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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002424
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】ブラインドディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/33 20060101AFI20221227BHJP
   E06B 9/386 20060101ALI20221227BHJP
   E06B 9/264 20060101ALI20221227BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
G09F9/33
E06B9/386
E06B9/264 B
G09F9/30 308Z
G09F9/30 308A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103679
(22)【出願日】2021-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】315018565
【氏名又は名称】株式会社グローバルアイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000822
【氏名又は名称】特許業務法人グローバル知財
(72)【発明者】
【氏名】岩田 修司
【テーマコード(参考)】
2E043
5C094
【Fターム(参考)】
2E043AA01
2E043AA04
2E043BB02
2E043BC01
2E043BD01
2E043BE17
2E043DB05
5C094AA15
5C094AA60
5C094BA23
5C094DB02
5C094DB04
5C094EB01
5C094ED01
5C094ED13
5C094ED15
5C094FB15
(57)【要約】
【課題】遮光・調光が高く、軽量化、薄型化が図られ、かつ意匠性の高いブラインドディスプレイを提供する。
【解決手段】各スラット2の形状は、長方形を成した平面体である。スラット2は、縦方向に5枚並べられ、各スラット2には25個の発光体3を搭載している。上段スラット4と下段スラット5は、上段スラット4の下部と下段スラット5の上部で重なった重複部6を設ける。スラット角15°での重複部6では上段スラット4が下段スラット5より屋外側7に位置するような構成としている。発光体3は、屋内側8のスラット2の面上に設ける。スラット2の角度調整はスラット2に接続されているラダーコード13を上下に可動させることによって行われる。ラダーコード13の上下可動は、ラダーコード用ポール12の回転により行う。スラット2をヘッドボックス9近辺まで引き上げるスラット2の畳み込みは、昇降コード用ベルト11の回転操作により行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮光の際に、上段スラットの下部と下段スラットの上部が重なる構造のブラインドにおいて、重なる部分の下段スラットの上部が上段スラットの下部に対して屋内側にあり、各スラットの屋内側の面上に発光体を含む電子部品群が配置されたことを特徴とするブラインドディスプレイ。
【請求項2】
前記発光体は、赤色、青色、緑色で発光する少なくとも1色以上のLEDチップと、前記LEDチップの発光制御を行う制御部とが一体化されたものであり、
前記スラットの面上には、前記発光体が長手方向に複数配列され、
各々の前記スラットを並列に配列したことを特徴とする請求項1に記載のブラインドディスプレイ。
【請求項3】
基準となるスラットから配列順で、奇数番目のスラットは、一方端の発光体から他方端の発光体に表示信号が移動し、偶数番目のスラットは、奇数番目のスラットと反対方向の発光体から表示信号を移動させることを特徴とする請求項2に記載のブラインドディスプレイ。
【請求項4】
各々の前記スラットの形状がひとつの平面体で構成することを特徴とする請求項3に記載のブラインドディスプレイ。
【請求項5】
各々の前記スラットの形状が一つ以上の平面体で構成した多面体を成しており、連なる平面体の一方の平面体と他方の平面体の境界部における二次元面での角度が異なることを特徴とする請求項3に記載のブラインドディスプレイ。
【請求項6】
各々の前記スラットが曲面体であることを特徴とする請求項3に記載のブラインドディスプレイ。
【請求項7】
前記スラットのベース材料が、木、アルミニウム、又は、プラスチックの何れかで構成されることを特徴とする請求項4~6の何れかに記載のブラインドディスプレイ。
【請求項8】
それぞれの前記スラットの面上に設けた前記発光体に供給する電源線及び表示信号線は、各スラットに設けられた貫通孔を通して順次、隣り合うスラット上の電源端子と表示信号端子に接続されていることを特徴とする請求項1~7の何れかに記載のブラインドディスプレイ。
【請求項9】
上段スラットの前記電源線と前記表示信号線は、各スラットに設けられている貫通孔を通して上段スラットの裏側から、下段スラットの表面側に設けている電源端子と表示信号端子に接続されていることを特徴とする請求項8に記載のブラインドディスプレイ。
【請求項10】
前記電源線と前記表示信号線は、各スラットの両端部より外に、はみ出していないことを特徴とする請求項8又は9に記載のブラインドディスプレイ。
【請求項11】
前記スラットの面上に設けられた前記発光体を含む電子部品群が、絶縁性シートによって覆われたことを特徴とする請求項1~10の何れかに記載のブラインドディスプレイ。
【請求項12】
前記絶縁性シートは、透過率が10%以上であることを特徴とする請求項11に記載のブラインドディスプレイ。
【請求項13】
前記絶縁性シートは、拡散性を有することを特徴とする請求項11又は12に記載のブラインドディスプレイ。
【請求項14】
前記スラットの面上に設けられた前記発光体を含む電子部品群が、固定ピン又は接着剤を用いてスラットに固定されることを特徴とする請求項11~13の何れかに記載のブラインドディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラインドを構成するスラット上に発光体を含む電子部品群を設け、映像情報や文字図形画情報を表示するブラインドディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の窓に取り付ける窓装飾品の分野において、窓装飾エレメントの一つであるブラインドは、1)屋内に入ってくる外光をスラットにより遮光する、2)屋内に一定量の外光が入るように、スラットの角度を調節して調光する、3)スラットの角度を調整して、屋外にいる人の視線から屋内を隠す、4)スラットをヘッドボックスに畳み込むことにより、外景が一望できると共に、ブラインドを移動する際にブラインドがコンパクトになり搬送が楽になる、等の特徴を有しており、ビルや住宅には欠かせないエレメントとなっており、世界中で普及している。
このように世界中で普及しているブラインドのスラットに、ディスプレイ機能を有する発光体を搭載することができれば今までにない情報伝達メディアが実現でき、新しい情報サービスが期待できるが、現在のところ発光体を搭載したブラインドは見当たらない。このような背景の中で過去にはブラインドに表示機能を有したアイデアが提案されているが、未だ実用化に至っていない。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されているブラインドでは、遮光と調光の機能があり、さらにブラインドの遮蔽板(スラット)に発光素子を設けて映像情報や文字図形画情報を映し出すアイデアが紹介されているが、特許文献1に紹介されている技術を、世界中に普及している窓装飾品のブラインドに適用するには以下の問題があり、技術適用ができない。
特許文献1に開示されるブラインドは、スラットの屋外側に発光体を設ける構造としているので、外光がスラット間を通過する方向にスラットを回転していくと、発光体が上向き方向(天井側あるいは上空側)に向いていくため、観視者がブラインド位置より下方側に居る場合、発光体が見えなくなる問題が生じる。またスラットの角度範囲を発光体が見える状態のところでまでとすると、遮光や調光の制御が十分でなくなるという問題も生じる。
【0004】
さらにスラットに相当するプリント基板の一方の面上にLED素子が、反対面にはLED用ドライバー素子が設けていることから電子部品数が多くなり、軽量化、薄型化、意匠性という問題が生じる。
軽量化については、窓装飾品としてのブラインドのスラットに重たい構造のものを適用すると、スラットの厚さが薄いことによりスラットが湾曲する問題が生じる。また窓装飾品としてのブラインドは建物の窓に取り付けるので、ブラインドが重たいと窓枠に安全に取り付けられないという問題が生じる。
薄型化については、特許文献1に開示されるような厚いスラットでは、スラットを畳み込んだ場合、トータルの厚さが厚くなり、ブラインドの最上部にあるスラットを格納するヘッドボックスが大きくなることによりヘッドボックスが窓面積を占有し、その結果、ブラインド機能である遮光、調光効果が低減したり、意匠性が損なったりする問題が生じる。
【0005】
意匠性については、特許文献1に開示されるブラインドは、スラット面上の電子部品が丸見えの状態となるため、意匠性が損なう問題や、スラット自体が重たいことから、スラットを保持するためにフレーム枠を設けて、そこにスラットを取り付ける構造としているので、このような構造を窓装飾品としてのブラインドに適用すると、ブラインドの両端にフレーム枠の幅ができ、窓装飾品としてのブラインドを横方向に複数並べた場合、フレーム枠の幅の部分で遮光や調光ができなくなることや、フレーム枠の幅により本来のブラインドの意匠性が損なう問題が生じる。
特許文献2で開示されているブラインドについても、特許文献1に開示されるブラインドと同様な問題を抱えている。
【0006】
また、スラットの何れか一面に、複数のLEDディスプレイが設置されたブラインドが知られている(特許文献3を参照)。これは、所定の画像を動画または静止画として表示することができ、各種情報を伝える伝達媒体として利用できるものである。
しかしながら、特許文献3に開示されたブラインドでは、スラットの一方の面と他方の面とのうちの少なくとも一面に複数のLEDディスプレイに設置するが、スラットの屋内側にLEDディスプレイを設置する構成については何ら開示されていない。一方、スラットの屋外側にLEDディスプレイを設置する構成では、特許文献1と同様に、スラットを回転していくと、発光体が上方に向いていくため、観視者がブラインド位置より下方側に居る場合、発光体が見えなくなる問題が生じる。
また、特許文献3に開示されたブラインドでは、ヘッドボックス内に設置している電子制御モジュールにより、高輝度LEDディスプレイを制御し、スラット上のLED素子の発光色を調整しつつ発光色を時系列に変化させ表示するが、これを実現しようとするとLED素子の数の分だけリード線が必要となり、現実的でない莫大な配線規模となるという問題がある。
さらに、ブラインドの意匠性を確保するためには、電源線と信号線が各スラットの垂直方向(畳み込み方向)の端部より外にはみ出さないことが重要であるが、特許文献3に開示されたブラインドでは、端部はみだしを防止する機構が明らかではないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-55011号公報
【特許文献2】特許第3977837号公報
【特許文献3】特開2018-162617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように特許文献1~3に開示されたブラインド技術を、現在世界中で用いられている窓装飾品としてのブラインドに適用すると、a)遮光・調光不足、b)軽量化(スラットが重たい)、c)薄型化(スラットが厚い)、d)意匠性(スラット面上の電子部品の丸見えとフレーム枠の存在により、意匠性が損なわれる)、といった問題が生じる。
かかる状況に鑑みて、本発明は、遮光・調光が高く、軽量化、薄型化が図られ、かつ意匠性の高いブラインドディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、本発明のブラインドディスプレイは、遮光の際に、上段スラットの下部と下段スラットの上部が重なる構造のブラインドにおいて、重なる部分の下段スラットの上部が上段スラットの下部に対して屋内側にあり、各スラットの屋内側の面上に発光体を含む電子部品群が配置される。これにより、優れた遮光・調光機能を保持しながら広い範囲の視野で表示が可能となる。また、遮光の際には、発光体等が屋内側に位置するため、直射日光による発光体の劣化等を防止できる。
【0010】
本発明のブラインドディスプレイにおいて、発光体は、赤色、青色、緑色で発光する少なくとも1色以上のLEDチップとLEDチップの発光制御を行う制御部とが一体化されたものであり、スラットの面上には、発光体が長手方向に複数配列され、各々のスラットを並列に配列したことが好ましい。これにより、薄くて、軽いスラットが実現でき軽量・薄型のブラインドディスプレイが提供できる。
【0011】
本発明のブラインドディスプレイは、基準となるスラットから配列順で、奇数番目のスラットは、一方端の発光体から他方端の発光体に表示信号が移動し、偶数番目のスラットは、奇数番目のスラットと反対方向の発光体から表示信号を移動させることが好ましい。これにより、シンプルな電気配線で表示が可能となり軽量・薄型のブラインドディスプレイが提供できる。
【0012】
本発明のブラインドディスプレイは、各々のスラットの形状がひとつの平面体で構成することでもよい。これにより、優れた遮光・調光機能を保持しながら広い範囲の視野で表示が可能となる。
【0013】
本発明のブラインドディスプレイは、各々のスラットの形状が一つ以上の平面体で構成した多面体を成しており、連なる平面体の一方の平面体と他方の平面体の境界部における二次元面での角度が異なることでもよい。これにより、優れた遮光・調光機能を保持しながら広い範囲の視野で表示が可能となる。
【0014】
本発明のブラインドディスプレイは、各々のスラットが曲面体であることでもよい。これにより、優れた遮光・調光機能を保持しながら広い範囲の視野で表示が可能となる。
【0015】
本発明のブラインドディスプレイは、スラットのベース材料が、木、アルミニウム、又は、プラスチックの何れかで構成されることが好ましい。これにより、薄くて、軽いスラットが実現でき軽量・薄型のブラインドディスプレイが提供できる。
【0016】
本発明のブラインドディスプレイは、それぞれのスラットの面上に設けた発光体に供給する電源線及び表示信号線は、各スラットに設けられた貫通孔を通して順次、隣り合うスラット上の電源端子と表示信号端子に接続されていることが好ましい。これにより、シンプルな電気配線が実現でき、その結果、薄くて、軽いスラットの実現と軽量・薄型のブラインドディスプレイが提供できる。
【0017】
本発明のブラインドディスプレイは、上段スラットの電源線と表示信号線は、各スラットに設けられている貫通孔を通して上段スラットの裏側から、下段スラットの表面側に設けている電源端子と表示信号端子に接続されていることが好ましい。これにより、シンプルな電気配線が実現でき、その結果、薄くて、軽いスラットの実現と軽量・薄型のブラインドディスプレイが提供できる。
【0018】
本発明のブラインドディスプレイは、電源線と信号線は、各スラットの両端部より外に、はみ出していないことが好ましい。これにより、窓装飾品としてのブラインドの意匠性が確保できる。
【0019】
本発明のブラインドディスプレイは、スラットの面上に設けられた発光体を含む電子部品群が、絶縁性シートによって覆われたことが好ましい。これにより、スラット間の擦れがなくなりスラット面の傷の防止が可能となる。
【0020】
本発明のブラインドディスプレイにおいて、絶縁性シートは、透過率が10%以上であることでもよい。これにより、スラット上に設けられた発光体を含む電子部品群の存在が緩和され、窓装飾品としてのブラインドの意匠性が確保できる。
【0021】
本発明のブラインドディスプレイにおいて、絶縁性シートは、拡散性を有することでもよい。これにより、スラット上に設けられた発光体を含む電子部品群の存在が緩和され、窓装飾品としてのブラインドの意匠性が確保できる。
【0022】
本発明のブラインドディスプレイは、スラットの面上に設けられた発光体を含む電子部品群が、固定ピン又は接着剤を用いてスラットに固定されることでもよい。これにより、スラット上に設けられた発光体を含む電子部品群の剥がれを防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、世界中で使用されている窓装飾品としてのブラインドの機能を保持しながら、ディスプレイ機能を備えたブラインドディスプレイが実現できるので、世界中の多くの人達に手軽に映像情報や文字図形画情報を映し出すことができ、新たな情報サ-ビスの提供が可能となるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の屋内側から観たブラインドディスプレイの説明図
図2】本発明のスラット角度に対するスラットの断面図
図3】本発明の発光体の構成図
図4】本発明の4個の発光体を用いて構成した発光体基板の構成図
図5】本発明の制御部の入力端子に印加する表示データのタイミングチャート
図6】本発明の発光体基板を垂直方向に4個並べた構成図
図7】本発明の奇数番目の発光体搭載スラットと偶数番目の発光体搭載スラットの構成図
図8】本発明の屋外側から観たブラインドディスプレイの説明図
図9】本発明の多面体におけるスラット角度に対するスラットの断面図
図10】本発明の曲面体におけるスラット角度に対するスラットの断面図
図11】本発明の電源線と表示信号線の配線を示す図
図12】本発明の奇数番目のスラットと偶数番目のスラットにおける、電源線と表示信号線の配線を示す図
図13】本発明のブラインドディスプレイの畳み込み状態を示す図
図14】本発明の発光体を搭載したスラット上に発光体基板カバーを設けた図
図15】本発明のブラインドディスプレイに使用する発光体基板固定ピンを示した図
図16】本発明のブラインドディスプレイをビルディングに設置したイメージ図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
【実施例0026】
図1図2を用いて本発明のブラインドディスプレイ1について説明する。
図1は、屋内側8から観たブラインドディスプレイ1の説明図を示す。
図1(1)は、屋内側8から観た正面図(図2におけるスラット角15°の正面図)である。スラット角15°では、正面からの後方風景を遮断する。図1(2)は、正面図におけるA-A断面図である。各スラット2の形状は、長方形を成した平面体である。図1はスラット2を縦方向に5枚並べた例を示しており、各スラット2には25個の発光体3を搭載している。図1ではスラット2に搭載の発光体3が25個、スラット枚数が5枚の例を示しているが、特にこの数字に限定することはなく発光体3の数とスラット2の枚数は任意でよい。図1(2)に示すように、上段スラット4と下段スラット5は、上段スラット4の下部と下段スラット5の上部で重なった重複部6を設ける。スラット角15°での重複部6では、上段スラット4が下段スラット5より屋外側7に位置するような構成としているので、スラット2間の隙間から入る屋外側7からの明るい光(例えば太陽光)を遮断することができる。これにより、遮光性能の良いブラインドディスプレイ1が実現できる。
ブラインドディスプレイ1における発光体3は、屋内側8のスラット2の面上に設ける。スラット2の角度調整はスラット2に接続されているラダーコード13を上下に可動させることによって行われ、これによりブラインドディスプレイ1は調光や遮光ができる。ラダーコード13の上下可動は、ラダーコード用ポール12の回転により行う。スラット2をヘッドボックス9近辺まで引き上げるスラット2の畳み込みは、昇降コード用ベルト11の回転操作により行う。
【0027】
図2は、発光体3を搭載したスラット2のスラット角10が15°から165°の間における、7つの角度に対するスラット2の断面図である。
図中の左側が屋内側8、右側が屋外側7である。ラダーコード用ポール12を回転させると、スラット角10が15°から165°に調整できる。たとえばビル9階にブラインドディスプレイ1を設置した場合、ビル直下の道からはスラット角が90°辺りから発光体3の光が見え始める。
スラット角が15°近辺では外光が遮断できるので、屋内側8からはブラインドディスプレイ1に映し出される情報はコントラストが高く、きれいに観える。また自由な色彩での照明としても使用可能となる。
【0028】
図3は、発光体3の構成図である。
発光体3は、赤色LED22、青色LED23、緑色LED24と制御部25をパッケージ基板21上に実装して構成している。
図3(1)は正面図、図3(2)は正面図におけるA-A断面図、図3(3)は正面図におけるB-B断面図を示している。図3(1)の正面図に示すように、赤色LED22、青色LED23、緑色LED24の3つのLEDの集合が、ディスプレイの表示画面を構成する最小単位となる1ピクセルに対応する。
本実施例では、発光体3は、WorldSemi社(華彩威科技有限公司)のLED(型番:WS2812B)を用いている。
発光体3の入力端子27に、表示信号発生器34(図4に図示)から送出される表示信号31を印加すると、制御部25が予め決められた信号プロトコルに対応した処理を行うことによって、それぞれのLEDに発光信号28を送出し、その発光信号28の情報に応じた明るさで各LEDが光る。制御部25の出力端子29からの信号は、次の発光体3の入力端子(図示なし)に表示信号として印加される。
【0029】
図4は、4個の発光体3を用いて構成した発光体基板30の構成図を示す。
図5は、図4に示す4個の発光体3に設けられている制御部25(a1~a4)のそれぞれの入力端子に与える表示データのタイミングチャート40である。
図4及び図5に示すように、表示信号発生器34から送り出される表示信号31が、発光体基板30の入力端子32を通して制御部25(a1)の入力端子27(a1)に印加される。表示信号発生器34から送り出さる表示信号31は、時系列的に制御部25(a1)のピクセルデータ45、制御部25(a2)のピクセルデータ46、制御部25(a3)のピクセルデータ47、制御部25(a4)のピクセルデータ48となっている。制御部25(a1)のピクセルデータ45、制御部25(a2)のピクセルデータ46、制御部25(a3)のピクセルデータ47、制御部25(a4)のピクセルデータ48のそれぞれは、緑色LED24、青色LED23、赤色LED22の輝度情報として各8ビット、計24ビットの情報を有しており、各LEDの輝度情報として256レベル、緑色、青色、赤色3色としての色情報(256の3乗)は、1600万色で表現できる。制御部25(a1)の入力端子27(a1)に印加されるa1信号41は、制御部25(a1)において制御部25(a1)のピクセルデータ45だけを取り込み、発光情報として緑色LED24、青色LED23、赤色LED22に、図3(1)に示す発光信号28として送る。制御部25(a1)の出力端子29からは次段の制御部25(a2)にa2信号42を送るが、a2信号42には制御部25(a1)のピクセルデータ45が既に処理済みなので取り除かれたものとなっている。
【0030】
以下、同様な処理により、4個設けられている発光体3のそれぞれの制御部25(a1)、制御部25(a2)、制御部25(a3)、制御部25(a4)は、制御部25(a1)のピクセルデータ45、制御部25(a2)のピクセルデータ46、制御部25(a3)のピクセルデータ47、制御部25(a4)のピクセルデータ48を個別に取り込んだ後、緑色LED24、青色LED23、赤色LED22に表示信号を与え、緑色LED24、青色LED23、赤色LED22はその表示信号に応じた明るさで光る。このように制御部25(a1)のピクセルデータ45、制御部25(a2)のピクセルデータ46、制御部25(a3)のピクセルデータ47、制御部25(a4)のピクセルデータ48の4つのピクセルデータは、1つの塊となったサイクルデータ49を形成する。表示したい画面が静止画であれば表示信号発生器34からは、同じサイクルデータ49を繰り返して送れば良いし、動画表示としたい場合は表示信号発生器34から順次変更したサイクルデータ49を発光体基板30に与えるようにすればよい。
このように発光体3に対応するWS2812Bの使用個数(図4では4個)と、表示信号発生器34から発信されるサイクルデータ49を構成するピクセルデータの数(図5では4個)を同一にすることにより、発光体3は意図する情報を正常に表示することができる。
【0031】
図6は、図4に示す発光体基板30を垂直方向に4個並べた構成図である。
図4図5において発光体3の使用個数(図4では4個)と、表示信号発生器34から発信されるサイクルデータ49を構成するピクセルデータの数(図5では4個)を同一にすることにより、発光体基板30は意図する情報を正常に表示することができると説明したように、図6においては発光体3の使用個数が16個であるので、発光体3の制御部25(a1)の入力端子27に入力するピクセルデータの数も16個に設定することにより、正常な表示が可能となる。
【0032】
図7は、スラット2上に発光体3をそれぞれ25個搭載した、奇数番目の発光体搭載スラット50と偶数番目の発光体搭載スラット51の構成図を示す。
奇数番目の発光体搭載スラット50と偶数番目の発光体搭載スラット51を接続すると発光体3の数は50個となるが、50個の発光体3への信号の流れは奇数番目の発光体搭載スラット50の左端の発光体3の入力端子に入力表示信号(1)52を印加すると、奇数番目の発光体搭載スラット50の右端にある発光体3の出力端子には出力表示信号(1)53が出力される。この出力表示信号(1)53は、偶数番目の発光体搭載スラット51の右端にある発光体3の入力端子に接続されており入力表示信号(2)54として印加される。これにより偶数番目の発光体搭載スラット51の左端にある発光体3の出力端子には出力表示信号(2)55が出力され、次の段にある奇数番目の発光体搭載スラットの入力表示信号として用いられる。以下同様なスラット構成により、ブラインドディスプレイ1を構成する全部の発光体搭載スラットに表示信号が与えられていくので、ブラインドディスプレイ1は意図する情報を正常に表示することができる。
図7では奇数番目の発光体搭載スラット50と偶数番目の発光体搭載スラット51に使用する発光体3の合計数が50個であるので、この場合、図6で説明したように表示信号発生器34から発信されるサイクルデータ49を構成するピクセルデータの数を50個にすれば、50個の発光体3は意図する情報を正常に表示することができる。
【0033】
図8は、本発明の屋外側7から観たブラインドディスプレイ1の説明図を示す。
図8(1)は、屋外側7から観た斜視図(図2におけるスラット角120°の斜視図)である。スラット角120°では、正面からは半分程度の後方(屋内)風景が観える。図8(2)は、図8(1)に示すA-A断面図である。図8図1と同様にスラット2を縦方向に5枚並べた例であり、各スラット2には同様の25個の発光体3を搭載している。
図8図2に示すスラット角120°近辺の図であるが、屋外側7の観視位置が定まればラダーコード用ポール12を操作することによってスラット角10を調整することができるので、ラダーコード用ポール12の操作により観視位置におけるブラインドディスプレイ1の見やすい表示画質を得ることかできる。図2の例からでは、ブラインドディスプレイ1の屋外表示には、スラット角を90°~165°に調整すればよい。スラット角が180°に設定できるブラインドであれば、スラット角を90°~180°に設定すればよい。
たとえばビル9階にブラインドディスプレイ1を設置する場合、ビル直下の道からはスラット角が90°くらいが好ましいし、観視位置がビルから遠く離れた場所であればスラット角10が大きくなる方向、たとえば165°が好ましくなる。またスラット角10が180°に設定できるブラインドディスプレイ1であれば、スラット角を180°に設定しても良い。
【0034】
図9は、発光体3を搭載したスラット62のスラット角10を、0°から165°に変えた時の断面図を示す。
スラット62は二つの平面体で構成した多面体を成しており、連なる平面体の一方の平面体と他方の平面体の接合部における二次元面上での角度が異なる形状となっている。
図中の左側が屋内側8、右側が屋外側7である。各スラット62は平面体A60と平面体B61で構成される。このようなスラット形状ではスラット角0°において、下段スラット64の平面体A60の先端部が上段スラット63の下部と重なる構造となるので、スラット62間の隙間から入る屋外側7からの明るい光を遮断することができる。これにより、遮光性能の良いブラインドディスプレイ1が実現できる。
【0035】
図10は、発光体3を搭載したスラット66のスラット角10を、15°から165°に変えた時の断面図を示す。
図中の左側が屋内側8、右側が屋外側7である。各スラット66の形状は、曲面体である。
上段スラット68と下段スラット69は、上段スラット68の下部と下段スラット69の上部で重なった重複部67を形成する。スラット角15°での重複部67では上段スラット68が下段スラット69より屋外側7に位置するような構成としているので、スラット66間の隙間を通して入る屋外側7からの明るい光を遮断することができる。これにより、遮光性能の良いブラインドディスプレイ1が実現できる。
【0036】
図2に示す平面体のスラット2、図9に示すスラット62、図10に示すスラット66のベース材料は、木、アルミニウム、プラスチック材料、又はこれらの複合材料で構成される。プラスチック材料としてポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP/OPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリスチレン(PS/OPS)、アクリル(AC)、ポリカーボネート(PC)、トリアセテート(TAC)等の絶縁材料を用いる。
ベース材料が木やプラスチックの場合、強度確保のため厚さは0.5mm以上が好ましい。またベース材料がアルミニウムの場合、軽量化を実現するために厚さは0.5mm以下が好ましい。
【0037】
図11は、ブラインドディスプレイ1における電源線と表示信号線の配線を示した図である。
図12は、奇数番目のスラット100と偶数番目のスラット101の各スラットへの電源線と表示信号線の配線を示した図である。
図11においてブラインドディスプレイ1では1枚のスラット2に25個の発光体3が搭載され、5枚のスラット2を用いていることから、ブラインドディスプレイ1は合計125個の発光体3を搭載している。図6においては発光体3の使用個数が16個、図7では50個の例で説明したが、図11においても同様にブラインドディスプレイ1に映し出される情報を正常に表示するには、表示信号発生器74から発信されるサイクルデータ49(図5参照)を構成するピクセルデータの数を125個にすればよい。
【0038】
図11図12を用いてブラインドディスプレイ1に情報を表示させるためのDC電源線、グランド線、表示信号線について説明する。ブラインドディスプレイ1にDC電源70からDC電圧線71とグランド線72をヘッドボックス9の対応する入力端子に接続する。同様に表示信号発生器74からの表示信号線73もヘッドボックス9に接続する。ヘッドボックス9に接続されたDC電圧線71、グランド線72、表示信号線73は、最上段のスラット2のスラット左端配線接続部75に設けた対応する端子に接続するためにDC電圧線77、グランド線78、入力表示信号線80としてヘッドボックス9から出力される。
【0039】
まず、スラット2の発光体3を光らすための表示信号の流れについて説明する。
図11に示すヘッドボックス9からの入力表示信号線80は、図12において、入力表示信号接続部79にある入力表示信号端子81に接続される。入力表示信号端子81からの信号線は、発光体3の入力端子86に接続する。入力端子86に印加される入力表示信号は発光体3を通して図中の右方向に向かって転送され、右端までの25個の発光体3のすべてが入力された信号に対応した明るさで光る。奇数番目のスラット100の右端にある25個目の発光体3の出力端子87からは表示信号が出力され、その出力された表示信号は出力表示信号接続部88に設けられている出力表示信号端子89に送られる。出力表示信号端子89に接続したリード線は、表示信号線貫通孔90を通して奇数番目のスラット100の裏側から偶数番目のスラット101の表面側の入力表示信号接続部91にある入力表示信号端子92に接続した後、偶数番目のスラット101の入力表示信号として発光体3の入力端子94に印加される。その入力表示信号は発光体3を通して図中の左方向に向かって転送され、左端までの25個の発光体3のすべてが入力された信号に対応した明るさで光る。
【0040】
偶数番目のスラット101の左端にある25個目の発光体3の出力端子98からは表示信号が出力され、その出力された表示信号は出力表示信号接続部95に設けられている出力表示信号端子96に送られる。出力表示信号端子96に接続したリード線(図示なし)は、表示信号線貫通孔97に通して偶数番目のスラット101の裏側から下段の奇数番目のスラットの表面側に設けられている入力表示信号端子に接続され(図示なし)、上段の奇数番目のスラット100と同様に入力表示信号が図中の右方向に向かって右端にある発光体3まで転送され、右端までの25個の発光体3のすべてが入力された信号に対応した明るさで光る。
このような動作を繰り返し行うことによって、5枚のスラットの奇数番目のスラット2においては入力表示信号が図中の右方向に、偶数番目のスラット2では図中の左方向に入力表示信号が転送されることによって、125個すべての発光体3が入力された信号に対応した明るさで光り、ブラインドディスプレイ1は正常な情報が表示されることになる。
ブラインドディスプレイ1のスラット2に搭載される発光体3の数やスラット2がいかなる枚数であっても、表示信号発生器74から発信されるサイクルデータ49(図5参照)を構成するピクセルデータの数を同一数に制御することにより、ブラインドディスプレイ1は正常な情報が表示される。
【0041】
ここで、出力表示信号端子89に接続したリード線を、表示信号線貫通孔90に通して奇数番目のスラット100の裏側から偶数番目のスラット101の表面側の入力表示信号接続部91にある入力表示信号端子92に接続する際に、出力表示信号端子89に接続したリード線が奇数番目のスラット100と偶数番目のスラット101の右端部より外にはみ出さないように配線することにより、窓装飾品としてのブラインドディスプレイ1の意匠性が確保できる。
同様に出力表示信号端子96に接続したリード線を、表示信号線貫通孔97に通して偶数番目のスラット101の裏側から下段の奇数番目のスラットの表面側に設けられている入力表示信号端子に接続する際に、出力表示信号端子96に接続したリード線が偶数番目のスラット101と下段の奇数番目のスラットの左端部より外にはみ出さないように配線することにより、窓装飾品としてのブラインドディスプレイ1の意匠性が確保できる。
【0042】
続いて各スラットに搭載されている発光体3に供給するDC電圧とグランドについて、その配線方法について説明する。
ヘッドボックス9からのDC電圧線77とグランド線78は、ヘッドボックス9の左端と右端から取り出す構造としている。図11に示すヘッドボックス9の左端からのDC電圧線77とグランド線78は、図12に示すように、最上段のスラット2(奇数番目のスラット100)の左端にある電源線接続部76におけるDC電圧端子82とグランド端子84に接続される。DC電圧端子82とグランド端子84からは奇数番目のスラット100上にある25個の発光体3のDC電圧端子とグランド端子に接続しており(図示なし)、これにより発光体3は表示信号が印加されれば、入力された信号に対応した明るさで光る。
【0043】
また奇数番目のスラット100の右端には、左端に設けた電源線接続部76と同様の電源線接続部102を設けており、ヘッドボックス9の右端から取り出したDC電圧線77とグランド線78を、電源線接続部102内にあるDC電圧端子とグランド端子に接続(図示なし)する、そのDC電圧端子とグランド端子からは発光体3のDC電圧端子とグランド端子にリード線で接続(図示なし)しているので、発光体3の消費電流による左端におけるDC電圧線77の抵抗成分による電圧降下量と、右端でのDC電圧線77の抵抗成分による電圧降下量がほぼ同等となり、従って25個の発光体3における消費電流によって生じる左側および右側の各DC電圧線77のDC降下電圧を小さくでき、その結果、発光体3のDC電圧端子に印加される電圧変動が小さくなり安定したDC電圧を供給することができる。
ここで、発光体3の発光輝度が低くてよいブラインドディスプレイ1では、左端でのDC電圧線77の抵抗成分による電圧降下量が小さくなるので、特に右端の電源線接続部102を設けなくてもよい。
【0044】
続いて全てのスラット2へのDC電圧とグランドの供給は、次のようにして行う。
上段のスラット(奇数番目のスラット100)のDC電圧線77とグランド線78を下段のスラット2(偶数番目のスラット101)に接続するために、DC電圧端子82とグランド端子84に半田付け等により接合したリード線を、それぞれDC電圧線貫通孔83とグランド線貫通孔85に通して奇数番目のスラット100の裏側から偶数番目のスラット101の表面側の電源線接続部104のそれぞれの端子に接続して行う(図示なし)。右端の電源線接続部102についても同様な接続を行う。このような接続を順次、下段のスラット2に向かって行うことによりDC電圧とグランドがすべてのスラット2に供給できる。
【0045】
ここで、DC電圧端子82とグランド端子84に半田付け等により接合したリード線を、それぞれDC電圧線貫通孔83とグランド線貫通孔85に通して奇数番目のスラット100の裏側から偶数番目のスラット101の表面側の電源線接続部104のそれぞれの端子に接続する際に、DC電圧端子とグランド端子に半田付け等により接合したリード線が奇数番目のスラット100と偶数番目のスラット101の端部より外にはみ出さないように配線することにより、窓装飾品としてのブラインドディスプレイ1の意匠性が確保できる。
また奇数番目のスラット100の右端に設けている電源線接続部102についても同様な配線を行うことにより、窓装飾品としてのブラインドディスプレイ1の意匠性が確保できる。
【0046】
図13は、本発明のブラインドディスプレイ1の畳み込み状態を示す図である。
図13(1)は、スラットが畳み込まれたブラインドディスプレイ1の斜視図、図13(2)は、畳み込まれたスラット110の拡大図である。発光体3を搭載したスラット2は、図13(1)に示す昇降コード用ベルト11を操作することにより、ヘッドボックス9に向かって上方に畳み込まれていく。スラット2が畳み込まれる過程で、発光体3を搭載したスラット2(n+1番目)の上面とその上部スラット(n番目)の下面が、また発光体3を搭載したスラット2(n+1番目)の下面と下部スラット(n+2番目)の発光体3を搭載した上面との間で擦れあいが生じる。擦れあいは発光体3の先端部111や、スラット2上に設けられている入力表示信号端子81、DC電圧端子82、グランド端子84等と半田付け等により接続するリード線の鋭利な先端部によって、発光体3が搭載されているスラット2(n+1番目)の反対面や、上部スラット(n番目)の下面に傷が付く可能性がある。すなわち発光体3が搭載されていない平らなスラット面に傷がつく恐れがある。
【0047】
図14は、発光体3を搭載したスラット2上に発光体基板カバー112を設けた図である。図14(1)は発光体を搭載したスラット上に発光体基板カバー112を設けた正面図、図14(2)は、図14(1)におけるA-A断面図である。
発光体基板カバー112は発光体基板30を覆う形で設けるので、スラット2の畳み込みにおいてスラット間同士で擦れあうことが生じても、発光体3が搭載されていない平らなスラット面を傷つけることを防止できる。すなわち、発光体3が搭載されていない平らなスラット面の傷は、発光体の先端部111や、スラット2上に設けられている入力表示信号端子81、DC電圧端子82、グランド端子84等と半田付け等により接続するリード線の先端部に鋭利な部分があったとしても、透明あるいは半透明な絶縁体シートで構成する発光体基板カバー112で覆うことにより防止ができる。
【0048】
発光体基板カバー112は、発光体基板カバー112の透過率を小さくすることにより、スラット2に搭載している発光体基板30の存在を小さくできるので、窓装飾品としてのブラインドディスプレイ1の意匠性が確保できる。また発光体基板カバー112に拡散性を持たせることにより、発光体3を光らすことによって、スラット2のベース色が発光体3で光らせた色となるので、意匠性を高めたブラインドディスプレイ1が実現できる。発光体3の光はフルカラー発光が可能なので、ブラインドディスプレイ1の使用環境に応じたスラット色の実現が可能となる。
また、発光体を含む電子部品群を設けた発光体基板30は部品の高さが一様でないことと、部品がない部分もあり、そこに埃が溜まりやすくなり掃除に手間が掛かる欠点を有するが、発光体基板カバー112を設けることによりその欠点を解消することができる。
【0049】
図15は、本発明のブラインドディスプレイ1に使用する発光体基板固定ピン115を示した図である。
図15(1)は発光体基板30に発光体基板固定ピン115を設けた正面図、図15(2)はA-A断面図である。発光体基板30は接着剤を用いてスラット2に固定するが、発光体基板30の膨張係数とスラット2の膨張係数が異なる場合、スラット2の使用環境(ブラインドディスプレイ1の設置環境)に関わる周囲温度の影響を受けて、発光体基板30の両端部や中央部がスラット2から剥がれてくることが懸念される。発光体基板30がスラット2から剥がれないようにするために、発光体基板30の両端部や適当な間隔で発光体基板固定ピン115を発光体基板30上に設けることにより、スラット2から発光体基板30の剥がれを防ぐことができる。このように発光体基板固定ピン115を用いることにより、発光体基板30とスラット2が完全に固着でき、スラット2に振動が伴った場合でもスラット2から発光体基板30の剥がれを防止することができる。図15では発光体基板固定ピン115を用いて発光体基板30をスラット2上に固定した例を示したが、発光体基板30上にアクリル接着剤やエポキシ接着剤のような粘性の接着剤を用いて固定しても良い。このように発光体基板30をスラット2上に固定することにより、スラット2に振動が伴ったり、周囲温度が変化しても恒久的に安定して発光体基板30とスラット2が固着できる。
【0050】
図16は、本発明のブラインドディスプレイ1をビルディングに設置したイメージ図である。ビジネス街に行きかう人たちからビルディング120の窓に設置されているブラインドディスプレイ1から映し出される情報表示を楽しむことができる。
なお、図中、同一符号、同一記号は、同じ機能、同じ効果を示すものである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のブラインドディスプレイは、世界中で使用されている窓装飾品としてのブラインドの機能を保持しながらディスプレイ機能を備えた情報伝達メディアであるので、世界中の多くの人達に手軽に映像情報や文字図形画情報を映し出すことができ、新たな情報サ-ビスの提供装置として有用である。
【符号の説明】
【0052】
1 ブラインドディスプレイ
2,62,66 スラット
3 発光体
4,63,68 上段スラット
5,64,69 下段スラット
6,67 重複部
7 屋外側
8 屋内側
9 ヘッドボックス
10 スラット角
11 昇降コード用ベルト
12 ラダーコード用ポール
13 ラダーコード
21 パッケージ基板
22 赤色LED
23 青色LED
24 緑色LED
25 制御部
27,32,86,94 入力端子
28 発光信号
29,33,87,98 出力端子
30 発光体基板
31 表示信号
34,74 表示信号発生器
40 タイミングチャート
41 a1信号
42 a2信号
43 a3信号
44 a4信号
45 a1のピクセルデータ
46 a2のピクセルデータ
47 a3のピクセルデータ
48 a4のピクセルデータ
49 サイクルデータ
50 奇数番目の発光体搭載スラット
51 偶数番目の発光体搭載スラット
52 入力表示信号(1)
53 出力表示信号(1)
54 入力表示信号(2)
55 出力表示信号(2)
60 平面体A
61 平面体B
70 DC電源
71,77 DC電圧線
72,78 グランド線
73 表示信号線
75 スラット左端配線接続部
76,102,103,104 電源線接続部
79,91 入力表示信号接続部
80 入力表示信号線
81,92 入力表示信号端子
82 DC電圧端子
83 DC電圧線貫通孔
84 グランド端子
85 グランド線貫通孔
88,95 出力表示信号接続部
89,96 出力表示信号端子
90,97 表示信号線貫通孔
100 奇数番目のスラット
101 偶数番目のスラット
110 畳み込まれたスラット
111 (発光体の)先端部
112 発光体基板カバー
115 発光体基板固定ピン
120 ビルディング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16