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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024360
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】薬液供給装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20230209BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C5/00 101
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123743
(22)【出願日】2022-08-03
(31)【優先権主張番号】10-2021-0103985
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】598123150
【氏名又は名称】セメス株式会社
【氏名又は名称原語表記】SEMES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】77,4sandan 5-gil,Jiksan-eup,Seobuk-gu,Cheonan-si,Chungcheongnam-do,331-814 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ウ チャンミー
(72)【発明者】
【氏名】チェ キフン
(72)【発明者】
【氏名】チョン ヨンフン
(72)【発明者】
【氏名】キム ミュンジン
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AA02
4F041AA05
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA05
4F041BA13
4F041BA34
4F041BA59
4F042AA02
4F042AA06
4F042AB00
4F042BA07
4F042BA12
4F042CA01
4F042CB02
4F042CB20
4F042CC07
4F042CC30
(57)【要約】
【課題】少なくとも2つのインクジェットヘッドを有する循環構成を備える薬液供給装置を提供する。
【解決手段】薬液供給装置は、少なくとも2つのインクジェットヘッド(11;H1~H5)と、それぞれのインクジェットヘッドから基板上に提供される薬液を収容するリザーバ(13)と、それぞれのインクジェットヘッドに薬液を供給する薬液供給部材(15)と、それぞれのインクジェットヘッド内に残留する薬液を引出すとともに収集する薬液収集部材(17)と、を備える。薬液供給部材(15)から前記少なくとも2つのインクジェットヘッドのうちの1つを経て薬液収集部材(17)までの薬液の1つの経路の長さと、薬液供給部材(15)から前記少なくとも2つのインクジェットヘッドのうちの他の1つを経て薬液収集部材(17)までの薬液の他の1つの経路の長さとは、実質的に同一である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に配置される少なくとも2つのインクジェットヘッドと、
それぞれの前記インクジェットヘッドから基板上に提供される薬液を収容するリザーバと、
それぞれの前記インクジェットヘッドに前記薬液を供給する薬液供給部材と、
それぞれの前記インクジェットヘッド内に残留する薬液を引出すとともに収集する薬液収集部材と、を備えている薬液供給装置であって、
前記薬液供給部材から前記少なくとも2つのインクジェットヘッドのうちの1つを経て前記薬液収集部材までの前記薬液の1つの経路の長さと、前記薬液供給部材から前記少なくとも2つのインクジェットヘッドのうちの他の1つを経て前記薬液収集部材までの前記薬液の他の1つの経路の長さとは、同一であることを特徴とする、
薬液供給装置。
【請求項2】
前記薬液供給装置はさらに、前記リザーバから前記薬液供給部材に前記薬液をポンピングするとともに、前記少なくとも2つのインクジェットヘッドから前記薬液収集部材に前記残留する薬液をポンピングするためのポンプ部材を備えていることを特徴とする、
請求項1に記載の薬液供給装置。
【請求項3】
前記薬液供給装置はさらに、前記リザーバから前記少なくとも2つのインクジェットヘッドに前記薬液を提供するように、前記薬液供給部材に吸引力を与えるとともに、前記少なくとも2つのインクジェットヘッドから前記残留する薬液を前記リザーバに回収するように、前記薬液収集部材に前記吸引力を与えるための吸引部材を備えていることを特徴とする、
請求項1に記載の薬液供給装置。
【請求項4】
前記吸引部材は、前記薬液が前記リザーバから前記少なくとも2つのインクジェットヘッドに提供されるときには、前記薬液供給部材に前記吸引力を与えるとともに、前記薬液が前記少なくとも2つのインクジェットヘッドから前記基板上に提供されるときに、または、前記薬液が前記薬液供給部材と前記少なくとも2つのインクジェットヘッドとおよび前記薬液収集部材とを通じて循環するときには、前記薬液供給部材と前記薬液収集部材とのうちの少なくとも一方に前記吸引力を与えないことを特徴とする、
請求項3に記載の薬液供給装置。
【請求項5】
前記薬液供給部材は、前記薬液収集部材と同一の径を有することを特徴とする、
請求項1に記載の薬液供給装置。
【請求項6】
前記薬液供給装置はさらに、前記薬液が前記少なくとも2つのインクジェットヘッドのノズルから前記基板上に噴射される間に、前記少なくとも2つのインクジェットヘッドの前記ノズルの端部内に前記薬液のメニスカスを維持するように、前記リザーバに印加される負圧を調整するための調圧部材を備えていることを特徴とする、
請求項1に記載の薬液供給装置。
【請求項7】
並列に配置される少なくとも2つのインクジェットヘッドと、
それぞれの前記インクジェットヘッドから基板上に提供される薬液を収容するリザーバと、
それぞれの前記インクジェットヘッドに前記薬液を供給する薬液供給部材と、
それぞれの前記インクジェットヘッド内に残留する薬液を引出すとともに収集する薬液収集部材と、を備えている薬液供給装置であって、
前記薬液供給部材は、前記リザーバに連結される供給ラインと、前記少なくとも2つのインクジェットヘッドにそれぞれ連結される分岐した供給ラインと、を備えており、
前記薬液収集部材は、前記リザーバに連結される回収ラインと、前記少なくとも2つのインクジェットヘッドにそれぞれ連結される分岐した回収ラインと、を備えていることを特徴とする、
薬液供給装置。
【請求項8】
前記分岐した供給ラインのうちの1つから、前記少なくとも2つのインクジェットヘッドのうちの1つを経て前記分岐した回収ラインのうちの1つまでの前記薬液の第1の経路の長さと、
前記分岐した供給ラインのうちの他の1つから、前記少なくとも2つのインクジェットヘッドのうちの他の1つを経て前記分岐した回収ラインのうちの他の1つまでの前記薬液の第2の経路の長さとは、同一であることを特徴とする、
請求項7に記載の薬液供給装置。
【請求項9】
前記薬液供給装置はさらに、前記リザーバから前記薬液供給部材に前記薬液をポンピングするとともに、前記少なくとも2つのインクジェットヘッドから前記薬液収集部材に前記残留する薬液をポンピングするためのポンプ部材を備えていることを特徴とする、
請求項7に記載の薬液供給装置。
【請求項10】
前記薬液供給装置はさらに、前記薬液を前記リザーバから前記少なくとも2つのインクジェットヘッドに提供するように、前記薬液供給部材に吸引力を与えるとともに、前記少なくとも2つのインクジェットヘッドから前記残留する薬液を前記リザーバに回収するように、前記薬液収集部材に前記吸引力を与えるための吸引部材を備えていることを特徴とする、
請求項7に記載の薬液供給装置。
【請求項11】
前記吸引部材は、前記薬液供給部材に連結される第1の部分と、前記薬液収集部材に連結される第2の部分と、を備えており、
前記吸引部材の前記第1の部分は、前記薬液供給部材に前記吸引力を提供するための第1の連結ラインと、前記第1の連結ラインを開閉させるための第1のバルブと、を備えており、
前記吸引部材の前記第2の部分は、前記薬液収集部材に前記吸引力を提供するための第2の連結ラインと、前記第2の連結ラインを開閉させるための第2のバルブと、を備えていることを特徴とする、
請求項10に記載の薬液供給装置。
【請求項12】
前記吸引部材の前記第1の部分は、前記薬液が前記リザーバから前記少なくとも2つのインクジェットヘッドに提供されるときには、前記薬液供給部材に前記吸引力を与えるとともに、
前記吸引部材の前記第1および第2の部分は、前記薬液が前記少なくとも2つのインクジェットヘッドから前記基板上に提供されるときに、または、前記薬液が前記薬液供給部材と前記少なくとも2つのインクジェットヘッドとおよび前記薬液収集部材とを通じて循環するときには、前記薬液供給部材と前記薬液収集部材とのうちの少なくとも一方に前記吸引力を与えないことを特徴とする、
請求項11に記載の薬液供給装置。
【請求項13】
前記薬液供給部材は、前記薬液収集部材と同一の長さを有することを特徴とする、
請求項7に記載の薬液供給装置。
【請求項14】
前記薬液供給装置はさらに、前記薬液が前記少なくとも2つのインクジェットヘッドのノズルから前記基板上に噴射される間に、前記少なくとも2つのインクジェットヘッドの前記ノズルの端部内に前記薬液のメニスカスを維持するように、前記リザーバに印加される負圧を調整するための調圧部材を備えていることを特徴とする、
請求項7に記載の薬液供給装置。
【請求項15】
並列に配置される第1~第5のインクジェットヘッドと、
それぞれの前記第1~第5のインクジェットヘッドから基板上に提供される薬液を収容するリザーバと、
それぞれの前記第1~第5のインクジェットヘッドに前記薬液を供給する薬液供給部材と、
それぞれの前記第1~第5のインクジェットヘッド内に残留する薬液を引出すとともに収集する薬液収集部材と、を備えている薬液供給装置であって、
前記薬液供給部材は、前記リザーバに連結される1つの供給ラインと、前記第1~第5のインクジェットヘッドにそれぞれ連結される5つの分岐した供給ラインと、を備えており、
前記薬液収集部材は、前記リザーバに連結される1つの回収ラインと、前記第1~第5のインクジェットヘッドにそれぞれ連結される5つの分岐した回収ラインと、を備えていることを特徴とする、
薬液供給装置。
【請求項16】
前記5つの分岐した供給ラインのうちの1つから前記第1のインクジェットヘッドを経て前記5つの分岐した回収ラインのうちの1つまでの前記薬液の第1の経路の長さは、
前記5つの分岐した供給ラインのうちの1つから前記第2のインクジェットヘッドを経て前記5つの分岐した回収ラインのうちの1つまでの前記薬液の第2の経路の長さ、
前記5つの分岐した供給ラインのうちの1つから前記第3のインクジェットヘッドを経て前記5つの分岐した回収ラインのうちの1つまでの前記薬液の第3の経路の長さ、
前記5つの分岐した供給ラインのうちの1つから前記第4のインクジェットヘッドを経て前記5つの分岐した回収ラインのうちの1つまでの前記薬液の第4の経路の長さ、および、
前記5つの分岐した供給ラインのうちの1つから前記第5のインクジェットヘッドを経て前記5つの分岐した回収ラインのうちの1つまでの前記薬液の第5の経路の長さ、と同一であることを特徴とする、
請求項15に記載の薬液供給装置。
【請求項17】
前記薬液供給装置はさらに、前記リザーバから前記薬液供給部材に前記薬液をポンピングするとともに、前記第1~第5のインクジェットヘッドから前記薬液収集部材に前記残留する薬液をポンピングするためのポンプ部材を備えていることを特徴とする、
請求項15に記載の薬液供給装置。
【請求項18】
前記液供給装置はさらに、前記リザーバから前記第1~第5のインクジェットヘッドに前記薬液を提供するように、前記薬液供給部材に吸引力を与えるとともに、前記第1~第5のインクジェットヘッドから前記残留する薬液を前記リザーバに回収するように、前記薬液収集部材に前記吸引力を与えるための吸引部材を備えていることを特徴とする、
請求項16に記載の薬液供給装置。
【請求項19】
前記供給ラインの径は、前記5つの分岐した供給ラインの径、前記回収ラインの径、および前記5つの分岐した回収ラインの径、と同一であることを特徴とする、
請求項15に記載の薬液供給装置。
【請求項20】
前記薬液供給装置はさらに、前記薬液が前記第1~前記第5のインクジェットヘッドのノズルから前記基板上に噴射される間に、前記第1~前記第5のインクジェットヘッドの前記ノズルの端部内に前記薬液のメニスカスを維持するように、前記リザーバに印加される負圧を調整するための調圧部材を備えていることを特徴とする、
請求項15に記載の薬液供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液供給装置に関する。より詳しくは、実質的に並列に配列される少なくとも2つのインクジェットヘッドを備えている薬液供給装置に関する。この出願は、2021年8月6日に大韓民国特許庁に出願された大韓民国特許出願第10-2021-0103985号を優先権として伴う出願である。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置を製造する工程において、基板上に画素を形成するべく、薬液を前記基板上に提供する工程が行われる。前記薬液を提供する工程は、通常、前記基板上に前記薬液を噴射するインクジェットヘッドと、前記薬液を貯蔵するリザーバと、前記インクジェットヘッドに薬液を提供する薬液供給部材などと、を備えている薬液供給装置を用いて行われるか、または、前記インクジェットヘッドから前記薬液を収集する薬液収集部材を備えている薬液供給装置を用いて行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2021-0004164号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10-2021-0060724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の薬液供給装置は、2つ以上のインクジェットヘッドを備えており、これによって、前記薬液供給部材が2つ以上の供給ラインを備えており、前記薬液収集部材も、2つ以上の回収ラインを備えている。
【0005】
これによって、前記薬液供給装置の構成が複雑となり、前記ディスプレイ装置の製造コストが高くなるだけではなく、前記薬液供給装置の信頼性が低下するという問題が生じる。
【0006】
本発明は、少なくとも2つのインクジェットヘッドを備えている循環構成を備えている薬液供給装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によると、薬液供給装置が提供されており、前記薬液供給装置は、並列に配置される少なくとも2つのインクジェットヘッドと、それぞれの前記インクジェットヘッドから基板上に提供される薬液を収容するリザーバと、それぞれの前記インクジェットヘッドに前記薬液を供給する薬液供給部材と、それぞれの前記インクジェットヘッド内に残留する薬液を引出すとともに収集する薬液収集部材と、を備えている。この場合、前記薬液供給部材から前記少なくとも2つのインクジェットヘッドのうちの1つを経て前記薬液収集部材までの前記薬液の1つの経路の長さと、前記薬液供給部材から前記少なくとも2つのインクジェットヘッドのうちの他の1つを経て前記薬液収集部材までの前記薬液の他の1つの経路の長さとは、同一である。
【0008】
前記薬液供給装置はさらに、前記リザーバから前記薬液供給部材に前記薬液をポンピングするとともに、前記少なくとも2つのインクジェットヘッドから前記薬液収集部材に前記残留する薬液をポンピングするためのポンプ部材を備えている。
【0009】
前記薬液供給装置はさらに、前記リザーバから前記少なくとも2つのインクジェットヘッドに前記薬液を提供するように、前記薬液供給部材に吸引力を与えるとともに、前記少なくとも2つのインクジェットヘッドから前記残留する薬液を前記リザーバで回収するように、前記薬液収集部材に前記吸引力を与えるための吸引部材を備えている。
【0010】
前記吸引部材は、前記薬液が前記リザーバから前記少なくとも2つのインクジェットヘッドに提供されるときには、前記薬液供給部材に前記吸引力を与えるとともに、前記薬液が前記少なくとも2つのインクジェットヘッドから前記基板上に提供されるときに、または、前記薬液が前記薬液供給部材と前記少なくとも2つのインクジェットヘッドとおよび前記薬液収集部材とを通じて循環するときには、前記薬液供給部材および/または前記薬液収集部材に前記吸引力を与えない。
【0011】
前記薬液供給部材は、前記薬液収集部材と同一の径を有する。
【0012】
前記薬液供給装置はさらに、前記薬液が前記少なくとも2つのインクジェットヘッドのノズルから前記基板上に噴射される間に、前記少なくとも2つのインクジェットヘッドの前記ノズルの端部内に前記薬液のメニスカスを維持するように、前記リザーバに印加される負圧を調整するための調圧部材を備えている。
【0013】
本発明の他の側面によると、薬液供給装置が提供されており、前記薬液供給装置は、並列に配置される少なくとも2つのインクジェットヘッドと、それぞれの前記インクジェットヘッドから基板上に提供される薬液を収容するリザーバと、それぞれの前記インクジェットヘッドに前記薬液を供給する薬液供給部材と、それぞれの前記インクジェットヘッド内に残留する薬液を引出すとともに収集する薬液収集部材(回収する薬液回収部材)と、を備えている。この場合、前記薬液供給部材は、前記リザーバに連結される供給ラインと、前記少なくとも2つのインクジェットヘッドにそれぞれ連結される分岐(分離)した供給ラインと、を備えている。また、前記薬液収集部材(薬液回収部材)は、前記リザーバに連結される回収ライン(収集ライン)と、前記少なくとも2つのインクジェットヘッドにそれぞれ連結される分岐した回収ライン(分岐した収集ライン)と、を備えている。
【0014】
前記分岐した供給ラインのうちの1つから前記少なくとも2つのインクジェットヘッドのうちの1つを経て前記分岐した回収ラインのうちの1つまでの前記薬液の第1の経路の長さと、前記分岐した供給ラインのうちの他の1つから前記少なくとも2つのインクジェットヘッドのうちの他の1つを経て前記分岐した回収ラインのうちの他の1つまでの前記薬液の第2の経路の長さとは、実質的に同一である。
【0015】
前記薬液供給装置はさらに、前記リザーバから前記薬液供給部材に前記薬液をポンピングするとともに、前記少なくとも2つのインクジェットヘッドから前記薬液収集部材に前記残留する薬液をポンピングするためのポンプ部材を備えている。
【0016】
前記薬液供給装置はさらに、前記リザーバから前記少なくとも2つのインクジェットヘッドに前記薬液を提供するように、前記薬液供給部材に吸引力を与えるとともに、前記少なくとも2つのインクジェットヘッドから前記残留する薬液を、前記リザーバで回収するように、前記薬液収集部材に前記吸引力を与えるための吸引部材を備えている。
【0017】
前記吸引部材は、前記薬液供給部材に連結される第1の部分と、前記薬液収集部材に連結される第2の部分と、を備えており、前記吸引部材の第1の部分は、前記薬液供給部材に前記吸引力を提供するための第1の連結ラインと、前記第1の連結ラインを開閉させるための第1のバルブと、を備えており、前記吸引部材の第2の部分は、前記薬液収集部材に前記吸引力を提供するための第2の連結ラインと、前記第2の連結ラインを開閉させるための第2のバルブと、を備えている。
【0018】
前記吸引部材の前記第1の部分は、前記薬液が前記リザーバから前記少なくとも2つのインクジェットヘッドに提供されるときには、前記薬液供給部材に前記吸引力を与えるとともに、前記吸引部材の前記第1および第2の部分は、前記薬液が前記少なくとも2つのインクジェットヘッドから前記基板上に提供されるときに、または、前記薬液が前記薬液供給部材と前記少なくとも2つのインクジェットヘッドとおよび前記薬液収集部材とを通じて循環するときには、前記薬液供給部材および/または前記薬液収集部材に前記吸引力を与えない。
【0019】
前記薬液供給部材は、前記薬液収集部材に実質的に同一の長さを有する。
【0020】
前記薬液供給装置はさらに、前記薬液が前記少なくとも2つのインクジェットヘッドのノズルから前記基板上に噴射される間に、前記少なくとも2つのインクジェットヘッドの前記ノズルの端部内に、前記薬液のメニスカスを維持するように、前記リザーバに印加される負圧を調整するための調圧部材を備えている。
【0021】
本発明の他の側面によると、薬液供給装置が提供され、前記薬液供給装置は、並列に配置される第1~第5のインクジェットヘッドと、それぞれの前記第1~第5のインクジェットヘッドから基板上に提供される薬液を収容するリザーバと、それぞれの前記第1~第5のインクジェットヘッドに前記薬液を供給する薬液供給部材と、それぞれの前記第1~第5のインクジェットヘッド内に残留する薬液を引出すとともに収集する薬液収集部材(回収する薬液回収部材)と、を備えている。この場合、前記薬液供給部材は、前記リザーバに連結される1つの供給ラインと、前記第1~第5のインクジェットヘッドにそれぞれ連結される5つの分岐した供給ラインと、を備えている。また、前記薬液収集部材(薬液回収部材)は、前記リザーバに連結される1つの回収ラインと、前記第1~第5のインクジェットヘッドにそれぞれ連結される5つの分岐した回収ラインと、を備えている。
【0022】
前記5つの分岐した供給ラインのうちの1つから、前記第1のインクジェットヘッドを経て前記5つの分岐した回収ラインのうちの1つまでの前記薬液の第1の経路の長さは、前記5つの分岐した供給ラインのうちの1つから、前記第2のインクジェットヘッドを経て前記5つの分岐した回収ラインのうちの1つまでの前記薬液の第2の経路の長さ、前記5つの分岐した供給ラインのうちの1つから、前記第3のインクジェットヘッドを経て前記5つの分岐した回収ラインのうちの1つまでの前記薬液の第3の経路の長さ、前記5つの分岐した供給ラインのうちの1つから、前記第4のインクジェットヘッドを経て前記5つの分岐した回収ラインのうちの1つまでの前記薬液の第4の経路の長さ、および、前記5つの分岐した供給ラインのうちの1つから前記第5のインクジェットヘッドを経て前記5つの分岐した回収ラインのうちの1つまでの前記薬液の第5の経路の長さ、に実質的に同一である。
【0023】
前記薬液供給装置はさらに、前記リザーバから前記薬液供給部材に前記薬液をポンピングするとともに、前記第1~第5のインクジェットヘッドから前記薬液収集部材に前記残留する薬液をポンピングするためのポンプ部材を備えている。
【0024】
前記薬液供給装置はさらに、前記リザーバから前記第1~第5のインクジェットヘッドに前記薬液を提供するように、前記薬液供給部材に吸引力を与えるとともに、前記第1~第5のインクジェットヘッドから前記残留する薬液を前記リザーバに回収するように、前記薬液収集部材に前記吸引力を与えるための吸引部材を備えている。
【0025】
前記供給ラインの径は、前記5つの分岐した供給ラインの径、前記回収ラインの径、および前記5つの分岐した回収ラインの径と同一である。
【0026】
前記薬液供給装置はさらに、前記薬液が前記第1~前記第5のインクジェットヘッドのノズルから前記基板上に噴射される間に、前記第1~前記第5のインクジェットヘッドの前記ノズルの端部内に、前記薬液のメニスカスを維持するように、前記リザーバに印加される負圧を調整するための調圧部材を備えている。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、前記薬液供給部材から前記薬液収集部材までの前記薬液の経路の長さが実質的に同一であるので、前記薬液供給装置を用いて、所望する画素が前記基板上に均一に形成されるとともに、前記薬液供給装置の信頼性を向上することができる。
【0028】
しかし、本発明の効果が前記事項に限定されるものではなく、本発明の思想および領域から逸脱しない範囲で、様々に拡張可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本発明の一実施例による薬液供給装置を説明するための概略的な斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施例による薬液供給装置を説明するための概略的なブロック図である。
図3図3は、本発明の他の実施例による薬液供給装置を説明するための概略的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施例を説明する。本発明は、様々な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるところ、実施例を、本文で詳細に説明しようとする。しかし、これは、本発明を特定の開示形態に限定しようとすることではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物~代替物を備えていることと理解されるべきである。各図面を説明することに当たり、類似した図面符号を、類似した構成要素に対して使用する。第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明することに使用され得るが、前記構成要素を前記用語によって限定してはいけない。前記用語は、1つの構成要素を、他の構成要素から区別する目的としてのみ使用される。本出願で使用された用語は、単に、特定の実施例を説明するべく使われており、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なることを意味しない限り、複数の表現を備えている。本出願において、「含む」、「有する」、または「備えている」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとすることであり、1つまたはその以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないことと理解されるべきである。
【0031】
異なって定義しない限り、技術的または科学的な用語を含めて、ここで使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって、一般的に理解されるものと同一の意味を持っている。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有することと解析されるべきであり、本出願において明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味として解析されない。
【0032】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施例をより詳細に説明する図面において、同一の構成要素には同一の図面符号を付するとともに、同一の構成要素について繰り返される説明は省略する。
【0033】
図1は、本発明の一実施例による薬液供給装置を説明するための概略的な斜視図である。図2は、本発明の一実施例による薬液供給装置を説明するための概略的なブロック図である。
【0034】
図1に示しているように、一実施例による薬液供給装置100は、有機発光表示装置(OLED、QLED)などのようなディスプレイ装置を製造するための工程で採用される。例えば、前記薬液供給装置100は、基板上に、赤画素、緑画素、青画素などのような所定の画素を形成するべく利用される。一実施例において、前記薬液供給装置100は、少なくとも2つのインクジェットヘッド11と、リザーバ(reservoir、リザーバー)13と、薬液供給部材15と、薬液収集部材17と、ポンプ部材19と、吸引部材21と、調圧部材23と、を備えている。
【0035】
それぞれの前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11は、前記薬液を前記基板上に噴射する複数のノズルを備えている。例えば、それぞれの前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11は、約128個のノズル、または約256個のノズルを備えている。ここで、前記複数のノズルは、所定の間隔で配列される。また、それぞれの前記複数のノズルは、前記基板上にマイクログラム単位で前記薬液を供給することができる。
【0036】
一実施例において、それぞれの前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11はさらに、複数の圧電素子を備えており、前記圧電素子の数は、前記ノズルの数に実質的に同一である。前記複数の圧電素子はそれぞれ、前記複数のノズルに隣接するとともに、前記圧電素子の動作によって、前記ノズルから前記基板上に前記薬液が噴射される。この場合、前記圧電素子に印加される電圧を制御することで、前記ノズルからそれぞれ前記基板上に提供される前記薬液の量が調節される。
【0037】
前記薬液供給装置100において、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11は、実質的に並列に配置される。図1に示しているように、前記薬液供給装置100は、実質的に並んで配置される5つのインクジェットヘッド11を備えており、5つのインクジェットヘッド11は、実質的に一定の間隔で離隔される。
【0038】
前記薬液供給装置100のリザーバ13は、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11を介して前記基板上に供給される前記薬液を、収容する。一実施例において、外部キャニスタ(canister)のような薬液貯蔵タンク(図示せず)から、前記薬液が前記リザーバ13に供給されるとともに、前記リザーバ13は、前記薬液供給装置100を用いて行われる所定の工程のために、前記薬液を貯蔵することができる。また、前記リザーバ13は、前記薬液収集部材17を用いて、それぞれの前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11から回収され収集される薬液を収容することができる。
【0039】
前記薬液供給部材15は、前記薬液を、前記リザーバ13から、それぞれの前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11に供給する。前記薬液収集部材17は、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11から、前記リザーバ13に前記薬液を回収し収集する。前記薬液供給部材15および前記薬液収集部材17については、後述する。
【0040】
一実施例において、前記薬液供給装置100は、前記薬液供給部材15および前記薬液収集部材17を備えているので、前記薬液が、前記薬液供給部材15からそれぞれの前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11(例えば、それぞれの前記5つのインクジェットヘッド11)を経て、前記薬液収集部材17で循環される循環構成を有する。前記薬液収集部材17は、それぞれの前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11内に残留する薬液を回収するとともに、回収された薬液を収集し、収集された薬液を、前記リザーバ13に送る。前記薬液供給装置100を用いて、前記所定の工程が前記基板に対して行われる間、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11から前記薬液の一部が前記基板上に噴射されず、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11内に残留する。ここで、前記薬液収集部材17は、前記インクジェットヘッド11内に残留する薬液を引出し収集するとともに、前記リザーバ13は、前記収集された薬液を収容する。
【0041】
以下、前記リザーバ13と、前記薬液供給部材15と、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11と、および前記薬液収集部材17と、を備えている前記薬液供給装置100の循環構成について、詳述する。
【0042】
図1および図2に示しているように、前記薬液供給部材15は、前記リザーバ13に流体連通する第1の部分と、それぞれの前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11に流体連通する第2の部分と、を備えている。前記薬液供給部材15の第2の部分は、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11にそれぞれ対応する少なくとも2つの分岐(分離)した供給ラインを有する。他の実施例において、前記薬液供給装置100が5つのインクジェットヘッド11を備えていると、前記薬液供給部材15の第2の部分は、5つの分岐した供給ラインを有する。前記薬液供給部材15の第2の部分は、前記5つのインクジェットヘッド11に対して、実質的に平行に延在するとともに、前記第2の部分の5つの分岐した供給ラインは、前記5つのインクジェットヘッド11にそれぞれ連結される。
【0043】
図2に示しているように、前記薬液供給装置100が5つのインクジェットヘッド(H1,H2,H3,H4,H5)を備えている場合、前記薬液供給部材15は、前記インクジェットヘッド(H1,H2,H3,H4,H5)に対して平行に延在する供給ライン151と、前記5つのインクジェットヘッド(H1,H2,H3,H4,H5)にそれぞれ連結される5つの分岐した供給ライン153と、を備えている。この場合、前記5つの分岐した供給ライン153は、前記供給ライン151と前記5つのインクジェットヘッド(H1,H2,H3,H4,H5)との間で実質的に同一の長さを有する。これによって、前記薬液が前記薬液供給部材15を介して、前記リザーバ13から前記5つのインクジェットヘッド(H1,H2,H3,H4,H5)に均一に供給されることができる。
【0044】
前記薬液収集部材17は、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11内に残留する薬液を回収するとともに、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11から回収された薬液を収集する。前記薬液収集部材17は、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11に流体連通する第1の部分と、前記ポンプ部材19を通じて前記リザーバ13に連結される第2の部分と、を備えている。前記薬液収集部材(薬液回収部材)17の第1の部分は、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11にそれぞれ対応する少なくとも2つの分岐した回収ライン(分岐した収集ライン)を有する。
【0045】
一実施例において、図2に示しているように、前記薬液収集部材17の第1の部分は、前記インクジェットヘッド(H1,H2,H3,H4,H5)に対して平行に延在する回収ライン(収集ライン)171と、前記5つのインクジェットヘッド(H1,H2,H3,H4,H5)にそれぞれ連結される5つの分岐した回収ライン(分岐した収集ライン)173と、を備えている。ここで、前記5つの分岐した回収ライン173は、前記回収ライン171と前記インクジェットヘッド(H1,H2,H3,H4,H5)との間で実質的に同一の長さを有する。そこで、前記インクジェットヘッド(H1,H2,H3,H4,H5)内に残留する薬液が、前記薬液収集部材17を通じて同時に回収および収集されるとともに、前記収集された薬液は、前記リザーバ13に貯蔵される。
【0046】
前述したように、前記薬液供給装置100は、前記リザーバ13と、前記供給ライン151および前記分岐した供給ライン153を有する前記薬液供給部材15と、前記インクジェットヘッド(H1,H2,H3,H4,H5)と、前記回収ライン171および前記分岐した回収ライン173を有する前記薬液収集部材17と、を備えている前記循環構成を備えている。
【0047】
前記薬液供給装置100の循環構成は、少なくとも2つの経路を備えている。例えば、前記循環構成は、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11のうちの1つを通過する第1の経路と、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11のうちの他の1つを通過する第2の経路と、を備えている。他の実施例において、前記循環構成は、5つの経路を備えている。より具体的には、図2に示しているように、前記循環構成は、前記分岐した供給ライン153のうちの1つから、第1のインクジェットヘッド(H1)の一側(I:1)および他側(VI:6)を通じて、前記分岐した回収ライン173のうちの1つまでの第1の経路と、前記分岐した供給ライン153のうちの1つから、第2のインクジェットヘッド(H2)の一側(II:2)および他側(VII:7)を通じて、前記分岐した回収ライン173のうちの1つまでの第2の経路と、前記分岐した供給ライン153のうちの1つから、第3のインクジェットヘッド(H3)の一側(III:3)および他側(VIII:8)を通じて、前記分岐した回収ライン173のうちの1つまでの第3の経路と、前記分岐した供給ライン153のうちの1つから、第4のインクジェットヘッド(H4)の一側(IV:4)および他側(IX:9)を通じて、前記分岐した回収ライン173のうちの1つまでの第4の経路と、また、前記分岐した供給ライン153のうちの1つから、第5のインクジェットヘッド(H5)の一側(V:5)および他側(X:10)を通じて、前記分岐した回収ライン173のうちの1つまでの第5の経路と、を備えている。この場合、前記第1~第5の経路は、実質的に同一の長さを有する。これによって、前記薬液が前記第1~第5のインクジェットヘッド(H1,H2,H3,H4,H5)に均一に提供されることができるだけではなく、前記残留する薬液が前記第1~第5のインクジェットヘッド(H1,H2,H3,H4,H5)から同時に引き出されることができる。
【0048】
前述した循環構成において、前記薬液が前記薬液供給部材15から前記インクジェットヘッド(H1,H2,H3,H4,H5)に提供される供給経路の長さは、前記薬液が前記インクジェットヘッド(H1,H2,H3,H4,H5)から引き出される回収経路の長さに実質的に同一である。すなわち、前記供給ライン151および分岐した供給ライン153を備えている前記供給経路の長さは、前記回収ライン171および分岐した回収ライン173を備えている前記薬液が、前記インクジェットヘッド(H1,H2,H3,H4,H5)から引き出される回収経路の長さに実質的に同一である。
【0049】
図3は、本発明の他の実施例による薬液供給装置を説明するための概略的なブロック図である。
【0050】
図3に示しているように、他の実施例による薬液供給装置は、薬液供給部材35と、薬液収集部材37と、を備えている。ここで、前記薬液供給部材35は、1つの供給ラインと、5つのインクジェットヘッド(H1,H2,H3,H4,H5)に対応するそれぞれ5つの分岐した供給ラインと、を備えている。前記薬液収集部材37は、1つの回収ラインと、前記5つのインクジェットヘッド(H1,H2,H3,H4,H5)に対応する5つの分岐した回収ラインと、を備えている。
【0051】
図3に示しているように、前記薬液供給装置は、前記薬液供給部材35から前記薬液収集部材37までの5つの経路を備えている循環構成を有する。しかし、このような循環構成の5つの経路は、互いに異なる。より具体的には、前記供給ラインから前記分岐した供給ラインのうちの1つである第6のインクジェットヘッド(H6)と、前記分岐した回収ラインのうちの1つとを通じて、前記回収ラインまでの第6の経路は、前記供給ラインから前記分岐した供給ラインのうちの1つである第7のインクジェットヘッド(H7)と、前記分岐した回収ラインのうちの1つとを通じて、前記回収ラインまでの第7の経路の長さとは、異なる。同様に、第8のインクジェットヘッド(H8)を通過する第8の経路の長さは、前記第7の経路の長さと、前記第6の経路の長さとは、異なる。また、第9のインクジェットヘッド(H9)を通過する第9の経路の長さは、前記第8の経路の長さと、前記第7の経路の長さと、および前記第6の経路の長さとは、異なる。さらに、第10のインクジェットヘッド(H10)を通過する第10の経路の長さは、前記第9の経路の長さと、前記第8の経路の長さと、前記第7の経路の長さと、および前記第6の経路の長さとは、異なる。換言すると、前記他の実施例による薬液供給装置の循環構成において、前記第6の経路から前記第10の経路まで、長さが増加する。これによって、前記インクジェットヘッド(H6,H7,H8,H9,H10)に前記薬液が均一に提供されないだけではなく、前記インクジェットヘッド(H6,H7,H8,H9,H10)内に残留する薬液が同時に引き出されない。その結果、前記薬液供給装置を用いて、基板上に画素が均一に形成されないので、前記薬液供給装置の信頼性が低下することになる。これに対して、一実施例による薬液供給装置100は、前記薬液供給部材15から前記薬液収集部材17まで、前記第1~第5の経路が実質的に同一であるので、前記所望する画素が前記基板上に均一に形成されるとともに、前記薬液供給装置100の信頼性が向上することができる。
【0052】
図1および図2を再度参照すると、前記薬液供給部材15は、前記薬液収集部材17に実質的に同一の径を有する。すなわち、それぞれの前記供給ライン151と、前記分岐した供給ライン153と、前記回収ライン171と、および前記分岐した回収ライン173とは、実質的に同一の径を有する。これによって、前記薬液が前記供給ライン151および前記分岐した供給ライン153を介して、実質的に同一の量で前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11に提供される。また、前記回収ライン171および前記分岐した回収ライン173を介して、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11に同時に前記残留する薬液が引き出される。その結果、前記所望する画素が前記基板上によって均一に形成されるので、前記薬液供給装置100の信頼性がさらに向上することができる。
【0053】
図1に示しているように、前記ポンプ部材19は、前記残留する薬液を前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11から前記リザーバ13にポンピングする。また、前記ポンプ部材19は、前記薬液が前記リザーバ13から、前記薬液供給部材15と、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11と、および前記薬液収集部材17と、を通すように、前記薬液をポンプすることができる。換言すると、前記ポンプ部材19は前記薬液が、前記循環構成を備えている前記薬液供給装置100内で循環するようにすることができる。例えば、前記ポンプ部材19は、電気モータや、3相モータのようなモータを備えている。
【0054】
一実施例において、前記ポンプ部材19は、これに限定されるものではないが、前記薬液収集部材17と前記リザーバ13との間に配置される。前記ポンプ部材19を用いて、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11内に残留する薬液が、容易且つ迅速に回収されるとともに前記リザーバ13内に収集される。前記薬液が前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11内に残留する場合、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11内に前記残留する薬液によって引き起こされる沈殿物が形成されることで、前記2つのインクジェットヘッド11のノズルが前記沈殿物によって詰まることがある。前記ポンプ部材19は、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11内に前記沈殿物が形成されることを防止することができるので、これによって、前記薬液供給装置100を用いて行われる工程の不良を最小化することができる。
【0055】
一実施例において、前記吸引部材21は、前記薬液供給部材15および/または前記薬液収集部材17に吸引力を提供する。すなわち、前記吸引部材21は、前記薬液が前記リザーバ13から前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11に流れるように、前記薬液供給部材15に前記吸引力を与える。また、前記吸引部材21は、前記残留する薬液が前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11から前記リザーバ13に流れるように、前記薬液収集部材17に前記吸引力を与える。特に、前記吸引部材21は、メンテナンスのために前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11を点検するときに、前記薬液収集部材17に有利に前記吸引力を提供することができる。また、前記吸引部材21は、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11のメンテナンス後に、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11に再度薬液を供給するときに、前記薬液供給部材15に有利に前記吸引力を与えることができる。
【0056】
他の実施例において、前記吸引部材21は、前記薬液供給部材15に連結される第1の部分と、前記薬液収集部材17に連結される第2の部分と、を備えている。前記吸引部材21の第1の部分は、第1の連結ラインおよび第1のバルブを備えている。ここで、前記第1の連結ラインは、前記薬液供給部材15に前記吸引力を提供するとともに、前記第1のバルブは、前記第1の連結ラインを開閉する。同様に、前記吸引部材21の第2の部分は、第2の連結ラインおよび第2のバルブを備えている。前記第2の連結ラインは、前記薬液収集部材17に前記吸引力を提供するとともに、前記第2のバルブは、前記第2の連結ラインを開閉する。例えば、図2に示しているように、前記吸引部材21の第1の連結ラインは、前記第5のインクジェットヘッド(H5)に隣接する前記薬液供給部材15の供給ライン151に連結される。また、前記吸引部材21の第2の連結ラインは、前記第1のインクジェットヘッド(H1)に隣接する前記薬液収集部材17の回収ライン171に連結される。この場合、前記第1のバルブおよび前記第2のバルブは、前記メンテナンス後に、前記第1~第5のインクジェットヘッド(H1,H2,H3,H4,H5)内に前記薬液が再度供給されるときに、前記第1の連結ラインおよび前記第2の連結ラインをそれぞれ開く。前記第1のバルブおよび前記第2のバルブは、前記薬液が前記第1~第5のインクジェットヘッド(H1,H2,H3,H4,H5)から前記基板上に噴射されるときに、または前記薬液供給部材15および前記薬液収集部材17を備えている前記循環構成内で前記薬液が循環されるときには、前記第1の連結ラインおよび前記第2の連結ラインをそれぞれ閉じる。
【0057】
前述したように、前記薬液供給装置100は前記吸引部材21を備えているので、前記薬液供給部材15に前記吸引力を与えることで、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11に前記薬液が早く供給されることができるとともに、前記薬液収集部材17に前記吸引力を提供することで、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11から迅速に前記残留する薬液が引き出される。実際に、図3における前記第6~第10のインクジェットヘッド(H6,H7,H8,H9,H10)に前記薬液が提供される時間に比較して、図2における前記第1~第5のインクジェットヘッド(H1,H2,H3,H4,H5)に前記薬液が提供される時間は、約6%減少している。すなわち、前記第1~第5のインクジェットヘッド(H1,H2,H3,H4,H5)のための時間は、前記第6~第10のインクジェットヘッド(H6,H7,H8,H9,H10)のための時間の約94%であった。
【0058】
図1を再度参照すると、前記調圧部材23は、前記薬液供給装置100を用いて前記基板に対して前記工程が行われる間に、前記リザーバ13に印加される負圧を調節(調整)する。例えば、前記調圧部材23は、前記リザーバ13に吸入力を提供することで前記リザーバ13の内部圧力を減少させる真空ポンプを備えている。前記調圧部材23は、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11から前記基板上に前記薬液が噴射されるときに、前記ノズルの端部に前記薬液のメニスカス(meniscus)を維持する。換言すると、前記調圧部材23は、前記リザーバ13内に収容される前記薬液に加えられる前記負圧を調節することができるので、前記ノズルの端部において前記薬液のメニスカスが維持される。これによって、前記少なくとも2つのインクジェットヘッド11のノズルから、前記薬液が意図せずに前記基板上に噴射されることを防止することができる。
【0059】
<インクジェットヘッド内の薬液の流量に対する実験例>
図2に示しているような1つのユニットからなる5つのインクジェットヘッドと、約4mmの径を有する薬液供給部材と、および約4mmの径を有する薬液収集部材と、を備えている薬液供給装置内に、約-3,500paの負圧を維持するとともに、且つ、前記薬液供給装置内で、1分間当り約6.3ccの薬液が循環された。
【0060】
前記第1のインクジェットヘッド(H1)の一端において、前記薬液の流量は1分間当り約1.525ccであり、前記第2のインクジェットヘッド(H2)の一端において、前記薬液の流量は1分間当り約1.126ccであり、前記第3のインクジェットヘッド(H3)の一端において、前記薬液の流量は1分間当り約1.002ccであった。また、前記第4のインクジェットヘッド(H4)の一端において、前記薬液の流量は1分間当り約1.124ccであり、前記第5のインクジェットヘッド(H5)の一端において、前記薬液の流量は1分間当り約1.521ccであった。
【0061】
また、図2に示しているような1つのユニットからなる5つのインクジェットヘッドと、約6mmの径を有する薬液供給部材と、および約6mmの径を有する薬液収集部材と、を備えている薬液供給装置内に、約-3,500paの負圧を維持するとともに、且つ、前記薬液供給装置内で、1分間当り約6.7ccの薬液が循環された。
【0062】
前記第1のインクジェットヘッド(H1)の一端において、前記薬液の流量は1分間当り約1.390ccであり、前記第2のインクジェットヘッド(H2)の一端において、前記薬液の流量は1分間当り約1.302ccであり、前記第3のインクジェットヘッド(H3)の一端において、前記薬液の流量は1分間当り約1.277ccであった。また、前記第4のインクジェットヘッド(H4)の一端において、前記薬液の流量は1分間当り約1.307ccであり、前記第5のインクジェットヘッド(H5)の一端において、前記薬液の流量は1分間当り約1.391ccであった。
【0063】
前述したように、前記薬液供給装置のインクジェットヘッドに供給される前記薬液の流量が、非常に類似していることが分かる。すなわち、前記インクジェットヘッド内に流れる前記薬液の流量の差が非常に小さかったので、前記インクジェットヘッドに提供される前記薬液の量が実質的に同一であることが分かる。これによって、前記インクジェットヘッドに前記薬液が均一に供給されることが確認できる。
【0064】
以上、本発明の実施例を説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を様々に修正および変更できることを理解するだろう。
図1
図2
図3