(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024311
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】バスドラム内の空気流を通気させるための装置
(51)【国際特許分類】
G10D 13/10 20200101AFI20230209BHJP
G10D 13/02 20200101ALI20230209BHJP
G10D 13/20 20200101ALI20230209BHJP
【FI】
G10D13/10 170
G10D13/02 100
G10D13/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022115597
(22)【出願日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】17/395,181
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595028731
【氏名又は名称】リモ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Remo,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】スコット・レノルズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・メイ
(57)【要約】
【課題】ビータがバターヘッドを叩いた結果、バスドラムシェルの中を通って流れる空気を制御して調節可能に通気させて、より顕著な基本ピッチまたはノートおよび所望の全体的なハーモニックスを達成することを主な目的として、レゾナントドラムヘッドに設置および固定することができる装置またはデバイスを提供すること。
【解決手段】バターヘッドを叩いたときに発生する空気流によって引き起こされる望ましくない高周波のドラム音を効果的に制御するために、バスドラムシェルの内部を通り、続けて出入口の開口を通過する振動空気流の量を調整するための、音楽用バスドラムのレゾナントドラムヘッドの出入口の開口と一体的に結合されたデバイス。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が中空のドラムシェルを含む音楽用バスドラムであって、前記ドラムシェルが、第1の開口および第2の開口と、前記第1の開口を覆うバタードラムヘッドと、前記第2の開口を覆うレゾナントドラムヘッドとを有し、前記レゾナントドラムヘッドが、裏側と、表側と、前記バターヘッドを叩いたときに発生する振動空気が流れる出入口の開口とを有する、音楽用バスドラムであり、その改良が、
前記レゾナントドラムヘッドの前記裏側に固定され、前記出入口の開口を通過する振動空気の量を変化させて、望ましくない高周波のドラム音を制御する手段を備えることである、音楽用バスドラム。
【請求項2】
前記出入口の開口を通過する振動空気の量を変化させるために前記レゾナントドラムヘッドの前記裏側に固定された前記手段が、前記出入口の開口と一体的に結合されたデバイスを備え、前記デバイスが、前記出入口の開口の大きさを変化させるために上方および下方へ鉛直方向に配置されるように構成された可動ドア部材を有する、請求項1に記載の音楽用バスドラム。
【請求項3】
前記デバイスが、裏側プレート部材と、クランププレート部材と、ガスケット部材とを含む一体化された構成要素の組立体を備え、前記クランププレート部材が裏側および表側の両方を有し、前記表側が間隔を空けて配置された複数の固定されたボス部材を有し、前記ボス部材のそれぞれが、対応する開口を有し、前記可動ドア部材が、前記裏側プレート部材と前記クランププレート部材との間で摺動可能な係合状態で配置されて固定され、前記裏側プレート部材と前記クランププレート部材とが固定された関係で接合されている、請求項2に記載の音楽用バスドラム。
【請求項4】
前記出入口の開口と結合された前記デバイスが、前記レゾナントドラムヘッドの前記裏側に当接して配置され、前記ボス部材が、前記出入口の開口内に前記デバイスを中心合わせするために前記出入口の開口の縁と係合するように配置されている、請求項3に記載の音楽用バスドラム。
【請求項5】
前記デバイスが、前記レゾナントドラムヘッドの前記表側から前記デバイスと係合するように構成されたクランプリング部材によって前記レゾナントドラムヘッドに固定され、前記クランプリング部材が、前記デバイスを前記レゾナントドラムヘッドにしっかりと取り付けて固定するために前記クランププレート材の前記ボス部材のそれぞれの前記対応する開口と係合するための手段を受け入れるための複数の開口を有する、請求項3に記載の音楽用バスドラム。
【請求項6】
前記可動ドア部材を鉛直方向に動かすための手段を備える、請求項2に記載の音楽用バスドラム。
【請求項7】
前記可動ドア部材を鉛直方向に動かすための前記手段が、前記可動ドア部材と一体的に形成された高剛性構造体を備える、請求項6に記載の音楽用バスドラム。
【請求項8】
前記可動ドア部材の漸進的な鉛直方向の移動が、前記出入口の開口を通って通気される前記振動空気の量を変化させる、請求項6に記載の音楽用バスドラム。
【請求項9】
前記可動ドア部材が完全に開いた位置にあると、前記出入口の開口を通過する振動空気の量を最大限にすることができる、請求項2に記載の音楽用バスドラム。
【請求項10】
前記可動ドア部材が完全に閉じた位置にあると、振動空気が前記出入口の開口を通過することが妨げられる、請求項2に記載の音楽用バスドラム。
【請求項11】
前記可動ドア部材が前記裏側プレート部材と前記クランププレート部材との間で鉛直方向に動かされるときに、前記裏側プレート部材と前記クランププレート部材が、前記可動ドア部材に加えられる摺動張力の量を制御するための手段によって固定される、請求項3に記載の音楽用バスドラム。
【請求項12】
前記摺動張力の量を制御するための前記手段が、前記裏側プレート部材と前記クランププレート部材との間の間隔を位置的に調節して前記摺動張力の量を増減させるように構成された複数の嵌合されたねじ付き締結具とナットを備える、請求項11に記載の音楽用バスドラム。
【請求項13】
前記対応する開口と係合するための前記手段が、複数のねじ付き締結具を備え、前記ねじ付き締結具のそれぞれが、ねじ付きナットと嵌合係合する、請求項5に記載の音楽用バスドラム。
【請求項14】
前記裏側プレート部材が複数のボス部材を含み、前記ボス部材のそれぞれが対応する開口を有し、前記クランププレート部材が複数の開口を含み、前記開口のそれぞれが、前記裏側プレート部材と前記クランププレート部材とをしっかりと結合するために、前記対応するボス部材内に形成された前記開口のそれぞれに、嵌合されるねじ付きナットと係合するためのねじ付き締結具を受け入れるように構成されている、請求項3に記載の音楽用バスドラム。
【請求項15】
前記ドラムシェルの前記内部にマイクロフォンを取り付けるための手段を備える、請求項5に記載の音楽用バスドラム。
【請求項16】
マイクロフォンを取り付けるための前記手段が、少なくとも3つの開口を有する半リング部材と、マイクロフォン支持部材とを含み、前記マイクロフォン支持部材が、一端にねじ付き穴と、反対端の端部に円周方向に形成されたねじ部分とを有し、前記クランプリング部材が、少なくとも2つの開口と、前記マイクロフォン支持部材を受け入れるように合わせられた第1の切欠きと、第2の切欠きとを含み、前記半リング部材の前記開口の1つまたは複数を前記クランプリング部材の位置合わせされた対応する前記開口と係合させるための1つまたは複数の前記ねじ付き締結具が、前記半リング部材を前記クランプリング部材にしっかりと取り付けるように構成され、前記クランプリング部材の前記開口のそれぞれが、対応するねじ付き締結具と係合するための嵌合するねじ付きナットを有する、請求項15に記載の音楽用バスドラム。
【請求項17】
前記マイクロフォンを有する、または有しない前記マイクロフォン支持部材が通って前記ドラムシェルの前記内部に入ることができるように、前記裏側プレート部材、前記クランププレート部材、および前記ガスケット部材が、前記クランプリング部材の前記第1の切欠きおよび前記第2の切欠きと対応する関係で位置合わせされるように構成された、それぞれ、上側に配置された前記切欠き、および下側に配置された前記切欠きを個々に含む、請求項16に記載の音楽用バスドラム。
【請求項18】
前記マイクロフォン支持部材が、前記マイクロフォンとともにまたは前記マイクロフォンを伴わずに、前記クランプリング部材の前記第1の切欠きを通って挿入され、下側に配置された前記切欠きと位置合わせされて前記ドラムシェルの前記内部に入る、請求項17に記載の音楽用バスドラム。
【請求項19】
前記マイクロフォンのドラム音の振動ピックアップ特性を調節するために前記マイクロフォンを傾けるための手段によって、前記マイクロフォンが前記ドラムシェルの前記内部で支持される、請求項18に記載の音楽用バスドラム。
【請求項20】
下側に配置された第1の切欠き、上側に配置された第2の切欠き、および上部ベアリングエッジを有するシム部材が、前記裏側プレート部材と前記クランププレート部材との間に挿入可能に配置され、前記裏側プレート部材、前記クランププレート部材、および前記ガスケット部材に形成されたそれぞれの下側に配置された前記切欠きのそれぞれと位置合わせされた関係にある前記シム部材の下側に配置された前記第1の切欠きが、前記マイクロフォン支持部材を受け入れるように構成され、前記裏側プレート部材、前記クランププレート部材、および前記ガスケット部材に形成された下側に配置された前記切欠きのそれぞれと位置合わせされた関係にある前記シム部材の上側に配置された前記第2の切欠きが、前記マイクロフォンに取り付けられた電気コードを受け入れるように構成されている、請求項17に記載の音楽用バスドラム。
【請求項21】
前記シム部材が、前記裏側プレート部材と前記クランププレート部材との間に挿入されたとき、前記マイクロフォン支持部材および前記コードが前記出入口の開口を通過して前記ドラムシェルの前記内部に入ることを可能にし、それによって前記可動ドアが、前記上部ベアリングエッジに載って接触関係になるように実質的に閉位置に下ろされる、請求項20に記載の音楽用バスドラム。
【請求項22】
前記ガスケット部材が発泡材料から構成される、請求項3に記載の音楽用バスドラム。
【請求項23】
前記ガスケット部材が合成材料から構成される、請求項3に記載の音楽用バスドラム。
【請求項24】
前記ガスケット部材がゴム材料から構成される、請求項3に記載の音楽用バスドラム。
【請求項25】
前記裏側プレート部材、前記クランププレート部材、前記ガスケット部材、および前記可動ドア部材、または前記部材のいずれかが個々に合成材料から構成される、請求項3に記載の音楽用バスドラム。
【請求項26】
前記裏側プレート部材、前記クランププレート部材、前記ガスケット部材、および前記可動ドア部材、または前記部材のいずれかが個々にポリエチレン材料から構成される、請求項3に記載の音楽用バスドラム。
【請求項27】
前記裏側プレート部材、前記クランププレート部材、前記ガスケット部材、および前記可動ドア部材、または前記部材のいずれかが個々に合金から構成される、請求項3に記載の音楽用バスドラム。
【請求項28】
前記ドラムシェルの前記内部にマイクロフォンを取り付けるための手段が、前記出入口の開口を通って前記ドラムシェルの前記内部に配置された、一端に前記マイクロフォンが取り付けられた従来のブームアームを含む、請求項15に記載の音楽用バスドラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、楽器の分野に関し、より詳細には、バスドラムシェル内を動く空気流を、ドラムのレゾナントヘッド内に一体化された、出入口の開口を通して通気させるための、改良された装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バスドラム、タムタム、スネアドラム、およびシンバルはまとめてドラムセットまたはトラップセットとして知られている。ドラムセットの構成におけるバスドラム(キックドラムと呼ばれることもある)は、ドラムシェルの両端に形成された個々の開口をそれぞれ覆うバターヘッド(バタードラムヘッドとしても知られている)およびレゾナントヘッド(レゾナントドラムヘッドとしても知られている)を含む。バターヘッドはバスドラムの開口を覆い、ここには、ドラムヘッドを叩くためにフットペダルおよびビータが配置される。反対側の端部を覆うレゾナントヘッドは、ビータがバターヘッドを叩いたときに生じるドラムシェル内部の空気の動き(共振としても知られている)を反響させる。レゾナントドラムヘッドは通常、ドラムシェル内部で発生した振動空気を通気させるために、1つまたは複数の開口あるいは一連の開口を有する厚いポリエステルフィルム、より一般的にはポリエステルフィルムが装着される。同じ開口が、ドラム音を録音または増幅するためにドラムシェル内部にマイクロフォンを挿入するための通路、あるいは、そこに置かれた毛布や枕などの任意の種類の内部消音物品または材料を調節するために単にドラムシェル内部に単に手を入れるための通路として使用されることがある。
【0003】
バタードラムヘッドとレゾナントドラムヘッドのチューニングおよび張力が異なると、ビータがバタードラムヘッドを跳ね返ることから生じるドラマーの足の感触や感覚の違いとともに異なるハーモニクスが生じ、これが、ドラムシェル内部に発生する反響空気の量と強度に直接影響する。2つの標準的なドラムヘッドを用いて、ドラムシェルの両端に形成された開口を完全に塞ぐと、ドラムシェル内部に発生する空気は典型的には、シェル自体に作られた1つまたは複数の小さな空気通気口(通常、それぞれ1.3cm(1/2インチ)以下の直径)を通って通気される。ドラムシェルに形成された通気孔によって、両端を覆うフィルムはたわみ、したがって、より明瞭な基本ピッチ(基本ノート)が生じることができる。ドラムシェルが通気されないと、ドラムヘッドが曲がりにくく硬くなる。これは、シェル内部の空気が圧縮され、通気不可能であるため、レゾナントドラムヘッドまたはフロントドラムヘッドがたわむことができないので生じる。
【0004】
適切な基本ピッチまたはノート、またフットペダルを操作するドラマーの足の適正なレベルの感覚や感触を達成するために、プロのドラマーやサウンドエンジニアは、レゾナントヘッドに形成された通気孔または出入口の開口の数や大きさを変えることが多い。しかしながら、適切な基本ピッチまたはノートおよび音や感触の小さな変化を達成するためにヘッドを通気させるこの方法は、通常、ドラムヘッド全体を取り外し、必要な数および大きさの所望の通気孔を含むドラムヘッドと交換しなければならないので、面倒なプロセスとなることがある。これは、かなりの時間と労力、ならびに十分な在庫と個々に様々に通気されるドラムヘッドを維持しなければならないことを必要とする。米国特許第9,190,037号(「037特許」)は、ドラムシェルの内部を動く空気流の通気性、最終的には、出入口の開口の通気性を変化させるための手段を組み込む。しかしながら、‘037特許によって教示されたデバイスは、構造的に非現実的で、比較的薄っぺらで、その構造において信頼できない場合が多すぎる。これに加えて、‘037特許は、レゾナントドラムヘッドの表側の大部分に取り付けられ、広げられた別個の比較的侵襲的な空気流通気デバイスの使用を教示しており、これは、ドラムヘッドの表面に付けられ、通常は容易に見える製造者またはアーティストの名前、ロゴ、および/またはブランドを見にくくすることがある。すべてではないにしても、ほとんどのレゾナントドラムヘッドは典型的には、価値のある宣伝を行うための識別およびマーケティングの目的のために、特定の製造者、アーティスト、またはバンドに関連する名前、ロゴ、またはグラフィックを表示する。したがって、ロゴ、ブランド、および/または関連するグラフィックが完全に観客に見えることが非常に重要である。
【0005】
最終的に再生または直接増幅するための正確なバスドラムの録音は典型的には、マイクロフォンをドラムシェルの内部、あるいはシェルの外側で、レゾナントヘッドに形成された出入口の開口の近く、またはその前に配置することによって達成される。いくつかの例では、両方の構成を組み合わせて、意図される目的のために用いられる。マイクロフォンをバスドラムシェル内部に設置する先ほどの方法は、限定するものではないが、マイクロフォンを支持するために内部の側壁に何らかの種類のブラケットを取り付けるためにドラムシェルに貫通穴を開け、マイクロフォンコードを入れるために適切なグロメットを設けることを含む。しかしながら、多くのドラマーにとっては、これは常に受け入れられない、粗末な設置方法であった。これに代えて、スタンドによって支えられたブームアームの端部に取り付けられたマイクロフォンを利用することによって録音および増幅が行われる。この構成を用いると、マイクロフォンを出入口の開口のすぐ外側またはその前に配置することができ、またはレゾナントドラムヘッドの出入口の開口を通してドラムシェル内部の位置に挿入することができる。
【0006】
これを踏まえて、レゾナントドラムヘッド内に形成された出入口の開口を通るドラムシェル内部を流れる空気の通気性を変化させて制御することができることが最も重要であるとともに、マイクロフォンをドラムシェル内部に侵入させるのに、または、内部に置かれた任意の内部消音材料に人が手を伸ばして調節するのに十分に大きな開口を提供し、一方では、レゾナントドラムヘッドが特定の製造者、アーティスト、またはバンドの所望のブランド、ロゴ、またはグラフィックを表示する能力を保つデバイスに対する必要性が当該技術において存在する。
【0007】
したがって、今まで、そして、前記の理由のために、従来技術では、ビータがバターヘッドを叩いた結果、バスドラムシェルの中を通って流れる空気を制御して調節可能に通気させて、より顕著な基本ピッチまたはノートおよび所望の全体的なハーモニックスを達成することを主な目的として、レゾナントドラムヘッドに設置および固定することができる装置またはデバイスが提供されていない。従来技術では、ビータがバタードラムヘッドを叩いた結果として、ドラマーの足がより本物の感覚を感じることも可能にするように説明された装置またはデバイスが教示されていない。さらに、従来技術では、レゾナントドラムヘッドを通ってドラムシェル内部の空間に入れる、望ましくないドラム音を消音する目的でそこに置かれた任意の物品または材料を調節するための手段、およびそのように説明された他の改良が提供されてない。最後に、従来技術では、非常に重要で価値のある会社のブランド、アーティストまたはバンドの表示、あるいは任意の他のタイプの関連する所望のグラフィックまたはロゴを遮ることなく見ることも可能にし、最も重要なことは、レゾナントドラムヘッドの前側にいる観客に見えることも可能にしながら、前述の目的を達成するものはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【0009】
本発明は、第1の開口および第2の開口を有する中空のドラムシェルと、第1の開口を覆うバタードラムヘッドと、裏側、表側、および出入口の開口を有し、ドラムシェルの第2の開口を覆うレゾナントドラムヘッドとを含む音楽用バスドラムを含む。バタードラムヘッドおよびレゾナントドラムヘッドを、ドラムシェルの両端のそれぞれの開口のベアリングエッジに固定するためにカウンターフープおよび必要な器具類が設けられる。また、望ましくない高周波のドラム音を制御するために、シェルの内部を通り、続けて出入口の開口を通過する空気流の量を調整するための、出入口の開口と一体的に結合されたデバイスが含まれる。空気流は、ドラマーの足が、フットペダルに取り付けられたビータを作用させた結果としてバターヘッドを叩くことによって生成される。
【0010】
一体的に結合されたデバイスは、表側および裏側を有する裏側プレート部材であって、裏側が、間隔を空けて配置された複数の固定されたボス部材を有し、各部材が対応する開口を有する、裏側プレート部材と、裏側および表側を有するクランププレート部材であって、表側が、それぞれが対応する開口を有する、間隔を空けて配置された複数の固定されたボス部材を有する、クランププレート部材と、ガスケット部材とを含む様々な一体化された構成要素を備える。可動ドア部材は、裏側プレート部材とクランププレート部材との間で摺動可能な係合状態で配置されて固定され、それらは、そのとき、対応する六角ナットに固定されたねじ付きボルト締結具によって結合されるが、他のタイプの締結具およびナットも適している場合がある。可動ドアは、出入口の開口の大きさを変化させて、通過する空気流の量を調節するために上方および下方へ鉛直方向に配置されるように構成される。デバイスは、レゾナントドラムヘッドの裏側に当接して配置されることによって出入口の開口と結合され、そこで、クランプリング部材によってしっかりと固定され、クランプリング部材は、本発明の好ましい実施形態にしたがってレゾナントドラムヘッドの表側からデバイスと係合する。
【0011】
したがって、本発明の目的は、バスドラムシェルの中を動き、レゾナントドラムヘッドに形成された出入口の開口を通過する空気流の量を変化させるための手段を有する音楽用バスドラムを提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、クランプリングと協働してレゾナントドラムヘッドの内面に当てて固定された装置であって、クランプリングが、レゾナントドラムヘッドの表側からその装置を係合固定する、装置を利用して、ドラムシェル内部からレゾナントドラムヘッドの出入口の開口を通る空気の通気性を制御することができる音楽用バスドラムを提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、装置の構成要素の間に配置され、そこで、摺動可能な係合状態で固定された可動ドアを含み、それによって、ドアの上方または下方への動きが可能になり、出入口の開口の大きさを変え、それに応じて通過する空気流の通気を調節することができる、音楽用バスドラムを提供することである。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、ドラムシェル内部にマイクロフォンを収容して、内部で発生するドラム音を録音または増幅する手段を有する音楽用バスドラムを提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、ドラムシェル内部の領域に直接かつ妨げられることなくアクセスして、そこに配置された任意の内部消音デバイスまたは材料を調節することができる手段を有する音楽用バスドラムを提供することである。
【0016】
本発明のさらに別の目的は、特定の製造者、バンド、またはアーティストに関連するブランド、名前、ロゴ、またはグラフィックデザインを視覚的に妨げない、出入口の開口を通る空気流の量を変化させるための、レゾナントドラムヘッドに取り付けられた装置を有する音楽用バスドラムを提供することである。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、望ましくない高周波のドラム音を制御する全体的な目的で、空気流がドラムシェル内部を動き、出入口の開口を通過するときの空気流の量を変化させるための装置を有する音楽用バスドラムを提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、ドラムシェル内部を通り、出入口の開口を通過する空気流の量を変化させるための装置であって、製造の費用効果が高く、設置および操作が容易な装置を有する音楽用バスドラムを提供することである。
【0019】
実施形態すべてにおける本発明の他の目的および利点は、本発明の好ましく代替的な実施形態をさらに示すことができる添付図面に照らして考慮すると、以下の明細書で明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】ドラムヘッド、それらのそれぞれのカウンターフープ、および任意の対応する器具類のない音楽用ドラムシェルの正面斜視図である。
【
図2】典型的なフットペダルを有する音楽用バスドラムの正面斜視図である。
【
図3】中央に出入口の開口を有するレゾナントヘッドが描かれた、従来の音楽用バスドラムの斜視図である。
【
図4】中央に出入口の開口を有し、バタードラムヘッドの裏側が仮想線で示された、従来の音楽用バスドラムの別の斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるデバイスの一体化される構成要素の分解正面斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるデバイスの一体化される構成要素の分解背面斜視図である。
【
図6A】
図6に示した裏側部材の部分の拡大図である。
【
図6B】
図6に示したクランププレート部材の部分の拡大図である。
【
図7】本発明の一実施形態によるデバイスの断面図である。
【
図8】レゾナントドラムヘッドを斜め前から見た、本発明によるデバイスを固定するために使用される構成要素の分解図である。
【
図9】本発明によるデバイスの一実施形態の斜視図である。
【
図10】本発明によるデバイスの一実施形態の立面図である。
【
図11】レゾナントドラムヘッドを斜め後ろから見た、本発明によるデバイスの一実施形態の図である。
【
図11A】
図11に示した本発明によるデバイスの一実施形態の断面図である。
【
図12】クランプリング部材の意図する配置を示す、仮想線で部分的に示された本発明によるデバイスの一実施形態の斜視図である。
【
図13】可動ドア構成要素が上がった位置にある、レゾナントドラムヘッドに取り付けられた、仮想線で部分的に示された本発明によるデバイスの一実施形態の斜視図である。
【
図14】可動ドア構成要素が下がった位置にある、レゾナントドラムヘッドに取り付けられた、仮想線で部分的に示された本発明によるデバイスの一実施形態の斜視図である。
【
図15】半リングクランプ部材およびマイクロフォン支持組立体が分解されて示された、本発明によるデバイスの一実施形態の斜視図である。
【
図16】半リングクランプ部材、マイクロフォン支持組立体、およびマイクロフォンが分解されて示された、本発明によるデバイスの一実施形態の斜視図である。
【
図17】レゾナントドラムヘッドの出入口の開口を貫通しているマイクロフォン支持組立体を示す、本発明によるデバイスの一実施形態の斜視図である。
【
図18】マイクロフォン支持組立体によって支持されたマイクロフォンおよびコードが、レゾナントドラムヘッドの出入口の開口を貫通し、可動ドアが部分的に上がった位置にある状態で示された、本発明によるデバイスの一実施形態の斜視図である。
【
図19】マイクロフォンおよびコードが、レゾナントドラムヘッドの出入口の開口を貫通した後に下方に曲げられたマイクロフォン支持組立体によって支持された状態で示された、本発明によるデバイスの一実施形態の斜視図である。
【
図20】マイクロフォン支持組立体が出入口の開口を貫通した後にマイクロフォンを支持している状態で示された、本発明によるデバイスの一実施形態の斜視図である。
【
図21】マイクロフォン支持組立体およびマイクロフォンがドラムシェルの内部に仮想線で示された、本発明によるデバイスの一実施形態の斜視図である。
【
図22】レゾナントドラムヘッドに取り付けられて示された本発明によるデバイスの一実施形態の断面図であり、振動空気流がドラムシェルの内部から出入口の開口を通過するように描かれている。
【
図23】振動空気が通過するとき、出入口の開口の周縁の周りのフィルムのばたつきの影響を示す従来の音楽用バスドラムの斜視図である。
【
図24】本発明の一実施形態による、出入口の開口の周縁におけるフィルムのばたつきの影響を示すスペクトル解析の図である。
【
図25】本発明の一実施形態による、出入口の開口の周縁におけるフィルムのばたつきの影響を示す波形の図である。
【
図26】本発明によるデバイスの一実施形態がレゾナントドラムヘッドに固定されたとき、出入口の開口の周縁におけるフィルムのばたつきがないという効果を示すスペクトル解析の図である。
【
図27】本発明によるデバイスの一実施形態がレゾナントドラムヘッドに固定されたとき、出入口の開口の周縁におけるフィルムのばたつきがないという効果を示す波形の図である。
【
図28】従来技術によって教示されるように、従来のドラムシェルの内側に取り付けられ、マイクロフォンを支持するマイクロフォン支持組立体の斜視図である。
【
図29】従来技術によって教示されるように、マイクロフォンが、従来のブームアームに取り付けられた支持組立体によって支持され、ブームスタンドが、ドラムヘッドの前方に配置された状態の、ドラムシェルに取り付けられたレゾナントドラムヘッドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、まず、ドラムヘッド、カウンターフープ、および器具類のない単独のドラムシェル4を示す
図1を参照して、より詳細に説明される。また、
図1には、ドラムシェル内部4aと、ベアリングエッジ6aを有する第1の開口6と、ベアリングエッジ8aを有する第2の開口8とが示される。
【0022】
図2および
図3は、前端部3および後端部5を有する音楽用バスドラム2を示す。また、表側7および裏側9からなるバタードラムヘッド10が含まれ、第1の開口6を覆う。第2の開口8を覆うレゾナントドラムヘッド12は、裏側14、表側16、および出入口の開口18を含む。バターヘッド10およびレゾナントドラムヘッド12をそれぞれ前端部3および後端部5に固定するのは、カウンターフープ10aおよび対応する器具類12aである。バスドラム2に接続され、および/またはバタードラムヘッド10の前端部3の前に配置されるのは、ビータ13が取り付けられたバスペダル11である。バスドラムスパー15はまた、ドラム2を安定させるために設けられる。
【0023】
また、ドラムシェル4の内部4aを通り出入口の開口18を通過する振動空気22の量を変化させて制御するために、レゾナントドラムヘッド12の裏側14に取り付けるためのデバイス20が組み立てられて設けられる。振動空気22は、ペダル11が押し下げられ、ビータ13にバターヘッド10を叩かせて強制的にたわませたときに生成される。出入口の開口18を通過する振動空気22の量を調整するために使用されるデバイス20は、この目的のために出入口の開口18と一体的に結合して接合するように設計される。デバイス20は、出入口の開口18の大きさを変化させるために上方および下方へ鉛直方向に配置されるように構成された可動ドア部材26を有する。これらすべての作用が最高点に達すると、最終的には、望ましくない高周波のドラム音のすべてではないにしてもほとんどを制御して、ドラマーが望むように除去する。
【0024】
より詳細には、デバイス20は、表側31と、間隔を空けて配置された複数のボス部材35を有する裏側29とを有する裏側プレート部材28を含む、一体化された構成要素の組立体からなる。また、裏側32と、間隔を空けて配置された複数のボス部材36を含む表側34とを有するクランププレート部材30、ならびにガスケット部材40が設けられる。各ボス部材35は、対応する開口37を含み、各ボス部材36は、対応する開口38を含む。可動ドア部材26は、クランププレート部材30の裏側32内に形成されたガイドトラック39、41に沿って、裏側プレート部材28とクランププレート部材30との間で摺動可能な係合状態で固定される。
【0025】
裏側プレート部材28およびクランププレート部材30は、可動ドア部材26が裏側プレート部材28とクランププレート部材30との間をガイドトラック39、41に沿って上昇または下降するときに可動ドア部材26にかかる摺動張力の量を制御するための手段によって固定され、それによって、ドア部材26は、出入口の開口18を通過する空気流22の量と強さを制御するように移動することができる。摺動張力の量を制御するための手段は、例えば、クランププレート部材30を裏側プレート部材28に締め付けるために利用される、係合される複数のねじ付きボルト締結具27を含み、これらは、ナット33と対になるとき、組み合わさって、裏側プレート部材28とクランププレート部材30との間の接続を締めたり緩めたりして、その結果、可動ドア部材26の鉛直方向の移動に影響を与える摺動張力の量に影響を与える。裏側プレート部材28の各ボス部材35は、対応する開口37を有する。クランププレート部材30は、対応するボス部材36の内部に複数の開口38を含み、各開口38は、クランプリング部材44の開口46を通って、対応する開口38と係合するねじ付きボルト締結具45を受け入れるように構成される。これによって、対応するナット48と対になるとき、可動ドア26を間に挟んで裏側プレート部材28に接続されたクランププレート部材30と結合したクランプリング部材44は、出入口の開口18が間に位置する永久接続体を形成する。
【0026】
デバイス20は、出入口の開口18と結合され、出入口の開口18に対して実質的に鉛直方向の関係でデバイス20を中心合わせして位置合わせするために出入口の開口18の縁42と係合するように配置されたボス部材36を用いて、レゾナントドラムヘッド12の裏側14に当接して配置される。デバイス20は、次いで、レゾナントドラムヘッド12の表側16からデバイス20と係合するように構成されたクランプリング部材44によってレゾナントドラムヘッド12に固定される。クランプリング部材44は、対応するナット48と係合してデバイス20をレゾナントドラムヘッド12に固定するためのねじ付きボルト締結具45を受け入れるための複数の開口46を含む。
【0027】
また、可動ドア部材を裏側プレート部材28とクランププレート部材30との間で鉛直方向に動かすために、可動ドア部材26と一体的に形成された突起部材50も設けられる。可動ドア部材26の漸進的な鉛直方向の動きは、本発明の主な目的と一致して、出入口の開口18を通って通気される振動空気22の量を変化させる。完全に開いた位置53になるように動作すると、可動ドア部材26は、出入口の開口18を通過しようとする振動空気22のすべてではないにしてもほとんどの通気を可能にする。可動ドア部材26は、完全に閉じた位置54になるように動作すると、出入口の開口18を通る振動空気22の通気を完全に防止しないまでも抑制する。
【0028】
本発明の用途および目的と一致して使用するために適したマイクロフォン64には、限定するものではないが、ShureモデルSM57、Beta52、およびAKG0-112が含まれる。本発明の好ましい実施形態と共同して動作する、マイクロフォン64を取り付けるためのデバイスは、多くの選択肢の中で、少なくとも3つの開口68a、68b、68cを有する半リング部材66と、ティルター組立体83に取り付けられたマイクロフォン支持ロッド部材70を含む。半リング部材66の開口68aを通って、ロッド部材70内に形成されたねじ付き開口72と係合するためのねじ付き締結具57aが配置される。半リング部材66内の開口68b、68cを通って、クランプリング部材44内に形成された対応する開口81、85と係合するための対応するねじ付き締結具57b、57cがそれぞれ配置される。ねじ付き締結具57b、57cは、半リング部材66をクランプリング部材44に固定するために、対応するナット58b、58cと対になる。本発明のデバイスの様々な構成要素をレゾナントドラムヘッド12に締結または固定するためのすべての手段は、本明細書で既に説明したもの以外に、ねじがあってもなくても、この目的のための任意の適切な締結または固定手段を含むことができる。
【0029】
マイクロフォン支持ロッド部材70は、一端74にねじ付き開口72と、端部78に円周方向に形成されたねじ部76とを含み、ティルター組立体83に組み込まれた嵌合可能なねじ部分(図示せず)と接続する。支持ロッド部材70とティルター組立体83とはまた、この目的のための任意の他の適切な手段を用いて接続されてもよい。
【0030】
クランプリング部材44はまた、支持ロッド部材70を摺動可能に受け入れるための第1の切欠き82、および第2の切欠き84を含む。マイクロフォン支持ロッド部材70は、支持ロッド部材70が取り付けられた半リング部材66と組み合わさって、定位置に配置され固定されると、マイクロフォン64を確実に支持するのに、より詳細には、ビータ13がバタードラムヘッド10を叩くことから生じる、またはドラムシェル4のドラムシェル内部4aおよび出入口の開口18を通る振動空気22の影響から生じる、マイクロフォン64の破壊的な揺れ、ガタガタすること、または他の種類の動きを防ぐのに十分に固定される。マイクロフォン64は、ドラムシェル4の内部4aに配置されたとき、マイクロフォン64のドラム音の振動ピックアップ特性を調節するために、マイクロフォン64を上方または下方に回転することを可能にする支持スリーブ83aと結合されたティルター組立体83からさらに支持される。
【0031】
裏側プレート部材28、クランププレート部材30、およびガスケット部材40は、それぞれ上側に配置された切欠き90a、90b、90c、および、それぞれ下側に配置された切欠き92a、92b、92cを含み、これらはクランプリング部材44の第1の切欠き82および第2の切欠き84と対応する関係で位置が合うように構成され、とりわけ、マイクロフォン支持ロッド部材70が、出入口の開口18を妨げずに通ってドラムシェル4のドラムシェル内側4aに入ることを可能にする。第2の切欠き84はまた、可動ドア部材26がその最高位置まで持ち上げられたときに突起部材50を配置し保持することができるニッチとして機能する。
【0032】
また、下側に配置された第1の切欠き99、ならびに上側に配置された第2の切欠き100および上部ベアリングエッジ97を有し、適宜、裏側プレート部材28とクランププレート部材30との間に挿入するためのシム部材96が設けられる。下側に配置された第1の切欠き99および下側に配置された切欠き92a、92b、92cと位置合わせされて配置されるクランプリング部材44の第1の切欠き82は、ロッド部材70を受け入れるように構成されて、マイクロフォン64があろうがなかろうが、出入口の開口18を通ってロッド部材70が入るのを容易にする。同様に、上側に配置された第2の切欠き100および下側に配置された切欠き92a、92b、92cと位置合わせされて配置されるクランプリング部材44の第1の切欠き82は、ドラム音を記録または増幅するためにソース(図示せず)にマイクロフォン64を接続するために使用されるマイクロフォンコード102を受け入れるように構成される。シム部材96は、可動ドア部材26がドラムシェル4のドラムシェル内部4aの空気流22を閉じ込めるために出入口の開口18をできるだけ完全に閉じることを可能にし、ロッド部材70およびコード102を適切に配置して支持すること確実にする目的で利用される。これを達成するために、可動ドア部材26は、可動ドア部材26の下縁95が上部ベアリングエッジ97に接触してしっかりと載るまで下げられる。
【0033】
したがって、ロッド部材70およびマイクロフォンコード102がドラムシェル4のドラムシェル内部4aのそれぞれの位置に固定されると、シム部材96は、出入口の開口18が閉じているか、または少なくとも実質的に閉じているときにドラムシェル4のドラムシェル内部4aに最大量の空気を封じ込めることを可能にする。ドラムシェル4のドラムシェル内部4aでマイクロフォン64を支持するための別の手段は、レゾナントドラムヘッド12の前に配置されたフロアスタンド105、またはこの目的に適した任意の他のタイプのフロアスタンドによって支持される従来のブームアーム104の使用を含む。これに代えて、従来技術では、マイクロフォン64を定位置に保持するためにドラムシェル4の内壁108にしっかりと固定されたブラケット組立体107が教示されている。コード102は、ドラムシェル4内にコード102が通ることができる開口109に通されて、マイクロフォン64との接続が可能になる。グロメット110は、コード102を固定し、コード102が損傷しないように保護するために開口109に挿入されることがある。
【0034】
歴史的に、出入口の開口18、特に出入口の開口18の周囲の縁106の周囲に均一に張力がかかっていないとき、高周波のフィルムのばたつきが問題となる。より詳細には、出入口の開口18の周囲の縁106の周りに形成された、比較的緩く張力がかかったフィルム19は、空気流22が通過するとき、本質的に不安定であり、その結果、不要なドラム音が生じる。本発明は、高周波のフィルムのばたつき、および予測可能な、悩ましく破壊的な関連するドラム音を完全に排除しないまでも、最小限にするのに役立つ。より詳細には、デバイス20とクランプリング部材44が組み合わさった重量は、それらの他の機能に加えて、出入口の開口18の周囲の縁106を取り囲むフィルム19への十分な張力を維持する助けとなる。
【0035】
また、フィルムのばたつきの悪影響を減らすのに役立つのがガスケット部材40であり、これはレゾナントドラムヘッド12の裏側14、より詳細には、ばたつきの影響を最も受け、周囲の縁42をぴったりと取り囲む出入口の開口18の部分、すなわちフィルム21を押圧する。従来技術では、これらの不要な高周波のばたつきノイズは、充填材の枕または同様のもの(図示せず)をレゾナントドラムヘッド12の裏側14に当てて配置することで制御することができる場合がある。しかしながら、ばたつきノイズまたは不要な高周波音を制御するためのこの手段は、本発明のデバイスのはるかに効果的で洗練された能力と比較すると、比較的粗雑な代替手段である。
【0036】
限定するものではないが、裏側プレート部材28およびクランププレート部材30の典型的な寸法は、幅が14.6cm(5.75インチ)~15.9cm(6.25インチ)、高さが17.8cm(7インチ)~19.1cm(7.5インチ)である。両方のプレート部材の典型的な厚さは、0.64cm(1/4インチ)である。ガスケット部材40の概略寸法は同じである。可動ドア部材26の概略寸法は、幅が10.8cm(4.25インチ)~11.4cm(4.5インチ)、高さが12.7cm(5インチ)~13.3cm(5.25インチ)、厚さが0.08cm(1/32インチ)である。クランプリング部材44は、おおよそ10.2cm(4インチ)の内径、おおよそ14.6cm(5.75インチ)の外径、および、おおよそ1.11cm(7/16インチ)の厚みを有する。半リング部材66は、クランプリング部材44の約半分の大きさであり、ほぼ同じ厚さである。前述の寸法のいずれも、環境および他の要因がそうでないことを必要とする場合、厳密に遵守する必要はない。
【0037】
裏側プレート部材28、クランププレート部材30、および可動ドア部材26を構成するのに適する材料は、限定するものではない、ポリエチレン、特にABS熱可塑性ポリマー、または合金を含む。ガスケット部材40を構成するのに適する材料は、限定するものではないが、発泡体、ゴム、または任意の他の適切な天然物質または合成物質を含む。
【0038】
図24は、56cm(22インチ)のバスドラムヘッドにおける13cm(5インチ)の出入口の開口による高周波のフィルムのばたつきの影響のスペクトル解析を示す。
図25は、56cm(22インチ)のバスドラムヘッドにおける13cm(5インチ)の出入口の開口による高周波のフィルムのばたつきの影響の波形を示す。
図26は、同じドラムヘッドで高周波のフィルムのばたつきがないことを示すスペクトル解析を示す。
図27は、同じドラムヘッドで高周波のフィルムのばたつきがない効果を示す波形図である。
【0039】
本発明は、特定の好ましい実施形態と関連して説明されているが、本発明をこの特定の実施形態に限定することを意図していないことは理解されよう。むしろ、添付の請求項によって規定されるように本発明の趣旨および範囲に含むことができるようなすべての代替案、変形例、および等価物を包含することが意図されている。
【符号の説明】
【0040】
2 音楽用バスドラム
3 前端部
4 ドラムシェル
4a ドラムシェル内部
5 後端部
6 第1の開口
6a ベアリングエッジ
7 表側
8 第2の開口
8a ベアリングエッジ
9 裏側
10 バタードラムヘッド
10a カウンターフープ
11 バスペダル
12 レゾナントドラムヘッド
12a 器具類
13 ビータ
14 裏側
15 バスドラムスパー
16 表側
18 開口
19 フィルム
20 デバイス
21 フィルム
22 振動空気
26 可動ドア部材
27 ねじ付きボルト締結具
28 裏側プレート部材
29 裏側
30 クランププレート部材
31 表側
32 裏側
33 ナット
34 表側
35 ボス部材
36 ボス部材
37 開口
38 開口
39 ガイドトラック
40 ガスケット部材
41 ガイドトラック
42 周囲の縁
44 クランプリング部材
45 ねじ付きボルト締結具
46 開口
48 ナット
50 突起部材
53 完全に開いた位置
54 完全に閉じた位置
57a ねじ付き締結具
57b ねじ付き締結具
57c ねじ付き締結具
58b ナット
58c ナット
64 マイクロフォン
66 半リング部材
68a 開口
68b 開口
68c 開口
70 マイクロフォン支持ロッド部材
72 ねじ付き開口
74 一端
76 ねじ部
78 端部
81 開口
82 第1の切欠き
83 ティルター組立体
83a 支持スリーブ
84 第2の切欠き
85 開口
90a 切欠き
90b 切欠き
90c 切欠き
92a 切欠き
92b 切欠き
92c 切欠き
95 下縁
96 シム部材
97 上部ベアリングエッジ
99 第1の切欠き
100 第2の切欠き
102 マイクロフォンコード
104 ブームアーム
105 フロアスタンド
107 ブラケット組立体
108 内壁
109 開口
110 グロメット
【外国語明細書】