(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024284
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】PTCスターター
(51)【国際特許分類】
H01C 7/02 20060101AFI20230209BHJP
H01C 1/02 20060101ALI20230209BHJP
H01C 1/148 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
H01C7/02
H01C1/02 Z
H01C1/148 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022099307
(22)【出願日】2022-06-21
(31)【優先権主張番号】202110901499.3
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522248157
【氏名又は名称】杭州星▲帥▼▲爾▼▲電▼器股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HANGZHOU STAR SHUAIER ELECTRIC APPLIANCE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 海
(72)【発明者】
【氏名】徐 宇▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ ▲華▼民
(72)【発明者】
【氏名】▲盧▼ 文成
(72)【発明者】
【氏名】▲範▼ 成▲鋼▼
【テーマコード(参考)】
5E028
5E034
【Fターム(参考)】
5E028AA01
5E028BA21
5E028BB09
5E028DA06
5E028EA12
5E028JA06
5E028JA07
5E028JB03
5E034AA07
5E034AB01
5E034DA03
5E034DB03
5E034DB06
5E034DB09
5E034DC10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】合理的な構造設計及びより高い安全性及び信頼性を有するPTCスターターを提供する。
【解決手段】PTCスターターにおいて、第一のピン2は、サーミスタ6の第一の電極と電気的に接続する。サーミスタは、サーミスタ取り付けキャビティの中に設置されている。弾性素子4は、弾性素子取り付けキャビティの中に取り付けされ、接続片が設置されている。第二のピン5は、接続片によりサーミスタの第二の電極との電気的接続及び遮断を実現する。サーミスタの正常状態では、弾性素子は、弾性変形状態であり、弾性素子接触部一が、サーミスタの第二の電極と電気的に接触し、弾性素子接触部二が第二のピンと電気的に接触する。サーミスタが破裂すると、弾性素子がリセットされ、接続片がリセットの作用により移動し、弾性素子接触部二が第二のピンから離れる。サーミスタ取り付けキャビティと弾性素子取り付けキャビティの間には、隔離構造が設置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング、第一のピン、第二のピン及びサーミスタを備え、第一のピン、第二のピン及びサーミスタは、ケーシングに取り付けられ、第一のピンは、サーミスタの第一の電極に電気的に接続され、前記ケーシングには、サーミスタ取り付けキャビティが設置され、前記サーミスタは、サーミスタ取り付けキャビティの中に設置されている、PTCスターターであって、
弾性素子を更に備え、前記ケーシングには、弾性素子取り付けキャビティが設置され、当該弾性素子が弾性素子取り付けキャビティの中に取り付けられ、
弾性素子には、接続片が設置されており、接続片の両端には、弾性素子接触部一及び弾性素子接触部二が設置され、
第二のピンは、前記接続片によりサーミスタの第二の電極との電気的接続及び遮断を実現し、
サーミスタの正常状態では、弾性素子は、弾性変形状態にあり、弾性素子接触部一は、サーミスタの第二の電極と電気的に接触し、弾性素子接触部二は、第二のピンと電気的に接触し、第二のピンは、サーミスタの第二の電極との電気的接続を実現し、
サーミスタが破裂すると、弾性素子がリセットされ、接続片がリセットの作用により移動し、破裂したサーミスタを押し上げて退けることで、弾性素子接触部二が第二のピンから離れ、第二のピンとサーミスタの第二の電極の電気的接続が遮断され、
サーミスタ取り付けキャビティと弾性素子取り付けキャビティの間には、サーミスタ取り付けキャビティの中のサーミスタ破片が弾性素子取り付けキャビティに飛散するのを防ぐ隔離構造が設置されていることを特徴とするPTCスターター。
【請求項2】
前記弾性素子には、固定片及び弾性アームが更に設置され、固定片は、弾性素子取り付けキャビティの中に取り付けられ、接続片は、弾性アームにより固定片に設置されていることを特徴とする請求項1に記載のPTCスターター。
【請求項3】
前記隔離構造は、隔離壁であり、隔離壁は、ケーシング内に固定されており、サーミスタ取り付けキャビティと弾性素子取り付けキャビティを隔離することを特徴とする請求項1に記載のPTCスターター。
【請求項4】
前記隔離構造は、ベース隔離壁及びカバープレート隔離壁を備え、ベース隔離壁とカバープレート隔離壁が組み合わせられると、サーミスタ取り付けキャビティと弾性素子取り付けキャビティが隔離されることを特徴とする請求項3に記載のPTCスターター。
【請求項5】
ケーシングに取り付けられている第一の弾性材を更に備え、
前記第一の弾性材には、サーミスタの第一の電極と接触する第一の弾性材接触部が設置され、
前記第一のピンには、第一の端子接触部が設置され、第一のピンは、第一の端子接触部によりサーミスタの第一の電極と電気的に接触することで、第一のピンとサーミスタの第一の電極の電気的接続を実現し、
第一の端子接触部、第一の弾性材接触部、弾性素子接触部一の3点の挟み保持により、サーミスタがサーミスタ取り付けキャビティに固定して設置されていることを特徴とする請求項1に記載のPTCスターター。
【請求項6】
前記第一のピンには、第一の端子が設置され、前記第一の端子接触部は、第一の端子の端部に設置されていることを特徴とする請求項5に記載のPTCスターター。
【請求項7】
第一のピンと電気的に接続されている第二の弾性材を更に備え、第二の弾性材には、第二の弾性材接触部一及び第二の弾性材接触部二が設置され、第二の弾性材接触部一及び第二の弾性材接触部二は、何れもサーミスタの第一の電極と電気的に接触することで、第一のピンとサーミスタの第一の電極の電気的接続を実現し、
第二の弾性材接触部一、第二の弾性材接触部二、弾性素子接触部一の3点の挟み保持により、サーミスタがサーミスタ取り付けキャビティに固定して設置されていることを特徴とする請求項1に記載のPTCスターター。
【請求項8】
ケーシングの中に固定して取り付けられている支持材を更に備え、支持材には、支持材接触部が設置され、支持材接触部は、サーミスタの第一の電極と接触しており、
前記第一のピンには、第一の端子が弾性的に設置されており、第一の端子の端部には、第一の端子接触部が設置され、第一の端子接触部は、サーミスタの第一の電極と電気的に接触していることで、第一のピンとサーミスタの第一の電極の電気的接続を実現し、
第一の端子接触部、支持材接触部、弾性素子接触部一の3点の挟み保持により、サーミスタがサーミスタ取り付けキャビティに固定して設置されていることを特徴とする請求項1に記載のPTCスターター。
【請求項9】
前記第二のピンには、第二のピン接触部が設置されており、弾性素子接触部二は、第二のピン接触部により第二のピンとの電気的接続及び分離を実現することを特徴とする請求項1に記載のPTCスターター。
【請求項10】
前記第二の弾性材が弾性変形状態である場合、第二の弾性材接触部一と第二の弾性材接触部二は、サーミスタの第一の電極と電気的に接触することを特徴とする請求項7に記載のPTCスターター。
【請求項11】
前記第一の端子が弾性変形状態である場合、第一の端子接触部は、サーミスタの第一の電極と電気的に接触することを特徴とする請求項8に記載のPTCスターター。
【請求項12】
前記第一の弾性材が弾性変形状態である場合、第一の弾性材接触部は、サーミスタの第一の電極と電気的に接触することを特徴とする請求項5に記載のPTCスターター。
【請求項13】
前記弾性素子接触部一は、サーミスタの第二電極の中間部と電気的に接触し、
前記第一の端子接触部、第一の弾性材接触部は、弾性素子接触部一の中心線の両側に分布されており、サーミスタの第一の電極の辺部と電気的に接触していることを特徴とする請求項5に記載のPTCスターター。
【請求項14】
前記弾性素子接触部一は、サーミスタの第二の電極の中間部と電気的に接触し、
前記第二の弾性材接触部一、第二の弾性材接触部二は、弾性素子接触部一の中心線の両側に分布されており、サーミスタの第一の電極の辺部と電気的に接触していることを特徴とする請求項7に記載のPTCスターター。
【請求項15】
前記弾性素子接触部一は、サーミスタの第二の電極の中間部と電気的に接触し、
前記第一の端子接触部、支持材接触部は、弾性素子接触部一の中心線の両側に分布されており、サーミスタの第一の電極の辺部と電気的に接触していることを特徴とする請求項8に記載のPTCスターター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、PTCスターターに関し、主に、動作コンデンサ又は始動コンデンサを備えたコンプレッサーモーターの始動に適しており、一般的な単相ACモーターの始動にも用いることができる。
【背景技術】
【0002】
現在、冷媒圧縮機の多くは、分相型単相非同期モーターを用いており、モーターを自動的に始動させるために、モーターの固定子鉄心に2組の巻線が設置され、即ち、主磁場を発生させるための主巻線及び補助磁場を発生させるための補助巻線であり、電源投入後、主磁場と補助磁場により合成された回転磁場が静止ローターを切割して一定の電磁トルクを発生させることにより、ローターが回転し、始動後のロータートルクが徐々に増加し、回転速度が同期速度の75%~80%に達した場合、補助巻線回路が遮断されて、モーターは、外部インピーダンストルクとのバランスがとれ、安定的に運転するまで回転を続けて加速する。通常、PTCスターターを用いて始動プロセスを完了する。冷媒圧縮機のモーターの補助巻線には、PTCスターターが直列に接続されている。PTCスターターは、室温で抵抗値が小さい導通状態にあり、始動時の電流の熱効果により、PTC素子が短時間で温度上昇し、キュリーポイントに達すると、その抵抗値が数十キロオーム以上に急激に増加し、この時、補助巻線に対するインピーダンス比が開回路に相当し、直列に接続された始動巻線の電流が12mA以下に低下すると、モーターの始動プロセスが完了し、通常の運転になる。
【0003】
従来技術のPTC素子は、長期間の使用後又は使用環境の悪化により、その物理的構造が老化する可能性があり、動作中、スターターの内部異常により熱及び火花が発生することで、スターターの内部のPCT素子の損傷及び破裂が生じてしまう。また、破裂した破片は、左右の接続端子が短絡することを招き、アーク放電、過熱、過電流等の一連の問題が発生し、深刻な場合、圧縮機のモーターが焼損する恐れがある。
【0004】
中国特許出願CN103489551Aは、電子デバイスを開示している。当該電子デバイスは、第一の電極及び第二の電極がそれぞれその2つの対向する側面に位置する電子素子と、第一の端子及び第二の端子と、前記第一の端子に取り付けられ、前記第一の端子に電気的に接続されている支持材と、前記第二の端子に取り付けられ、前記第二の端子に電子的に接続され、前記第二の電極に接触されるとともに電気的に接続されている第二の接触部を備える第二の支持材と、前記第一の電極及び前記第二の電極のうちの何れか1つに接触されている第三の接触部を備える第三の弾性支持材とを備える。当該電子デバイスの特徴としては、前記第三の弾性支持材は、故障状態で電子素子が破裂した場合、電子素子を、前記支持材と前記第二の支持材のうちの何れか1つとの接触から離れるように押すように、また、第三の弾性支持材において前記第一の接触部又は前記第二の接触部が電子素子の破片から分離されるように電子素子を押すように設置される。なお、故障状態で電子素子が破裂した場合、前記第三の弾性支持材は、前記支持材と前記第二の支持材のうちの前記1つの支持材及び前記1つの支持材に電気的に接続されている端子と電気的に絶縁されている。
【0005】
当該特許文献では、3つの実施形態を例として挙げて説明を行ったが、幾つかの欠陥もある。
【0006】
1、第一の実施形態においては、
図3から分かるように、第一の接触部71、第二の接触部81、第三の弾性接触部63及び電子素子54が同じ取り付けキャビティに取り付けされている。電子素子5が破裂した場合、第三の接触部63の2つの叉部により、電子素子5の破片を押し離すことができるが、実際には、微粒子状の破片が存在する場合、当該破片は、第三の接触部63と第二の接触部81との間に挟まれることで、電子素子5を回路から完全に遮断するという目的を実現することができない可能性がある。また、深刻な場合、短絡が相変わらず発生する可能性があり、モーターが焼損するという隠れた危険を引き起こす恐れがある。
【0007】
2、第二の実施形態においては、
図7から分かるように、電子素子5は、第一の接触部71’、第二の接触部81’、第三の接触部63’、第四の接触部64’により支持及び接続されており、同じ取り付けキャビティに取り付けされている。電子素子5が破裂した場合、生じた微粒子状の破片は、第三の接触部63’と第二の接触部81’の間に挟まることで、電子素子5を回路から完全に遮断するという目的を実現することができない可能性がある。また、深刻な場合、短絡が相変わらず発生する可能性があり、モーターが焼損するという隠れた危険を引き起こす恐れがある。
【0008】
3、第三の実施形態においては、
図8、
図9から分かるように、電子素子5は、第一の接触部71”、第二の接触部81”、第五の接触部82”、第三の弾性支持材6により支持及び接続されおり、同じ取り付けキャビティに取り付けされている。電子素子5が破裂した場合、生じた微粒子状の破片は、第三の接触部63”と第一の接触部71”の間に挟まることで、電子素子5を回路から完全に遮断するという目的を実現することができない可能性がある。また、深刻な場合、短絡が相変わらず発生する可能性があり、モーターが焼損するという隠れた危険を引き起こす恐れがある。
【0009】
大量の実験から分かるように、PTCスターターが故障状態で、サーミスタが破裂した場合、微粒子状の破片が発生する確率は、10%以上である。上述の通り、上述した特許文献による技術案の場合、サーミスタが破裂することで、微粒子状の破片が発生した場合、電子素子を回路から完全に遮断するという目的を依然として実現することができない。深刻な場合で、短絡が相変わらず発生する可能性があり、モーターが焼損するという隠れた危険を引き起こす恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、従来技術における上述した不足を克服し、合理的な構造設計並びにより高い安全性及び信頼性を有するPTCスターターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した問題を解決するために、本発明による技術案は、ケーシング、第一のピン、第二のピン及びサーミスタを備えるPTCスターターを提供する。第一のピン、第二のピン及びサーミスタは、それぞれケーシングに取り付けられている。第一のピンは、サーミスタの第一の電極に電気的に接続されている。前記ケーシングには、サーミスタ取り付けキャビティが設置されている。前記サーミスタは、サーミスタ取り付けキャビティの中に設置されている。前記PTCスターターの特徴としては、以下の通りである。即ち、前記PTCスターターは、弾性素子を更に備え、前記ケーシングには、弾性素子取り付けキャビティが設置され、当該弾性素子が弾性素子取り付けキャビティの中に取り付けられている。弾性素子には、接続片が設置されており、接続片の両端には、弾性素子接触部一及び弾性素子接触部二が設置されている。第二のピンは、前記接続片によりサーミスタの第二の電極との電気的接続及び遮断を実現する。サーミスタの正常の状態では、弾性素子は、弾性変形状態にあり、弾性素子接触部一は、サーミスタの第二の電極と電気的に接触し、弾性素子接触部二は、第二のピンと電気的に接触し、第二のピンは、サーミスタの第二の電極との電気的接続を実現する。サーミスタが破裂すると、弾性素子がリセットされ、接続片がリセットの作用により移動し、破裂したサーミスタを押し上げて退けることで、弾性素子接触部二が第二のピンから離れるようにさせ、第二のピンとサーミスタの第二の電極の電気的接続が遮断される。サーミスタ取り付けキャビティと弾性素子取り付けキャビティの間には、サーミスタ取り付けキャビティの中のサーミスタ破片が弾性素子取り付けキャビティに飛散するのを防ぐ隔離構造が設置されている。
【0012】
本発明に記載の弾性素子には、固定片及び弾性アームが更に設置されている。固定片は、弾性素子取り付けキャビティの中に取り付けられている。接続片は、弾性アームにより固定片上に弾性的に設置されている。
【0013】
本発明による隔離構造は、隔離壁であり、隔離壁は、ケーシング内に固定され、サーミスタ取り付けキャビティと弾性素子取り付けキャビティを隔離する。
【0014】
本発明による隔離構造は、ベース隔離壁及びカバープレート隔離壁を備え、ベース隔離壁とカバープレート隔離壁が組み合わせられると、サーミスタ取り付けキャビティと弾性素子取り付けキャビティが隔離される。
【0015】
本発明は、ケーシングに取り付けられている第一の弾性材を更に備える。前記第一の弾性材には、サーミスタの第一の電極と接触する第一の弾性材接触部が設置されている。前記第一のピンには、第一の端子接触部が設置されている。第一のピンは、第一の端子接触部によりサーミスタの第一の電極と電気的に接触することで、第一のピンとサーミスタの第一の電極の電気的接続を実現する。第一の端子接触部、第一の弾性材接触部、弾性素子接触部一の3点の挟み保持により、サーミスタがサーミスタ取り付けキャビティに固定して設置されている。
【0016】
本発明に記載の第一のピンには、第一の端子が設置されている。前記第一の端子の接触部は、第一の端子の端部に設置されている。
本発明は、第一のピンと電気的に接続されている第二の弾性材を更に備える。また、第二の弾性材には、第二の弾性材接触部一及び第二の弾性材接触部二が設置されている。第二の弾性材接触部一及び第二の弾性材接触部二は、何れもサーミスタの第一の電極と電気的に接触することで、第一のピンとサーミスタの第一の電極の電気的接続を実現する。第二の弾性材接触部一、第二の弾性材接触部二、弾性素子接触部一の3点の挟み保持により、サーミスタがサーミスタ取り付けキャビティに固定して設置されている。
【0017】
本発明は、ケーシングの中に固定して取り付けられている支持材を更に備える。支持材には、支持材接触部が設置されている。支持材接触部は、サーミスタの第一の電極と接触している。前記第一のピンには、第一の端子が弾性的に設置されている。第一の端子の端部には、第一の端子接触部が設置されている。第一の端子接触部は、サーミスタの第一の電極と電気的に接触していることで、第一のピンとサーミスタの第一の電極の電気的接続を実現する。第一の端子接触部、支持材接触部、弾性素子接触部一の3点の挟み保持により、サーミスタがサーミスタ取り付けキャビティに固定して設置されている。
【0018】
本発明に記載の第二のピンには、第二のピン接触部が設置されている。弾性素子接触部二は、第二のピン接触部により第二のピンとの電気的接続及び分離を実現する。
【0019】
本発明においては、前記第二の弾性材が弾性変形状態である場合、第二の弾性材接触部一と第二の弾性材接触部二は、サーミスタの第一の電極と電気的に接触する。
【0020】
本発明においては、前記第一の端子が弾性変形状態である場合、第一の端子接触部は、サーミスタの第一の電極と電気的に接触する。
【0021】
本発明においては、前記第一の弾性材が弾性変形状態である場合、第一の弾性材接触部は、サーミスタの第一の電極と接触する。
【0022】
本発明に記載の弾性素子接触部一は、サーミスタの第二電極の中間部と電気的に接触している。前記第一の端子接触部、第一の弾性材接触部は、弾性素子接触部一の中心線の両側に分布されており、サーミスタの第一の電極の辺部と電気的に接触している。
【0023】
本発明に記載の弾性素子接触部一は、サーミスタの第二の電極の中間部と電気的に接触している。前記第二の弾性材接触部一、第二の弾性材接触部二は、弾性素子接触部の中心線の両側に分布されており、サーミスタの第一の電極の辺部と電気的に接触している。
【0024】
本発明に記載の弾性素子接触部一は、サーミスタの第二の電極の中間部と電気的に接触している。前記第一の端子接触部、支持材接触部は、弾性素子接触部一の中心線の両側に分布されており、サーミスタの第一の電極の辺部と電気的に接触している。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、従来技術に比べ、以下のメリット及び効果を有する。本発明の第二のピンは、第二の電極と直接的に電気的に接続するのではなく、接続片によりサーミスタの第二の電極との電気的接続及び遮断を実現する。このように、第二のピンと第二の電極の間には、回路遮断ポイントが設置されている。当該回路遮断ポイントは、サーミスタと同じ取り付けキャビティ内に存在していない。また、サーミスタ取り付けキャビティと弾性素子取り付けキャビティの間には、サーミスタ取り付けキャビティの中のサーミスタ破片が弾性素子取り付けキャビティに飛散するのを防ぐための隔離構造が設置されている。上述した2つの措置により、サーミスタ破片が回路遮断ポイントのキャビティ内に入ることが防げ、再び短絡することを防ぐことができ、安全性及び信頼性がより高い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第一の実施形態の分解立体構造模式図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態のベース平面視構造模式図である。
【
図3】本発明の第一の実施形態の、カバープレートが除去された時の平面視構造模式図である。
【
図4】本発明の第一の実施形態のカバープレートの立体構造模式図である。
【
図5】本発明の第一の実施形態の第一のピンの立体構造模式図である。
【
図6】本発明の第一の実施形態の第一の弾性材の立体構造模式図である。
【
図7】本発明の第一の実施形態の弾性素子の立体構造模式図である。
【
図8】本発明の第一の実施形態の第二のピンの立体構造模式図である。
【
図9】本発明の第一の実施形態のサーミスタ及び各接触端の接続構造の模式図である。
【
図10】本発明の第一の実施形態のサーミスタの爆裂状態の模式図である。
【
図11】本発明の第一の実施形態のサーミスタが比較的小さい粒子形状に爆裂された破片状態の模式図である。
【
図12】本発明の第二の実施形態の構造模式図である。
【
図13】本発明の第二の実施形態の第二の弾性材の立体模式図である。
【
図14】本発明の第二の実施形態のサーミスタの爆裂状態の模式図である。
【
図15】本発明の第三の実施形態の構図模式図である。
【
図16】本発明の第三の実施形態のサーミスタの爆裂状態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、実施形態を用いて本発明を更に詳しく説明する。以下の実施形態は、本発明を解釈するために用いられている。本発明は、以下の実施形態に限らない。
【0028】
(第一の実施形態)
図1~
図11に示すように、本実施形態は、ハウジング、第一のピン2、第1の弾性材3、弾性素子4、第2のピン5及びサーミスタ6を備える。第1の弾性材3及び弾性素子4は、何れもばね板を用いている。
【0029】
ハウジングは、ベース1及びカバープレート7を備える。ベース1の左側及び右側には、それぞれ左クランプスロット1-7a及び右クランプスロット1-7bが設けられている。カバープレート7の左側及び右側には、それぞれ左クランプ爪7-3a及び右クランプ爪7-3bが設置されている。左クランプ爪7-3aは、左クランプスロット1-7aとクランプ接続されて固定され、右クランプ爪7-3bは、右クランプスロット1-7bとクランプ接続されて固定されている。よって、カバープレート7とベース1が固定接続されている。
【0030】
ベース1内には、サーミスタ取り付けキャビティ1-1、第一のピン取り付けキャビティ1-2、第一の弾性材取り付けキャビティ1-3、弾性素子取り付けキャビティ1-4及び第二のピン取り付けキャビティ1-5が設置されている。サーミスタ6は、サーミスタ取り付けキャビティ1-1に設置されている。第一のピン2は、第一のピン取り付けキャビティ1-2に設置されている。第一の弾性材3は、第一の弾性材取り付けキャビティ1-3に設置されている。弾性素子4は、弾性素子取り付けキャビティ1-4に設置されている。第二のピン5は、第二のピン取り付けキャビティ1-5に設置されている。その結果、第一のピン2、第一の弾性材3、弾性素子4、第二のピン5及びサーミスタ6がベース1上に設置されている。
【0031】
第一のピン2には、第一の端子2-1が設置されている。第一の端子2-1の端部には、第一の端子接触部2-2が設置されている。第一のピン2及び第一の端子2-1は、一体的に接続するように設置されても良く、他の接続方法で設置されても良い。第一のピン2は、第一の端子2-1に設置されている第一の端子接触部2-2により、サーミスタ6の第一の電極6-1と電気的に接続している。
【0032】
第一の弾性材3には、第一の弾性材接触部3-1が設置されている。第一の弾性材3の弾性変形後、第一の弾性材接触部3-1によりサーミスタ6の第一の電極6-1と接触し、当該接触は、電気的接触ではない。PTCスターターの通常の取り付け状態では、サーミスタ6に作用する第一弾性件3の弾性力が常に弾性アーム4-3の弾性力より大きい。
【0033】
第一の端子接触部2-2、第一の弾性材接触部3-1は、弾性素子接触部一4-1の中心線の両側に分布され、弾性素子接触部一4-1に対向して分布されている。第一の端子接触部2-2及び第一の弾性材接触部3-1は、サーミスタ6の第一の電極6-1の辺部(縁部)と電気的に接触している。
【0034】
第二のピン5には、第二のピン接触部5-1が設置されている。
【0035】
弾性素子4には、固定片4-4、弾性アーム4-3及び接続片4-5が設置されている。固定片4-4は、弾性素子取り付けキャビティ1-4の中に取り付けられている。接続片4-5は、弾性アーム4-3により固定片4-4に弾性的に設置されている。接続片4-5の両端には、弾性素子接触部一4-1及び弾性素子接触部二4-2が設置されている。弾性アーム4-3は、弾性構造であり、サーミスタにより弾性素子4に加えられる力が除去される時又は除去された後、弾性素子接触部二4-2を第二のピン接触部5-1から離す弾性力を有する。
【0036】
第二のピン5は、接続片4-5により、サーミスタ6の第二の電極6-2との電気的接続及び遮断を実現する。サーミスタ6の正常の状態では、弾性素子4は、弾性変形状態であり、弾性素子接触部一4-1は、サーミスタ6の第二の電極6-2の中央部と電気的に接触し、弾性素子接触部二4-2は、第二のピン接触部5-1と電気的に接触することにより、電気回路が形成されている。それに、第一の端子接触部2-2、第一の弾性材接触部3-1、弾性素子接触部一4-1の3点の挟み保持により、サーミスタ6の力のバランスが取れる。サーミスタ6は、サーミスタ取り付けキャビティ1-1の中に固定して設置され、静止状態を保つ。PTCスターターが故障状態となり、サーミスタ6が破裂した後、サーミスタ6に加えられる第一の端子接触部2-2、第一の弾性材接触部3-1、弾性素子接触部一4-1の力のバランス状態が存在しなくなり、弾性素子4が弾性的にリセットされる。この時、接続片4-5は、弾性素子の弾性アーム4-3の弾性力のリセット作用で移動し、即ち、接続片4-5は、弾性素子4の弾性リセット作用で移動し、破裂したサーミスタ6の破片を押し上げて退けると同時に、弾性素子接触部二4-2が第二のピン接触部5-1から離れる。この時、弾性素子接触部二4-2と第二のピン接触部5-1の間の離れた距離は、第二のピン5とサーミスタ6の第二の電極6-2の電気的接続を十分に遮断することができる。よって、通電回路を遮断する目的を達成することができる。
【0037】
サーミスタ取り付けキャビティ1-1と弾性素子取り付けキャビティ1-4の間には、サーミスタ取り付けキャビティ1-1の中のサーミスタの破片が弾性素子取り付けキャビティ1-4に飛散するのを防ぐための隔離構造が設置されている。隔離構造は、ケーシング内に固定されており、サーミスタ取り付けキャビティ1-1と弾性素子取り付けキャビティ1-4を隔離する。隔離構造は、隔離壁であっても良い。本実施形態においては、隔離構造は、ベース隔離壁1-6及びカバープレート隔離壁7-2を備える。ベース隔離壁1-6は、ベース1に固定されて設置されている。カバープレート隔離壁7-2は、カバープレート7に固定して設置されている。ベース隔離壁1-6とカバープレート隔離壁7-2が組み合わせられた後、サーミスタ取り付けキャビティ1-1と弾性素子取り付けキャビティ1-4が隔離される。
【0038】
図11に示すように、PTCスターターの故障状態では、サーミスタ6が破裂し、破片が比較的小さな粒子の形状になっている場合、弾性素子接触部4-1は、弾性素子の弾性アーム4-3の弾性力の作用で、破裂したサーミスタ6の破片を押し上げて退ける同時に、弾性素子接触部二4-2が第二のピン接触部5-1から離れる。また、隔離構造の保護作用により、サーミスタ取り付けキャビティ1-1の中の比較的小さな粒子形状の破片が弾性素子取り付けキャビティ1-4に飛散することで弾性素子接触部二4-2と第二のピン接触部5-1の間が再び短絡するという隠れた危険を引き起こすことが防げ、通電回路遮断の信頼性を高めるという目的を実現することができる。
【0039】
(第二の実施形態)
図12~
図14は、本発明の第二の実施形態の模式図であり、後述における異なる点を除き、他の構造が第一の実施形態と同じである又は類似している。
【0040】
本実施形態の第一のピン2’は、第一の実施形態の中の第一の端子2-1及び第一の端子接触部2-2が除去されている。また、本実施形態においては、第一の実施形態の第一の弾性材3が除去され、第二の弾性材8が追加された。第二の弾性材8は、ばね板を用いている。
【0041】
第二の弾性材8は、第一のピン2’と電気的に接続し、第二の弾性材8には、第二の弾性材接触部一8-1及び第二の弾性材接触部二8-2が弾性的に設置され、第二の弾性材8の弾性変形状態では、第二の弾性材接触部一8-1及び第二の弾性材接触部二8-2は、何れもサーミスタ6の第一の電極6-1と電気的に接触することにより、第一のピン2’は、第二の弾性材8により、サーミスタ6の第一の電極6-1と電気的に接触することを実現する。第二の弾性材接触部一8-1及び第二の弾性材接触部二8-2は、弾性素子接触部一4-1の中心線の両側に分布され、弾性素子接触部一4-1に対向して分布されている。第二の弾性材接触部一8-1及び第二の弾性材接触部二8-2は、サーミスタ6の第一の電極6-1の辺部と電気的に接触する。よって、第一の実施形態の第一の弾性材接触部3-1及び第一の端子接触部2-2の機能を代替的に実現し、サーミスタ6の正常の状態では、第二の弾性材接触部一8-1、第二の弾性材接触部二8-2、弾性素子接触部一4-1の3点の挟み保持により、サーミスタ6の力のバランスが保てる。また、サーミスタ6は、サーミスタ取り付けキャビティ1-1の中に固定して設置され、静止状態を保つ。
【0042】
本実施形態においては、第一のピン2’及び第二の弾性材8は、一体的に接続されても良く、他の接続方法でも良い。
【0043】
図14に示すように、本発明によるPTCスターターの故障状態では、サーミスタ6が破裂し、破片が比較的大きい場合、弾性素子接触部4-1は、弾性素子の弾性アーム4-3の弾性力の作用で、破裂したサーミスタ6の破片を押し上げて退ける同時に、弾性素子接触部二4-2が第二のピン接触部5-1から離れる。また、この時、弾性素子接触部二4-2と第二のピン接触部5-1の間の離れた距離は、第二のピン5とサーミスタ6の第二の電極6-2の電気的接続を十分に遮断することができる。よって、通電回路を遮断する目的を達成することができる。また、隔離構造の保護作用により、サーミスタ取り付けキャビティ1-1の中の比較的小さな粒子形状の破片が弾性素子取り付けキャビティ1-4に飛散することで弾性素子接触部二4-2と第二のピン接触部5-1の間が再び短絡するという隠れた危険を引き起こすことが防げ、通電回路遮断の信頼性を高めるという目的を実現することができる。
【0044】
(第三の実施形態)
図15は、本発明の第三の実施形態の模式図であり、後述における異なる点を除き、他の構造が第一の実施形態と同じである又は類似している。
【0045】
本実施形態の中の第一のピン2”には、第一の端子2-1”が弾性的に設置されている。第一の端子2-1”の端部には、第一の端子接触部2-2”が設置されている。
【0046】
本実施形態においては、第一の実施形態の中の第一の弾性材3が除去され、支持材9が追加されている。支持材9は、ベース1に固定して取り付けられている。支持材9には、支持材接触部9-1が設置されている。
【0047】
本実施形態においては、第一の端子2-1”の弾性変形状態では、第一の端子接触部2-2”は、サーミスタ6の第一の電極6-1と電気的に接触し、挟み保持力を与える。支持材接触部9-1は、サーミスタ6の第一の電極6-1と接触し、支持の役割を果たす。第一の端子接触部2-2”と支持材接触部9-1は、弾性素子接触部一4-1の中心線の両側に分布し、弾性素子接触部一4-1に対向して分布されている。第一の端子接触部2-2”と支持材接触部9-1は、サーミスタ6の第一の電極6-1の辺部と電気的に接触する。サーミスタ6の正常の状態では、第一の端子接触部2-2”、支持材接触部9-1、弾性素子接触部一4-1の3点の挟み保持により、サーミスタ6の力のバランスが保てる。また、サーミスタ6は、サーミスタ取り付けキャビティ1-1の中に固定して設置され、静止状態を保つ。
【0048】
本実施形態においては、構成されている電気回路は、第一の実施形態と同じである。
【0049】
図16に示すように、本発明によるPTCスターターの故障状態では、サーミスタ6が破裂し、弾性素子接触部4-1は、弾性素子の弾性アーム4-3の弾性力の作用で、破裂したサーミスタ6の破片を押し上げて退ける同時に、弾性素子接触部二4-2が第二のピン接触部5-1から離れる。また、この時、弾性素子接触部二4-2と第二のピン接触部5-1の間の離れた距離は、第二のピン5とサーミスタ6の第二の電極6-2の電気的接続を十分に遮断することができる。よって、通電回路を遮断する目的を達成することができる。また、隔離構造の保護作用により、サーミスタ取り付けキャビティ1-1の中の比較的小さな粒子形状の破片が弾性素子取り付けキャビティ1-4に飛散することで弾性素子接触部二4-2と第二のピン接触部5-1の間が再び短絡するという隠れた危険を引き起こすことが防げ、通電回路遮断の信頼性を高めるという目的を実現することができる。
【0050】
本明細書で述べている上述の内容は、本願の構造に対して例を挙げて行った説明だけである。また、本願の部品の名称は異なっても良く、本願の特許の構想による上述の構造、特徴及び原理に従って行われた如何なる等価な変化または簡単な変化も、本願の特許請求の範囲内に含まれる。
【外国語明細書】