(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002439
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】キュービクル管理システム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20221227BHJP
H02H 3/16 20060101ALI20221227BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
G05B23/02 302N
H02H3/16 B
H02J13/00 301A
H02J13/00 301J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198787
(22)【出願日】2021-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2021103495
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000222037
【氏名又は名称】東北電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 淳
(72)【発明者】
【氏名】前田 泰貴
(72)【発明者】
【氏名】大沼 奈央門
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 淳
(72)【発明者】
【氏名】中島 仁
【テーマコード(参考)】
3C223
5G004
5G064
【Fターム(参考)】
3C223AA23
3C223AA30
3C223BA03
3C223BB13
3C223EA04
3C223EB03
3C223FF35
3C223FF48
3C223GG01
3C223HH29
5G004AA01
5G004AB02
5G004BA01
5G004CA02
5G064AC09
5G064BA01
5G064DA05
(57)【要約】
【課題】 異常を検知したらデータの取得周期を短くする。
【解決手段】 管理サーバ3と、状態情報の一部であるキュービクル10の所定部位の電圧計測値、電流計測値を含む物理データを計測して管理サーバ3に送信するキュービクル内管理装置2とを有し、キュービクル内管理装置2は、物理データを計測して収集すると共に物理データの正常/異常を判断する第1計測装置21a、第2計測装置21bと、接点情報入力装置21cと、物理データを収集する周期を管理すると共に、収集した物理データを管理サーバ3に送信する送信制御装置22とを有している。送信制御装置22は、計測した全ての物理データが正常な範囲であれば、所定の第1の周期で管理サーバ3に送信するが、異常と判断した計測データがあったら、少なくとも異常値を示した物理データの計測を短くして管理サーバ3へ送信する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウド上に配置されて、高圧受電設備を収容したキュービクルの状態情報を蓄積する管理サーバと、
前記状態情報を入手して前記管理サーバに送信するキュービクル内管理装置とを有し、
前記キュービクル内管理装置は、前記状態情報の一部であるキュービクルの所定部位の電圧計測値、電流計測値を含む物理データを計測して収集するデータ収集手段と、
前記データ収集手段が収集する物理データの収集周期を管理すると共に、収集した物理データを前記管理サーバに送信する送信制御手段と、
前記物理データの正常/異常を判断する判断部とを有し、
前記送信制御手段は、計測した全ての物理データが正常な範囲であれば、所定の第1の周期で前記管理サーバに送信するが、前記判断部が異常値と判断した物理データがあったら、異常値を示した物理データのみ、或いは収集している全物理データを、前記第1の周期より短い第2の周期で計測して前記管理サーバへ送信することを特徴とするキュービクル管理システム。
【請求項2】
前記送信制御手段は、異常値を示した物理データが正常値に戻ったら、或いは異常値を示してから所定の期間が経過したら、前記管理サーバへ送信する周期を前記第1の周期に戻すことを特徴とする請求項1記載のキュービクル管理システム。
【請求項3】
前記データ収集手段が収集する物理データは、特定部位の漏洩電流情報を含む一方、
前記管理サーバは、気象情報を取得する気象情報取得部を有しており、前記判断部が前記漏洩電流が異常値であると判断したら、異常値を出したキュービクルが設置されているエリアの気象情報を入手して、漏洩電流データに紐付けして保存することを特徴とする請求項1又は2記載のキュービクル管理システム。
【請求項4】
前記キュービクル内管理装置は、所定の接点信号を受信する接点情報収集手段を有して、前記送信制御手段は前記接点信号を前記管理サーバに送信することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のキュービクル管理システム。
【請求項5】
前記送信制御手段は、前記接点情報収集手段が受信した前記接点信号が、漏電発生を示す警報信号、或いは絶縁異常を示す警報信号であったら、少なくとも特定の機器の前記物理データの計測周期を前記第2の周期で計測して、前記管理サーバへ送信し、
前記管理サーバは、異常を示す前記警報信号を受けて原因がどこにあるのか早期にデータ分析する機能を具備して成ることを特徴とする請求項4記載のキュービクル管理システム。
【請求項6】
前記データ収集手段は力率演算部を有して、前記物理データの1つとして高圧側の力率及び複数の低圧側の力率を算出し、
前記送信制御手段は、前記判断部が前記高圧側の力率が異常値であると判断したら、高圧側の力率に加えて、複数の低圧側の力率の算出及び前記管理サーバへの送信周期を前記第2の周期にすることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のキュービクル管理システム。
【請求項7】
前記管理サーバにアクセスして、蓄積された前記キュービクルの情報を閲覧するための管理端末を有し、
前記管理端末は、前記管理サーバを介して前記キュービクル内管理装置と通信を実施でき、前記管理端末の操作で前記キュービクル内管理装置から管理サーバへの物理データ送信周期を変更できることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のキュービクル管理システム。
【請求項8】
前記管理サーバは、異常値を示す物理データが送信されたら、当該物理データ及び計測部位の情報を前記管理端末に通知することを特徴とする請求項7記載のキュービクル管理システム。
【請求項9】
前記キュービクル内管理装置は、異常値を判断するための閾値記憶部を有して、計測部位毎及び物理データ毎に閾値が記憶されており、
前記判断部は、前記閾値を基準に前記物理データの正常/異常を判断する一方、
前記管理端末から、前記データ収集手段の物理データが正常値でありながら前記閾値に近づいたら、それを認識できる予兆閾値の設定が可能であって、前記管理サーバが設定された前記予兆閾値を記憶し、
前記管理サーバは、前記キュービクル内管理装置から送信された前記物理データが前記予兆閾値を超えたら、その情報を前記管理端末に送信することを特徴とする請求項7又は8記載のキュービクル管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧受電設備を収容したキュービクルの管理を効率良く実施するためのキュービクル管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、高圧受電設備を収容したキュービクルのデータをネットワーク上のサーバに蓄積して、関係者が必要に応じて入手可能として、キュービクルのスムーズな管理を可能としたシステムがある。
例えば、特許文献1では、キュービクルの保守点検データをクラウドに蓄積して、必要に応じて閲覧できるよう構成され、担当者が代わっても継続的な保守に役立てることができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、クラウド上に配置されたサーバにキュービクルの計測データを送信して蓄積させる場合、送信する情報量を多くすると通信費用、サーバでのデータ保管容量が大きくなるため、データ送信周期を長くする等の情報量を削減する工夫が成された。
そのため、監視しているデータが許容範囲を逸脱した状態が発生した場合、データ取得周期が長く設定されていることで、原因の究明がし難い問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、異常を検知したらデータの取得周期を短くするキュービクル管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明に係るキュービクル管理システムは、クラウド上に配置されて、高圧受電設備を収容したキュービクルの状態情報を蓄積する管理サーバと、状態情報を入手して管理サーバに送信するキュービクル内管理装置とを有し、キュービクル内管理装置は、状態情報の一部であるキュービクルの所定部位の電圧計測値、電流計測値を含む物理データを計測して収集するデータ収集手段と、所定の接点信号を受信する接点情報収集手段と、データ収集手段が収集する物理データの収集周期を管理すると共に、受信したデータ及び接点情報収集手段の接点信号を管理サーバに送信する送信制御手段と、物理データの正常/異常を判断する判断部とを有し、送信制御手段は、計測した全ての物理データが正常な範囲であれば、所定の第1の周期で管理サーバに送信するが、判断部が異常値と判断した物理データがあったら、異常値を示した物理データのみ、或いは収集している全物理データを、第1の周期より短い第2の周期で計測して管理サーバへ送信することを特徴とする。
この構成によれば、少なくとも計測した物理データが異常値を示した部位に対しては、計測して管理サーバへ送信する周期を短くするため、原因を究明し易くキュービクルの管理がし易い。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、送信制御手段は、異常値を示した物理データが正常値に戻ったら、或いは異常値を示してから所定の期間が経過したら、管理サーバへ送信する周期を第1の周期に戻すことを特徴とする。
この構成によれば、管理サーバへの送信周期が短くなっても、所定の条件を満たしたら計測周期が通常の周期に戻るため、管理サーバと通信するデータ量は一時的に多くなるだけで済み、管理サーバや通信路に加わる負担を最小限に留めることができる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、データ収集手段が収集する物理データは、特定部位の漏洩電流情報を含む一方、管理サーバは、気象情報を取得する気象情報取得部を有しており、判断部が漏洩電流が異常値であると判断したら、異常値を出したキュービクルが設置されているエリアの気象情報を入手して、漏洩電流データに紐付けして保存することを特徴とする。
この構成によれば、気象条件により変動し易い漏洩電流値は、異常値を示した際に気象情報と共に保存されるため、原因究明がし易くなる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の構成において、キュービクル内管理装置は、所定の接点信号を受信する接点情報収集手段を有して、送信制御手段は接点信号を管理サーバに送信することを特徴とする。
この構成によれば、物理データに加えて接点情報も入手するため、異常内容を把握し易い。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載の構成において、送信制御手段は、接点情報収集手段が受信した接点信号が、漏電発生を示す警報信号、或いは絶縁異常を示す警報信号であったら、少なくとも特定の機器の物理データの計測周期を第2の周期で計測して、管理サーバへ送信し、管理サーバは、異常を示す警報信号を受けて原因がどこにあるのか早期にデータ分析する機能を具備して成ることを特徴とする。
この構成によれば、例えば絶縁異常が検出されたら、特定の機器の物理データの計測周期が短くなる。よって、例えば変圧器が絶縁異常を示したら、変圧器関連の物理データを多数入手できるし、異常値を示した原因がどこにあるのか早期にデータ分析でき機能があることで、原因究明がし易くなる。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の構成において、データ収集手段は力率演算部を有して、物理データの1つとして高圧側の力率及び複数の低圧側の力率を算出し、送信制御手段は、判断部が高圧側の力率が異常値であると判断したら、高圧側の力率に加えて、複数の低圧側の力率の算出及び管理サーバへの送信周期を第2の周期にすることを特徴とする。
この構成によれば、高圧側の力率が悪化したら低圧側の力率も監視されるため、原因を特定し易い。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の構成において、管理サーバにアクセスして、蓄積されたキュービクルの情報を閲覧するための管理端末を有し、管理端末は、管理サーバを介してキュービクル内管理装置と通信を実施でき、管理端末の操作でキュービクル内管理装置から管理サーバへの物理データ送信周期を変更できることを特徴とする。
この構成によれば、外部からの操作で物理データの入手周期を変更できるため、異常値を検出しなくても計測周期を短くでき、管理し易い。
【0013】
請求項8の発明は、請求項7に記載の構成において、管理サーバは、異常値を示す物理データが送信されたら、当該物理データ及び計測部位の情報を管理端末に通知することを特徴とする。
この構成によれば、異常値を検知したら管理端末に通知されるため、管理者はキュービクルの異常発生を把握し易い。
【0014】
請求項9の発明は、請求項7又は8に記載の構成において、キュービクル内管理装置は、異常値を判断するための閾値記憶部を有して、計測部位毎及び物理データ毎に閾値が記憶されており、判断部は、閾値を基準に物理データの正常/異常を判断する一方、管理端末から、データ収集手段の物理データが正常値でありながら閾値に近づいたら、それを認識できる予兆閾値の設定が可能であって、管理サーバが設定された予兆閾値を記憶し、管理サーバは、キュービクル内管理装置から送信された物理データが予兆閾値を超えたら、その情報を管理端末に送信することを特徴とする。
この構成によれば、予兆閾値を設定すれば、管理端末の操作で閾値に近い値を示す物理データが発生したら、管理端末でそれを認識できるため、管理者は異常が発生する前兆を把握することが可能であり、キュービクルの管理がし易い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、少なくとも物理データが異常値を示した部位に対しては、計測して管理サーバへ送信する周期を短くするため、原因を究明し易くキュービクルの管理がし易い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るキュービクル管理システムの一例を示す構成図である。
【
図2】キュービクル内管理装置のブロック図である。
【
図5】管理端末4に漏電分析画面図を表示する説明図であり、(a)はデータを選択する画面図、(b)は選択した日の漏洩電流データを表示した図である。
【
図6】気象情報と組み合わせた管理端末の他の漏電分析画面図であり、気象情報と組み合わせたデータを表示した図である。
【
図7】計測値が閾値を逸脱した際に、手動でデータ取得周期を変更する管理端末の画面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係るキュービクル管理システムの構成図である。キュービクル管理システム1は、キュービクル10の内部に設置されたキュービクル内管理装置2と、外部に配置された管理サーバ3、管理者が操作する管理端末4、気象サーバ5等で構成されている。
管理サーバ3はクラウド上に配置され、キュービクル内管理装置2、管理端末4、及び気象サーバ5と通信ネットワークNを介して接続されている。
【0018】
図2はキュービクル内管理装置2のブロック図を示している。
図2に示すように、キュービクル内管理装置2は、キュービクル10の状態情報を取得するデータ収集装置(データ収集手段)21と、接点情報入力装置(接点情報収集手段)21cと、送信制御装置(送信制御手段)22とで構成されている。
キュービクル10には、高圧受電設備が収容されている。具体的に、受電した高圧を低圧に変換する変圧器、高圧交流負荷開閉器、断路器、真空遮断器、限流ヒューズ、高圧進相コンデンサ、配線用遮断器、計器用変成器等が収容(何れも図示せず)されており、データ収集装置21が収集する状態情報は、これらの機器の間に配設された電路の電圧、電流、機器の温度等の物理データであり、接点情報入力装置21cが収集するデータは遮断情報や警報情報等の各種接点情報である。
データ収集装置21は、具体的に電力関係の物理データを収集する第1計測装置21a、温度関係の物理データを収集する第2計測装置21b、そしてキュービクル10内の接点情報を収集する接点情報入力装置(接点情報収集手段)21cを備えている。
【0019】
第1計測装置21aは、計測情報を入力する入力部51、計測を制御すると共に計測値の正常/異常を判断する判断部としての第1計測装置CPU52、個々の計測値の正常/異常を判断するための閾値を記憶する記憶部(閾値記憶部)53、送信制御装置22と通信する通信部54等を備えている。
入力部51は、図示しない複数の電圧計測装置、電流計測装置、また漏洩電流計測装置等が接続され、高圧側の電圧情報M1、電流情報M2、低圧側の電圧情報M3、電流情報M4、変圧器の漏洩電流情報M5等が入力される。第1計測装置CPU52は、第1計測装置21aを制御すると共に力率演算部でもあり、電力、力率を算出して出力する。また第1計測装置CPU52は、閾値を超える計測値があったら異常発生信号を生成して送信制御装置22に送信する。
【0020】
第2計測装置21bは、温度情報を入力する入力部56、計測を制御すると共に計測値の正常/異常を判断する判断部としての第2計測装置CPU57、個々の計測値の正常/異常を判断するための閾値を記憶する記憶部(閾値記憶部)58、送信制御装置22と通信する通信部59等を備えている。
入力部56は、図示しない温度計測装置が接続され、変圧器の油温情報T1、キュービクル10内部の温度情報T2等が入力される。第2計測装置CPU57は、第2計測装置21bを制御すると共に、閾値を超える計測値があったら異常発生信号を生成して送信制御装置22に送信する。
【0021】
接点情報入力装置21cは、接点情報を入力する入力部61、入力情報を所定の識別データに変換する接点情報入力装置CPU62、送信制御装置22と通信して入手した接点情報を送信する通信部63等を備えている。
入力部61には、断路器、真空遮断器、配線用遮断器の遮断情報S1、限流ヒューズの溶断情報等のヒューズ情報S2、更に絶縁監視装置6の警報信号S3、漏電火災警報器7の警報信号S4等の接点情報が入力される。接点情報入力装置CPU62は、接点情報入力装置21cを制御すると共に、接点情報が入力されたら、送信制御装置22が読み取り可能信号に変換して通信部63を介して出力する。
【0022】
送信制御装置22は、データ収集装置21及び接点情報入力装置21cと通信する第1通信IF71、入手したデータを記憶する記憶部72、送信制御装置22を制御する送信制御装置CPU73、管理サーバ3と通信する第2通信IF74等を備えている。
送信制御装置CPU73は、異常値を送信した第1計測装置21a或いは第2計測装置21bに対して、管理サーバ3にデータを送信する送信周期を短くすると共に、必要に応じて計測周期を短くする制御を実施する。
【0023】
図3は管理サーバ3のブロック図を示している。管理サーバ3は、
図3に示すように、管理している複数のキュービクル10から送信されたデータを保存するデータ記憶部31、キュービクル10毎に関連づけられている管理端末4の情報(例えばメールアドレス情報)を記憶する管理端末情報記憶部32、キュービクル10が設置されている場所が含まれる地域(エリア)を記憶するエリア情報記憶部33、予兆閾値記憶部34、管理サーバ3を制御する管理サーバCPU35、通信ネットワークNを介してキュービクル内管理装置2等と通信する管理サーバ通信IF36等を備えている。予兆閾値記憶部34には、後述する目的で管理者が管理端末4を操作して設定される閾値が記憶される。
【0024】
図4は管理端末4のブロック図を示している。管理端末4は、
図4に示すように、操作部41、表示部42、記憶部43、管理端末CPU44、通信部45等を有している。
管理端末4は、キュービクル10の管理者が操作する端末で、管理サーバ3にアクセスして、管理サーバ3が蓄積している特定のキュービクル10の各種データを入手できる。入手したデータは、表示部42に表示して閲覧できるし、記憶部43に保存される。
また、操作部41の操作により、管理サーバ3を介してキュービクル内管理装置2と通信して、キュービクル内管理装置2の特定の動作の変更を可能としている。この管理端末4は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末等が使用できる。
【0025】
気象サーバ5は、気象庁或いは気象事業者等によって管理されて気象情報が提供されるデータサーバであり、エリア毎の天気、気温、風向き等の情報が一般に提供される。
【0026】
上記の如く構成されたキュービクル管理システム1は以下のように動作する。まず、計測している物理データが異常値を示した場合を説明する。
送信制御装置22は、例えば60秒等一定時間間隔で、第1計測装置21a、第2計測装置21b、接点情報入力装置21cからデータを収集する。
送信制御装置22の要求に基づき、第1計測装置21aは所定部位の電圧情報M1,M3、電流情報M2,M4、漏洩電流情報M5、算出した電力情報、力率情報を送信する。また第2計測装置21bは、所定部位の油温情報T1、温度情報T2を送信する。
一方、接点情報入力装置21cは、遮断情報S1、ヒューズ情報S2、警報信号S3,S4等の接点情報を受信したら、送信制御装置22に送信する。尚、接点情報の送信は、送信制御装置22から要求を受けて送信しても良い。
【0027】
送信制御装置22は、こうして収集したデータを記憶部72に保存し、例えば30分間隔(第1の周期)で管理サーバ3に送信する。このとき、30分間に蓄積した全データを送信しても良いし、直近のデータのみ送信しても良い。送信されたデータは、管理サーバ3のデータ記憶部31に保存される。
【0028】
但し、第1計測装置21aの第1計測装置CPU52及び第2計測装置21bの第2計測装置CPU57は、個々の計測値が異常値を示していないか監視している。個々の計測値に対して設定されている閾値が記憶部53,58に記憶されており、閾値を超えた計測値が発生したら、異常発生の情報が送信制御装置22に通知される。この通知は、送信制御装置22から管理サーバ3にも送信される。
【0029】
異常発生の通知を受けた送信制御装置22は、異常値と判断された値を計測したデータ収集装置21からの計測値の管理サーバ3への送信周期を、その後例えば5分(第2の周期)と短くして送信する。
【0030】
尚、異常値を検出した際の送信周期の変更は、特定の計測値のみでなく、全ての計測値の送信間隔を短くしても良い。また、データ収集装置21からデータを収集する間隔はここでは60秒であるため、この周期は変更されない。但し、データ収集装置21から収集する通常の周期が、短くなった管理サーバ3への送信周期より長い場合は、短い周期に変更される。
【0031】
異常発生の通知を受けた管理サーバ3では、特定の管理端末4に異常発生を通知する。管理サーバ3は、異常発生元のキュービクル10に関連付けられている管理端末4を管理端末情報記憶部32から読み取り、電子メール等で通知する。例えば「○○のキュービクルで漏電が検出されました」等のメッセージが送信される。こうして、異常値を検知したら管理端末4に通知されるため、管理者はキュービクル10の異常発生を把握し易い。
【0032】
ここで、漏洩電流情報M5が異常値を示した場合の管理サーバ3の動作を具体的に説明する。漏洩電流情報M5が異常値を示したら、送信制御装置22は、漏洩電流情報M5の計測データの管理サーバ3への送信周期を、第2の周期として短い周期で送信する。
一方、管理サーバ3は次のように動作する。管理サーバ3は、気象サーバ5と通信し、漏電異常を示したキュービクル10のあるエリアの気象情報を、気象情報取得部としての管理サーバCPU35で入手して、計測した漏洩電流データに紐付けしてデータ記憶部31に保存する。尚、管理サーバ3には気象サーバ5のアドレス等のアクセスするための情報が予め登録されている。
【0033】
図5は、管理端末4の表示部42に漏電分析画面図を表示する説明図であり、漏電異常を示す警報信号を受けて気象情報が紐付けされたデータの表示説明図である。
図5(a)はデータを選択する表示説明図、
図5(b)は選択した日の漏洩電流の時間変化を表示した説明図である。また
図6は、管理端末4に気象情報と組み合わせて漏洩電流の時間変化を表示した説明図である。尚、この表示は、キュービクルに変圧器が3台備えられて、それぞれの漏洩電流を計測したデータを示している。
このように、漏電異常を示した際の漏洩電流情報は気象情報と共に保存されるため、管理端末4において期日を選択することで、管理サーバ3から漏洩電流の変化データを気象情報と共に入手して容易に表示でき、原因究明がし易くなる。
【0034】
また、高圧側の力率異常を検出した場合は、次のように動作する。第1計測装置21aは、高圧側の力率に加えて、低圧側の複数の部位の力率を監視しており、高圧側の力率が閾値を超えて異常値を示したら、送信制御装置22の制御により、高圧側の力率データに加えて、他の計測値のうち少なくとも低圧側の力率データの入手周期も第2の周期にして短くし、管理サーバ3に送信する。
こうして、高圧側の力率が悪化した場合、高圧側の力率に加えて低圧側の複数の部位の力率情報も入手周期が短くなるため、原因の特定がし易くなる。
【0035】
その後、こうして検出された異常値に対して、それを認識した管理者が対策を施すことで正常値に戻ったら、送信制御装置CPU73がそれを認識し、データの送信周期が本来の周期(第1の周期)に戻る。
尚、正常値に戻ったら本来の第1の周期に戻す制御を実施しているが、その後の状態を確認するために、一週間等の一定期間短い送信間隔を継続させてから第1の周期に戻しても良い。また、計測データが正常値に戻らなくても、例えば30日が経過したら本来の周期に戻すよう制御しても良い。
【0036】
このように、少なくとも物理データが異常値を示した部位に対しては、計測して管理サーバ3へ送信する周期を短くするため、原因を究明し易い。
また、管理サーバ3への送信周期が短くなっても、正常値に戻る等の所定の条件を満たしたら計測周期が通常の周期に戻るため、管理サーバ3と通信するデータ量は一時的に多くなるだけであり、管理サーバ3や通信路に加わる負担を最小限に留めることができる。
【0037】
次に、接点情報入力装置21cに異常を示す接点情報が入力された場合を説明する。
例えば、絶縁監視装置6から絶縁異常を示す警報信号S3が接点情報入力装置21cに送信されたら、まず接点情報入力装置CPU62の制御で、警報信号S3に検出場所情報が添付されて送信制御装置22に送信される。尚、接点信号を送信する各種機器の設置場所情報は、接点情報入力装置CPU62が記憶している。
この警報信号S3を受信した送信制御装置22では、送信制御装置CPU73がまず警報信号S3を管理サーバ3に送信する。その後、絶縁異常を示した機器を把握してその電流情報等の物理データを入手し、管理サーバ3に送信する。例えば、変圧器の絶縁異常を示す接点情報であったら、変圧器の電流、電圧、温度情報等を第2の周期で入手し、そのデータを管理サーバ3に送信する。
【0038】
管理サーバ3では、送信されたデータをデータ記憶部31の保存する。尚、この場合も、漏電異常を検出した場合のように、気象データを入手するよう設定すれば、絶縁異常を示した部位の物理データと気象データを一体に保存することができ、上記
図6に示すように気象情報と共に入手した物理データを管理端末4に表示でき、異常値を示した際の原因の早期究明がし易い。
尚、ここでは、絶縁異常の警報信号S3を受信した場合を説明したが、漏電異常の接点信号を受信した場合も同様であり、気象情報と組み合わせてデータの保存を実施でき、異常値を示した原因がどこにあるのか早期のデータ分析を可能としている。
【0039】
このように、絶縁異常或いは漏電異常が検出されたら、異常を検出した機器の物理データの計測周期が短くなるため、例えば変圧器が絶縁異常を示したら、変圧器関連の物理データを多数入手でき、原因究明がし易くなる。
尚、接点情報入力装置21cに入力された異常を示す接点情報が、漏電火災警報器7の警報信号S4の場合も同様に、漏電異常を示した機器の電流、電圧、温度情報等が第2の周期で入手され、管理サーバ3に送信される。
【0040】
また、管理端末4の操作で以下のような動作をさせることができる。管理端末4からデータ収集装置21の計測値が正常値でありながら閾値に近づいたら、それを認識できる予兆閾値の設定ができる。操作部41の操作で設定された予兆閾値は管理サーバ3に送信されて予兆閾値記憶部34に保存される。
この設定を受けた管理サーバ3は、管理サーバCPU35の制御により、キュービクル内管理装置2から送信された計測値が設定された予兆閾値を超えたら、その部位情報及び計測値が管理端末4に送信される。
【0041】
このように、予兆閾値を設定すれば、管理端末4の操作で閾値に近い値を示す物理データが発生したら、管理端末4でそれを認識できるため、管理者は異常が発生する前兆を把握することが可能であり、キュービクル10の管理がし易い。
【0042】
更に管理端末4の操作で、データ収集装置21の計測周期を変更できる。詳しくは、操作部41の所定の操作で、管理サーバ3を介して管理対象のキュービクル内管理装置2にアクセスでき、データ収集装置21の計測周期を第1の周期から第2の周期に、逆に第2の周期から第1の周期に変更できる
図7は、計測値が閾値を逸脱した際のデータ取得周期を手動で変更する管理端末4の操作画面を示している。このような画面から、各種データの取得周期を変更できる。
【0043】
こうして、外部からの操作で物理データの入手周期を変更可能とすることで、異常値を検出しなくても計測周期を短くできるし、異常値を示しても問題無いような場合は第2の周期から第1の周期に戻すことができ、好ましい管理ができる。
【0044】
尚、上記実施形態では、送信制御装置22が通信ネットワークNを介して管理サーバ3と通信しているが、キュービクル10に、蓄電池を管理するEMSがある場合は、EMSの外部通信機能を利用して、送信制御装置22の第1通信IF71をEMSに代用させて、EMSを介して管理サーバ3と通信しても良い。
更に、閾値をデータ収集装置21に設けて異常判定をデータ収集装置21にて行っているが、送信制御装置22において一括して判定しても良い。
また、接点情報入力装置21cは無くとも良く、第1計測装置21a、第2計測装置21bから成るデータ収集装置21だけでも良い。更には、データ収集装置21を、第1計測装置21a、第2計測装置21bにより構成しているが、第1計測装置21aのみでも有益なキュービクル管理を行うことは可能である。
【符号の説明】
【0045】
1・・キュービクル管理システム、2・・キュービクル内管理装置、3・・管理サーバ、4・・管理端末、5・・気象サーバ、10・・キュービクル、21・・データ収集装置(データ収集手段)、21a・・第1計測装置、21b、・・第2計測装置、21c・・接点情報入力装置(接点情報収集手段)、22・・送信制御装置(送信制御手段)、31・・データ記憶部、32・・管理端末情報記憶部、33・・エリア情報記憶部、34・・予兆閾値記憶部、35・・管理サーバCPU(気象情報取得部)52・・第1計測装置CPU(判断部、力率演算部)、53・・記憶部(閾値記憶部)、57・・第2計測装置CPU(判断部)、58・・記憶部(閾値記憶部)、N・・通信ネットワーク。