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特開2023-24303ハンダリンクおよびディウェッティング基板を含む表面実装ヒューズ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024303
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】ハンダリンクおよびディウェッティング基板を含む表面実装ヒューズ
(51)【国際特許分類】
   H01H 85/17 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
H01H85/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022112833
(22)【出願日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】17/395,749
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519226506
【氏名又は名称】リテルフューズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーク アルシアガ
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン トッド ディーチュ
(72)【発明者】
【氏名】ロエル サントス レタルド
(72)【発明者】
【氏名】ディーパック ネイヤー
【テーマコード(参考)】
5G502
【Fターム(参考)】
5G502BA08
5G502BB08
5G502BC07
5G502BC12
5G502BC20
5G502BD02
5G502CC03
5G502CC32
5G502JJ01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ディウェッティング基板上に配置されているハンダから形成された可溶エレメントを含む表面実装デバイスチップヒューズに関する。
【解決手段】誘電体基板12と、前記誘電体基板の上面に配置されており、間に間隙22が画定されている、導電性のある第1および第2の上側端子14a、14bと、前記誘電体基板の前記上面で前記間隙内に配置されており、前記第1および第2の上側端子にかかっている、ハンダから形成された可溶エレメント18と、前記誘電体基板の下面に配置されており、前記第1および第2の上側端子にそれぞれ電気的に接続されている、導電性のある第1および第2の下側端子16a、16bとを含み、前記誘電体基板の材料は、前記可溶エレメントを形成する前記ハンダに対してディウェッティング特性を呈する、表面実装デバイスチップヒューズ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体基板と、
前記誘電体基板の上面に配置されており、間に間隙が画定されている、導電性のある第1および第2の上側端子と、
前記誘電体基板の前記上面で前記間隙内に配置されており、前記第1および第2の上側端子にかかっている、ハンダから形成された可溶エレメントと、
前記誘電体基板の下面に配置されており、前記第1および第2の上側端子にそれぞれ電気的に接続されている、導電性のある第1および第2の下側端子と
を備え、
前記誘電体基板の材料は、前記可溶エレメントを形成する前記ハンダに対してディウェッティング特性を呈する、
表面実装デバイスチップヒューズ。
【請求項2】
前記誘電体基板の縁部は、前記第1の上側端子と前記第1の下側端子との間および前記第2の上側端子と前記第2の下側端子との間に電気的接続をもたらすために、その上に配置された導電性材料を含む、請求項1に記載の表面実装デバイスチップヒューズ。
【請求項3】
前記誘電体基板の縁部は、キャスタレーションされている、請求項2に記載の表面実装デバイスチップヒューズ。
【請求項4】
前記誘電体基板を通って延在しており、前記第1の上側端子と前記第1の下側端子との間および前記第2の上側端子と前記第2の下側端子との間に電気的接続をもたらす、導電性ビアをさらに備える、請求項1に記載の表面実装デバイスチップヒューズ。
【請求項5】
前記可溶エレメントならびに前記第1および第2の上側端子の隣接部分の上に配置されたパッシベーション層をさらに備える、請求項1に記載の表面実装デバイスチップヒューズ。
【請求項6】
前記第1および第2の上側端子の対向する部分に配置された収集パッドをさらに備え、前記収集パッドは、前記可溶エレメントを形成する前記ハンダに対して著しいウェッティング特性を呈する湿潤剤から形成されている、請求項1に記載の表面実装デバイスチップヒューズ。
【請求項7】
前記誘電体基板の前記上面に配置された非接触カバーをさらに備え、前記非接触カバーは、誘電材料から形成されており、その下面に形成された空洞を有し、前記可溶エレメントは、前記空洞内に配置されている、請求項1に記載の表面実装デバイスチップヒューズ。
【請求項8】
前記誘電体基板の前記上面に配置されており、前記間隙に入って前記可溶エレメントの下に延在する、電気的に絶縁された金属パッドをさらに備える、請求項1に記載の表面実装デバイスチップヒューズ。
【請求項9】
前記誘電体基板の前記上面において、前記可溶エレメントの下に形成されたトレンチをさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の表面実装デバイスチップヒューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、回路保護デバイスの分野に関する。より詳細には、本開示は、ディウェッティング基板上に配置されているハンダから形成された可溶エレメントを含む表面実装デバイスチップヒューズに関する。
【背景技術】
【0002】
[関連技術の記載]
ヒューズは、回路保護デバイスとして一般に使用されており、通常は電力源と保護すべき電気回路の部品との間に設置される。従来の表面実装デバイス(SMD)チップヒューズは、電気絶縁性の基板上に配置されている可溶エレメントを含む。可溶エレメントは、基板の両端部に位置する導電性端子の間に延在し得る。過電流状態などの異常状態が発生すると、可溶エレメントが溶融するか、または別様に分離して、ヒューズを通る電流の流れを遮断する。
【0003】
過電流状態の結果としてヒューズの可溶エレメントが分離すると、場合によっては、可溶エレメントの分離した部分の間に空気を介して(例えば、溶融した可溶エレメントの蒸発粒子を介して)電気アークが伝搬する可能性がある。この電気アークを消滅させないと、電力源から回路内の保護対象部品に著しい続流が流れることが可能になり、可溶エレメントが物理的に開放していても保護対象部品の損傷につながり得る。
【0004】
本改善が有用になり得るのは、これらおよび他の考慮事項に対してである。
【発明の概要】
【0005】
この概要は、以下の発明を実施するための形態においてさらに説明される特定の概念を簡略化した形態で紹介するために提供される。この概要は、特許請求される主題の重要な特徴または不可欠な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を決定するにあたっての助けとなることを意図するものでもない。
【0006】
本開示の例示的な実施形態による表面実装デバイスチップヒューズは、誘電体基板と、誘電体基板の上面に配置されており、間に間隙が画定されている、導電性のある第1および第2の上側端子と、誘電体基板の上面で間隙内に配置されており、第1および第2の上側端子にかかっている、ハンダから形成された可溶エレメントと、誘電体基板の下面に配置されており、第1および第2の上側端子にそれぞれ電気的に接続されている、導電性のある第1および第2の下側端子とを含み得、誘電体基板の材料は、可溶エレメントを形成するハンダに対してディウェッティング特性を呈する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の例示的な実施形態による表面実装デバイスチップヒューズを示す斜視図である。
【0008】
図2】本開示の別の例示的な実施形態による表面実装デバイスチップヒューズを示す斜視図である。
【0009】
図3】本開示の別の例示的な実施形態による表面実装デバイスチップヒューズを示す斜視図である。
【0010】
図4】本開示の別の例示的な実施形態による表面実装デバイスチップヒューズを示す斜視図である。
【0011】
図5】本開示の別の例示的な実施形態による表面実装デバイスチップヒューズを示す斜視図である。
【0012】
図6】本開示の別の例示的な実施形態による表面実装デバイスチップヒューズを示す斜視図である。
【0013】
図7】本開示の別の例示的な実施形態による表面実装デバイスチップヒューズを示す斜視図である。
【0014】
図8】本開示の別の例示的な実施形態による表面実装デバイスチップヒューズを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
これより、添付図面を参照して、本開示による表面実装デバイス(SMD)チップヒューズの例示的な実施形態を以下でさらに詳しく説明する。しかしながら、このSMDチップヒューズは多くの異なる形態で具現化されてよく、本明細書に記載されている実施形態に限定されるものと解釈するべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示によってSMDチップヒューズの特定の例示的な態様が当業者に伝わるように提供されている。
【0016】
図1を参照すると、本開示の例示的な実施形態によるSMDチップヒューズ10を示す斜視図が示されている。SMDチップヒューズ10は、概して、誘電体基板12と、導電性のある第1および第2の上側端子14a、14bと、導電性のある第1および第2の下側端子16a、16bと、可溶エレメント18とを含み得る。誘電体基板12は、表面エネルギーが低く電気絶縁性の耐熱材料から形成された実質的に平面的な矩形チップであり得る。そのような材料の例は、ガラス、セラミック、FR-4、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、またはフッ化ポリビニリデン(PVDF)を含むが、これらに限定されない。誘電体基板12の長手方向縁部は、中に形成された半円形キャスタレーション20a、20bを有し得る。本開示は、これに関して限定されない。
【0017】
上側端子14a、14bおよび下側端子16a、16bは、それぞれ、誘電体基板12の上部および下面に配置されていてよく、銅、金、銀、ニッケル、スズなどを含むがこれらに限定されない任意の適切な導電性材料から形成されていてよい。上側端子14a、14bは、誘電体基板12のそれぞれの長手方向縁部から互いに向かって延在し得、上面の長手方向中心の手前を終端として、それらの間の間隙22を画定し得る。キャスタレーション20a、20bは、それぞれ、上側端子14aと下側端子16aとの間および上側端子14bと下側端子16bとの間に電気的接続をもたらすように、導電性材料(例えば、端子14a、14bおよび下側端子16a、16bを形成するものと同じ導電性材料)でめっきされているか、または別様にコーティングされていてもよい。図2に示されるSMDチップヒューズ10の代替的な実施形態では、キャスタレーション20a、20bは省略されてもよく、誘電体基板12の実質的に平面的な長手方向縁部21a、21bは、それぞれ、上側端子14aと下側端子16aとの間および上側端子14bと下側端子16bとの間に電気的接続をもたらすように、導電性材料でめっきされているか、または別様にコーティングされていてもよい。図3に示されるSMDチップヒューズ10の別の代替的な実施形態では、導電性ビア25a、25bが、誘電体基板12を通り、それぞれ上側端子14aと下側端子16aとの間および上側端子14bと下側端子16bとの間に延在して、それらの間にそれぞれの電気的接続をもたらし得る。本開示は、これに関して限定されない。
【0018】
図1を再び参照すると、可溶エレメント18は、誘電体基板12の上面で間隙22内に配置されており、上側端子14a、14bにかかってそれらの間に電気的接続をもたらすように、ある量のハンダで形成されていてもよい。可溶エレメント18を形成するハンダは、ハンダが溶融状態または半溶融状態にあるとき、ハンダが、誘電体基板12の表面に対する回避性、またはそれから離れる傾向を有し得るように選択され得る。つまり、誘電体基板12の材料は、可溶エレメント18を形成するハンダに対して著しい「ディウェッティング」特性を呈し得る。1つの例において、誘電体基板12はPFAから形成されていてもよく、ハンダはSAC305ハンダであってもよい。別の例において、誘電体基板12はETFEから形成されていてもよく、ハンダは共晶ハンダであってもよい。別の例において、誘電体基板12はFR-4、PI(ポリイミド)から形成されていてもよく、ハンダは高温溶融ハンダ(すなわち、摂氏260度を超える融点を有するハンダ)であってもよい。本開示は、これに関して限定されない。
【0019】
通常動作において、SMDチップヒューズ10は、回路内で接続されてもよく(例えば、下側端子16a、16bは、印刷回路板上のそれぞれの接点にハンダ付けされてもよい)、下側端子16a、16b、上側端子14a、14b、および可溶エレメント18を電流が流れてもよい。SMDチップヒューズ10に流れる電流がSMDチップヒューズ10の定格電流を超える過電流状態が発生すると、可溶エレメント18が溶融するか、または別様に分離し得る。SMDチップヒューズ10に流れる電流がそれにより阻止されて、接続している周囲の回路部品への損傷が防止または抑制される。
【0020】
さらに、誘電体基板12の低い表面エネルギーおよび可溶エレメント18(上述)の溶融状態または半溶融状態のハンダに対して回避性の「ディウェッティング」特性に起因して、可溶エレメント18の分離した部分は、互いから離れるとともに誘電体基板12の表面から離れることができ、かつ上側端子14a、14bの対向する縁部/部分に蓄積することができ、それにより、過電流状態に応じたSMDチップヒューズ10内のガルバーニ電気的開放(galvanic opening)が確実になる。それにより、可溶エレメント18の分離した部分の間の電気アークが防止または抑制される。
【0021】
図4を参照すると、SMDチップヒューズ10の代替的な実施形態が考察され、ここで、可溶エレメント18および上側端子14a、14bの隣接部分は、外からの汚染物質から可溶エレメント18を防御するとともに外部回路部品との短絡を防止するための誘電体パッシベーション層26でカバーされていてもよい。パッシベーション層26は、エポキシ、ポリイミド、ガラス、セラミック、または可溶エレメント18を形成するハンダに対する「ディウェッティング」特性を呈し得る他の材料から形成され得る。したがって、過電流状態のSMDチップヒューズ10において可溶エレメント18が溶融するとき、可溶エレメント18の溶融状態または半溶融状態のハンダに対して回避性のパッシベーション層26の「ディウェッティング」特性が、可溶エレメント18の分離した部分を弾いて、それらの間のガルバーニ電気的分離(galvanic separation)をさらに補助し得る。
【0022】
図5を参照すると、SMDチップヒューズ10の別の代替的な実施形態が提供されており、ここで、上側端子14a、14bの対向する部分の上面は、可溶エレメント18を形成するハンダに対して著しい親和性または「ウェッティング」特性を呈するフラックスまたは湿潤剤から形成された収集パッド31a、31bでコーティングまたはめっきされている。そのような材料の例は、ロジンおよび/またはポリグリコールエーテルで作製されたフラックス化合物を含むが、これらに限定されない。したがって、過電流状態のSMDチップヒューズ10において可溶エレメント18が溶融するとき、可溶エレメント18の溶融し分離した部分は、上側端子14a、14bの間のガルバーニ電気的分離をさらに補助するように、収集パッド31a、31bに引き寄せられ得るとともに、それらの上に蓄積し得る。
【0023】
図6を参照すると、外からの汚染物質から可溶エレメント18を防御するとともに外部回路部品との短絡を防止するために、可溶エレメント18および上側端子14a、14bの隣接部分の上に配置された「非接触」カバー30を含む、SMDチップヒューズ10の別の代替的な実施形態が提供されている。カバー30は、誘電体基板12と実質的に同一(例えば、誘電体基板12と同じ材料から形成されており同じサイズおよび形状を有する)でもよいが、その下面に形成された空洞32を含んでいてもよい。カバー30が図示のように誘電体基板12の上に重ねられるとき、可溶エレメント18および上側端子14a、14bの隣接部分は、空洞32内に配置され得る。
【0024】
図7を参照すると、誘電体基板12の上に配置されており、間隙22に入って可溶エレメント18の下に延在する、電気的に絶縁された金属パッド34a、34bを含む、SMDチップヒューズ10の別の代替的な実施形態が提供されている。過電流状態のSMDチップヒューズ10において可溶エレメント18が溶融するとき、金属パッド34a、34bは、間隙22をなくすとともに上側端子14a、14bの間のガルバーニ電気的分離をもたらすように、可溶エレメント18の溶融したハンダを収集するためのさらなる表面積を提供し得る。したがって、金属パッド34a、34bは、小さいヒューズパッケージにおける高いヒューズ定格および低い電気抵抗を容易にしつつ、ガルバーニ電気的開放後の高い絶縁抵抗をもたらすこともできる。
【0025】
図8を参照すると、誘電体基板12において可溶エレメント18の下に形成されたポケットまたはトレンチ36を含む、SMDチップヒューズ10の別の代替的な実施形態が提供されている。過電流状態のSMDチップヒューズ10において可溶エレメント18が溶融するとき、トレンチ36は、間隙22をなくすとともに上側端子14a、14bの間のガルバーニ電気的分離をもたらすように、可溶エレメント18の溶融したハンダを収集するための空間を提供し得る。したがって、トレンチ36は、小さいヒューズパッケージにおける高いヒューズ定格および低い電気抵抗を容易にし得る。
【0026】
本明細書で使用される場合、単数形で記載されており「a」または「an」という単語の後にある要素または段階は、複数の要素または段階を除外しないものとして理解されるべきであるが、ただし、そのような除外が明示的に記載されている場合を除く。さらに、本開示の「1つの実施形態」への言及は、記載された特徴を同様に組み込むさらなる実施形態の存在を除外すると解釈されることを意図するものではない。
【0027】
本開示は特定の実施形態に言及しているが、添付の特許請求の範囲で定義されるような本開示の領域および範囲から逸脱することなく、説明した実施形態に対して多数の修正、改変、および変更を行うことが可能である。したがって、本開示は、説明した実施形態に限定されることはなく、以下の特許請求の範囲の文言およびその均等物により定義される全範囲を有することが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】