(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024306
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】超広帯域(UWB)を用いて位置追跡を実行するシステム、タグ、および方法
(51)【国際特許分類】
H04W 4/029 20180101AFI20230209BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20230209BHJP
H04W 52/02 20090101ALI20230209BHJP
H04W 56/00 20090101ALI20230209BHJP
G01S 5/14 20060101ALI20230209BHJP
G01S 13/79 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
H04W4/029
H04W64/00 140
H04W52/02 110
H04W56/00 110
G01S5/14
G01S13/79
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022113142
(22)【出願日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】63/229,710
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/830,659
(32)【優先日】2022-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】522283424
【氏名又は名称】ナショナル・ヤン・ミン・チャオ・トゥン・ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チン・ヤオ・フアン
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・マシー
(72)【発明者】
【氏名】シャケブ・アメーン
【テーマコード(参考)】
5J062
5J070
5K067
【Fターム(参考)】
5J062AA01
5J062AA08
5J062CC11
5J070AB10
5J070AC02
5K067AA43
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE24
5K067JJ51
(57)【要約】
【課題】超広帯域(UWB)を用いて位置追跡を実行するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】システムは、基地局およびタグによって形成されたネットワークを含む。動作中、システムは、あらかじめ定められた時間枠内に複数の時分割多元接続(TDMA)スロットを構成する。TDMAスロットは、クロック較正パケット(CCP)スロット、パーソナルエリアネットワーク(PAN)識別子要求および応答スロット、ならびにTDMAタグスロットを含む。CCPスロットにおいて、基地局とタグとの間のクロック同期が実行される。PAN識別子要求および応答スロットにおいて、基地局は、タグから予約要求を受信し、対応する予約応答を送信する。各TDMAタグスロットにおいて、基地局は各タグからの測距要求をリッスンし、各タグの対応するTDMAタグスロットを示す対応するタイムスタンプとともに対応する測距応答を送信する。各タグは、対応するTDMAタグスロット中にのみウェイクアップするため、低消費電力を実現する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超広帯域(UWB)を用いて位置追跡を実行するシステムであって、
互いに、および複数のタグに通信可能に接続された複数の基地局によって形成されたネットワークであって、前記基地局のうちの1つが、マスタ基地局として構成され、前記基地局の残りの各々が、スレーブ基地局として構成され、前記基地局の各々が、プロセッサと、第1のコンピュータ実行可能コードを記憶する非一時的記憶デバイスとを有する、ネットワークを備え、
前記第1のコンピュータ実行可能コードが、前記基地局の各々の前記プロセッサにおいて実行されると、前記基地局の各々の前記プロセッサに、
あらかじめ定められた時間枠内に複数の時分割多元接続(TDMA)スロットを構成することであって、前記TDMAスロットが、クロック較正パケット(CCP)スロット、パーソナルエリアネットワーク(PAN)識別子要求スロット、PAN識別子応答スロット、および前記タグのための複数のTDMAタグスロットを順次含む、前記構成することと、
前記TDMAスロットのために複数のタイマーを作成することであって、前記タイマーの各々が、前記TDMAスロットのうちの1つの時間を示すように構成される、前記作成することと、
前記CCPスロットにおいて、前記基地局間のクロック同期を実行することと、
前記PAN識別子要求スロットにおいて、
前記マスタ基地局の場合、前記スレーブ基地局および前記タグの各々からの予約要求をリッスンすることと、
前記スレーブ基地局の場合、前記予約要求を前記マスタ基地局に送信し、前記タグから前記マスタ基地局に前記予約要求を中継することと、
前記PAN識別子応答スロットにおいて、
前記マスタ基地局の場合、前記スレーブ基地局および前記タグの各々から受信された前記予約要求に応答して、前記スレーブ基地局および前記タグの各々を記録し、前記予約要求を送信する前記タグの各々に、対応するTDMAタグスロットを割り当て、対応する予約応答を前記スレーブ基地局および前記タグの各々にそれぞれに送信することと、
前記スレーブ基地局の場合、前記マスタ基地局から前記対応する予約応答を受信することと、
前記TDMAタグスロットの各々において、前記タグからの測距要求をリッスンし、前記タグの対応するタグから対応する測距要求を受信することに応答して、前記対応するタグに対応するTDMAタグスロットの時間を示す対応するタイムスタンプを使用して、対応する測距応答を前記対応するタグに送信することと
を実行させる、システム。
【請求項2】
前記あらかじめ定められた時間枠が1秒であり、前記あらかじめ定められた時間枠内のTDMAタイムスロットの数が160であり、前記TDMAタイムスロットの各々の前記時間が6300マイクロ秒である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のコンピュータ実行可能コードが、前記基地局の各々の前記プロセッサにおいて実行されると、前記基地局の各々の前記プロセッサに、
複数のコールバックを定義することであって、前記コールバックが1対1で前記TDMAスロットに対応する、前記定義することと、
前記TDMAスロットの各々の前記時間の開始を示す前記タイマーに応答して、前記基地局および前記タグの前記TDMAスロットに対応する前記コールバックのうちの対応する1つをトリガすることと
をさらに実行させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記タグの各々が、プロセッサ、リアルタイムクロック(RTC)、および第2のコンピュータ実行可能コードを記憶する非一時的記憶デバイスを有し、前記第2のコンピュータ実行可能コードが、前記タグの特定のタグの前記プロセッサにおいて実行されると、前記特定のタグの前記プロセッサに、
前記CCPスロットにおいて、前記基地局と前記特定のタグとの間でクロック同期を実行することと、
前記PAN識別子要求スロットにおいて、前記予約要求を前記基地局に送信することと、
前記PAN識別子応答スロットにおいて、前記基地局から前記対応する予約要求を受信することと、
前記TDMAタグスロットの各々において、
前記特定のタグに対応する前記TDMAタグスロット内の前記基地局に前記対応する測距要求を送信することと、
前記基地局から前記対応するタイムスタンプを有する前記対応する測距応答を受信することと、
前記対応するタイムスタンプに基づいてウェイクアップ時間を計算することであって、前記ウェイクアップ時間が、前記特定のタグに対応する前記TDMAタグスロットの前記時間より前の時間期間である、前記計算することと、
ディープスリープモードに入ることであって、前記RTCが、前記ディープスリープモードにおいてアクティブなままである、前記入ることと、
前記ウェイクアップ時間を示す前記RTCに応答して、前記ディープスリープモードからウェイクアップし、前記特定のタグに対応する前記TDMAタグスロット内の位置特定情報を取得するために位置計算を実行し、前記特定のタグに対応する前記TDMAタグスロットの後に前記ディープスリープモードに再び入ることと
を実行させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のコンピュータ実行可能コードが、前記基地局の各々の前記プロセッサにおいて実行されると、前記基地局の各々の前記プロセッサに、
前記マスタ基地局の場合、クロック同期パケットを送信することと、
前記スレーブ基地局の場合、前記マスタ基地局から前記クロック同期パケットを受信し、前記クロック同期パケットの情報に基づいて前記マスタ基地局を参照して前記スレーブ基地局のローカルクロックを同期し、前記クロック同期パケットを中継することと
によって、前記CCPスロット内の前記基地局間でクロック同期を実行させる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2のコンピュータ実行可能コードが、前記特定のタグの前記プロセッサにおいて実行されると、前記特定のタグの前記プロセッサに、前記基地局から前記クロック同期パケットを受信し、前記クロック同期パケットの前記情報に基づいて、前記マスタ基地局を参照して前記特定のタグのローカルクロックを同期させることによって、前記CCPスロットにおいて、前記基地局と前記特定のタグとの間でクロック同期を実行させる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ウェイクアップ時間が、前記特定のタグに対応する前記TDMAタグスロットの前記時間の250マイクロ秒前である、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2のコンピュータ実行可能コードが、前記特定のタグの前記プロセッサにおいて実行されると、前記特定のタグの前記プロセッサに、
前記特定のタグに対応する前記TDMAタグスロット内に複数のノードスロットを構成することであって、前記ノードスロットが、グループポーリングスロット、複数の基地局応答スロット、位置計算スロット、およびデータアップリンクスロットを順次含む、前記構成することと、
前記特定のタグに対応する前記TDMAタグスロット内で、
前記グループポーリングスロット内のグループポーリングによって、前記対応する測距要求を前記基地局に送信することと、
前記基地局応答スロットのうちの対応する1つ内で前記基地局の各々から前記対応する測距応答を受信することと、
前記位置計算スロット内の前記位置特定情報を取得するために位置計算を実行することと、
前記データアップリンクスロット内で取得された前記位置特定情報をアップロードすることと
をさらに実行させる、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記特定のタグに対応する前記TDMAタグスロット内の前記基地局応答スロットの数が16であり、前記特定のタグに対応するTDMAタグスロットの前記時間が6300マイクロ秒であり、前記グループポーリングスロットの時間が200マイクロ秒であり、前記基地局応答スロットの全体の時間が4500マイクロ秒である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
超広帯域(UWB)を用いて位置追跡を実行するタグであって、
プロセッサ、リアルタイムクロック(RTC)、およびコンピュータ実行可能コードを記憶する非一時的記憶デバイスを備え、
前記タグが、複数の基地局によって形成されるネットワークに通信可能に接続され、前記基地局のうちの1つが、マスタ基地局として構成され、前記基地局の残りの各々が、スレーブ基地局として構成され、
前記コンピュータ実行可能コードが、前記タグの前記プロセッサにおいて実行されると、前記タグの前記プロセッサに、
あらかじめ定められた時間枠内に複数の時分割多元接続(TDMA)スロットを構成することであって、前記TDMAスロットが、クロック較正パケット(CCP)スロット、パーソナルエリアネットワーク(PAN)識別子要求スロット、PAN識別子応答スロット、および複数のTDMAタグスロットを順次含む、前記構成することと、
前記TDMAスロットのために複数のタイマーを作成することであって、前記タイマーの各々が、前記TDMAスロットのうちの1つの時間を示すように構成される、前記作成することと、
前記CCPスロットにおいて、前記基地局と前記タグとの間のクロック同期を実行することと、
前記PAN識別子要求スロットにおいて、予約要求を前記基地局に送信することであって、前記基地局が、前記予約要求に応答して、対応するTDMAタグスロットを前記タグに割り当てるように構成される、前記送信することと、
前記PAN識別子応答スロットにおいて、前記基地局から前記対応する予約要求を受信することと、
前記TDMAタグスロットの各々において、
前記タグに対応する前記TDMAタグスロット内の前記基地局に前記対応する測距要求を送信することであって、前記基地局が、前記対応するタグに対応する前記TDMAタグスロットの前記時間を示す対応するタイムスタンプとともに、対応する測距応答を前記タグに送信するように構成される、前記送信することと、
前記基地局から前記対応するタイムスタンプを有する前記対応する測距応答を受信することと、
前記対応するタイムスタンプに基づいてウェイクアップ時間を計算することであって、前記ウェイクアップ時間が、前記タグに対応する前記TDMAタグスロットの前記時間より前の時間期間である、前記計算することと、
ディープスリープモードに入ることであって、前記RTCが、前記ディープスリープモードにおいてアクティブなままである、前記入ることと、
前記ウェイクアップ時間を示す前記RTCに応答して、前記ディープスリープモードからウェイクアップし、前記タグに対応する前記TDMAタグスロット内の位置特定情報を取得するために位置計算を実行し、前記タグに対応する前記TDMAタグスロットの後に前記ディープスリープモードに再び入ることと
を実行させる、タグ。
【請求項11】
前記コンピュータ実行可能コードが、前記タグの前記プロセッサにおいて実行されると、前記タグの前記プロセッサに、前記基地局からクロック同期パケットを受信し、前記クロック同期パケットの情報に基づいて、前記マスタ基地局を参照して前記タグのローカルクロックを同期させることによって、前記CCPスロットにおいて、前記基地局と前記タグとの間でクロック同期を実行させる、請求項10に記載のタグ。
【請求項12】
前記クロック同期パケットが、前記マスタ基地局によって送信されるか、前記スレーブ基地局によって中継される、請求項11に記載のタグ。
【請求項13】
前記ウェイクアップ時間が、特定のタグに対応する前記TDMAタグスロットの前記時間の250マイクロ秒前である、請求項10に記載のタグ。
【請求項14】
前記コンピュータ実行可能コードが、前記タグの前記プロセッサにおいて実行されると、前記タグの前記プロセッサに、
前記タグに対応する前記TDMAタグスロット内に複数のノードスロットを構成することであって、前記ノードスロットが、グループポーリングスロット、複数の基地局応答スロット、位置計算スロット、およびデータアップリンクスロットを順次含む、前記構成することと、
前記タグに対応する前記TDMAタグスロット内で、
前記グループポーリングスロット内のグループポーリングによって、前記対応する測距要求を前記基地局に送信することと、
前記基地局応答スロットのうちの対応する1つ内で前記基地局の各々から前記対応する測距応答を受信することと、
前記位置計算スロット内の前記位置特定情報を取得するために位置計算を実行することと、
前記データアップリンクスロット内で取得された前記位置特定情報をアップロードすることと
をさらに実行させる、請求項10に記載のタグ。
【請求項15】
特定のタグに対応する前記TDMAタグスロット内の前記基地局応答スロットの数は16であり、前記タグに対応するTDMAタグスロットの前記時間は6300マイクロ秒であり、前記グループポーリングスロットの時間は200マイクロ秒であり、前記基地局応答スロットの全体の時間は4500マイクロ秒である、請求項14に記載のタグ。
【請求項16】
超広帯域(UWB)を用いて位置追跡を実行する方法であって、
互いに、および複数のタグに通信可能に接続された複数の基地局によって形成されたネットワークを提供するステップであって、前記基地局のうちの1つが、マスタ基地局として構成され、前記基地局の残りの各々が、スレーブ基地局として構成される、ステップと、
あらかじめ定められた時間枠内に複数の時分割多元接続(TDMA)スロットを構成するステップであって、前記TDMAスロットが、クロック較正パケット(CCP)スロット、パーソナルエリアネットワーク(PAN)識別子要求スロット、PAN識別子応答スロット、および前記タグのための複数のTDMAタグスロットを順次含む、ステップと、
前記TDMAスロットのために複数のタイマーを作成するステップであって、前記タイマーの各々が、前記TDMAスロットのうちの1つの時間を示すように構成される、ステップと、
前記CCPスロットにおいて、前記基地局と前記タグとの間のクロック同期を実行するステップと、
前記PAN識別子要求スロットにおいて、
前記マスタ基地局の場合、前記スレーブ基地局および前記タグの各々からの予約要求をリッスンするステップと、
前記スレーブ基地局の場合、前記予約要求を前記マスタ基地局に送信し、前記タグから前記マスタ基地局に前記予約要求を中継するステップと、
前記PAN識別子応答スロットにおいて、
前記マスタ基地局の場合、前記スレーブ基地局および前記タグの各々から受信された前記予約要求に応答して、前記スレーブ基地局および前記タグの各々を記録し、前記予約要求を送信する前記タグの各々に対応するTDMAタグスロットを割り当て、対応する予約応答を前記スレーブ基地局および前記タグの各々にそれぞれに送信するステップと、
前記スレーブ基地局の場合、前記マスタ基地局から前記対応する予約応答を受信するステップと、
前記TDMAタグスロットの各々において、前記基地局によって、前記タグからの測距要求をリッスンし、前記タグの対応するタグから対応する測距要求を受信することに応答して、前記対応するタグに対応するTDMAタグスロットの前記時間を示す対応するタイムスタンプを使用して、対応する測距応答を前記対応するタグに送信するステップと
を備える、方法。
【請求項17】
複数のコールバックを定義するステップであって、前記コールバックが1対1で前記TDMAスロットに対応する、ステップと、
前記TDMAスロットの各々の前記時間の開始を示す前記タイマーに応答して、前記基地局および前記タグの前記TDMAスロットに対応する前記コールバックのうちの対応する1つをトリガするステップと
をさらに備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記CCPスロット内の前記基地局間の前記クロック同期が、
前記マスタ基地局の場合、クロック同期パケットを送信することと、
前記スレーブ基地局の場合、前記マスタ基地局から前記クロック同期パケットを受信し、前記クロック同期パケットの情報に基づいて前記マスタ基地局を参照して前記スレーブ基地局のローカルクロックを同期し、前記クロック同期パケットを中継することと、
前記タグの各々の場合、前記基地局から前記クロック同期パケットを受信し、前記クロック同期パケットの前記情報に基づいて、前記マスタ基地局を参照して前記タグの各々のローカルクロックを同期することと
によって実行される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記タグの特定のタグが、
前記CCPスロットにおいて、前記基地局と前記特定のタグとの間のクロック同期を実行することと、
前記PAN識別子要求スロットにおいて、前記予約要求を前記基地局に送信することと、
前記PAN識別子応答スロットにおいて、前記基地局から前記対応する予約要求を受信することと、
前記TDMAタグスロットの各々において、
前記特定のタグに対応する前記TDMAタグスロット内の前記基地局に前記対応する測距要求を送信することと、
前記基地局から前記対応するタイムスタンプを有する前記対応する測距応答を受信することと、
前記対応するタイムスタンプに基づいてウェイクアップ時間を計算することであって、前記ウェイクアップ時間が、前記特定のタグに対応する前記TDMAタグスロットの前記時間より前の時間期間である、前記計算することと、
ディープスリープモードに入ることであって、前記特定のタグのリアルタイムクロック(RTC)が、前記ディープスリープモードにおいてアクティブなままである、前記入ることと、
前記ウェイクアップ時間を示す前記RTCに応答して、前記ディープスリープモードからウェイクアップし、前記特定のタグに対応する前記TDMAタグスロット内の位置特定情報を取得するために位置計算を実行し、前記特定のタグに対応する前記TDMAタグスロットの後に前記ディープスリープモードに再び入ることと
を実行するように構成される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記特定のタグが、
前記タグに対応する前記TDMAタグスロット内に複数のノードスロットを構成することであって、前記ノードスロットが、グループポーリングスロット、複数の基地局応答スロット、位置計算スロット、およびデータアップリンクスロットを順次含む、前記構成することと、
前記タグに対応する前記TDMAタグスロット内で、
前記グループポーリングスロット内のグループポーリングによって、前記対応する測距要求を前記基地局に送信することと、
前記基地局応答スロットのうちの対応する1つ内で前記基地局の各々から前記対応する測距応答を受信することと、
前記位置計算スロット内の前記位置特定情報を取得するために位置計算を実行することと、
前記データアップリンクスロット内で取得された前記位置特定情報をアップロードすることと
を実行するようにさらに構成される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この非仮出願は、米国特許法第119条(e)に準拠する、2021年8月5日に出願された米国仮特許出願第63/229,710号の優先権と利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に位置追跡技術に関し、より具体的には、超広帯域(UWB)を用いて、3次元の高速でセンチメートル単位の正確な位置追跡を実行するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書で提供される背景説明は、本開示の文脈を一般的に提示することを目的としている。開示セクションの背景において議論された主題は、単に開示セクションの背景における言及の結果として、先行技術であると想定されるべきではない。同様に、開示セクションの背景において言及されている、または開示セクションの背景の主題に関連付けられる問題は、先行技術において以前に認識されていたと想定されるべきではない。開示セクションの背景における主題は、単に異なる手法を表しており、それ自体が開示である場合もある。
【0004】
屋内測位システムとリアルタイムロケーションシステムにより、現実世界におけるオブジェクトの位置特定が容易になる。BluetoothおよびWi-Fiベース、または超音波およびレーダーベースのリアルタイム位置特定システム(RTLS)など、空間におけるアイテムの測位に使用される多くの技術がある。フィンガープリント、飛行時間、受信信号強度インジケータ(RSSI)、およびチャネル状態情報技術など、様々な無線によって使用される複数の基本的な方法がある。これらの方法および対応する技術は、可用性の点で有用であり、ライセンスのない帯域で機能するが、高い測位精度、高速発射体追跡、およびリアルタイムの使用事例などの非常に重要な測位要件を解決することはできない。RTLSによって使用されているオープン周波数のもう1つの問題は、金属環境からの干渉を受けやすく、信号妨害の影響を受けやすいことである。
【0005】
したがって、前述の欠陥および不十分さに対処するために、これまで対処されていなかった必要性が当技術分野に存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本開示は、超広帯域(UWB)を用いて位置追跡を実行するシステムに関する。一実施形態では、システムは、互いに、および複数のタグに通信可能に接続された複数の基地局によって形成されたネットワークをであって、基地局のうちの1つがマスタ基地局として構成され、基地局の残りの各々がスレーブ基地局として構成され、基地局の各々が、プロセッサと、第1のコンピュータ実行可能コードを記憶する非一時的記憶デバイスとを有する、ネットワークを含む。第1のコンピュータ実行可能コードは、基地局の各々のプロセッサにおいて実行されると、基地局の各々のプロセッサに、あらかじめ定められた時間枠内に複数の時分割多元接続(TDMA)スロットを構成することであって、TDMAスロットが、クロック較正パケット(CCP)スロット、パーソナルエリアネットワーク(PAN)識別子要求スロット、PAN識別子応答スロット、およびタグのための複数のTDMAタグスロットを順次含む、前記構成することと、TDMAスロットのために複数のタイマーを作成することであって、タイマーの各々が、TDMAスロットのうちの1つの時間を示すように構成される、前記作成することと、CCPスロットにおいて、基地局間のクロック同期を実行することと、PAN識別子要求スロットにおいて、マスタ基地局の場合、スレーブ基地局およびタグの各々からの予約要求をリッスンすることと、スレーブ基地局の場合、予約要求をマスタ基地局に送信し、タグからマスタ基地局に予約要求を中継することと、PAN識別子応答スロットにおいて、マスタ基地局の場合、スレーブ基地局およびタグの各々から受信した予約要求に応答して、スレーブ基地局およびタグの各々を記録し、予約要求を送信するタグの各々に対応するTDMAタグスロットを割り当て、対応する予約応答をスレーブ基地局およびタグの各々にそれぞれに送信することと、スレーブ基地局の場合、マスタ基地局から対応する予約応答を受信することと、TDMAタグスロットの各々において、タグからの測距要求をリッスンし、タグの対応するタグから対応する測距要求を受信することに応答して、対応するタグに対応するTDMAタグスロットの時間を示す対応するタイムスタンプを使用して、対応する測距応答を対応するタグに送信することとを実行させる。
【0007】
特定の実施形態では、あらかじめ定められた時間枠は1秒であり、あらかじめ定められた時間枠内のTDMAタイムスロットの数は160であり、TDMAタイムスロットの各々の時間は6300マイクロ秒である。
【0008】
特定の実施形態では、第1のコンピュータ実行可能コードは、基地局の各々のプロセッサにおいて実行されると、基地局の各々のプロセッサに、複数のコールバックを定義することであって、コールバックが1対1でTDMAスロットに対応する、前記定義することと、TDMAスロットの各々の時間の開始を示すタイマーに応答して、基地局およびタグのTDMAスロットに対応するコールバックのうちの対応する1つをトリガすることとをさらに実行させる。
【0009】
特定の実施形態では、タグの各々が、プロセッサ、リアルタイムクロック(RTC)、および第2のコンピュータ実行可能コードを記憶する非一時的記憶デバイスを有し、第2のコンピュータ実行可能コードが、タグの特定のタグのプロセッサにおいて実行されると、特定のタグのプロセッサに、CCPスロットにおいて、基地局と特定のタグとの間でクロック同期を実行することと、PAN識別子要求スロットにおいて、予約要求を基地局に送信することと、PAN識別子応答スロットにおいて、基地局から対応する予約要求を受信することと、TDMAタグスロットの各々において、特定のタグに対応するTDMAタグスロット内の基地局に対応する測距要求を送信することと、基地局から対応するタイムスタンプを有する対応する測距応答を受信することと、対応するタイムスタンプに基づいてウェイクアップ時間を計算することであって、ウェイクアップ時間が、特定のタグに対応するTDMAタグスロットの時間より前の時間期間である、前記計算することと、ディープスリープモードに入ることであって、RTCが、ディープスリープモードにおいてアクティブなままである、前記入ることと、ウェイクアップ時間を示すRTCに応答して、ディープスリープモードからウェイクアップし、特定のタグに対応するTDMAタグスロット内の位置特定情報を取得するために位置計算を実行し、特定のタグに対応するTDMAタグスロットの後にディープスリープモードに再び入ることとを実行させる。
【0010】
特定の実施形態では、第1のコンピュータ実行可能コードは、基地局の各々のプロセッサにおいて実行されると、基地局の各々のプロセッサに、マスタ基地局の場合、クロック同期パケットを送信することと、スレーブ基地局の場合、マスタ基地局からクロック同期パケットを受信し、クロック同期パケットの情報に基づいてマスタ基地局を参照してスレーブ基地局のローカルクロックを同期し、クロック同期パケットを中継することとによって、CCPスロット内の基地局間でクロック同期を実行させる。
【0011】
特定の実施形態では、第2のコンピュータ実行可能コードは、特定のタグのプロセッサにおいて実行されると、特定のタグのプロセッサに、基地局からクロック同期パケットを受信し、クロック同期パケットの情報に基づいて、マスタ基地局を参照して特定のタグのローカルクロックを同期させることによって、CCPスロットにおいて、基地局と特定のタグとの間でクロック同期を実行させる。
【0012】
特定の実施形態では、ウェイクアップ時間は、特定のタグに対応するTDMAタグスロットの時間の前の250マイクロ秒である。
【0013】
特定の実施形態では、第2のコンピュータ実行可能コードは、特定のタグのプロセッサにおいて実行されると、特定のタグのプロセッサに、特定のタグに対応するTDMAタグスロット内に複数のノードスロットを構成することであって、ノードスロットが、グループポーリングスロット、複数の基地局応答スロット、位置計算スロット、およびデータアップリンクスロットを順次含む、前記構成することと、特定のタグに対応するTDMAタグスロット内で、グループポーリングスロット内のグループポーリングによって、対応する測距要求を基地局に送信することと、基地局応答スロットのうちの対応する1つ内で基地局の各々から対応する測距応答を受信することと、位置計算スロット内の位置特定情報を取得するために位置計算を実行することと、データアップリンクスロット内で取得された位置特定情報をアップロードすることとをさらに実行させる。
【0014】
特定の実施形態では、特定のタグに対応するTDMAタグスロット内の基地局応答スロットの数は16であり、特定のタグに対応するTDMAタグスロットの時間は6300マイクロ秒であり、グループポーリングスロットの時間は200マイクロ秒であり、基地局応答スロットの全体の時間は4500マイクロ秒である。
【0015】
本開示の別の態様は、プロセッサ、リアルタイムクロック(RTC)、およびコンピュータ実行可能コードを記憶する非一時的記憶デバイスを含む、UWBを用いて位置追跡を実行するタグに関する。タグは、複数の基地局によって形成されるネットワークに通信可能に接続され、基地局のうちの1つがマスタ基地局として構成され、基地局の残りの各々がスレーブ基地局として構成される。コンピュータ実行可能コードは、タグのプロセッサにおいて実行されると、タグのプロセッサに、あらかじめ定められた時間枠内に複数の時分割多元接続(TDMA)スロットを構成することであって、TDMAスロットが、クロック較正パケット(CCP)スロット、パーソナルエリアネットワーク(PAN)識別子要求スロット、PAN識別子応答スロット、および複数のTDMAタグスロットを順次含む、前記構成することと、TDMAスロットのために複数のタイマーを作成することであって、タイマーの各々が、TDMAスロットのうちの1つの時間を示すように構成される、前記作成することと、CCPスロットにおいて、基地局とタグとの間のクロック同期を実行することと、PAN識別子要求スロットにおいて、予約要求を基地局に送信することであって、基地局が、予約要求に応答して、対応するTDMAタグスロットをタグに割り当てるように構成される、前記送信することと、PAN識別子応答スロットにおいて、基地局から対応する予約要求を受信することと、TDMAタグスロットの各々において、タグに対応するTDMAタグスロット内の基地局に対応する測距要求を送信することであって、基地局が、対応するタグに対応するTDMAタグスロットの時間を示す対応するタイムスタンプとともに、対応する測距応答をタグに送信するように構成される、前記送信することと、基地局から対応するタイムスタンプを有する対応する測距応答を受信することと、対応するタイムスタンプに基づいてウェイクアップ時間を計算することであって、ウェイクアップ時間が、タグに対応するTDMAタグスロットの時間より前の時間期間である、前記計算することと、ディープスリープモードに入ることであって、RTCが、ディープスリープモードにおいてアクティブなままである、前記入ることと、ウェイクアップ時間を示すRTCに応答して、ディープスリープモードからウェイクアップし、タグに対
応するTDMAタグスロット内の位置特定情報を取得するために位置計算を実行し、タグに対応するTDMAタグスロットの後にディープスリープモードに再び入ることとを実行させる。
【0016】
特定の実施形態では、コンピュータ実行可能コードは、タグのプロセッサにおいて実行されると、タグのプロセッサに、基地局からクロック同期パケットを受信し、クロック同期パケットの情報に基づいて、マスタ基地局を参照してタグのローカルクロックを同期させることによって、CCPスロットにおいて、基地局とタグとの間のクロック同期を実行させる。
【0017】
クロック同期パケットは、マスタ基地局によって送信されるか、スレーブ基地局によって中継される。
【0018】
特定の実施形態では、ウェイクアップ時間は、特定のタグに対応するTDMAタグスロットの時間の250マイクロ秒前である。
【0019】
特定の実施形態では、コンピュータ実行可能コードは、タグのプロセッサにおいて実行されると、タグのプロセッサに、タグに対応するTDMAタグスロット内に複数のノードスロットを構成することであって、ノードスロットが、グループポーリングスロット、複数の基地局応答スロット、位置計算スロット、およびデータアップリンクスロットを順次含む、前記構成することと、タグに対応するTDMAタグスロット内で、グループポーリングスロット内のグループポーリングによって、対応する測距要求を基地局に送信することと、基地局応答スロットのうちの対応する1つ内で基地局の各々から対応する測距応答を受信することと、位置計算スロット内の位置特定情報を取得するために位置計算を実行することと、データアップリンクスロット内で取得された位置特定情報をアップロードすることとをさらに実行させる。
【0020】
特定の実施形態では、特定のタグに対応するTDMAタグスロット内の基地局応答スロットの数は16であり、タグに対応するTDMAタグスロットの時間は6300マイクロ秒であり、グループポーリングスロットの時間は200マイクロ秒であり、基地局応答スロットの全体の時間は4500マイクロ秒である。
【0021】
本開示のさらなる態様では、UWBを用いて位置追跡を実行する方法が提供される。本方法は、互いに、および複数のタグに通信可能に接続された複数の基地局によって形成されたネットワークを提供するステップであって、基地局のうちの1つがマスタ基地局として構成され、基地局の残りの各々がスレーブ基地局として構成される、ステップと、あらかじめ定められた時間枠内に複数の時分割多元接続(TDMA)スロットを構成するステップであって、TDMAスロットが、クロック較正パケット(CCP)スロット、パーソナルエリアネットワーク(PAN)識別子要求スロット、PAN識別子応答スロット、およびタグのための複数のTDMAタグスロットを順次含む、ステップと、TDMAスロットのために複数のタイマーを作成するステップであって、タイマーの各々が、TDMAスロットのうちの1つの時間を示すように構成される、ステップと、CCPスロットにおいて、基地局とタグとの間のクロック同期を実行するステップと、PAN識別子要求スロットにおいて、マスタ基地局の場合、スレーブ基地局およびタグの各々からの予約要求をリッスンするステップと、スレーブ基地局の場合、予約要求をマスタ基地局に送信し、タグからマスタ基地局に予約要求を中継するステップと、PAN識別子応答スロットにおいて、マスタ基地局の場合、スレーブ基地局およびタグの各々から受信した予約要求に応答して、スレーブ基地局およびタグの各々を記録し、予約要求を送信するタグの各々に対応するTDMAタグスロットを割り当て、対応する予約応答をスレーブ基地局およびタグの各々にそれぞれに送信するステップと、スレーブ基地局の場合、マスタ基地局から対応する予約応答を受信するステップと、TDMAタグスロットの各々において、基地局によって、タグからの測距要求をリッスンし、タグの対応するタグから対応する測距要求を受信することに応答して、対応するタグに対応するTDMAタグスロットの時間を示す対応するタイムスタンプを使用して、対応する測距応答を対応するタグに送信するステップとを含む。
【0022】
特定の実施形態では、本方法は、複数のコールバックを定義するステップであって、コールバックが1対1でTDMAスロットに対応する、ステップと、TDMAスロットの各々の時間の開始を示すタイマーに応答して、基地局およびタグのTDMAスロットに対応するコールバックのうちの対応する1つをトリガするステップとをさらに含む。
【0023】
特定の実施形態では、CCPスロット内の基地局間のクロック同期は、マスタ基地局の場合、クロック同期パケットを送信することと、スレーブ基地局の場合、マスタ基地局からクロック同期パケットを受信し、クロック同期パケットの情報に基づいてマスタ基地局を参照してスレーブ基地局のローカルクロックを同期し、クロック同期パケットを中継することと、タグの各々の場合、基地局からクロック同期パケットを受信し、クロック同期パケットの情報に基づいて、マスタ基地局を参照してタグの各々のローカルクロックを同期することとによって実行される。
【0024】
特定の実施形態では、タグの特定のタグは、CCPスロットにおいて、基地局と特定のタグとの間のクロック同期を実行することと、PAN識別子要求スロットにおいて、予約要求を基地局に送信することと、PAN識別子応答スロットにおいて、基地局から対応する予約要求を受信することと、TDMAタグスロットの各々において、特定のタグに対応するTDMAタグスロット内の基地局に対応する測距要求を送信することと、基地局から対応するタイムスタンプを有する対応する測距応答を受信することと、対応するタイムスタンプに基づいてウェイクアップ時間を計算することであって、ウェイクアップ時間が、特定のタグに対応するTDMAタグスロットの時間より前の時間期間である、前記計算することと、ディープスリープモードに入ることであって、特定のタグのリアルタイムクロック(RTC)が、ディープスリープモードにおいてアクティブなままである、前記入ることと、ウェイクアップ時間を示すRTCに応答して、ディープスリープモードからウェイクアップし、特定のタグに対応するTDMAタグスロット内の位置特定情報を取得するために位置計算を実行し、特定のタグに対応するTDMAタグスロットの後にディープスリープモードに再び入ることとを実行するように構成される
【0025】
特定の実施形態では、特定のタグは、タグに対応するTDMAタグスロット内に複数のノードスロットを構成することであって、ノードスロットが、グループポーリングスロット、複数の基地局応答スロット、位置計算スロット、およびデータアップリンクスロットを順次含む、前記構成することと、タグに対応するTDMAタグスロット内で、グループポーリングスロット内のグループポーリングによって、対応する測距要求を基地局に送信することと、基地局応答スロットのうちの対応する1つ内で基地局の各々から対応する測距応答を受信することと、位置計算スロット内の位置特定情報を取得するために位置計算を実行することと、データアップリンクスロット内で取得された位置特定情報をアップロードすることとを実行するようにさらに構成される。
【0026】
本開示のこれらおよび他の態様は、本開示の新規の概念の趣旨および範囲から逸脱することなしに、その変形および修正が影響を受ける可能性があるが、以下の図面と併せて得られる好ましい実施形態の以下の説明から明らかになる。
【0027】
添付の図面は、本開示の1つまたは複数の実施形態を示し、書面による説明とともに、本開示の原理を説明するために役立つ。可能な場合はいつでも、一実施形態の同じまたは同様の要素を参照するために、図面全体で同じ参照番号が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1A】本開示の特定の実施形態による、超広帯域(UWB)を用いて位置追跡を実行する例示的なシステムを示す図である。
【
図1B】
図1Aに示されるシステムが、本開示の特定の実施形態に従って配置される、例示的な環境を示す図である。
【
図2A】本開示の一実施形態による例示的な基地局を概略的に示す図である。
【
図2B】本開示の一実施形態による、
図2Aに示される基地局内の基地局モジュールを概略的に示す図である。
【
図3】本開示の特定の実施形態による、システムのすべてのノード間で拡散および同期されている例示的なフレームを示す図である。
【
図4A】本開示の一実施形態による例示的なタグを概略的に示す図である。
【
図4B】本開示の一実施形態による、
図4Aに示されるタグ内のタグモジュールを概略的に示す図である。
【
図5】本開示の特定の実施形態による、超広帯域(UWB)を用いて位置追跡を実行する方法のフローチャートである。
【
図6A】本開示の特定の実施形態による、第0のTDMAスロットのコールバックに応答するマスタ基地局の動作のフローチャートである。
【
図6B】本開示の特定の実施形態による、第1および第2のTDMAスロットのコールバックに応答するマスタ基地局の動作のフローチャートである。
【
図6C】本開示の特定の実施形態による、第3から第159のTDMAスロットのコールバックに応答するマスタ基地局の動作のフローチャートである。
【
図7A】本開示の特定の実施形態による、第0のTDMAスロットのコールバックに応答するスレーブ基地局の動作のフローチャートである。
【
図7B】本開示の特定の実施形態による、第1および第2のTDMAスロットのコールバックに応答するスレーブ基地局の動作のフローチャートである。
【
図7C】本開示の特定の実施形態による、第3から第159のTDMAスロットのコールバックに応答するスレーブ基地局の動作のフローチャートである。
【
図8A】本開示の特定の実施形態による、第0のTDMAスロットのコールバックに応答するタグの動作のフローチャートである。
【
図8B】本開示の特定の実施形態による、第1および第2のTDMAスロットのコールバックに応答するタグの動作のフローチャートである。
【
図8C】本開示の特定の実施形態による、第3から第159のTDMAスロットのコールバックに応答するタグの動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本開示の例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、本開示を以下により完全に説明する。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態において具体化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。全体を通して、同様の参照番号は同様の要素を指す。
【0030】
本明細書で使用される用語は、一般に、当技術分野において、本開示の文脈内で、および各用語が使用される特定の文脈において、それらの通常の意味を有する。本開示を説明するために使用される特定の用語は、本開示の説明に関して実行者に追加のガイダンスを提供するために、以下または本明細書の他の場所で説明される。便宜上、たとえばイタリックおよび/または引用符を使用して、特定の用語が強調表示され得る。強調表示の使用は、用語の範囲および意味に影響を与えず、用語の範囲および意味は、強調表示されているかどうかに関係なく、同じ文脈において同じである。同じことが複数の方法で言える点に理解されたい。したがって、代替の言語および同義語が、本明細書で論じられる用語のいずれか1つまたは複数に使用されてよく、また、用語が本明細書で詳しく説明されているかまたは議論されているかどうかに関係なく、特別な意味はない。特定の用語の同義語が提供されている。1つまたは複数の同義語の詳説は、他の同義語の使用を除外しない。本明細書で論じられる任意の用語の例を含む本明細書の任意の場所での例の使用は、例示にすぎず、本開示または任意の例示された用語の範囲および意味を決して限定するものではない。同様に、本開示は、本明細書において与えられる様々な実施形態に限定されない。
【0031】
本明細書の説明および以下の特許請求の範囲全体で使用されるように、「a」、「an」、および「the」の意味は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形の参照を含むことが理解されよう。また、ある要素が別の要素の「上(on)」に存在すると呼ばれる場合、それは他の要素上に直接存在することができ、または介在する要素がそれらの間に存在し得ることが理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素の「上に直接(directly on)」存在すると呼ばれる場合、介在する要素は存在しない。本明細書で使用される場合、「および/または(and/or)」という用語は、関連付けられるリストされたアイテムのうちの1つまたは複数のありとあらゆる組合せを含む。
【0032】
様々な要素、コンポーネント、領域、層、および/またはセクションを説明するために、本明細書では、第1、第2、第3などの用語が使用され得るが、これらの要素、コンポーネント、領域、層、および/またはセクションは、これらの条件によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、コンポーネント、領域、層、またはセクションを、別の要素、コンポーネント、領域、層、またはセクションと区別するためにのみ使用される。したがって、以下で論じられる第1の要素、コンポーネント、領域、層、またはセクションは、本開示の教示から逸脱することなしに、第2の要素、コンポーネント、領域、層、またはセクションと呼ばれることができる。
【0033】
さらに、「下位(lower)」または「下(bottom)」および「上位(upper)」または「上(top)」などの相対的な用語は、図面に示されるように、ある要素と別の要素との関係を説明するために、本明細書で使用され得る。相対的な用語は、図面に示されている方向に加えて、デバイスの異なる方向を包含することを意図していることが理解されよう。たとえば、図面のうちの1つにあるデバイスを裏返した場合、他の要素の「下位」側にあると説明されている要素は、他の要素の「上位」側に向けられる。したがって、例示的な用語「下位」は、図面の特定の向きに応じて、「下位」と「上位」の両方の向きを包含することができる。同様に、図面のうちの1つにあるデバイスを裏返した場合、他の要素の「下部(below)」または「下方(beneath)」と記述されている要素は、他の要素の「上方(above)」に向けられる。したがって、「下部」または「下方」という例示的な用語は、上および下の両方の方向を包含することができる。
【0034】
さらに、「備える(comprises)」および/または「備えている(comprising)」、あるいは「含む(includes)」および/または「含んでいる(including)」、あるいは「有する(has)」および/または「有している(having)」、あるいは「運ぶ(carry)」および/または「運んでいる(carrying)」、あるいは「含む(contain)」および/または「含んでいる(containing)」、あるいは「関与する(involve)」および/または「関与している(involving)」などの用語は、制限がない、すなわち、含むがこれらに限定されないことを意味することが理解されるであろう。本開示で使用される場合、それらは、述べられた特徴、領域、整数、ステップ、動作、要素、および/またはコンポーネントの存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、領域、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。
【0035】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本開示が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書において定義されているような用語は、関連技術および本開示の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されることはない。
【0036】
本明細書で使用される場合、「およそ(around)」、「約(about)」、「ほぼ(approximately)」または「実質的に(substantially)」は、一般に、所与の値または範囲の20パーセント以内、好ましくは10パーセント以内、より好ましくは5パーセント以内を意味するものとする。本明細書で与えられている数値は概算であり、明示的に述べられていない限り、「およそ」、「約」、「ほぼ」または「実質的に」という用語を推測できることを意味する。
【0037】
本明細書で使用される場合、A、B、およびCの少なくとも1つの句は、非排他的論理ORを使用して、論理(AまたはBまたはC)を意味すると解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連付けられるリストされたアイテムの1つまたは複数のありとあらゆる組合せを含む。
【0038】
本明細書で使用される場合、モジュールという用語は、特定用途向け集積回路(ASIC)、電子回路、組合せ論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コードを実行するプロセッサ(共有、専用、またはグループ)、説明されている機能を提供する他の適切なハードウェアコンポーネント、または、システムオンチップなどの、上記の一部またはすべての組合せを指すか、その一部であるか、またはそれを含んでよい。モジュールという用語は、プロセッサによって実行されるコードを記憶するメモリ(共有、専用、またはグループ)を含み得る。
【0039】
本明細書で使用されるチップまたはコンピュータチップという用語は、一般に、ハードウェア電子部品を指し、集積回路(IC)としても知られる小型電子回路ユニット、あるいは電子回路またはICの組合せを指すか、またはそれらを含み得る。
【0040】
本明細書で使用されるインターフェースという用語は、一般に、コンポーネント間で配線されたまたはワイヤレスのデータ通信を実行するための、コンポーネント間の相互作用の時点におけるコミュニケーションツールまたは手段を指す。一般に、インターフェースはハードウェアとソフトウェアの両方のレベルにおいて適用可能であり得、単方向または双方向のインターフェースであり得る。物理ハードウェアインターフェースの例は、電気コネクタ、バス、ポート、ケーブル、端子、および他のI/Oデバイスまたはコンポーネントを含み得る。インターフェースと通信するコンポーネントは、たとえば、コンピュータシステムの複数のコンポーネントまたは周辺デバイスであり得る。
【0041】
本明細書で使用されるコードという用語は、ソフトウェア、ファームウェア、および/またはマイクロコードを含み得、プログラム、ルーチン、関数、クラス、および/またはオブジェクトを指し得る。複数のモジュールからの一部またはすべてのコードは、単一の(共有)プロセッサを使用して実行され得る。さらに、複数のモジュールからの一部またはすべてのコードは、単一の(共有)メモリに記憶され得る。さらに、単一のモジュールからの一部またはすべてのコードは、プロセッサのグループを使用して実行され得る。さらに、単一のモジュールからの一部またはすべてのコードは、メモリのグループを使用して記憶され得る。
【0042】
装置および方法は、以下の詳細な説明において説明され、添付の図面に、様々なブロック、コンポーネント、回路、プロセス、アルゴリズムなど(総称して「要素」と呼ばれる)によって示される。これらの要素は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはそれらの任意の組合せを使用して実装され得る。そのような要素がハードウェアとして実装されるかソフトウェアとして実装されるかは、システム全体に課せられる特定のアプリケーションおよび設計の制約によって異なる。例として、要素、または要素の任意の部分、あるいは要素の任意の組合せは、1つまたは複数のプロセッサを含む「処理システム」として実装され得る。プロセッサの例は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、グラフィックス処理装置(GPU)、中央処理装置(CPU)、アプリケーションプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、縮小命令セットコンピューティング(RISC)プロセッサ、システムオンチップ(SoC)、ベースバンドプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体で説明される様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアを含む。処理システム内の1つまたは複数のプロセッサがソフトウェアを実行する場合がある。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかに関わらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアコンポーネント、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プロシージャ、関数などを意味すると広く解釈されるものとする。
【0043】
したがって、1つまたは複数の例示的な実施形態において、説明された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組合せにおいて実装され得る。ソフトウェアに実装されている場合、機能は、コンピュータ可読媒体上に1つまたは複数の命令あるいはコードとして記憶またはエンコードされる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体であり得る。限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、光ディスク記憶、磁気ディスク記憶、他の磁気記憶デバイス、前述のタイプのコンピュータ可読媒体の組合せ、あるいはコンピュータによってアクセスすることができる命令またはデータ構造の形でコンピュータ実行可能コードを記憶するために使用することができる任意の他の媒体を備えることができる。
【0044】
以下の説明は、本質的に単なる例示であり、開示、その適用、または使用を限定することを決して意図するものではない。本開示の広範な教示は、様々な形態で実装することができる。したがって、本開示は特定の例を含むが、図面、明細書、および以下の特許請求の範囲を検討すると他の修正が明らかになるため、本開示の真の範囲はそれほど限定されるべきではない。わかりやすくするために、類似の要素を識別するために、同じ参照番号が図面において使用される。方法内の1つまたは複数のステップは、本開示の原理を変更することなしに、異なる順序で(または、同時に)実行され得ることを理解されたい。
【0045】
前述のように、RTLSなどの、空間にアイテムを配置するために使用される多くの技術がある。産業環境におけるそのような技術の需要および商業的成功により、RTLSにおける改善が必要である。したがって、本開示の特定の態様は、超広帯域(UWB)を用いて位置追跡を実行するシステムおよび方法に関する。本開示の特定の実施形態は、3D対応の高速追跡屋内位置システムまたはリアルタイム測位システムを開発するために使用され得る。具体的には、例示的なシステムは、基地局(または「アンカー」)およびタグによって形成され得、タグは、移動するオブジェクトに取り付けられ、アンカーは固定され、据え置かれている。基地局は、マスタ基地局とスレーブ基地局を含む。マスタ基地局は、クロック同期パケットを送信し、スレーブ基地局とタグにスロットIDを与える役割を果たす。動作中、マスタ基地局は時分割多元接続(TDMA)スロットの構成を開始し、ネットワークを同期し、これにより、他のスレーブ基地局が参加してネットワークを形成し、各基地局(またはアンカー)がノードとして機能することが可能になる。ノードは、あらかじめ定められた時間枠、たとえば1秒の繰返しフレーム構造を使用して動作し、タグが低電力モードで実行できるようにする。具体的には、タグがネットワークに同期されると、タグは、タグに割り当てられたTDMAスロットの前のウェイクアップ時間までディープスリープモードのままになり、割り当てられたTDMAスロット中に測距および位置特定動作を実行する。この場合、ネットワーク内のすべてのノードとの時間同期セットアップにより、システムは、基地局間のパケット衝突および/またはパケット損失を回避しながら、高精度のマイクロロケーションデータを提供し、ほぼリアルタイムで高速追跡を実行することができる。一方、低電力のタグは、各タグの電池寿命を延ばす。
【0046】
図1Aは、本開示の特定の実施形態による、UWBを用いて位置追跡を実行する例示的なシステムを示している。
図1Aに示されるように、例示的なシステム100は、複数の基地局120(または「アンカー」)およびサーバ140によって形成されるネットワーク110を含む。基地局120とサーバ140は、ネットワーク110を介して相互に通信接続されている。さらに、複数のタグ130が設けられており、各タグ130は、基地局120に通信接続されている。例示的なシステム100は、特定の数の基地局120(
図1Aに示される4つの基地局120)、タグ130(
図1Aに示される3つのタグ130)、およびサーバ140(
図1Aに示される単一のサーバ140)を示しているが、基地局120、タグ130、およびサーバ140の実際の数は、システム100の実際の必要性に基づいて変化し得る点に留意されたい。
【0047】
基地局120は、システム100において据置きまたは固定の「アンカー」として提供される。言い換えれば、各基地局120は、システム100が配置されている環境において据置きであるように設けられ、その結果、タグ130は、環境内を動き回るときに、アンカー(すなわち、基地局120)の固定位置、およびタグ130から基地局120によって受信された検出信号に基づいて配置され得る。たとえば、
図1Bは、本開示の特定の実施形態による、UWBを用いて位置追跡を実行する例示的なシステムを示している。
図1Bに示されるように、環境において、複数の基地局120が特定の固定位置に設けられている。この場合、タグ130が配置されたターゲット(車両150など)は、環境内を移動し得、基地局120は、ターゲットの位置を計算するために、タグ130から検出信号を取得し得る。
【0048】
特定の実施形態では、システム100内の基地局120のうち、1つの基地局120のみがマスタ基地局として構成され、ネットワーク110内の他の基地局120は、スレーブ基地局として構成される。たとえば、
図1Aに示される例示的なシステム100では、4つの基地局120のうちの1つだけがマスタ基地局として構成され、他の3つの基地局120はスレーブ基地局である。特定の実施形態では、マスタ基地局またはスレーブ基地局のいずれかとしての各基地局120の役割は、事前に決定され得る。
【0049】
特定の実施形態では、
図1Bに示されるように、各基地局120の固定位置およびタグ130(または、タグ130が配置されるターゲット)の移動位置のために、タグ130は、基地局120のうちのいくつかの範囲内に配置されていない可能性がある。言い換えれば、タグ130は、基地局120のうちのいくつかの範囲外のタグである可能性がある。この場合、タグ130は、これらの範囲外の基地局120を用いて直接測距を実行できない可能性がある。タグ130がマスタ基地局の範囲外に配置されている場合、別のスレーブ基地局120(または、複数のスレーブ基地局120)によって、範囲外タグ130とマスタ基地局120との間で測距信号を送信/中継するための中継プロセスが必要となる場合がある。
【0050】
タグ130は、システム100内に配置されるターゲット(配置される車両、人、動物、または移動オブジェクトであり得る)上に提供されるデバイスである。特定の実施形態では、
【0051】
サーバ140は、アンカー(すなわち、基地局120)によって提供される情報に基づいてタグ130の実際の位置の計算を実行するために、ネットワーク110を介して基地局120と通信可能に接続されるサーバコンピューティングデバイスである。具体的には、基地局120によって提供される情報は、アンカー(すなわち、基地局120)の固定位置の情報、およびタグ130から基地局120によって受信される検出信号を含むが、それらに限定されない。特定の実施形態では、サーバ140および基地局120は、集中型ネットワークシステムを形成し得、サーバ140は集中型サーバである。特定の実施形態では、分散ネットワークシステムが提供され得、サーバ140(または、複数のサーバ140)および基地局120は、分散構造で接続されている。
【0052】
図2Aは、本開示の一実施形態による例示的な基地局を概略的に示している。具体的には、
図2Aに示される例示的な基地局200は、
図1Aに示される例示的なシステム100の基地局120の各々として使用され得る。
図2Aに示されるように、基地局200は、プロセッサ210、メモリ220、ネットワークインターフェース225、および記憶デバイス230、ならびにプロセッサ210、メモリ220、ネットワークインターフェース225、および記憶デバイス230を相互接続するバス240を含む。一実施形態では、プロセッサ210、メモリ220、および記憶デバイス230は、ASICの形態であり得る。特定の実施形態では、基地局200は、その対応するタスクを実行するために必要なハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネント(図示せず)を含み得る。これらのハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネントの例は、これらに限定されないが、他の必要なメモリモジュール、インターフェース、バス、入力/出力(I/O)モジュール、および周辺デバイスを含み得、その詳細はここでは詳しく説明しない。
【0053】
プロセッサ210は、任意のコンピュータ実行可能コードまたは命令を実行するために使用され得る基地局200の動作を制御する。特定の実施形態では、プロセッサ210は、中央処理装置(CPU)またはマイクロコントローラユニット(MCU)であり得、プロセッサ210によって実行されるコンピュータ実行可能コードまたは命令は、オペレーティングシステム(OS)および他のアプリケーション、基地局200に記憶されたコードまたは命令を含み得る。特定の実施形態では、基地局200は、任意の適切な数のプロセッサを含み得る複数のプロセッサ上で実行され得る。
【0054】
メモリ220は、基地局200の動作中にデータおよび情報を記憶するための、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリモジュールであり得る。特定の実施形態では、メモリ220は、揮発性メモリアレイの形態であり得る。特定の実施形態では、基地局200は、2つ以上のメモリ220上で実行され得る。
【0055】
ネットワークインターフェース225は、ネットワークと通信するためのインターフェースである。特定の実施形態では、ネットワークインターフェース225は、UWB標準の下でのインターフェースであり得る。一実施形態では、基地局200は、複数のネットワークインターフェース225を含み得る。たとえば、ネットワークインターフェース225は、基地局200がサーバ140に接続されることを可能にするローカルエリアネットワーク(LAN)バックホールなどのイーサネットバックホールと、タグとワイヤレス通信するためのワイヤレスインターフェースとを含み得る。
【0056】
記憶デバイス230は、基地局200のOSおよびソフトウェアアプリケーションなどのコンピュータ実行可能コードまたは命令を記憶するための不揮発性記憶媒体またはデバイスである。記憶デバイス230の例は、フラッシュメモリ、メモリカード、USBドライブ、またはハードドライブ、フロッピーディスク、光ドライブなどの他のタイプの不揮発性記憶デバイス、あるいは任意の他のタイプのデータ記憶デバイスを含み得る。特定の実施形態では、基地局200は、複数の記憶デバイス230を有し得、基地局200のソフトウェアアプリケーションは、複数の記憶デバイス230に別々に記憶され得る。
【0057】
図2Aに示されるように、記憶デバイス230に記憶されたコンピュータ実行可能コードは、基地局モジュール250を含み得る。具体的には、基地局モジュール250は、実行されると、基地局200が基地局プロトコルを通じてサーバおよびタグと通信することを可能にするソフトウェアモジュールの形態である。
図2Bは、本開示の一実施形態による、
図2Aに示される基地局内の基地局モジュールを概略的に示している。具体的には、
図2Bに示される基地局モジュール250は、アンカー構成モジュール260、クロック較正パケット(CCP)モジュール270、パーソナルエリアネットワーク(PAN)識別子(ID)およびスロットIDモジュール280、TDMAモジュール290、およびデータベース295を含む。
【0058】
アンカー構成モジュール260は、基地局200の構成設定を実行するために使用される。特に、基地局200が再起動すると、アンカー構成モジュール260は、構成を実行するために、データベース295から基地局構成データをロードする。基地局構成データに基づいて、アンカー構成モジュール260は、メモリ220内の複数のTDMAスロットを構成または割り当て、TDMAスロットのために複数のタイマーを作成する。タイマーの各々は、TDMAスロットのうちの1つの時間を示すために使用される。特定の実施形態では、TDMAスロットは、CCPスロット、PAN ID要求スロット、PAN ID応答スロット、および複数のTDMAタグスロットを順次含む。一実施形態では、1秒などのあらかじめ定められた時間枠内に、1秒のあらかじめ定められた時間枠内に160のTDMAタイムスロットがあり、TDMAタイムスロットの各々の時間は6300マイクロ秒である。TDMAスロットの詳細はさらに詳しく説明される。
【0059】
特定の実施形態では、「コールバック」メカニズムを使用して対応するTDMAスロットをトリガするために、タイマーが使用され得る。具体的には、アンカー構成モジュール260は、複数のコールバックを定義し得、コールバックは1対1でTDMAスロットに対応する。次いで、タイマーが対応するTDMAスロットの時間の開始を示すとき、アンカー構成モジュール260は、対応するTDMAスロットに対応する、対応するコールバックをトリガし得る。すべての基地局とタグはクロック同期されているため、コールバックメカニズムがすべての基地局とタグに適用され、したがって、対応するTDMAスロットの開始時刻が正確に示される。
【0060】
CCPモジュール270は、基地局200とタグとの間のクロック較正および同期を実行するために使用される。具体的には、上記のように、基地局は、マスタ基地局とスレーブ基地局を含む。特定の実施形態では、マスタ基地局の場合、CCPモジュール270は、CCPスロット内のネットワークを介してクロック同期パケットを送信またはブロードキャストするために使用される。スレーブ基地局ごとに、CCPモジュール270は、マスタ基地局からクロック同期パケットを受信し、CCPスロットにおけるクロック同期パケットの情報に基づいてマスタ基地局を参照してスレーブ基地局のローカルクロックを同期するために使用される。したがって、ネットワーク全体のすべての基地局およびタグは、マスタ基地局によって送信されたクロック同期パケットの情報に基づいてクロック同期される。特定の実施形態では、スレーブ基地局のうちのいくつかは、マスタ基地局の範囲内に配置されない場合があり、その結果、これらの範囲外のスレーブ基地局は、マスタ基地局から直接聞くことができない。この場合、マスタ基地局の範囲内に位置するスレーブ基地局の各々のCCPモジュール270は、ネットワークを介してクロック同期パケットをさらに中継して、範囲外のスレーブ基地局がマスタ基地局とクロック同期されることを可能にすることができる。特定の実施形態では、最大中継は127に制限され、これは16の基地局クラスタをカバーし、それを超えるとクロックドリフトは500ピコ秒を超える。スレーブ基地局における最速の同期遷移時間は約500マイクロ秒であるため、同期精度エラーは約500マイクロ秒*1ppm=500ピコ秒(0.5ns)であり、これは(127中継後の最悪のシナリオでは)約15cmである。
【0061】
PAN IDおよびスロットIDモジュール280は、ネットワーク全体で基地局およびタグの予約を実行するために使用される。特定の実施形態では、マスタ基地局の場合、PAN IDおよびスロットIDモジュール280は、スレーブ基地局の各々からの予約要求およびPAN ID要求スロット内のタグをリッスンすることと、スレーブ基地局の各々およびタグを記録し、予約要求を送信するタグの各々に対応するTDMAタグスロットを割り当て、スレーブ基地局とタグのそれぞれに対する対応する予約応答を送信することによって、受信される各予約要求に応答することとを行うために使用される。割り当てられたTDMAタグスロットに対応するデータは、データベース295に記録される。スレーブ基地局ごとに、PAN IDおよびスロットIDモジュール280は、予約要求をマスタ基地局に送信して、タグからの予約要求をPAN ID要求スロット内のマスタ基地局に中継することと、PAN ID応答スロット内のマスタ基地局からの対応する予約応答を受信することとを行うために使用される。特定の実施形態では、スレーブ基地局および/またはタグのうちのいくつかがマスタ基地局の範囲内に配置されている場合、マスタ基地局の範囲内に配置されたスレーブ基地局の各々のPAN IDおよびスロットIDモジュール280は、さらに、範囲外のスレーブ基地局および/またはタグからの予約要求をPAN ID要求スロット内のマスタ基地局に中継し、対応する予約応答をマスタ基地局からPAN ID応答スロット内の範囲外のスレーブ基地局および/またはタグに中継し得る。
【0062】
特定の実施形態では、PAN IDおよびスロットIDモジュール280は、スレーブ基地局およびタグの予約のためにリース時間メカニズムを利用し得る。具体的には、マスタ基地局のPAN IDおよびスロットIDモジュール280が、対応する予約応答をそれぞれスレーブ基地局およびタグの各々に送信するとき、PAN IDおよびスロットIDモジュール280はまた、スレーブ基地局およびタグの各々にリース時間を割り当て、リース時間が満了したかどうかをチェックする。たとえば、リース時間は3600秒(すなわち、1時間)であり得る。スレーブ基地局またはタグのリース時間が満了すると、スレーブ基地局またはタグに割り当てられたスロットが解放され、すべての新しい予約要求に自由に使用できるようになる。
【0063】
TDMAモジュール290は、基地局200とタグとの間の測距通信を制御するために使用される。特定の実施形態では、TDMAタグスロットの各々において、TDMAモジュール290は、タグからの測距要求をリッスンするために使用され、TDMAモジュール290は、タグの対応するタグから対応する測距要求を受信することに応答して、対応するタグに対応するTDMAタグスロットの時間を示す対応するタイムスタンプを使用して、対応する測距応答を対応するタグに送信する。この場合、対応するタグは、測距応答および対応するタイムスタンプの情報に基づいて、対応するウェイクアップおよび位置計算プロセスを実行し得る。
【0064】
図3は、本開示の特定の実施形態による、システムのすべてのノード間で拡散および同期されている例示的なフレームを示している。具体的には、上記のように、アンカー構成モジュール260は、メモリ220内の複数のTDMAスロットを構成または割り当てる。
図3に示されるように、1秒のあらかじめ定められた時間枠内に160個のTDMAスロット310があり、これは、CCPスロット312(第0のTDMAスロットとして)、PAN ID要求スロット314、およびPAN ID応答スロット316(第1および第2のTDMAスロットとして)、および複数のTDMAタグスロット318(第3から第159のTDMAスロットとして)を順次含む。言い換えれば、157個のTDMAタグスロット318があり、順次、TAG0からTAG156としてラベル付けされ、TDMAタグスロット318の各々は、対応するタグに対して1対1で割り当てられ得、したがって、合計157個のタグがネットワークに参加することを可能にする。157個のTDMAタグスロット318すべてがタグのために予約されている場合、マスタ基地局は、追加のタグ要求のリッスンを停止する。最初の3つのTDMAスロット(すなわち、CCPスロット312、PAN ID要求スロット314、およびPAN ID応答スロット316、または第0から第2のTDMAスロット)は、ネットワーク同期および結合の目的で使用され、TDMAタグスロット318は、タグ測距の目的で使用される。さらに、TDMAタイムスロット310の各々の時間は6300マイクロ秒であり、したがって、タグの各々は、ネットワーク内の基地局との測距を実行するために十分な時間を有することができる。
【0065】
図4Aは、本開示の一実施形態による、例示的なタグを概略的に示している。具体的には、
図4Aに示される例示的なタグ400は、
図1Aに示される例示的なシステム100のタグ130の各々として使用され得る。
図4Aに示されるように、タグ400は、リアルタイムクロック(RTC)405、プロセッサ410、メモリ420、ネットワークインターフェース425、および記憶デバイス430、ならびにRTC405、プロセッサ410、メモリ420、ネットワークインターフェース425、および記憶デバイス430を相互接続するバス440を含む。一実施形態では、プロセッサ410、メモリ420、および記憶デバイス430は、ASICの形態であり得る。特定の実施形態では、タグ400は、その対応するタスクを実行するために必要なハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネント(図示せず)を含み得る。これらのハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネントの例は、これらに限定されないが、他の必要なメモリモジュール、インターフェース、バス、入力/出力(I/O)モジュール、および周辺デバイスを含み得、その詳細はここでは詳しく説明しない。
【0066】
RTC405は、タグ400の現在の時刻を記憶および提供するためにマイクロチップに含まれる電池式時計である。特定の実施形態では、RTC405(または、RTC405が提供されるマイクロチップ)は、タグ400の他のコンポーネントから独立して動作可能であるように、プロセッサ410、メモリ420、および記憶デバイス430から分離されている。言い換えれば、タグ400の他のコンポーネントがディープスリープモードに切り替わる間、RTC405はアクティブ状態にあり得、したがって、タグがより低い電力を消費することを可能にする。特定の実施形態では、RTC405は、コンピュータのマザーボードにおいて相補型金属酸化膜半導体(CMOS)によって実装され得る。
【0067】
プロセッサ410は、任意のコンピュータ実行可能コードまたは命令を実行するために使用され得るタグ400の動作を制御する。特定の実施形態では、プロセッサ410は、中央処理装置(CPU)またはマイクロコントローラユニット(MCU)であり得、プロセッサ410によって実行されるコンピュータ実行可能コードまたは命令は、オペレーティングシステム(OS)および他のアプリケーション、タグ400に記憶されたコードまたは命令を含み得る。特定の実施形態では、タグ400は、任意の適切な数のプロセッサを含み得る複数のプロセッサ上で実行され得る。
【0068】
メモリ420は、タグ400の動作中にデータおよび情報を記憶するための、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリモジュールであり得る。特定の実施形態では、メモリ420は、揮発性メモリアレイの形態であり得る。特定の実施形態では、タグ400は、2つ以上のメモリ420上で実行され得る。
【0069】
ネットワークインターフェース425は、ネットワークと通信するためのインターフェースである。特定の実施形態では、ネットワークインターフェース425は、UWB標準の下でのインターフェースであり得る。一実施形態では、タグ400は、複数のネットワークインターフェース425を含み得る。たとえば、ネットワークインターフェース425は、基地局とワイヤレス通信するための1つまたは複数のワイヤレスインターフェースを含み得る。
【0070】
記憶デバイス430は、タグ400のOSおよびソフトウェアアプリケーションなどのコンピュータ実行可能コードまたは命令を記憶するための不揮発性記憶媒体またはデバイスである。記憶デバイス430の例は、フラッシュメモリ、メモリカード、USBドライブ、またはハードドライブ、フロッピーディスク、光ドライブなどの他のタイプの不揮発性記憶デバイス、あるいは任意の他のタイプのデータ記憶デバイスを含み得る。特定の実施形態では、タグ400は、複数の記憶デバイス430を有し得、タグ400のソフトウェアアプリケーションは、複数の記憶デバイス430に別々に記憶され得る。
【0071】
図4Aに示されるように、記憶デバイス430に記憶されたコンピュータ実行可能コードは、タグモジュール450を含み得る。具体的には、タグモジュール450は、実行されると、タグ400が基地局UWBプロトコルを通じてサーバおよび基地局と通信することを可能にするソフトウェアモジュールの形態である。
図4Bは、本開示の一実施形態による、
図4Aに示されるタグ内のタグモジュールを概略的に示している。具体的には、
図4Bに示されるタグモジュール450は、タグ構成モジュール460、タグCCPモジュール470、タグスロットIDモジュール480、測距モジュール490、およびデータベース495を含む。
【0072】
タグ構成モジュール460は、タグ400の構成設定を実行するために使用される。特に、タグ400が再起動すると、タグ構成モジュール460はまた、
図3に示される基地局のためのTDMAスロット310に対応するメモリ220内の複数のスロットを構成または割り当てる。さらに、タグ構成モジュール460はまた、タグ400に割り当てられるべきスロットのうちの対応する1つの時間を示すために使用されるタイマーを作成する。特定の実施形態では、タグ400のスロットは、測距スロット、測距スロットの前のウェイクアップスロット、およびタグ400がネットワークに参加した後のディープスリープスロットとしての残りのスロットを含み得る。一実施形態では、1秒などのあらかじめ定められた時間枠内で、測距スロットの時間は、6300マイクロ秒であり、これは、各TDMAスロットの時間と同一であり、ウェイクアップスロットの時間は250マイクロ秒である。スロットの詳細はさらに詳しく説明される。
【0073】
特定の実施形態では、タグ構成段階において、上記のように基地局によって使用される「コールバック」メカニズムは、タグ400にも適用され得る。具体的には、タグ構成モジュール460はまた、スロットに対応する複数のコールバックを定義し得る。次に、タイマーが特定のスロットの時間の開始を示すとき、タグ構成モジュール460は、特定のスロットに対応する、対応するコールバックをトリガし得る。タグ400がすべての基地局200とクロック同期されると、コールバックメカニズムは、すべての基地局200およびタグ400に適用され得、したがって、任意の対応するスロットの開始時刻を正確に示す。
【0074】
タグCCPモジュール470は、基地局200とタグ400との間のクロック較正および同期を実行するために使用される。具体的には、上記のように、基地局200は、CCPスロット312内のネットワークを介して、クロック同期パケット(マスタ基地局によってブロードキャストされるか、またはスレーブ基地局のうちの1つによって中継されるかのいずれか)を送信し得る。タグ400において、タグCCPモジュール470は、基地局200からクロック同期パケットを受信することと、クロック同期パケットの情報に基づいてマスタ基地局を参照してタグ400のローカルクロックを同期させることとを行うために使用される。タグCCPモジュール470はまた、タグ400がクロック同期されたことを示すために、データベース495内のクロック同期パケットの情報を記録する。したがって、タグ400は、マスタ基地局によって送信された(または、スレーブ基地局によって中継された)クロック同期パケットの情報に基づいてクロック同期される。
【0075】
タグスロットIDモジュール480は、ネットワークを介して基地局へのタグの予約を実行するために使用される。特定の実施形態では、タグ400がマスタ基地局とクロック同期されると、タグ400の予約要求を基地局200に送信するために、タグスロットIDモジュール480が使用される。マスタ基地局が、PAN識別子要求スロット314において、タグ400から(タグ400から直接、または予約要求を中継するスレーブ基地局から)予約要求を受信すると、マスタ基地局は、タグ400を記録することと、対応するTDMAタグスロット318をタグ400に割り当てて予約要求を送信することと、対応する予約応答をPAN識別子応答スロット316内のタグ400に送り返すこととを行うことによって、予約要求に応答する。タグ400において、タグスロットIDモジュール480は、基地局から(マスタ基地局から直接、または予約応答を中継するスレーブ基地局から)対応する予約応答を受信し、タグ400がネットワークに参加したことを示すために予約応答の情報をデータベース495に記録する。
【0076】
測距モジュール490は、基地局200とタグ400との間の測距通信を制御するために使用される。具体的には、上記のように、マスタ基地局がタグ400から予約要求を受信すると、マスタ基地局は、対応するTDMAタグスロット318をタグ400に割り当てることによって予約要求に応答し、その後、タグ400は、タグ400がネットワークに参加したことを示すために、対応する予約応答を受信し得る。特定の実施形態では、TDMAタグスロットの各々において、測距モジュール490は、測距要求を基地局200に送信し、次いで、タグ400に対応するTDMAタグスロット318の時間を示す対応するタイムスタンプとともに、基地局200から対応する測距応答を受信する。この場合、測距モジュール490は、タグ400に対応するTDMAタグスロットの時間より前の時間期間であるウェイクアップ時間を決定するために、対応するタイムスタンプに基づいて計算を実行し得る。一実施形態では、ウェイクアップ時間は、タグ400に対応するTDMAタグスロットの時間の250マイクロ秒前であり得る。測距モジュール490はまた、データベース495において取得されたタイムスタンプならびにウェイクアップ時間の情報を記録する。次いで、測距モジュール490は、ディープスリープモードに入るためにタグ400のコンポーネントを制御し得る。ディープスリープモードにおいては、RTC405のみがアクティブなままであり、タグ400の他のコンポーネントはディープスリープ状態に入り、したがってタグ400の消費電力を大幅に削減する。RTC405は時間を監視し、RTC405が、ウェイクアップ時間が経過したことを示すと、RTC405は、タグ400をウェイクアップするために割込みを送信し、次いで、測距モジュール490は、タグ400に対応するTDMAタグスロット内の位置特定情報を取得するために、位置計算の実行を続行し得る。タグ400に対応するTDMAタグスロットの時間が経過すると、測距モジュール490は、ディープスリープモードに再び入るためにタグのコンポーネントを制御し得る。
【0077】
図3に戻ると、同じ1秒のあらかじめ定められた時間枠内に、各タグ400のスロット330は、測距スロット332、測距スロット332の前のウェイクアップスロット334、およびディープスリープスロット336としての残りのスロットを含む。測距スロット332の時間は、タグ400に対応するTDMAタグスロット318の時間に対応する。具体的には、
図3に示されるスロット330は、基地局200においてTAG1としてラベル付けされる例示的なタグ400を示し、測距スロット332の時間は、TAG1としてラベル付けされているTDMAタグスロット318の時間に対応する。したがって、測距スロット332の前の時間期間は、ウェイクアップスロット334として割り当てられ、残りのスロットは、ディープスリープスロット336として割り当てられる。
【0078】
特定の実施形態では、測距スロット332(タグ400に対応するTDMAタグスロット318に対応する)について、タグ構成モジュール460は、測距スロット332内に複数のノードスロット350をさらに構成し得る。具体的には、ノードスロットは、グループポーリングスロット352、複数の基地局応答スロット354、位置計算スロット356、およびデータアップリンクスロット358を順次含む。具体的には、
図3に示されるように、16個の基地局応答スロット354が存在し、基地局0(マスタ基地局を示す)から基地局15としてラベル付けされている。言い換えれば、合計16個の基地局200またはノード(マスタ基地局および15個のスレーブ基地局を含む)がネットワークに含まれてよく、タグは、16個の基地局200のすべてと通信するまでの範囲であり得る。動作中、測距モジュール490は、グループポーリングスロット352内のグループポーリングによって、対応する測距要求をすべての基地局200に送信し得る。特定の実施形態では、グループポーリングスロット352の時間は200マイクロ秒であり、基地局応答スロットの全体の時間は4500マイクロ秒であり、各基地局応答スロットは約270マイクロ秒の時間を有する。この場合、タグに使用できる基地局が4つある場合、測距プロセスの実際の通信時間は1860マイクロ秒であり、タグに使用できる基地局が6つある場合、測距プロセスの実際の通信時間は2133マイクロ秒であり、見通し内(LOS)状態における位置精度が10cm未満になる可能性がある。
【0079】
説明したように、測距スロット332(ならびに、対応するウェイクアップスロット334)が特定のタグ用に構成されると、タグは、測距スロット332の時間内にのみ測距動作を厳密に実行するようにバインドされ、測距スロット332が終了すると、タグはディープスリープモードに切り替えられる。したがって、タグの消費電力は大幅に低くなる。
【0080】
一態様では、上記のシステム100は、UWBを用いて、3次元の高速でセンチメートル単位の正確な位置追跡を実行するために使用され得る。たとえば、
図5は、本開示の特定の実施形態による、超広帯域(UWB)を用いて位置追跡を実行する方法のフローチャートを示している。特定の実施形態では、
図5に示される方法は、
図1Aに示されるシステム100、または
図2Aまたは
図2Bに示される基地局によって実装され得る。本開示において別段の定めがない限り、方法のステップは、異なる順序で配置されてよく、したがって、
図5に示される順序に限定されない点に特に留意されたい。
【0081】
図5に示されるように、プロセス510において、アンカーデバイス(すなわち、マスタ基地局)が起動される。アンカーデバイスが起動されると、プロセス520において、アンカーデバイスのアンカー構成モジュールは、EEPROM(すなわち、記憶デバイス)から基地局構成をロードする。プロセス530において、アンカーデバイスのアンカー構成モジュールは、システムの構成が実際に存在するかどうかを検証する。構成がない場合、アンカー構成モジュールは、基地局構成の再ロードを試みるためにプロセス520に戻る。構成が検証される場合、プロセス540において、アンカー構成モジュールは、システムの現在の設定を出力する。このプロセスにおいて、アンカー構成モジュールは、アンカーデバイスのメモリ内のTDMAスロットを構成し得る。TDMAスロットが構成されると、アンカー構成モジュールは対応するタイマーを作成し得る。プロセス550~580において、アンカー構成モジュールは、160個のTDMAスロットすべてのタイマーを順次作成する。具体的には、プロセス550において、第0のTDMAスロット(すなわち、CCPスロット)に対応するタイマーが、クロック同期パケット用に作成される。プロセス560において、第1のTDMAスロットに対応するタイマーが、PAN IDおよびネットワーク要求スロット(すなわち、PAN ID要求スロット)用に作成される。プロセス570において、第2のTDMAスロットに対応するタイマーが、PAN IDおよびネットワーク応答スロット(すなわち、PAN ID応答スロット)用に作成される。プロセス580において、第3から第159のTDMAスロットに対応するタイマーが、N-測距のために(すなわち、TDMAタグスロット)作成される。タイマーが作成されると、プロセス590において、アンカー構成モジュールは、第0から第159のTDMAスロットについて複数のコールバックを定義および宣言し、プロセス595において、アンカー構成モジュールは、各TDMAスロットの開始時にコールバックを順次トリガする。
【0082】
図6A~
図6Cは、本開示の特定の実施形態による、TDMAスロットの各々のコールバックに応答するマスタ基地局の動作のフローチャートを示している。特定の実施形態では、
図6A~
図6Cに示される動作は、
図2Aおよび
図2Bに示される、マスタ基地局として構成されている基地局によって実装され得る。本開示において別段の定めがない限り、動作のステップは、異なる順序で配置されてよく、したがって、
図6A~
図6Cに示される順序に限定されない点に特に留意されたい。
【0083】
図6Aに示されるように、プロセス605において、第0のTDMAスロット(すなわち、CCPスロット)のコールバックがトリガされる。プロセス610において、マスタ基地局のCCPモジュールは、タイマーが6300マイクロ秒未満であるかどうか(すなわち、時間がまだCCPスロット内にあるかどうか)をチェックする。タイマーが6300マイクロ秒以上の場合、プロセスは直接終了する。タイマーが6300マイクロ秒未満の場合、プロセス615において、マスタ基地局のCCPモジュールはクロック同期パケットを送信またはブロードキャストし、プロセス620において、CCPモジュールはCCPスロットが終了するまで無限ループに入る。
【0084】
図6Bに示されるように、プロセス625において、第1および第2のTDMAスロット(すなわち、PAN ID要求スロットおよびPAN ID応答スロット)のコールバックがトリガされる。プロセス630において、マスタ基地局のPAN IDおよびスロットIDモジュールは、タイマーが6300マイクロ秒未満であるかどうか(すなわち、時間がまだPAN ID要求スロットおよびPAN ID応答スロット内にあるかどうか)をチェックする。タイマーが6300マイクロ秒以上の場合、プロセスは直接終了する。タイマーが6300マイクロ秒未満の場合、プロセス632において、マスタ基地局のPAN IDおよびスロットIDモジュールは、スレーブ基地局および/またはタグからの予約要求をリッスンする。プロセス634において、予約要求を受信すると、マスタ基地局のPAN IDおよびスロットIDモジュールは、予約要求がタグ要求(すなわち、タグからの予約要求)であるかどうかを決定する。予約要求がタグ要求である場合、プロセス636において、マスタ基地局のPAN IDおよびスロットIDモジュールは、対応するタグに対してPAN IDおよびTDMAスロットID応答(すなわち、予約応答)を発行する。予約要求がタグ要求ではないと判断された場合、予約要求はスレーブ基地局要求(すなわち、スレーブ基地局からの予約要求)であり、プロセス638において、マスタ基地局のPAN IDおよびスロットIDモジュールは、対応するスレーブ基地局に対してPAN IDおよびノードスロットID応答(すなわち、予約応答)を発行する。次いで、プロセス640において、マスタ基地局のPAN IDおよびスロットIDモジュールは、対応するリース時間を用いてスロットレコードを維持する。プロセス645において、マスタ基地局のPAN IDおよびスロットIDモジュールは、リース時間が満了したかどうかをチェックする。満了していない場合、PAN IDおよびスロットIDモジュールはプロセス630に戻る。リース時間が満了した場合、プロセス650において、PAN IDおよびスロットIDモジュールは、対応するスロットが使用可能になるように、対応するスロットレコードを更新する。
【0085】
図6Cに示されるように、プロセス655において、第3から第159のTDMAスロット(すなわち、TDMAタグスロット)のコールバックがトリガされる。プロセス660において、マスタ基地局のTDMAモジュールは、タイマーが6300マイクロ秒未満であるかどうか(すなわち、時間がまだ対応する各TDMAタグスロット内にあるかどうか)をチェックする。タイマーが6300マイクロ秒以上の場合、プロセスは直接終了する。タイマーが6300マイクロ秒未満の場合、プロセス670において、マスタ基地局のTDMAモジュールは、クロックパケットがアクティブであるかどうか、およびスロットが予約されているかどうか(すなわち、予約されているタグがあるかどうか)をチェックする。予約されているスロットがない場合、プロセスは直接終了する。少なくとも1つのスロットがタグ用に予約されている場合、プロセス680において、マスタ基地局のTDMAモジュールは、タグから測距要求を受信し、プロセス690において、マスタ基地局のTDMAモジュールは、測距要求に応答し、対応する測距応答をタイムスタンプとともにタグに送信する。次いで、TDMAモジュールは、対応するTDMAタグスロットが終了するまでプロセス660に戻る。
【0086】
図7A~
図7Cは、本開示の特定の実施形態による、TDMAスロットの各々のコールバックに応答するスレーブ基地局の動作のフローチャートを示している。特定の実施形態では、
図7A~
図7Cに示される動作は、
図2Aおよび
図2Bに示されるスレーブ基地局として構成されている基地局によって実施され得る。本開示において別段の定めがない限り、動作のステップは、異なる順序で配置されてよく、したがって、
図7A~
図7Cに示される順序に限定されない点に特に留意されたい。
【0087】
図7Aに示されるように、プロセス705において、第0のTDMAスロット(すなわち、CCPスロット)のコールバックがトリガされる。プロセス710において、スレーブ基地局のCCPモジュールは、タイマーが6300マイクロ秒未満であるかどうか(すなわち、時間がまだCCPスロット内にあるかどうか)をチェックする。タイマーが6300マイクロ秒以上の場合、プロセスは直接終了する。タイマーが6300マイクロ秒未満の場合、プロセス712において、スレーブ基地局のCCPモジュールはクロック同期パケットを受信し、プロセス715において、スレーブ基地局のCCPモジュールは、クロック同期パケットの情報に基づいてローカルクロックを同期し、その結果、スレーブ基地局はクロック同期される。次いで、プロセス718において、スレーブ基地局のCCPモジュールは、クロック同期パケットを中継する必要があるかどうかをチェックする。クロック同期パケットを中継する必要がある場合、プロセス720において、スレーブ基地局のCCPモジュールは、クロック同期パケットをブロードキャストまたは中継し、次いで、プロセス710に戻る。クロック同期パケットを中継する必要がない場合、CCPスロットが終了するまで、CCPモジュールはプロセス710に直接戻る。
【0088】
図7Bに示されるように、プロセス725において、第1および第2のTDMAスロット(すなわち、PAN ID要求スロットおよびPAN ID応答スロット)のコールバックがトリガされる。プロセス730において、スレーブ基地局のPAN IDおよびスロットIDモジュールは、タイマーが6300マイクロ秒未満であるかどうか(すなわち、時間がまだPAN ID要求スロットおよびPAN ID応答スロット内にあるかどうか)をチェックする。タイマーが6300マイクロ秒以上の場合、プロセスは直接終了する。タイマーが6300マイクロ秒未満の場合、プロセス732において、スレーブ基地局のPAN IDおよびスロットIDモジュールは、PAN IDステータスが開始されているかどうか、およびリース時間がN秒未満(スレーブ基地局が予約されていることを示す)であるかどうかをチェックする。たとえば、N=3600である(すなわち、リース時間は1時間としてあらかじめ構成されている)。スレーブ基地局が予約されていない場合、プロセス734において、スレーブ基地局のPAN IDおよびスロットIDモジュールは、予約要求をマスタ基地局に送信することによって予約プロセスを開始する。プロセス736において、スレーブ基地局のPAN IDおよびスロットIDモジュールは、マスタ基地局から対応するPAN IDおよびノードスロットID応答(すなわち、予約応答)を受信する。プロセス738において、スレーブ基地局のPAN IDおよびスロットIDモジュールは、リース時間を開始し、プロセス740において、スレーブ基地局のPAN IDおよびスロットIDモジュールは、リース時間をスレーブ基地局のデータベースに更新する。
【0089】
一方、プロセス732において、スレーブ基地局のPAN IDおよびスロットIDモジュールが、スレーブ基地局が予約されていると決定した場合、プロセス742において、スレーブ基地局のPAN IDおよびスロットIDモジュールは、予約要求を中継する必要があるかどうかを決定する。予約要求を中継する必要がある場合、プロセス745において、スレーブ基地局のPAN IDおよびスロットIDモジュールは、他のスレーブ基地局および/またはタグからの予約要求をリッスンする。予約要求が受信された場合、プロセス750において、スレーブ基地局のPAN IDおよびスロットIDモジュールは、予約要求をマスタ基地局に再送信または中継する。スレーブ基地局のPAN IDおよびスロットIDモジュールを中継する必要がない場合、CCPスロットが終了するまで、スレーブ基地局のPAN IDおよびスロットIDモジュールは、プロセス730に直接戻る。
【0090】
図7Cに示されるように、プロセス755において、第3から第159のTDMAスロット(すなわち、TDMAタグスロット)のコールバックがトリガされる。プロセス760において、スレーブ基地局のTDMAモジュールは、タイマーが6300マイクロ秒未満であるかどうか(すなわち、時間がまだ対応する各TDMAタグスロット内にあるかどうか)をチェックする。タイマーが6300マイクロ秒以上の場合、プロセスは直接終了する。タイマーが6300マイクロ秒未満の場合、プロセス770において、スレーブ基地局のTDMAモジュールは、スレーブ基地局がクロック同期されているかどうか、およびスロットがスレーブ基地局用に予約されているかどうか(すなわち、スレーブ基地局がネットワーク内にあるかどうか)をチェックする。スレーブ基地局がネットワークにない場合、プロセスは直接終了する。スレーブ基地局がネットワーク内にある場合、プロセス780において、スレーブ基地局のTDMAモジュールは、タグから測距要求を受信し、プロセス790において、スレーブ基地局のTDMAモジュールは、測距要求に応答し、対応する測距応答をタイムスタンプとともにタグに送信する。次いで、TDMAモジュールは、対応するTDMAタグスロットが終了するまでプロセス760に戻る。
【0091】
図8A~
図8Cは、本開示の特定の実施形態による、TDMAスロットの各々のコールバックに応答するタグの動作のフローチャートを示している。特定の実施形態では、
図8A~
図8Cに示される動作は、
図4Aおよび
図4Bに示されるタグによって実施され得る。本開示において別段の定めがない限り、動作のステップは、異なる順序で配置されてよく、したがって、
図8A~
図8Cに示される順序に限定されない点に特に留意されたい。
【0092】
図8Aに示されるように、プロセス805において、第0のTDMAスロット(すなわち、CCPスロット)のコールバックがトリガされる。プロセス810において、タグのCCPモジュールは、タイマーが6300マイクロ秒未満であるかどうか(すなわち、時間がまだCCPスロット内にあるかどうか)をチェックする。タイマーが6300マイクロ秒以上の場合、プロセスは直接終了する。タイマーが6300マイクロ秒未満の場合、プロセス815において、タグのCCPモジュールはクロック同期パケットを受信し、プロセス820において、タグのCCPモジュールは、クロック同期パケットの情報に基づいてローカルクロックを同期し、その結果、タグはクロック同期される。タグがクロック同期されると、CCPスロットが終了するまで、CCPモジュールはプロセス810に直接戻る。
【0093】
図8Bに示されるように、プロセス825において、第1および第2のTDMAスロット(すなわち、PAN ID要求スロットおよびPAN ID応答スロット)のコールバックがトリガされる。プロセス830において、タグのタグスロットIDモジュールは、タイマーが6300マイクロ秒未満であるかどうか(すなわち、時間がまだPAN ID要求スロットおよびPAN ID応答スロット内にあるかどうか)をチェックする。タイマーが6300マイクロ秒以上の場合、プロセスは直接終了する。タイマーが6300マイクロ秒未満の場合、プロセス832において、タグのタグスロットIDモジュールは、PAN IDステータスが開始されているかどうか、およびリース時間がN秒未満(タグが予約されていることを示す)であるかどうかをチェックする。たとえば、N=3600である(すなわち、リース時間は1時間としてあらかじめ構成されている)。タグが予約されていない場合、プロセス835において、タグのタグスロットIDモジュールは、予約要求をマスタ基地局に送信することによって予約プロセスを開始する。プロセス840において、タグのタグスロットIDモジュールは、マスタ基地局から対応するPAN IDおよびTDMAスロットID応答(すなわち、予約応答)を受信する。プロセス845において、タグのタグスロットIDモジュールがリース時間を開始し、プロセス850において、タグのタグスロットIDモジュールがタグのデータベースへのリース時間を更新する。
【0094】
図8Cに示されるように、プロセス855において、第3から第159のTDMAスロット(すなわち、TDMAタグスロット)のコールバックがトリガされる。プロセス860において、タグの測距モジュールは、タイマーが6300マイクロ秒未満であるかどうか(すなわち、時間がまだ対応する各TDMAタグスロット内にあるかどうか)をチェックする。タイマーが6300マイクロ秒以上の場合、プロセスは直接終了する。タイマーが6300マイクロ秒未満の場合、プロセス870において、タグの測距モジュールは、タグがクロック同期されているかどうか、およびスロットがスレーブ基地局用に予約されているかどうか(すなわち、タグがネットワーク内にあるかどうか)をチェックする。タグがネットワークにない場合、プロセスは直接終了する。タグがネットワーク内にある場合、プロセス875において、タグの測距モジュールは、ネットワーク内のN個のノードスロット(すなわち、基地局)を見つけ(これは、
図3に示されるグループポーリングスロット352に対応する)、またプロセス880において、タグの測距モジュールは、N個のノードスロット(すなわち、基地局)を用いてN個の測距プロセスを開始する。具体的には、タグの測距モジュールは、測距要求を基地局に送信し、次いで、TDMAタグスロット対応タグ(
図3に示されるように基地局応答スロット354に対応する)の時間を示す対応するタイムスタンプを用いて、基地局から対応する測距応答を受信する。この場合、プロセス882において、測距モジュールは、ネットワークに同期するためにウェイクアップ時間を決定するために、対応するタイムスタンプに基づいて計算を実行し得る。プロセス884において、測距モジュールは、その範囲内のすべての基地局とともにすべての測距情報を蓄積し得る。プロセス886において、測距モジュールは、位置計算を実行し得る(これは、
図3に示される位置計算スロット356に対応する)。プロセス888において、測距モジュールは、ディープスリープモードに入るためにタグのコンポーネントを制御し得、RTCのみがアクティブに維持され得る(これは、
図3に示されるディープスリープスロット336に対応する)。プロセス890において、次のウェイクアップ時間が経過すると(
図3に示されるように、ウェイクアップスロット334に対応する
)、RTCはウェイクアッププロセスを実行し、測距モジュールはプロセス870に戻る。
【0095】
上記の方法では、任意の近くの基地局(または、複数の基地局)と距離を置くことができるかどうかを確認するために、タグは定期的にウェイクアップする。しかしながら、タグがすべての基地局の範囲外の位置に配置される可能性がある。この場合、タグの測距応答がない場合は、近くに利用可能な基地局がないことを意味する。したがって、タグのクロックは時間の経過とともに徐々にドリフトする可能性がある。しかしながら、タグがネットワークに戻ると(たとえば、タグが少なくとも1つの基地局の範囲内に移動すると)、タグは基地局から測距応答を受信し、対応するクロック同期を実行できるようになる。タグのリース時間がすでに満了している場合、タグは、ネットワークに再参加するために、新しいTDMAタグスロットに対して別の予約要求を再度送信する場合がある。
【0096】
上記の実施形態では、測距プロセスは、タグが現在の位置で任意の時点で通信しているN個の測距を用いて((2*N)パケットを使用して、ここで、Nはアンカー(すなわち、基地局)の数を表す)実行される。タグは、送信モードと受信モードの両方で同時に動作する。クロック同期パケットおよびTDMAは、システム全体の時刻同期を可能にするために使用され、ネットワーク内のすべてのノードは、500ピコ秒未満のクロック精度で較正される。
【0097】
本開示の別の態様は、システム(
図2Aおよび
図2Bに示される基地局、および/または
図4Aおよび
図4Bに示されるタグなど)、の1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、基地局および/またはタグ上で上記の方法が実行されるようにするコンピュータ実行可能コードまたは命令を記憶する非一時的な有形のコンピュータ可読媒体を提供する。コンピュータ実行可能命令またはプログラムコードは、上記に開示されたシステムまたは同様のシステムが、上記に開示された方法に従って様々な動作を完了することを可能にする。記憶媒体/メモリは、これらに限定されないが、DRAM、SRAM、DDR RAMまたは他のランダムアクセスソリッドステートメモリデバイスなどの高速ランダムアクセス媒体/メモリ、および1つまたは複数の磁気ディスク記憶デバイス、光ディスク記憶デバイス、フラッシュメモリデバイスなどの不揮発性メモリ、あるいは他の不揮発性ソリッドステート記憶デバイスを含み得る。
【0098】
特定の実施形態では、上記の実施形態で開示されるシステムは、ほぼリアルタイムで任意の有形資産の高精度のマイクロロケーションデータ、位置、または追跡を提供し得、したがって、複数の基地局またはアンカーを使用することによって正確な3D精度を達成し得る。システム内のすべてのノードがクロック同期されているため、パケット衝突およびパケットドロップが回避され得る。本開示は、システムが、反射信号を考慮し、汚染されたデータを排除しようとする機械学習ベースのアルゴリズムに基づいて高精度を達成することを可能にし得、これは、高干渉および非LOS条件において有用であり得る。
【0099】
さらに、特定の実施形態では、システムにおいて提供されるファームウェアの多様性により、速度追跡ソリューションは、本開示を通じて特定のニーズに応えることができ、追跡システムのより良い制御を可能にする。動作中、タグのリアルタイム測位は2マイクロ秒の速さで、近くに4つの基地局があり、タグは最高速度60KMphで移動する。
【0100】
さらに、上記のように、システムにおいて使用されているタグは、低電力タグであり得る。タグの電池寿命は常に顧客の関心事であるため、本開示により、ユーザは標準の電池寿命を現在の既存のソリューションと比較して約36倍(同じ電池容量で1週間から36週間)延長することができる。
【0101】
本開示の例示的な実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的でのみ提示されており、網羅的であること、または本開示を開示された正確な形態に限定することが意図されるものではない。上記の教示に照らして、多くの修正および変形が可能である。
【0102】
実施形態は、当技術分野の他の当業者が本開示および様々な実施形態を、企図される特定の使用に適した様々な修正を用いて利用できるようにするために、本開示の原理およびそれらの実際の適用を説明するために選択および説明された。代替の実施形態は、その趣旨および範囲から逸脱することなしに、本開示が関係する当技術分野の当業者に明らかになるであろう。したがって、本開示の範囲は、前述の説明および本明細書に記載された例示的な実施形態ではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0103】
本開示の説明において、特許、特許出願、および様々な刊行物を含み得るいくつかの参考文献が引用され、議論されている。そのような参考文献の引用および/または議論は、単に本開示の説明を明確にするために提供され、そのような参考文献が本明細書に記載の開示の「先行技術」であることを認めるものではない。本明細書において引用および議論されているすべての参考文献は、その全体が参照により、また各参考文献が参照により個別に組み込まれているかのように同程度に、本明細書に組み込まれる。
【符号の説明】
【0104】
100 システム
110 ネットワーク
120 基地局
130 タグ
140 サーバ
150 車両
200 基地局
210 プロセッサ
220 メモリ
225 ネットワークインターフェース
230 記憶デバイス
240 バス
250 基地局モジュール
260 アンカー構成モジュール
270 クロック較正パケット(CCP)モジュール
280 パーソナルエリアネットワーク(PAN)識別子(ID)およびスロットIDモジュール
290 TDMAモジュール
295 データベース
310 TDMAスロット
312 CCPスロット
314 PAN ID要求スロット
316 PAN ID応答スロット
318 TDMAタグスロット
330 スロット
332 測距スロット
334 ウェイクアップスロット
336 ディープスリープスロット
350 ノードスロット
352 グループポーリングスロット
354 基地局応答スロット
356 位置計算スロット
358 データアップリンクスロット
400 タグ
405 リアルタイムクロック(RTC)
410 プロセッサ
420 メモリ
425 ネットワークインターフェース
430 記憶デバイス
440 バス
450 タグモジュール
460 タグ構成モジュール
470 タグCCPモジュール
480 タグスロットIDモジュール
490 測距モジュール
495 データベース
605 プロセス
610 プロセス
615 プロセス
620 プロセス
710 プロセス
712 プロセス
715 プロセス
805 プロセス
810 プロセス
815 プロセス
820 プロセス
【外国語明細書】