(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002428
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】複合センサ及びカメラ一体型安全ドア
(51)【国際特許分類】
E05B 47/00 20060101AFI20221227BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
E05B47/00 Z
E05B49/00 R
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021121696
(22)【出願日】2021-07-26
(31)【優先権主張番号】10-2021-0080522
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521327954
【氏名又は名称】株式会社セキュアコリア
【氏名又は名称原語表記】SECURE KOREA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】チャン ウォン ソク
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA03
2E250AA06
2E250BB01
2E250DD08
2E250FF11
(57)【要約】
【課題】人々がホテルやオフィスなどを便利且つ安全に利用できるように技術的にサポートする複合センサ及びカメラ一体型安全ドアを提供する。
【解決手段】複合センサ及びカメラ一体型安全ドアは、ネットワークを介して正常出入者から提供された証拠データを受信して、それを内部に保存し、ドアに設置されたカメラで出入要求者からトライアルデータを取得して正当な利用者を検証することにより、非対面方式で出入管理を実装し、各種のセンサとカメラを取り付けて室内外のあらゆる危険な状況を確認するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入口に設置され、室内と室外を区別するドアハウジング(100)と、
前記ドアハウジング(100)において室内方向に設置され、室内環境情報を取得する複合センサ部材(200)と、
前記ドアハウジング(100)において室外方向に設置され、前記ドアハウジング(100)の前方の室外情報を取得するカメラ部材(300)と、
前記複合センサ部材(200)の室内環境情報と前記カメラ部材(300)の室外情報とに基づいて、ドアが開放されても安全な状況であるか否かを判断する安全確認部材(400)と、
ネットワークを介して外部とのデータ通信経路を提供する外部通信部材(500)と、
前記外部通信部材(500)を介して正常出入者から提供された証拠データを受信し、内部登録する出入登録部材(600)と、
ドア開放要求に対応し、前記カメラ部材(300)の室外情報から得られた出入要求者のトライアルデータが前記出入登録部材(600)に正常出入者として登録されているか否かに応じて、出入権限有無を判断する権限確認部材(700)と、
ドアを選択的にロックするドア開閉部材(800)と、
前記安全確認部材(400)の判断結果と前記権限確認部材(700)の判断結果とに基づいて、ドアを開放するか否かを決定し、それに対応して前記ドア開閉部材(800)を制御する開閉制御部材(900)と、
を含んで構成され、
前記複合センサ部材(200)、カメラ部材(300)、安全確認部材(400)、外部通信部材(500)、出入登録部材(600)、権限確認部材(700)、ドア開閉部材(800)、及び開閉制御部材(900)が前記ドアハウジング(100)に一体に形成されることを特徴とする、複合センサ及びカメラ一体型安全ドア。
【請求項2】
前記カメラ部材(300)が、第1のモジュール化構成からなり、前記ドアハウジング(100)に対して起立状態の人の顔に対応する高さで室外方向に埋め込み固定設置され、
前記複合センサ部材(200)が、第2のモジュール化構成からなり、前記ドアハウジング(100)において、前記カメラ部材(300)と整列されていない位置で室内方向に埋め込み固定設置されることを特徴とする、請求項1に記載の複合センサ及びカメラ一体型安全ドア。
【請求項3】
前記カメラ部材(300)が、
前記ドアハウジング(100)の前方の室外空間に位置する出入要求者の体温測定データを取得するための熱画像カメラ(310)と、
前記ドアハウジング(100)の前方の室外空間に位置する出入要求者のトライアルデータを取得するための室外撮影カメラ(320)と、
カメラ撮影の照明を提供するための発光部材(330)と、
を含んで構成され、
前記安全確認部材(400)が、
熱画像カメラ(310)から得られた出入要求者の体温測定値が予め設定されたしきい値以上である場合には、ウイルス感染の可能性により、ドアを開くには危険な状況であると判断する感染防止部材(410)を含んで構成されることを特徴とする、請求項1に記載の複合センサ及びカメラ一体型安全ドア。
【請求項4】
前記複合センサ部材(200)が、
室内空間の二酸化炭素濃度、一酸化炭素濃度、メタンガス濃度、及び有毒ガス濃度のうち少なくとも1つを検出するガス検出センサ(210)と、
室内空間において炎の有無を検出する火炎検出センサ(220)と、
室内空間の温度を検出する温度検出センサ(230)と、
室内空間の湿度を検出する湿度検出センサ(240)と、
を含んで構成され、
前記安全確認部材(400)が、
前記火炎検出センサ(220)によって火炎が検出され、前記温度検出センサ(230)によって温度上昇が検出され、前記湿度検出センサ(240)によって湿度低下が検出され、前記ガス検出センサ(210)によってガス濃度の増加が検出されると、室内空間の火災発生可能性により、ドアを開くには危険な状況であると判断する火災防止部材(420)を含んで構成されることを特徴とする、請求項1に記載の複合センサ及びカメラ一体型安全ドア。
【請求項5】
前記複合センサ部材(200)が、
前記ドアハウジング(100)に対する振動を検出する振動検出センサ(250)と、
前記ドアハウジング(100)で発生した騒音を検出する騒音検出センサ(260)と、
をさらに含んで構成され、
前記安全確認部材(400)が、
前記振動検出センサ(250)から得られた振動測定値が予め設定されたしきい値を超え、且つ、前記騒音検出センサ(260)から得られた騒音測定値が予め設定されたしきい値を超えると、ドアが異常に開かれる可能性により、ドアを開くには危険な状況であると判断する侵入防止部材(430)をさらに含んで構成されることを特徴とする、請求項4に記載の複合センサ及びカメラ一体型安全ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にホテルやオフィスなどにおいて、一定の空間を便利且つ安全に利用できるように技術的にサポートする複合センサ及びカメラ一体型安全ドアに関する。
特に、本発明は、ネットワークを介して正常出入者から提供された証拠データを受信して、それを内部に保存し、ドアに設置されたカメラで出入要求者からトライアルデータを取得して正当な利用者を検証することにより、非対面方式で出入管理を実装し、各種のセンサとカメラを取り付けて室内外のあらゆる危険な状況を確認するように構成することで、人々がホテルやオフィスなどを便利且つ安全に利用できるように技術的にサポートする複合センサ及びカメラ一体型安全ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ホテルやオフィスなどにおいては、一定の空間(例えば、客室、会議室、シェアオフィスのレンタル空間)の利用を管理するために、管理者(マネージャー)が常駐している。管理者は、オンラインまたはオフラインからの客室の予約を管理し、その決められた時間に利用者が現れると、予約者本人であることを身分証明書で確認した後、その空間に対するキー(key)を引き渡すなどの空間管理業務を行っていた。
【0003】
しかしながら、通常の空間管理の仕方は、利用者の利便性、管理コスト、ウイルス感染管理の面で好ましくない。
デスクに管理者が常駐する必要があるためにかなりのコストが掛かり、万が一不在の間に利用者が現れると、やむを得ず利用者が一定時間待つことになるので、サービスの満足度も低くなる。また、マネージャーは仕事の性質上、その空間を利用しようとする複数の人々と接触する必要があるため、ウイルス伝播のハブの役割を担うことになる。
【0004】
よって、このような課題を解決するための技術開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1715162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、一般的にホテルやオフィスなどにおいて、一定の空間を便利且つ安全に利用できるように技術的にサポートする複合センサ及びカメラ一体型安全ドアを提供することを目的とする。
【0007】
特に、本発明は、ネットワークを介して正常出入者から提供された証拠データを受信して、それを内部に保存し、ドアに設置されたカメラで出入要求者からトライアルデータを取得して正当な利用者を検証することにより、非対面方式で出入管理を実装し、各種のセンサとカメラを取り付けて室内外のあらゆる危険な状況を確認するように構成することで、人々がホテルやオフィスなどを便利且つ安全に利用できるように技術的にサポートする複合センサ及びカメラ一体型安全ドアを提供することを目的にする。
【0008】
なお、本発明が解決しようとする課題は、これらの事項に限定されるものではなく、本明細書の記載から、他の課題を理解することもできる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の複合センサ及びカメラ一体型安全ドアは、出入口に設置され、室内と室外を区別するドアハウジング100と、ドアハウジング100において室内方向に設置され、室内環境情報を取得する複合センサ部材200と、ドアハウジング100において室外方向に設置され、ドアハウジング100の前方の室外情報を取得するカメラ部材300と、複合センサ部材200の室内環境情報とカメラ部材300の室外情報とに基づいて、ドアが開放されても安全な状況であるか否かを判断する安全確認部材400と、ネットワークを介して外部とのデータ通信経路を提供する外部通信部材500と、外部通信部材500を介して正常出入者から提供された証拠データを受信し、内部登録する出入登録部材600と、ドア開放要求に対応し、カメラ部材300の室外情報から得られた出入要求者のトライアルデータが出入登録部材600に正常出入者として登録されているか否かに応じて、出入権限有無を判断する権限確認部材700と、ドアを選択的にロックするドア開閉部材800と、安全確認部材400の判断結果と権限確認部材700の判断結果とに基づいて、ドアを開放するか否かを決定し、それに対応してドア開閉部材800を制御する開閉制御部材900と、を含んで構成される。
【0010】
そのとき、複合センサ部材200、カメラ部材300、安全確認部材400、外部通信部材500、出入登録部材600、権限確認部材700、ドア開閉部材800、及び開閉制御部材900がドアハウジング100に一体に形成される。
【0011】
本発明のカメラ部材300は、第1のモジュール化構成からなり、ドアハウジング100に対して起立状態の人の顔に対応する高さで室外方向に埋め込み固定設置され、複合センサ部材200は、第2のモジュール化構成からなり、ドアハウジング100において、カメラ部材300と整列されていない位置で室内方向に埋め込み固定設置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ホテルやオフィスなどの空間を非対面(untact)で利用することができるといった利点がある。利用者がスマートフォンのアプリで自分の顔写真を撮って送信するだけで、その空間を利用できるようになる。従来では、空間管理者が接触ハブになってウイルス感染を伝播する虞があったが、本発明では、そのようなリスク要因が排除されているので、比較的安全である。
【0013】
また、本発明によれば、熱画像カメラを用いて出入要求者の体温を確認し、安全な場合のみにドアを開放するので、アンチウイルス(anti-virus)を達成することができるといった利点がある。
【0014】
また、本発明によれば、室内に火災が発生したり、乱暴な行動をしながらその空間に入ろうとする場合には、ドアが開かないため、空間利用者の危険な状況を未然に防ぐことができる(anti-threat)といった利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る複合センサ及びカメラ一体型安全ドアの内部構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明に係る複合センサ及びカメラ一体型安全ドアのハードウェア構成の一例を示す概念図である。
【
図3】本発明の安全確認部材の動作を示す概念図である。
【
図4】本発明の出入登録部材と権限確認部材の動作を示す概念図である。
【
図5】本発明に係る安全ドアがクラウドサーバと協調動作する様子を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る複合センサ及びカメラ一体型安全ドアの内部構成を示すブロック図であり、
図2は、本発明に係る安全ドアのハードウェア構成の一例を示す概念図である。
【0017】
本発明に係る安全ドアは、その空間を利用しようとする人が安全ドアの指定アドレスに自分の顔写真を送信することによって出入予約(登録)が可能であり、管理者の協力を必要とすることなく安全ドアが自主的に出入管理を行うことができる。管理者がないことから生じ得る問題を防ぐために、安全ドアは、リスク要因を判断するための複合センサを使用し、顔認識と高熱及びマスクを把握するために、ステレオカメラと熱画像カメラを用いる。
【0018】
図1を参照すると、本発明に係る安全ドアは、ドアハウジング100、複合センサ部材200、カメラ部材300、安全確認部材400、外部通信部材500、出入登録部材600、権限確認部材700、ドア開閉部材800、及び開閉制御部材900を含んで構成される。
【0019】
まず、ドアハウジング100は、ホテルやオフィスなどにおける特定の空間、例えば、客室、フィットネスジム、ロッカー、個々のワーク空間、会議室、ミーティングルームなどの出入口に設置され、室内と室外を区別する器具物である。
【0020】
複合センサ部材200は、ドア開閉に関連する様々なリスク要因を判断するために室内環境情報を取得する構成要素である。一実施例として、
図2を参照すると、本発明において、複合センサ部材200は、室内空間の二酸化炭素濃度、一酸化炭素濃度、メタンガス濃度、及び有毒ガス濃度のうち少なくとも1つを検出するガス検出センサ210と、室内空間において炎の有無を検出する火炎検出センサ220と、室内空間の温度を検出する温度検出センサ230と、室内空間の湿度を検出する湿度検出センサ240と、ドアハウジング100に対する振動を検出する振動検出センサ250と、ドアハウジング100で発生した騒音を検出する騒音検出センサ260とを含んで構成されてもよい。
【0021】
図2に示すように、複合センサ部材200は、個々の部品が散在されず、単一のモジュール内にセンサ部品が搭載されているモジュール化構成からなることが性能維持及び安全ドアの製造効率の面で好ましい。また、室内環境情報を取得することができるように、複合センサ部材200は、ドアハウジング100の室内方向に埋め込み固定設置されることが好ましい。
【0022】
カメラ部材300は、ドアハウジング100において室外方向に設置され、ドアハウジング100の前方の室外情報を取得する構成要素である。一実施例として、
図2を参照すると、本発明のカメラ部材300は、ドアハウジング100の前方の室外空間に位置する出入要求者の体温を測定し、その結果データを取得するための熱画像カメラ310と、ドアハウジング100の前方の室外空間に位置する出入要求者のトライアルデータ(例えば、顔写真)を取得するための室外撮影カメラ320と、カメラ撮影の照明を提供するための発光部材330と、遠隔地の管理者やAIコンピュータが出入希望者とコミュニケーションを取るための双方向オーディオ部材340とを備えてもよい。
【0023】
図2に示すように、カメラ部材300は、個々の部品が散在されず、単一のモジュール(ボックス装置)内にカメラ部品、LED、マイク、スピーカなどが搭載されているモジュール化構成からなることが性能維持及び安全ドアの製造効率の面で好ましい。また、ドアハウジング100の前方に位置している人の体温と顔写真を取得するために、カメラ部材300は、ドアハウジング100に対して起立状態の人の顔に対応する高さで室外方向に埋め込み固定設置されることが好ましい。なお、車椅子を利用する人(例えば、障害者、高齢者)がその空間を利用しようとする場合も考慮することが好ましい。そのときは、座った状態の人の顔に対応する高さにカメラをさらに備える。
【0024】
そして、複合センサ部材200とカメラ部材300は、ドアハウジング100の両端面において、相互整列されていない位置に設置されることが好ましい。これらが整列された位置に設置されるか、あるいは単一のモジュールとして実装されると、ドアの外部からモジュールを強く打撃したとき、ドアを貫通する穴ができてしまい、その穴から手や機器を貫通させてドアを開くことができるので、セキュリティ面で大きな抜け穴が生じる。それに対して、複合センサ部材200とカメラ部材300が整列されていない位置に配置されると、ドアの外部からカメラ部材300を打撃してもドアが貫通されることなく、複合センサ部材200を打撃すべき空間も確保することができないため、セキュリティが強化される。
【0025】
安全確認部材400は、複合センサ部材200の室内環境情報とカメラ部材300の室外情報とに基づいて、ドアが開放されても安全な状況であるか否かを判断する構成要素である。
図3を参照して、安全確認部材400の構成について詳細に説明する。
【0026】
外部通信部材500は、ネットワーク(例えば、インターネット、無線LAN、移動通信網など)を介して外部とのデータ通信経路を提供する。
図2を参照すると、本発明に係る安全ドアは、自主的に外部通信部材500を備える。
【0027】
出入登録部材600は、外部通信部材500を介して、正常出入者が提供した証拠データ(例えば、顔写真)の提供を受け、内部登録する構成要素である。例えば、ホテルの客室を予約する場合には、その客室を利用する人の顔写真を提供してもらい、ドア内部のコンピュータ装置に保存する。
図2を参照すると、本発明に係る安全ドアは、自主的に小型コンピュータ(MCU)を備えており、出入登録部材600もまた、この小型コンピュータに実装されることが好ましい。そのとき、顔写真の提供を受ける方法は、様々に実装され得るが、正常出入者のスマートフォンから直接送信してもよく、外部サーバを介して送信してもよい。
【0028】
権限確認部材700は、ドア開放要求(例えば、ドアに設置されたオープンボタン、ドアノブを回す操作など)が識別されると、そのドア開放要求に対応し、カメラ部材300の室外情報から得られた出入要求者のトライアルデータ(trial data)が出入登録部材600の正常出入者として登録されているか否かに応じて、出入権限有無を判断する構成要素である。これらのトライアルデータの一例としては、ドアハウジング100の室外方向に設置された室外撮影カメラ320で撮影した顔写真が挙げられる。個人のスマートフォンで専用アプリ(app)を介して使用スケジュールと空間の種類を選択し、決済後に顔写真を送るだけで、別途のチェックイン手続きなく、その空間(例えば、客室)を使用することができる。なお、チェックアウトは、予約スケジュールによる自動チェックアウト、またはスマートフォンのアプリによるチェックアウトが可能である。
【0029】
ドア開閉部材800は、ドアを選択的にロック(locking)する構成要素であり、例えば、電子開閉装置(magnetic swithch)で実装することができる。
【0030】
開閉制御部材900は、安全確認部材400の判断結果と権限確認部材700の判断結果とに基づいて、ドアを開放するか否かを決定し、それに対応してドア開閉部材800を制御する構成要素である。安全確認部材400の判断結果からして、特別なリスク要因が発見されず、ドアを開放しても安全な状況であると判断され、且つ権限確認部材700の判断結果からして、現在ドアの前にいる人が正常出入者に該当すると判断した場合、開閉制御部材900は、ドア開閉部材800を制御して、ドアを開放する。
【0031】
なお、
図1及び
図2に示すように、本発明に係る安全ドアを構成する複合センサ部材200、カメラ部材300、安全確認部材400、外部通信部材500、出入登録部材600、権限確認部材700、ドア開閉部材800、及び開閉制御部材900は、ドアハウジング100に一体に形成されることが好ましい。それにより、ネットワークの遅延を防止することにより、安全ドアの応答性が向上され、ハッキングの可能性を排除することにより、安全ドアのセキュリティが向上される。また、従来の一般的な設備からドアを交換するだけで、本発明の実装が可能になるため、本発明を実施するのに必要とされる投資額も下げることができる。
【0032】
図3は、本発明の安全確認部材400の動作を示す概念図である。
本発明において、安全確認部材400は、複合センサ部材200の室内環境情報とカメラ部材300の室外情報とに基づいて、ドアが開放されても安全な状況であるか否かを判断する構成要素である。ドアに複合センサ、顔認識及び体温検出カメラを搭載して、異常な状況下におけるドア開放を遮断し、外部からの異常なドア開放の試みを検出する構成である。
【0033】
安全確認部材400が識別する異常な状況とは、出入要求者が高熱の場合(例えば、37.5度以上)、室内火災などで温度が急上昇している場合、室内で火炎が発生した場合、室内でガス漏れなどが発生した場合、異常なドア開放の試み(例えば、ドリル操作、ドライバの嵌めこみ、ドアラッチの強制開放、岩投擲など)が検出された場合、異常な方向のドア開放が検出された場合などである。この中で異常な方向のドア開放は、本発明者の特許文献1「発明の名称:異常なドア開放検出方法」に開示されているので、本明細書ではその説明を省略する。
【0034】
図3を参照すると、安全確認部材400は、感染防止部材410、火災防止部材420、及び侵入防止部材430を備える。
感染防止部材410は、熱画像カメラ310から得られた出入要求者の体温測定値が予め設定されたしきい値(例えば、37.5度)以上であると、ウイルス感染の可能性があると見て、ドアを開放すると室内空間がウイルスに感染する虞があるので、危険な状況であると判断する。
【0035】
従来の一般的なドアの場合には、管理者が注意深く観察しない限り、健康異常者も何の制裁なしに出入りしていた。それに対して、本発明では、ウイルス感染などから高熱が発生した訪問者を検出し、ドア開放を遮断する。加えて、政府の行政命令に応じてマスクの着用が強制される場合に、感染防止部材410は、室外撮影カメラ320の撮影映像から出入要求者がマスクを着用していないことを確認した場合、危険な状況であると判断する。
【0036】
火災防止部材420は、火炎検出センサ220によって室内で火炎が検出され、温度検出センサ230によって温度上昇が検出され、湿度検出センサ240によって湿度低下が検出され、ガス検出センサ210によってガス濃度の増加が検出されると、室内空間の火災発生の可能性があると判断する。ドアを開放すると急激な酸素供給によって爆発が生じる虞があるため(バックドラフト現象)、危険な状況であると判断する。従来の一般的なドアの場合には、外部からドアを開いて入ろうとする人は、内部の火災状況を知ることができないために、バックドラフトによる爆発事故のリスクに無防備にさらされていた。
【0037】
侵入防止部材430は、振動検出センサ250から得られた振動測定値が予め設定されたしきい値を超え、且つ、騒音検出センサ260から得られた騒音測定値が予め設定されたしきい値を超えると、ドアが異常に開かれる可能性により、ドアを開くには危険な状況であると判断する構成要素である。異常なドア開放の試みを振動検出センサ250と騒音検出センサ260を用いて検出する。そのとき、機械学習(machine learning)により、普段頻繁に検出される音や振動は無視し、異常なドア開放の試みで発生する音や振動を選択的に検出するように構成することが好ましい。
【0038】
ここで、異常なドア開放の試みとは、中に人がいることを確認するために石を投げる行為、ドアノブを強引に回したり、押し引きする行動、特定の道具(ドリル、ドライバー)でドアを開放しようとする行動が挙げられる。異常なドア開放の試みに適切に対応せずにドアが開いてしまうと、ドアが開く途端に銃撃、放火、凶器による攻撃が起こったり、警察と警備が出動する前に盗難などが発生する虞があるので、正当な利用者が危険に陥ることになる。よって、ドアが開かないように、電子開閉装置を強く制御する必要がある。
【0039】
なお、
図3に示されてはいないが、安全確認部材400は、悲鳴や爆発などの大きな音、誰もいない状況での照明点灯(不法侵入)、基準値以上の有害ガス(例えば、二酸化炭素、一酸化炭素など)の濃度、ガス漏れなどを検出して危険な状況であると判断する構成要素を備えてもよい。
【0040】
図4は、本発明の出入登録部材600と権限確認部材700の動作を示す概念図である。
まず、ホテル客室の予約やシェアオフィス空間の予約など、その空間を利用しようとする人は、スマートフォンのアプリで予約関連情報を入力し、自分の顔写真を送信する。その顔写真は、外部通信部材500を介して出入登録部材600に伝達され、出入登録部材600は、その正常出入者に対する証拠データとして、その顔写真を内部に登録管理する。そのとき、証拠データを保存するデータベースは、安全ドアの内部に実装されることが好ましい。
【0041】
次いで、その予約に基づいてその空間を利用しようとする人は、その予約した空間(客室、オフィス)の前に到着して、ドア開放を要求する。それに対応して、安全ドアのカメラ部材300は、出入要求者の顔を撮影することでトライアルデータを取得し、権限確認部材700は、そのトライアルデータが正常出入者の証拠データとして登録されているか否かを確認する。
【0042】
仮に登録されている場合は、権限確認部材700は、出入要求者に出入権限があると判断する。その一方、仮に登録されていない場合は、権限確認部材700は、出入要求者に出入権限がないと判断する。このような構成によれば、スマートフォンのカメラを用いて顔写真を送るだけで空間の使用を予約することができるので、ホテルの客室やシェアオフィスの会議室の使用管理において、管理者との接触が不要である。よって、管理者は、ウイルス拡散のハブの役割を担うリスクが排除される。
【0043】
また、本発明によれば、従来の問題点であった事実上の違法な出入りといえる、一つの認証(予約)で二人がその空間を利用することを排除することができ、アンチパスバック(anti-passback)が達成される。
【0044】
なお、本明細書では、証拠データとトライアルデータが生体情報、例えば、顔写真、虹彩写真、指紋画像である場合を中心に説明した。しかしながら、本発明が、他の実装方法を排除することではない。例えば、身分証明書の写真や自分が持ち歩いているもの(例えば、判子、人形、バッグ)の写真やペットの顔や足の写真を含む方法が排除されるものではない。
【0045】
図5は、本発明に係る安全ドアがクラウドサーバと協調動作する様子を示す概念図である。
図5を参照すると、互いに遠隔地に位置する安全ドアとスマートフォン、クラウドサーバがインターネットを介して接続され、ホテルの客室などの特定の空間の使用管理に協調動作する。
【0046】
安全ドアは、内部に小型コンピュータを内蔵し、自主的に顔認識などによってドア開放またはロック(locking)を制御することができる。但し、その空間の管理に関する情報の更新とログのバックアップのために、安全ドアのコンピュータシステムは、クラウドサーバと通信を行うことが好ましい。