(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002433
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】温感油性クレンジング化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/92 20060101AFI20221227BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20221227BHJP
A61K 8/24 20060101ALI20221227BHJP
A61K 8/23 20060101ALI20221227BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20221227BHJP
A61K 8/96 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
A61K8/92
A61K8/02
A61K8/24
A61K8/23
A61Q1/14
A61K8/96
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021126990
(22)【出願日】2021-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】399091120
【氏名又は名称】株式会社ピカソ美化学研究所
(71)【出願人】
【識別番号】514090658
【氏名又は名称】プレミアアンチエイジング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】柚口 耕二
(72)【発明者】
【氏名】吉村 武志
(72)【発明者】
【氏名】畑本 尚孝
(72)【発明者】
【氏名】都市 亜矢
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA161
4C083AA162
4C083AB361
4C083AB362
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC331
4C083AC332
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC371
4C083AC372
4C083AC421
4C083AC422
4C083BB11
4C083CC23
4C083EE01
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】製剤安定性が良く、かつ、持続性に優れた温感効果を奏し、良好なクレンジング効果を発揮する温感油性クレンジング化粧料の提供。
【解決手段】成分A:油剤、成分B:ゼオライト、並びに成分C:無水硫酸マグネシウムを含有することを特徴とする温感油性クレンジング化粧料とする。本発明の温感油性クレンジング化粧料は、成分D:流紋岩末を更に含有させることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分A、成分B、並びに成分Cを含有することを特徴とする温感油性クレンジング化粧料。
成分A:油剤
成分B:ゼオライト
成分C:無水硫酸マグネシウム
【請求項2】
さらに、下記成分Dを含有することを特徴とする請求項1に記載の温感油性クレンジング化粧料。
成分D:流紋岩末
【請求項3】
前記成分Bの含有量が、10~30質量%である請求項1又は2に記載の温感油性クレンジング化粧料。
【請求項4】
さらに、下記成分Eを含有することを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の温感油性クレンジング化粧料。
成分E:非イオン性界面活性剤
【請求項5】
半固形状であることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の温感油性クレンジング化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温感油性クレンジング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
メイク汚れや皮脂汚れを除去するクレンジング化粧料は、水クレンジングと称される水性クレンジング化粧料と、オイルクレンジングと称される油性クレンジング化粧料に大別される。クレンジング化粧料の中でも、油性クレンジング化粧料は、多量の油剤が配合されていることから、メイク汚れとの馴染みがよく、優れたクレンジング力を発揮させることができる。その反面、クレンジング後の肌に油特有のべたつき感が残り、使用感が悪いという欠点がある。しかし、メイク汚れをしっかりと落としたいと望む人にとって、油性クレンジング化粧料は魅力的な商品であると言える。
【0003】
近年、油性クレンジング化粧料の一形態として、クレンジングバームと称される半固形状のクレンジング化粧料が注目を浴びている。クレンジングバームは、メイク汚れとの馴染みが非常によく、格段に優れたクレンジング効果を発揮させることができるという特徴を有する。また、固められた油剤が使用時に肌上で柔らかくなり、とろけるような独特な使用感も得られる。このような機能と使用感が人気の理由となっている。そのため、近年、これら半固形状のクレンジング化粧料の開発が盛んに行われている。
【0004】
一方、クレンジング化粧料においては、従来から、温感を付与することでクレンジング効果を高める試みもなされている。具体的には、油剤をクレンジング成分としたクレンジング化粧料において温感を付与する試みとして、例えば、特定量の多価アルコールと、特定量のショ糖脂肪酸エステルと、油分とを含有した多価アルコール中油型温熱基剤(例えば、特許文献1を参照)などが提案されている。また、界面活性剤をクレンジング成分としたクレンジング化粧料において温感を付与する試みとして、例えば、グリセリンを含む特定量の多価アルコールと、HLB8以上16未満の特定量の分岐脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルと、HLB16以上の特定量の非イオン性界面活性剤と、特定量のアニオン性水溶性高分子とを含有したクレンジング化粧料(例えば、特許文献2を参照)などが提案されている。
【0005】
しかしながら、このような多価アルコールによる水和熱を利用した場合、温感の発現が穏やかであり、温感を感じる時間も短く、クレンジング時に最適な温感が得られ難いといった問題がある。また、従来の試みでは、クレンジングバームなどの油性クレンジング化粧料において温感を付与することが困難であることから、油性クレンジング化粧料において温感を発揮する温感油性クレンジング化粧料の開発が急務であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-206817号公報
【特許文献2】特開2014-034548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものである。すなわち、製剤安定性が良く、かつ、持続性に優れた温感効果を奏し、良好なクレンジング効果を発揮する温感油性クレンジング化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は、成分A:油剤、成分B:ゼオライト、並びに成分C:無水硫酸マグネシウムを含有することを特徴とする温感油性クレンジング化粧料を提供する。
【0009】
さらに、上記温感油性クレンジング化粧料は、下記成分Dを含有することが好ましい。
成分D:流紋岩末
【0010】
上記成分Bの含有量が、10~30質量%であることが好ましい。
【0011】
さらに、上記温感油性クレンジング化粧料は、下記成分Eを含有することが好ましい。
成分E:非イオン性界面活性剤
【0012】
上記温感油性クレンジング化粧料は、半固形状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の温感油性クレンジング化粧料は、上記構成要件を満たすことにより、優れた製剤安定性を有する。また、本発明の温感油性クレンジング化粧料は、肌表面のメイク汚れ除去効果があるだけでなく、施術時に最適な温感を持続して感じることができることから、温感効果により毛穴を広げて奥底に詰まった皮脂汚れやメイク汚れを浮かせて取り除くこと(溶解除去および/又は吸着除去すること)ができるという効果も発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の温感油性クレンジング化粧料は、成分A:油剤と、成分B:ゼオライトと、成分C:無水硫酸マグネシウムとを含有する。
【0015】
以下、本発明の温感油性クレンジング化粧料に用いられる各成分の詳細を説明する。
【0016】
[成分A]
上記成分Aは、油剤である。本発明では、上記成分Aを用いることにより、メイク汚れや皮脂汚れとの馴染みが良好で、これらの汚れ除去に優れた効果を発揮させることができる。成分Aとしは、例えば、植物油、植物油脂、ロウ類、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーン油などが挙げられる。これら成分Aは1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0017】
なお、本発明においては、上記成分Aは市販品を用いることができる。成分Aの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。
【0018】
本発明の温感油性クレンジング化粧料中の成分Aの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、油性とする観点、並びに汚れとの馴染みを良好にして優れたクレンジング効果(汚れ除去効果)を発揮させる観点から、化粧料100質量%中、55質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。また、温感効果を十分に発揮させる観点から、化粧料100質量%中、85質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。なお、上記成分Aの含有量は、純分に換算した量である。
【0019】
[成分B]
上記成分Bは、ゼオライトである。ゼオライトである。ゼオライトとは、沸石とも称されるミクロ多孔性の結晶性アルミケイ酸塩のことをいう。その化学組成は、一般式:M2/nO・Al2O3・xSiO2・yH2O(nは陽イオンMn原子価、xは2以上の数、yは吸着水量を表す)で表される。
【0020】
本発明では、上記成分Bを用いることにより、クレンジング時に肌に含まれる水分と作用して最適な温感を発揮させることができる。加えて、上記成分Bを用いることで、適度なスクラブ効果によるマッサージ作用によって肌のキメを整える効果も期待できる。
【0021】
用いられる上記成分Bは、自然界に存在する天然ゼオライトであっても、人工的に合成された合成ゼオライトであっても、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されない。ゼオライトの結晶構造は、例えば、A型、X型、L型、Y型、ベータ、ZSM-5、フェリエナイト、モルデナイトなどが挙げられるが、本発明では特に限定されない。また、ゼオライトは、結晶構造の中に陽イオンを有している。具体的な陽イオンとしては、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウムなどが挙げられるが、本発明では特に限定されない。
【0022】
さらに、上記成分Bの平均粒径は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、0.001~200μmの範囲を有するゼオライトを用いることが好ましく、0.01~160μmの範囲を有するゼオライトを用いることがより好ましい。上記範囲を満たすゼオライトを用いることにより、優れた温感効果を発揮させることが可能となる。
【0023】
なお、本発明においては、上記成分Bは市販品を用いることができる。成分Bの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。また、本発明においては、上記粒径範囲を満たす市販品をそのまま用いてもよいが、市販品を粉砕機により更に細かく粉砕した調製物を用いてもよい。
【0024】
本発明の温感油性クレンジング化粧料中の成分Bの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、最適な温感効果を発揮させる観点から、化粧料100質量%中、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。また、製剤安定性の観点から、化粧料100質量%中、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。なお、上記成分Bの含有量は、純分に換算した量である。
【0025】
[成分C]
上記成分Cは、無水硫酸マグネシウムである。無水硫酸マグネシウムは、水と接触することで発熱し、温感効果を発揮させることができる。本発明では、上記成分Cを用いることにより、クレンジング時における温感効果をより一層高めることができる。
【0026】
また、上記成分Cは、洗浄時においても最適な温感効果を発揮させることができる。該効果は、水で洗い流しを行うことでより顕著に温感効果を感じることができるが、温水で洗い流しを行っても温感効果を感じとることができる。すなわち、本発明においては、上記成分Bと組み合わせて用いることにより、格段に優れた温感効果を発揮させることが可能となる。
【0027】
なお、本発明においては、上記成分Cは市販品を用いることができる。成分Cの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。
【0028】
本発明の温感油性クレンジング化粧料中の成分Cの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、最適な温感効果をより一層高める観点、並びに洗浄時における温感効果を付与する観点から、化粧料100質量%中、0.00001質量%以上であることが好ましく、0.0001質量%以上であることがより好ましい。また、製剤安定性の観点から、化粧料100質量%中、3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。なお、上記成分Cの含有量は、純分に換算した量である。
【0029】
本発明の温感油性クレンジング化粧料においては、上記成分Bと上記成分Cを組み合わせて用いることで、クレンジング時から洗い流し終えるまでの間、最適な温感を持続的に感じることができるようになり、格段に優れたクレンジング効果を発揮させることができる。
【0030】
[成分D]
本発明の温感油性クレンジング化粧料には、成分Dとして流紋岩末を更に含有させることが好ましい。流紋岩末とは、火山土である流紋岩を焼結させた後、再度、砕いて粉末にしたものである。本発明では、上記成分Dを用いることにより、クレンジング時における温感効果を更に一層高めることができる。特に、上記成分Bと上記成分Cと組み合わせて用いることにより格段に優れた温感効果を発揮させることが可能となる。
【0031】
上記成分Dの平均粒径は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、0.001~50μmの範囲を有する流紋岩末を用いることが好ましく、0.01~30μmの範囲を有する流紋岩末を用いることがより好ましい。上記範囲を満たす流紋岩末を用いることにより、優れた温感効果を更に一層高めることが可能となる。
【0032】
なお、本発明においては、上記成分Dは市販品を用いることができる。成分Dの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。また、本発明においては、上記粒径範囲を満たす市販品をそのまま用いてもよいが、市販品を粉砕機により更に細かく粉砕した調製物を用いてもよい。
【0033】
本発明の温感油性クレンジング化粧料中の成分Dの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、最適な温感効果を更に一層高める観点から、化粧料100質量%中、0.001質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上であることがより好ましい。また、製剤安定性の観点から、化粧料100質量%中、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。なお、上記成分Dの含有量は、純分に換算した量である。
【0034】
本発明の温感油性クレンジング化粧料においては、上記成分Bと上記成分Cと上記成分Dとを組み合わせて用いることで、クレンジング時において最適な温感を持続的に感じることができるようになる。すなわち、優れた温感効果により、毛穴を広げて毛穴の奥底に詰まった皮脂汚れやメイク汚れを浮かせることができるようになる。これら浮き上がった汚れは、上記した成分Aによって溶解除去することもできるが、上記成分Bと上記成分Dによって汚れを吸着除去させることも可能である。
【0035】
[成分E]
本発明の温感油性クレンジング化粧料には、成分Eとして非イオン性界面活性剤を更に含有させることが好ましい。上記成分Eを用いることにより、製剤安定性を高めるだけでなく、洗浄時の洗い落ちを良好にして、油性クレンジング化粧料特有のクレンジング後のべたつき感を低減させることができるようになる。また、上記成分Eを更に含有させることで、クレンジング効果をより一層高めることも可能となる。
【0036】
上記成分Eとしては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。これら成分Eは1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0037】
上記成分EのHLB値は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、洗い落ちを高める観点から、2~20であることが好ましく、2~16であることがより好ましい。
【0038】
上記成分Eの中でも、クレンジング効果をより一層高めるとともに、クレンジング後の洗い落ちをより一層良好にする観点、並びに製剤安定性をより一層高める観点から、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを用いることが好ましく、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを用いることがより好ましい。
【0039】
なお、本発明においては、上記成分Eは市販品を用いることができる。成分Eの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。
【0040】
本発明の温感油性クレンジング化粧料中の成分Eの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、製剤安定性を高める観点、クレンジング効果を高める観点、並びにクレンジング後の洗い落ちを高める観点から、化粧料100質量%中、5質量%以上であることが好ましく、7質量%以上であることがより好ましい。また、製剤安定性の観点から、化粧料100質量%中、20質量%以下であることが好ましく、18質量%以下であることがより好ましい。なお、上記成分Eの含有量は、純分に換算した量である。
【0041】
[その他成分]
本発明の温感油性クレンジング化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記した成分の他に、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などの上記成分E以外の界面活性剤;増粘性高分子、粘土鉱物、多価アルコール、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、防腐剤、美白剤、抗炎症剤、清涼剤、植物抽出エキス、植物発酵エキス、pH調整剤、中和剤、香料などを目的や用途に応じて適宜配合することができる。
【0042】
本発明の温感油性クレンジング化粧料は、最適な温感効果を十分に発揮させる観点から、水を含まないか、又は水を含み且つ化粧料100質量%中の水の含有量が1質量%以下であることが好ましい。すなわち、本発明の温感油性クレンジング化粧料中の水の含有量は、0~1質量%であることが好ましく、0~0.5質量%であることがより好ましい。
【0043】
本発明の温感油性クレンジング化粧料の製造方法は、特に限定されないが、例えば、公知の方法により製造することができる。具体的には、例えば、上記各構成成分を混合し、例えば、ディスパーミキサー、ホモミキサー、ディスパーミルなどを用いて撹拌する方法などが挙げられるが、本発明はこれら製造方法にのみ限定されるものではない。
【0044】
本発明の温感油性クレンジング化粧料の性状は、特に限定されないが、例えば、液状、ペースト状、半固形状、固形状などが挙げられる。これら中でも、上記成分B、上記成分C、上記成分Dの分散を良好にし、優れた温感効果を発揮させる観点から、半固形状に調製されることが好ましい。なお、本明細書において、「半固形状」とは、流動性がなく指の押圧などの応力により変形する固形状の剤型を意味する。また、「流動性がない」とは、化粧料を広口容器に充填し、該容器を斜め45度に30秒間傾けた際に、該化粧料が広口容器から垂れ落ちない状態をいう。
【0045】
本発明の温感油性クレンジング化粧料は、チューブ容器、広口ジャー容器などの容易に取り出すことができる容器に充填されていることが好ましい。また、本発明の温感油性クレンジング化粧料は、化粧品、医薬部外品、指定医薬部外品、雑貨などの形態をとり得る。
【実施例0046】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
なお、配合量は、特記しない限り「質量%」を表し、表中の成分の配合量は全て純分に換算した値である。また、評価は全て恒温下(25±2℃)で実施した。
【0047】
実施例および比較例では、下記成分を用いた。
【0048】
[成分A]
フィッシャー・トロプシュワックス:商品名「Sasolwax C80」(サゾール社製)
パルミチン酸2-エチルヘキシル:商品名「コーヨーPOC」(交洋ファインケミカル社製)
カプリル酸プロピルヘプチル:商品名「CETIOL Sensoft」(BASFジャパン社製)
セバシン酸ジエチルヘキシル:商品名「FineNeo-EHS」(日本精化社製)
炭酸ジカプリリル:商品名「CETIOL CC」(BASFジャパン社製)
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル:商品名「MIGLYOL 812N(F)」(IOI Oleo GmbH社製)
【0049】
[成分B]
ゼオライト1:商品名「ゼオラム A-4」(東ソー社製)
ゼオライト2:商品名「ゼオラム LB-310D」(東ソー社製)
【0050】
[成分C]
無水硫酸マグネシウム:商品名「乾燥硫酸マグネシウム」(馬居化成工業社製)
【0051】
[成分D]
流紋岩末:商品名「マテラパウダー 1μm」(マテラ社製)
【0052】
[成分E]
PEG-7(カプリル/カプリン酸)グリセリズ:商品名「CETIOL HE810」(BASFジャパン社製)
成分C1)トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル:商品名「MファインオイルISG-20T」(ミヨシ油脂社製)
トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2:商品名「コスモール 43V」(日清オイリオ社製)
【0053】
(試料の調製1)
表1に記した組成に従い、実施例1~5および比較例1~3の化粧料を常法に準じて調製し、下記評価に供した。結果を表1に併記する。
【0054】
(試験例1:製剤安定性の評価)
実施例および比較例で得られた各試料を、90g容量の広口容器にそれぞれ充填し、40℃の恒温槽にて1週間保管した。保管後の剤の状態を目視観察し、下記評価基準に従い評価した。なお、評価は、5名の専門評価員が実施し、各評価員の評価を総合して決定した。
【0055】
<製剤安定性の評価基準>
○(良好):製造直後と対比して、均一状態を維持し続けている(変化が全く認められない)
△(不十分):製造直後と対比して、均一状態を維持しているが、僅かな離液が認められる
×(不良):製造直後と対比して、均一状態を維持しておらず、明らかな離液が認められる
【0056】
(試験例2:クレンジング時の評価)
各試料3gを、メイクを施した顔全体に塗布後、メイク汚れが気になる箇所を中心に指先で小さな円を描くように1分間クレンジングを行い、その後、40℃の温水で十分に洗い流してタオルドライにより顔の水分を拭き取ってもらった。
【0057】
使用試験は、クレンジング時の「温感」、洗浄時の「洗い落ち」、タオルドライ後の「クレンジング効果(メイク汚れ、並びに毛穴に詰まった皮脂汚れの除去効果)」について行い、下記評価基準に従って官能評価した。なお、評価は、5名の専門評価員が実施し、各評価員の評価を総合して決定した。
【0058】
<温感の評価基準>
○(良好):最適な温感を十分に感じる
△(不十分):温感を感じるが十分でない
×(不良):温感を感じない
【0059】
<洗い落ちの評価基準>
○(良好):洗い落ちに優れる
△(不十分):洗い落ちに劣る
×(不良):洗い落ちが悪い
【0060】
<クレンジング効果の評価基準>
○(良好):クレンジング行為により、メイク汚れだけでなく、毛穴に詰まった皮脂汚れまでも除去できた感覚が得られる
△(不十分):クレンジング行為により、メイク汚れは除去できるものの、毛穴に詰まった皮脂汚れまでも十分に除去できた感覚が得られない
×(不良):クレンジング行為により、メイク汚れや皮脂汚れを十分に除去できない
【0061】
【0062】
表1に示された結果から、各実施例で得られた温感油性クレンジング化粧料は、各比較例で得られたものと対比して、製剤安定性に優れ、かつ、施術時の使用感において格段に優れた効果を発揮していることが分かる。一方、本発明の構成を充足しない比較例では、施術時の使用感に劣り、本発明の格段に優れた効果を十分に発揮できていないことが分かる。