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特開2023-24394電気生理学的処置のセットアップ時間を短縮するためのグラフィカルユーザインターフェーステンプレート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024394
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】電気生理学的処置のセットアップ時間を短縮するためのグラフィカルユーザインターフェーステンプレート
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/339 20210101AFI20230209BHJP
   A61B 5/367 20210101ALI20230209BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20230209BHJP
   A61B 18/12 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
A61B5/339
A61B5/367
A61B5/33 100
A61B18/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022125356
(22)【出願日】2022-08-05
(31)【優先権主張番号】17/395,531
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリナー
【テーマコード(参考)】
4C127
4C160
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB05
4C127HH13
4C127LL08
4C160KK47
(57)【要約】
【課題】電気生理学的処置のセットアップ時間を短縮するためのグラフィカルユーザインターフェーステンプレートを使用する方法及びシステムを提供すること。
【解決手段】方法は、医療処置を行うために、患者の臓器の腔にカテーテルを挿入することを含み、腔は所与の腔タイプのものである。カテーテルを使用して、腔の表面上の1つ以上の解剖学的点を訪れることによって、腔の部分解剖学的マッピングを実行する。部分解剖学的マッピングに基づいて、所与の腔タイプに医療処置を適用するために指定されたグラフィカルユーザインターフェース(GUI)テンプレートを選択する。腔内で医療処置を行うために、選択されたGUIテンプレートをユーザに提示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気生理学的処置のセットアップ時間を短縮するためのシステムであって、
プロセッサであって、(i)所与の腔タイプの腔を有する患者の臓器に挿入され、前記腔の表面上の1つ以上の解剖学的点を訪れるカテーテルから、前記腔の部分解剖学的マッピングを受信することと、(ii)前記部分解剖学的マッピングに基づいて、前記所与の腔タイプに前記医療処置を適用するために指定されたグラフィカルユーザインターフェース(GUI)テンプレートを選択することと、を行うように構成された、プロセッサと、
出力装置であって、前記腔内で前記医療処置を行うために、前記選択されたGUIテンプレートをユーザに提示するように構成された、出力装置と、を備える、システム。
【請求項2】
前記プロセッサが、複数のそれぞれの腔タイプに対して指定された複数のGUIテンプレートの中から前記GUIテンプレートを選択するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサが、前記部分解剖学的マッピングに、1つ以上の腔の1つ以上の他の解剖学的マッピングを使用して事前にトレーニングされたニューラルネットワークを適用するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサが、(i)前記訪れた解剖学的点の三角形メッシュを生成することによって前記部分解剖学的マッピングを実行することと、(ii)前記事前にトレーニングされたニューラルネットワークを前記三角形メッシュに適用することによって前記GUIテンプレートを選択することと、を行うように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記部分解剖学的マッピングにおける前記訪れた解剖学的点の第1の数が、前記ニューラルネットワークをトレーニングするために使用される解剖学的点の第2の数よりも小さい、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ以上の腔のうちの少なくとも1つが、別の患者においてマッピングされる、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記患者の臓器が患者の心臓を含み、前記医療処置が前記患者の心臓の組織のアブレーションを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記患者の臓器が患者の心臓を含み、前記医療処置が前記患者の心臓の組織の電気解剖学的マッピングを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサが、前記部分解剖学的マッピングに基づいて前記所与の腔タイプを識別することと、前記識別された腔タイプに基づいて前記GUIテンプレートを選択することと、を行うように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサが、前記識別された腔タイプ及び前記医療処置のタイプに基づいて前記GUIテンプレートを選択するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
電気生理学的処置のセットアップ時間を短縮するための方法であって、
医療処置を行うために、患者の臓器の腔にカテーテルを挿入することであって、前記腔は所与の腔タイプのものである、ことと、
前記カテーテルを使用して、前記腔の表面上の1つ以上の解剖学的点を訪れることによって、前記腔の部分解剖学的マッピングを実行することと、
前記部分解剖学的マッピングに基づいて、前記所与の腔タイプに前記医療処置を適用するために指定されたグラフィカルユーザインターフェース(GUI)テンプレートを選択することと、
前記腔内で前記医療処置を行うために、前記選択されたGUIテンプレートをユーザに提示することとを含む、方法。
【請求項12】
前記GUIテンプレートを選択することが、複数のそれぞれの腔タイプに対して指定された複数のGUIテンプレートの中から前記GUIテンプレートを選択することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記GUIテンプレートを選択することが、前記部分解剖学的マッピングに、1つ以上の腔の1つ以上の他の解剖学的マッピングを使用して事前にトレーニングされたニューラルネットワークを適用することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記部分解剖学的マッピングを実行することが、前記訪れた解剖学的点の三角形メッシュを生成することを含み、前記GUIテンプレートを選択することは、前記事前にトレーニングされたニューラルネットワークを前記三角形メッシュに適用することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記部分解剖学的マッピングにおける前記訪れた解剖学的点の第1の数が、前記ニューラルネットワークをトレーニングするために使用される解剖学的点の第2の数よりも小さい、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上の腔のうちの少なくとも1つが、別の患者においてマッピングされる、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記患者の臓器が患者の心臓を含み、前記医療処置が前記患者の心臓の組織のアブレーションを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記患者の臓器が患者の心臓を含み、前記医療処置が前記患者の心臓の組織の電気解剖学的マッピングを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記GUIテンプレートを選択することが、前記部分解剖学的マッピングに基づいて前記所与の腔タイプを識別することと、前記識別された腔タイプに基づいて前記GUIテンプレートを選択することとを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記GUIテンプレートを選択することが、前記識別された腔タイプ及び前記医療処置のタイプに基づいて前記GUIテンプレートを選択することを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、医療システムに関し、特に、電気生理学的処置のセットアップ時間を短縮するためのグラフィカルユーザインターフェーステンプレートを使用する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の心臓で行われる電気解剖学的マッピング及び/又は組織アブレーション処置などの医療処置を行う一部の医師は、医療プロセスを自動化し、処置の質を向上させるために1つ以上のテンプレートを使用する場合がある。
【0003】
例えば、米国特許出願公開第2015/0282729号は、様々なタイプのテンプレートを使用した心臓表面に関連する生理学的情報の決定及び/又は表現を記載している。
【0004】
PCT国際公開第2021/084476号は、心臓組織における電気的活動をマッピングして、構造的心疾患に介入(例えば、治療)するための装置の配置をガイドすることを記載している。一部の例示的な実施形態では、介入は、移植可能な装置の配置、及び/又は組織を除去及び/又は再構築するために使用される治療装置の位置決めを含む。一部の例示的な実施形態では、電気的活動マッピングは、体腔の空間マッピングと共に実行される。一部の例示的な実施形態では、介入装置の位置は、装置が心臓の電気的機能に損傷を与えることによる合併症を評価及び/又は防止するために、心臓の電気的機能に重要な解剖学的構造の測定された位置と比較される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に記載の本発明の実施形態は、医療処置を行うために、患者の臓器の腔にカテーテルを挿入することを含む方法を提供し、腔は所与の腔タイプのものである。カテーテルを使用して、腔の表面上の1つ以上の解剖学的点を訪れることによって、腔の部分解剖学的マッピングを実行する。部分解剖学的マッピングに基づいて、所与の腔タイプに医療処置を適用するために指定されたグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface、GUI)テンプレートを選択する。腔内で医療処置を行うために、選択されたGUIテンプレートをユーザに提示する。
【0006】
一部の実施形態では、GUIテンプレートを選択することは、複数のそれぞれの腔タイプに対して指定された複数のGUIテンプレートの中からGUIテンプレートを選択することを含む。他の実施形態では、GUIテンプレートを選択することは、部分解剖学的マッピングに、1つ以上の腔の1つ以上の他の解剖学的マッピングを使用して事前にトレーニングされたニューラルネットワークを適用することを含む。更に他の実施形態では、部分解剖学的マッピングを実行することは、訪れた解剖学的点の三角形メッシュを生成することを含み、また、GUIテンプレートを選択することは、事前にトレーニングされたニューラルネットワークを三角形メッシュに適用することを含む。
【0007】
一実施形態では、部分解剖学的マッピングにおける訪れた解剖学的点の第1の数は、ニューラルネットワークをトレーニングするために使用される解剖学的点の第2の数よりも小さい。別の実施形態では、1つ以上の腔のうちの少なくとも1つは、別の患者においてマッピングされる。更に別の実施形態では、患者の臓器は患者の心臓を含み、医療処置は患者の心臓の組織のアブレーションを含む。
【0008】
一部の実施形態では、患者の臓器は患者の心臓を含み、医療処置は患者の心臓の組織の電気解剖学的マッピングを含む。他の実施形態では、GUIテンプレートを選択することは、部分解剖学的マッピングに基づいて所与の腔タイプを識別することと、識別された腔タイプに基づいてGUIテンプレートを選択することとを含む。更に他の実施形態では、GUIテンプレートを選択することは、識別された腔タイプ及び医療処置のタイプに基づいてGUIテンプレートを選択することを含む。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、プロセッサ及び出力装置を含むシステムが更に提供される。プロセッサは、(i)所与の腔タイプの腔を有する患者の臓器に挿入され、腔の表面上の1つ以上の解剖学的点を訪れるカテーテルから、腔の部分解剖学的マッピングを受信することと、(ii)部分解剖学的マッピングに基づいて、所与の腔タイプに医療処置を適用するために指定されたグラフィカルユーザインターフェース(GUI)テンプレートを選択することと、を行うように構成されている。出力装置は、腔内で医療処置を行うために、選択されたGUIテンプレートをユーザに提示するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、図面と併せて、その実施形態の以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
図1】本発明の例示的な実施形態による、カテーテルベースの追跡及びアブレーションシステムの概略描画図である。
図2】本発明の例示的な実施形態による、電気生理学的処置のセットアップ時間を短縮するための方法を概略的に示すフローチャートである。
図3】本発明の例示的な実施形態による、電気生理学的処置のセットアップ時間を短縮するために心腔の部分解剖学的マッピングに適用されるニューラルネットワークの構造を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
概要
患者の心臓における電気生理学的(electrophysiological、EP)処置(例えば、電気解剖学的(electro-anatomical、EA)マッピング及び/又は組織のアブレーション)などの一部の医療処置では、通常、処置を行うために詳細なセットアップ操作が必要である。例えば、アブレーション処置を行う際に、医師は、左心房(left atrium、LA)でアブレーションを実施するために、心臓の腔、例えば、LAにカテーテルを挿入する。場合によっては、処置は、(i)LAの解剖学的マッピング及びEAマッピング、続いて、(ii)EAマッピングに基づいて計画及び実行される組織アブレーション、を含むことができる。上記の操作は、セットアップ操作を必要とし、セットアップ操作は、時間がかかり、望ましくないことに、処置の期間を延長させる可能性がある。例えば、セットアップ操作は、LAの3次元(three-dimensional、3D)マップの生成、EAマッピング中に取得されたEP信号の選択及び分析、並びに処置を行うための適切なグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の生成を含むことができる。
【0012】
以下に説明する本発明の実施形態は、セットアップの一部のステップを自動化することによって、医療処置のセットアップ時間を短縮するための改善された技術を提供する。より具体的には、患者の心臓の選択された腔で行われるEAマッピング及び/又は組織のアブレーションなどのEP処置のセットアップ時間を短縮する。
【0013】
一部の例示的な実施形態では、処置のタイプ及び心室、例えば、患者の心臓の左心房内の組織のアブレーションを選択した後、医師は、電極を有するカテーテルをLAに挿入する。続いて、医師は、LAの表面上のいくつかの解剖学的点を訪れるためにカテーテルを移動させ、そして電極を使用して解剖学的点及びそれらのそれぞれの位置を取得する(例えば、適切な位置追跡システムを使用する)。
【0014】
一部の例示的な実施形態では、EP処置を行うためのシステムは、カテーテルから受信した取得された解剖学的点を使用してLAの部分解剖学的マッピングを実行するように構成されたプロセッサを含む。本実施例では、プロセッサは、訪れて取得した解剖学的点の三角形メッシュを生成する。プロセッサは、畳み込みニューラルネットワーク(convolutional neural network、CNN)などのニューラルネットワーク(neural network、NN)を三角形メッシュに適用するように更に構成され、この畳み込みニューラルネットワークは、EP処置を実施する前にトレーニングされるリカレントニューラルネットワーク(recurrent neural network、RNN)と組み合わされても組み合わされなくてもよい。NNは、以前にシステムのメモリに記憶された他の解剖学的マッピングを使用して事前にトレーニングされる。例えば、他の解剖学的マッピングは、他の患者の心室(左心房を含む)の完全な解剖学的マッピングを含んでもよい。
【0015】
一部の例示的な実施形態では、プロセッサは、NNトレーニングで生成されたデータに基づいて、患者の心臓の選択された各腔(例えば、室)に適用される各EP処置用のテンプレートのセットを生成又は受信するように構成される。簡略化された実施例では、患者の心臓の4つの室(左心房及び右心房並びに左心室及び右心室)においてEAマッピングを実行するために4つのテンプレートが生成され、前述の4つの室において組織アブレーションを実施するために追加の4つのテンプレートが生成される。場合によっては、室の少なくとも1つにおいて所与の処置を行うために複数のテンプレートが生成されることがあることに留意されたい。例えば、所与の室の異なるそれぞれの領域における複数のアブレーション部位は、複数のテンプレートを必要とする場合がある。
【0016】
一部の例示的な実施形態では、十分な解剖学的点を受信した後、プロセッサは、部分解剖学的マッピングに基づいて患者の心臓のLAを識別するように構成される。更に、プロセッサは、部分解剖学的マッピングに基づいて、患者の心臓の対象となる室(例えば、LA)に医療処置(例えば、組織アブレーション)を適用するために指定されたグラフィカルユーザインターフェース(GUI)テンプレートを選択するように構成される。
【0017】
一部の例示的な実施形態では、システムは、LAにおいて組織アブレーションを行うために、選択されたGUIテンプレート(及びLAマップ)をユーザ(医師)に提示するように構成されたディスプレイなどの出力装置を含む。
【0018】
場合によっては、医師は患者の心臓の別の室において追加の処置を行うことを決定することができる。例えば、右心房でEAマッピングを実行する。一部の例示的な実施形態では、医師は、上記のように部分マッピングを実行するためにカテーテルを右心房に挿入し、プロセッサは、上記で詳細に説明した技術を使用して、対応するテンプレートを選択して医師に提示するように構成される。
【0019】
開示された技術は、限定されないが電気生理学的処置などの医療処置の質を改善し、処置のプロセスの少なくともいくつかのステップを自動化することによってそのサイクル時間を短縮する。
【0020】
システムの説明
図1は、本発明の例示的な実施形態による、カテーテルベースの追跡及びアブレーションシステム20の概略描画図である。
【0021】
一部の例示的な実施形態では、システム20は、カテーテル22、本実施例では心臓カテーテルと、制御コンソール24とを含む。本明細書に記載の例示的な実施形態では、カテーテル22は、以下に説明する技術を使用する電気解剖学的(EA)マッピング及び/又は組織のアブレーションなど、心臓26における任意の適切な治療及び/又は診断目的に使用することができる。
【0022】
一部の例示的な実施形態では、コンソール24は、カテーテル22を介して信号を受信し、かつ本明細書に記載のシステム20の他の構成要素を制御するための適切なフロントエンド及びインターフェース回路38を有するプロセッサ34、典型的には汎用コンピュータを含む。コンソール24は、出力装置、本実施例ではユーザディスプレイ35を更に含み、このユーザディスプレイは、プロセッサ34から心臓26のマップ27を受信し、以下の図2に関して説明するテンプレートに基づいて、マップ27及びグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の追加の構成要素を表示するように構成される。
【0023】
一部の例示的な実施形態では、マップ27は、任意の適切な技術を使用して生成された任意の適切なタイプの3次元(3D)解剖学的マップを含んでもよい。例えば、解剖学的マップは、適切な医療用撮像システムによって生成された解剖学的画像を使用して、又はBiosense Webster Inc.(Irvine, Calif.)によって製造されたCARTO(商標)システムを使用して高速解剖学的マッピング(fast anatomical mapping、FAM)技術を実行して、又は任意の他の適切な技術を使用して、又は上記の任意の適切な組み合わせを使用して生成することができる。
【0024】
ここで、挿入図23を参照する。一部の例示的な実施形態では、アブレーション処置を行う前に、医師30は、心臓26の対象となる組織の電気解剖学的マッピングを実行するために、テーブル29上に横たわっている患者28の血管系を通してカテーテル22を挿入する。
【0025】
一部の例示的な実施形態では、カテーテル22は、複数の感知電極(図示せず)を有する遠位端アセンブリ40を含む。例えば、遠位端アセンブリ40は、(i)それぞれが複数の感知電極を有する複数のスプラインを有するバスケットカテーテル、(ii)バルーンの表面上に配置された複数の感知電極を有するバルーンカテーテル、又は(iii)複数の感知電極を有するフォーカルカテーテル、を含むことができる。各感知電極は、心臓26の組織における電気生理学的(EP)信号の感知に応答して、感知されたEP信号を示す1つ以上の信号を生成するように構成される。
【0026】
一部の例示的な実施形態では、カテーテル22の近位端は、特にインターフェース回路38に接続されて、電気解剖学的マッピングを実行するためにこれらの信号をプロセッサ34に転送する。
【0027】
一部の例示的な実施形態では、電気解剖学的マッピング中に、遠位端アセンブリ40の感知電極によって生成された信号は、数千のデータ点、例えば、約50,000個のデータ点又はそれ以上を含むことができる。データ点に基づいて、プロセッサ34は、心臓26の表面上を伝播する電気信号を示すベクトルをマップ27に提示するように構成され、提示されたベクトルに基づいて、医師30は、心臓26内の組織をアブレーションするための1つ以上の部位を特定する。しかしながら、前述の多数のデータ点及びベクトルを生成、確認及び分析することは、アブレーション処置の期間を延長させる可能性がある。更に、大量のデータ点の生成及び分析に関連する作業は、医師を疲れさせ、それによってアブレーション処置の質を損なう可能性がある。
【0028】
本開示及び特許請求の範囲の文脈において、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「ほぼ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載される意図された目的のために機能することを可能にする適切な寸法公差を示す。
【0029】
一部の例示的な実施形態では、カテーテル22は、遠位端アセンブリ40に結合された1つ以上のアブレーション電極(図示せず)を含んでもよい。アブレーション電極は、心臓26の標的位置で組織をアブレーションするように構成されている。アブレーション計画を決定した後、医師30は、カテーテル22を操作するためのマニピュレータ32を使用して、心臓26内の標的位置のすぐ近くに遠位端アセンブリ40をナビゲートする。追加的に又は代替的に、医師30は、前述のアブレーション計画を実行するために、心臓26の組織をアブレーションするための任意の他の種類の適切なカテーテルを使用することができる。
【0030】
一部の例示的な実施形態では、心腔内の遠位端アセンブリ40の位置は、磁気位置追跡システムの位置センサ(図示せず)を使用して測定される。本実施例では、コンソール24は、ドライバ回路41を備え、このドライバ回路41は、テーブル29上に横たわっている患者28の外部の既知の位置(例えば、患者の胴体の下)に配置された磁場発生器36を駆動するように構成される。位置センサは、遠位端に結合され、磁場発生器36から感知された外部磁場に応答して位置信号を生成するように構成される。位置信号は、位置追跡システムの座標系におけるカテーテル22の遠位端の位置を示す。
【0031】
この位置検出方法は、様々な医療用途において、例えば、Biosense Webster Inc.(Irvine,Calif.)によって製造されたCARTO(商標)システムにおいて実装され、また米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、PCT特許出願国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号及び同第2004/0068178(A1)号に詳細に記載されており、これらの開示はすべて、参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
一部の例示的な実施形態では、位置追跡システムの座標系は、システム20及びマップ27の座標系と位置合わせされ、その結果、プロセッサ34は、カテーテル22の遠位端の位置をマップ27上に表示するように構成される。
【0033】
一部の例示的な実施形態では、アブレーション処置を行うとき、医師は、カテーテル22を心臓26の腔、例えば、心臓の左心房(LA)に挿入する。場合によっては、処置は、(i)LAの解剖学的マッピング(図示せず)を含むことができ、この解剖学的マッピングは、LA組織の表面上の複数(例えば、数千)の解剖学的点を訪れることによって実行される。解剖学的マッピングの後には、通常、LAにおける少なくとも1つの対象となる部分のEAマッピングが続く。EAマッピングに基づいて、医師30は、セットアップ操作を実行しなければならず、セットアップ操作は、時間がかかり、望ましくないことに、処置の期間を延長させる可能性がある。例えば、セットアップ操作は、LAの3次元(3D)マップの生成、EAマッピング中にカテーテル22から受信したEP信号の選択及び分析、並びに処置を行うための適切なグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の生成を含むことができる。
【0034】
一部の例示的な実施形態では、プロセッサ34は、カテーテル22から受信した少数(例えば、約100個未満)の解剖学的点を使用して、LAの部分解剖学的マッピングを実行するように構成される。本実施例では、プロセッサ34は、解剖学的点に基づく三角形メッシュ(図示せず)を生成し、そして、事前にトレーニングされたニューラルネットワーク(NN)を三角形メッシュに適用する。一部の実施形態では、NNは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、又はリカレントニューラルネットワーク(RNN)、あるいはCNNとRNNの組み合わせを含んでもよく、そのアーキテクチャについては、例えば、以下の図3に関して説明する。
【0035】
一部の例示的な実施形態では、CNNは、プロセッサ34、又はシステム20のコンソール24の任意の他の処理装置、あるいはシステム20の外部の任意の適切なコンピュータに実装されてもよい。CNNは、以前にシステム20のメモリ又は前述の外部コンピュータのメモリに記憶された完了済みの他の解剖学的マッピングを使用してトレーニングされる。例えば、他の解剖学的マッピングは、他の患者の左心房の完全な解剖学的マッピング、及び/又は患者28のLAに対して行われた以前の処置で実行された完全な解剖学的マッピングを含むことができる。
【0036】
一部の例示的な実施形態では、プロセッサ34は、CNNのトレーニング中に生成されたデータに基づいて、患者の心臓の選択された各腔(例えば、室)に適用される各EP処置用のテンプレートのセットを受信するように構成される。本実施例では、プロセッサ34及び/又はCNNは、それぞれの患者の心臓の1つ以上のLAで行われるそれぞれのタイプのアブレーション処置用の1つ以上のGUIテンプレートを生成又は受信することができる。例えば、各GUIテンプレートは、(i)対象となるウィンドウの設定(例えば、心室をマッピングする場合、対象となるウィンドウは、心電図信号のRピーク付近に位置し、心房をマッピングする場合、対象となるウィンドウは、心電図信号のP波付近に位置する)と、(ii)マップの名称と、(iii)マップビュー、例えば、右心房を見るための前後方向(anteroposterior、AP)及び/又は後前方向(posteroanterior、PA)、並びに心室のLAO及びRAOと、を含むことができる。LAOという用語は、ビューを患者の左側に回転させることを指し(カテーテル及び脊椎はマップの右側にある)、RAOという用語は患者の右側を指す(カテーテル及び脊椎はマップの左側にある)。追加的に又は代替的に、GUIテンプレートは任意の他の適切なアイテムを含んでもよい。
【0037】
一部の例示的な実施形態では、十分な解剖学的点(例えば、約1000個の点)を受信した後、プロセッサ34は、部分解剖学的マッピングに基づいて、上記のGUIテンプレートの中から、組織アブレーションを心臓26のLAに適用するために指定されたGUIテンプレートを選択するように構成される。
【0038】
一部の例示的な実施形態では、プロセッサ34は、LAにおいて組織アブレーションを行うために、例えば、ディスプレイ35上で選択されたGUIテンプレートを医師30に提示するように構成される。
【0039】
場合によっては、医師30は患者の心臓の別の室において追加の処置を行うことを決定することができる。例えば、右心房でEAマッピングを実行する。一部の実施形態では、医師30は、部分マッピングを実行するためにカテーテル22を右心房に挿入し、プロセッサ34は、心臓26のLAでアブレーション処置を行うために、上記で詳細に説明した技術の実施形態を使用して、対応するGUIテンプレートを選択して医師30に提示するように構成される。
【0040】
一部の例示的な実施形態では、プロセッサ34は、典型的には、汎用コンピュータを含み、この汎用コンピュータは、本明細書に記載された機能を実行するようにソフトウェアでプログラムされている。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子形式でコンピュータにダウンロードされてもよく、あるいは、代替的に又は追加的に、磁気、光学、又は電子メモリなどの非一時的な有形媒体に提供及び/又は記憶されてもよい。
【0041】
システム20のこの特定の構成は、本発明の実施形態が対処する特定の問題を説明し、またこのようなシステムの性能を向上させる際のこれらの実施形態の適用を明示するために、例として示されている。しかしながら、本発明の実施形態は、この特定の種類の例示的なシステムに決して限定されるものではなく、本明細書に記載の原理は、他の種類の医療システムにも同様に適用することができる。
【0042】
電気生理学的処置のセットアップ時間を短縮するためのニューラルネットワークベースのグラフィカルユーザインターフェースの使用
図2は、本発明の一実施形態による、GUIテンプレート及びニューラルネットワーク(NN)を使用して、電気生理学的(EP)処置のセットアップ時間を短縮するための方法を概略的に示すフローチャートである。本実施例では、NNは、上記の図1に関して説明した畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を含み、CNNのアーキテクチャについては、以下の図3に関して詳細に説明する。
【0043】
図2の例示的な実施形態では、EP処置は、心臓26の室内で行われ、EAマッピング及び/又は心臓26内の組織のアブレーションを含むことができる。しかしながら、他の実施形態では、本明細書に記載の技術は、必要な変更を加えて、他の適切な種類の医療処置で使用することができる。
【0044】
この方法は、処置選択ステップ50で始まり、医師は、心臓26で行われるEP処置などの医療処置、例えば限定されないが、上記のようなEAマッピング及び/又は組織のアブレーションを選択する。
【0045】
カテーテル挿入ステップ52において、医師30は、所与の腔タイプを有する心臓26の選択された腔(例えば、室)でEP処置を行うために、カテーテル22を心臓26に挿入する。本実施例では、EP処置を行うために選択された心臓26の左心房(LA)は、心臓26の他の室の特徴とは異なる1つ以上の特徴を有する。本明細書に記載の方法は、必要な変更を加えて、心臓26のすべての室(即ち、左心室、右心房、及び右心室)に適用できることに留意されたい。
【0046】
部分解剖学的マッピングステップ54において、医師30は、LAの表面上の解剖学的点を訪れるために遠位端アセンブリ40を操作して、LAの少なくとも部分解剖学的マッピングを実行するためのマッピング点を取得する。本実施例では、医師30は、高速解剖学的マッピング(FAM)技術を適用し、取得されたマッピング点の数は、完全な解剖学的マッピングに必要なマッピング点の数と比較して実質的に少ない。例えば、LAの完全なマッピングには約5000個のマッピング点の取得が必要であるが、ステップ54の部分解剖学的マッピングでは、約1000個の点のみが取得される。
【0047】
一部の実施形態では、部分解剖学的マッピングステップ54において、プロセッサ34は、訪れて取得した解剖学的点に基づいて三角形メッシュを生成する。本開示及び特許請求の範囲の文脈において、「三角形メッシュ」という用語は、ステップ54の部分解剖学的マッピング中に遠位端アセンブリ40によって取得された解剖学的点の位置に基づく仮想メッシュを指す。メッシュは仮想三角形から作成され、その結果、取得された解剖学的点はメッシュの三角形のそれぞれの頂点に位置する。プロセッサ34は、部分解剖学的マッピングステップ54で取得された解剖学的点に基づいて、仮想メッシュの構造(トポロジー及び形状)(例えば、三角形のサイズ及び方向)を定義するように構成される。そのような実施形態では、ステップ54は、メッシュのそれぞれの頂点に位置する取得された解剖学的点を有する三角形の仮想メッシュを出力する。
【0048】
第1の判定ステップ56において、プロセッサ34は、ステップ54で取得されたマッピング点の数がこの方法を進めるのに十分であるか否かをチェックする。十分でない場合、方法は、十分な数のマッピング点(例えば、約1000個の点より多い)が取得されるまで、ステップ54にループバックする。プロセッサ34は、遠位端アセンブリ40によって取得された追加のマッピング点に基づいてメッシュのトポロジー及び/又は形状を変更するように構成されていることに留意されたい。
【0049】
ステップ54で取得されたマッピング点の数が十分である場合、方法は、室検証ステップ58に進み、そこで、CNN(プロセッサ34又はシステム20の任意の他の装置に実装され得る)は、部分解剖学的マッピングに基づいて、取得されたマッピング点が他の患者の心臓のLAに固有の特徴を有することを識別する。例えば、患者28の肺から心臓26に血液を移送する肺静脈(pulmonary vein、PV)の形状。
【0050】
GUIテンプレート選択ステップ60において、プロセッサ34は、上記のステップ54で実行された部分解剖学的マッピング、及びステップ58での室識別に基づいて、EP処置を心臓26のLAに適用するために指定されたGUIテンプレートを選択する。
【0051】
一部の実施形態では、GUIテンプレートは、EP処置を実施する前にトレーニングされたCNNによって識別された室に基づいて、処置の前に生成された複数のGUIテンプレートの中からプロセッサ34によって選択される。本実施例では、CNNは、他の解剖学的マッピング、例えば限定されないが、システム20の任意の適切なメモリ装置及び/又はプロセッサ34に以前に記憶された心室の完全な解剖学的マッピングを使用して事前にトレーニングされる。そのような実施形態では、CNNは、記憶された解剖学的マップでトレーニングされ、トレーニングを終了した後、CNNは、心臓26の室(例えば、LA)を識別するために、上記のステップ54で説明した部分解剖学的マッピング中に生成された三角形のメッシュに適用される。
【0052】
一部の実施形態では、識別された室及び選択された処置に基づいて、プロセッサ34は、処置の前に生成されたGUIテンプレートの中から、上記のように、心臓26のLAにおいて選択されたEP処置を行うのに適したGUIテンプレートを選択するように構成される。
【0053】
一実装形態では、部分解剖学的マッピングに基づいて室を識別するためのニューラルネットワークのトレーニングは、それぞれの記憶された解剖学的マップによって生成されたそれぞれのメッシュの位相的及び幾何学的表現に対して、ランダムウォーク技術を用いて実行することができる。続いて、ランダムウォークの表現を準備し、ニューラルネットワークを更新するためにランダムウォークの特性を蓄積するリカレントニューラルネットワーク(RNN)に挿入することができる。トレーニングされたニューラルネットワークは、部分解剖学的マッピング中に生成された三角形のメッシュに適用され、心臓26の識別された室(例えば、LA)を自動的に出力することができ、その結果、プロセッサ34は、処置の前に生成されたGUIテンプレートの中から最も適切なGUIテンプレートを選択することができる(例えば、プロセッサ34及び/又はニューラルネットワークによって、又は任意の他の適切な装置によって)。場合によっては、RNNをCNNと組み合わせて、トレーニングされたニューラルネットワークの性能を向上させることができるアーキテクチャを実現できる。LAの自動識別は、「MeshWalker:Deep Mesh Understanding by Random Walks」(Lahav et al.,ACM Trans.Graph.,Vol.39,No.6,Article 263,December 2020)と題する論文に詳細に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
ステップ58及び60を単一のステップに組み合わせることができることに留意されたい。その結果、(i)トレーニングされたニューラルネットワークは、部分解剖学的マッピングに基づいて室を識別し、そして(ii)室識別及び選択された処置に基づいて、プロセッサ34は、最も適切なGUIテンプレートを選択する。本実施例では、選択されたGUIテンプレートは、選択されたEP処置(例えば、組織アブレーション)を心臓26のLAに適用するために指定されている。
【0055】
GUIテンプレート提示ステップ62において、プロセッサ34は、LAでEP処置を行うために、選択されたGUIテンプレート及び左心房のマップをユーザに提示する。第2の判定ステップ64において、プロセッサ34は、EAマッピング及び/又は組織アブレーション処置が完了したか否かをチェックする。マッピング及び/又はアブレーション処置が完了した場合、方法は終了し、医師は、LAから遠位端アセンブリ40を引き出すことができる。EAマッピング及び/又は組織アブレーション処置が完了した場合、方法は、処置継続ステップ66に進み、そこで医師30は処置を継続する。
【0056】
第3の判定ステップ68において、プロセッサ34は、医師30が治療された室及び/又は処置のタイプを変更することを決定したか否かをチェックする。一実施形態では、医師は、心臓26の右心房(RA)のEAマッピングを実行することを決定することができる。本実施形態では、方法は、プロセッサ34に前述の選択を登録するためにステップ50にループバックし、そして、方法は、心臓26のRAにおいてEAマッピングを実行するために繰り返される。
【0057】
医師30がLAで行われた選択されたEP処置を維持する場合、方法は、ステップ68からステップ66へループバックし、上記のように、心臓26のLAで行われた最初に選択されたEP処置を継続して終了させる。
【0058】
図3は、本発明の一実施形態による、EP処置のセットアップ時間を短縮するために心腔の部分解剖学的マッピングに適用されるニューラルネットワーク(NN)100のアーキテクチャを示す概略ブロック図である。本実施例では、心腔は左心房(LA)を含み、EP処置は、上記の図2の方法で詳細に説明したように、LAの電気解剖学的(EA)マッピング又は心臓26のLAにおける組織のアブレーションを含む。
【0059】
一部の実施形態では、NN100のアーキテクチャは、リカレントニューラルネットワーク(RNN)の層を有する畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を含み、リカレントニューラルネットワークの層は、本明細書では、以下でより詳細に説明するRNN層130とも呼ばれる。
【0060】
一部の実施形態では、矢印111は、NN100によって心室(例えば、LA)を識別するプロセスにおいて三角形のメッシュ(上記の図2のステップ54で説明した部分解剖学的マッピングにおいて形成される)に適用される前述のランダムウォークの一連のステップ(例えば、ステップ102、104、106、及び108)を表す。
【0061】
一部の実施形態では、矢印121は、NN100の深さを示す。本実施例では、NN100は、本明細書に記載の層110、120、130、140及び150を含むが、他の実施形態では、NN100は、任意の適切な追加又は代替の層を含んでもよい。
【0062】
一部の実施形態では、入力層110は、上記の図2で説明したランダムウォークの三角形のメッシュ内の位置を提供する。本実施例では、層110は3次元(3D)出力を有する。
【0063】
一部の実施形態では、ステップ102において、ランダムウォークは三角形のメッシュ上で始まり、歩行経路の長さは、ステップ104、106、及び108において徐々に増加する。
【0064】
一部の実施形態では、層120は、平坦化された入力(例えば、入力データを1次元配列に変換する)に対して動作する完全に接続された(fully-connected、FC)層を含み、その結果、各入力は、すべての利用可能なニューロンに接続される。本実施例では、層120は、1つ以上のFC層を含み、出力次元256を生成するように構成される。
【0065】
一部の実施形態では、RNN層130は、1つ以上の層を含み、層110及びFC層120の入力に基づいて、ステップ102~106で実行されたランダムウォークを記憶及び蓄積するように構成される。本実施例では、RNN層130は3つの層を含み、出力次元は512である。RNN層130では、ノード間の接続は、時系列に沿って有向グラフを形成する。更に、RNN層130は、それらの内部状態(メモリ)を使用して、ステップ102~108によって層110で提供された入力の可変長シーケンスを処理することができる。
【0066】
一部の実施形態では、RNN層130は、ステップ102~108のシーケンスに沿って知識を記憶及び蓄積するように構成され、固定長の入力又は出力に限定されない。RNN層130の出力は、層110の入力によって提供される、歩行に沿って収集された情報を含む状態ベクトルを含む。
【0067】
一部の実施形態では、層140は、多数のクラスを出力するように構成されたFC層を含む。本実施例では、層140は、心臓26の4つの室に対応する4つのクラスを出力することができる。
【0068】
一部の実施形態では、層140は、ステップ102~108のシーケンスに沿って蓄積された知識に基づいて、単一の記述子ベクトルを出力するように構成された予測層を含む。本実施例では、ベクトルは、識別された室、例えば、心臓26の左心房を含む。層140及び150は共に、三角形のメッシュによって形状が提供される物体、本実施例では、心臓26の腔又は室の中から選択されたLAの分類を提供することに留意されたい。
【0069】
一部の実施形態では、ステップ102及び104での層150の出力は、歩行中に収集された情報が不十分であるため、通常、無意味である。ステップ106での層150の出力は、心臓26の室の1つであってもよく、ステップ108での層150の出力は、心臓26のLAであり、これは、上記の三角形のメッシュでの歩行中に収集された蓄積された情報に基づいて識別される。
【0070】
上記の図2のステップ58で説明し、更にNN100のアーキテクチャ及び動作ステップで説明したように、プロセッサ34は、ニューラルネットワーク(例えば、NN100又はNNの任意の他の適切なアーキテクチャ)を適用して、部分解剖学的マッピングに基づいてLAを識別する。
【0071】
一部の実施形態では、NN100が部分解剖学的マッピングに基づいてLAを識別した後、プロセッサ34は、上記の図2のそれぞれのステップ60及び62で説明したように、選択されたGUIテンプレートを選択して(例えば、ディスプレイ35上に)表示することができる。GUIテンプレートは、事前に準備された複数のGUIテンプレートの中から選択され、心臓26の対応する室(例えば、左心房)に医療処置(例えば、組織アブレーション)を適用するために指定されることに留意されたい。
【0072】
NN100のこの特定のアーキテクチャは、NNアーキテクチャをより詳細に説明しているLahavらの前述の論文を参照して提供され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、NN100は、本発明の実施形態が対処する特定の問題を説明し、またシステム20の性能を向上させる際のこれらの実施形態の適用を明示するために、例として示されている。しかしながら、本発明の実施形態は、この特定の種類の例示的なニューラルネットワークに決して限定されるものではなく、本明細書に記載の原理は、必要な変更を加えて、他の種類の適切なタイプのニューラルネットワーク、並びにRNNと組み合わせても組み合わせなくてもよい他の適切なCNNのアーキテクチャにも同様に適用することができる。
【0073】
本明細書に記載の実施形態は主に、患者の心臓で行われる電気解剖学的マッピング及び組織アブレーションなどの電気生理学的(EP)処置に対処するが、本明細書に記載の方法及びシステムは、構造的心臓処置、及び心臓以外の患者の臓器に対して実施される任意のEP処置などの他の用途にも使用することができる。
【0074】
したがって、上記の実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、上記で特に示され、説明されたものに限定されないことが理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、上記の様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形及び修正を含む。参照により本特許出願に組み込まれる文献は、本出願の不可欠な部分と見なされるべきであり、ただし、これらの組み込まれた文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗黙的になされた定義と矛盾する方法で定義されている限り、本明細書における定義のみを考慮すべきである。
【0075】
〔実施の態様〕
(1) 電気生理学的処置のセットアップ時間を短縮するための方法であって、
医療処置を行うために、患者の臓器の腔にカテーテルを挿入することであって、前記腔は所与の腔タイプのものである、ことと、
前記カテーテルを使用して、前記腔の表面上の1つ以上の解剖学的点を訪れることによって、前記腔の部分解剖学的マッピングを実行することと、
前記部分解剖学的マッピングに基づいて、前記所与の腔タイプに前記医療処置を適用するために指定されたグラフィカルユーザインターフェース(GUI)テンプレートを選択することと、
前記腔内で前記医療処置を行うために、前記選択されたGUIテンプレートをユーザに提示することとを含む、方法。
(2) 前記GUIテンプレートを選択することが、複数のそれぞれの腔タイプに対して指定された複数のGUIテンプレートの中から前記GUIテンプレートを選択することを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記GUIテンプレートを選択することが、前記部分解剖学的マッピングに、1つ以上の腔の1つ以上の他の解剖学的マッピングを使用して事前にトレーニングされたニューラルネットワークを適用することを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記部分解剖学的マッピングを実行することが、前記訪れた解剖学的点の三角形メッシュを生成することを含み、前記GUIテンプレートを選択することは、前記事前にトレーニングされたニューラルネットワークを前記三角形メッシュに適用することを含む、実施態様3に記載の方法。
(5) 前記部分解剖学的マッピングにおける前記訪れた解剖学的点の第1の数が、前記ニューラルネットワークをトレーニングするために使用される解剖学的点の第2の数よりも小さい、実施態様3に記載の方法。
【0076】
(6) 前記1つ以上の腔のうちの少なくとも1つが、別の患者においてマッピングされる、実施態様3に記載の方法。
(7) 前記患者の臓器が患者の心臓を含み、前記医療処置が前記患者の心臓の組織のアブレーションを含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記患者の臓器が患者の心臓を含み、前記医療処置が前記患者の心臓の組織の電気解剖学的マッピングを含む、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記GUIテンプレートを選択することが、前記部分解剖学的マッピングに基づいて前記所与の腔タイプを識別することと、前記識別された腔タイプに基づいて前記GUIテンプレートを選択することとを含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記GUIテンプレートを選択することが、前記識別された腔タイプ及び前記医療処置のタイプに基づいて前記GUIテンプレートを選択することを含む、実施態様8に記載の方法。
【0077】
(11) 電気生理学的処置のセットアップ時間を短縮するためのシステムであって、
プロセッサであって、(i)所与の腔タイプの腔を有する患者の臓器に挿入され、前記腔の表面上の1つ以上の解剖学的点を訪れるカテーテルから、前記腔の部分解剖学的マッピングを受信することと、(ii)前記部分解剖学的マッピングに基づいて、前記所与の腔タイプに前記医療処置を適用するために指定されたグラフィカルユーザインターフェース(GUI)テンプレートを選択することと、を行うように構成された、プロセッサと、
出力装置であって、前記腔内で前記医療処置を行うために、前記選択されたGUIテンプレートをユーザに提示するように構成された、出力装置と、を備える、システム。
(12) 前記プロセッサが、複数のそれぞれの腔タイプに対して指定された複数のGUIテンプレートの中から前記GUIテンプレートを選択するように構成されている、実施態様11に記載のシステム。
(13) 前記プロセッサが、前記部分解剖学的マッピングに、1つ以上の腔の1つ以上の他の解剖学的マッピングを使用して事前にトレーニングされたニューラルネットワークを適用するように構成されている、実施態様11に記載のシステム。
(14) 前記プロセッサが、(i)前記訪れた解剖学的点の三角形メッシュを生成することによって前記部分解剖学的マッピングを実行することと、(ii)前記事前にトレーニングされたニューラルネットワークを前記三角形メッシュに適用することによって前記GUIテンプレートを選択することと、を行うように構成されている、実施態様13に記載のシステム。
(15) 前記部分解剖学的マッピングにおける前記訪れた解剖学的点の第1の数が、前記ニューラルネットワークをトレーニングするために使用される解剖学的点の第2の数よりも小さい、実施態様13に記載のシステム。
【0078】
(16) 前記1つ以上の腔のうちの少なくとも1つが、別の患者においてマッピングされる、実施態様13に記載のシステム。
(17) 前記患者の臓器が患者の心臓を含み、前記医療処置が前記患者の心臓の組織のアブレーションを含む、実施態様11に記載のシステム。
(18) 前記患者の臓器が患者の心臓を含み、前記医療処置が前記患者の心臓の組織の電気解剖学的マッピングを含む、実施態様11に記載のシステム。
(19) 前記プロセッサが、前記部分解剖学的マッピングに基づいて前記所与の腔タイプを識別することと、前記識別された腔タイプに基づいて前記GUIテンプレートを選択することと、を行うように構成されている、実施態様11に記載のシステム。
(20) 前記プロセッサが、前記識別された腔タイプ及び前記医療処置のタイプに基づいて前記GUIテンプレートを選択するように構成されている、実施態様19に記載のシステム。
図1
図2
図3
【外国語明細書】