(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024314
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】粉体定量供給装置
(51)【国際特許分類】
G01G 13/06 20060101AFI20230209BHJP
B65G 65/44 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
G01G13/06 Z
B65G65/44 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116680
(22)【出願日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2021129052
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(71)【出願人】
【識別番号】598142830
【氏名又は名称】NiKKiFron株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】辺見 信彦
(72)【発明者】
【氏名】關口 大暉
(72)【発明者】
【氏名】飯井 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】小池 秀和
【テーマコード(参考)】
2F046
3F075
【Fターム(参考)】
2F046BA01
2F046FA09
3F075AA08
3F075BA01
3F075BB01
3F075CA06
3F075CA09
3F075CB01
3F075CB03
3F075CB14
3F075CB15
3F075CB16
3F075CC06
3F075CC07
3F075CD01
3F075DA04
3F075DA09
(57)【要約】
【課題】外力が加えられると綿状や糸くず状の塊に凝集し流動性がなくなる性質を有する粉体であっても、長期にわたって定量供給することが可能な粉体定量供給装置を提供すること。
【解決手段】ホッパ10と、ホッパ10に振動を付与する振動発生機20と、ホッパ10の内部に配設された撹拌部材30と、撹拌部材30をホッパ10の内部で回転駆動する駆動部40と、ホッパ10の下面開口部に配設された篩50と、ホッパ10の下方に配設された容器60と、容器60に収容された粉体の質量を計測する計量器70と、振動発生機20および駆動部40の動作を制御する動作制御部80と、を具備し、撹拌部材30の下端面と篩50の上面との間には隙間Sが形成されていることを特徴とする粉体定量供給装置100である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体が収容されるホッパと、前記ホッパに振動を付与する振動発生機と、前記ホッパ内に配設された撹拌部材と、前記撹拌部材を前記ホッパ内で回転駆動する駆動部と、前記ホッパの下面開口部に配設された篩と、前記篩の下方に配設された容器と、前記容器に収容された前記粉体の質量を計測する計量器と、前記振動発生機および前記駆動部の動作を制御する動作制御部と、を具備し、
前記撹拌部材の下端面と前記篩の上面との間には隙間が形成されていることを特徴とする粉体定量供給装置。
【請求項2】
粉体が収容されるホッパと、前記ホッパに振動を付与する振動発生機と、前記ホッパ内に配設された撹拌部材と、前記撹拌部材を前記ホッパ内で回転駆動する駆動部と、前記ホッパの下面開口部に配設された篩と、前記篩の下方に配設された容器と、前記容器に収容された前記粉体の質量を計測する計量器と、前記振動発生機および前記駆動部の動作を制御する動作制御部と、を具備し、
前記撹拌部材の下端面と前記篩の上面との間には隙間が形成されていて、
前記動作制御部は、前記容器に収容された前記粉体の累積供給量に応じて前記駆動部の回転数を変更することを特徴とする粉体定量供給装置。
【請求項3】
粉体が収容されるホッパと、前記ホッパに振動を付与する振動発生機と、前記ホッパ内に配設された撹拌部材と、前記撹拌部材を前記ホッパ内で回転駆動する駆動部と、前記ホッパの下面開口部に配設された篩と、前記篩の下方に配設された容器と、前記容器に収容された前記粉体の質量を計測する計量器と、前記振動発生機および前記駆動部の動作を制御する動作制御部と、を具備し、
前記撹拌部材の下端面と前記篩の上面との間には隙間が形成されていて、
前記動作制御部は、前記容器に収容された前記粉体の累積供給量に応じて前記振動発生機により発生させる振動を変更することを特徴とする粉体定量供給装置。
【請求項4】
粉体が収容されるホッパと、前記ホッパに振動を付与する振動発生機と、前記ホッパ内に配設された撹拌部材と、前記撹拌部材を前記ホッパ内で回転駆動する駆動部と、前記ホッパの下面開口部に配設された篩と、前記篩の下方に配設された容器と、前記容器に収容された前記粉体の質量を計測する計量器と、前記振動発生機および前記駆動部の動作を制御する動作制御部と、を具備し、
前記撹拌部材の下端面と前記篩の上面との間には隙間が形成されていて、
前記動作制御部は、前記容器に収容された前記粉体の累積供給量に応じて前記駆動部の回転数および前記振動発生機により発生させる振動を変更することを特徴とする粉体定量供給装置。
【請求項5】
前記動作制御部は、前記容器に収容された前記粉体の累積供給量が予め設定した微少供給開始累積供給量への到達時から予め設定した動作制御終了累積供給量に到達するまでの間、前記駆動部の動作を一時停止させ、前記振動発生機のみを作動させることを特徴とする請求項1~4のうちのいずれか一項記載の粉体定量供給装置。
【請求項6】
前記動作制御部は、前記容器に収容された前記粉体の累積供給量が予め設定した微少供給開始累積供給量への到達時から予め設定した動作制御終了累積供給量に到達するまでの間、前記振動発生機の動作を一時停止させ、前記駆動部のみを作動させることを特徴とする請求項1~4のうちのいずれか一項記載の粉体定量供給装置。
【請求項7】
前記撹拌部材は、前記駆動部の出力軸に連結される回転軸と、前記回転軸の先端部から前記ホッパの径方向に延伸する回転翼を有し、
前記回転翼は、回転方向に凹状となる平面視円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1~4のうちのいずれか一項記載の粉体定量供給装置。
【請求項8】
前記撹拌部材は、前記駆動部の出力軸に連結される回転軸と、前記回転軸の先端部から前記ホッパの径方向に延伸する回転翼を有し、
前記回転翼は、回転方向に凹状となる平面視円弧状に形成されていることを特徴とする請求項5記載の粉体定量供給装置。
【請求項9】
前記撹拌部材は、前記駆動部の出力軸に連結される回転軸と、前記回転軸の先端部から前記ホッパの径方向に延伸する回転翼を有し、
前記回転翼は、回転方向に凹状となる平面視円弧状に形成されていることを特徴とする請求項6記載の粉体定量供給装置。
【請求項10】
前記ホッパ内で回転する少なくとも1つの粉砕部材をさらに有していることを特徴とする請求項1~4のうちのいずれか一項記載の粉体定量供給装置。
【請求項11】
前記ホッパ内で回転する少なくとも1つの粉砕部材をさらに有していることを特徴とする請求項5記載の粉体定量供給装置。
【請求項12】
前記ホッパ内で回転する少なくとも1つの粉砕部材をさらに有していることを特徴とする請求項6記載の粉体定量供給装置。
【請求項13】
前記ホッパ内で回転する少なくとも1つの粉砕部材をさらに有していることを特徴とする請求項7記載の粉体定量供給装置。
【請求項14】
前記ホッパ内で回転する少なくとも1つの粉砕部材をさらに有していることを特徴とする請求項8記載の粉体定量供給装置。
【請求項15】
前記ホッパ内で回転する少なくとも1つの粉砕部材をさらに有していることを特徴とする請求項9記載の粉体定量供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉体定量供給装置に関し、より詳細には、外力が加えられると綿状や糸くず状の塊に凝集し流動性がなくなる性質を有する粉体であっても、長期にわたって定量供給することが可能な粉体定量供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体を一定量ずつ供給するための粉体定量供給装置としては、例えば特許文献1(特開平7-318402号公報)に開示されている構成が公知である。特許文献1に開示されている粉体定量供給装置は、粉体を収容する収容筒と、収容筒の下部に配設された多孔板と、収容筒の内部で回転可能に設けられ多孔板の上面に粉体を押し付ける押圧羽根が取り付けられた回転軸と、を具備している。具体的には、収容筒内で回転軸を回転させることで、押圧羽根が収容筒内の粉体を多孔板に押圧することにより、多孔板から粉体を通過させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧縮成形に使用するPTFE粉(ポリテトラフルオロエチレンモールディングパウダー:以下、本明細書中において同じ)は、外径数十ミクロンであるため、ホッパの内周面への付着やホッパ内でブリッジが形成され、ホッパ外への供給が滞ってしまうといった課題がある。また、PTFE粉は外力が加えられると綿状や糸くず状の塊に凝集し流動性がなくなる性質がある。このため、特許文献1に開示されている粉体定量供給装置を用いてPTFE粉の定量供給を行うと、押圧羽根によってPTFE粉が多孔板に押圧された際の押圧力および摩擦により粉体のPTFE粉が綿状や糸くず状の塊に凝集してしまい、PTFE粉を長期にわたり繰り返しの定量供給が困難になるといった課題がある。また、長期間にわたって押圧羽根を多孔板に接触した状態で使用すると、摩擦により押圧羽根の部材が削れてしまい、供給材料に異物混入のリスクが高まるため、押圧羽根と多孔板を接触させて使用することは材料の定量供給において好ましい状態ではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは以下のとおりである。すなわち、外力が加えられると綿状や糸くず状の塊に凝集し流動性がなくなる性質を有する粉体であっても、長期にわたって定量供給することが可能であると共に、供給材料への異物混入のリスクを回避可能な粉体定量供給装置を提供することにある。
【0006】
上記課題を解決するために発明者が鋭意研究した結果、以下の構成に想到した。すなわち本発明は、粉体が収容されるホッパと、前記ホッパに振動を付与する振動発生機と、前記ホッパ内に配設された撹拌部材と、前記撹拌部材を前記ホッパ内で回転駆動する駆動部と、前記ホッパの下面開口部に配設された篩と、前記篩の下方に配設された容器と、前記容器に収容された前記粉体の質量を計測する計量器と、前記振動発生機および前記駆動部の動作を制御する動作制御部と、を具備し、前記撹拌部材の下端面と前記篩の上面との間には隙間が形成されていることを特徴とする粉体定量供給装置である。
【0007】
これにより、外力が加えられると綿状や糸くず状の塊に凝集し流動性がなくなる性質を有する粉体であっても、長期にわたって定量供給することが可能になる。また、撹拌部材の下端面と篩の上面との間に隙間が形成されているので、撹拌部材と篩との摩擦がないので、粉体への異物混入を防止することができる。
【0008】
また、前記動作制御部は、前記容器に収容された前記粉体の累積量に応じて前記駆動部の回転数を変更すること、または、前記容器に収容された前記粉体の累積量に応じて前記振動発生機により発生させる振動を変更することが好ましい。
【0009】
以上により、容器への粉体の累積供給量に応じてホッパからの粉体の供給量の微調整が可能になる。
【0010】
また、前記動作制御部は、前記容器に収容された前記粉体の累積供給量が予め設定した微少供給開始累積供給量への到達時から予め設定した動作制御終了累積供給量に到達するまでの間、前記駆動部の動作を一時停止させ、前記振動発生機のみを作動させることが好ましい。
【0011】
これにより、容器への粉体供給の最終段階においてホッパから容器への粉体供給量を精密に管理することができる。
【0012】
また、前記容器に収容された前記粉体の累積供給量が予め設定した微少供給開始累積供給量への到達時から予め設定した動作制御終了累積供給量に到達するまでの間、前記振動発生機の動作を一時停止させ、前記駆動部のみを作動させることが好ましい。
【0013】
これにより、容器への粉体供給の最終段階においてホッパから容器への粉体供給量をさらに精密に管理することができる。
【0014】
また、前記撹拌部材は、前記駆動部の出力軸に連結される回転軸と、前記回転軸の先端部から前記ホッパの径方向に延伸する回転翼を有し、前記回転翼は、回転方向に凹状となる平面視円弧状に形成されていることが好ましい。
【0015】
以上により、ホッパの内周面に粉体が綿状や糸くず状の塊に凝集し、流動性を失わないようにすることができ、長期にわたって粉体の定量供給が可能になる。
【0016】
また、前記ホッパ内で回転する少なくとも1つの粉砕部材をさらに有していることが好ましい。
【0017】
これらにより、ホッパ内において粉体が綿状や糸くず状の塊に凝集しても、粉砕することができ、より長期にわたって粉体の定量供給が可能になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明における粉体定量供給装置の構成を採用することにより、外力が加えられると綿状や糸くず状の塊に凝集し流動性がなくなる性質を有する粉体であっても、長期にわたって定量供給することが可能になる。また、撹拌部材の下端面と篩の上面との間に隙間が形成されているので、撹拌部材と篩との摩擦がないので、粉体への異物混入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態における粉体定量供給装置の概略構成図である。
【
図2】第1実施形態における撹拌部材の正面図、平面図および平面図内の矢印A方向に臨んだ拡大図である。
【
図3】実施例1における振動発生機と駆動部の動作制御フローの説明図である。
【
図4】実施例1における粉体定量供給装置でPTFEをホッパから容器に定量供給した際における目標供給量に対する最終供給量のばらつきを示す分布図である。
【
図5】実施例2における振動発生機と駆動部の動作制御フローの説明図である。
【
図6】実施例2における粉体定量供給装置でPTFEをホッパから容器に定量供給した際における目標供給量に対する最終供給量のばらつきを示す分布図である。
【
図7】実施例3における振動発生機と駆動部の動作制御フローの説明図である。
【
図8】実施例3における粉体定量供給装置でPTFEをホッパから容器に定量供給した際における目標供給量に対する最終供給量のばらつきを示す分布図である。
【
図9】実施例4における振動発生機と駆動部の動作制御フローの説明図である。
【
図10】実施例4における粉体定量供給装置でPTFEをホッパから容器に定量供給した際における目標供給量に対する最終供給量のばらつきを示す分布図である。
【
図11】第2実施形態における粉体定量供給装置の概略構成図である。
【
図13】実施例5における振動発生機と駆動部の動作制御フローの説明図である。
【
図14】実施例5における粉体定量供給装置でPTFEをホッパから容器に定量供給した際における目標供給量に対する最終供給量のばらつきを示す分布図である。
【
図15】実施例6における振動発生機と駆動部の動作制御フローの説明図である。
【
図16】実施例6における粉体定量供給装置でPTFEをホッパから容器に定量供給した際における目標供給量に対する最終供給量のばらつきを示す分布図である。
【
図17】実施例7における振動発生機と駆動部の動作制御フローの説明図である。
【
図18】実施例7における粉体定量供給装置でPTFEをホッパから容器に定量供給した際における目標供給量に対する最終供給量のばらつきを示す分布図である。
【
図19】第2実施形態における粉体定量供給装置の変形例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明にかかる粉体定量供給装置の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態における粉体定量供給装置100は、粉体を収容するホッパ10、振動発生機20、撹拌部材30、駆動部40、篩50、ホッパ10から供給された粉体を収容する容器60、計量器70、および動作制御部80を具備する。本実施形態においては、粉体としてPTFEを用いているが、粉体はPTFEに限定されるものではない。
【0022】
粉体を収容するホッパ10は、寸胴で両端部がそれぞれ上面開口部12および下面開口部14に形成された筒状体をなし、ホッパ10の上面開口部12から粉体が適宜供給される。ホッパ10の側方位置には振動発生機20が配設されており、振動発生機20により生成された振動がホッパ10の側面からホッパ10に付与されている。ホッパ10は、変位計測器16により振動状態(振幅および単位時間当たり振動数)が計測されており、変位計測器16の計測結果は常に動作制御部80へ送信されている。
【0023】
ホッパ10の内部空間には撹拌部材30が収容されており、撹拌部材30の一部である回転軸32が上面開口部12からホッパ10の上部に延伸している。撹拌部材30の回転軸32は、ホッパ10の上方位置に配設された駆動部40の出力軸42に連結されている。ホッパ10の下面開口部14には篩50が配設されている。また、篩50の下方には篩50を通過させた粉体を収容する容器60が配設されている。容器60は基部KBの上に配設された計量器70の上に載置されている。
【0024】
振動発生機20の振動出力軸22には、ホッパ10の外周面の形状に倣った湾曲形状をなす当接部材24が取り付けられている。ホッパ10の外周面に当接部材24を当接(嵌合)させることで、振動発生機20により生成された振動がホッパ10に付与されている。また、振動発生機20の動作は、変位計測器16の計測結果に基づいて動作制御部80によって制御されている。具体的には、変位計測器16が計測したホッパ10の振幅および単位時間当たりの振動数に基づいて、動作制御部80がホッパ10の振幅および単位時間当たりの振動数を、図示しない記憶部に予め記憶されている所定振幅および所定単位時間当たりの振動数となるように、振動発生機20の動作をフィードバック制御している。
【0025】
本実施形態における撹拌部材30は、駆動部40の出力軸42と連結部材44を介して連結される回転軸32と、回転軸32の下側先端部33に取り付けられていてホッパ10の径方向に延伸する回転翼34を有している。本実施形態における回転翼34は、回転方向に凹状となる平面視円弧状に形成されている。また、本実施形態における回転翼34は、回転軸32との連結部分である薄肉部34Aと、薄肉部34Aの先端部分に所要高さを有する爪部取付部34Bとを有している。爪部取付部34B(回転翼34の延伸方向先端部)には薄板部材により形成された爪部36が着脱可能に取り付けられている。爪部36は、爪部36の先端部分がホッパ10の内周面に摺接可能な長さに形成されている。このように回転翼34の大部分を薄肉部34Aに形成することで、撹拌時において回転翼34とホッパ10に収容されている粉体との接触面積を最小限に抑え、粉体が綿状や糸くず状の塊に凝集する(以下、単に「凝集する」という)ことを防止できる。
【0026】
本実施形態における爪部36は、回転翼34と同様に円弧状に形成されていて、爪部36の先端部がホッパ10の内周面と摺動する。このような爪部36に用いる薄板部材はホッパ10の内周面と摺動する際に適宜弾性変形することができる程度の柔軟性を有していることが好ましい。本実施形態における爪部36は、
図2に示すように、先端部と先端部より内側所要範囲の下側部分(
図2中のハッチング部分)における薄板部材を二重にした補強部37に形成している。このような補強部37を形成することで、爪部36の先端を長期間にわたってホッパ10の内周面に摺動させることができる。
【0027】
撹拌部材30を回転駆動させる駆動部40は、高さ調整機構46を介してベースBに取り付けられている。このように高さ調整機構46を介してベースBに駆動部40を取り付けることにより駆動部40を昇降移動させることができるため、撹拌部材30の交換を容易に行うことができる。駆動部40は動作制御部80により制御されている。本実施形態における駆動部40にはステッピングモータを採用しているので、動作制御部80により撹拌部材30のオンオフ動作や単位時間あたりにおける回転数をきわめて短時間で変更することができる。
【0028】
ホッパ10の下面開口部14には篩50が着脱可能に配設されている。本実施形態の篩50は、下面開口部14に螺着可能なねじ蓋と一体に取り付けられている。ここで篩50とは、複数の貫通孔が穿設された板状部材(いわゆるパンチングメタル)や網状部材等に代表される所定寸法の均一な通過部を有する部材を含む概念である。また、篩50の目開きは、振動発生機20もしくは駆動部40が動作しているときに使用する粉体が通過できる大きさを有し、かつ、振動発生機20、駆動部40の動作を停止しているときには粉体が落下しない制御性を有する大きさに選定する。本実施形態における篩50は、撹拌部材30(回転翼34および爪部36)の下端面よりも下方位置(ここでは2.00mm下方側の位置)に篩50の上面が位置するように配置されている。
【0029】
このように撹拌部材30(回転翼34および爪部36)の下端部と篩50の上面との間に隙間Sを設けることで、撹拌部材30が篩50に直接接触することが防止される。これにより撹拌部材30の下面により粉体が篩50の上面に押圧されて凝集することが防止され、長期間にわたって容器60への粉体の定量供給が可能である。また、撹拌部材30の下端面と篩50の上面との摩擦がないので、粉体への異物混入(篩50との摩擦により剥がれた撹拌部材30の一部)を防止することができる。
【0030】
容器60は計量器70の計量部の上に載置されている。本実施形態においては計量器70に電子秤が採用されている。計量器70による容器60(容器60に供給された粉体)の計量結果は、動作制御部80に常時送信されている。
【0031】
本実施形態における動作制御部80は、演算部82、アンプ84およびモータドライバ86を有している。演算部82はCPUと動作制御プログラムにより構成されている。演算部82は、変位計測器16から送信されたホッパ10の振幅および単位時間当たりの振動数と、計量器70から送信された容器60への粉体の供給量に応じてアンプ84およびモータドライバ86を介して振動発生機20および駆動部40の動作を制御している。
【0032】
次に、以上に説明した粉体定量供給装置100を用いた粉体の定量供給方法について具体例に基づいて説明する。
【0033】
(実施例1)
本実施例は、容器60への粉体を10.0グラム(以下、グラムをgと記載する)供給する際における供給精度をプラスマイナス0.1g(以下、プラスマイナスを±と記載する)に設定し、上述の撹拌部材30を用いた構成を実験区とし、上述の撹拌部材30とは異なる形態の撹拌部材(図示はせず)を用いた構成を対照区としている。対照区としての撹拌部材の構成は、回転軸32と回転軸32の下端部から回転軸32の径外方向に延びる回転翼34を有する構成は共通しているが、具体的な形状は異なっている。すなわち、対照区における回転軸32と回転翼34は板状体をプレス加工等による打ち抜き加工によって形成されており、回転翼34が回転軸32の直径方向に沿って一直線状に延設された正面視形状が逆T字形状をなす板状体に形成されている。
【0034】
図3には、本実施例における振動発生機20と駆動部40の動作制御フローが示されている。本実施形態においては、容器60への粉体の供給量が0.0gから6.0gの間、ホッパ10の振幅を±2.0ミリメートル(以下、ミリメートルをmmと記載する)とし、ホッパ10の周波数が50ヘルツ(以下、ヘルツをHzと記載する)に設定している。なお、本実施形態における「容器60への粉体の供給量」とは、計量器70による計量値の出力電圧が目標とする供給量の電圧値に到達したことを指すものである。したがって、計量器70の応答性によっては、容器60への粉体の供給量が6.0gに到達した時点における実際の容器60に供給されている粉体の量は6.0gを超えていることもある。以下、本明細書における「容器60への粉体の累積供給量」等についても同様である。また、本明細書中における「振幅」はいわゆる全振幅を示すものであり、「振幅」の大きさは、基準点に対する±の値(正負の値)で表示している。
【0035】
また、ホッパ10の周波数を設定するということは、ホッパ10の単位時間当たりの振動数が所定の振動数になるように設定されていることと同義である。このようなホッパ10の振動の制御はいわゆるフィードバック制御により行われている。具体的には、変位計測器16により計測されたホッパ10の振幅および周波数と計量器70による計量結果が演算部82に送信され、演算部82が送信された上述の計量結果に基づいてアンプ84の出力を変更して振動発生機20の動作を制御している。同じく容器60への粉体の累積供給量が0.0gから6.0gの間において、演算部82は、ホッパ10の内部空間における撹拌部材30の回転数が24rpmとなるようにモータドライバ86を介して駆動部40の回転数を制御している。
【0036】
演算部82は、容器60への粉体の累積供給量が6.0gに到達した際、振動発生機20および駆動部40の動作を所要時間(ここでは3秒間)停止させて、計量器70に容器60内の粉体の正確な質量を計測させる。この後、演算部82は、容器60への粉体の供給を再開する。そして演算部82は、容器60への粉体の累積供給量が8.5gになるまでの間、ホッパ10の振幅が±1.5mmおよび周波数が40Hzとなるように、変位計測器16からの計測結果に基づきアンプ84を介して振動発生機20の動作を制御する。
【0037】
この間、演算部82は、動作停止後3秒後における容器60に供給された粉体の累積供給量が7.0g以下の場合には、撹拌部材30の回転数が24rpmになるように駆動部40の動作を制御する。演算部82は、容器60への粉体の累積供給量が8.0gに到達したときに駆動部40が作動している場合には、駆動部40の動作を停止させ、振動発生機20のみを上述の条件で継続作動させる。この後演算部82は、容器60への粉体の累積供給量が8.5gに到達すると、振動発生機20および駆動部40の動作を3秒間停止させ、計量器70によって容器60に供給された粉体の質量を正確に計測させる。
【0038】
次に演算部82は、容器60への粉体の供給を再開し、容器60への粉体の累積供給量が9.5gに到達するまでの間、容器60への粉体の供給再開時からの経過時間に比例してホッパ10の振幅が徐々に増加するように振動発生機20の動作を制御する。具体的には、容器60への粉体の供給再開時におけるホッパ10の振動の周波数を40Hz、振幅を±0.5mmとして、容器60への粉体の供給再開時からの経過時間に比例させて、8秒に対して±0.5mmの傾きで振幅が増加するように設定されている。また、動作停止後3秒後における容器60への粉体の累積供給量が9.0g以下の場合、演算部82は、撹拌部材30の回転数が12rpmになるように駆動部40を累積供給量が9.5gになるまで作動させる。これに対して動作停止後3秒後における容器60への粉体の累積供給量が9.0gを超えていた場合、演算部82は、駆動部40を停止させ、振動発生機20のみを上述の条件で継続作動させる。
【0039】
以上に説明したように、演算部82は、目標供給量(本実施形態においては10.0g)に対する容器60への粉体の累積供給量が85%~98%の間において、ホッパ10に付与する振動の振幅を経過時間に比例するように増加させている。これにより、容器60への目標供給量に対する最終段階の直前までにおける粉体の供給量が増加し、目標供給量への到達時間を短縮させている。なお、発明者が行った実験からは、演算部82が目標供給量である容器60への累積供給量が85%~98%の間において、ホッパ10に付与する振動の振幅を一定に維持した場合の所要時間に対し、本実施例における所要時間が短縮されていることが確認できた。
【0040】
ホッパ10の振幅を経過時間に伴って徐々に増大させている理由は次による。ホッパ10から粉体がよく落下するときは、ホッパ10の振幅が小さめの段階で次の動作に移行することが好ましい。これは、ホッパ10から粉体が落下しすぎないようにするためである。これとは反対に、ホッパ10から粉体が落下しにくいときは、ホッパ10の振幅を徐々に大きくすることによって落下量を増やし、ホッパ10を長時間振動させないようにしている。これらにおいては、長時間にわたってホッパ10を振動させることにより、ホッパ10の内部で粉体が凝集しないようにしている点で共通している。
【0041】
次に演算部82は、目標供給量に対する容器60への粉体の累積供給量が98%に到達したときは、振動発生機20の動作を3秒間停止し、計量器70により容器60に供給された粉体の計量を行わせる。演算部82は、計量器70による容器60に供給された粉体の計量後、振動発生機20によるホッパ10への振動付与を再開し、容器60への粉体の累積供給量が目標供給量になるように振動発生機20の動作を制御している。具体的には演算部82は、ホッパ10の振幅が±0.5mmであって、ホッパ10の振動の周波数が40Hzとなるように振動発生機20の動作をしている。なお、容器60への粉体の累積供給量が目標供給量の95%に到達した以降においては駆動部40の動作は停止した状態が維持されている。
【0042】
なお、
図3に示す振動発生機20と駆動部40の動作制御フローにおいては、ホッパ10から容器60に供給された粉体の累積供給量が9.9g到達時で動作制御を終了しているが、これは計量器70の応答性によるものである。すなわち、容器60に供給された粉体の計量器70による計測結果が確定するまでに所定の時間がかかるため、計量器70の応答時間によるタイムラグを考慮したためである。具体的には、容器60への粉体の供給量が目標供給量の99%に相当する累積供給量(予め設定した動作制御終了累積供給量)に到達した際に、振動発生機20と駆動部40の動作制御をそれぞれ停止させている。ここでは、計量器70の応答時間との兼ね合いで振動発生機20と駆動部40の動作制御を、計量器70による計量結果が目標供給量の99%到達時までを動作制御の対象範囲としているが、この数値に限定されるものではない。計量器70の応答性が高ければ(応答時間が短かければ)、より100%に近い値を動作制御の対象範囲にすることもできる。また、動作制御終了累積供給量を目標供給量と一致させることもできる。
【0043】
以上に説明したホッパ10から容器60への粉体の定量供給を100回繰り返した実験結果が
図4に示されている。なお、本実施例における実験は、ホッパ10から容器60にPTFEが定量供給される度に容器60のPTFEをホッパ10に戻す工程を10回実施した後、ホッパ10のPTFEを全量入れ替え、上述の実験を繰り返し行っている。
図4から明らかなように、本実施例における実験区の目標到達率は95%であり、対照区の目標達成率は100%であった。
【0044】
実験終了後、ホッパ10の内部および篩50の状態を確認したところ、実験区においては、ホッパ10の内周面および篩50に対する粉体の凝集はあまり見られず、引き続き同様の実験を行うことができる状態であった。一方対照区においては、ホッパ10の内周面および篩50に対する粉体の凝集が見られたが、引き続き同様の実験を行うことができる状態であった。以上の実験結果から、±0.1gの供給精度においては、実験区および対照区とも実使用に耐えうる結果を残したと結論することができる。
【0045】
(実施例2)
次に実施例2における粉体定量供給装置100による粉体の定量供給方法について
図5を参照しながら説明する。本実施例は、容器60への粉体を10.0g供給する際における供給精度を±0.1gに設定している。撹拌部材30については実施例1の実験区で用いた構成を採用し、振動発生機20と駆動部40の制御フローは容器60への粉体の供給量が0.0g~9.5gまでは実施例1と同一制御フローとしている。容器60への粉体の供給量が9.5g~9.9gまでの間(最終段階)における振動発生機20および駆動部40の動作制御内容が異なっている。なお、目標供給量である10.0gに対して振動発生機20および駆動部40の動作制御を累積供給量9.9gまでとしているのは実施例1で説明した理由と同様である。
【0046】
実施例2における容器60への粉体の累積供給量が9.5g~9.9gまでの間(最終段階)における振動発生機20および駆動部40の動作制御内容は次の通りである。すなわち、容器60への粉体の累積供給量が9.5gに到達すると、演算部82は振動発生機20および駆動部40の動作を3秒間ストップさせる。その後、演算部82は、駆動部40のみを
図5に記載されているように、累積供給量が9.5g~9.7gまでの間は24rpm、累積供給量が9.7g~9.85gまでの間は12rpm、累積供給量が9.85g~9.9gまでの間は6rpmと複数段階で駆動部40の回転数を半減させる処理を実行している。
【0047】
ここで実施例1の実験区における実験結果との比較を行う。容器60への粉体の最終段階である累積供給量が9.5g(微少供給開始累積供給量に相当)に到達した後は、実施例1の実験区は、振動発生機20のみが作動して容器60に粉体を供給している。これに対し、実施例2において累積供給量が9.5gに到達した後は、駆動部40(撹拌部材30)のみが作動して容器60に粉体を供給している。
図6は、実施例1の実験区の実験結果と実施例2の実験結果を示したものである。
図6から明らかなように、本実施例における実験結果は、容器60への粉体の目標供給量に対する目標達成率は100%であり、供給精度についても本実施例の方が実施例1の実験区より明らかに高いことがいえる。すなわち、容器60への粉体の供給精度が±0.1gである場合には、容器60への粉体を供給する最終段階においては、駆動部40(撹拌部材30)のみで行うことが好ましい。
【0048】
また、実験終了後、ホッパ10の内部および篩50の状態を確認したところ、実施例1の実験区においては、ホッパ10の内周面および篩50に対する粉体の綿状または糸くず状の塊になる凝集はあまり見られず、引き続き同様の実験を行うことができる状態であった。一方、本実施例においては、ホッパ10の内周面および篩50に対する粉体の綿状または糸くず状の塊になる凝集は実施例1の実験区よりも多くが見られたが、引き続き同様の実験を行うことができる状態であった。以上の実験結果から、±0.1gの供給精度においては、いずれも実使用に耐えうる結果を残したと結論できる。
【0049】
(実施例3)
本実施例は、容器60への粉体を10.00グラム(以下、グラムをgと記載する)供給する際における供給精度を±0.01gに設定し、実施例1の実験区と同一の撹拌部材30を用いた構成を実験区とし、実施例1の対照区と同一の撹拌部材を用いた形態を対照区としている。
【0050】
図7は、本実施例における振動発生機20と駆動部40の動作制御フローである。本実施形態においては、容器60への粉体の供給量が0.00gから6.00gの間、ホッパ10の振幅を±2.0mmとし、ホッパ10の周波数を60Hzに設定している。ホッパ10の振動の制御は、実施例1および実施例2と同様にフィードバック制御により行われている。同じく容器60への粉体の累積供給量が0.00gから6.00gの間において、演算部82は、ホッパ10の内部空間における撹拌部材30の回転数が24rpmとなるように駆動部40の回転数を制御している。なお、目標供給量である10.00gに対して振動発生機20および駆動部40の動作制御を累積供給量9.99gまでとしているのは実施例1で説明した理由と同様である。
【0051】
演算部82は、容器60への粉体の累積供給量が6.00gに到達した際、振動発生機20の動作は継続させ、駆動部40の動作を停止させ、ホッパ10に振動のみを付与した状態を容器60への粉体の累積供給量が6.50gに到達するまで計測させる。容器60への粉体の累積供給量が6.50gに到達すると、演算部82は、振動発生機20および駆動部40を3秒間停止させた状態にする。演算部82は、この間に計量器70に容器60内の粉体の正確な質量を計測させる。この後、演算部82は、容器60への粉体の供給を再開する。このとき演算部82は、容器60への粉体の累積供給量が8.00gになるまでの間、ホッパ10の振幅が±1.7mmおよび周波数が40Hzとなるように、変位計測器16からの計測結果に基づき振動発生機20の動作を制御する。また、演算部82は撹拌部材30の回転数が24rpmになるように駆動部40の動作を制御する。
【0052】
容器60への粉体の累積供給量が8.00gに到達すると、演算部82は振動発生機20および駆動部40の動作を3秒間停止させると共に計量器70に容器60内の粉体の正確な質量を計測させる。この後演算部82は、容器60への粉体の供給を再開し、容器60への粉体の累積供給量が9.30gに到達するまでの間、容器60への粉体の供給の再開からの経過時間に比例してホッパ10の振幅が徐々に増加するように振動発生機20の動作を制御する。具体的には、容器60への粉体の供給再開時におけるホッパ10の振動の周波数を40Hz、振幅を±0.5mmとして、容器60への粉体の供給再開時からの経過時間に比例させて、8秒に対して±0.5mmの傾きで振幅が増加するように設定されている。これと並行して演算部82は、撹拌部材30の回転数が24rpmになるように駆動部40を作動させる。
【0053】
そして演算部82は、容器60への粉体の累積供給量が9.30gに到達したときに駆動部40の動作を停止させ、容器60への粉体の累積供給量が9.65gになるまで振動発生機20の動作を引き続き同じ条件で継続作動させる。演算部82は、容器60への粉体の累積供給量が9.65gに到達したとき、振動発生機20の動作を3秒間停止させ、計量器70により容器60への粉体の累積供給量を計測させる。
【0054】
次に演算部82は、振動発生機20によりホッパ10の振幅を±0.5mmかつ周波数50Hzで作動させ、容器60への粉体の供給を振動の付与のみで再開させる。容器60への粉体の累積供給量が9.80gに到達したときは、振動発生機20の動作を停止し、停止3秒後に計量器70により容器60に供給された粉体の累積供給量の計量を行わせる。この後演算部82は、駆動部40による撹拌部材30の撹拌作用のみで容器60への粉体の累積供給量が動作制御を終了する量になるまで駆動部40の動作を制御している。具体的には演算部82は、容器60への粉体の累積供給量が9.90gになるまでの間は、撹拌部材30を12rpmで作動させ、同累積供給量が9.95gになるまでの間は、撹拌部材30を6rpmで作動させ、同累積供給量が動作制御を終了する量になるまでの間は、撹拌部材30を3rpmで作動させている。
【0055】
このように、本実施例における演算部82は、容器60への粉体の累積供給量が最終段階(微少供給開始累積供給量)に到達した後は、撹拌部材30による撹拌動作のみをホッパ10に加えるようにしている。より詳細には、演算部82は、撹拌部材30の回転数を複数段階で半減させるように駆動部40の動作を制御している。ここでは、3段階で撹拌部材30の回転数を半減させているが、2段階もしくは4段階以上で半減させる処理を行うこともできる。
【0056】
以上に説明したホッパ10から容器60への粉体の定量供給を100回繰り返した実験区の実験結果が
図8に示されている。本実施例の対照区においては、容器60へ粉体を10.00g供給することができなかった。これに対し本実施例の実験区においては、目標到達率は92%となり、実使用に十分耐えうることが分かる。実験終了後、ホッパ10の内部および篩50の状態を確認したところ、実験区においては、ホッパ10の内周面および篩50に対する粉体の凝集は見られるが、引き続き同様の実験を行うことができる状態であった。一方対照区においては、数回の実験を行っただけでホッパ10の内周面および篩50に対する粉体の凝集が実験区よりもかなり多く見られ、引き続き同様の実験を行うことができない状態であった。以上の実験結果から、±0.01gの供給精度においては、実験区のみが実使用に耐えうる結果を残し、対照区は実使用に耐えられないと結論できる。
【0057】
(実施例4)
本実施例においては、第1実施例および第3実施例における実験区と同一構造の撹拌部材30を用いて容器60への粉体を10.00g供給する際における供給精度が±0.01gに設定されている。
図9は本実施例における動作制御フローである。
図7および
図9からも明らかであるが、本実施例における動作制御フローは、ホッパ10から容器60への粉体の供給開始から累積供給量が9.65gに到達した後の計量処理までは、実施例3と同一の動作制御が行われているため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0058】
図9に示されているように、本実施例において目標供給量である10.00gに対して振動発生機20および駆動部40の動作制御を累積供給量9.97gまでとしているのは、実施例1で説明した理由と同様である。また、このような設定を採用したのは、本実施例の最終段階において、振動発生機20の動作制御のみで粉体を供給しようとすると、供給精度0.01gでの実験の実施が極めて困難であることが事前実験により明らかになったからである。このように、事前実験を行うことにより、計量器70の応答性に応じて、振動発生機20および駆動部40の動作制御を目標供給量に対して所定数量少ない累積供給量までに設定することで、容器60への粉体の供給量が目標供給量を超えないようにしている。
【0059】
本実施例においては、容器60への粉体の累積供給量が目標供給量の直前累積供給である9.80gに到達後の計量器70による精密計量処理が完了した後、演算部82は、駆動部40の動作を停止させ、振動発生機20のみを作動させている。より詳細には、容器60への粉体の累積供給量が動作制御を終了する量(ここでは9.97gになる)になるまでの間、ホッパ10の振幅が±0.5mmでホッパ10の振動の周波数が40Hzになるように振動発生機20の動作を制御している。
【0060】
図10は、以上に説明したホッパ10から容器60への粉体の定量供給を繰り返した実験結果である。
図10には、本実施例の実験結果の比較データとして実施例3実験区の実験結果が併記されている。本実施例(最終供給段階の動作制御が振動発生機20のみとした場合)においては、
図10に示すように、当初設定していた目標精度0.01gの達成率が非常に低い(達成率が30%未満である)ため、繰り返し実験を64回で終了した。
【0061】
また、実験終了後、ホッパ10の内部および篩50の状態を確認したところ、64回の実験終了時でホッパ10の内周面および篩50に対する粉体の凝集が実施例3実験区の実験結果後(100回の実験完了後)の状態よりもかなり多く見られた。特にホッパ10の内部において粉体の凝集量が実施例3実験区の実験後の状態に比較して多く、引き続きの実験を行うことができない状態であった。以上の実験結果から、±0.01gの供給精度においては、本実施例は実使用に耐えられないと結論できる。
【0062】
以上に説明した実施例1~実施例4によれば、目標供給量に対する粉体の供給精度が±0.1gのときは、撹拌部材30の形態の相違や最終段階における振動と撹拌の動作制御の相違にかかわらず、実使用に耐える供給精度が実現可能である。一方、目標供給量に対する粉体の供給精度が±0.01gのときは、撹拌部材30の構成は、正面視逆T字形状の撹拌板の構成は不可であり、
図2に示した形態のみが有効である。そして、最終段階(微少供給開始累積供給量に到達以降)における動作制御は、駆動部40のみの動作制御を行った形態のみが実使用に耐え得ることが明らかになった。
【0063】
また、以上に説明した実施例1~実施例4で行った振動発生機20および駆動部40の具体的な動作条件(ホッパ10の振幅、ホッパ10の振動の周波数、撹拌部材30の回転数)は一例を示すものであって、実施例1~実施例4に示した数値に限定されるものではなく、他の数値に変更しても本発明の技術的範囲に属するものである。いずれの実施例においても、ホッパ10への粉体の累積供給量に応じて振動発生機20により発生させる振動を変更(振幅や周波数、間欠的な振動付与)することで共通し、これにより容器60への粉体の供給が確実に行えることが明らかになっている。また、ホッパ10への粉体の累積供給量に応じて駆動部40の回転数を変更することにおいても共通し、これにより容器60への粉体の供給が確実に行えることが明らかになっている。
【0064】
(第2実施形態)
本実施形態における粉体定量供給装置100は、
図11および
図12に示すように、第1実施形態における粉体定量供給装置100の構成に粉砕部材90の構成が追加されたものである。なお、第1実施形態と共通する構成については、図中および本明細書中において第1実施形態で使用した符号と同一符号を付すことで、ここでの重複説明は省略している。
【0065】
本実施形態における粉砕部材90は、撹拌部材30の回転軸32に取り付けられた保持体92、粉砕体駆動部としてのモータ94、粉砕体回転軸96および粉砕体98を有している。保持体92は公知の手法により回転軸32と一体化されている。保持体92の長さ方向(ホッパ10の径方向)における所要位置には、モータ94が取り付けられている。モータ94は、モータ出力軸(図示はせず)が保持体92を貫通するようにして保持体92に取り付けられている。保持体92の下面には粉砕体回転軸96が取り付けられており、粉砕体回転軸96はモータ出力軸に連結されている。粉砕体回転軸96の下端部には粉砕体98が設けられている。
【0066】
本実施形態におけるモータ94の動作は、動作制御部80により制御されている。また、
図11および
図12に示すように、本実施形態におけるモータ94、粉砕体回転軸96および粉砕体98は、回転軸32を対称軸とした2箇所の位置に配設されている。また、本実施形態における粉砕体98は、粉砕体回転軸96の下端部に粉砕体回転軸96と直交する直交部材98Aに正面視凹形状のU字部材98Bの上側開口部を位置合わせして、U字部材98Bの外側からU字部材98Bと直交部材98AとをねじNで固定し、正面視矩形状の枠体に形成されている。なお、粉砕体98はこの形態に限定されるものではなく、任意の多角形状の枠体の他、複数本の線材からなる箒状等に形成することもでき、具体的な形状は特に限定されるものではない。本実施形態における粉砕体98の最外側板端部位置は、ホッパ10の内壁から約4mm内側(固定ねじ頭部は約2mm内側)になるようにしているが、粉砕体98の最外側板端部位置は特に限定されるものではない。本実施形態における粉砕体98は、粉砕体回転軸96の下端部に対してねじ止め等により着脱可能であると共に、供給する粉体に応じて交換可能であることが好ましい。また、粉砕体98の下端面の高さ位置は、篩50の上面高さ位置から3mmの位置であり、撹拌部材30の下端面の高さ位置よりは上方高さ位置になっているが、粉砕体98の下端面の高さ位置も特に限定されるものではない。
【0067】
このように形成された粉砕部材90(粉砕体回転軸96と粉砕体98)は、撹拌部材30の回転軸32の回転を公転として回動しながらモータ94により自転する。ここでは、モータ94には配線(図示はせず)接続されているので、動作制御部80は、回転軸32の1つの回動動作制御における連続回動角度が所要回動角度になる毎に回動方向が反転するように駆動部40の動作を制御している。これにより回転軸32の回転によりモータ94の配線の絡み付きを防止することができる。ここでは、所要回動角度を約360°とし、ある回動動作制御における連続回動動作を360°(一回転)以下にすることが好ましい。ここでは、回転軸32の回転速度と時間との積により所要回動角度である360°を算出している。さらに、回転軸32の一方向における連続累積回動角度や累積回動角度についても適宜制約をかけておくこともできる。なお、本実施形態におけるモータ94の回転方向は、回転軸32の回動方向にかかわらず同一回転方向であるが、モータ94の回転方向は特に限定されるものではない。
【0068】
(実施例5)
本実施例は、第2実施形態における粉体定量供給装置100と第1実施形態における粉体定量供給装置100を用いて容器60へPTFEの粉体を0.80g供給する際の供給精度を±0.02gに設定した実験である。また、この実験は、容器60への粉体定量供給目標時間を40秒としている。
図13は、本実施例における動作制御フローである。本実施例において容器60への粉体供給が開始されると、演算部82は供給開始から3秒までの間、回転軸32の回転数が22.5rpmとなるようにモータドライバ86を介して駆動部40の回転数を制御すると共にモータ94の駆動をオンにする制御を実行する。なお、本実施例におけるモータ94の動作制御は、粉砕体98が300rpmで定速回転を行うオン状態と粉砕体98が無回転のオフ状態とのオン―オフ切り替えのみとしている。
【0069】
粉体供給開始から3秒後における容器60への粉体の累積供給量が0.07g以下であった場合(第1制御条件:
図13中の※1)、演算部82は、振動発生機20を振幅±0.5mm以上で50Hzの周期で振動させる。このとき演算部82は、回転軸32が22.5rpmで回転するように駆動部40を駆動させると共にモータ94の駆動をオンにする制御を実行する。なお、第1制御条件における振動発生機20の振幅は、粉体供給開始時からの時間をt秒とした場合、±0.5(1+a(t-3))(なお、0<a<1)に基づいて振幅が増加するように演算部82により動作制御されている。この式におけるtは3以上であるため、振動発生機20の初期振幅は±0.5mmである。本実施形態におけるaの値は0.1としているが、この数値に限定されるものではない。
【0070】
また、粉体供給開始から3秒後における容器60への粉体の累積供給量が0.15g以下であった場合(第2制御条件:
図13中の※2)、演算部82は、振動発生機20を振幅±0.3mm以上で50Hzの周期で振動させる。このとき演算部82は、回転軸32が22.5rpmで回転するように駆動部40を駆動させると共にモータ94の駆動をオンにする制御を実行する。なお、第2制御条件における振動発生機20の振幅は、粉体供給開始時からの時間をt秒とした場合、±0.3(1+a(t-3))(なお、0<a<1)に基づいて振幅が増加するように、アンプ84の出力電圧が、演算部82により動作制御されている。この式におけるtは3以上であるため、振動発生機20の初期振幅は±0.3mmである。本実施形態におけるaの値は0.1としているがこの数値に限定されるものではない。
【0071】
また、粉体供給開始から3秒後における容器60への粉体の累積供給量が0.25g以下であった場合(第3制御条件:
図13中の※3)、演算部82は、振動発生機20を振幅±0.3mm以上で50Hzの周期で振動させる。このとき演算部82は、回転軸32が22.5rpmで回転するように駆動部40を駆動させると共にモータ94の駆動をオンにする制御を実行する。なお、第3制御条件における振動発生機20の振幅は、粉体供給開始時からの時間をt秒とした場合、±0.3(1+a(t-3))(なお、0<a<1)に基づいて振幅が増加するように演算部82により動作制御されている。この式におけるtは3以上であるため、振動発生機20の初期振幅は±0.3mmである。本実施形態におけるaの値は0.1としているが、この数値に限定されるものではない。
【0072】
第1制御条件が適用された場合、演算部82は容器60への粉体の累積供給量が0.60gに到達するまで第1制御条件での動作を継続させる。そして演算部82は、容器60への粉体の累積供給量が0.60gに到達すると、振動発生機20の動作を停止させると共に回転軸32が22.5rpmで回転するように駆動部40を駆動させ、かつ、モータ94の駆動をオンにする制御をそれぞれ実行する。また、第2制御条件が適用された場合、演算部82は容器60への粉体の累積供給量が0.55gに到達するまで第2制御条件での動作を継続させる。そして演算部82は、容器60への粉体の累積供給量が0.55gに到達すると、振動発生機20の動作を停止させると共に回転軸32が22.5rpmで回転するように駆動部40を駆動させ、かつ、モータ94の駆動をオンにする制御をそれぞれ実行する。また、第3制御条件が適用された場合、演算部82は容器60への粉体の累積供給量が0.50gに到達するまで第3制御条件での動作を継続させる。そして演算部82は、容器60への粉体の累積供給量が0.50gに到達すると、振動発生機20の動作を停止させると共に回転軸32が22.5rpmで回転するように駆動部40を駆動させ、かつ、モータ94の駆動をオンにする制御をそれぞれ実行する。
【0073】
第1制御条件~第3制御条件においては、容器60への粉体供給が最も困難である場合(所要時間あたりにおける容器60への粉体の供給量が少ない場合)に第1制御条件が適用され、容器60への粉体供給が最も容易である場合(所要時間あたりにおける容器60への粉体の供給量が多い場合)に第3制御条件が適用されている。このような理由により、第1制御条件が振動発生機20の振幅および作動時間を最大および最長にしており、第3制御条件が振動発生機20の振幅および作動時間を最小および最短にしている。
【0074】
以上の第1制御条件~第3制御条件が適用されたいずれの場合においても、容器60への粉体の累積供給量が0.60gに到達してから3秒後における容器60への粉体の累積供給量が0.65g以下であった場合、演算部82は第4制御条件(
図13中の※4)を実行する。すなわち演算部82は、振動発生機20を振幅±0.5mmで60Hzの周期で振動させ、回転軸32が22.5rpmで回転するように駆動部40を駆動させ、モータ94の駆動をオンにする制御を実行する。第4制御条件に該当しなかった場合、演算部82は、容器60への粉体の累積供給量が0.65gに到達すると振動発生機20、駆動部40およびモータ94の全ての動作を停止する処理を実行する。演算部82はこのタイミングで容器60への粉体の累積供給量を正確に計測することもできる。そして容器60への粉体の累積供給量が0.65gに到達した3秒後から演算部82は、回転軸32が11.25rpmで回転するように駆動部40を駆動させると共にモータ94をオンにする処理を実行する。
【0075】
また、容器60への粉体の供給を開始してから25秒後における累積供給量が0.70g以下であった場合、演算部82は、容器60への粉体供給が円滑でないと判断し、第5制御条件(
図13中の※5)を実行する。すなわち、演算部82は、振動発生機20を振幅±0.3mmで50Hzの周期で作動させると共に、回転軸32が11.25rpmで駆動するように駆動部40を駆動させ、モータ94をオンにする動作を実行する。そして演算部82は、容器60への粉体の累積供給量が0.78gに到達するまでこの動作を継続させる。
【0076】
第5制御条件に該当しなかった場合には、容器60への粉体の累積供給量が0.73gに到達するまでの間、演算部82は、振動発生機20の動作を停止すると共に回転軸32が11.25rpmで回転するように駆動部40を駆動させ、モータ94をオンにする動作をそれぞれ実行する。そして容器60への粉体の累積供給量が0.74gに到達するまでの間、演算部82は、振動発生機20の動作停止を維持すると共に、回転軸32が7.5rpmで回転するように駆動部40を駆動させ、モータ94をオンにする動作をそれぞれ実行する。そして容器60への粉体の累積供給量が0.77gに到達するまでの間、演算部82は、振動発生機20の動作停止を維持すると共に、回転軸32が7.5rpmで回転するように駆動部40を駆動させ、モータ94をオフにする動作をそれぞれ実行する。そして容器60への粉体の累積供給量が0.78gに到達するまでの間、演算部82は、振動発生機20およびモータ94の動作停止をそれぞれ維持すると共に、駆動部40(回転軸32の回転)を停止させる動作をそれぞれ実行する。
【0077】
以上のようにして容器60への粉体の累積供給量が0.80gになるように演算部82が振動発生機20、駆動部40およびモータ94の動作をそれぞれ制御している。
図13に示すフロー図においては、容器60への粉体の累積供給量が0.78g到達時(許容誤差範囲到達時)以降は振動発生機20、駆動部40およびモータ94の動作を全て停止しているが、これは使用した計量器70の応答性を加味したものである。したがって、計量器70の応答性によっては、容器60への粉体の累積供給量がより0.80gに近い状態になるまで演算部82が振動発生機20、駆動部40およびモータ94の動作を制御することもできる。同様に、容器60への粉体の累積供給量がより0.78gよりも前の状態で演算部82が振動発生機20、駆動部40およびモータ94の動作制御を停止することもできる。
【0078】
なお、本実施例における実験は、当初15.00gのPTFTが供給されたホッパ10から容器60に0.80gのPTFEが3回供給される度にティースプーン一杯の新たなPTFEをホッパ10に供給してから、上述の実験を繰り返し行っている。
図14は、第5実施例における実験結果をまとめたものである。
図14から粉砕部材90を有している第2実施形態における粉体定量供給装置100の実験結果の方が目標供給量に対する標準偏差が小さく、粉体定量供給目標時間40秒の達成回数も大幅に上回っていることが分かる。このことから本実施例において粉砕部材90は、少なくともPTFEの定量供給を行うに際し有効である。
【0079】
(実施例6)
本実施例は、第2実施形態における粉体定量供給装置100と第1実施形態における粉体定量供給装置100を用いて容器60へPTFEの粉体を5.00g供給する際の供給精度を±0.02gに設定した実験である。また、この実験は、容器60への粉体定量供給目標時間を40秒としている。
図15は、本実施例における動作制御フローである。本実施例において容器60への粉体供給開始から容器60への供給量が2.00gの間、演算部82は、振動発生機20を振幅±2.0mmで50Hzの周期で振動させる。このとき演算部82は、回転軸32が22.5rpmで回転するようにモータドライバ86を介して駆動部40の回転数を制御すると共にモータ94の駆動をオンにする制御を実行する。また、本実施例におけるモータ94の動作制御は、300rpmで粉砕体98が定速回転するオン状態と粉砕体98が無回転のオフ状態とのオン―オフ切り替えのみとしている。
【0080】
容器60への粉体の累積供給量が2.00gに到達したら、演算部82は、振動発生機20、駆動部40およびモータ94の動作を全て停止させる。そして、容器60への粉体の累積供給量が2.00gに到達してから3秒後における容器60への粉体の累積供給量が2.60g以下であった場合(第1制御条件:
図15中の※1)、演算部82は、振動発生機20を振幅±2.0mmで50Hzの周期で振動させる。このとき演算部82は、回転軸32が22.5rpmで回転するように駆動部40を駆動させると共にモータ94の駆動をオンにする制御を実行する。そして、容器60への粉体の累積供給量が2.00gに到達してから3秒後における容器60への粉体の累積供給量が3.00g以下であった場合(第2制御条件:
図15中の※2)、演算部82は、振動発生機20を振幅±1.5mmで50Hzの周期で振動させる。このとき演算部82は、回転軸32が22.5rpmで回転するように駆動部40を駆動させると共にモータ94の駆動をオンにする制御を実行する。
【0081】
また、容器60への粉体の累積供給量が2.00gに到達してから3秒後における容器60への粉体の累積供給量が3.60g以下であった場合(第3制御条件:
図15中の※3)、演算部82は、振動発生機20を振幅±1.0mmで50Hzの周期で振動させる。このとき演算部82は、回転軸32が22.5rpmで回転するように駆動部40を駆動させると共にモータ94の駆動をオンにする制御を実行する。そして、容器60への粉の累積供給量が2.00gに到達してから3秒後における容器60への粉体の累積供給量が4.20g以下であった場合(第4制御条件:
図15中の※4)、演算部82は、振動発生機20を振幅±0.5mmで50Hzの周期で振動させる。このとき演算部82は、回転軸32が22.5rpmで回転するように駆動部40を駆動させると共にモータ94の駆動をオンにする制御を実行する。
【0082】
第1制御条件~第4制御条件においては、容器60への粉体供給が最も困難である場合(所要時間あたりにおける容器60への粉体の供給量が少ない場合)に第1制御条件が適用され、容器60への粉体供給が最も容易である場合(所要時間あたりにおける容器60への粉体の供給量が多い場合)に第4制御条件が適用されている。また、第1制御条件~第4制御条件のいずれの制御条件が適用された場合であっても、容器60への粉体の累積供給量が4.20gに到達するまでそれぞれの動作制御が継続される。本実施例においては、大まかな傾向として第1制御条件が振動発生機20の振幅が最大で作動時間も概ね最長であり、第4制御条件に向けて振動発生機20の振幅および作動時間が徐々に減少している。容器60への粉体の累積供給量が4.20gに到達すると、演算部82は振動発生機20、駆動部40およびモータ94の動作を全て停止させる処理を実行する。演算部82はこのタイミングで容器60への粉体の累積供給量を正確に計量器70に計測させることもできる。
【0083】
そして容器60への粉体の累積供給量が4.20gに到達した3秒後から演算部82は、振動発生機20を振幅±0.4mm以上で50Hzの周期で駆動させる。振動発生機20の振幅は、容器60への粉体の累積供給量が4.20g到達時からの時間をt秒とした場合、±0.4(1+a(t-3))(なお、0<a<1)に基づいて振幅が増加するように演算部82により動作制御されている。この式におけるtは3以上であるため、振動発生機20の初期振幅は±0.4mmである。本実施形態におけるaの値は0.1としているが、この数値に限定されるものではない。このとき演算部82は、回転軸32が11.25rpmで回転するように駆動部40を駆動させると共にモータ94をオンにする処理を実行する。
【0084】
そして、容器60への粉体供給開始後25秒後における容器60への粉体の累積供給量が4.90g以下であった場合、演算部82は、容器60への粉体供給が円滑でないと判断し、以下の動作を実行する。すなわち、演算部82は、振動発生機20を振幅±1.0mmで50Hzの周期で作動させると共に、回転軸32が11.25rpmで回転するように駆動部40を駆動させ、モータ94をオンにする動作を実行し、容器60への粉体の累積供給量が4.90gに到達するまで以上の動作を継続させる。
【0085】
容器60への粉体の累積供給量が4.90gに到達すると、演算部82は、振動発生機20の動作を停止すると共に回転軸32が11.25rpmで回転するように駆動部40を駆動させ、モータ94をオンにする動作をそれぞれ実行する。そして容器60への粉体の累積供給量が4.96gに到達すると、演算部82は、振動発生機20の動作停止を維持すると共に、回転軸32が7.5rpmで回転するように駆動部40を駆動させ、モータ94をオフにする動作をそれぞれ実行する。そして容器60への粉体の累積供給量が4.98gに到達すると、演算部82は、振動発生機20、駆動部40およびモータ94を全て停止させる動作を実行する。
【0086】
以上のようにして容器60への粉体の累積供給量が5.00gになるように演算部82が振動発生機20、駆動部40およびモータ94の動作をそれぞれ制御している。
図15に示すフロー図においては、容器60への粉体の累積供給量が4.98g到達時(許容誤差範囲到達時)以降は振動発生機20、駆動部40およびモータ94の動作を全て停止しているが、これは使用した計量器70の応答性を加味したものである。したがって、計量器70の応答性によっては、容器60への粉体の累積供給量がより5.00gに近い状態になるまで演算部82が振動発生機20、駆動部40およびモータ94の動作を制御することもできる。同様に、容器60への粉体の累積供給量がより5.00gよりも前の状態で演算部82が振動発生機20、駆動部40およびモータ94の動作制御を停止することもできる。
【0087】
なお、本実施例における実験は、当初15.00gのPTFTが供給されたホッパ10から容器60に5.00gのPTFEが供給される度に5.00gの新たなPTFEをホッパ10に供給してから、上述の実験を繰り返し行っている。
図16は、本実施例における実験結果をまとめたものである。
図16から粉砕部材90を有している第2実施形態における粉体定量供給装置100の実験結果の方が目標供給量に対する標準偏差が小さく、粉体定量供給目標時間40秒の達成回数も大幅に上回っていることが分かる。このことから粉砕部材90は少なくともPTFEの定量供給を行うに際し有効である。
【0088】
(実施例7)
本実施例は、第2実施形態における粉体定量供給装置100と第1実施形態における粉体定量供給装置100を用いて容器60へPTFEの粉体を10.00g供給する際の供給精度を±0.02gに設定した実験である。また、この実験は、容器60への粉体定量供給目標時間を40秒としている。
図17は、本実施例における動作制御フローである。本実施例において容器60への粉体供給開始から容器60への粉体の累積供給量が7.00gに到達するまでの間、演算部82は、振動発生機20を振幅±2.0mmで50Hzの周期で振動させる。このとき演算部82は、回転軸32の回転数が22.5rpmとなるようにモータドライバ86を介して駆動部40の回転数を制御すると共にモータ94の駆動をオンにする制御を実行する。また、本実施例におけるモータ94の動作制御は、300rpmで粉砕体98が定速回転を行うオン状態と粉砕体98が無回転のオフ状態とのオン―オフ切り替えのみとしている。
【0089】
容器60への粉体の累積供給量が7.00gに到達すると、演算部82は、振動発生機20、駆動部40およびモータ94の動作を全て停止させる。そして、容器60への粉体の累積供給量が7.00gに到達してから3秒後における容器60への粉体の累積供給量が7.60g以下であった場合(第1制御条件:
図17中の※1)、演算部82は、振動発生機20を振幅±2.0mmで50Hzの周期で振動させる。このとき演算部82は、回転軸32が22.5rpmで回転するように駆動部40を駆動させると共にモータ94の駆動をオンにする制御を実行する。そして、容器60への粉体の累積供給量が7.00gに到達してから3秒後における容器60への粉体の累積供給量が8.00g以下であった場合(第2制御条件:
図17中の※2)、演算部82は、振動発生機20を振幅±1.5mmで50Hzの周期で振動させる。このとき演算部82は、回転軸32が22.5rpmで回転するように駆動部40を駆動させると共にモータ94の駆動をオンにする制御を実行する。
【0090】
また、容器60への粉体の累積供給量が7.00gに到達してから3秒後における容器60への粉体の累積供給量が8.60g以下であった場合(第3制御条件:
図17中の※3)、演算部82は、振動発生機20を振幅±1.0mmで50Hzの周期で振動させる。このとき演算部82は、回転軸32が22.5rpmで回転するように駆動部40を駆動させると共にモータ94の駆動をオンにする制御を実行する。そして、容器60への粉体の累積供給量が7.00gに到達してから3秒後における容器60への粉体の累積供給量が9.20g以下であった場合(第4制御条件:
図17中の※4)、演算部82は、振動発生機20を振幅±0.5mmで50Hzの周期で振動させる。このとき演算部82は、回転軸32が22.5rpmで回転するように駆動部40を駆動させると共にモータ94の駆動をオンにする制御を実行する。
【0091】
第1制御条件~第4制御条件においては、容器60への粉体供給が最も困難である場合(所要時間あたりにおける容器60への粉体の供給量が少ない場合)に第1制御条件が適用され、容器60への粉体供給が最も容易である場合(所要時間あたりにおける容器60への粉体の供給量が多い場合)に第4制御条件が適用されている。また、第1制御条件~第4制御条件のいずれの制御条件が適用された場合であっても、容器60への粉体の累積供給量が9.20gに到達するまでそれぞれの動作制御が継続される。本実施例においては、大まかな傾向として第1制御条件が振動発生機20の振幅が最大で作動時間も概ね最長になり、第4制御条件に向けて振動発生機20の振幅および作動時間を徐々に減少している。容器60への粉体の累積供給量が9.20gに到達すると、演算部82は振動発生機20、駆動部40およびモータ94の動作を全て停止させる処理を実行する。演算部82はこのタイミングで容器60への粉体の累積供給量を正確に計量器70に計測させることもできる。
【0092】
そして容器60への粉体の累積供給量が9.20gに到達した3秒後から演算部82は、振動発生機20を振幅±0.4mm以上で50Hzの周期で駆動させる。振動発生機20の振幅は、容器60への粉体の累積供給量が9.20g到達時からの時間をt秒とした場合、±0.4(1+a(t-3))(なお、0<a<1)に基づいて振幅が増加するように演算部82により動作制御されている。この式におけるtは3以上であるため、振動発生機20の初期振幅は±0.4mmである。本実施形態におけるaの値は0.1としているが、この数値に限定されるものではない。このとき演算部82は、回転軸32が11.25rpmで回転するように駆動部40を駆動させると共にモータ94をオンにする処理を実行する。
【0093】
そして、容器60への粉体供給開始後25秒後における容器60への粉体の累積供給量が9.90g以下の場合、演算部82は、容器60への粉体供給が円滑でないと判断し、以下の動作を実行する。すなわち、演算部82は、振動発生機20を振幅±1.0mmで50Hzの周期で作動させると共に、回転軸32が11.25rpmで回転するように駆動部40を駆動させ、かつ、モータ94をオンにする動作を実行し、容器60への粉体の累積供給量が9.90gに到達するまで以上の動作を継続させる。
【0094】
容器60への粉体の累積供給量が9.90gに到達すると、演算部82は、振動発生機20の動作を停止すると共に回転軸32が11.25rpmで回転するように駆動部40を駆動させ、モータ94をオンにする動作をそれぞれ実行する。そして容器60への粉体の累積供給量が9.96gに到達すると、演算部82は、振動発生機20の動作停止を維持すると共に、回転軸32が7.5rpmで回転するように駆動部40を駆動させ、モータ94をオフにする動作をそれぞれ実行する。そして容器60への粉体の累積供給量が9.98gに到達すると、演算部82は、振動発生機20、駆動部40およびモータ94を全て停止させる動作を実行する。
【0095】
以上のようにして容器60への粉体の累積供給量が10.00gになるように演算部82が振動発生機20、駆動部40およびモータ94の動作をそれぞれ制御している。
図17に示すフロー図においては、容器60への粉体の累積供給量が9.98g到達時(許容誤差範囲到達時)以降は振動発生機20、駆動部40およびモータ94の動作を全て停止しているが、これは使用した計量器70の応答性を加味したものである。したがって、計量器70の応答性によっては、容器60への粉体の累積供給量がより10.00gに近い状態になるまで演算部82が振動発生機20、駆動部40およびモータ94の動作を制御することもできる。同様に、容器60への粉体の累積供給量がより10.00gよりも前の状態で演算部82が振動発生機20、駆動部40およびモータ94の動作制御を停止することもできる。
【0096】
なお、本実施例における実験は、当初20.00gのPTFTが供給されたホッパ10から容器60に10.00gのPTFEが供給される度に10.00gの新たなPTFEをホッパ10に供給してから、上述の実験を繰り返し行っている。
図18は、本実施例における実験結果をまとめたものである。
図18から粉砕部材90を有している第2実施形態における粉体定量供給装置100の実験結果の方が目標供給量に対する標準偏差が小さく、粉体定量供給目標時間40秒の達成回数も大幅に上回っていることが分かる。このことから粉砕部材90は少なくともPTFEの定量供給を行うに際し有効である。
【0097】
以上に説明した実施例5~実施例7の実験結果から、第2実施形態における(粉砕部材90を有する)粉体定量供給装置100は、第1実施形態における(粉砕部材90を有さない)粉体定量供給装置100よりも良好な粉体供給を行うことができることがいえる。
【0098】
以上に本発明にかかる粉体定量供給装置100について実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、第2実施形態の変形例として
図19に示すように、ホッパ10の内部空間におけるモータ94、粉砕体回転軸96および粉砕体98の配設位置が回転軸32に対して非対称位置に配設した形態を採用することもできる。また、ホッパ10の内部空間に配設された2つの粉砕体98において、回転軸32からの径方向における離間距離のみを異ならせた形態を採用することができる。なお、
図19に示す粉体定量供給装置100の形態には、回転翼34の爪部36に補強部37が設けられていないが、補強部37が配設された形態を採用することもできる。さらに、ホッパ10の内部空間に配設された2つの粉砕体98の下端面高さ位置のみが異なる形態を採用することもできる。その他、ホッパ10の内部空間に1本または3本以上の粉砕体回転軸96および粉砕体98(粉砕部材90)が配設された形態を採用することもできる。そして、粉砕部材90は、粉砕体回転軸96と粉砕体98とを一体に形成した形態を採用することもできる。
【0099】
また、実施例5~実施例7においては、モータ94に配線が接続されているため、回転軸32は1回の動作制御の間における連続回動角度が約360度になる毎に回動方向を反転させる動作が繰り返し実行される形態を例示しているが、この形態に限定されるものではない。回転軸32の連続回動角度は予め設定した所要回動角度になる毎に回動方向を反転させればよく、所要回動角度は360度未満であってもよいし、360度より大きい角度であってもよい。さらに、モータ94への電源供給をスリップリング等で行う形態を採用すれば、モータ94の配線が絡み付くことがないため、回転軸32を一定方向に連続回転させる形態または所要タイミングで正逆方向に回転させる形態を採用することもできる。
【0100】
また、以上の実施形態においては、駆動部40の出力軸42と回転軸32とが直結されている形態を例示しているがこの形態に限定されるものではない。出力軸42と回転軸32とは減速させた状態で連結させることもできる。この場合、回転軸32の回転数に基づいて駆動部40の回転数が制御される。
【0101】
また、以上に説明した実施形態における各種変形例どうしを適宜組み合わせた構成を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0102】
10 ホッパ
12 上面開口部,14 下面開口部,16 変位計測器
20 振動発生機
22 振動出力軸,24 当接部材
30 撹拌部材
32 回転軸,33 下側先端部,
34 回転翼,34A:薄肉部,34B:爪部取付部,
36 爪部,37 補強部
40 駆動部
42 出力軸,44 連結部材,46 高さ調整機構
50 篩
60 容器
70 計量器
80 動作制御部
82 演算部,84 アンプ,86 モータドライバ
90 粉砕部材
92 保持体,94 モータ,96 粉砕体回転軸,
98 粉砕体,98A:直交部材,98B:U字部材
100 粉体定量供給装置
B ベース
S 隙間
KB 基部