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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002423
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】回転式連続打音検査器
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/04 20060101AFI20221227BHJP
   G01N 29/24 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
G01N29/04
G01N29/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103678
(22)【出願日】2021-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】514155359
【氏名又は名称】株式会社スペシャルエフエックススタジオ
(71)【出願人】
【識別番号】318017718
【氏名又は名称】株式会社エルウィング
(72)【発明者】
【氏名】古賀 信明
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047BA04
2G047BC07
2G047BC11
2G047CA03
2G047EA21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】従来の打音器は、形状や重量の割りに摩耗による短寿命であった。
【解決手段】回転式打音検査器において、打音検査対象面に接触可能な突起を複数備え、前記突起の端部を曲面にする事で、打音検査対象面に打音器を押し当てつつ転がす事で、容易に打音を立てる事が出来、打音検査によって打音器の前記突起の摩耗が進行しても、前記打音器の突起として形状を維持している限り、打音を立てる事が可能で、長寿命化が可能である。また、突起が有る事で打音検査対象面が粗面であっても、平面と同じ様に間隔を置いた打音を立てる事が出来、また、打音器とそれを保持する支持棒を任意の角度で固定可能な継手か、バネ状部材で接続する事で、作業者が持つ支持棒と打音器とを打音を立て易い角度にする事が出来る。また、板材の打ち抜き等により、作成することが可能なので、軽量で製造コストも抑える事が出来る。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土木、建築物等が、経年、環境などの影響による劣化、または建造物としての健全性を推測する目安になる打音検査に使用する、
支持棒の先端に、回転軸を中心に回転可能に接続された部材を
検査対象面に当てつつ、移動回転させる事で、
検査対象面に連続して衝突させて、
連続打音を立てる事が可能な打音器において、
前記突起が前記打音器の回転中心部から、
外周部方向へ、放射状に延びる突起を複数持ち、
前記突起は打音検査対象面と接触可能な部分に曲面を持つ回転式打音器(以下打音器という)。
【請求項2】
請求項1に記載の前記打音器の中心部から外周部方向へ放射状に延びる複数の、隣り合う突起の先端部が持つ前記曲面同士は、
互いの前記曲面同士が直接、接する事無く、
前記曲面の間に前記曲面とは別の面によって接続され、前記別の面は、
前記検査面に触れない位置に設けられている打音器。
【請求項3】
請求項1及び2に記載の前記打音器の中心部から、
外周部方向へ放射状に延びる複数の突起のうち、少なくとも一つは、
前記突起が延びる方向と直行する面で得られる断面形状が、
前記延びる方向に同じ形状が持続するように隆起し、
前記突起の打音検査対象面と、接触可能な部分に曲面を持つ打音器。
【請求項4】
請求項1及び2に記載の前記突起が前記打音器の回転中心部から、
外周部へ放射状に延びる、複数の隣り合う突起同士の空間部分の、
前記回転中心部から前記打音器の外周部へ延びる線と、
直行する面で得られる断面空間形状が、
前記延びる線の方向に同じ形状で持続するように立ち上がり、
前記突起の打音検査対象面と、接触可能な部分に曲面を持つ打音器。
【請求項5】
前記打音器の回転中心軸と直交する面で得られる断面形状の外周部は、
曲面のみの組み合わせ形状から成り、
且つ、板材を打ち抜き、または切り抜かれる等の二次元加工で製造可能な、打音器。
【請求項6】
請求項1~5に記載の打音器の外周部は外周部以外の部分に比べて、
質量が重い部材を配置するか、
前記外周部以外の部材に穴、
または空洞部分を設けるか、
前記打音器の回転中心軸方向の厚みを前記打音器の外周部より薄くした、打音器。
【請求項7】
請求項1~6の何れかに加えて、
前記打音器の回転軸で接続される前記打音器は、
前記打音器の回転の中心軸より偏心して、
または偏心角を持って、前記支持棒に接続される打音器。
【請求項8】
請求項7の偏心距離は、
請求項1~7の何れかの打音器検査器の隣り合う二つの突起が、
接触可能な平面に同時に接する二点間の距離の1/2以上離れて配置される打音器。
【請求項9】
請求項1~8に記載の打音器の隣り合う突起の間に、
または前記突起に接して配置される、検査対象面と接触可能に、
高摩擦体や、柔軟性を持つ天然ゴム、合成ゴムを含むエラストマー類、またはバネ部材を含む弾性体を配置するか、または少なくとも二つ以上組み合わせて配置した打音器。
【請求項10】
請求項1~9に記載の打音器の突起の先端に配置される曲面上において、
前記突起の曲面部分の面より小さく、
前記突起の曲面の曲率より小さな曲面を一つ以上持つか、
前記突起の曲面上に、前記曲面を基準とするスリット、溝を含む起伏を持つ打音器。
【請求項11】
請求項1~10に記載の回転打音器の曲面を持つ複数の突起において、
前記複数の、その配列に規則性を持つ突起のうち、
少なくとも何れか少なくとも一つの突起の、長さ、厚み 形状、材質、部材の密度、打音器部材中の空洞の有無、溝や切れ込みの有無、隣り合う前記突起間の間隔、のうち、少なくとも何れかを変更した打音器。
【請求項12】
請求項1~11に記載の打音器の回転中心軸に接続される支持棒との間に配置される自在継手の、
前記打音器の回転中心軸方向と、前記支持棒の軸方向とが、互いに成す角度の変更を、
前記継手の持つ摺動部分の摩擦を増加させる締め付け具、
または、前記摺動可能な部分の少なくともその一部で互いに嵌合可能な部分、
を設け、その嵌合を締め付け固定する事によって、
任意の角度、または予め決められた角度で固定可能な打音器。
【請求項13】
請求項1~12に記載の何れかに加えて、
打音器と接続される支持棒との間にバネ部材が配置される打音器。
【請求項14】
請求項13のバネ部材は、
金属または弾性を持つ合成樹脂から成るコイルバネ、板バネ、波形バネである打音器。
【請求項15】
請求項13~14に記載のバネ部材の厚みは、前記バネ部材のバネ長方向(長手方向)が伸びる方向に、
少なくとも一か所以上変化する打音器。
【請求項16】
請求項13~15に記載のバネ部材は、前記バネ部材の長手方向と交わる方向に、
少なくとも前記バネ部材より柔軟性の低い部材を少なくとも一つ、
または、二つ以上の場合は、前記バネ部材より柔軟性の低い部材が、
間隔を置いて前記バネ部材に配置される、または埋め込まれる打音器。
【請求項17】
請求項13~16に記載のバネ部材は前記バネ部材の長手方向に、
少なくとも二つ以上の、柔軟性または弾性の異なる部材が結合または貼り合わされて、
バネ部材として配置された打音器。
【請求項18】
請求項13~17に記載のバネ部材は天然ゴム及び、
シリコーン、ウレタン等の合成ゴムを含むエラストマー、
または前記エラストマーを含む複合材料から成る打音器。
【請求項19】
請求13~18に記載のバネ部材のその一部を覆って、
前記バネに接触可能に前記バネより柔軟性の少ない部材を配置し、
前記部材の位置を変更する事で、バネの強度または屈曲範囲を制限可能な打音器。
【請求項20】
請求項1~19に加えて、
回転中心軸を持つ部材に空けられた穴に、
前記回転中心軸の回転とは独立に貫通して配置可能な部材は、
その両端が前記回転中心軸に接続された支持棒に接続されるか、
前記貫通して配置可能な部材の一方の端部は、前記穴より大きな部材が接続され、
もう一方の端部は前記支持棒に接続されているか、
前記回転中心軸に空けられた穴に、前記回転中心軸の回転とは独立に貫通して、
ループを作る部材が前記支持棒に接続されている打音器の脱落防止部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築、土木等の建造物等の回転式打音検査器に関する。
【背景技術】
【0002】
建築、建造物に対して行う打音検査に用いる打音検査器において、
文献1の様な従来の回転式連続打音検査器の回転ハンマー部分(以下、本出願の回転式連続打音検査器も含め、打音器という)は、
図1の様に多角形の断面と多曲面を持つ多面体を使ったものがあり、
打音検査作業者が、前記打音器を検査対象面に接触させ、
更に前記打音器の回転が持続する方向に検査対象面に沿って移動させると、
前記多面体の角部を支点に前記打音器を構成する回転体が回転し、
前記多面体の一部が回転の勢いのまま検査対象面に衝突する。
【0003】
この時に衝突音が出るが、
前記回転体の回転を前記打音検査作業者がそのまま持続させる事で
断続的回転と衝突が繰り返されて、
結果的に連続打音を発生させる事が出来、
その連続音の音圧の変化、変調から、
前記検査対象面の異常を検出する検査器具として使われてきた。
【0004】
前記打音器の必要かつ特徴的な動きは、
前記打音器の角部と、前記検査対象面と、を接触させ、
前記打音器の回転可能な方向に沿って前記打音器を動かす事で、前記打音器は回転するが、
これは、車輪の様な淀みの無い滑らかな動きにはならない。
【0005】
これは、前記打音器の形状が、
前記検査面に接触可能な部分が、全周に渡って車輪の様な滑らかな曲面が連続した形状を持っておらず、
前記打音器の角部が回転の当接回転軸として回転の支点となって、
前記打音器の一面が検査対象面に倒れこむ様に回転し、
前記打音器の持つ、次の角部、または次の面が、
検査対象面に、前記回転の勢いのまま衝突する事で打音が生じる。
【0006】
続いて次の角部も、前記回転方向の動きによって接触して、同様の動きを繰り返す。
結果的にこの回転と衝突の断続動作が連続して、一連の連続打音を作り出すものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-028581
【特許文献2】特開2001-201489
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記検査器を使用する度に、
その回転の支点となる多面体の角は、
検査作業者が、前記打音器を検査対象面に押し当てつつ、前記打音器の可動方向に動かして行う往復運動操作により、
往時と復時とで、その角部と面部が検査対象面に摩擦、衝突する。
【0009】
また、素早く前記回転打音器の角部を前記検査対象面に接する様に動かした場合、
図1の1A~1Cに示す通り、検査対象面との摩擦、衝突が前記角部に集中し、
この摩擦により前記打音器の角部が削り取られて、
徐々に前記多面体の角部が丸くなり、
ついには、多面体としての断面を持ち得なくなってしまうと、
仮に依然として前記打音器の回転は可能であっても、
間欠回転運動による断続的なスピードの変化も衝突も起こらなくなり、
打音検査に十分な打音を生じさせる事は困難になってしまう。
【0010】
検査対象面と打音器が衝突する以上、その衝撃や摩擦による摩耗は避ける事は出来ないが、
図1に示す様に、その摩擦を受ける箇所が多角形の角部に集中している事と、
その摩擦により摩耗した場合、僅かに摩耗しただけで、
回転打音検査器としての機能が大きく低下する。
これは即ち、回転打音を立てる事が可能な形状と、回転打音を立てるには困難な形状、
との差が小さい事に起因するので、
当然に検査作業の積算時間が多い現場に於いては、
打音検査器の寿命が短い事は作業効率にも影響する。
【0011】
また、軽量化の為に打音器の回転径を小さくすると、
その摩耗による機能低下が一層早く進んでしまう上に、
密度の高い検査対象においては、その打音が小さくなり過ぎて、検査作業が困難になるので、
その従来の形状では、軽量化には限界が有る。
【0012】
逆に打音器を大きくすれば、打音を強化出来、前述の耐久性の問題は小さく出来る。
しかし、前記打音器の重量を単に増やしたり、大きくしたりする事は、
その取扱いと持ち運びや、長時間の検査作業での疲労などが問題となる。
【0013】
また、図15に例を挙げる様に、
表面が荒れたコンクリート等、その表面に凹凸がある面が検査対象の場合、
打音器が多角形の断面を持つ15Aの回転打音器100の様に、
検査対象面と接触可能な面に衝突する場所GIが、その角部に限らなくなる。
【0014】
これでは100が前記検査面に衝突する場所は、
その角部に加えて11の面の何れかの複数箇所になる事で、
打音器の一回当たりの衝突エネルギーが分散してしまい、
特に強い打音を必要とする検査対象面では不利となり、
同様の理由から等間隔で打音を打つ事も困難となる。
【0015】
また、従来の打音器は、表面が滑面のタイルなどは滑って回転しにくいという難点があった。
【0016】
また、文献1や、2の検査対象面と接する部分の摩耗に対する対策の記載は無い。
【課題を解決するための手段】
【0017】
そこで、支持棒に接続され、回転軸を中心に回転可能な打音器を
検査対象面に当てつつ移動回転させる事で、
前記検査対象面に連続して衝突させて、
連続打音を立てる事が可能な打音器において、
【0018】
(突起の端部が曲面)
本出願は、打音器の回転中心部から、外周部に向けて延びる方向に、
検査対象面と接触可能な放射状の複数の突起を備え、
前記突起の、前記打音器の検査対象面と接触可能な部分は曲面を持ち、
その曲面が、前記打音器の検査対象面上を圧接しつつ、転がり移動可能で、
前記検査対象面を転がる際の転がりの当接回転軸は前記打音器の回転径の内部に生じて、
前記打音器はこの一連の動きが次の突起にも同様に次々と衝突が生じて、
全体として連続回転動作が出来る様にした。
換言すると、本出願の打音器は回転可能な打音器に設けられる、
先端に曲面を備えた複数の突起の間に、
前記検査対象面に触れる事の無い空間部分を設けた回転打音器である。
尚、図25の25Bの様な形状の場合、前記当接回転軸は前記当接回転によって移動しても良い。
【0019】
(隣り合う打音器外周部の曲面同士の間に曲面とは別の面の配置)
更に、前記複数の突起は、その先端に曲面を持つ複数の突起の、
隣り合う前記曲面同士が、互いに直接、接する事無く、
前記曲面同士の間に、前記曲面とは別の面から成る溝や切れ込みを持っている。
前記溝や切れ込みは、例えば、前記打音器の回転中心軸に直交する面で得られる断面形状がU字形やV字形等であっても良い。
【0020】
(並行突起)
また、更に前記打音器が備える、端部に曲面を持つ複数の突起が、
前記打音器の回転中心部から、外周部へ放射状に延びて、
それぞれの前記複数の突起が延びる方向と直行する面で得られる断面形状のうち、少なくとも一つは、
同じ形状が前記延びる方向に持続していても良い。
【0021】
(並行空間)
また、前記打音器が備える、端部に曲面を持つ複数の突起が、
前記打音器の回転中心部から、外周部へ放射状に延びる、
複数の隣り合う突起間の空間部分は、
前記回転中心軸から前記回転打音器の外周部へ延びる方向と直行する面で得られる断面空間を持ち、
前記空間の同じ断面形状が、前記延びる方向に継続しても良い。
【0022】
(突起の外周部が曲面のみ)
本出願の打音器の、突起の先端に曲面を持つ複数の突起同士は、
図25に示す様に、それぞれの前記曲面の端部同士で、
隣り合う前記曲面同士が直接、接して接続されるか、
前記それぞれの曲面の端部同士で、
隣り合う突起先端の前記曲面は、他の曲面によって接続される形状であり、
これを換言すると、前記打音器の外周部に配置される突起と、
前記突起同士が接続される形状は、曲面のみの組み合わせから成る形状で、
且つ、板状部材を打ち抜き、またはレーザーカット、ワイヤーカット等での2D加工によって切り抜かれて製造可能な形状であり、製造コストに有利となる。
【0023】
(外周部の厚み)
本出願の打音器の、その大きさや重さの割に検査対象面に衝突させるエネルギーを増やす為に、
本出願の打音器の外周部は外周部以外の部分に比べて、
質量が重い部材を配置するか、前記打音器の部材の一部をくり抜き、
前記打音器の中心部付近の回転中心軸方向の厚みを薄く、外周部を、回転中心軸方向に厚くした形状にしても良い。
この形状は複数の形状の違う板状材料を二次元加工によって得られる部材を前記打音器の回転軸方向に積層して成しても良いし、
3軸加工機や鋳造によって成しても良い。
【0024】
(曲面接線)
また、前記打音器の備える、
隣り合う二つの前記突起の持つ二つの曲面と、
同時に接する事が可能な平面を含む断面形状に於いて、
前記突起の持つ曲線と接する接線を前記平面上に持っていても良い。
【0025】
また、中心部から外周部へ延びる突起はその途中で枝分かれしていても良く、
前記外周部へ向けて延びる突起の側面は必ずしも平面で無くても良く、
曲線やジグザクを持つ断面であっても良い。
【0026】
(偏心または偏心角を備える)
検査対象面が、タイル等の滑面である場合、
前記打音器の回転に充分な摩擦を前記打音器の突起先端部に持たせるべきであるが、
図4~6に示す様に、前記打音器とそれを回転自由に保持する部材との位置関係が、
前記打音器の重心である前記打音器の回転中心軸から偏心させた位置、
または偏心角を持つようにした位置、またはその両方の位置に配置するか、
支持棒等の前記打音器を回転自由に接続される部材が、
記打音器の重心の空間位置を容易に移動させて、
前記打音器の回転開始のきっかけを作る事が出来る。
特にこれは突起の数が少ない打音器に有効である。
【0027】
また、図26の様に検査面と、前記打音器を回転自由に保持する支持棒との位置関係が垂直に近い場合、
前記打音器を前記打音器が接触可能な検査面に押し当てつつ、前記打音器を回転させる方向を容易に変える事が可能な様に、
前記支持棒を中心とした軸と、前記打音器が、前記打音器の回転中心軸、が互いに、偏心角を持つ様に配置された打音検査器であっても良い。
この時、支持棒から延びる転蛇軸AxRと前記検査面との交点と、
前記打音器の前記検査面に接する点GIは必ずしも一致していなくても良い。
【0028】
また、前記打音器と支持棒との間に、支持棒の向く方向を含む力で反発するバネを配置しても良い。
【0029】
(突起の不連続性)
前記突起の材質や、構造の部分的変更は、
例えば、図21の21Dに示す様に前記突起の一部の材質19の密度を変更するか、
他の突起の部材と同じ材質であっても、その一部に空洞や切れ込みを設けるか、
前記突起の部材における、一部の突起同士間の間隔や、突起の幅、前記突起の回転方向の長さや幅を変更して、打音の変調やリズムを与える事により、
例えば、前記打音から得られた波形のみで打音を監察する場合、打音の間隔や調子が全て同じものより、周期的に打音のリズムや打音の調子が変化しているものの方が打点の特定が容易となる。
【0030】
(偏心1/2)
図4に示す様に前記偏心の距離は前記打音器の隣り合う二つの突起が、平面に同時に接する時、
前記打音器の回転中心軸が、前記平面へ垂直投影された線と、
前記打音器の二つの突起の、何れか片方の接点との距離より、遠く偏心して配置されると、より良い。
換言すると、本出願の打音器の持つ突起のうち、
隣り合う二つの突起が平面と同時に接する2点間の距離の1/2の長さより、
前記打音器の回転中心軸に接続されるオフセット(偏心)距離の方が長いと、より良い。
また、図5の様に打音器に接続される支持棒はクランク状になっていても前記偏心と同等である。
【0031】
(高摩擦体)
検査対象面がタイル等の滑面である時、
コンクリート面等と比較してその摩擦は低く、
打音器の突起に接する部分でスリップが起こり、
打音器の転がり開始が困難な場合、
回転に十分な摩擦を打音器の突起部分に持たせるべきである。
そこで回転打音器の、隣り合う突起の間の少なくとも1カ所に、
検査対象面と接触可能な高摩擦体を配置されるか、
または、回転打音器の回転軸の方向に隣り合う突起部材の間に、
検査対象面と接触可能な高摩擦体を配置されるか、
または、図23の23Eの様に前記突起に接して配置される高摩擦体は検査面との衝突想定箇所を除いて前記打音器が前記検査面に接触可能に配置されると良い。
【0032】
また、図27、28の様に高摩擦体の代わりに柔軟性のある弾性体、例えば、
ブラシ状部材、板状部材等の先端部分、またはバネ状部材またはスポンジ状部材またはエラストマー状部材等の一部が、
検査面に接触可能に、本出願の打音器の隣り合う突起の間に、
少なくとも一つ以上配置されていても良い。
尚、前記柔軟性のある、バネ状部材や弾性体、若しくは高摩擦体によって、
前記隣り合う二つの突起は軽く検査面に押しつけた時、
前記隣り合う二つの突起先端の曲面は接していなくても、
前記打音器を更に強く押しつける事で、前記二つの曲面は同時に接触可能である。
また、前記バネ状部材や弾性体や高摩擦体は二つ以上を組み合わせて配置しても良い。
【0033】
また、回転打音器が持つ複数の突起何れかの部分に一つ以上のスリットを設けても良く、
更に、前記スリットの空間に高摩擦体をそれぞれ挟み込み、または充填しても良い。
【0034】
(外周部曲面上の起伏)
タイル等の、滑面に対して打音器がスリップせず、回転し易くする為に、
本出願の複数の打音器外周部曲面のうち、少なくとも一つの曲面の一部に、
図23、24の23A~23Dの例の様に、
前記曲面を基準として、
前記突起の曲面部分の面より小さく、
前記曲面の曲率より小さな面を一つ以上持つか、
前記突起の曲面上に、例えば、23Bや23Cの様にスリットや切れ込みの様な起伏を設けても良い。
【0035】
(部材の材質)
本出願の打音器はステンレス、セラミック等、錆びや酸、アルカリ等による劣化に強く、
打音検査時の打撃による衝撃に強い部材で作られても良く、
また、単一の部材のみならず、複数種の部材を組み合わせ、または複数種の部材を積層し、
それらを接着、樹脂浸漬、溶接、ボルト接合、リベット接合のうち、何れか一つ、またはそれらの組み合わせによって成しても良い。
また、前記打音器は前記複数種の材料の組み合わせから成っていても良い。
【0036】
(継手の角度可変)
前記打音器を使用する作業者の立ち位置、または姿勢と検査対象面との角度により、
前記打音器は打音器の回転と、理想的な打音を立てる角度に、常にあるとは限らない。
【0037】
そこで、本出願の打音器と、前記打音器に接続される支持棒と、の取付け角度は、
ヒンジまたはそれに相当する部材と、その前記取り付け角度を保持可能な部材によって一定の角度に固定出来ても良い。
例えば、本出願の打音器と、前記打音器を保持する支持棒と間に配置され、
前記打音器と前記支持棒の軸の角度を変更して、
ネジ等の締め付け部材によって、前記継手の摺動部の摩擦を増加させる事で、
その摺動を固定可能な、継手を持たせても良い。
【0038】
また、前記摺動部分に互いに向き合う面の少なくともその一部に、それぞれ互いに嵌合可能な起伏を一つ以上設けて、
ネジ等の締め付け具によって、前記嵌合を締結固定して、
予め決められた角度毎に止まる様にしても良い。
【0039】
(バネ材使用)
また、図17~20に示す様に、
前記打音器の回転中心軸は前記打音器を保持する部材との間に、
バネとして機能する部材を挟み込んで連結する事により、
使用者が前記バネの付いた打音器を検査平面に押し当てる強さを加減する事で、
図18に示す様に前記打音器が前記検査面に対して前記打音器の回転面を直角、
もしくは直角に近い角度で転がしても、打音を立てる事が可能となる。
【0040】
(バネ屈曲の指向性)
また、前記バネは方向自在に屈曲するよりも、特定の方向に屈曲するバネの方が、
その前記打音器の押し付けた力が逃げず、打音検査にとっては良い。
そこで、図17の17Aに示す様に、バネ材が一方向に曲がる様にガイド板を配置するか、
図17の17Bに示す様に板バネを一方向に進む波形の断面を持つ形状に成形するか、
図19の19Fに示す様にバネが曲がる方向と交わる方向に間隔を置いて前記バネ部材より柔軟性の低い芯材を埋め込み、または挟み込むか、
図19の19D、19Eに示す様にバネが曲がる方向と交わる方向に間隔を置いて、
前記板バネの厚みを部分的に変化させても良い。
【0041】
(バネの形状)
本出願の打音器に使用されるバネの形状はコイル型バネ、板状バネ、波板状バネで、
波板状のバネの波形は正弦波、矩形波、鋸波の何れか、またはこれらを二つ以上組み合わせた波形でも良い。
【0042】
また、前記バネの波型は必ずしも同じパターンを繰り返す周期的な波型であるとは限らず、
その波形は単一の山部、または単一の谷部を持つものであっても良い。
従って、一つの折り目を付けたもの、例えばV字、L字型、U字型等の形状も波形状ばねである。
【0043】
(バネ部の材料、エラストマー)
また、本出願の打音器の回転中心軸に接続される支持棒との間に配置されるバネ部材は、
例えば天然ゴム、合成ゴムまたはシリコーン、ウレタン等のエラストマーや、
ナイロン、ポリカーボネート、ABS等の可撓性を有する合成樹脂であっても良く、
更にFRP、CFRP等、前記合成ゴムやエラストマーに、
グラフファイバー、カーボンファイバー、ケブラーファイバー等を混入、
または前記合成ゴムやエラストマーに含侵させた複合材料であっても良い。
【0044】
(板バネの厚み)
本出願の打音器と指示棒の間に配置される板バネは、
その厚みが変化しても良く、部分的厚みを増やしても、また、逆に部分的に溝を付けても良い。
【0045】
また、前記波板状バネ、または波板状バネ長が延びる方向に於いて、
途中でその厚みを一回以上変化させても良い。
また、前記板バネに穴を開けても、前記板バネの幅が途中で変化しても良い。
【0046】
(板バネに芯材埋め込み)
本出願の打音器とその支持棒との間に配置される板バネ部材は、
その一部に前記板バネ部材の可屈曲方向と交わる方向に、
一つ以上の芯材を持つ事で特定の方向に屈曲を制限する事が出来る。
【0047】
(バネ部材の貼り合わせ)
本出願の打音器とその支持棒との間に配置される板バネ部材は、
柔軟性、または弾性の違う部材をバネ長が延びる方向に複数貼り合わせて板バネ部材として、
特定の方向に屈曲を制限する事が出来る。
【0048】
(バネ強度可変)
また、前記バネ部材のバネ長方向の少なくとも何れか片方の端部から前記バネの任意の位置まで、
スリーブまたは、少なくとも、その一部が前記バネ部材と接触可能か、その一部が嵌合可能な部材で前記バネ部の一部を覆って、
前記バネ部材の屈曲を制限する部材の位置を変更可能に配置する事で、前記バネの強度を調整、屈曲範囲を制限できる。
【0049】
(脱落防止)
本出願の打音器の、回転中心軸に空けられた穴に、
前記回転中心軸の回転とは独立して貫通して、配置可能な部材は、
その両端が前記回転中心軸に接続された支持棒に接続されるか、
前記貫通して配置可能な部材の一方の端部は前記穴より大きな部材が接続され、
もう一方の端部は前記支持棒に接続されているか、
前記回転中心軸に空けられた穴に、
前記回転中心軸の回転とは独立して貫通して、ループを作る部材が、
前記支持棒に接続されている事で、打音器の脱落防止部材として機能する。
【0050】
尚、本出願の打音器は必ずしも人が手に持って操作するとは限らず、
前記打音器を検査面に押し当てつつ回転させて、打音を立てる事が出来れば、他の器具や機械、ロボット等に装着して使用しても良い。
【0051】
(定義)
本出願に於ける打音器とは、
検査面上で作業者が押し付けつつ移動、回転させて連続的な打音を立てる事が出来る部分を主に指し、
回転打音器、回転打音検査器、回転式連続打音器等と、同義である。
【0052】
また、本出願に於いては、打音器を含め、打音検査器として機能させる為の支持棒、バネ部等の付随する部材も合わせた器具は打音検査器具とよび、
回転打音器具、回転打音検査器具、回転式連続打音検査器具等具と、同義である。
【0053】
本出願に於ける打音器の持つ回転軸は、大きく2種類有り、
回転可能な前記打音器の回転軸を通り、
前記打音器を回転自由に保持する支持部材またはバネ部材と接続される回転軸を回転中心軸と呼ぶ。
【0054】
また、前記打音器の検査対象面に前記打音器を押し付けつつ移動させる事で回転し、
打音が生じる際の前記回転の回転軸は前記回転中心軸とは違う位置に、
前記検査対象面と接して一時的に生ずる、回転の回転軸を当接回転軸と呼ぶ。
【0055】
また、当接回転とは、回転可能な部材の外周部が別の部材に接触したまま回転する状態をいう。
【0056】
本出願に於ける柔軟性のある部材にはスポンジ状の部材も含まれ、本来柔軟性の有るとは言えない部材であっても、コイル状や板状にすることによって容易に変形が可能であれば、それも含まれる。
【0057】
また、コイル状に巻かれたスプリングはその巻き径が途中で変化しても、角部、またはR部を持つ形状に巻かれたものであっても良い。
【0058】
本出願でいう作業者とは、本出願の打音器を使って打音検査作業を行う者を指すが、
本出願の打音器はヒトの作業者に限らず、ヒトに代わる機構、機械、ロボット等が使用しても良い。
【0059】
断面形状が、一つの中心を持つ正円の円弧の一部を持つ形状の場合で主に説明しているが、
本出願に於ける曲面とは、
必ずしもその断面に正円の円弧の一部を持っている必要は無く、
楕円や放物線の一部等、その曲面と接触可能な検査対象面上に、
前記曲面が触れて、滑らずに本出願の打音器が転がる時、
その当接回転の軸は、
前記打音器が、前記回転中心軸を中心に回転して作る空間内の何れかに有り、
前記打音器の突起の曲面上に当接回転軸は無い。
【0060】
また、前記曲面の断面が固定した中心軸を持つ円弧の一部で無い限り、
前記当接回転の軸は、前記打音器の曲面が、検査対象面と接する場所により移動する。
【0061】
本出願の曲面を成す部材表面にローレット等の凹凸が刻まれていても良い。
また、本出願の検査対象面と接触可能な部分に高摩擦体が貼り付けられていても良い。
【発明の効果】
【0062】
本出願の打音器は、
放射状に本出願の回転中心部から放射状に突出している突起を、
前記検査面に対して押し当てつつ、
前記検査面に沿って前記回転打音器が転がる様に
検査作業者が移動させ、当接回転させる事で、
連続した打音を立てる事が可能となる。
【0063】
(打音の安定)
また、図10の10Aに示す様に打音器の突起部の先端部に平面を持っていると、
突起の数より多い打音を立てる事が出来るが、
一打おきに打音が小さくなる上に、前記打音器の使用時間と供に、
前記打音器の突起の角部分が摩耗により無くなると、
打音の数と、その強さも変わってしまう。
【0064】
また、文献2や図10の10Bに示す様に、
打音器の突起の先端部が小さかったり鋭角な部材だったりした場合、
衝突による変形や、接触可能な部分が小さい事による摩耗の早さが問題となる。
【0065】
しかし本出願では、回転打音検査で使い込む前と後の突起の先端の形状は、
その使用によって摩耗が進行しても相似形で変化するので
前記突起が残っている限り、打音の間隔が多少変わる程度で、大きな変化は無く、打音器一回転あたりの打音数は変わらない。
【0066】
(検査対象面の対応)
図15のケースに示す通り、
15Aでは多面体の断面を持つ打音器100を凹凸のある面に圧接移動して、
100を回転させると、前記面と接触可能な部分が、
角部以外のランダムな場所に増えて打音間隔が一定でなく、
その衝突エネルギーも分散されて弱くなるが、
本出願である15Bのケースでは、
101の検査対象面への衝突点が101の突起の先端部分のみで、
打音の間隔も圧接移動のスピードに拘わらず、ほぼ一定である。
【0067】
一方、本出願である15Bの101では、
突起先端部以外が検査面に触れる事無く、
突起の先端部が、打音検査対象面におおよそ一定の間隔で衝突しており、
殆どの場合、平面の打音検査と同様に前記打音器の突起のみが検査面に触れる。
この様に検査面が粗面であっても、本出願の打音器であれば打音検査が可能である。
【0068】
多角形の断面を持つ前記打音器を、
1回の打音毎に停止する程度にゆっくり回転させた場合、
前記打音器の持つ多くの面に、衝突可能な部分を持つが、
本出願の打音器においては、打音を立てる衝突点が小さく、
前記打音器の突起が摩耗しても、
前記突起が残っている限り、その打音は大きく変化しない。
これは、同じ衝突エネルギーであっても、
打音を立てるには非常に有利で、
これは密度の高いコンクリート等、打音が響きにくい検査対象には大きな意味がある。
【0069】
多角形の断面を持つ打音器と違い、
本出願の打音器の複数の突起間の空間によって、前期突起以外が検査対象面と衝突する事は無く、
衝突箇所が一点に集中する事から打音を大きく出来る。
しかし、この時続いて起こる検査対象面との回転摩擦面は前記衝突点から移動して、
衝突点と当接回転時の接触点は共通にならないので、その摩耗を分散出来る。
【0070】
密度の高いコンクリート建造物は、
打音が弱いと、検査対象が前記打音によって響きにくく、打音検査にとって不都合である。
本出願では、打音を大きくする為に、
前記打音器の回転中心軸から前記突起先端までの距離をより多くとることで、
衝突時のスピードを増す事が出来、強い打音を立てる事が可能となる。
【0071】
(速度が変わっても打音の大きさに変化が少ない)
本出願による打音器を、同じ圧接力で検査対象面に押しつけて前記打音器を回転移動させる際の速度を変えても、
その打音の大きさに大きな違いは出ない。
【0072】
(製造コスト)
球体に近い形状で作られる従来の打音器と比べて、本出願は板材から打ち抜き、レーザーカット、ワイヤーカット等による二次元加工で製造可能な為、
同じ回転径でも打音器自体の重量を抑える事が出来、また製造コストも押さえる事が出来る。
本出願の打音器は断面に対する奥行きを前記断面の径に近づけて必ずしも球状にする必要は無いが、当然に、その必要や用途に応じて、図8の8A、8B、図16の16A、16Bの様な5軸加工機や鋳造等でなければ製造出来ない、三次曲面を持つ形状にしても良い。
【0073】
(軽量)
更に、板状の部材から製造される打音器であれば、同じ径の従来の球状に近い打音器と比較して、軽量に、また同じ重量ではその回転径を大きく出来、
より小さな力で回転検査が可能となり、長時間の検査作業に対応できる。
また、図22の22Aの様に打音器の内部をくり抜く様な形状であっても、図22の22Fの様に複数の板状部材を積層して成す事も出来る。
【0074】
(摩擦、共振防止)
本出願の打音器の持つ、隣り合う突起の間、または前記突起に接して、
ゴム、エラストマー等の高摩擦体を配置する事で、
検査対象面との摩擦を増やす事が出来、
更に前記突起の大きさと形状によって起こり得る打音器自身の音叉の様な共振も防ぐ事が出来る。
また、突起間に配置される高摩擦体は回転方向に隣り合っても、
前記突起の回転軸と並行方向に隣り合っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1】文献1の打音器の使用前と角部が摩耗した断面
図2】文献1と本出願の検査面への接触の違い
図3】本出願の摩耗の様子
図4】保持軸と打音器の回転子の回転軸が同一で無く、偏心している打音器の一例
図5】保持軸と打音器の回転子の回転軸が同一で無く、偏心している打音器の一例
図6】保持軸と打音器の回転子の回転軸が同一で無く、偏心している打音器の一例
図7】本出願106の方が半径を大きく取る事で最初の転がし動作が軽い形態の一例
図8】打音器の軸方向に断面径が順次変化する曲面を持った形態の一例
図9】打音器の回転軸から延びる突起の先端が曲面である一例
図10】打音器の回転軸から延びる突起の先端が角部や面を持つ一例
図11】打音器の部材間に高摩擦体を挟み込んだ一例
図12】打音器の部材間に高摩擦体を挟み込んだ一例
図13】隣り合う突起の先端の曲線が平面と接する時、その断面は円弧と接線の関係を持つ一例
図14】打音器のそれぞれの形に於ける検査対象面との接触面の違い
図15】多面体の断面形状を持つ打音器と本出願の粗面上での転がりの比較
図16】回転軸方向にも曲面を持つ打音器の例
図17】バネ部材配置の例
図18】バネ部材の有無による検査対象面への打音器の接触角度比較
図19】バネ部材の形状の例
図20】バネ部材に配置するスリーブ状の屈曲制限部材の例
図21】突起または突起間の寸法または突起の部材を一部変更した例
図22】打音器軽量化の例
図23】検査面との摩擦を増やす形状、及び付加部材の例
図24図23の正面図
図25】板状部材を打ち抜き、または切り抜いて作られる外周部が曲面のみで作られる打音器の例
図26】偏心角を持つ打音器配置の例
図27】打音器の突起間に配置されたバネ部材の一例
図28図28の正面図
【発明を実施するための形態】
【0076】
本発明の、回転体の少なくとも検査対象面に接触可能な部分に焼き入れ処理、または超硬部材を使用しても良い。
【0077】
本出願を構成する打音部材は、
ステンレス等の硬度と比重が高く、錆などによる常温中での劣化の少ない部材を、
削り出しや打ち抜きや鋳造等により、可能な限り一体で作られるべきであるが、
必要に応じて部材を高強度セラミックや樹脂、FRP、CFRP等の複合材等や、複数の部材の組み合わせによって成しても良い。
【0078】
本発明で使われる高摩擦体は天然ゴム、合成ゴムを含むエラストマー、例えばシリコーン、ウレタン等の弾性体でも良いし、
高摩擦体として作用するガーネット、フリント、炭化珪素、溶融アルミナ等の硬質粒子や、
金属、セラミック等の粒子を前記弾性体に分散させても良い。
また、本発明に使用される弾性体は天然ゴム、合成ゴムを含むエラストマー類、弾性を持つ樹脂類、
例えば、ナイロン(ポリアミド)、ABS、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリカーボネート、POM、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、シリコーン、ポリウレタン、フェノール、ポリエステル、等の樹脂材料、またはFRP、CFRP等の複合材料、または、ゲル状または繊維強化ゲルまたはスポンジ状材料等も含まれる。
【0079】
また、樹脂、金属を問わず、一般に柔軟な部材とは言えない、
例えばステンレスや鋼鉄など、ブロック状の形態では柔軟性に乏しい部材であっても、
図27図18の27A、27C、27D~27Iに例を挙げる様に、
薄い板状やコイル状にする事で柔軟性のある部材として配置可能である。
【0080】
本出願の打音器は、回転中心軸の向きと、それを保持する支持棒の向きは必ずしも一致していなくても良い。
【0081】
本出願に於ける打音器の持つ突起先端部の曲面の断面形状は、必ずしも図面に示す様な円弧の一部を持つ必要は無く、例えば楕円等でも良く、曲面であれば良い。
【符号の説明】
【0082】
1A 文献1の多角形の断面を持つ打音器100
1B 摩耗して、角部が無くなった100の断面
1C 角部が摩耗して丸くなった部分
2A 多面体打音器の回転
2B 本出願の打音器の回転
3A 101aの持つ突起の円弧の接線がBで、突起の内側に当接回転軸Cで、突起の幅が同じ寸法のまま延びている部分を持つ打音器の摩耗前後の例
3B 102a持つ突起の円弧の接線がBで、突起の内側に当接回転軸Cが101aと比較して外周部より奥にあり、突起の幅が同じ寸法のまま外周部へ向けて延びている部分を持つ打音器の摩耗前後の例
3C 102aの持つ突起の円弧の接線がBで、突起の内側に当接回転軸Cが101bと比較して外周部より奥にあり、突起の空間の幅が同じ寸法のまま外周部へ向けて延びている部分を持つ打音器の摩耗前後の例
5A クランク状の支持棒と接続されている打音器の例
5B 打音器と支持棒の間に板を介してクランク状になっている打音器の例
8A、8B 本出願の打音器を球状に成型した例
9A、9B 本出願である曲面を持つ突起の例
10A 突起の先端部に平面を持つ打音器の摩耗前後の形状の例
10B 突起の先端部に鋭角を持つ打音器の摩耗前後の形状の例
11A、11B、12A、12B
弾性が有り高摩擦の部材を打音器の突起で挟む形態の打音器の例
14A C0が平面と接触可能な点の例
14B C1が、先端から離れている平面と接触可能な面の例
14C C4が、より先端から離れている平面と接触可能な面の例
15A、15B 多角形と本出願に打音器による粗面上に於ける接触点の違い
16A、16B 回転中心軸を持つ平面で得られる、突起部の断面に曲線を持つ打音器の例
17A コイルバネの曲がる方向を制限するガイドを配置した例
17B 支持棒部と打音器部との間に波形の板バネを配置した例
17C 支持棒部と打音器部との間に板バネを配置した例
18A 支持棒部と打音器部との間にバネ部材が無い場合の例
18B 支持棒部と打音器部との間にバネ部材を持つ場合の例
19A、19B、19C 波形に成型された板バネの例
19D、19E 部分的に厚みを変えた板バネの例
19F 曲げる方向と交わる方向に芯材を持つ板バネの例
20A コイルバネの一部に、スライド可能な屈曲を防ぐスリーブを配置した例
20B 板バネの一部に、スライド可能な屈曲を防ぐスリーブを配置した例
20C 波形型板バネに屈曲を防ぐ嵌合部材を配置した例
20D 部分的に厚みの違う板バネに屈曲を防ぐ嵌合部材を配置した例
21A 突起間の一つの空隙を埋めた打音器の例
21B 突起間の一つの空隙d4を大きくした打音器の例
21C 突起の一つの幅を大きくした打音器の例
21D 突起の一つを他の突起と違う密度の部材を置き換えた例
22A 打音器の一部を肉抜きした例
22B 打音器の回転中心部付近を外周部と密度の違うものにした例
22C~22E 打音器内部に穴、または空洞を設けた例
22F 積層で成る部材
23A、23B、23C 打音器の外周部曲面上に溝または切れ込みを設けた
23D 打音器の外周部曲面上に複数の突起を設けた例
23E 打音器の外周部曲面上に高摩擦体でできた部材を配置した例
25A~25C 板材より打ち抜き、切り取られ、打音器の外周部が全て曲面で作られる例25D~25F 25A~25Cのそれぞれの正面図
27A、27C、27D、27F、27G 板バネを使った滑り止めの例
27B 樹脂成形品を使った滑り止めの例
27E スポンジ状部材を使った滑り止めの例
27H、27I コイルバネを使った滑り止めの例
1 ベアリング
2、3 弾性高摩擦体
4 偏心板
5 クランク支持棒
6、20 支持棒
7 コイルバネ
8 波形板バネ
9 板バネ
10 部分的に厚みの違う板バネ
11 多角形の断面を持つ打音器の面部
12 バネ部
13 屈曲制限ガイド
14 芯材
15 屈曲防止スリーブ
16 屈曲防止スリーブ
17 嵌合部を持つ屈曲防止スリーブ
18 嵌合部を持つ屈曲防止スリーブ
19 他の突起の部材より密度が低い部材
21 打音器保持フォーク
100 断面が多角形の打音器
101a 本出願の打音器
101b 101aが摩耗により小径になった打音器(打音発生可能)
102a 本出願の打音器
102b 102aが摩耗により小径になった打音器(打音発生可能)
103a 本出願の打音器
103b 103aが摩耗により小径になった打音器(打音発生可能)
104、105、106 本出願の打音器
107、108 本出願の断面で球状形態の一例
109 本出願の打音器
110 本出願の打音器
111 先端部に平面を持つ打音器
112 先端部が鋭利な打音器
113、114 突起の間に高摩擦体または弾性体を配置した打音器の例
115 回転方向と交わる面で得られる突起部先端の断面に曲面を持つ打音器の例
116 回転方向と交わる面で得られる突起部先端の断面に曲面を持つ打音器の例
Ax 回転中心軸
Ax1、Ax2、Ax3 オフセット軸
AxR 転舵軸
B 二つの突起に平面が同時に触れる時の面の位置、または隣り合う曲面が共通して持つ接線
Co 衝突面/衝突点
C0、C1、C2、C3、C4
当接回転軸(随時移動)
d1 Axから接点P間の距離、またはP5a、P5b間の1/2、P4a、P4b間の1/2の距離
d2 Axからオフセット軸(Ax1、Ax2、Ax3)との距離(クランクオフセット)
d3 打音器の直径
F 摩耗による損耗部分
F20a、F20b、F21a、F21b、F22a、F22b、F23、F24、F29、F30 突起の摩擦部分
G 検査対象面
GI 打音器がGと接する部分
P、P0a、P0b、P1a、P1b、P1pc、P2a、P2b、P3a、A3b、P4a、P4b、P5a、P5b、P6a、P6b、P7a、P7b、P8a,P8b、P8c、P8d、P9a、P9b、P100
検査面との接触箇所
PP 投影平面
L 検査面に当たって変形可能な高摩擦体
L0 検査面に当たって変形した高摩擦体
L1、L3、L4、L6、L7 金属薄板
L2 樹脂成形品
L5 スポンジ状部材またはエラストマー状部材
L8、L9 コイル状部材
M 移動方向
N1 溝
N2、N3 切れ込み
N4 複数の突起
N5 高摩擦体
R 回転方向
S 肉抜きされた部分
SL 可屈曲域
t 打音器の厚み
a、b、c 打音器の突起の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28