端面中央に突設され上下方向に進退するピストンロッド9と、ピストンロッド9の下端に水平片10aがナット11、11にて固定され垂直片10bのガイド部10cが本体8の側面を摺動するL字形のテーブル10とからなりテーブル10のガイド部10cが本体8の側面を摺動することによりロッド30が安定して上下動する。
【0014】
13は、本体14と、本体14の下方に開閉可能に取付けられた一対のフィンガ15、15と、L字形に形成され水平片17a、17aにV字形の切欠き17b、17bを設け、切欠き17b、17bが対応するようにフィンガ15、15に取付けられたチャック17、17とからなる平行開閉式チャックであり、平行開閉式チャック13は前記コンパクトスライダ7のL字形テーブル10の垂直片10bに取付け板16を介してチャック17、17が下方になるように取付けられている。
【0015】
次に、
図7に基づいてフランジナットの保持装置を説明すると、18は短辺の一方が閉鎖壁18aにて閉鎖され、他方が開口し閉鎖壁18aの内面側にフランジナット19を載置する保持部18bを形成した保持樋であり、保持樋18の一方の側壁18cの保持部18bに隣接する位置には切欠き18dが形成され、他方の側壁18eの中央部に切欠き18fが形成されている。
【0016】
20は、図示されていないパーツフィーダから送られてくるフランジナット19を整列して待機させる待機樋であり、待機樋20の端部は保持樋18の他方の側壁18eに形成された切込み18fに嵌め込み固定され、フランジナット19を保持樋18に移動可能に構成されている。
【0017】
21はロッド22の先端にストッパ片23を設けたストッパシリンダであり、ストッパシリンダ21はストッパ片23を保持樋18の一方の側壁18cの切欠き18dより差し込み、保持樋18の保持部18bと待機している先頭のフランジナット19の間を開閉可能に仕切っている。
【0018】
24はロッド25の先端に押出し片26を設けた押出しシリンダであり、押出しシリンダ24は押出し片を前記保持樋18の短辺の他方開口18bより挿入し、保持樋17内で待機している先頭のフランジナット19を押出し可能になっている。
【0019】
以上のようなフランジナットの保持装置は、保持樋18の保持部18bに載置されているフランジナット19が溶接装置に供給されると、ストッパシリンダ21はロッド22を介してストッパ片23を後退させ、保持部18bと先頭の待機フランジナット19との間の仕切りを開いてフランジナット19を通過可能にするとともに、押出しシリンダ24を動作して押出し片26にて先頭の待機しているフランジナット19を保持部18bに押し出す。
【0020】
この後、押出しシリンダ24は復帰するとともにストッパシリンダ21のストッパ片23も復帰して、ストッパ片23を保持樋18の保持部18bと先頭の待機ナット11のとの間を仕切る位置に進出する。
【0021】
次に、前記したフランジ付きナットの供給装置の動作について説明すると、
図1、
図4に示す、ガイド付きシリンダ1の供給ロッド6が後退し、平行開閉式チャック13のチャック17、17の下方で、チャック17、17の間に保持樋の保持部に載置されているフランジナット19のナット部19aが位置した状態から、
図2、
図5に示す、コンパクトシリンダ7が動作し、ピストンロッド8が進出してL字形テーブル10を押し下げ平行開閉式チャック13をチャック17、17がフランジナットのナット部19aに対応するように下降し、
図6に示すように、平行開閉式チャックのフィンガ15、15を閉じ、チャック17、17の切欠き17a、17aをフランジナットのナット部19aの角部に当接し、フランジナットをチャック17、17にて挟持する。尚、前記実施の形態ではフランジナットのナット部19aが6角ナットであるので、チャックの切欠きの角度は120度であり、ナット部19aの種類に合わせて切欠きの角度を変えるのが望ましい。
【0022】
その後、フランジナット19をチャック17、17にて挟持したまま、コンパクトシリンダ7のピストンロッド9が上昇した後、ガイド付きピストン1の供給ロッド6が進出し、
図2に示す、フランジナット19が溶接機の下部電極27の上方で下部電極27のガイドピン28とフランジナット19のネジ孔が一直線上になると、コンパクトシリンダ7のピストンロッド9が進出し、平行開閉式チャック13を下降して、フランジナット19のネジ孔をガイドピン28に篏合し、チャック18、18を開いてフランジナット19を下部電極27に供給する。
【0022】
更にその後、コンパクトシリンダ7のピストンロッド9を後退し平行開閉式チャックを上昇し、ガイド付きシリンダ1のロッド3を後退し、
図1、
図4の状態に戻る。
【0023】
本発明はフランジナット19にて説明したが、フランジ付きナットのナット部19aをチャックにて挟持するものであるので、袋ナットのようにネジ孔が貫通していないフランジ付きナットも供給できる。
【0024】
以上のように本発明のフランジ付きナットの供給装置では、ロッド3を水平方向に進退するシリンダ1と、このシリンダ1のロッド3の先端に取付けられ上下にロッド3を進退するコンパクトシリンダ7と、このコンパクトシリンダ7のロッド30に取付けられ下面にフランジ付きナット19のナット部19aを挟持する一対のチャック17、17を備えた開閉式チャック13とからなるので、ネジ孔が貫通していない袋ナットもフランジナット19と同様に供給することができ、また、フランジ付きナットはナット部19aを上にして保持部18bに載置するだけでよいので、保持装置の保持部18bの構成を簡単にできる
【0025】
また、前記シリンダ1のロッド3がピストンロッド4と、ピストンロッド4の両側に突設させたガイドロッド5、5と、ピストンロッド4とガイドロッド5、5の先端を連結する連結板6とからなり、前記コンパクトシリンダ7のロッド30がピストンロッド9と、ピストンロッド9の先端に水平片10aが取付けられ、垂直片10bのガイド部10cが本体8の側面を摺動するL字形テーブル12からなり、シリンダ1の連結板6にコンパクトシリンダ7が取付けられるとともに、コンパクトシリンダ7のL字形テーブル12の垂直片12bに前記開閉式チャック13が取付けられているので、安定して動作できる。
【符号の説明】
【0026】
1 ガイド付きシリンダ
2 本体
3 ロッド
4 ピストンロッド
5 ガイドロッド
6 連結板
7 コンパクトシリンダ
8 本体
9 ピストンロッド
10 L字形のテーブル
10a 水平片
10b 垂直片
10c ガイド部
13 開閉式チャック
14 本体
15 フィンガ
17 チャック
17b V字形の切欠き
18 保持樋
18b 保持部
19 フランジナット