(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024216
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】除雪設備
(51)【国際特許分類】
E04H 9/16 20060101AFI20230209BHJP
E04D 15/00 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
E04H9/16 C
E04D15/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021147196
(22)【出願日】2021-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】515125883
【氏名又は名称】峰原 政幸
(72)【発明者】
【氏名】峰原 政幸
【テーマコード(参考)】
2E139
【Fターム(参考)】
2E139AA03
2E139DA51
2E139DB04
2E139DB14
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で傾斜屋根に堆積した雪を簡単に除去することができる傾斜屋根の屋根用除雪装置を提供する。
【解決手段】屋根用除雪装置は、屋根傾斜面10と外壁20から構成された建屋に対して傾斜屋根の稜線に対して平行に複数の跳ね板100と、前記跳ね板を棟方向に向かって回動させる駆動部200から成り、前記駆動部内部に備わる歯車が取り付けられた回転軸と連結した手動ハンドル70を操作することで跳ね板100を回動させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根の稜線に対して平行に屋根傾斜面に配置された複数の跳ね板と、
前記跳ね板を前記屋根傾斜面に対して回動可能とする駆動部を備えた屋根用除雪装置。
【請求項2】
屋根の稜線に対して平行に屋根傾斜面に配置された複数の第一跳ね板と、
前記第一跳ね板を前記屋根傾斜面に対して回動可能とする駆動部と、前記第一跳ね板面内に開口部を備え前記開口部に開閉自在の第二跳ね板を備えた屋根用除雪装置。
【請求項3】
第一跳ね板を屋根傾斜面に対して回動させると共に前記第二跳ね板が自重で開くことを特徴とする請求項2記載の屋根用除雪装置。
【請求項4】
第一跳ね板の縁部に備わる歯車と、屋根傾斜部又は屋根棟に固定される駆動部に備わる駆動用歯車が噛合し、前記駆動用歯車を回動させることにより前記第一跳ね板を回動させる請求項2記載の屋根用除雪装置。
【請求項5】
第一跳ね板の縁部と、屋根傾斜部又は屋根棟に固定される滑車を備えた駆動部が蝶番にて連結し、前記滑車を回動させることにより連結紐を介して前記第一跳ね板を回動させる請求項2記載の屋根用除雪装置。
【請求項6】
屋根の稜線に対して平行に屋根傾斜面に配置された複数の跳ね板または第一跳ね板を前記屋根傾斜面に対して回動可能とする駆動部が屋根傾斜面に対して多段的に固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の屋根用除雪装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除雪装置に関する。
【背景技術】
【0002】
積雪地域や寒冷地では、家屋や農業用ハウスの屋根に積雪した雪に対して倒壊を防ぐために殆どの人々が屋根に登り、スコップ等の除雪機具を用いた雪下ろしを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-066133号
【特許文献2】特開2007-9531号
【特許文献3】特開2000-274038号
【特許文献4】特開2000-265709号
【特許文献5】特許公報第4622090号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
積雪地域や寒冷地では、毎年のように積雪による家屋の倒壊や農業用ハウスの倒壊による死傷者が多数発生している。また、最近の異常気象も重なり多方面での被害額も増加傾向を辿っている。
【0005】
特許文献1は、建物の一方の軒先部および他方の軒先部において、それぞれ屋根面より上方に配置される一方のガイドローラ及び他方のガイドローラと、一方のガイドローラから建物の棟部を経て他方のガイドローラまで連続して敷設されるシートと、シートを引っ張る張力発生手段であって、一方のガイドローラと他方のガイドローラの間でシートが緩んだ弛緩状のシートが張った緊張状態とを発生させる張力発生手段とを備えた建物の屋根に設置される滑雪装置が提案されている。
【0006】
特許文献2は、屋根を覆うようにシート材を配置し、屋根の棟に沿うように回転体を配置し、シート材の上縁部を回転体に巻き付け、回転駆動手段により前記回転体を回転駆動すると前記シート材上に降り積もった雪が軒下に落とする屋根用落雪装置が提案されている。
【0007】
特許文献3は、屋根上面に沿って移動して積雪層を上下層に切断するブレード状可動部材と、この可動部材を駆動する駆動機構と、駆動機構を制御し可動部材の移動を連続的又は間接的に反復させる制御装置とで構成されており、駆動機構はプーリーと、該プーリーを介して回動される可撓性索条部材とを含み、可動部材の端部を索条部材の要部に結合し、この可動部材を屋根の傾斜方向に沿って上下方向又は左右方向に平行移動させる屋根用雪下おりし装置が提案されている。
【0008】
特許文献4は、軒先から棟に向かって交互に屋根躯体面に配置される固定屋根板および移動屋根板と、前記移動屋根板に設けた移動機構と、この移動機構を案内するためのガイド部材と、前記移動機構を駆動するための駆動制御機構とを備え、前記移動屋根板を前記ガイド部材に沿って往復移動させる屋根の雪おろし装置が提案されている。
【0009】
特許文献5は、農業用ハウスの屋根に積雪した雪に流体熱を与えて融雪するための融雪パイプを屋根に沿って同方向に複数列配管すると共に、温水ボイラーからの温水が供給管を介して融雪パイプに供給され、該融雪パイプから回収管を介して温水ボイラーに還流する構成とし、隣接する屋根部の間の谷部には流樋を設け、該流樋と屋根部との接続部はシールによって密閉し、融雪パイプを、流樋を挟む左右両側に沿って配管する第一の融雪パイプと、流樋の上方部に沿って上下に配管する第二の融雪パイプと、屋根部の裏側面に沿って左右に配管する第三の融雪パイプとで構成とするハウスの融雪装置が提案されている。
【0010】
上記いずれの提案も屋根全体に装置を配置する必要がありコスト面での課題が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題に鑑み、発明者は誠意工夫の結果、第一の実施形態として屋根の稜線に対して平行に屋根傾斜面に配置された複数の跳ね板と、前記跳ね板を前記屋根傾斜面に対して回動可能とする駆動部を備えた屋根用除雪装置を提案する。
【0012】
第一の実施形態として、屋根の稜線に対して平行に屋根傾斜面に配置された複数の第一跳ね板と、第一跳ね板を屋根傾斜面に対して回動可能とする駆動部と、第一跳ね板面内に開口部を備え前記開口部に開閉(回動)自在の第二跳ね板を備えた屋根用除雪装置を提案する。
【0013】
屋根傾斜面に載置された第一跳ね板は軒先方向から棟方向に向かって回動すると第二跳ね板も同時に回動する構造となっている。これにより第一跳ね板上に堆積した雪は棟方向に移動し第二跳ね板が載置されていた開口部から屋根傾斜面に落下すると同時に第二跳ね板に堆積した雪も屋根傾斜面に落下する。屋根傾斜面に落下した雪は第一跳ね板が載置されていた場所には積雪がないため円滑に軒先方向に向かって移動することが可能となる。
【0014】
第二跳ね板については、第一跳ね板が回動する際に第二跳ね板は自重若しくは積雪した状態で開閉できるように蝶番などを使用し開閉自在となるようにしている。また、第二跳ね板の搭載枚数および面積については後述する第一跳ね板および第二跳ね板に堆積した雪を落下させることが出来れば特に限定することはない。
【0015】
第二跳ね板の開閉方向については、第一跳ね板が屋根傾斜面から上昇すると同時に同方向に回動するように第二跳ね板を接続することが好ましい。第二跳ね板より軒先方向に位置する第一跳ね板面上に堆積した雪は、第一の跳ね板の回動により第二跳ね板も回動することで開口部から屋根傾斜部に落下する。一方、第二跳ね板に堆積した雪は前記同方向に回動することで第二跳ね板と屋根傾斜面は最大角度となるために第二跳ね板に堆積した雪は円滑に屋根傾斜面面に落下する。
【0016】
跳ね板の回動機構としての第一の実施形態は、跳ね板の縁部に備わる歯車と、屋根傾斜部又は屋根棟に固定される駆動部に備わる駆動用歯車が噛合し、前記駆動用歯車を回動させることにより跳ね板を回動させる。
【0017】
跳ね板または第一跳ね板の縁部に備わる回転軸と回転軸に取り付けられる歯車については、円滑に跳ね板または第一跳ね板の回動を可能とするものであれば特に限定するものではなく、跳ね板または第一跳ね板の一縁部に対して複数の回転軸と回転軸毎に歯車を取付ける方式や一縁部に対して一本の長い回転軸に複数の歯車を取付ける方式など採用できる。
【0018】
屋根傾斜部又は屋根棟に固定される駆動部については、駆動部には回転軸と前記回転軸には跳ね板または第一跳ね板に備わる歯車と噛合するように駆動用歯車が備わる構造となっている。前記回転軸の駆動についてはモーターなどの動力源に連結し回転させる方式や地上に設置されたハンドルを操作することで回転軸を駆動させる手動方式などがある。
【0019】
跳ね板または第一跳ね板の回動機構として、跳ね板または第一跳ね板の縁部と、屋根傾斜部又は屋根棟に固定される滑車を備えた駆動部が蝶番にて連結し、前記滑車を回動させることにより連結紐を介して跳ね板または第一跳ね板を回動させる。
【0020】
跳ね板または第一跳ね板の回動は屋根傾斜部又は屋根棟に固定される駆動部に備わる滑車をモーターなどの動力源にて回転させる方式や手動ハンドルを操作することで回転させる方式などがある。
【0021】
屋根の稜線に対して平行に屋根傾斜面に載置された複数の跳ね板、第一跳ね板または上記の組み合わせと駆動部が屋根傾斜面に対して多段的に固定させることも可能である。特に軒先から棟部までの距離が長い建屋などは雪下ろしが厳しくなる場合もあるため多段的に屋根傾斜面に対して屋根用除雪装置を配置することで対処できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、簡易な構成で傾斜屋根の雪下ろしが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態における屋根用除雪装置を備えた建屋の模式的な斜視図
【
図2】本発明の一実施形態における屋根用除雪装置に備わる第一跳ね板の平面図
【
図3】本発明の一実施形態における屋根用除雪装置に備わる第一跳ね板に回動機構と第二跳ね板を取り付けた平面図
【
図4】本発明の一実施形態における屋根用除雪装置に備わる第一跳ね板形状を変更した第一跳ね板に回動機構と第二跳ね板を取り付けた平面図
【
図5】本発明の一実施形態における屋根用除雪装置を傾斜屋根に載置した建屋上面図
【
図6】本発明の一実施形態における屋根用除雪装置を屋根傾斜面に沿って多段的に載置した建屋上面図
【
図7】本発明の一実施形態における屋根用除雪装置を(a)屋根傾斜面に載置した状態での第一跳ね板と第二跳ね板の断面図、(b)第一跳ね板と第二跳ね板を回動させた状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施の形態を図面により説明する。
【実施例0025】
図1には、屋根傾斜面10と外壁20から構成された模式的な建屋に本発明である屋根用除雪装置を屋根傾斜面に備えた斜視図を示す。傾斜屋根の稜線に対して平行に屋根傾斜面に配置された複数の跳ね板100と、跳ね板を棟方向に向かって回動させる駆動部200から成る。駆動部200内部に備わる歯車が取り付けられた回転軸と連結した手動ハンドル70を操作することで跳ね板100が回動する方式としている。
【0026】
図2は、屋根用除雪装置に備わる第一跳ね板100aの平面図を示しているが二等辺三角形の形状を有する平板面内に開口部110と二等辺三角形の底辺には切り欠き部120が備わっている。
図3は、屋根傾斜面に設置する側の屋根用除雪装置に備わる第一跳ね板100aに回動機構と第二跳ね板130aを取り付けた平面図を示すが、開口部110には開閉(回動)可能とする第二跳ね板130aが蝶番135にて取り付けられており、第一跳ね板の切り欠き部120には回転軸140と歯車145が取り付けられており駆動部からの動力により歯車145が回転することで第一跳ね板100aが回動する方式となっている。
【0027】
図4は、屋根用除雪装置に備わる第一跳ね板100bと、回動機構と第二跳ね板130bを取り付けた平面図を示しているが五角形の形状を有する平板の面内にある開口部に第二跳ね板130bが蝶番165にて取り付けられている。また、第一跳ね板100bの1辺には回動可能とするために蝶番155が取り付けられており駆動部からの動力により第一跳ね板100bが回動する方式となっている。
【0028】
図5には、屋根用除雪装置を傾斜屋根面10に載置した建屋上面図を示しているが棟部に固定した駆動部200に跳ね板100aを接続した構造である。
図6は、屋根用除雪装置を屋根傾斜面10に載置した建屋上面図を示しているが棟部に固定した駆動部200に跳ね板100aを接続した構造と屋根傾斜面に固定した駆動部210に跳ね板100aを接続した構造としている。これにより棟部から軒部までの距離が長い傾斜屋根に載置することで安定して雪落としを可能とする。
【0029】
屋根傾斜面に固定する駆動部210には滑車250がそれぞれの第一跳ね板100aにワイヤー260にて連結されており滑車250を回転させることで第一跳ね板100aの回動を可能とする。
【0030】
図7は、屋根用除雪装置を(a)屋根傾斜面10に載置した状態での第一跳ね板100aと第二跳ね板130aの断面図、(b)第一跳ね板100aと第二跳ね板130aの回動状態を示す断面図である。屋根傾斜面10に載置した第一跳ね板100aが駆動部の動力により回動を始めると第一跳ね板100aと蝶番135を介して接続された第二跳ね板130aも自然に回動を開始する構造となっている。