(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024402
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】前駆体送達システムおよびそのための方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/448 20060101AFI20230209BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20230209BHJP
B01J 4/00 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
C23C16/448
H01L21/205
B01J4/00 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022125617
(22)【出願日】2022-08-05
(31)【優先権主張番号】63/230,456
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェレルド・リー・ウィンクラー
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ジェームズ・シェロ
【テーマコード(参考)】
4G068
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4G068AA02
4G068AB02
4G068AB03
4G068AC05
4G068AD39
4G068AE01
4G068AF01
4G068AF31
4K030EA01
4K030JA09
4K030JA10
4K030KA39
4K030KA41
4K030LA12
4K030LA15
5F045AA06
5F045AA15
5F045EC09
5F045EE02
5F045EE04
(57)【要約】
【課題】プロセスゾーン内の反応チャンバから遠隔の場所に前駆体容器を位置し、そして単一の反応チャンバに供給する能力を有する、大容量半導体処理システムを提供する。
【解決手段】固体または液体の前駆体供給源から大容量の気化した前駆体を送達するための半導体処理システムが開示される。システムは、キャリアガスを利用して、複数のプロセスモジュールが配置された、遠隔に位置するプロセスゾーンに気化した前駆体を供給する。システムは、圧力降下を低減し、かつ送達速度を増加させるように構成された第1のバッファボリュームおよび第2のバッファボリュームを備える。大容量の気化した前駆体を遠隔に位置するプロセスゾーンへと送達するための方法も開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理システムであって、
前駆体を収容するように構成された、前駆体原料容器と、
サブファブゾーン内に配置された第1のバッファボリュームであって、前記前駆体原料容器が前記気化した前駆体を前記第1のバッファボリュームに供給するように構成された、第1のバッファボリュームと、
前記サブファブゾーンとは別個の処理ゾーン内に位置する第2のバッファボリュームであって、前記第1のバッファボリュームが前記気化した前駆体を前記第2のバッファボリュームへと搬送するように構成された、第2のバッファボリュームと、
前記処理ゾーン内に位置する反応チャンバであって、前記第2のバッファボリュームが前記気化した前駆体を前記反応チャンバへと搬送するように構成された、反応チャンバと、を備える、半導体処理システム。
【請求項2】
複数の前駆体原料容器をさらに備える、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項3】
前記第1のバッファボリュームの入口が、1つ以上の容器出口制御弁を通して前記前駆体原料容器と流体連通し、かつ前記第1のバッファボリュームの出口が、前記第2のバッファボリュームと流体連通し、
前記第2のバッファボリュームが、前記気化した前駆体を前記反応チャンバへと分配するように構成される、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項4】
前記前駆体原料容器が、少なくとも1つの容器入口制御弁を通して圧力流量コントローラ(PFC)と流体連通して、前記原料容器にキャリアガスを提供するように構成され、前記PFCが、前駆体蒸気圧とキャリア制御圧力との比に基づいて、キャリアガス圧力を一定に維持するように構成される、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項5】
前記第1のバッファボリューム内の前記圧力を測定するように構成された圧力トランスデューサと、
少なくとも前記第1のバッファボリュームにおける測定された圧力のフィードバックに基づいて、前記少なくとも1つの容器入口制御弁および前記1つ以上の容器出口制御弁のうちの少なくとも1つの動作を制御するように構成されたコントローラと、をさらに備える、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項6】
前記コントローラが、前記第1のバッファボリューム内の前記圧力が所定の値を下回って降下する時に、前記第1のバッファボリュームを充填するように構成される、請求項5に記載の半導体処理システム。
【請求項7】
前記前駆体容器が、第1の温度範囲内に維持される容器温度ゾーン内に配置され、かつ前記サブファブゾーンが、第2の温度範囲内に維持されるキャビネット温度ゾーン内に配置される、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項8】
前記第2のバッファボリュームが、放射加熱、対流加熱、または接触加熱で加熱される、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項9】
前記第1のバッファボリュームおよび第2のバッファボリュームが、前記反応チャンバに対して1サイクルに使用される前駆体負荷の5~10倍を保存するようにサイズ設定される、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項10】
前記第2のバッファボリュームが、前記反応チャンバに近接近して配置される、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項11】
前記第1のバッファボリュームが、加熱された管によって前記第2のバッファに接続される、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項12】
半導体処理システムであって、
気化した前駆体を収容するように構成された、前駆体原料容器と、
前記前駆体原料容器から前記気化した前駆体を受容するように構成された第1のバッファボリュームと、
前記第1のバッファボリュームから前記気化した前駆体を受容するように構成された第2のバッファボリュームと、
前記第2のバッファボリュームと流体連通して位置する複数の反応チャンバと、を備える、半導体処理システム。
【請求項13】
前記第1のバッファボリュームの入口が、容器出口制御弁のうちの1つ以上を通して前記前駆体容器と流体連通し、かつ前記第1のバッファボリュームの出口が前記第2のバッファボリュームと流体連通し、
前記第2のバッファボリュームへと送達される前記気化した前駆体が、プラットフォームハブを通して各反応チャンバへと分配される、請求項12に記載の半導体処理システム。
【請求項14】
前記第1のバッファボリュームおよび第2のバッファボリュームは、同時に実行される前記プラットフォームハブ上の前記複数の反応チャンバすべてに対して、1サイクルに使用される5~10倍の前駆体負荷を保存するようにサイズ設定される、請求項13に記載の半導体処理システム。
【請求項15】
第3のバッファボリュームが前記プラットフォームハブに接続される、請求項14に記載の半導体処理システム。
【請求項16】
複数の前駆体原料容器をさらに備え、各前駆体原料容器が、少なくとも1つの容器入口制御弁を通してそれぞれの圧力流量コントローラ(PFC)と流体連通して、前記原料容器にキャリアガスを提供するように構成される、請求項13に記載の半導体処理システム。
【請求項17】
前記第1のバッファボリューム内の前記圧力を測定するように構成された圧力トランスデューサと、
少なくとも前記第1のバッファボリュームにおける測定された圧力のフィードバックに基づいて、前記少なくとも1つの容器入口制御弁および容器出口制御弁のうちの前記1つ以上の動作を制御するコントローラと、をさらに備える、請求項16に記載の半導体処理システム。
【請求項18】
前記第1のバッファボリュームが、第1の温度にてサブファブゾーン内に配置され、また前記第2のバッファボリュームが、前記サブファブゾーンから物理的に分離され、かつ第2の温度にて処理ゾーン内に位置する、請求項12に記載の半導体処理システム。
【請求項19】
前記第2のバッファボリューム内の前記圧力を測定するように構成された圧力トランスデューサと、
少なくとも前記第1のバッファボリューム内の測定された圧力のフィードバックに基づいて、前記少なくとも1つの容器入口制御弁および前記1つ以上の容器出口制御弁のうちの少なくとも1つの動作を制御するコントローラと、をさらに備え、前記第1のバッファボリューム内の前記圧力が所定の値を下回って降下する時に、前記コントローラが前記第2のバッファボリュームを充填するように構成される、請求項16に記載の半導体処理システム。
【請求項20】
半導体処理システムであって、
気化した前駆体を収容するように構成された、前駆体原料容器と、
第1の温度にてサブファブゾーン内に配置され、かつ前記前駆体原料容器から前記気化した前駆体を受容するように構成された第1のバッファボリュームと、
第2の温度にて処理ゾーン内に配置され、かつ前記第1のバッファボリュームから前記気化した前駆体を受容するように構成された第2のバッファボリュームであって、前記第2の温度が前記第1の温度より高い、第2のバッファボリュームと、
前記第2のバッファボリュームと流体連通して位置する複数の反応チャンバと、を備える、半導体処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野は、概して前駆体送達システムおよびそのための方法に関し、例えば、気化した前駆体を遠隔に位置するプロセスゾーンへと供給するためにキャリアガスを利用する、大容量気化前駆体送達システムが挙げられる。技術分野はまた、大容量の気化した前駆体を遠隔に位置するプロセスゾーンへと送達する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
半導体処理中に、様々な気化した前駆体が反応チャンバの中へと供給される。一部の用途では、周囲圧力および温度において固相または液相である好適な原料化学物質が原料容器内に提供される。これらの固体原料物質または液体原料物質は、蒸着などの反応プロセス用の気化した前駆体を生成するために、昇華または蒸発するように加熱されてもよい。化学蒸着(CVD)は、反応チャンバへの前駆体蒸気の連続的な流れの供給を要する場合があり、一方で原子層堆積(ALD)、パルスCVD、およびそれらの混成物は、所望の構成に依存して、時間分割および空間分割されたパルス化されたプロセスを含む、反応チャンバへの連続的な流れまたはパルス化された供給を要する場合がある。こうした固体物質からの気相前駆体はまた、半導体業界および様々な他の業界向けの他のタイプの化学反応(例えば、エッチング、ドーピングなど)のためにも有用である可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の実施形態の1つの目的は、プロセスゾーン内の反応チャンバから遠隔の場所に前駆体容器を位置し、そして単一の反応チャンバに供給する能力を有する、大容量半導体処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの実施形態では、システムは、前駆体を収容するように構成された前駆体原料容器を含んでもよい。周囲圧力および温度において、固相または液相でありうる前駆体が使用される。システムはまた、クリーンルームの外側に位置するサブファブゾーンに配置された第1のバッファボリュームも含んでもよい。前駆体原料容器は、気化した前駆体を第1のバッファボリュームに供給するように構成される。システムはまた、クリーンルーム内に位置し、かつサブファブゾーンから分離された、処理ゾーン内に位置する第2のバッファボリュームも含んでもよい。第1のバッファボリュームは、気化した前駆体を第2のバッファボリュームに搬送するように構成される。システムはまた、処理ゾーン内に位置する反応チャンバを含んでもよく、第2のバッファボリュームは、気化した前駆体を反応チャンバに搬送するように構成される。システムは、第1のバッファボリューム内の圧力を測定するように構成された圧力トランスデューサと、少なくとも1つの容器入口制御弁および1つ以上の容器出口制御弁のうちの少なくとも1つの動作を少なくとも第1のバッファボリューム内の測定された圧力のフィードバックに基づいて制御するコントローラとを、さらに含んでもよい。コントローラは、第1のバッファボリューム内の圧力が所定の値を下回って降下する時、第1のバッファボリュームを充填するように構成される。
【0005】
本開示の実施形態の1つ以上の態様の別の目的は、プロセスゾーン内の反応チャンバから遠隔の場所に前駆体容器を位置し、そして複数の反応チャンバに供給する能力を有する、大容量半導体処理システムを提供することである。
【0006】
1つの実施形態では、システムは、前駆体を収容するように構成された前駆体原料容器を含んでもよい。周囲圧力および温度において、固相または液相でありうる前駆体が使用される。システムはまた、クリーンルームの外側に位置するサブファブゾーンに配置された第1のバッファボリュームも含んでもよい。前駆体原料容器は、気化した前駆体を第1のバッファボリュームに供給するように構成される。システムはまた、クリーンルーム内に位置し、かつサブファブゾーンから分離された、処理ゾーン内に位置する第2のバッファボリュームも含んでもよい。第1のバッファボリュームは、気化した前駆体を第2のバッファボリュームに搬送するように構成される。システムはまた、処理ゾーン内に位置する反応チャンバも含んでもよく、第2のバッファボリュームは、気化した前駆体を各反応チャンバに搬送するように構成される。システムは、第1のバッファボリューム内の圧力を測定するように構成された圧力トランスデューサと、少なくとも1つの容器入口制御弁および1つ以上の容器出口制御弁のうちの少なくとも1つの動作を少なくとも第1のバッファボリューム内の測定された圧力のフィードバックに基づいて制御するコントローラとを、さらに含んでもよい。コントローラは、第1のバッファボリューム内の圧力が所定の値を下回って降下する時、第1のバッファボリュームを充填するように構成される。
【0007】
本開示の実施形態の1つ以上の態様のまた別の目的は、プロセスゾーン内の遠隔に位置する反応チャンバに大容量の気化した前駆体を送達するための方法を提供することである。
【0008】
1つの実施形態では、方法は、前駆体原料容器内に配置された前駆体を気化させることを含んでもよい。方法はまた、サブファブゾーン内に位置する第1のバッファボリュームに気化した前駆体を供給することを含んでもよい。方法はまた、気化した前駆体をサブファブゾーンとは別個の処理ゾーン内に位置する第2のバッファボリュームに搬送すること、および気化した前駆体をプロセスゾーン内の反応チャンバに搬送することも含んでもよい。方法は、少なくとも第1のバッファボリューム内の測定された圧力のフィードバックに基づいて、少なくとも1つの容器入口制御弁および少なくとも1つの容器出口制御弁の動作を制御することをさらに含んでもよい。さらに、本方法は、請求項28に記載の反応チャンバに気化した前駆体を送達することも含んでもよく、気化した前駆体をキャリアガスに同伴することをさらに含む。
【0009】
前述のおよび他の目的および利点は、以下の記述から明らかになるであろう。記述では、本明細書の一部を形成する添付図面への参照がなされ、またそこで開示された実施形態が実施されてもよい例示の特定の実施形態によって示される。これらの実施形態は、当業者が開示された実施形態を実施することができるように十分な詳細で記述され、また他の実施形態が利用されてもよく、かつ構造的な変化が開示された実施形態の範囲から逸脱することなくなされてもよいことが理解されるべきである。したがって、添付図面は、単に開示される実施形態の好ましい例証を示すものとして提出される。その結果、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味で取られるべきではなく、また開示された実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲によって最も良好に定義される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、1つの実施形態による、前駆体容器供給源および反応器チャンバを含む、第1のバッファボリュームにおける流れを制御するために提供された圧力トランスデューサおよび制御システムを有する、半導体処理装置の概略図である。
【
図2】
図2は、1つの実施形態による、前駆体容器供給源および反応器チャンバを含む、第2のバッファボリュームにおける流れを制御するために提供された圧力トランスデューサおよび制御システムを有する、半導体処理装置の概略図である。
【
図3】
図3は、複数の前駆体容器供給源および複数の反応器チャンバを含み、圧力トランスデューサおよび制御システムが第1のバッファボリューム内の流れを制御するために提供された、半導体処理装置の概略図である。
【
図4】
図4は、様々な実施形態による、半導体処理方法を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
複数のプロセスチャンバに前駆体を送達するように設計された送達システムは、大容量の固体または液体の前駆体供給源を備える可能性があり、これは、各プロセスチャンバ(反応チャンバとも称される)に対して専用のかさばる個々の前駆体容器エンクロージャを使用する。遠隔の蒸発または昇華アセンブリを提供することによって、プロセッシングシステムの設置面積を低減することができる。しかしながら、遠隔供給源とプロセスチャンバとの間の長い距離に起因して、原料容器とプロセスチャンバとの間に大きい圧力降下が生じて、送達量(流量)が制限され、また曝露時間が延びる可能性がある。一部の実装では、遠隔のシステムエンクロージャ内に位置するバッファボリュームを含むことができるが、これは、遠隔システムとプロセスチャンバとの間の長い距離に起因して、圧力および流量の損失には対処しない。気化した前駆体を反応チャンバへと同伴または搬送するためにキャリアガスが使用される場合(低揮発性前駆体に典型的な)、各プロセスチャンバへの一貫した送達を確保するために、追加の高温に適合する濃度測定および/または制御システムが提供される。
【0012】
以下に、開示された実施形態の装置および方法が、添付図面に示される好ましい実施形態によって詳細に記述される。別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0013】
以下の、開示された実施形態の発明を実施するための形態では、開示された実施形態の完全な理解を提供するために、数多くの具体的な詳細が記載される。しかしながら、開示された実施形態がこれらの具体的な詳細なしに実施されてもよいことは、当業者には明らかであろう。他の例では、周知の方法、手順、構成要素、および機構は、開示された実施形態の態様を不必要に不明瞭にしないように詳細には記述されていない。
【0014】
図1は、1つの実施形態による半導体処理システム1の概略的なシステム図である。半導体処理システム1は、前駆体化学物質、例えば、固体または液体の前駆体を含有するように構成された前駆体原料容器2を備えることができる。前駆体原料容器2は、第1の温度範囲内に維持される容器温度ゾーン16内に配置され、これは固体前駆体原料粒子の気化した前駆体への昇華、または液体前駆体原料の気化した前駆体への蒸発を引き起こすことができる。前駆体原料容器2は、少なくとも1つの容器入口制御弁7を通して圧力流量コントローラ(PFC)10と流体連通して、キャリアガスを受容するように構成することができる。PFC10は、前駆体蒸気圧とキャリア制御圧力との比に基づいて、キャリアガス圧力を一定に維持するように構成することができる。PFC10は、キャリアガス用に圧力コントローラを備えることができ、また圧力ゲージ付きの制御可能なオリフィスおよびキャリアガスの圧力を制御する制御要素を有することができ、そして圧力および流量の両方をモニターすることができる。PFCの使用は、ユーザーが、前駆体原料容器2から出る前駆体に対する担体の濃度および比を、タイミングなどに依存することなく制御することを可能にする。PFCの使用は、原料容器から外へ出る前駆体の濃度、前駆体に対する担体の比の制御を、タイミングなどに依存することなく、可能にする。
【0015】
加えて、圧力トランスデューサ6によって測定された第1のバッファボリューム3または第2のバッファボリューム4の圧力に基づいて、弁の入口および出口を開くための閉ループ制御プロセスを利用することができる。例えば、第1のバッファボリューム3または第2のバッファボリューム4に対する設定点が設定され、そして前駆体をプラットフォームハブ12に送達する動作中に、圧力が設定点を下回って降下すると、容器出口制御弁8が閉ループの様態でトリガされて、第1のバッファボリューム3に連続的に供給する。
【0016】
前駆体蒸気を反応チャンバ5へと搬送するように、気化した前駆体を同伴するために、キャリアガスを、前駆体原料容器2へと供給することができる。キャリアガスは、窒素ガスまたはアルゴンガスなどの任意の好適な不活性ガスとすることができる。キャリアガスの流量を調整するために、少なくとも1つのキャリアガス供給弁7を、ガス供給ラインに沿って提供することができる。
図1の実施形態では、システム1は、単一の原料容器2を含むことができる。しかしながら、
図3に示すように、半導体処理システム1は、一部の実施形態では、複数の前駆体原料容器を備えることができる。一部の実施形態では、前駆体原料容器2の各々は、同じ前駆体を保持してもよく、そして枯渇した容器から充填された容器へと切り換えることによってシームレスな動作を可能にするように、独立したキャリアガス供給源を有してもよく、これにより使用されていない容器に対して保守を実施することができる。
【0017】
第1のバッファボリューム3は、ポンプおよび他のユーティリティが位置する、サブファブゾーン11内に配置することができる。一部の実施形態では、サブファブゾーン11は、反応チャンバ5が配置される処理ゾーン13から物理的に分離することができる。例えば、一部の実施形態では、サブファブゾーン11は、処理ゾーン13(例えば、クリーンルーム)が配置される床の下に配置することができる。しかしながら、他の実施形態では、サブファブゾーン11は、処理ゾーン13から物理的に分離された、任意の他の好適な場所に位置することができる。例えば、サブファブゾーン11は、第1の温度範囲とは異なる第2の温度範囲内に維持されるように、キャビネット温度ゾーン17内に配置することができる。他の実施形態では、キャビネット温度ゾーン17は、第1の温度範囲と部分的にまたは完全に重複する第2の温度範囲内に維持することができる。一般的に、容器温度ゾーン16内の前駆体原料容器2は、サブファブゾーン11および処理ゾーン13の温度より低い温度に維持され、またサブファブゾーン11における温度は、処理ゾーン13の温度より低い。気化した前駆体は、前駆体原料容器2から第1のバッファボリューム3へと提供することができる。第2のバッファボリューム4は、サブファブゾーン11とは別個の処理ゾーン13内に配置することができ、これは第2のバッファボリューム4が加熱されるように、放射、対流、または接触加熱を有する通気されたキャビネット内に位置する。第1のバッファボリューム3の入口は、1つ以上の容器出口制御弁8および第1のバッファ入口弁14を通して、前駆体原料容器2と流体連通することができる。第1のバッファボリューム3の出口は、第1のバッファボリューム3から第2のバッファボリューム4へと気化した前駆体を搬送するために、第2のバッファボリューム4と流体連通することができる。第1のバッファボリューム3は、加熱された管18によって第2のバッファ4へと接続することができる。
【0018】
半導体処理システム1は、処理ゾーン13内に位置する反応チャンバ5を備えることができる。第2のバッファボリューム4は、反応チャンバ5に近接近して配置することができ、また遠隔の前駆体供給源からの圧力降下を低減することができるように、気化した前駆体を反応チャンバ5に搬送するように構成することができる。第2のバッファボリューム4は、プラットフォームハブ12の一番上になるようにすることができ、そして反応チャンバ5へと供給することができる。プラットフォームハブ12は、接続点を備える通気されたキャビネットである。第1のバッファボリュームおよび第2のバッファボリュームは、反応チャンバ5に対して1サイクルに使用される前駆体負荷の5~10倍を保存するようにサイズ設定することができる。第1のバッファボリューム3および第2のバッファボリューム4は、ガスが蓄積されると各バッファボリューム内に圧力を蓄積する(キャパシタがどのように電荷を蓄積するかに類似して)種類の流体キャパシタとして作用することができる。コントローラ9は、弁に命令を送信して、バッファボリュームに前駆体を供給して、堆積のために所望の値まで圧力を蓄積する。
図1の実施形態では、システム1は、一部の実施形態では、単一の反応チャンバ5を含むことができる。他の実施形態では、
図3に示すように、半導体処理システム1は、複数の反応チャンバ5を備えることができ、また第3のバッファボリューム19は、プラットフォームハブ12に接続することができる。
【0019】
半導体処理システム1は、第1のバッファボリューム3内の圧力を測定するように構成された圧力トランスデューサ6と、容器入口制御弁(複数可)7および容器出口制御弁(複数可)8のうちの少なくとも1つの動作を制御するように構成されたコントローラ9とをさらに備えることができる。動作中に、圧力トランスデューサ6は第1のバッファボリューム3の圧力をモニターし、そして測定された圧力をコントローラ9へと伝送することができる。容器入口制御弁7および容器出口制御弁8がバイナリオン/オフ弁を備える実施形態では、測定された圧力に基づいて、コントローラ9は、容器入口制御弁7および/または容器出口制御弁8へと命令を送信して弁を開くまたは閉じることができる。弁7および/または8が調整可能な弁である実施形態では、コントローラ9は、弁7および/または8へと命令を送信して、弁7および/または8の流体コンダクタンスを連続的に調整することができる。コントローラ9は、第1のバッファボリューム3内の圧力が所定の圧力値を下回って降下すると、第1のバッファボリューム3を充填する命令を送信することができる。
【0020】
例えば、様々な実施形態では、閉ループ制御システムは、圧力トランスデューサ8によって測定された第1のバッファボリューム3の圧力のフィードバックに基づいて、弁7および/または弁8の開放および/または閉鎖を制御する(例えば、弁タイミング、周波数など)ことができる。様々な実施形態で、例えば、容器入口制御弁7および/または容器出口制御弁8の動作を制御するために比例・積分・微分(PID)コントローラを使用することができる。一部の実施形態では、コントローラ9は、第1のバッファボリューム3に対する所望の圧力を達成または維持するために、容器出口制御弁8が開いている持続時間を決定することができ、これはPIDまたは他のコントローラに提供される。
【0021】
様々な実施形態では、本システムで使用される配管、弁、およびフィルターは、圧力降下を低減または最小化するための大きい流量係数(Cv)を有することができる。例えば、直径1/2インチまたは3/8インチの配管および3/8インチの供給モジュールを使用することができる。
【0022】
図1では、システム1は、コントローラ9が、サブファブゾーン11内の第1のバッファボリューム3の圧力をモニターおよび/または制御する閉ループ制御システムを含む。
図2に示すように、一部の実施形態では、圧力トランスデューサ6は、追加的または代替的に、第2のバッファボリューム4内の圧力を測定するように構成することができ、またコントローラ9は、少なくとも第2のバッファボリューム4における測定された圧力のフィードバックに基づいて、容器入口制御弁(複数可)7および容器出口制御弁(複数可)8のうちの少なくとも1つの動作を制御するように構成することができる。コントローラ9は、第2のバッファボリューム4内の圧力が所定の値を下回って降下する時に、第2のバッファボリューム4を充填するように命令を送信することができる。さらに他の実施形態では、第1のバッファボリューム3および第2のバッファボリューム4の両方のそれぞれの圧力(複数可)をモニターするために、圧力トランスデューサを使用することができることが理解されるべきである。こうした実施形態では、1つ以上のコントローラは、両方のバッファボリューム3、4に対するフィードバック制御を提供するように構成することができる。
【0023】
図4は、様々な実施形態による、遠隔に位置するプロセスゾーン13内の反応チャンバ5へと気化した前駆体を送達するための方法を例示するフローチャートである。方法30は、ブロック31で始まり、ここで前駆体原料容器2内に配置された固体または液体の前駆体は、例えば、前駆体原料材料の昇華温度または蒸発温度を上回る温度に加熱される昇華または蒸発プロセスを通して気化される。
【0024】
ブロック32では、不活性キャリアガスは、反応チャンバ5への送達のために、気化した前駆体をキャリアガスに同伴するために、前駆体原料容器2へと提供される。アルゴン(Ar)ガスまたは窒素(N2)ガスなどの任意の好適な不活性キャリアガスを使用することができる。前駆体原料容器2の中へと流れるキャリアガスの流れは、流量コントローラによって測定することができ、流量モニター付き圧力コントローラ(PFC)10などを使用することができる。
【0025】
ブロック33では、気化した前駆体を、容器温度ゾーン16内の前駆体原料容器2から、サブファブゾーン11内の第1のバッファボリューム3へと供給することができる。上記に説明したように、サブファブゾーン11は、クリーンルームを含むことができるプロセスゾーン13から物理的および熱的に分離することができる。ブロック34に移動すると、第1のバッファボリューム3内の圧力は、圧力トランスデューサ6によって測定することができる。フィードバック制御方法は、圧力をモニターし、そして第1のバッファボリューム3内の圧力が所定の値を下回って降下する時に、容器入口制御弁(複数可)7および容器出口制御弁(複数可)8のうちの少なくとも1つを動作することによって、第1のバッファボリューム3を充填するために使用することができる。
【0026】
ブロック35では、気化した前駆体は、処理ゾーン13内の第2のバッファボリューム4へと搬送することができる。圧力トランスデューサ6は、第2のバッファボリューム4内に配置することができ、またブロック34の動作は、第2のバッファボリューム34の圧力を制御するために、ブロック35の後に実施することができる。ブロック36では、気化した前駆体は、処理ゾーン13内の反応チャンバ5へと搬送することができる。一部の実施形態では、
図3に示すように、気化した前駆体は、対応する複数の加熱された管によって、複数の異なる反応チャンバ5へと送達することができる。
【0027】
この開示の目的のために、ある特定の態様、利点、および新規の特徴が本明細書に記述される。必ずしもすべてのこうした利点が任意の特定の実施形態に従って達成されるとは限らない。それ故に、例えば、当業者は、本開示が、本明細書で教示または示唆される場合がある他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示されるように1つの利点または利点の群を達成する様態で具体化または実行される場合があることを認識するであろう。
【0028】
「することができる(can)」、「可能である(could)」、「してもよい(might)」、「してもよい(may)」などの条件付きの言葉は、具体的にそうではないと述べられていない限り、または使用されている文脈内で別段の理解がない限り、ある特定の実施形態はある特定の特徴、要素、および/または工程を含むが、他の実施形態はこれらを含まないことを伝えることを一般的に意図している。それ故に、こうした条件付きの言葉は、特徴、要素、および/もしくは工程がいかなるやり方でも1つ以上の実施形態において必要とされること、または1つ以上の実施形態が、ユーザーの入力もしくは指示の有無にかかわらず、これらの特徴、要素および/もしくは工程が任意の特定の実施形態に含まれるまたは実施されるかどうかを決定するためのロジックを必ず含むことを示唆することを一般的に意図していない。
【0029】
「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」という句などの接続語は、特に別段の具体的な記載のない限り、そうでなければアイテム、用語などがX、Y、またはZのいずれかであってもよいことを伝えるために一般的に使用される文脈で理解される。それ故に、こうした接続語は、ある特定の実施形態が、Xのうちの少なくとも1つ、Yのうちの少なくとも1つ、およびZのうちの少なくとも1つの存在を必要とすることを示唆することを一般に意図するものではない。
【0030】
「おおよそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語などの本明細書で使用される、程度を表す言葉は、本明細書で使用される場合、依然として所望の機能を実施する、または所望の結果を達成する、記載された値、量、もしくは特性に近い値、量、もしくは特性を表す。例えば、「おおよそ」、「約」、「一般的に」、および「実質的に」という用語は、記載された量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、および0.01%未満以内の量を指す場合がある。
【0031】
本開示の範囲は、この節または本明細書内のいずれかで好ましい実施形態の特定の開示によって限定されることを意図せず、またこの節もしくは本明細書のいずれかで提示される、または将来提示される特許請求の範囲によって定義されてもよい。特許請求の範囲の言葉は、特許請求の範囲で採用される言葉に基づいて適正に解釈されるべきであり、本明細書にまたは出願手続き中に記述された実施例に限定されず、その実施例は非限定的であると解釈されるべきである。
【外国語明細書】