(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024234
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】シリコンウェハの導電型の検証方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20230209BHJP
H01L 21/324 20060101ALI20230209BHJP
H01L 21/26 20060101ALN20230209BHJP
【FI】
H01L21/66 L
H01L21/324 X
H01L21/26 F
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021195892
(22)【出願日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】202110902930.6
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】516145552
【氏名又は名称】上海新昇半導體科技有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】521527336
【氏名又は名称】中國科學院上海微系統與信息技術研究所
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI INSTITUTE OF MICROSYSTEM AND INFORMATION TECHNOLOGY,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】865 CHANGNING ROAD SHANGHAI,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】魏 星
(72)【発明者】
【氏名】李 名浩
(72)【発明者】
【氏名】薛 忠營
【テーマコード(参考)】
4M106
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106CA10
4M106DH51
4M106DH56
4M106DJ27
(57)【要約】
【課題】本願では、シリコンウェハの導電型の検証方法が提供される。
【解決手段】当該方法は、シリコンウェハの抵抗率を測定して、第1の抵抗率を取得するするステップと、予測期間にわたって空気の雰囲気下にシリコンウェハを配置するステップと、シリコンウェハの抵抗率を測定して、第2の抵抗率を取得するステップと、第1の抵抗率と第2の抵抗率を比較することにより、シリコンウェハの導電型を定めるステップと、を有する。当該方法は、500Ω・cmよりも高い抵抗率を有するシリコンウェハに適用でき、シリコンウェハの導電型を迅速かつ正確に決定することができる。当該方法の利点には、正確な評価結果、容易な操作、簡単な装置仕様、および抑制されたコストが含まれる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンウェハの導電型を検証する方法であって、
前記シリコンウェハの抵抗率を測定し、第1の抵抗率を取得することと、
予測期間の間、前記シリコンウェハを空気の雰囲気下に配置することと、
前記シリコンウェハの抵抗率を測定し、第2の抵抗率を取得することと、
前記第1の抵抗率と前記第2の抵抗率を比較することにより、前記シリコンウェハの導電型を定めることと、
を有する、方法。
【請求項2】
前記第1の抵抗率が前記第2の抵抗率よりも小さい場合、前記シリコンウェハは、N型として定められ、
前記第1の抵抗率が前記第2の抵抗率よりも大きい場合、前記シリコンウェハは、P型として定められる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、前記第1の抵抗率を取得する前に、前記シリコンウェハに対して急速熱処理を実施し、熱ドナーを除去することを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記急速熱処理は、750℃~1250℃で30~50秒間行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記シリコンウェハの前記第1の抵抗率および前記第2の抵抗率は、インライン4点プローブにより測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記予測期間は、1~168時間(h)である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記シリコンウェハは、500Ω・cmよりも高い抵抗率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記シリコンウェハは、単結晶シリコンウェハである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記シリコンウェハは、該シリコンウェハの表面に自然酸化および/または化学的吸着が生じる予測期間の間、空気の雰囲気下に配置される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体分野に関し、特に、シリコンウェハの導電型の検証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チョクラルスキー法(CZ法)で成長させた単結晶シリコンは、半導体デバイスの製造に広く応用できる。各種抵抗率を有するシリコンインゴットをドーピングにより成長させることができる。高度なワイヤレス通信用途、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、および低電力低リークの装置などに対するある装置要求では、シリコンウェハに高い抵抗率(500Ω・cm超)が要求される。高い抵抗を有するシリコンウェハでは、装置間の寄生容量の影響を低減できる。装置は、シリコンウェハの表面に、より高密度で積層することができ、装置間の信号伝送ロスを同時に低減することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
高抵抗のシリコンウェハは、少量のドーピングまたは非ドーピングにより得ることができる。キャリア密度は、例えば、1×1011から1×1013原子/cm3と低いが、シリコンウェハは、高い抵抗率を有し、キャリアの導電型の判断を得ることは難しい。従って、導電型は、測定によって確認する必要がある。しかしながら、従来の検証法は、低抵抗率のシリコンウェハにしか適用することができず、不便な操作や信頼性の低い試験結果が含まれるという欠点を有する。
【0004】
従って、上記の問題を解決するための改善された検証方法に対してニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来の問題を解決するため、本願では、シリコンウェハの導電型を検証する方法であって、
前記シリコンウェハの抵抗率を測定し、第1の抵抗率を取得するステップと、
予測期間の間、前記シリコンウェハを空気の雰囲気下に配置するステップと、
前記シリコンウェハの抵抗率を測定し、第2の抵抗率を取得するステップと、
前記第1の抵抗率と前記第2の抵抗率を比較することにより、前記シリコンウェハの導電型を定めるステップと、
を有する、方法が提供される。
【0006】
ある実施形態では、前記第1の抵抗率と前記第2の抵抗率を比較することにより、前記シリコンウェハの導電型を定めるステップにおいて、
前記第1の抵抗率が前記第2の抵抗率よりも小さい場合、前記シリコンウェハがN型として定められ、
前記第1の抵抗率が前記第2の抵抗率よりも大きい場合、前記シリコンウェハがP型として定められる。
【0007】
ある実施形態では、当該方法は、さらに、前記第1の抵抗率を取得する前に、前記シリコンウェハに対して急速熱処理を実施し、熱ドナーを除去することを有する。
【0008】
ある実施形態では、前記急速熱処理は、750℃~1250℃で30~50秒間行われる。
【0009】
ある実施形態では、前記シリコンウェハの前記第1の抵抗率および前記第2の抵抗率は、インライン4点プローブを用いて測定される。
【0010】
ある実施形態では、前記予測期間は、1~168時間(h)である。
【0011】
ある実施形態では、前記シリコンウェハは、500Ω・cmよりも高い抵抗率を有する。
【0012】
ある実施形態では、前記シリコンウェハは、単結晶シリコンウェハである。
【0013】
ある実施形態では、前記シリコンウェハは、該シリコンウェハの表面に自然酸化および/または化学的吸着が生じる予測期間の間、空気の雰囲気下に配置される。
【0014】
従来技術の課題を解決するため、本願では、シリコンウェハの導電型を検証する方法が提供される。この方法では、シリコンウェハが空気雰囲気下に配置され、配置の前後のシリコンウェハの第1の抵抗率および第2の抵抗率が測定され、その後比較され、導電型が検証される。この方法は、500Ω・cmを超えるような高い抵抗率を有するシリコンウェハに適用して、シリコンウェハの導電型を迅速かつ正確に定めることができる。本願の方法の利点には、正確な評価結果、容易な操作、簡単な装置仕様、および抑制されたコストが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本願の一実施形態によるシリコンウェハの導電型の検証のための方法ステップを示すフローチャートである。
【
図2】本願の一実施形態によるシリコンウェハの表面状態を示した図である。
【
図3】本願の一実施形態による予測期間にわたって配置された後の、異なる導電型を有するシリコンウウェハの抵抗率変化を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本願を十分に理解するため、以下、シリコンウェハの導電型の検証方法の詳細な構造またはステップについて説明する。本願の技術的解決策が説明される。本願の実施形態は、当業者に知られている特定の詳細により限定されるものではない。以下、本願の好ましい実施形態を詳細に説明するが、本願は、詳細な説明に加えて、他の実施形態を有してもよい。
【0017】
例示的な実施形態は、本開示が十分であり、当業者にその範囲を完全に伝えるために提供される。本開示の実施形態の完全な理解を提供するため、特定の部材、装置、および方法の例のような、多くの特定の細部が記載される。特定の細部を必ずしも使用する必要はなく、例示的な実施形態は、多くの異なる形態で実施され、いずれも本開示の範囲を制限するものと解してはならないことは、当業者には明らかである。ある例示的な実施形態では、良く知られたプロセス、良く知られたデバイス構造、および良く知られた技術は、詳細には説明されない。
【0018】
以下、本発明の目的および特徴を容易に理解するため、添付の図面を参照して、本発明の実施形態についてさらに説明する。図面は、極めて簡略化された形式で提供され、実施形態を説明する際の明確な補助となるように、不正確な比率で示されることが示される。
【0019】
特段の記載または示唆がない限り、明細書中の「第1」、「第2」、および「第3」と言う用語の記載は、単に明細書中の各部材、素子、ステップ等を区別するために使用され、これらの部材、素子、ステップ等の間の論理的関係または順序関係を示すために使用されるものではないことが留意される。
【0020】
「下側」、「下方」、「下」、「上」、「上側」等のような空間的に相対的な用語は、説明を容易にするために使用され、図に示されているように、ある素子または特徴と、別の素子または特徴との関係を記載するために使用されてもよい。空間的に相対的な用語は、図面に記載された方向に加えて、使用中または動作中の装置の異なる方向を包含することを意図してもよい。
【0021】
本願で使用される用語は、単に特定の例示的な実施形態を説明するためのものであり、限定することを意図するものではない。本願に使用される「a」、「an」および「the」という単数形は、文脈が他に明確に記載されていない限り、同様に、複数の形態を含むことを意図してもよい。「comprises」、「comprising」、「including」および「having」と言う用語は、包含的であり、従って、記載された特徴、整数、ステップ、操作、素子、および/または部材の存在を特定するものであるが、1または2以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、素子、部材、および/またはそれらの群の存在または追加を排除するものではない。本願で使用される「および/または」という用語は、1または2以上の記載された関連する事項の任意のまたは全ての組み合わせを含む。
【0022】
本願に記載の例示的な実施形態は、本発明の理想化された実施形態(および中間構造)の概略図の断面図を参照したものである。従って、例えば、製造技術および/または許容誤差による形状の代替が予想される。従って、本発明の実施形態は、本願に示された領域の特定の形状に限定されるものではなく、例えば、製造により生じる形状の誤差が含まれる。従って、図に示された領域は、実質的に概略的であり、それらの形状は、表示装置の実際の領域を形成することを意図するものではなく、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0023】
シリコンウェハの導電型を定める従来の方法には、冷-熱プローブ法、および表面光電圧法が含まれる。
【0024】
冷-熱プローブ法の原理は、熱電効果である。シリコンウェハ表面の異なる部分に、異なる温度の2つの金属プローブが接触するように設置され、2つのプローブ間に、ガルバノメータまたはデジタル電圧計が設置される。2つの接触部の間の温度差により生じる熱電電流または熱電電圧の方向に基づいて、導電型が定められる。この方法は、厚い試料に対しては、良好な識別結果を示すものの、特殊な装置が必要であり、高価である。さらに、プローブとシリコンウェハとの間の接触を制御することは容易ではなく、扱いにくい測定操作が必要となる。抵抗率の高いシリコンウェハの場合、冷-熱プローブ法で得られる試験結果は、信頼性が低い。
【0025】
表面光電圧法では、光がシリコン試料に照射される間、非平衡キャリアが生成され、試料の内部に対する表面の電位変化が生じる。導電型は、光照射前後の表面電位差に基づいて定めることができる。ただし、試料表面に静電荷や損傷層が存在すると、試験結果に影響が生じる可能性があり、本方法では特殊な装置が必要となる。
【0026】
シリコンウェハの導電型を検証する他の方法および機器が存在する。例えば、シリコンウェハを検出して、その実際の抵抗の値を求め、この値が、設定された抵抗の閾値と比較される。実際の値が閾値よりも高い場合、シリコンウェハは、P型である。実際の値が閾値よりも低い場合、シリコンウェハは、N型である。しかしながら、この方法では、200Ωを超える抵抗を有するN型シリコンウェハ、または5000Ω未満の抵抗を有するP型シリコンウェハでは、判断することができない。
【0027】
従来の測定方法の欠点に鑑み、本願では、シリコンウェハの導電型の検証用の改善された方法が提供される。本願の方法では、シリコンウェハが空気の雰囲気下に配置され、設置の前後で、シリコンウェハの第1の抵抗率および第2の抵抗率が測定され、その後比較され、導電型が定められる。この方法は、500Ω・cm超のような、高い抵抗率を有するシリコンウェハに適用でき、シリコンウェハの導電型を迅速かつ正確に定めることができる。本願の方法の利点には、正確な評価結果、容易な操作、単純な装置仕様、および抑制されたコストが含まれる。
【0028】
本願では、本方法が単結晶シリコンウェハに適用される。しかしながら、本方法は、これに限定されるものではなく、シリコンウェハの他のタイプに適用することができる。
【0029】
本願において、本方法は、500Ω・cm超のような高い抵抗率を有するシリコンウェハに適用できる。本方法における抵抗率の適用範囲は、従来の技術よりも広い。
【0030】
図1は、本願の一実施形態によるシリコンウェハの導電型の検証のための方法ステップを示すフローチャートである。
図1を参照すると、本方法は、以下のステップを有する:
ステップS1:シリコンウェハの抵抗率を測定して、第1の抵抗率を得る
ステップS2:予測期間にわたって、シリコンウェハを空気の雰囲気下に配置する
ステップS3:シリコンウェハの抵抗率を測定し、第2の抵抗率を得る
ステップS4:第1の抵抗率と第2の抵抗率を比較することにより、シリコンウェハの導電型を決定する。
【0031】
ステップS1は、さらに、シリコンウェハを準備し、選択するステップを含む。
【0032】
ある実施形態では、単結晶シリコンは、チョクラルスキー法(CZ法)により成長される。半導体結晶成長装置は、炉、該炉内に配置されたるつぼ、該るつぼの外側に配置されたヒータ、るつぼに収容されたシリコンの溶融物を有する。るつぼは、グラファイトるつぼと、該グラファイトるつぼにスリーブされた石英るつぼとから構成される。グラファイトるつぼは、ヒータからの熱エネルギーを受容し、石英るつぼに収容された多結晶シリコン材料を溶融して、シリコン溶融物を形成する。るつぼ内に供給されるドーパントを制御することにより、高抵抗率の単結晶シリコンを成長させることができる。成長プロセスでは、グラファイトるつぼは、複数回の結晶成長のバッチに使用されるが、石英るつぼは、各バッチに対して、新しいものに交換される。
【0033】
炉の上部には引き上げ装置が設置される。引き上げ装置は、シード結晶を駆動して、結晶シリコンインゴットを溶融表面から引き上げる。
【0034】
得られたシリコンインゴットは、予測された厚さでスライスされ、シリコンウェハが形成される。
【0035】
ステップS1は、シリコンウェハを選択し、シリコンウェハの抵抗率を測定して、第1の抵抗率を得ることにより行われる。
【0036】
ある実施形態では、ステップ1において、シリコンウェハの抵抗率は、インライン4点プローブを用いることにより測定される。ある実施形態では、インライン4点プローブは、標準GB/T1552に基づく抵抗率の測定に使用される。
【0037】
ある実施形態では、前記方法は、さらに、第1の抵抗率を得る前に、シリコンウェハに対して急速熱処理を行い、該シリコンウェハから熱ドナーを除去するステップを有する。
【0038】
CZ法で形成された単結晶シリコンインゴットでは、以降の冷却ステップ中に、大量の熱ドナーが生成される。これにより、n型単結晶シリコン中のキャリア濃度が増加し、その抵抗率が減少し、n型単結晶シリコン中のキャリア濃度が再結合され、その抵抗率が上昇し、最終的に、n型シリコンに変換される。シリコンウェハの酸素源は、石英るつぼである。酸素不純物は、低温熱処理下でドナー効果を生じさせる。ドナー効果を排除するため、選択されたシリコンウェハに対して急速熱処理が実施され、熱ドナーが除去される。
【0039】
ある実施形態では、急速熱処理は、750℃~1250℃で、30秒~50秒間行われる。急速熱処理の温度および時間は、前述の範囲に限定されるものではなく、状況に応じて設定することができることが理解される。
【0040】
ステップS2では、予測期間にわたって、シリコンウェが空気の雰囲気下に配置される。
【0041】
予測期間は、特定の値または特定の値の範囲により制限されるものではなく、状況に応じて設定することができる。
【0042】
ある実施形態では、シリコンウェハが空気の雰囲気下、1時間(h)~168時間(すなわち、1週間)配置される。これにより、シリコンウェハの表面で自然酸化が生じ、および/または化学吸着が生じる。
【0043】
具体的には、
図2に示すように、シリコンウェハは、自然酸化および/または化学吸着を示し、ウェハ表面に負電荷が担持される。これにより、N型シリコンウェハの表面は、欠乏状態となり、インライン4点プローブで測定される抵抗率が上昇する。一方、P型シリコンウェハの表面は、蓄積状態となり、インライン4点プローブで測定される抵抗率は、減少する。従って、シリコンウェハの導電型は、配置の前後の抵抗率の変化により検証することができ、この場合、抵抗率は、インライン4点プローブにより測定される。
【0044】
ステップS3では、予測時間の配置後に、シリコンウェハの抵抗率が測定され、第2の抵抗率が取得される。
【0045】
ある実施形態では、ステップ3において、インライン4点プローブを用いることにより、シリコンウェハの抵抗率が測定される。ある実施形態では、インライン4点プローブは、標準GB/T1552に基づく抵抗率の測定に使用される。
【0046】
本願において、シリコンウェハの導電型は、第1の抵抗率と第2の抵抗率を比較することにより決定される。
【0047】
図3には、配置期間に対するシリコンウェハのN型およびP型の抵抗率変化の傾向を示す。シリコンウェハのN型とP型は、同じ初期抵抗率を有する。時間が長くなるにつれて、N型シリコンウェハの表面は、欠乏状態となり、これにより抵抗率は、徐々に増加し、安定化する傾向にある。これに対して、P型シリコンウェハの表面は、時間が長くなるにつれて、蓄積状態となり、このため抵抗率は、徐々に低下し、安定化する傾向にある。
【0048】
一例として、以下の表には、5時間の保存後のN型およびP型のシリコンウェハの抵抗率変化を示す。
【0049】
【表1】
上記の表から、P型シリコンウェハは、一定時間配置した後に抵抗率が低下するのに対して、N型シリコンウェハは、一定時間配置した後に抵抗率が上昇することがわかる。従って、シリコンウェハの種類は、予測期間にわたる配置後の抵抗率の変化によって検証することができる。
【0050】
ある実施形態では、第1の抵抗率と第2の抵抗率を比較することによりシリコンウェハの導電型を定めるステップS4は、
第1の抵抗率が第2の抵抗率より小さい場合、シリコンウェハをN型として定め、
第1の抵抗率が第2の抵抗率より大きい場合、シリコンウェハをP型として定めるステップ
を有する。
【0051】
本願のシリコンウェハの導電型の検証方法では、シリコンウェハが空気の雰囲気下に配置され、配置の前後でシリコンウェハの第1の抵抗率および第2の抵抗率が測定され、比較され、導電型が検証される。この方法は、500Ω・cmのような高い抵抗率を有するシリコンウェハに適用でき、シリコンウェハの導電型を迅速かつ正確に定めることができる。本願の方法の利点には、正確な評価結果、容易な操作、簡単な装置仕様、および抑制されたコストが含まれる。
【0052】
前述の実施形態における例示的なユニットまたはアルゴリズムのステップが、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより実施され得ることは、当業者には認識できる。ハードウェアまたはソフトウェアによる実施は、技術的解決策および設計制約の特定の用途に依存する。当業者は、各種特定の用途に各種手段を適用することにより、記載された機能を実施することができる。そのような実施は、本発明の範囲を超えるものと見なされてはならない。
【0053】
本開示の実施形態の完全な理解を提供するため、特定の部材、装置、および方法の例のような、多くの特定の細部について説明した。特定の細部は、必ずしも実施される必要はなく、例示的な実施形態は、多くの異なる形態で実施されてもよく、いずれも本開示の範囲を限定するものと解してはならないことは、当業者には明らかである。ある例示的な実施形態では、良く知られたプロセス、良く知られた装置構造、および良く知られた技術について、詳細に記載されていない。
【0054】
本開示の例示的な実施形態の前述の説明では、本開示を簡略化し、1または2以上の本発明の態様の理解を支援するため、本開示の特徴は、時折、単一の実施形態もしくは図面、またはそれらの説明にグループ化されることが理解される必要がある。しかしながら、本開示の方法が、保護が主張される本開示に、各請求項に明示的に記載されたものよりも多くの特徴を有することが要求されることを反映するものと解されてはならない。あるいは、むしろ、以下の特許請求の範囲に反映されるように、本発明の態様は、前述の単一の実施形態の全特徴よりも少ない特徴を意図するものである。
【0055】
そのような特徴および/または方法またはユニットの少なくとも一部が相互に排他的でない限り、本願に開示された全ての特徴(添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)、および任意の開示された方法またはデバイスにおける全ての方法またはユニットが、任意の組み合わせを用いて組み合わされても良いことは、当業者には理解される。特段の明確な記載がない限り、本願に開示の各特徴(添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)は、同様の、同等の、または類似の目的を提供する置換可能な特徴で置換されてもよい。
【0056】
明記または示唆がない限り、明細書中の「第1」、「第2」および「第3」という用語の記載は、単に、明細書中の各部材、素子、およびステップ等を区別するために使用されるが、これらの部材、素子、およびステップ等の間の論理的なまたは時間的な関係を示すものではないことに留意する必要がある。
【0057】
前述の好適実施形態および実施例を参照して本発明について説明したが、これらの実施例は、限定的な意味ではなく、例示的な意味であることが理解される。当業者には、修正および組み合わせが容易に想定され、そのような修正および組み合わせは、本発明の思想、ならびに以下の特許請求の範囲およびそれと均等なシステムおよび方法の範囲内にあることが理解される。
【0058】
前述の好適実施形態および実施例を参照して、本発明を説明したが、これらの例は、限定的な意味ではなく、例示的な意味であることが理解される。当業者には、修正および組み合わせが容易に想定され、そのような修正および組み合わせは、本発明の思想、ならびに以下の特許請求の範囲およびそれと均等なシステムおよび方法の範囲内にあることが理解される。
【外国語明細書】