(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024428
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】太陽電池及びその製造方法、太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0236 20060101AFI20230209BHJP
H01L 31/0216 20140101ALI20230209BHJP
【FI】
H01L31/04 280
H01L31/04 240
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176074
(22)【出願日】2022-11-02
(62)【分割の表示】P 2022084397の分割
【原出願日】2021-08-25
(31)【優先権主張番号】202110895225.8
(32)【優先日】2021-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521376620
【氏名又は名称】上海晶科緑能企業管理有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】于 ▲くん▼
(72)【発明者】
【氏名】劉 長 明
(72)【発明者】
【氏名】張 ▲きん▼ 宇
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151AA02
5F151AA03
5F151AA04
5F151AA05
5F151CB19
5F151CB20
5F151DA03
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5F151GA04
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5F151GA15
5F151HA20
5F151JA02
5F251AA02
5F251AA03
5F251AA04
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5F251GA14
5F251GA15
5F251HA20
5F251JA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、太陽電池及びその製造方法、太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】太陽電池は、後面に第1テクスチャ構造12を有する半導体基板10と、半導体基板10の前面に位置する第1パッシベーション層20と、第1テクスチャ構造12上に位置するトンネル酸化層30と、トンネル酸化層30の表面に位置するドープ導電層40と、ドープ導電層40の表面に位置する第2パッシベーション層50とを含み、第1テクスチャ構造12は、少なくとも部分的に積み重ねられた2つ又は複数の第1サブ構造を含み、該少なくとも部分的に積み重ねられた2つ又は複数の第1サブ構造は、後面から遠く離れ且つ後面に垂直である方向において、最外側の第1サブ構造の頂部表面とそれに隣接する第1サブ構造の頂部表面との距離が、2μm以下である。本願の太陽電池及び太陽電池モジュールは、太陽電池の開放電圧を向上し、接触抵抗を低下することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後面に非ピラミッド状の微構造、前面にピラミッド状の微構造を有するN型半導体基板と、
前記N型半導体基板の前面におけるピラミッド状の微構造上に位置する第1パッシベーション層と、
前記N型半導体基板の後面における非ピラミッド状の微構造上に位置するトンネル酸化層と、
前記トンネル酸化層の表面に位置するドープ導電層と、
前記ドープ導電層の表面に位置する第2パッシベーション層と、を含む太陽電池であって、
前記非ピラミッド状の微構造は、少なくとも部分的に積み重ねられた2つ又は複数の第1サブ構造、及び互いに積み重ねられずに隣接して配列される2つ又は複数の第2サブ構造を含み、
前記第1サブ構造及び前記第2サブ構造の頂部表面は、多角形平面であり、
前記ピラミッド状の微構造は、前記半導体基板の前面から遠く離れる頂部と、前記半導体基板の前面に近づく底部とを有し、
前記前面から遠く離れ且つ前記前面に垂直である方向において、前記ピラミッド状の微構造の頂部と底部との距離が5μm以下である、ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記少なくとも部分的に積み重ねられた2つ又は複数の第1サブ構造は、前記後面から遠く離れ且つ前記後面に垂直である方向において、最外側の第1サブ構造の頂部表面とそれに隣接する第1サブ構造の頂部表面との距離は、2μm以下である、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記少なくとも部分的に積み重ねられた2つ又は複数の第1サブ構造のうち、最外側の第1サブ構造の頂部表面の1次元寸法が45μm以下である、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第1サブ構造の頂部表面は、菱形、方形、台形、略菱形、略方形、略台形のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記後面から遠く離れる前記第2サブ構造の頂部表面の1次元寸法は、45μm以下である、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記トンネル酸化層は、酸化シリコン層、酸化アルミニウム層、酸窒化シリコン層、酸化モリブデン層、及び酸化ハフニウム層のうちの少なくとも1つを含み、
前記トンネル酸化層の厚さは、0.8nm~2nmである、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記トンネル酸化層のバンドギャップ幅は、3.0eV超である、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記N型半導体基板の前面にP型ドープ層が形成された、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記第1パッシベーション層は、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化アルミニウム層、酸窒化シリコン層のうちの少なくとも1つを含み、厚さが10~120nmである、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記第1パッシベーション層は、酸化アルミニウム層と窒化シリコン層との積層パッシベーション構造であり、
前記酸化アルミニウム層の厚さは2nm~10nmであり、前記窒化シリコン層の厚さは50nm~110nmである、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記第1パッシベーション層は、順に積層設置された酸化アルミニウム層、窒化シリコン層及び酸窒化シリコン層の積層パッシベーション構造であり、
前記酸化アルミニウム層の厚さ範囲は2nm~10nmであり、前記窒化シリコン層の厚さ範囲は40nm~80nmであり、前記酸窒化シリコン層の厚さ範囲は10nm~60nmである、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記ドープ導電層は、N型ドープ多結晶シリコン層であり、
前記ドープ導電層の厚さは、60nm~200nmである、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記第2パッシベーション層は、酸化シリコン層、窒化シリコン層、及び酸窒化シリコン層のうちの少なくとも1つを含み、厚さが70~120nmである、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の太陽電池を含む太陽電池ストリングを複数備える太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、光起電力効果による電池の技術分野に関し、具体的に、太陽電池及びその製造方法、太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
N型TOPCon(Tunnel Oxide Passivated Contact;トンネル酸化膜パッシベーションコンタクト)電池は、「トンネル効果」により後面パッシベーションコンタクトを実現する。TOPCon電池を製造する際に、シリコン片表面にホウ素を拡散させた後、ホウケイ酸ガラスが形成され、その洗浄除去の難度は、通常のPERC電池におけるリンケイ酸ガラスよりも難しい。通常、N型電池の後面におけるホウケイ酸ガラスは、酸化性を有する混酸溶液で除去され、表面の洗浄乾燥後、トラフ式又はチェーン式の酸性添加剤による後面研磨を行う。研磨後のシリコン片の後面は、平坦な構造を有し、研磨後の後面の構造は、トンネル酸化層及び多結晶シリコン層の製造に影響を直接に与えられ、さらに電池のパッシベーション性能及び電池の変換効率に影響を与えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記に鑑みて、本発明は、電池基板の表面上のテクスチャ構造のマッチングにより、太陽電池の開放電圧を向上させ、金属電極の接触抵抗を低下させ、電池の変換効率を向上させることが可能な太陽電池及びその製造方法、太陽電池モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1態様により、太陽電池を提供する。
【0005】
該太陽電池は、
後面に第1テクスチャ構造を有する半導体基板と、
前記半導体基板の前面に位置する第1パッシベーション層と、
前記半導体基板の後面における第1テクスチャ構造に位置するトンネル酸化層と、
前記トンネル酸化層の表面に位置する、前記半導体基板と同じ導電型のドーピング元素を有するドープ導電層と、
前記ドープ導電層の表面に位置する第2パッシベーション層と、を含み、
前記半導体基板の後面における第1テクスチャ構造は、少なくとも部分的に積み重ねられた2つ又は複数の第1サブ構造を有し、
前記少なくとも部分的に積み重ねられた2つ又は複数の第1サブ構造は、前記後面から遠く離れ且つ前記後面に垂直である方向において、最外側の第1サブ構造の頂部表面とそれに隣接する第1サブ構造の頂部表面との距離は、2μm以下であり、前記最外側の第1サブ構造の頂部表面の1次元寸法は、45μm以下であることを特徴とする。
【0006】
1つの可能な実施形態では、前記半導体基板の前面は、第2テクスチャ構造を有する。該第2テクスチャ構造は、ピラミッド状の微構造を有し、該ピラミッド状の微構造は、前記半導体基板の前面から遠く離れる頂部と、前記半導体基板の前面に近づく底部とを含む。前記ピラミッド状の微構造は、前記前面から遠く離れ且つ前記前面に垂直である方向において、頂部と底部との距離が5μm以下である。
【0007】
1つの可能な実施形態では、前記少なくとも部分的に積み重ねられた2つ又は複数の第1サブ構造は、前記後面から遠く離れ且つ前記後面に垂直である方向において、最外側の第1サブ構造の頂部表面とそれに隣接する第1サブ構造の頂部表面との距離が、0.3μm~1.2μmである。
【0008】
1つの可能な実施形態では、前記最外側の第1サブ構造の頂部表面の平均1次元寸法は、10μm~15μmである。
【0009】
1つの可能な実施形態では、前記最外側の第1サブ構造の頂部表面におけるトンネル酸化層の厚さは、前記最外側の第1サブ構造の側部表面におけるトンネル酸化層の厚さよりも小さい。
【0010】
1つの可能な実施形態では、前記最外側の第1サブ構造の頂部表面におけるトンネル酸化層と前記最外側の第1サブ構造の側部表面におけるトンネル酸化層との厚さの差は、0.15nm以下である。
【0011】
1つの可能な実施形態では、前記第1テクスチャ構造は、さらに互いに積み重ねられずに隣接する2つ又は複数の第2サブ構造を有し、前記後面から遠く離れる前記第2サブ構造の頂部表面の1次元寸法は、45μm以下である。
【0012】
1つの可能な実施形態では、前記第1サブ構造及び/又は前記第2サブ構造の頂部表面は、多角形平面である。
【0013】
1つの可能な実施形態では、前記多角形平面の形状は、菱形、方形、台形、略菱形、略方形、略台形のうちの少なくとも1つを含む。
【0014】
1つの可能な実施形態では、前記トンネル酸化層は、酸化シリコン層、酸化アルミニウム層、酸窒化シリコン層、酸化モリブデン層及び酸化ハフニウム層のうちの少なくとも1つを含む。前記トンネル酸化層の厚さは、0.8nm~2nmである。
【0015】
1つの可能な実施形態では、前記第2パッシベーション層は、窒化シリコン層、酸化シリコン層、酸窒化シリコン層のうちの少なくとも1つを含む。前記第2パッシベーション層の厚さは、70nm~120nmである。
【0016】
1つの可能な実施形態では、前記第1パッシベーション層は、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化アルミニウム層、酸窒化シリコン層のうちの少なくとも1つを含む。
【0017】
1つの可能な実施形態では、前記半導体基板は、N型単結晶シリコン基板であり、前記ドープ導電層は、N型ドープ多結晶シリコン層、N型ドープ微結晶シリコン層、又はN型ドープアモルファスシリコン層であり、前記ドープ導電層の厚さは、60nm~200nmである。
【0018】
本発明の第2態様により、太陽電池モジュールを提供する。該太陽電池モジュールは、複数の太陽電池ストリングを含み、前記太陽電池ストリングは、上記第1態様にかかる太陽電池を含む。
【0019】
本発明の第3態様により、太陽電池の製造方法を提供する。該太陽電池の製造方法は、 半導体基板に対してテクスチャリング処理を行い、前記半導体基板の前面に、ピラミッド状の微構造を含む第2テクスチャ構造を形成する工程と、
テクスチャリング後の半導体基板の前面に対してドーピング処理を行い、ドープ層を形成する工程と、
アルカリ溶液を用いて半導体基板の後面に対して研磨処理を行うことで、前記半導体基板の後面に第1テクスチャ構造を形成する工程と、
前記半導体基板の後面における第1テクスチャ構造上にトンネル酸化層を形成する工程と、
前記トンネル酸化層の表面に多結晶シリコン層を堆積形成し、前記多結晶シリコン層に対してドーピング処理を行い、前記半導体基板と同じ導電型のドーピング元素を有するドープ導電層を形成する工程と、
前記半導体基板の前面に第1パッシベーション層を形成する工程と、
前記ドープ導電層の表面に第2パッシベーション層を形成する工程とを含み、
前記第1テクスチャ構造は、少なくとも部分的に積み重ねられた2つ又は複数の第1サブ構造を有し、
前記少なくとも部分的に積み重ねられた2つ又は複数の第1サブ構造は、前記後面から遠く離れ且つ前記後面に垂直である方向において、最外側の第1サブ構造の頂部表面とそれに隣接する第1サブ構造の頂部表面との距離が2μm以下であり、前記最外側の第1サブ構造の頂部表面の1次元寸法が45μm以下であることを特徴とする。
【0020】
1つの可能な実施形態では、前記アルカリ溶液を用いて半導体基板の後面に対して研磨処理を行うことは、
5質量%~15質量%のアルカリ溶液を用いて前記半導体基板の後面を洗浄し、多孔質シリコンを除去することと、
スプレー方式で前記アルカリ溶液の微小液滴を前記半導体基板の後面に滴下して粗化処理を行い、そして5質量%~10質量%のフッ化水素酸で予備洗浄を行うことと、
研磨液を用いて前記半導体基板の後面に対して研磨を行い、研磨温度が、70℃~80℃であり、研磨時間が260s未満であり、ただし、前記研磨液は、NaOHを1質量%~15質量%、KOHを1質量%~15質量%、及び添加剤を0.5質量%~2.5質量%含むことと、
水酸化カリウムを5質量%~15質量%、及び過酸化水素を15質量%~40質量%含む混合液を用いて前記研磨液に含まれる有機成分を除去することと、
研磨後の半導体基板を水洗、乾燥処理することとを含む。
【0021】
1つの可能な実施形態では、前記トンネル酸化層を形成する工程は、以下の特徴(1)~(5)のうちの少なくとも1つを満たす。
【0022】
(1)変温式プロセス及び化学気相堆積法によって前記半導体基板の後面の第1テクスチャ構造上に前記トンネル酸化層を堆積形成する;
(2)前記トンネル酸化層を堆積形成する過程中に、昇温速度を0.5℃/min~3℃/minに、堆積温度を560℃~620℃に、堆積時間を3min~10minに制御する;
(3)前記トンネル酸化層の堆積温度は、前記多結晶シリコン層の堆積温度よりも低い;
(4)前記トンネル酸化層は、酸化シリコン層、酸化アルミニウム層、酸窒化シリコン層、酸化モリブデン層及酸化ハフニウム層のうちの少なくとも1種を含む;
(5)前記トンネル酸化層の厚さは、0.8nm~2nmである。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、少なくとも以下の優れた効果を有する。
【0024】
半導体基板の後面における第1テクスチャ構造中のサブ構造の距離を適合な範囲内に制御することにより、半導体基板の後面の粗さを適切な範囲にさせることを確保することができ、第1テクスチャ構造上に形成されたトンネル酸化層の均一性を向上することに有利であり、形成されたトンネル酸化層は、性能がより良くなり、さらにドープ導電層の局所
ドーピング濃度が高くなることを抑制し、接触抵抗率を低下し、太陽電池の開放電圧を向上し、フィルファクター及び光電変換効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の実施例又は従来技術の方案をより明確に説明するために、以下には実施例又は従来技術の方案に関する説明に必要な図面を簡単に説明する。当業者であれば明らかに分かるように、以下に説明する図面は、本発明の一部の実施例を示すものであり、創造的労力を必要とせずにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【
図1】本願の一つの実施例による太陽電池の製造方法の構造模式図である。
【
図2】本願の一つの実施例による太陽電池の半導体基板の前面における第2テクスチャ構造の電子顕微鏡写真である。
【
図3】本願の一つの実施例による太陽電池の半導体基板の後面における第1テクスチャ構造の電子顕微鏡写真である。
【
図4a】本願の一つの実施例による太陽電池の半導体基板の後面における第1テクスチャ構造中の第1サブ構造の構造模式図である。
【
図4b】本願の一つの実施例による太陽電池の半導体基板の後面における第1テクスチャ構造中の別の第1サブ構造の構造模式図である。
【
図5】本願の一つの実施例による太陽電池の半導体基板の後面における第1テクスチャ構造中のサブ構造の構造模式図である。
【
図6】本願の一つの実施例による太陽電池の半導体基板の後面における第1テクスチャ構造上のトンネル酸化層の構造模式図である。
【
図7a】本願の一つの実施例による太陽電池モジュールの構造模式図である。
【
図7b】本願の一つの実施例による太陽電池モジュールの上面図である。
【
図8】本願の一つの実施例による太陽電池の製造方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明をよりよく理解するために、以下、図面を参照しながら本発明の実施例を詳細に説明する。
【0027】
なお、説明する実施例は、本願の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。当業者が本発明の実施例に基づき創造的労力を必要とせずに得られる他の全ての実施例は、本願の保護範囲に収まると理解される。
【0028】
本発明の実施例に使用される用語は、特定の実施例を説明するためのものであり、本発明を限定するために使用することを意図しない。本発明の実施例及び添付の特許請求の範囲に使用される単数形の「前記」及び「当該」は、文脈により特に他の意味を示すことがない限り、複数形の意味も含むと理解される。
【0029】
なお、ここで使用される用語「及び/又は」は、単に関連対象を記述する関連関係を示し、3つの関係があり得ると意味する。例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在し、AとBが同時に存在し、Bが単独で存在するという3つの状況を示すことができる。また、ここで、符号「/」は、一般的に前後に関連する対象が「又は」の関係であると意味する。
【0030】
TOPCon電池は、「トンネル効果」によって後面のパッシベーション化を実現する。従来のTOPCon電池の後面の構造は、内から外に、半導体基板、トンネル酸化層、ドープ導電層、後面パッシベーション層の順である。N型TOPCon電池(接触パッシベーション電池)の製造中には、ホウ素が拡散してBSGホウケイ酸ガラスが形成された後、ホウケイ酸ガラスの洗浄除去は、リンケイ酸ガラスよりも難しく、通常、酸化性を有する混酸溶液を用いてその除去を行い、表面の洗浄乾燥後、後面研磨を行う。現在、半導
体基板の後面の研磨後の状態は、ナノレベルの厚さを有する極薄トンネル酸化層に一定の影響を与えることができ、トンネル酸化層と半導体基板との間の接触抵抗率が高くなることを引き起こしやすく、太陽電池のフィルファクターの不安定さを引き起こしやすく、電池の光電変換効率に影響を与えることが可能である。
【0031】
上記に基づき、本発明の第1態様により、
図1に示される太陽電池を提供する。該太陽電池は、
後面に第1テクスチャ構造12を有し、前面にピラミッド状の微構造を含んでもよい第2テクスチャ構造11を有する半導体基板10と、
半導体基板10の前面に位置する第1パッシベーション層20と、
半導体基板10の後面における第1テクスチャ構造上に位置するトンネル酸化層30と、
トンネル酸化層30の表面に位置する、前記半導体基板と同じ導電型のドーピング元素を有するドープ導電層40と、
ドープ導電層40の表面に位置する第2パッシベーション層50と、を含み、
前記第1テクスチャ構造12は、少なくとも部分的に積み重ねられた2つ又は複数の第1サブ構造を含み、
前記少なくとも部分的に積み重ねられた2つ又は複数の第1サブ構造は、前記後面から遠く離れ前記後面に垂直である方向において、最外側の第1サブ構造の頂部表面とそれに隣接する第1サブ構造の頂部表面との距離は、2μm以下であり、前記最外側の第1サブ構造の頂部表面の1次元寸法は、45μm以下であることを特徴とする。
【0032】
半導体基板10の前面とは、受光面、即ち、太陽光線による照射を受ける表面(受光面)を指し、半導体基板10の後面とは、前記前面に反対する表面を指す。いくつかの実施例では、前記形成された太陽電池は、片面型であり、前記前面は受光面、後面は非受光面であってもよい。いくつかの実施例では、前記形成された太陽電池は、両面型であり、前記前面及び後面は、いずれも受光面であってもよい。
【0033】
本発明の選択可能な方案として、半導体基板10は、N型結晶シリコン基板(又はシリコン片)であり、高温拡散、ペーストによるドーピング、又はイオン注入のうちのいずれか1つまたは複数のプロセスにより、半導体基板の前面にP型ドープ層を形成して、前記半導体基板10にPN接合を形成する。いくつかの実施例では、前記半導体基板10は、単結晶シリコン基板、多結晶シリコン基板、微結晶シリコン基板、又は炭化シリコン基板のうちの1つであってもよい。
【0034】
いくつかの実施例では、前記P型ドープ層は、ホウ素ドープ拡散層である。ホウ素ドープ拡散層は、ホウ素源を用いて拡散プロセスによりホウ素原子を前面に一定の深さまで拡散させて形成されたP型ドープ層(即ち、P+層)である。ホウ素源は、例えば、液状の三臭化ホウ素であってもよい。
【0035】
いくつかの実施例では、
図2に示されるように、半導体基板10の前面には、ピラミッド状の微構造111を含む第2テクスチャ構造11を有する。ピラミッド状の微構造111は、四面体、略四面体、五面体、略五面体などの構造であってもよい。ピラミッド状の微構造111は、半導体基板に対してテクスチャリングプロセスを行うことで形成されてもよい。テクスチャリングプロセスの方式は、化学エッチング、レーザーエッチング、機械法、プラズマエッチングなどであってもよい。前記ピラミッド状の微構造により、金属ペーストを用いてスクリーン印刷により電極を形成する際に、前記微構造により良く充填させることができ、より優れた電極接触が得られ、電池の直列電気抵抗を効果的に低下することができ、フィルファクターを向上させることもできる。
【0036】
いくつかの実施例では、前記ピラミッド状の微構造111は、半導体基板の前面から遠く離れる頂部と、半導体基板の前面に近づく底部とを有し、前記ピラミッド状の微構造は、前面から遠く離れ且つ前記前面に垂直である方向において、頂部と底部との距離(又は高さ)は、5μm以下であり、好ましくは、前記距離の範囲は、2μm~5μmである。具体的に、2μm、2.5μm、2.8μm、3μm、3.5μm、3.8μm、4μm、4.2μm、4.5μm、4.8μm、又は5μmなどであってもよい。ピラミッド状の微構造111の前記距離の範囲が5μm以内、例えば、2μm~5μmに制御される場合、前記ピラミッド状の微構造111は、反射率が低く、金属と接する際に界面のキャリア再結合速度が低く、充填が容易であるなどの特性を有し、これにより、電池の光電変換効率を向上する。
【0037】
理解できるように、前面のシリコン結晶の結晶方向は、異方性を有するため、前面に形成されたピラミッド状の微構造の数は、計算や確認することができない。ここで、ピラミッド状の微構造111の距離は、特定の領域においてランダムに選択されたピラミッド状の微構造111の突出する頂部の最高点と凹みの最低点との距離であってもよい。例えば、ピラミッド状の微構造111の距離は、原子力顕微鏡(AFM)を用いて半導体基板の表面形状を測定することで確認することができる。例えば、前面において40μm×40μm程度の走査範囲を選択し、原子力顕微鏡によって選択された範囲内で半導体基板の前面を走査することによって、前面におけるピラミッド状の微構造の形状寸法を測定し、高さhを計算して取得する。具体的に、測定された形状寸法(AFM画像)から選択されたピラミッド状の微構造の突出する頂部の最高点をhaに、頂部に対応する底部の最低点をhbにすると、h=ha-hbとなる。他の実施形態では、第2テクスチャ構造における複数のピラミッド状の微構造をランダムに選出し、それらの高さを測定して平均値を計算し、該平均値をピラミッド状の微構造の高さと定義する。例えば、4つのピラミッド状の微構造111をランダムに選択し、それらの高さをそれぞれh1、h2、h3及びh4と記すると、ピラミッド状の微構造111の高さは、(h1+h2+h3+h4)/4の値である。つまり、複数のピラミッド状の微構造111の平均距離は、前面におけるピラミッド状の微構造の距離とみなすことができ、前面のテクスチャ特徴を表すことに用いられる。
【0038】
本発明の選択可能な技術案として、第1パッシベーション層20は、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化アルミニウム層、酸窒化シリコン層のうちの少なくとも1つ、又は複数からなる積層構造を含む。
【0039】
いくつかの実施例では、前記第1パッシベーション層20の厚さの範囲は、10nm~120nmであり、具体的に、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、又は120nmなどであってもよく、無論、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0040】
好ましくは、前記第1パッシベーション層20は、酸化アルミニウム層と窒化シリコン層との積層パッシベーション構造である。前記酸化アルミニウム層は、半導体基板10の前面に設けられ、前記窒化シリコン層は、酸化アルミニウム層の表面に設けられる。いくつかの実施例では、酸化アルミニウム層は、厚さが2nm~10nm、屈折率が1.5~1.8であり、また、前記窒化シリコン層は、厚さが50nm~110nm、屈折率が1.65~2.25である。前記第1パッシベーション層20の全体の屈折率は、1.9~2.0である。いくつかの実施例では、前記酸化アルミニウム層又は窒化シリコン層は、複数のサブ層を含んでもよく、例えば、窒化シリコン層は、2~5個の窒化シリコンサブ層からなる。
【0041】
好ましくは、前記第1パッシベーション層は、順に積層設置された酸化アルミニウム層、窒化シリコン層及び酸窒化シリコンの積層パッシベーション構造であり、その中で、酸化アルミニウム層は、厚さの範囲が2nm~10nm、屈折率の範囲が1.5~1.8であり、前記窒化シリコン層は、厚さの範囲が40nm~80nm、屈折率の範囲が1.9~2.3であり、酸窒化シリコン層は、厚さの範囲が10nm~60nm、屈折率の範囲が1.5~1.75である。
【0042】
さらに、半導体基板10の後面には、第1テクスチャ構造12を有する。具体的に、第1テクスチャ構造12は、アルカリ研磨処理によって形成することができる。
【0043】
本発明の選択可能な技術案として、
図3は、本発明の実施例で提供される半導体基板の後面における第1テクスチャ構造12の電子顕微鏡写真である。
図3に示されるように、第1テクスチャ構造12は、少なくとも部分的に積み重ねられた2つ又は複数の第1サブ構造121を含む。前記第1テクスチャ構造12は、非ピラミッド状の微構造形状を呈する。例えば、前記第1テクスチャ構造は、略「階段」状の形状を呈し、第1サブ構造121は、「階段」の一段とみなすことができる。
【0044】
図4aは、例示的な部分的に積み重ねられた3層の第1サブ構造の模式図であり、
図4bは、例示的な部分的に積層された2層の第1サブ構造の模式図である。
【0045】
前記少なくとも部分的に積み重ねられた2つ又は複数の第1サブ構造121は、前記後面から遠く離れ且つ前記後面に垂直である方向(積み重ねる方向と理解してもよい。)において、最外側の第1サブ構造の頂部表面121aとそれに隣接する第1サブ構造の頂部表面121bとの距離Hは、2μm以下であり、具体的に、2μm、1.8μm、1.5μm、1.2μm、1.1μm、1.0μm、0.8μm、0.5μm、0.3μm、0.2μm、又は0.1μmなどであってもよい。距離Hが2μmを超えると、第1テクスチャ構造の粗さが大きすぎ、第1テクスチャ構造上に形成されたトンネル酸化層30の厚さが大きくなり、高緻密度及び高均一性を有するトンネル酸化層の形成に不利であり、さらにトンネル酸化層30によるトンネル効果とパッシベーション効果に影響を与えることがある。また、第1テクスチャ構造の粗さが小さすぎると、第1テクスチャ構造上に形成されたトンネル酸化層の厚さが小さくなり、電極ペーストとの接触に不利である。好ましくは、前記後面から遠く離れ且つ前記後面に垂直である方向において、最外側の第1サブ構造の頂部表面121aとそれに隣接する第1サブ構造の頂部表面121bとの距離Hは、0.3μm~1.2μmの範囲である。
【0046】
なお、積層設置された3層の第1サブ構造の場合、いずれかの1層の第1サブ構造の頂部表面121aとそれに隣接する1層の第1サブ構造の頂部表面121bとの距離Hは、2μm以下である。
【0047】
理解できるように、最外側の第1サブ構造の頂部表面121aとそれに隣接する第1サブ構造の頂部表面121bとの距離を2μm以下に制御することで、第1テクスチャ構造の粗さを所望の範囲内に制御することができ、第1テクスチャ構造上に形成されたトンネル酸化層の均一性の向上に有利であり、形成されたトンネル酸化層の性能はより良くなり、さらにリンの拡散によって局所的なリン濃度が高すぎることを抑制し、接触抵抗率を低下し、太陽電池の開放電圧を向上し、フィルファクター及び光電変換効率を向上することができる。
【0048】
前記最外側の第1サブ構造の頂部表面121aの1次元寸法Lは、45μm以下、即ち、0<L≦45μmであり、好ましくは、前記1次元寸法Lは、2μm~45μmの範囲である。ここで、前記頂部表面の1次元寸法Lは、具体的に、表面の縦、横、又は対角線の長さや、円形の場合の直径などであってもよく、ここで限定されない。いくつかの実施
例で、前記1次元寸法は、基板の後面における所定範囲の領域内において、複数の最外側の第1サブ構造の頂部表面の1次元寸法の平均値であってもよい。最外側の第1サブ構造の頂部表面の平均1次元寸法は、具体的に、2μm、5μm、8μm、12μm、15μm、18μm、20μm、25μm、28μm、30μm、35μm、40μm、42μm、40μm、又は45μmなどであってもよい。好ましくは、最外側の第1サブ構造の頂部表面の平均1次元寸法は、10μm~15μmの範囲である。
【0049】
一つの具体的な実施例では、
図3に示されるように、前記第1テクスチャ構造は、さらに、互いに積み重ねられずに隣接して配列される2つ又は複数の第2サブ構造122を含み、前記後面から遠く離れる前記第2サブ構造122の頂部表面は、1次元寸法Lが45μm以下、即ち、0<L≦45μmである。好ましくは、前記第2サブ構造122の1次元寸法Lは、2μm~45μmであり、具体的に、2μm、5μm、8μm、12μm、15μm、18μm、20μm、25μm、28μm、30μm、32μm、35μm、又は45μmなどであってもよい。
【0050】
後面の前記第1サブ構造及び/又は前記第2サブ構造の頂部表面は、前面におけるピラミッド状の微構造と異なり、多角形平面である。前記多角形平面の形状は、菱形、方形、台形、略菱形、略方形、略台形のうちの少なくとも1つを含む。理解できるように、実際の製造過程中に、前記第1サブ構造又は第2サブ構造の頂部表面の形状は、不規則な多角形平面を呈するが、全体的に菱形、方形、台形に近似する形状特徴を呈する。
【0051】
いくつかの実施例では、後続のパッシベーション膜層の製造、例えば、第1パッシベーション層20、トンネル酸化層30、ドープ導電層40などの製造によって、第2テクスチャ構造及び第1テクスチャ構造の初期構造を一定程度で破壊する可能性はある。例えば、量産の太陽電池において、前記第2テクスチャ構造中に少量の非ピラミッド状の微構造が存在する可能性があり、前記非ピラミッド状の微構造は、ピラミッド状の微構造の尖った頂部が破壊されたことにより形成される。
【0052】
いくつかの実施例では、前記太陽電池の第2テクスチャ構造又は第1テクスチャ構造を示すテクスチャの寸法特徴を測定する際に、例えば第1サブ構造の頂部表面の1次元寸法や、互いに隣接する第1サブ構造同士の表面の間の距離は、試験装置(光学顕微鏡、原子力顕微鏡、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡など)によって膜層表面を直接に測定して確認することができる。一つの場合には、膜層の厚さがナノレベルであるため、前記テクスチャの寸法特徴の値は、第2テクスチャ構造又は第1テクスチャ構造に対応する膜層の測定データを直接利用して取得することができ、ただし、前記膜層の測定データは、膜層厚さとテクスチャ寸法特徴の値の総和である。別の1つの場合には、前記テクスチャの寸法特徴の値は、上記膜層の測定データから膜層厚さデータを引いて取得してもよい。以上の測定手段は、例に過ぎず、本発明においてこれに限定されない。
【0053】
図1及び
図6に示されるように、トンネル酸化層30は、半導体基板10の後面における第1テクスチャ構造12上に位置し、酸化シリコン層、酸化アルミニウム層、酸窒化シリコン層、酸化モリブデン層、酸化ハフニウム層のうちの1つ、又は複数からなる積層構造であってもよい。他の実施例では、トンネル酸化層30は、酸素含有窒化シリコン層、酸素含有炭化シリコン層などであってもよい。トンネル酸化層30の厚さは、0.8nm~2nmであり、具体的に、0.8nm、0.9nm、1.0nm、1.2nm、1.4nm、1.6nm、1.8nm、又は2nmなどであってもよい。トンネル酸化層30の厚さとは、該トンネル酸化層の、その形成面に対する厚さである。第1テクスチャ構造上に形成されたトンネル酸化層30の厚さは、サブ構造の斜面の法線方向を厚さ方向とする場合に、断面を観察して計算することで得られる。トンネル酸化層30の厚さが大きすぎると、トンネル酸化層の接触抵抗の低下に不利である。トンネル酸化層の厚さを制御する
ことで、接触抵抗に起因するフィルファクターの低下を抑制することができる。
【0054】
具体的に、トンネル酸化層30のバンドギャップ幅は、3.0eV超であり、キャリアは、一般的に、熱放射により輸送されてトンネル酸化層30を通過することが困難であるものの、トンネル酸化層30が非常に薄い場合、キャリアがトンネル効果によってトンネル酸化層30を通過可能であるため、厚さが0.8nm~2nmのトンネル酸化層は、多数キャリアの輸送を阻害しない。トンネル酸化層の厚さが徐々に大きくなるにつれて、多数キャリアのトンネル効果が影響を受け、キャリアが輸送されてトンネル酸化層30を通過しにくくなり、電池の光電変換効率が徐々に低下する。しかしながら、トンネル酸化層の厚さが小さすぎると、パッシベーションの役割を果たすことができなくなる。好ましくは、トンネル酸化層30は、酸化シリコン層であり、厚さが0.8nm~1.5nmである。
【0055】
本発明の選択可能な技術案として、
図6に示されるように、前記最外側の第1サブ構造の頂部表面上におけるトンネル酸化層の厚さD1は、前記最外側の第1サブ構造の側部表面上に形成されたトンネル酸化層の厚さD2よりも小さい。具体的に、前記最外側の第1サブ構造の頂部表面上におけるトンネル酸化層と、前記最外側のサブ構造の側部表面上に形成されたトンネル酸化層との厚さの差(D2-D1)は、0.15nm以下である。前記厚さの差は、具体的に、0.14nm、0.13nm、0.12nm、0.11nm、0.10nm、0.09nm、0.08nm、0.07nm、0.06nm、0.05nm、0.04nmなどであってもよい。最外側の第1サブ構造の頂部表面上におけるトンネル酸化層と、最外側のサブ構造の側部表面上に形成されたトンネル酸化層との厚さの差が大きすぎると、トンネル酸化層の厚さの均一性が劣り、太陽電池の電流密度が影響を受けやすく、太陽電池の開放電圧が低下する。
【0056】
いくつかの実施例では、半導体基板の前後の面に異なる形状のテクスチャ構造を設ける、つまり、前面にピラミッド状のテクスチャ構造を形成し、また、後面に非ピラミッドテクスチャ構造を形成することにより、形成された電池は、前面と後面に異なる光閉じ込め構造を有し、光の有効接触面積を増加させる。さらに、後面に形成された第1テクスチャ構造について、最外側の第1サブ構造の頂部表面と、それに隣接する第1サブ構造の頂部表面との距離を2μm以下に制御することで、トンネル酸化層中の空孔密度(pinhole)の減少に有利であり、さらにトンネル酸化層の緻密度及び均一性を向上することができ、またさらにトンネル酸化層の表面上のドープ導電層の局所ドーピング濃度が高くなることを抑制し、接触抵抗率を低下し、太陽電池の開放電圧を向上し、フィルファクター及び光電変換効率を向上することができる。
【0057】
いくつかの実施例で、ドープ導電層40は、ドープ多結晶シリコン層、ドープ微結晶シリコン層、又はドープアモルファスシリコン層であってもよく、前記ドープ導電層40は、前記半導体基板と同じ導電型のドーピング元素を含む。
【0058】
半導体基板10がN型単結晶シリコン基板である場合、ドープ導電層40は、N型ドープ多結晶シリコン層、N型ドープ微結晶シリコン層、又はN型ドープアモルファスシリコン層であり、含まれるドーピング元素は、リンなどのN型ドーピング元素であってもよい。
【0059】
いくつかの実施例では、前記ドープ導電層40は、厚さの範囲が60nm~200nmであり、例えばN型ドープ多結晶シリコン層であり、屈折率の範囲が3.5~4.5である。
【0060】
本発明の選択可能な技術案として、第2パッシベーション層50は、窒化シリコン層、酸化シリコン層、酸窒化シリコン層のうちの少なくとも1つを含む。前記第2パッシベーション層50の厚さは、70nm~120nmである。例えば、前記第2パッシベーション層50は、窒化シリコン層である。該窒化シリコン層は、シリコン/窒素の比が低く、また、屈折率の範囲が1.7~2.1であり、1.7、1.8、1.9、2.0、又は2.1などであってもよく、無論、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。窒化シリコン層の屈折率を制御し、窒化シリコン層に含まれるシリコン/窒素の比を低くすることによって、形成された第2パッシベーション層50を金属化処理する際に、接触抵抗率を低下させることができ、さらに太陽電池の接触抵抗率を低下させることができる。
【0061】
いくつかの実施例では、第2パッシベーション層50が積層設置された窒化シリコン層と酸化シリコン層、又は積層設置された窒化シリコン層と酸窒化シリコン層である場合に、窒化シリコン層は、ドープ導電層の表面に位置し、酸化シリコン層又は酸窒化シリコン層は、窒化シリコン層の表面に位置する。
【0062】
さらに、太陽電池は、さらに第1電極60及び第2電極70を含む。第1電極60は、第1パッシベーション層20を貫通して半導体基板10の前面におけるP型ドープ層(例えば、ホウ素ドープ拡散層)とオーミック接触を形成し、第2電極70は、第2パッシベーション層50を貫通してドープ導電層40とオーミック接触を形成し、ドープ導電層40とトンネル酸化層30は、パッシベーション接触構造を構成する。前記第1電極60及び第2電極70は、第1パッシベーション層及び第2パッシベーション層の表面に塗布された導電性金属ペーストを焼結することで形成することができる。いくつかの実施例では、前記第1電極60又は第2電極70の材料は、銀、アルミニウム、銅、ニッケルなどの金属材料を含む。
【0063】
図1に示されるように形成された太陽電池、即ち、半導体基板10の前面にピラミッド状の微構造を有する第2テクスチャ構造が形成され、半導体基板の後面に非ピラミッド状の微構造を有する第1テクスチャ構造が形成され、前記第2テクスチャ構造上に、マッチングした第1パッシベーション層20(例えば、酸化アルミニウム層と窒化シリコン層の積層パッシベーション構造)が形成され、前記第1テクスチャ構造に、マッチングしたトンネル酸化層30、ドープ導電層40及び第2パッシベーション層50(例えば、窒化シリコン層)が形成された太陽電池の構造により、高い光電変換効率を示すことができる。
【0064】
本発明の第2態様について、本発明の実施例において、複数の太陽電池ストリングを含む太陽電池モジュールを提供する。
【0065】
図7a及び
図7bに示されるように、該太陽電池モジュールは、第1シート1、第1封止接着層2、太陽電池ストリング3、第2封止接着層4及び第2シート5を含む。
【0066】
また、太陽電池ストリング3は、複数の太陽電池(例えば、
図1に示される太陽電池)、太陽電池同士は導電性リボン(未図示)により接続される。太陽電池同士の間の接続方式は、シングリング(例えば、部分的に積層すること)であってもよく、スプライシングであってもよい。
【0067】
第1シート1、第2シート5は、透明又は不透明のシート、例えばガラスシート、プラスチックシートであってもよい。
【0068】
第1封止接着層2の両側は、それぞれ第1シート1、シート状電池3と接触して貼り合わせており、第2封止接着層4の両側は、それぞれ第2シート5、シート状電池3と接触して貼り合わせている。なお、第1封止接着層2、第2封止接着層4は、それぞれエチレ
ン-酢酸ビニル共重合体(EVA)接着膜、ポリエチレンオクテン共弾性体(POE)接着膜、又はポリエチレンテレフタレート(PET)接着膜であってもよい。
【0069】
太陽電池モジュールは、全部の側辺を取り囲む形で封止され、即ち、封止テープを用いて太陽電池モジュールの側辺を完全に被覆して封止してもよく、それにより、太陽電池モジュールに積層過程中において積層ずれが生じることを防止する。
【0070】
さらに、太陽電池モジュール(
図7bに示される太陽電池モジュール100)は、さらに、太陽電池モジュールの一部の辺縁に固定されてそれを封止するための辺縁封止部材6を含む。
図7bに示されるように、当該辺縁封止部材6は、太陽電池モジュールにおける角部に近い辺縁に固定されて封止作用を発揮する。当該辺縁封止部材6は、耐高温テープであってもよい。当該耐高温テープは、優れた耐高温特性を有し、積層過程中において分解したり、脱落したりすることがなく、太陽電池モジュールを確実に封止することを確保することができる。なお、耐高温テープの両端は、それぞれ第2シート5と第1シート1に固定されている。当該耐高温テープの両端は、それぞれ第2シート5と第1シート1に接着されてもよく、その中間部は、太陽電池モジュールの側辺を位置規制することができ、これにより太陽電池モジュールに積層過程中において積層ずれが生じることを防止する。
【0071】
本発明の第3態様により、さらに、上記太陽電池を製造するための太陽電池の製造方法を提供する。
図8に示されるように、当該製造方法は、以下の工程を含む。
【0072】
工程S10:半導体基板に対してテクスチャリング処理を行い、半導体基板の前面に第2テクスチャ構造を形成し、該第2テクスチャ構造は、ピラミッド状の微構造を含んでもよい;
工程S20:テクスチャリング後の半導体基板の前面に対してドーピング処理を行い、ドープ層を形成する;
工程S30:アルカリ溶液を用いて半導体基板の後面に対して研磨処理を行うことで、半導体基板の後面に第1テクスチャ構造を形成し、前記第1テクスチャ構造は、少なくとも部分的に積み重ねられた2つ又は複数の第1サブ構造を含み、また、前記少なくとも部分的に積み重ねられた2つ又は複数の第1サブ構造は、前記後面から遠く離れ且つ前記後面に垂直である方向において、最外側の第1サブ構造の頂部表面とそれに隣接する第1サブ構造の頂部表面との距離が2μm以下であり、前記最外側の第1サブ構造の頂部表面の1次元寸法が45μm以下である;
工程S40:半導体基板の後面における第1テクスチャ構造上にトンネル酸化層を形成する;
工程S50:トンネル酸化層の表面に多結晶シリコン層を堆積形成し、多結晶シリコン層に対してドーピング処理を行い、前記半導体基板と同じ導電型のドーピング元素を有するドープ導電層を形成する;
工程S60:半導体基板の前面に第1パッシベーション層を形成する;
工程S70:ドープ導電層の表面に第2パッシベーション層を形成する。
【0073】
上記技術案では、アルカリ溶液を用いて半導体基板の後面に対して研磨処理を行う。これにより、半導体基板の前面と後面に、異なる形状のテクスチャ構造を形成する、つまり、前面にピラミッド状テクスチャ構造を形成し、後面に非ピラミッドテクスチャ構造を形成することによって、形成された電池の前面と後面に異なる光閉じ込め構造を有させることができ、光の有効接触面積を増加し、さらに、後面に形成された第1テクスチャ構造について、最外側の第1サブ構造の頂部表面とそれに隣接する第1サブ構造の頂部表面との距離を2μm以下に制御することは、トンネル酸化層中の空孔密度(pinhole)の減少に有利であり、さらにトンネル酸化層の緻密度と均一性を向上し、さらにトンネル酸
化層の表面上のドープ導電層の局所ドーピング濃度が高くなることを抑制し、接触抵抗率を低下し、太陽電池の開放電圧を向上し、フィルファクター及び光電変換効率を向上することができる。
【0074】
以下、本技術案を具体的に説明する。
【0075】
工程S10において、半導体基板に対してテクスチャリング処理を行い、半導体基板の前面に、ピラミッド状の微構造を含む第2テクスチャ構造を形成する。
【0076】
半導体基板は、結晶シリコン基板(シリコン基板)であってもよく、例えば多結晶シリコン基板、単結晶シリコン基板、微結晶シリコン基板、又は炭化シリコン基板のうちの1つであってもよいが、本発明の実施例において、半導体基板の具体的なタイプは限定されない。いくつかの実施例では、半導体基板は、N型結晶シリコン基板(又はシリコン片)であり、厚さが60μm~240μmであり、具体的に、60μm、80μm、90μm、100μm、120μm、150μm、200μm、又は240μmなどであってもよく、ここで限定されない。半導体基板のドーピング元素は、リン、窒素などであってもよい。
【0077】
なお、本発明において、テクスチャリングの具体的な操作方式は限定されない。例えば、湿式法テクスチャリングプロセスを選択してN型基板に対してテクスチャリングを行うことができるが、該操作方式に限定されない。N型半導体基板がN型単結晶シリコン基板である場合、アルカリ性溶液、例えば水酸化カリウム溶液を用いてテクスチャリングを行うことができ、また、NaOH溶液の腐食が異方性を示すため、ピラミッド状の微構造を製造することができる。
【0078】
図2に示されるように、半導体基板10の前面には、ピラミッド状の微構造111を含む第2テクスチャ構造11を有する。ピラミッド状の微構造111は、四面体、略四面体、五面体、略五面体などの構造であってもよい。ピラミッド状の微構造111は、半導体基板に対してテクスチャリングプロセスを行うことで形成可能である。テクスチャリングプロセスの方式は、化学エッチング、レーザーエッチング、機械法、プラズマエッチングなどが挙げられる。前記ピラミッド状の微構造は、金属ペーストを用いてスクリーン印刷により電極を形成する際に、前記微構造によりよく充填することができ、より優れた電極接触が得られ、電池の直列電気抵抗を効果的に低下し、フィルファクターを向上することができる。
【0079】
工程S20において、テクスチャリング後の半導体基板の前面に対してドーピング処理を行うことで、ドープ層を形成する。
【0080】
一つの具体的な実施形態では、半導体基板10がN型基板である場合、高温拡散、ペーストによるドーピング、又はイオン注入のうちのいずれか1種又は複数種のプロセスにより、半導体基板の前面にP型ドープ層を形成してもよく、これにより、前記半導体基板10中にPN接合を形成する。
【0081】
いくつかの実施例では、前記P型ドープ層は、ホウ素ドープ拡散層である。ホウ素ドープ拡散層は、ホウ素源を用いて拡散プロセスによってホウ素原子を前面に一定の深さまで拡散させて形成したP型ドープ層(即ち、P+層)である。例えば、ホウ素源は、液状の三臭化ホウ素であってもよい。ホウ素拡散処理された基板中の微結晶シリコン相は、多結晶シリコン相に変換される。半導体基板の表面に高濃度のホウ素を有するため、通常、ホウケイ酸ガラス層(BSG)が形成される。
【0082】
さらに、工程S30においてアルカリ溶液を用いて半導体基板の後面に対して研磨処理を行う前に、前記太陽電池の製造方法はさらに以下の工程を含む。
【0083】
調製された混酸で半導体基板の後面におけるホウケイ酸ガラス層を除去し、前記混酸は、フッ化水素を0.1質量%~10質量%、硫酸を10質量%~20質量%、及び硝酸を25質量%~50質量%を含む。
【0084】
酸洗後の半導体基板の後面を水洗、乾燥処理する。
【0085】
理解できるように、ホウ素拡散処理の際に、半導体基板の後面にも回り込む効果により一部のホウケイ酸ガラスが形成されるため、この部分のホウケイ酸ガラスを除去する必要がある。なお、酸洗後の半導体基板の後面には、多孔質構造が形成される。
【0086】
具体的に、酸洗時間は、10s~180sであり、酸洗温度は、7℃~20℃であり、即ち、常温状態下で半導体基板の後面におけるホウケイ酸ガラスを酸洗して除去し、半導体基板本体を露出させる。
【0087】
工程S30においては、アルカリ溶液を用いて半導体基板の後面に対して研磨処理を行うことによって、半導体基板の後面に第1テクスチャ構造が形成される。
【0088】
具体的に、濃度が5質量%~15質量%のアルカリ溶液を用いて半導体基板の後面を洗浄して、多孔質シリコンを除去し、
さらに、スプレー方式でアルカリ溶液の微小液滴を半導体基板の後面に滴下して粗化処理を行い、そして5質量%~10質量%のフッ化水素酸で予備洗浄を行い、
研磨液を用いて半導体基板の後面に対して研磨を行い、研磨温度が70℃~80℃であり、研磨時間が260s未満であり、ただし、研磨液は、NaOHを1質量%~15質量%、KOHを1質量%~15質量%、及び添加剤を0.5質量%~2.5質量%含み、
水酸化カリウムを5質量%~15質量%、及び過酸化水素を15質量%~40質量%を含む混合液を用いてエッチング液に含まれる有機成分を除去し、
研磨後の半導体基板を水洗、乾燥処理する。
【0089】
いくつかの実施例では、後面研磨処理時に、半導体基板の前面におけるホウケイ酸ガラス層を保護する必要があり、例えば、マスクによりホウケイ酸ガラス層を保護してもよい。
【0090】
一つの具体的な実施例では、半導体基板の後面におけるホウ素濃度が低いため、アルカリ溶液を用いてエッチングすることで、エッチング効率を効果的に向上することができる。アルカリ溶液には、有機塩基及び/又は无機塩基が含まれ、无機塩基としては、NaOH、KOH、Ga(OH)2、NH3・H2Oが挙げられ、有機塩基としては、トリエチルアミン、ニトロフェノール、ピリジン、キニーネ、コルヒチンが挙げられる。研磨液に含まれる添加剤は、スルホン酸ナトリウム、無水マレイン酸、アルキルグリコシドなどからなる緩衝液であってもよい。
【0091】
研磨温度は、具体的に70℃、72℃、74℃、75℃、78℃、79℃、80℃などであってもよく、研磨時間は、250s、240s、230s、220s、200s、180s、160s、140s、120s、100s、80sなどであってもよいが、無論、上記範囲内の他の値であってもよい。
【0092】
いくつかの実施例では、半導体基板の研磨減量は、0.3g未満である。
【0093】
研磨時間と研磨温度を制御することにより、研磨後の第1テクスチャ構造中のサブ構造の形状を調整することができ、これにより、少なくとも部分的に積み重ねられた2つ又は複数の第1サブ構造のうち、前記後面から遠く離れ且つ前記後面に垂直である方向において、最外側の第1サブ構造の頂部表面とそれに隣接する第1サブ構造の頂部表面との距離は、2μm以下となり、半導体基板の後面の粗さを増大することができる。
【0094】
いくつかの実施例では、熱風で半導体基板の表面を乾燥させて非ピラミッド状の微構造を含む第1テクスチャ構造を形成することができる。
【0095】
本発明の選択可能な技術案として、
図3は、本発明の実施例で提供される半導体基板の後面における第1テクスチャ構造12の電子顕微鏡写真である。
図3に示されるように、第1テクスチャ構造12は、少なくとも部分的に積み重ねられた2つ又は複数の第1サブ構造121を含む。
【0096】
図4aは、例示的な部分的に積み重ねられた3層の第1サブ構造の模式図であり、
図4bは、例示的な部分的に積層された2層の第1サブ構造の模式図である。
【0097】
前記少なくとも部分的に積み重ねられた2つ又は複数の第1サブ構造121は、前記後面に遠く離れ且つ前記後面に垂直である方向において、最外側の第1サブ構造の頂部表面121aとそれに隣接する第1サブ構造の頂部表面121bとの距離Hは、2μm以下であり、具体的に、2μm、1.8μm、1.5μm、1.2μm、1.1μm、1.0μm、0.8μm、0.5μm、0.3μm、0.2μm、又は0.1μmなどであってもよい。距離Hが2μmを超えると、第1テクスチャ構造の粗さが大きすぎ、第1テクスチャ構造上に形成されたトンネル酸化層30の厚さが大きくなり、高緻密度及び高均一性を有するトンネル酸化層の形成に不利であり、さらにトンネル酸化層30によるトンネル効果とパッシベーション効果に影響を与えることができる。また、第1テクスチャ構造の粗さが小さすぎると、第1テクスチャ構造上に形成されたトンネル酸化層の厚さが小さくなり、電極ペーストとの接触に不利である。好ましくは、前記後面から遠く離れ且つ前記後面に垂直である方向において、最外側の第1サブ構造の頂部表面121aとそれに隣接する第1サブ構造の頂部表面121bとの距離Hは、0.3μm~1.2μmの範囲である。
【0098】
なお、積層設置された3層の第1サブ構造の場合に、いずれかの1層の第1サブ構造の頂部表面121aと、それに隣接する1層の第1サブ構造の頂部表面121bとの距離Hは、2μm以下である。
【0099】
理解できるように、最外側の第1サブ構造の頂部表面121aとそれに隣接する第1サブ構造の頂部表面121bとの距離を2μm以下に制御することで、第1テクスチャ構造の粗さを所望の範囲内に制御することができ、第1テクスチャ構造上に形成されたトンネル酸化層の均一性の向上に有利であり、形成されたトンネル酸化層の性能はより良くなり、さらにリンの拡散による局所リン濃度が高くなることを抑制し、接触抵抗率を低下し、太陽電池の開放電圧を向上し、フィルファクター及び光電変換効率を向上することができる。
【0100】
前記最外側の第1サブ構造の頂部表面121aの1次元寸法Lは、45μm以下であり、好ましくは、前記1次元寸法Lは、2μm~45μmである。ここで、前記頂部表面の1次元寸法Lは、具体的に、表面の縦、横、又は対角線の長さや、円形の場合の直径などであってもよく、ここで限定されない。いくつかの実施例では、前記1次元寸法は、基板の後面における所定範囲の領域内において、複数の最外側の第1サブ構造の頂部表面の1次元寸法の平均値を指す。最外側の第1サブ構造の頂部表面の平均1次元寸法は、具体的
に、2μm、5μm、8μm、12μm、15μm、18μm、20μm、25μm、28μm、30μm、35μm、40μm、42μm、40μm又は45μmなどであってもよい。好ましくは、最外側の第1サブ構造の頂部表面の平均1次元寸法は、10μm~15μmの範囲である。
【0101】
一つの具体的な実施例では、
図3に示されるように、前記第1テクスチャ構造は、さらに、互いに積み重ねられずに隣接して配列される2つ又は複数の第2サブ構造122を含む。前記後面から遠く離れる前記第2サブ構造122の頂部表面の1次元寸法Lは、45μm以下である。好ましくは、前記第2サブ構造122の1次元寸法Lは、2μm~45μmの範囲であり、具体的に、2μm、5μm、8μm、12μm、15μm、18μm、20μm、25μm、28μm、30μm、32μm、35μm、又は45μmなどであってもよい。
【0102】
後面における前記第1サブ構造及び/又は前記第2サブ構造の頂部表面は、前面の典型的なピラミッド状の微構造と異なり、多角形平面である。前記多角形平面の形状は、菱形、方形、台形、略菱形、略方形、略台形のうちの少なくとも1つを含む。理解できるように、実際の製造プロセスにおいては、前記第1サブ構造又は第2サブ構造の頂部表面の形状は、不規則な多角形平面を呈するが、全体的には、菱形、方形、台形に近似した形状特徴を呈するとも言える。
【0103】
工程S40において、半導体基板の後面における第1テクスチャ構造上にトンネル酸化層を形成する。
【0104】
いくつかの可能な実施形態では、半導体基板に対して後面のエッチングを行った後に、オゾン酸化法、高温熱酸化法、硝酸酸化法、化学気相堆積法、低圧化学気相堆積法によって処理を行い、トンネル酸化層30を形成することができる。
【0105】
いくつかの実施例では、変温式プロセス及び化学気相堆積法を用いて半導体基板の後面にトンネル酸化層30を堆積形成することができる。堆積過程中に、昇温速度を0.5℃/min~3℃/minに、堆積温度を560℃~620℃に、堆積時間を3min~10minに制御する。
【0106】
具体的に、堆積過程中に、堆積温度は、560℃、570℃、580℃、590℃、600℃、610℃、615℃、又は620℃などであってもよく、堆積時間は、3min、4min、5min、6min、7min、8min、9min、又は10minなどであってもよく、昇温速度は、0.5℃/min、0.8℃/min、1.0℃/min、1.2℃/min、1.5℃/min、2.0℃/min、2.5℃/min、又は3℃/minなどであってもよいが、無論、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0107】
好ましくは、低圧化学気相堆積法により半導体基板の後面にトンネル酸化層30を堆積形成することにより、後続の高温ドーピング処理時に薄いトンネル酸化層30の局所ドーピング濃度が高すぎることによる影響を軽減でき、開放電圧の不安定さを低下させることができる。また、変温式プロセス及び低圧化学気相堆積法によって堆積形成されたトンネル酸化層30により、太陽電池の開放電圧を4mV~6mV高めることが可能である。
【0108】
トンネル酸化層30は、酸化シリコン層、酸化アルミニウム層、酸窒化シリコン層、酸化モリブデン層、酸化ハフニウム層のうちの1つ又は複数の積層構造であってもよい。他の実施例では、トンネル酸化層30は、酸素含有窒化シリコン層、酸素含有炭化シリコン層などであってもよい。トンネル酸化層30の厚さは、0.8nm~2nmである。具体
的に、トンネル酸化層30の厚さは、0.8nm、0.9nm、1.0nm、1.2nm、1.4nm、1.6nm、1.8nm、又は2nmなどであってもよい。トンネル酸化層30の厚さとは、トンネル酸化層の形成面に対する厚さである。第1テクスチャ構造上に形成されたトンネル酸化層30の厚さは、サブ構造の斜面の法線方向を厚さ方向とし、断面を観察して計算することで得られる。トンネル酸化層30の厚さが大きすぎると、トンネル酸化層の接触抵抗の低下に不利である。トンネル酸化層の厚さを制御することで、接触抵抗に起因するフィルファクターの低下を抑制することができる。
【0109】
具体的に、トンネル酸化層30のバンドギャップ幅は、3.0eV超であり、キャリアは、一般的に、熱放射によって輸送されてトンネル酸化層30を通過することが困難であるものの、トンネル酸化層30が非常に薄い場合に、キャリアは、トンネル効果によってトンネル酸化層30を通過可能であるため、厚さが0.8nm~2nmのトンネル酸化層は、多数キャリアの輸送を阻害しない。トンネル酸化層の厚さが徐々に大きくなるにつれて、多数キャリアのトンネル効果が影響を受けるため、キャリアが輸送されてトンネル酸化層30を通過しにくくなり、電池の光電変換効率が徐々に低くなる。トンネル酸化層の厚さが小さすぎると、パッシベーションの役割を果たすことができない。好ましくは、トンネル酸化層30は、酸化シリコン層であり、厚さが0.8nm~1.5nmである。
【0110】
本願の選択可能な技術案として、
図6に示されるように、前記最外側の第1サブ構造の頂部表面上におけるトンネル酸化層の厚さD1は、前記最外側の第1サブ構造の側部表面上に形成されたトンネル酸化層の厚さD2よりも小さい。具体的に、前記最外側の第1サブ構造の頂部表面上におけるトンネル酸化層と、前記最外側のサブ構造の側部表面上に形成されたトンネル酸化層との厚さの差(D2-D1)は、0.15nm以下である。前記厚さの差は、具体的に、0.14nm、0.13nm、0.12nm、0.11nm、0.10nm、0.09nm、0.08nm、0.07nm、0.06nm、0.05nm、0.04nmなどであってもよい。最外側の第1サブ構造の頂部表面上におけるトンネル酸化層と、最外側のサブ構造の側部表面上に形成されたトンネル酸化層との厚さの差が大きすぎると、トンネル酸化層の厚さの均一性が劣り、太陽電池の電流密度が影響を受けやすく、太陽電池の開放電圧が低下する。
【0111】
工程S50において、トンネル酸化層の表面に多結晶シリコン層を堆積形成し、多結晶シリコン層に対してドーピング処理を行ってドープ導電層を形成する。ドープ導電層の導電型は、半導体基板の導電型と同じである。
【0112】
いくつかの可能な実施形態では、物理気相堆積法、化学気相堆積法、プラズマ支援化学気相堆積法、原子層堆積法のうちのいずれかの方法により、トンネル酸化層の表面に多結晶シリコン層を堆積形成する。化学気相堆積法は、低圧化学気相堆積法又は常圧化学気相堆積法であってもよい。
【0113】
一つの具体的な実施形態では、トンネル酸化層と多結晶シリコン層の堆積、及び多結晶シリコン層へのドーピングは、いずれも低圧化学気相堆積装置で形成される。
【0114】
具体的に、該工程は、
まず、アルカリによる研磨後の半導体基板を堆積装置に置き、20L~60Lの酸素源(例えば、酸素、亜酸化窒素、オゾンであってもよい)を流し、0.5℃/min~3℃/minの昇温速度で、堆積装置内の温度を560℃~620℃まで加熱し、堆積時間を3min~10minとし、トンネル酸化層30を形成すること、
酸素を流した後、恒温段階に入り、そして、適量のシランガスを流し、多結晶シリコン層を形成すること、及び
最後に、多結晶シリコン層に対してin-situドーピングを行い、ドープ導電層40を形成することを含む。
【0115】
いくつかの実施例では、ドープ導電層40は、ドープ多結晶シリコン層であってもよく、前記ドープ導電層40と前記半導体基板とは、同じ導電型のドーピング元素を含む。
【0116】
他の実施例では、トンネル酸化層30の表面に微結晶シリコン層又はアモルファスシリコン層を堆積形成し、in-situドーピングを行い、ドープ微結晶シリコン層又はドープアモルファスシリコン層であるドープ導電層40を形成することができる。
【0117】
半導体基板10がN型単結晶シリコン基板である場合、ドープ導電層40はN型ドープ多結晶シリコン層、N型ドープ微結晶シリコン層、又はN型ドープアモルファスシリコン層であり、ドーピング元素は、リンなどのN型ドーピング元素であってもよい。
【0118】
いくつかの実施例では、前記ドープ導電層40は、厚さの範囲が60nm~200nmであり、例えばN型ドープ多結晶シリコン層であり、屈折率の範囲が3.5~4.5である。
【0119】
工程S50の後、且つ工程S60の前に、上記太陽電池の製造方法は、さらに、 in-situドーピングされた多結晶シリコン層を堆積した後、高温アニール処理及び洗浄処理を行う。
【0120】
本発明の実施例においては、この高温アニール処理及び洗浄処理の具体的な操作方式が限定されない。例えば、この高温アニール処理で処理するのは、堆積された多結晶シリコン層であり、これにより、多結晶シリコン層をより良く結晶化させることができ、アニールの温度範囲は、700℃~1000℃であってもよい。
【0121】
高温アニール処理により、5価のリン原子を拡散させてドープ多結晶シリコン層を形成し、アニール処理後に、結晶シリコンにおける微結晶シリコン相が多結晶シリコン相に変換し、リンが半導体基板の表面に堆積されてリンケイ酸ガラス(PSG)が形成される。
【0122】
洗浄処理は、リンドーピング過程中に形成されたリンケイ酸ガラス層(PSG)を除去するためである。理解できるように、リンを拡散させる際に、半導体基板の表面に高濃度のリンを含むため、通常、リンケイ酸ガラス層(PSG)が形成され、このリンケイ酸ガラス層は、ゲッタリング作用を有し、太陽電池の正常動作に影響を与え、除去する必要がある。
【0123】
一つの具体的な実施例では、半導体基板の後面を下に向けるように、半導体基板をチェーン式酸洗装置(チェーン式装置の帯の速度は、1.0m/min~2.0m/minである)内に置く。半導体基板は酸槽に入り、後面のリン拡散によって形成されたリンケイ酸ガラス層(PSG)がエッチングにより除去される。酸槽内に調製された混酸が注入されており、前記混酸は、2質量%~10質量%のフッ化水素、及び2質量%~10質量%の塩化水素を含み、酸洗温度は15℃~25℃であり、酸洗時間は約30s~60sである。半導体基板の前面は、水膜で被覆され、且つ半導体基板の前面におけるホウケイ酸ガラス層(BSG)も保護層として機能することができ、リンケイ酸ガラス層(PSG)の除去過程中に、半導体基板の前面の混酸との反応を回避することができる。
【0124】
なお、酸洗後に水洗が必要であり、水洗時間は10~20s、水洗温度は15℃~25℃であってもよく、無論、水洗後に、半導体基板を乾燥処理してもよい。
【0125】
工程S60において、半導体基板の前面に第1パッシベーション層を形成する。
【0126】
いくつかの実施例では、プラズマ支援化学気相堆積法により第1パッシベーション層20を堆積することができるが、無論、他の方法、例えば有機化学気相堆積法などを使用してもよい。本発明の実施例では、第1パッシベーション層20についての具体的な実施形態が限定されない。
【0127】
第1パッシベーション層20は、窒化シリコン層、酸窒化シリコン層、酸化シリコン層などの単層又は積層構造を含んでもよいが、これらに限定されない。無論、第1パッシベーション層として、他のパッシベーション層を使用してもよく、本発明において、第1パッシベーション層を構成する具体的な材質が限定されない。例えば、他の実施例では、第1パッシベーション層は、シリカと窒化シリコンの積層構造などであってもよい。上記第1パッシベーション層は、半導体基板に対して良好なパッシベーション効果を生じ、電池の変換効率の向上に役立つ。
【0128】
工程S70において、ドープ導電層の表面に第2パッシベーション層を形成する。
【0129】
プラズマ支援化学気相堆積法により第2パッシベーション層50を堆積してもよいが、無論、他の方法、例えば有機化学気相堆積法などを使用してもよい。本発明の実施例において、第2パッシベーション層50についての具体的な実施形態が限定されない。
【0130】
本発明の選択可能な技術案として、第2パッシベーション層50は、窒化シリコン層、酸化シリコン層、酸窒化シリコン層のうちの少なくとも1つを含む。前記第2パッシベーション層50の厚さは、70nm~120nmである。例えば、前記第2パッシベーション層50は、窒化シリコン層であり、前記窒化シリコン層は、低いシリコン/窒素の比を有し、その屈折率の範囲は、1.7~2.1であり、具体的に、1.7、1.8、1.9、2.0、又は2.1などであってもよく、無論、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。窒化シリコン層の屈折率を制御し、低いシリコン/窒素の比を有させることによって、形成された第2パッシベーション層50は、金属化処理時に、接触抵抗率が低くなり、さらに太陽電池の接触抵抗率を低下させることができる。
【0131】
いくつかの実施例では、第2パッシベーション層50が、積層設置された窒化シリコン層と酸化シリコン層、又は積層設置された窒化シリコン層と酸窒化シリコン層である場合、窒化シリコン層は、ドープ導電層の表面に位置し、酸化シリコン層又は酸窒化シリコン層は、窒化シリコン層の表面に位置する。
【0132】
さらに、工程S70の後に、前記太陽電池の製造方法は、さらに、半導体基板に対して、スクリーン印刷を行って焼結することで電極を形成する。
【0133】
いくつかの実施例では、太陽電池は、さらに第1電極60及び第2電極70を含む。第1電極60は、第1パッシベーション層20を貫通して半導体基板10の前面におけるP型ドープ層(例えば、ホウ素ドープ拡散層)とオーミック接触を形成し、第2電極70は、第2パッシベーション層50を貫通してドープ導電層40とオーミック接触を形成し、ドープ導電層40とトンネル酸化層30は、パッシベーション接触構造を構成する。前記第1電極60及び第2電極70は、第1パッシベーション層及び第2パッシベーション層の表面に塗布された導電性金属ペーストを焼結することで形成することができる。いくつかの実施例では、前記第1電極60又は第2電極70を構成する材料として、銀、アルミニウム、銅、ニッケルなどの金属材料が挙げられる。
【0134】
以下、上記方法に基づいて太陽電池の実施例1~13、及び比較例1~4を製造し、具体的なプロセスパラメータは表1に示される。
【0135】
【0136】
表2においては、各実施例と各比較例で製造した太陽電池中のトンネル酸化層及びその上の多結晶シリコン層の堆積プロセスパラメータを示す。具体的には、処理されたシリコン基板をLPCVD低圧拡散設備内に装入し、真空に引いて昇温し、「酸素源ガス導入時の温度」に達した酸素源ガス(例えば、酸素ガス)を設備内に導入し、酸化温度1、2、3の下で3段階の酸化を、それぞれ1.2分間、1.3分間、1.5分間行い、シリコン基板上にトンネル酸化層を形成した。その後、設備内の酸素源ガスを吸い出し、窒素ガス雰囲気に置換した後、設備内で予備堆積温度に昇温して「シランガス導入時の温度」に達したシランガスを導入し、導入されたシランガスが、「多結晶シリコン層の堆積温度」に達したシリコン基板のトンネル酸化層上に18分間分解、堆積し、多結晶シリコン層を形成した。
【0137】
【0138】
【0139】
実施例1~実施例13から、半導体基板の後面における第1テクスチャ構造中のサブ構造同士の間の距離を適合的な範囲に制御したことで、半導体基板の後面の粗さが適切な範囲にあることを確保することができ、第1テクスチャ構造上に形成されたトンネル酸化層の均一性の向上に有利であり、形成されたトンネル酸化層の性能はより良くなり、さらにドープ導電層の局所ドーピング濃度が高くなることを抑制し、接触抵抗率を効果的に低下し、太陽電池の開放電圧を向上し、フィルファクター及び光電変換効率を向上することができた。
【0140】
比較例1の太陽電池中の第1テクスチャ構造においては、前記後面から遠く離れ且つ前記後面に垂直である方向において、最外側の第1サブ構造の頂部表面とそれに隣接する第1サブ構造の頂部表面との距離が2μmよりも大きかった。また、最外側の第1サブ構造の頂部表面の1次元寸法が小さいほど、堆積形成されたトンネル酸化層が厚くなり、トンネル酸化層の均一性が低下し、それによって、トンネル酸化層の表面に形成されたドープ導電層の局所ドーピング濃度が高くなり、接触抵抗率は実施例1と比べて大きくなり、その結果、太陽電池の開放電圧が低下し、フィルファクター及び光電変換効率も低下した。
【0141】
比較例2の太陽電池は、テクスチャリング後に、アルカリによる研磨処理を経ず、後面は、ピラミッド状の微構造であり、ピラミッド状の微構造上に堆積されたトンネル酸化層の均一性が低下し、トンネル酸化層の表面に形成されたドープ導電層の局所ドーピング濃度を高くさせやすく、接触抵抗率が、実施例1と比べて大きくなり、それによって、太陽電池の開放電圧が低下し、フィルファクター及び光電変換効率も低下した。
【0142】
比較例3の太陽電池は、第1テクスチャ構造中のサブ構造を形成する処理により、ドープ導電層の局所ドーピング濃度が高くなることを抑制できたが、高いシリコン/窒素の比を有する窒化シリコン層を使用したため、金属化処理の過程中に、接触抵抗率をさらに低
下させることが困難であった。実施例1に比べて、半導体基板の後面における第1テクスチャ構造中のサブ構造同士の間の距離を制御し、且つ第2パッシベーション層の屈折率を制御することで、両者が相乗作用を発揮し、接触抵抗率をよりよく低下させ、太陽電池の開放電圧、フィルファクター及び光電変換効率を向上させることができた。
【0143】
比較例4の太陽電池は、第1テクスチャ構造のサブ構造を形成する処理により、ドープ導電層の局所ドーピング濃度が高くなることを抑制できたが、全体的な屈折率の低い酸化アルミニウム層及び窒化シリコン層の組み合わせを第1パッシベーション層として使用したため、金属化処理の過程中に、接触抵抗率が向上した。
【0144】
本発明の好ましい実施例は、以上のように開示されたが、特許請求の範囲を限定するものではなく、当業者であれば、本願の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更と修正を行うことができるため、本願の保護範囲は、添付の特許請求の範囲で定められた範囲を基準とすべきである。