(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024351
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】いくつかの光ビームを結合するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
G02B 6/125 20060101AFI20230209BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20230209BHJP
G02B 6/122 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
G02B6/125 301
G02B6/42
G02B6/122 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022123160
(22)【出願日】2022-08-02
(31)【優先権主張番号】2108518
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】311015001
【氏名又は名称】コミサリヤ・ア・レネルジ・アトミク・エ・オ・エネルジ・アルテルナテイブ
(71)【出願人】
【識別番号】522308406
【氏名又は名称】エクリピア
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シリエル・モンプール
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ギヨーム・クタール
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ・ラルティーグ
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
【Fターム(参考)】
2H137AB11
2H137BA43
2H137BA44
2H137BA52
2H137BA53
2H137BB02
2H137BB08
2H137BB09
2H137BC52
2H137DB12
2H137DB13
2H137EA02
2H137EA04
2H137EA06
2H147AB31
2H147BA11
2H147BB01
2H147BB08
2H147BE14
2H147CB03
2H147CC12
2H147CC20
2H147EA10B
2H147EA13C
2H147EA14C
2H147EA25A
2H147FA16
2H147FC01
2H147FC08
2H147FD01
2H147FD05
(57)【要約】
【課題】いくつかの光ビームを結合するためのデバイスを提供すること
【解決手段】いくつかの光ビームを結合するデバイス(1)は、光ビームごとに少なくとも1つの、いくつかの中空の入力導波路(21、22、23)と、異なる光ビームに対して同一である中空の出力導波路(40)とを含み、各入力導波路が、対応する光ビームを入射させる入力開口(24、26、28)と、その反対側に、出力開口(25、27、29)とを有し、この出力開口を通して出力導波路に光ビームを出し、出力導波路は、各入力導波路と同様に、1つ以上の金属反射面(46、47、48、49)によって横方向に区切られており、出力導波路(40)の少なくとも一部分(42)は発散し、出力導波路の出力開口(45)の方向に広がっている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
いくつかの光ビーム(F1、F2、F3)を結合するためのデバイス(1;2;3)であって、
各光ビームに対して少なくとも1つの、いくつかの中空の入力導波路(21、22、23)と、異なる光ビーム(F1、F2、F3)に対して同一である中空の出力導波路(40)とを含み、
- 各入力導波路(21、22、23)が、対応する光ビーム(F1、F2、F3)を入射させる入力開口(24、26、28)と、その反対側に、出力開口(25、27、29)とを有し、入力導波路が、入力導波路の出力開口(25、27、29)を通じて出力導波路(40)につながっており、
- 出力導波路(40)、および各入力導波路(21、22、23)が、1つ以上の金属反射面(46、47、48、49)によって横方向に区切られており、
- 出力導波路(40)の少なくとも一部分が、発散しており、出力導波路(40)の出力開口(45)に向かうにつれて広がることを特徴とする(42)、デバイス(1;2;3)。
【請求項2】
導波路(40)から出た後、前記光ビーム(F1、F2、F3)が反射する収束ミラー(9)をさらに含む、請求項1に記載のデバイス(1)。
【請求項3】
前記発散部(42)が、20度よりも大きい平均開口角度(α)を有する、請求項1または2に記載のデバイス(1;2;3)。
【請求項4】
出力導波路(40)の出力開口(45)が、前記発散部(42)の入力部(44)の面積の少なくとも2倍より大きい、または3倍よりさらに大きい面積を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス(1;2;3)。
【請求項5】
入力導波路(21、22、23)および出力導波路(40)がそれぞれ、同一平面(P)に平行に延びる、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス(1;2;3)。
【請求項6】
出力導波路(40)から出た光ビームを前記平面(P)に対して傾いた平均方向(zR)に反射するように配置された偏向ミラー(9)をさらに含む、請求項5に記載のデバイス(1)。
【請求項7】
上面(71)を有するベース(7)と、ベースの上面(71)と接触する下面(82)を有するカバー(8)とを含み、ベース(7)が、その上面(71)にいくつかの溝を含み、各入力導波路(21、22、23)が、少なくとも部分的に、前記溝の1つによって形成される、請求項5または6に記載のデバイス(1;2;3)。
【請求項8】
前記光ビーム(F1、F2、F3)を放射するためのいくつかの光源(11、12、13)を含み、各光源が、この光源(11、12、13)によって放射された光ビーム(F1、F2、F3)がデバイスの入力導波路(21、22、23)の1つに入射するように、配置されており、前記光源(11、12、13)が入力導波路(21、22、23)に強固に結合されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス(1;2;3)。
【請求項9】
前記光源(11、12、13)の1つによって放射された光ビーム(F1、F2、F3)を、対応する入力導波路(21、22、23)の入力開口(24、26、28)に向かって反射する少なくとも1つの入力ミラー(51、52、53)を含み、このミラー(51、52、53)に対して垂直な方向が前記平面(P)に対して傾いている、請求項5から7のいずれか一項に従属する請求項8に記載のデバイス(3)。
【請求項10】
入力導波路(21、22、23)の少なくともいくつかが、それらの幅(w)または直径が0.1-1.5mmの間、または0.1-0.7mmの間の断面を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス(1;2;3)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野は、特に中赤外領域において、同じグローバルな光ビームを得るために、いくつかの光ビームを一緒に結合するためのデバイスの分野である。
【背景技術】
【0002】
いくつかの光ビームを一緒に結合することは、すなわち、例えば、いくつかの光ビームが同じ所定のゾーン(画像化されるゾーン、特性評価されるゾーン、または処理されるゾーンであり得る)を一緒に照明するように、いくつかの光ビームを互いに少なくとも部分的に重ね合わせることである。このために、ビームは、横方向の観点から(すなわち、横方向の位置の観点から)、互いに近づけられなければならず、可能であれば、それぞれの伝搬方向も近づけるべきである。
【0003】
このようにいくつかのビームを結合することにより、例えば、当該ゾーンが照明される総パワーを増加させること、または(デバイスの信頼性を向上させるために)いくつかの光源の間に一種の冗長性を持たせることが可能となる。しかし何よりも、異なる放射スペクトルを持つ光源、例えば異なる放射波長を持つレーザ光源から出るいくつかの光ビームを結合することが可能になる。こうして得られたグローバル光ビームは、高い輝度を有しながらも、広い波長範囲をカバーする。
【0004】
このようなビームの結合は、近中赤外領域(例えば1-15ミクロンに含まれる真空波長)において特に有効である。実際、この波長域は、医療分野、農学分野、または防衛安全分野での多くの用途で、化学化合物の検出に特に有利である。そして、いくつかの異なる中赤外波長を提供することにより、いくつかの異なる化合物を検出することが可能になる。
【0005】
いくつかの光ビームを結合するために、一つの解決策は、回折格子のような分散素子を使用することである。しかし、このようなシステムは、ビームの自由な伝播により、一般にかなり面倒であり(特に、ビームの事前のコリメーションが必要であるため)、したがって、ポータブルまたは集積デバイスに先験的に適合させることはほとんどできない。
【0006】
別の解決策は、マイクロエレクトロニクスから派生した技術によって製造されたオンシリコン導波路を使用することである。これは、例えば、シリコンとゲルマニウムの合金クラッディングを有するゲルマニウムガイドとすることができる。その中の光のガイドは、内部全反射によって実施される。このようなシステムでは、いくつかのビームを結合するために、一般にボトルネック(漏斗の一種)を形成するゾーンでいくつかのガイドを結合し、異なるビームに対して同じである出力導波路の入力で接続するデバイスを使用することが可能である。このようなデバイスは、小型化に適しているという利点がある。しかし、2つのガイドの各接合部でパワーの約半分が失われるため、損失の観点からはあまり面白いものではない。さらに、ガイドの横方向の寸法は特に小さく(一般にせいぜい約10ミクロン)、ガイドに対する光源の非常に正確なアライメント(空間の3方向に従って約100nmの精度、これは非常に制限的である)を必要とするので、これらのガイドへの注入を困難にし、さらに、中赤外線で放射するレーザ光源は、多くの場合、放射ビームの発散が光源の出力で非常に大きくなる非常に小さなアクティブゾーンを有する半導体ベースの光源である。これらのビームを結合するために、回折格子のような分散素子、特にガイドを支持する基板上に実施される凹面平面格子型(CPG)の回折格子を使用するか、または「配列型導波格子」型の導波路を集積したベースを有する回折格子を使用することも可能である。しかし、このような解決策は、ビームが異なる波長、さらには互いに非常に異なる波長を持つ場合にのみ使用可能である。また、一旦デバイスを実施すると、当該波長を変更することは困難であり、不可能でさえある。さらに、このようなデバイスでは、やはり高いアライメント精度が要求される。
【0007】
アルミニウムブロックの上面にミリング加工された中空金属導波路に基づく、中赤外域のいくつかの光ビームを結合するためのさらに別の解決策が、以下の論文で提案された:Julian Haas、「iBEAM:substrate-integrated hollow waveguides for efficient laser beam combining」Optics Express,vol.27,no.16,2019,23059-23066頁。当該アルミニウムブロックは、2cmの厚さに対して、約5cm×5cmの側面を有する。このデバイスは、7つの入力導波路を含み、それぞれが光ファイバを接続するためのF-SMAタイプのコネクタを入力部に備えている。これらのガイドは、それぞれ2mmの辺を持つほぼ正方形の断面をしている。これらは、グローバルに収束する接合部(この論文の
図1.a参照)で合流し、異なる光ビームに対して同じ出力導波路で終了する。このデバイスの出力ポートには、研磨されたアルミニウム製の漏斗状の部品があり、2mmの辺を持つ正方形の断面を有する出力導波路から、直径0.8mmのコアを持つ出力光ファイバへの通過を可能にする。このデバイスはロバストで、最初は異なる入力光ファイバで伝送されたいくつかの光ビームを、同じ出力光ファイバで結合するように構成される。
【0008】
しかし、この中空ビームコンバイナは、入力および出力として接続された光ファイバで動作するように設計されており、一般に、シーンまたは特性評価されるサンプル(例えば、個人の皮膚の小さな部分、植物の葉の断面または分析される材料の一部)を直接照射するようには構成されていない光ビームを出力で提供する。実際、本明細書で述べた漏斗の形をした部分の出力では、グローバル光ビームは小さな断面であり(ちょうど漏斗の出力で)、おそらく大きく発散している。さらに、光ファイバから中空金属ガイドへの通過により、デバイスの出力において、光パワーの損失(約6dB)を伴っている。さらに、このデバイスは、中赤外域でグローバルに低い透過率を持ち、各光ビームのデバイス内伝播に10dBの損失がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Julian Haas、「iBEAM:substrate-integrated hollow waveguides for efficient laser beam combining」Optics Express,vol.27,no.16,2019,23059-23066頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
この文脈において、いくつかの光ビームを結合するためのデバイスが提案され、このデバイスは、光ビームごとに少なくとも1つの、いくつかの中空の入力導波路と、異なる光ビームに対して同一である中空の出力導波路とを含み、
- 各入力導波路が、対応する光ビームを入射させる入力開口と、その反対側に、出力開口とを有し、入力導波路が、入力導波路の出力開口を通じて出力導波路につながっており、
- 出力導波路、および各入力導波路が、1つ以上の金属反射面によって横方向に区切られており、
- 出力導波路の少なくとも一部分が、発散しており、出力導波路の出力開口に向かうにつれて広がる。
【0011】
別の言い方をすれば、出力導波路の少なくとも一部分、例えばその端部は、光ビームの伝搬方向に発散して広がっている。
【0012】
実際には、デバイスに入射する光ビームは一般に大きく発散している(例えば、レーザダイオードから直接出るため)。しかしながら、本発明者らは、(狭まる代わりに)デバイスの出力の方向に広がる出力導波路の発散部が、個々の光ビームの発散を明確に減少させることを可能にすることを観察した。したがって、このような発散部は、部分的に収束ミラーに匹敵する効果を発揮する。さらに、このような導波路は、出力に向かうにつれて広がり、結合されるこれらの異なる光ビームのそれぞれの伝搬方向をより近づけることが示されている。比較のために、平行なエッジを有する出力導波路では、実際には、ガイドのエッジにおける異なる鏡面反射は、異なる光ビームのそれぞれの伝搬方向を一緒に近づけることを可能にせず、(このような導波路を伝搬する前と同様に)それらは角度的観点から互いに分離したままである。
【0013】
光ビームの伝搬方向に広がるこのような出力導波路を使用することにより、出力において、すべての入力光ビームを一緒にグループ化し、全体的に発散が減少したグローバル光ビームを得ることが可能になる。この発散部は、さらに、単位面積当たり高いパワーを得ることを可能にし、ビーム全体にわたって比較的均質である。
【0014】
今提示したデバイスは、出力導波路から出た後、光ビームが反射する収束ミラーを含むこともできる。この収束ミラーは、当該グローバル光ビームの発散をさらに減少させる。
【0015】
本発明者らは、さらに、発散部を有する出力導波路と関連するこのようなミラーが、当該異なる光ビームを組み合わせるとき、最終的に、照明されるべきゾーンの強力かつ均質な照明を得ることを可能にすることを観察した(
図5から
図8を参照)。特性評価されるべき試料または媒体を照明するために、このようにして生成されたグローバル光ビームは、収束ミラーを使用して得られるが出力導波路の発散部がないものよりも明らかに適しており(
図9から12参照)、これは当該収束ミラーの特性を最適化した場合でさえ同様である。
【0016】
収束ミラーと発散部を有する出力導波路とのこの関連付けは、特に、デバイスの出力において、個々の入力光ビームのそれぞれについて(すなわち、光ビームのうちの1つのみの存在下において、次にこれらのビームの別のもののみの存在下において)、照明されるべきゾーン全体にわたって均一である単位面積当たりの光パワーを得ることを可能にする。さらに、これらの光ビームの一方または他方によって輸送される光パワーは、ほとんどがこの照明されるべきゾーンの内側に位置する。
【0017】
収束ミラーの特性は、一般に、このミラーが関連する発散部を有する出力導波路の特性に従って決定される(これら2つの要素間の最適な協力を得るために)。
【0018】
いずれにせよ、この結合のためのデバイスは、この発散部を有する出力導波路を用いて、いくつかの光ビームの効果的な結合を可能にする。
【0019】
この特定の構成は、さらに、デバイスのコンパクト性を改善することを可能にする:他の光学部品に頼ることなく、コリメートされないものであり得るいくつかの異なる光源から、入力光ビームを結合してセミコリメートされたグローバル光ビームが直接得られる。
【0020】
コリメートされた、または少なくともセミコリメートされた、このようなビームを生成することは興味深いことであり、なぜなら、これにより、特性評価される試料を、ほぼ同じ入射、すなわちこの試料における同じ特性浸透深さ(いずれの場合も均質な試料について)、を有する光線で照射することが可能になるからである。このため、試料の所与の、よく制御された厚さ(例えば、生体組織の厚さ)をプローブすることが可能になる。
【0021】
さらに、出力光ファイバにおける結合、または入力光ファイバからの結合に起因し得る光損失は、したがって回避される。
【0022】
さらに、中空金属導波路を有するこのような結合のためのデバイスにおいて、(誘電材料から作られたガイドとは逆に)注入による損失は非常に低くすることができ、ガイドのあり得る湾曲による損失は実質的にないことに留意されたい。しかし、ガイドを区切る金属表面での反射は、吸収による損失を引き起こす可能性があるが、多くの金属は特に赤外線において高い反射率を持つため、この損失は中程度のままである。最後に、このようなデバイスは高フラックスに耐えることができ、一般に誘電材料から作られた導波路よりも高い耐性を持つ。各導波路のほとんど、あるいはすべてを、1つ以上の金属反射面によって横方向に区切ることができる。
【0023】
入力導波路および出力導波路はそれぞれ、例えば導波路が円筒形であるときに、単一の反射面によって横方向に区切ることができる。各ガイドはまた、このガイドが例えば正方形または矩形の断面を有するとき、いくつかの別々の反射面によって横方向に区切ることができる(この場合、4つの横方向反射面によって区切られる)。本明細書を通じて、「断面」という用語は、ガイドの一部に言及しない場合、ガイドの軸に垂直な断面(またはより一般的には、ガイドが延びる平均線に垂直な断面、言い換えれば、これは直線断面ビュー)に従って、考慮される導波路の断面(断面ビュー)を指す。さらに、入力(または出力)導波路は、表現「入力導波路」または表現「入力ガイド」によって、差別なく指定されるであろう。
【0024】
以上で述べた特性に加えて、今提示したデバイスは、個別に、または技術的に許容される任意の組み合わせに従って、以下の1つ以上の任意特性を有し得る:
- 前記発散部が、20度よりも大きい平均開口角度を有する;
- 前記開口角度が、20度から100度(これは、例えば、このガイドが中心となっている出力導波路の軸の両側にそれぞれプラスまたはマイナス10度、およびプラスまたはマイナス50度に相当する)に含まれ;出力導波路に対する入力導波路の接続角度が典型的には10度から50度に含まれる場合、このような開口角の値が、出力においてグローバル疑似コリメート光ビームを得るのに好適であり、個々の初期光ビームの伝播方向は互いに接近される;
- 前記平均開口角度が、この発散部が出力導波路の軸を含む平面(または出力導波路が延びる平均線を含む平面)において有する平均開口角度である;
- 前記開口角度が、前記発散部において出力導波路を横方向に区切る金属反射面のうちの2つの間の平均角度に等しく、これら2つの面がそれぞれガイドの両側に位置する(前記平均が前記発散部に沿った平均である);
- 前記開口角度が、前記発散部において出力導波路を横方向に区切る2つの平面反射金属表面の間の角度に等しく、これら2つの面が、ガイドの両側にそれぞれ配置される;
- 出力導波路の出力開口が、前記発散部の入力部の面積の少なくとも2倍より大きい、または3倍よりさらに大きい面積を有する;
- 入力導波路および出力導波路が、同一平面に対して平行に延び;別途表現すると、出力導波路および各入力導波路が、それを中心とする平均線に沿って延び、これらの異なる平均線が、同一平面内に位置し、または少なくとも、異なるガイドに対して同じである所与の平面に対して平行に延び;出力導波路および入力導波路が、例えば、この同一平面に対してそれぞれ平行であり、またはこの同一平面内に位置する異なる軸にそれぞれ中心を定めることができる;
- デバイスが、出力導波路から出た光ビームを前記平面に対して傾いた平均方向に反射するように配置された偏向ミラーをさらに含む;
- 前記平均方向と前記平面との間の角度が、例えば40度から90度の間に含まれる、
- 偏向ミラーが、収束ミラーそれ自体であり;換言すれば、偏向ミラーと収束ミラーが、収束し傾斜した単一の同一のミラーであり得る;
- 偏向ミラーが、出力導波路の出力開口に面して配置される;
- デバイスが、上面を有するベースと、ベースの上面と接触する下面を有するカバーとを含み、ベースが、その上面にいくつかの溝を含み、各入力導波路が、少なくとも部分的に、前記溝の1つによって形成され;別の言い方をすれば、各入力導波路が、少なくとも部分的にこれらの溝の1つによって構成される;
- ベースおよび/またはカバーが、一体化されたモノリシック部品である(これにより、デバイスの安定性およびコンパクト性が向上する);
- デバイスが、前記光ビームを放射するためのいくつかの光源を含み、各光源が、この光源によって放射された光ビームがデバイスの入力導波路の1つに入射するように、配置される;
- 前記光源が入力導波路に強固に結合される;
- 前記光源の少なくともいくつかについて、考慮された光源によって放射された光ビームが、光源とこの導波路の入力開口との間にいかなる中間光学構成要素もなく、対応する入力導波路に直接入射する;
- 前記光源の少なくともいくつかについて、デバイスが、考慮される光源によって放射された光ビームの経路上に位置し、この光源と対応する入力導波路の入力開口との間にある1つ以上の中間光学構成要素を含む;
- 前記光源の少なくともいくつかについて、考慮される光源によって放射された光ビームが、1から15ミクロンの間に含まれる平均波長(真空波長)を有する;
- デバイスが、前記光源の1つによって放射された光ビームを、対応する入力導波路の入力開口に向かって反射する少なくとも1つの入力ミラーを含み、このミラーに対して垂直な方向が前記平面に対して傾いている(入力ミラーが平面ミラーでないとき、前記垂直な方向が、このミラーに対して平均して-ミラーの照射部分において平均して-垂直な方向である);
- 入力導波路の少なくともいくつかが、幅または直径が0.1-1.5mmの間、さらには0.1-0.7mmの間に含まれる断面を有する;
- 入力導波路の入力において、前記光源から放射された光ビームが、それぞれ20度より大きい、さらには40度より大きい開口角度を有する;
- 前記収束ミラーで反射した後、前記光ビームが、デバイスから出るためにこれらの光ビームによって交差する可能性のある平面フィルタおよび/または可能性のある平面出力窓を除く他の光学構成要素に遭遇することなく、前記デバイスから出る。
【0025】
本技術およびその異なる応用は、以下の説明を読み、添付の図を検討すると、よりよく理解されるであろう。
【0026】
図は、情報の目的のために提示されており、決して限定的なものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本技術を実施するビームを結合するためのデバイスの第1の実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図1のデバイスのビームコンバイナを概略的に示す透視斜視図である。
【
図3】
図2と同じであるが、コンバイナのいくつかの寸法を示す図である。
【
図4】
図1のデバイスの出力ミラーをより詳細に示す斜視図である。
【
図5】
図1のデバイス内を伝播する光線を概略的に示す斜視図であり、これらの光線はデジタルシミュレーションによって得られたものである。
【
図6】デジタルシミュレーションによって得られたもので、第1、第2およびそれぞれの第3の光源が動作しており、他の光源はスイッチオフされているときに、
図1のデバイスの出力において、照明される所与のゾーンで得られる放射照度を示す図である。
【
図7】デジタルシミュレーションによって得られたもので、第1、第2およびそれぞれの第3の光源が作動しており、他の光源はスイッチオフされているときに、
図1のデバイスの出力において、照明される所定のゾーンで得られる放射照度を示す図である。
【
図8】デジタルシミュレーションによって得られたもので、第1、第2およびそれぞれの第3の光源が作動しており、他の光源はスイッチオフされているときに、
図1のデバイスの出力において、照明される所定のゾーンで得られる放射照度を示す図である。
【
図9】
図5と同様であるが、発散部のない出力導波路の場合を示す図である。
【
図10】
図6と同様であるが、これも発散部のない出力導波路の場合を示す図である。
【
図11】
図7と同様であるが、これも発散部のない出力導波路の場合を示す図である。
【
図12】
図8と同様であるが、これも発散部のない出力導波路の場合を示す図である。
【
図13】本技術を実施するビームを結合するためのデバイスの第2の実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図14】本技術を実施するビームを結合するためのデバイスの第3の実施形態を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
既に述べたように、本技術は、出力において同じグローバル光ビーム、好ましくはセミコリメートされた光ビームを得るような方法で、いくつかの入力光ビームF1、F2、F3を一緒に結合するためのデバイス1;2;3に関する(
図1、13、14を参照)。この結合は、一組の中空金属導波路を用いて実施される。このセットは、入力導波路21、22、23(
図2)を含み、入力光ビームF1、F2、F3ごとに1つずつある。これらの入力導波路はそれぞれ、異なる光ビームF1、F2、F3に対して同じ出力導波路40に出して、それらを結合することを可能にしている。
【0029】
驚くべきことに、出力導波路40の少なくとも1つの部分は発散しており、このガイドの出力開口45の方向に広がっている。「課題を解決するための手段」と題する部分で説明したように、この導波路が光ビームの伝搬方向にそのように広がるという事実は、そこから出るグローバル光ビームF01;F02;F03の発散を減少させることを可能にする。
【0030】
それぞれ参照番号1、2、3を付すこのデバイスの3つの実施形態が、
図1、13、14にそれぞれ示される。
【0031】
第1の実施形態では、デバイス1は、中空導波路システム(
図1、4および5)から出た後、グローバル光ビームF0
1が反射される出力ミラー9を含む。この出力ミラー9は、ビームF0
1の発散をさらに減少させるために、収束型である。これは、軸の外側に位置する照明されるべきゾーンZsに向けてグローバル光ビームF0
1を偏向させるような方法で、さらに傾けられる。
【0032】
第2の実施形態では、デバイス2は、そのような出力ミラーがない(
図13)。
【0033】
第3の実施形態では、デバイス3にはそのような出力ミラーがないが、他方、各入力光ビームF1、F2、F3に対して1つの入力ミラー51、52、53を含む(
図14)。これらの入力ミラーは、これらの光ビームを入力導波路21、22、23に向けるように、傾けられており、光ビームF1、F2、F3は、導波路が延びる平面Pに関して傾いた放射方向で最初に放射される(
図14)。
【0034】
しかしながら、これら3つの実施形態は多くの点で共通している(特に導波路の配置に関連している)。したがって、同一または対応する要素には、可能な限り、1つの実施形態から別の実施形態まで、同一の参照符号を付し、それらは必ずしもその都度説明されることはない。以下、これら3つの実施形態について、順次、より詳細に説明する。
【0035】
第1の実施形態
第1の実施形態によるデバイス1の異なる態様は、
図1から
図5で見ることができる。これらの図から分かるように、デバイス1は:
- いくつかの、ここでは3つの別々の光源11、12、13と、
- ビームコンバイナ6であって、本明細書で述べた中空導波路21、22、23、40を含み、ここではグローバルに平行六面体の平らなブロックの形態を有する、ビームコンバイナ6と、
- 出力ミラー9と
を含む。
【0036】
光源11、12、13は、それぞれ、1-15ミクロン、2-12ミクロン、あるいは5-11ミクロンの間に位置する平均放射波長を有する実質的に単色放射(すなわち:非常に狭いスペクトルの)をそれぞれ放射するQCLタイプ(量子カスケードレーザ)のレーザ光源である。なお、ビームF1からF3が「光ビーム」と呼ばれていることは、これらのビームが可視光線であることを意味すると解釈されるものではないことに留意されたい。これら3つの光源は、本明細書では、互いに異なるそれぞれの平均放射波長l1、l2、l3を有する。あるいは、デバイスの異なる光源は、しかしながら、同じ放射スペクトルを有することができる。
【0037】
光源11、12、13から出る光ビームF1、F2、F3は、本明細書では、大きく発散している。これらのビームの各々は、例えば20度より大きい(40度よりさらに大きい)開口角度を有する。この開口角度は、ここでのように、ビームの伝搬軸を含む第1の断面平面において、考慮されるビームの照射プロファイルの中間の高さにおける全幅(角度)に対応し得る。ビームの軸を含み、第1の断面平面に垂直な第2の断面平面において、これらのビームの各々は、ここでは40度より大きい開口角度を有する。以下に示すデジタルシミュレーションのために、ガウシアンプロファイルの、放射されるビームは、より正確には、この第1の切断面およびこの第2の切断面において、それぞれ30度および60度の開口角度を有する(これらは、ここで用いられるQCLの種類に対応する開口角度である)。代替的に、光源11、12、13は、しかしながら、各々、マイクロレンズのようなコリメーションデバイスが設けられ、放射される光ビームの発散を減少させることができる。
【0038】
再び代替的に、他のタイプのレーザ光源、例えばICLタイプ(バンド間カスケードレーザ)の光源、他のタイプのレーザダイオード(外部キャビティ搭載、または非搭載)、他のタイプの外部または内部キャビティレーザまたはチューナブルレーザが使用され得る。しかしながら、考慮され得る様々なレーザ光源の中で、好ましくは、それらのコンパクト性(コンパクトなデバイスを得ることが目的の1つ)のために、半導体光源が選択されるであろう。
【0039】
非干渉性光源、例えば炭化ケイ素棒状光源などの白熱光源も、本明細書で述べたレーザ光源の代わりに使用することができる。
【0040】
光源11、12、13は、軸xに沿って、一列に互いに配置される。光ビームF1、F2、F3はそれぞれ、同じ軸z、ここでは、軸xに垂直な軸に平行な方向に放射される。
【0041】
デバイス1は、光源11、12、13によって放射される熱を除去するための、あるいはその温度を調整さえするための熱管理モジュールを含む。この熱管理モジュールは、本明細書では、熱伝導性材料、例えば金属から作られたブロック5を含み、その上に光源が取り付けられる(
図1)。このブロックは、(その熱慣性により)サーモスタットの役割と放熱器の役割の両方を果たす。より一般的には、熱管理モジュールは、サーモスタットと放熱器(冷却フィン、ペルチェ効果モジュールなど)を含む。熱管理モジュールは、本明細書では異なる光源に対して同じである(これは、照明が異なる光源に対して連続的に行われる場合、またはそれらが同じ放射スペクトルを有する場合によく適している)。しかし、このデバイスは、各光源に対して1つのモジュールを有する、互いに独立した熱管理モジュールを含むこともできる。
【0042】
この実施形態では、光源11、12、13は、導波路21、22、23、40に強固に結合されており、すなわち、導波路21、22、23、40に対して変位しないように固定されている。実際、光源はブロック5上に恒久的に固定されており、ブロック5自体がビームコンバイナ6に強固に結合されている(これは、例えば接着またはねじ止めによってビームコンバイナに固定されているか、またはブロック5がコンバイナの一部であるモノリシック部品の部分によって形成されており、この部分がコンバイナの後部に突出しているためである)。
【0043】
図2で分かるように、本明細書では導波路21、22、23、40は同じ平面Pに平行に延びており、さらに同一平面上にある。言い換えれば、各導波路は、それを中心とする平均線に沿って延び、これらの異なる平均線はこの同じ平面Pに位置する。当該平面Pは、本明細書で述べた軸xおよびzを含む平面と平行である(一方、図に示す軸yは平面Pに垂直である)。
【0044】
ビームコンバイナ6は、本明細書のように、平坦な上面71を有する(および当該平面Pに平行な)ベース7を含み得る。その上面において、このベースはいくつかの溝を含む。各導波路21、22、23、40は、少なくとも部分的に、これらの溝のうちの1つによって形成される。これらの溝は、任意の横方向プロファイル、例えば三角形、半円形、または本明細書のように矩形(これは製造上便利である)を有することができる。ビームコンバイナ6は、ベースの上面71と接触する平面状の下面82を有するカバー8を含むこともできる(
図4)。(当該溝を覆うことによって、あるいは、別の言い方をすれば、各溝の上部開口を塞ぐことによって)導波路の上部を区切るのは、金属的で反射性のこの下面82である。この配置により、基板の上面のエッチング、フライスタイプの材料除去による機械加工、またはアディティブマニュファクチャリング、またはモールディングによって、導波路のセットを都合よく製造することができる。ベース7は、カバー8と同様に、一体型のモノリシック部品であり(すなわち:部品全体にわたって材料の連続性を有する)、これは、デバイスの安定性とコンパクト性に寄与する。
【0045】
グローバルに平行六面体であるビームコンバイナ6は、小さな寸法である。その幅とその長さは、例えば20mm未満、あるいは10mm未満であり、その厚さは、例えば5mm未満、あるいは3mm未満ある。
【0046】
ビームコンバイナ6はこのベースとカバーによって形成されようと、それと異なろうと、ここでのビームコンバイナ6は、導波路21、22、23、40が形成される基板を含む。この基板は、例えばシリコンのような半導体材料、またはガラスから形成することができ、その後、ガイドを横方向に区切る表面は、場合によっては研磨された後、金属層で覆われる。この金属層は、使用する全スペクトル範囲にわたって、例えば95%より大、あるいは98%より大の高い反射率を有する。この金属は、例えばアルミニウムまたは金であり、これらはそれぞれ中赤外領域で高い反射率を有する。当該基板はまた、金属で作ることができ、これにより、当該表面の金属化のステップを克服することが可能になる。中赤外線において、質の高い鏡面反射を得るためには、数百ナノメートル程度の表面粗さで概ね十分であり、そのような粗さは、標準的な方法で、本明細書で述べた製造技術と互換性があることに留意されたい。
【0047】
半導体基板の場合、すべての中空ガイドは、標準的なマイクロエレクトロニクス方法(エッチング、ボンディング、金属化)によって実施することができ、この基板は、光源(そのときの光源は半導体ベースの光源)のための支持体としても使用されていることに留意されたい。このようにして、異なる要素のアライメント(およびパッケージング)が促進されるであろう。
【0048】
導波路21、22、23、40が一部である基板の性質に関係なく、各導波路は、ここでは、1つ以上の金属反射面によって横方向に完全に区切られている。したがって、例えば円形断面の導波路の場合、ガイドは全体的に金属の円筒面によって横方向に区切られる。
図2に示されるような矩形である直線部を有する導波路の場合、各ガイド、または、少なくとも、ガイドの各セグメントは、4つの金属反射面によって横方向に区切られる。
【0049】
既に示したように、導波路21、22、23、40は中空である。これらの異なるガイドの内部容積は、空気で満たされ得る。また、ガイドの内部容積は、いくつかの中赤外線波長における水蒸気と二酸化炭素により引き起こされる著しい吸収を克服するために、水蒸気を除いた空気、または純粋な窒素で満たされてもよく、または真空であってもよい。
【0050】
ここで、すべての導波路21、22、23、40の幾何学的構造についてより詳細に説明する。
【0051】
各入力導波路21、22、23は、その入力開口24、26、28から出力開口25、27、29に伸び、それを通して出力導波路40(
図2)に通じる。
【0052】
入力導波路22は、直線状であり、光ビームF1、F2、F3の放射軸zに平行である。後者の両側に位置する2つの入力導波路21、23は、直線状の区分であり、それぞれについて、軸zに平行な短い入力セグメントと、この導波路を他の入力導波路に徐々に近づけるように軸zに対して傾いた直線的な主セグメントとを有する。代替的に、直線状の区分である代わりに、ガイドは、湾曲していてもよい(すなわち、湾曲した平均線に沿って延びる)。入力導波路21、22、23はそれぞれ、ここでは矩形で、広がったり狭まったりすることなく、このガイドに沿ってずっと同じままである断面を有する。
【0053】
この第1の実施形態では、各入力開口24、26、28は、デバイス1の光源11、12、13の1つの前に、すなわち向かい合うように配置されている。考慮された光源11、12、13と対応する入力開口24、26または28との間の距離は、このビームの強い発散にもかかわらず、放射されたビームF1、F2、F3のほとんどをガイドに入射するような方法で、減少される。この距離は、例えば20ミクロンより大きく(製作を容易にするため)、入力開口24、26、28の幅wまたは直径の半分より小さい。
【0054】
横方向の寸法に関して、入力導波路21、22、23は:
- これらの異なるガイドについて同じであり、さらに出力導波路40(
図3)の高さhに等しい高さh(平面Pに垂直な方向による延長)と、
- 同じ幅wと、
を有する。
【0055】
高さhと幅wは、0.1mmより大きい。これにより、光源と入力導波路のアライメントが比較的容易になり、損失の少ない入射が可能となる。また、幅が狭すぎない導波路を使うことで、ガイド端での金属反射数を制限することもでき、ガイドを区画する金属表面での吸収による損失も減らすこともできる。さらに、デバイス1の全体の大きさを制限するように、ここでは、高さhおよび幅wを1.5mm以下、さらには0.7mm以下としている。
【0056】
出力導波路40については、第1の端部43からその出力開口45まで延びている。
【0057】
入力導波路21、22、23は、その第1の端部43で出力導波路40に接続される。その第1の端部43において、出力導波路は、さらに、入力ガイドのいずれか1つの幅wの3倍に近い幅を有する。
【0058】
出力導波路40は、軸zoに中心を合わせ、ここでは軸zに平行である。入力導波路22は、出力導波路40の軸zoと整列している。2つの入力導波路21および23は、このガイドの軸zoと角度γを形成することによって出力導波路40に接続される。この接合角度γは、好ましくは10度から50度の間に含まれる(入力ガイドの数がここで用いたものと異なる場合も含む)。
【0059】
図2に見られるように、出力導波路40は、接合部41と、それに続く発散部42とを含む。
【0060】
接合部41は、出力導波路の第1の端部43から、発散部42の入力部44まで延びる(この入力部は、そこからガイド40が広がるガイド40の部分である)。接合部41は、接合部41に沿ってずっと同じままである断面(ここでは、矩形である断面)を有する。
【0061】
発散部42は、その入力部44から出力導波路の出力開口45まで延びる。発散部42は、ここでは、出力ガイドのこの発散部42に沿ってすべて広がる矩形断面(矩形プロファイル、言い換えれば、矩形輪郭)を有する。このように、この発散部は、ガイドの出力に向かっていくと広がるホーンを一緒に形成する4つの表面平面46、47、48、49によって区切られている。
【0062】
ここで、このホーンの上面48および下面49は、互いに平行であり、平面Pに対して平行である。一方、2つの側面46、47は、互いに対して傾いている。側面46、47の間には開口角αが形成される。この開口角は、ここでは20度より大きく、さらには50度より大きく、100度より小さい。典型的には10度から50度の間に含まれる出力導波路40上の入力導波路21、22、23の接続角度に対して、このような開口角の値は、初期の個々の光ビームF1、F2、F3の平均化された伝搬方向が互いに近づくグローバル光ビームF01を出力として得るために好適である。
【0063】
ここでは、発散部42は、したがって、1つの平面においてのみ発散している。出力導波路40が角度的に開いているこの平面は、出力ガイドの角度的開口が、入力ガイドによってこのガイドに注入されたビームの伝搬方向を互いに近づけることを可能とするように、互いに角度的に分離された入力導波路を含む平面と正確に同じである(これは、本明細書で述べた平面Pである)。
【0064】
プロファイルの観点からは、出力ガイドの出力開口45は、出力ガイドの発散部42の入力部44の面積の少なくとも2倍より大きい、あるいは3倍よりさらに大きい面積を有する。この表面の増加により、ビームコンバイナ6から出るグローバル光ビームF01の発散を実質的に減少させることが可能になる。
【0065】
今提示した出力導波路40について、いくつかの代替案を考えることができる。
【0066】
したがって、例えば、非発散である接合部41を省略することができる。他のデジタルシミュレーションの結果は、特にグローバル出力光ビームの発散および後者における光パワーの均質性の点で、この接合部なしで(出力ガイドの寸法または開口角度を修正する点で)満足のいく組み合わせが得られることを実際に示している。
【0067】
接合部41は、デバイスの出力方向へのビームの伝搬を良好にするために、わずかに発散してもよい(ただし、発散部42よりも小さい)。
【0068】
非発散部、次いで一定の開口角を有する発散部を含む代わりに、出力導波路は、このガイドに沿ってすべて連続的に漸進的に変化する開口角(この開口角は例えばこのガイドに沿って漸増する)を有し得る。この場合、出力導波路は、次に、20度よりも大きい、あるいは40度よりも大きい平均開口角(その入力部から出力開口までの、発散部に沿った平均)を有するであろう。
【0069】
一方、ガイドの軸zoに垂直な2つの横方向のうちの単一の1つに従って(ここでは方向xに従って)発散する代わりに、発散部42はこれら2つの横方向(xおよびy)に従って発散し得る。そのとき、発散部は、円錐の形状、または本明細書で提示したような4つの面を有するホーンの形状を有し得るが、上面48および下面49も互いに対して(平行である代わりに)傾く。
【0070】
さらに、デバイスは、本明細書で提示したものとは異なる数の入力導波路を含み得る(例えば、3つの代わりに、4つまたは5つの入力導波路)。
【0071】
出力ミラー9に関して、既に示したように、出力ミラー9は、出力開口45から出るグローバル光ビームF01を、軸の外側に位置する照明されるべきゾーンZsに向けて偏向させるように傾斜される。
【0072】
ここで、出力ミラー9は、グローバル光ビームF01が、出力ミラー9での反射後に、平面Pに対して垂直、またはほぼ垂直な平均化された伝搬方向zRを有するように傾けられる。これにより、軸の外側に位置する(離れてシフトした)ゾーンZsを照明することが可能となる。
【0073】
このようなゾーンを照明できることは、小型化され携帯可能なデバイス1にとって、実際上興味深いことである。実際、グローバルに平面であり、デバイスの最も大きな要素の1つであるビームコンバイナ6は、個人の皮膚または分析されるべき材料のブロックのような、特性評価されるべき要素の表面に平行に配置することができ、出力ミラーはそれで、分析されるべきこの表面に向かって(グローバルで垂直入射である照明を伴って)グローバル光ビームを偏向する。
【0074】
照明されるゾーンZsは、ここでは、平面Pに平行な、直径が1-10mmに含まれる円板に相当する。
【0075】
既に示したように、出力ミラー9は、グローバル光ビームF01の発散を減少させるために、収束型である。このミラーの収束性によって、特に、照明されるゾーンZsで受ける全光パワーを増加させることが可能になる。
【0076】
例として、出力ミラー9は、軸の外側で使用される放物面ミラー(その反射面は放物面の一部によって形成される)とすることができる。
【0077】
出力ミラーはまた、放物面タイプのミラーであり得るが、放物面プロファイルおよび焦点は、平面y,zに平行な断面平面と、平面x,zに平行な断面平面とで異なる。出力ミラーは、トロイダル型(円形断面であるが、光源の平面x,zと平面y,zとで異なる曲率半径を有する)のミラーであってもよい。出力ミラーは、本質的にゾーンZsを均質に照明するように最適化された、任意の形状(「自由形状」ミラー)を有する凹面反射面を有していてもよい。
【0078】
いずれにしても、出力ミラー9の多かれ少なかれ収束性(例えばその焦点距離)、およびこのミラーの位置は、ゾーンZsで受けるパワー、および/またはこのパワーがゾーンZsで分布する均質性(これは光源が異なる放射スペクトルを有するときにビームごとの可能性がある)、および/またはグローバル光ビームF01のコリメート性を最適化するように、決定される。
【0079】
出力ミラーの特性は、一般に、発散出力導波路40の特性に従って選択されるが、これは、このガイドの発散部の特性が、ガイドから出るグローバル光ビームの特性にかなりの影響を与えるからである。例として、大きく発散するガイドの場合、出力ミラーの焦点は、導波路の出力開口45よりも入力部44に近く選択することができ、ほとんど発散しないガイドの場合はその逆である。
【0080】
出力ミラー9の曲率、その位置、および導波路の幾何学的特性(開口角、各部の長さ等)によく適合する値は、デジタルシミュレーションによって、例えば光線をプロットすることによって、本明細書で述べた基準の1つ以上を最適化するように決定することが可能である。
【0081】
そのようなシミュレーションの結果の一例が、
図5から
図8に示されている。
【0082】
この例では、固定パラメータは:導波路の高さh(0.2mm)、入力導波路の幅w(0.18mm)、光源間の間隔(0.86mm)、ビームコンバイナの全長Lo(約6mm)であった。照明されるゾーンZsは、直径1.6mmで、(Y軸に従って)平面から6mm上に位置する。
【0083】
(調整可能な)自由パラメータは:出力導波路の発散部の長さl3および幅Lout、接合部41の長さl2、入力ガイドの軸zに応じた長さl1、および出力ミラー9の位置および焦点を含む。
【0084】
次に、自由パラメータは、ゾーンZsにおいて受ける総パワーと、このパワーがゾーンZsにおいて分布する均質性とを、ビームごとに(すなわち、入力として存在するビームF1のみで、次に入力として存在するビームF2のみで、次に入力として存在するビームF3のみで)最適化するように、デジタルシミュレーションを実行(光学シミュレーションソフトウェアZemax OpticStudioを使用)することによって調節された。
【0085】
図5から
図8に示す結果は、この最適化手順の終了時に得られたものである。この例では、この最適化手順は以下の値:約17度の接続角γ、約60度の開口角α(出力開口45の幅Loutは入力部44の幅Linの約4.4倍に等しい)、約1/3のl2/Lo比、約3mmの出力ミラーの曲率半径をもたらし、ミラーは4mmの直径を持ち、平面Pに対して45度傾斜されていた。
【0086】
このシミュレーション中にプロットされた光ビームの一部を示す
図5は、放射された光線のほとんどがゾーンZsの照明に効果的に寄与し、このゾーンの外側を通過する光線はほとんどないことを示す。より正確には、3つの光源11、12および13について、ゾーンZsにおいて受け取られる全光パワーは、考慮された光源によって最初に放射された光パワーのそれぞれ45%(光源11について)、57%および42%である。光源11のチャネルと光源13のチャネルとの間のエネルギー効率におけるわずかな差(これら2つのチャネルは互いに対称であるが)は、波長l1(約6ミクロン)に関して、波長l3(約9ミクロン)で使用される金属(ここでは金)のわずかに強い吸収によって説明することができる。
【0087】
図6は、光源11のみが動作している(光源12および13はスイッチオフである)ときにゾーンZsの異なる点で得られた放射照度をグレースケールで示す。この図では、このゾーン内で考慮される点を示す座標xおよびzは、mmで表されている。
図7と
図8は、
図6と同じであるが、それぞれ光源12のみが動作している場合と、光源13のみが動作している場合に対応している。これらの図から分かるように、光パワーは、照明されるゾーンZsの内部で効果的に均質に分配され、これは各光源について同様である。
図10から
図12で分かるように、出力導波路の発散部がなければ、事態は大きく異なるであろう。
【0088】
図9から
図12は、
図5から
図8と同じ条件で実施されたデジタルシミュレーションの結果を示しているが、出力導波路の出力に発散部がない場合である。ビームコンバイナ6’は、本明細書で述べた3つの入力導波路と、一定の断面を有する出力導波路とを含む。本明細書で述べたように、出力ミラー9’の特性(ガイドの幾何学的特性の一部も同様)は、ゾーンZsで受ける総パワーと、このパワーがゾーンZsで分布する均質性とをビームごとに最適化するように調整されている。
【0089】
しかし、
図10、
図11および
図12に見られるように、この最適化手順でさえ、特に光源11、または13から来る光について、ゾーンZsの均質な照明はほとんど得られない。
【0090】
さらに、
図9において、放射された光線のかなりの割合が、次いでゾーンZsの外側を通過し(出力ミラー9’が収束しているにもかかわらず)、その照明に関与しないことが観察される。さらに、3つの光源11、12および13について、ゾーンZsにおいて受け取られる全光パワーは、それで考慮された光源によって最初に放射された光パワーのそれぞれ18%(光源11について)、23%および16%である。
【0091】
これらの結果は、ビームを結合するためのこのようなデバイスにおいて、出力においてグローバル擬似コリメートされた、および/または高く均質な光パワー密度を有する光ビームを生成しようとする場合、ビームの伝搬方向に(狭まるかまたは一定断面を保持するのではなく)広がる出力導波路を用いることの利益を示している。
【0092】
第2の実施形態
図13に示す第2の実施形態のデバイス2は、第1の実施形態のデバイス1と同一であるが、本明細書で提示した出力ミラーがない。
【0093】
そのビームコンバイナ62は、第1の実施形態のコンバイナ6と同じ構造を有する。しかし、出力導波路40の発散部42の長さや開口角度などのデバイス2のいくつかの寸法特性は、出力における収束ミラーがないにもかかわらず、できるだけ均質でコリメートされたグローバル光ビームF02を得るような方法で、第1の実施形態に関して異なる値を有し得る。
【0094】
さらに、本明細書で述べたように、デバイス2のいくつかの寸法特性は、出力ミラーのないこのデバイスについて、照明される所定のゾーンで受ける総パワー、および/またはこのパワーがこのゾーンで分布する均質性を最適化するように、デジタルシミュレーションによって調整することができる。
【0095】
第3の実施形態
第3の実施形態のデバイス3は、第1の実施形態のデバイスと同一であるが、出力ミラー(収束ミラーであろうと、単に傾斜した平面ミラーであろうと)がない。一方、デバイス3は、各入力光ビームF1,F2,F3に対して1つの入力ミラー51,52,53を含み(
図14)、これらの光ビームを入力導波路21,22,23に向けるようになっている。実際、この実施形態では、光源11、12、13は、導波路が延びる平面Pに対して傾いた、さらにはこの平面に対して垂直な放射方向を有する。
【0096】
したがって、これらの傾いた入力ミラー51、52、53は、それらの放射方向が平面から外れている光源11、12、13を配置することを可能にする。これは、デバイス3の全体構成にさらなる柔軟性をもたらし、特に、光源の冷却および/または熱化システムの設置を容易にすることができる。
【0097】
光源11、12、13が入力導波路の入力開口からかなり離れている本構成では、光源11、12、13から出る光ビームF1、F2、F3の発散を低減するために、コリメーションシステム(コリメーションレンズ、マイクロレンズなど)をそれぞれ備えた光源を用いることが興味深い。そしてこれにより、各ビームF1、F2、F3のほとんどを対応する入力ガイドに入射させながら、ガイドの入力開口の寸法をむしろ小さく保つことができる(例えば、デバイス3を小型に保つために1.5mm未満)。代替的にまたは補足として、光源にコリメーションシステムを提供する代わりに、傾斜し、かつ収束性のある入力ミラー51、52、53をさらに使用することができる。
【0098】
再び代替的に、光源ごとに1つの、いくつかの別々の入力ミラーを含む代わりに、デバイスは、異なる光源に対して同じである、単一部品の1つの入力ミラーだけを含むことができる。
【0099】
いずれにしても、このデバイス3のビームコンバイナ63は、第1の実施形態のコンバイナ6と同じ構造を有している。しかし、ここでも、出力導波路40の発散部42の長さおよび開口角度などのデバイス3のいくつかの寸法特性は、出力に収束ミラーがないにもかかわらず、またデバイス3に入る個々の光ビームF1、F2、F3の異なる可能性がある発散を考慮して、できるだけ均一でコリメートされたグローバル光ビームF03を得るように、第1の実施形態に対して異なる値を有し得る。本明細書で述べたように、デバイス3のいくつかの寸法特性は、照明される所与のゾーンで受ける総パワー、および/またはこのパワーがこのゾーンで分布する均質性を最適化するように、デジタルシミュレーションによって調整され得る。
【0100】
既に述べたものに加えて、今提示した実施形態に対して様々な代替を行うことができる。例として、デバイスは、本明細書で説明したような出力ミラー、および1つ以上の入力ミラーの両方を含み得る。さらに、光源は、本明細書で言及されたものではない、例えば可視範囲の他の波長範囲で放射し得る。
【符号の説明】
【0101】
7 ベース
8 カバー
9 収束ミラー
21、22、23 入力導波路
24、26、28 入力開口
25、27、29 出力開口
40 出力導波路
42 発散部
45 出力開口
46、47、48、49 金属反射面
F1、F2、F3 光ビーム
【外国語明細書】