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特開2023-2451在庫管理システム、在庫管理方法、及び在庫管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002451
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】在庫管理システム、在庫管理方法、及び在庫管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/087 20230101AFI20221227BHJP
   G06Q 30/0601 20230101ALI20221227BHJP
【FI】
G06Q10/08 330
G06Q30/06 304
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034872
(22)【出願日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】P 2021103688
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】396011174
【氏名又は名称】くら寿司株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】田中 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】橋本 大介
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
5L049BB63
(57)【要約】      (修正有)
【課題】店舗において消費された食材の管理を容易に行うことができる、在庫管理システム、在庫管理方法及び在庫管理プログラムを提供する。
【解決手段】在庫管理システム10は、所定の期間において、各店舗で算出された複数種の食品の消費個数を取得する消費個数取得部11と、各食品を構成する食材の量を含む食材情報を記憶する食材データベース21と、食材毎に規定された発注単位を含む発注単位情報を記憶する発注単位データベース22と、各食品の消費個数から、各食材の消費量を、発注単位で算出する食材消費量算出部12と、各店舗における、所定の期間経過後の発注単位での在庫を現在庫量として算出する在庫量算出部13と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の期間において、各店舗で算出された複数種の食品の消費個数を取得する消費個数取得部と、
前記各食品を構成する食材の量を含む食材情報を記憶する食材データベースと、
前記食材毎に規定された発注単位を含む発注単位情報を記憶する発注単位データベースと、
前記食材データベースに記憶された前記食材情報と、前記発注単位データベースに記憶された前記発注単位情報とに基づいて、前記各食品の消費個数から、前記各食材の消費量を、前記発注単位で算出する、消費量算出部と、
前記各店舗における、前記所定の期間の直前の前記各食材の前記発注単位での在庫量と、前記所定の期間に納入された前記各食材の前記発注単位での入庫量と、前記各食材の前記発注単位での前記消費量と、から前記所定の期間経過後の前記発注単位での在庫を現在庫量として算出する在庫量算出部と、
を備えている、在庫管理システム。
【請求項2】
前記現在庫量に基づいて、前記各食材の前記発注単位での発注量を決定する、発注量算出部をさらに備えている、請求項1に記載の在庫管理システム。
【請求項3】
前記発注量算出部は、目標売上げ、過去の売上げ情報、及び過去の食品の消費情報の少なくとも1つに基づいて、前記食材の発注量を決定する、請求項2に記載の在庫管理システム。
【請求項4】
前記発注量が決定されると、前記食材の発注を行う発注部をさらに備えている、請求項2または3に記載の在庫管理システム。
【請求項5】
前記各店舗での前記各食品の消費個数は、
前記店舗で顧客から注文された前記食品の個数、
前記店舗内で前記食品が流通する流通路から顧客によって取り出された前記食品の個数、
持ち帰り用で、前記店舗において販売された前記食品の個数、及び
前記店舗において廃棄された前記食品の個数、
の少なく1つに基づいて算出される、請求項1から4のいずれかに記載の在庫管理システム。
【請求項6】
所定の期間において、各店舗で算出された複数種の食品の消費個数を取得するステップと、
前記各食品を構成する食材の量を含む食材情報を記憶する食材データベースを準備するステップと、
前記食材毎に規定された発注単位を含む発注単位情報を記憶する発注単位データベースを準備するステップと、
前記食材データベースに記憶された前記食材情報と、前記発注単位データベースに記憶された前記発注単位情報とに基づいて、前記各食品の消費個数から、前記各食材の消費量を、前記発注単位で算出するステップと、
前記店舗における、前記所定の期間の直前の前記各食材の前記発注単位での在庫量と、前記所定の期間に納入された前記各食材の前記発注単位での入庫量と、前記各食材の前記発注単位での前記消費量と、から前記所定の期間経過後の前記発注単位での在庫を現在庫量として算出するステップと、
を備えている、在庫管理方法。
【請求項7】
コンピュータに、
所定の期間において、各店舗で算出された複数種の食品の消費個数を取得するステップと、
前記各食品を構成する食材の量を含む食材情報を記憶する食材データベースを準備するステップと、
前記食材毎に規定された発注単位を含む発注単位情報を記憶する発注単位データベースを準備するステップと、
前記食材データベースに記憶された前記食材情報と、前記発注単位データベースに記憶された前記発注単位情報とに基づいて、前記各食品の消費個数から、前記各食材の消費量を、前記発注単位で算出するステップと、
前記店舗における、前記所定の期間の直前の前記各食材の前記発注単位での在庫量と、前記所定の期間に納入された前記各食材の前記発注単位での入庫量と、前記各食材の前記発注単位での前記消費量と、から前記所定の期間経過後の前記発注単位での在庫を現在庫量として算出するステップと、
を実行させる、在庫管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在庫管理システム、在庫管理方法、及び在庫管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1のような回転寿司の店舗では、ある営業日に消費された食材を数え、これに基づいて食材の発注を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-103603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように消費された食材の数を数える作業には長時間を要するため、これを改善する方法が要望されていた。なお、このような問題は回転寿司だけではなく、食品を調理して提供する飲食店全般に生じうる問題である。本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、店舗において消費された食材の管理を容易に行うことができる、在庫管理システム、在庫管理方法、及び在庫管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る在庫管理システムは、所定の期間において、各店舗で算出された複数種の食品の消費個数を取得する消費個数取得部と、前記各食品を構成する食材の量を含む食材情報を記憶する食材データベースと、前記食材毎に規定された発注単位を含む発注単位情報を記憶する発注単位データベースと、前記食材データベースに記憶された前記食材情報と、前記発注単位データベースに記憶された前記発注単位情報とに基づいて、前記各食品の消費個数から、前記各食材の消費量を、前記発注単位で算出する、消費量算出部と、前記各店舗における、前記所定の期間の直前の前記各食材の前記発注単位での在庫量と、前記所定の期間に納入された前記各食材の前記発注単位での入庫量と、前記各食材の前記発注単位での前記消費量と、から前記所定の期間経過後の前記発注単位での在庫を現在庫量として算出する在庫量算出部と、を備えている。
【0006】
上記在庫管理システムにおいては、前記現在庫量に基づいて、前記各食材の前記発注単位での発注量を決定する、発注量算出部をさらに備えることができる。
【0007】
上記在庫管理システムにおいて、前記発注量算出部は、目標売上げ、過去の売上げ情報、及び過去の食品の消費情報の少なくとも1つに基づいて、前記食材の発注量を決定することができる。
【0008】
上記在庫管理システムにおいて、前記発注量が決定されると、前記食材の発注を行う発注部をさらに備えることができる。
【0009】
上記在庫管理システムにおいて、前記各店舗での前記各食品の消費個数は、前記店舗で顧客から注文された前記食品の個数、前記店舗内で前記食品が流通する流通路から顧客によって取り出された前記食品の個数、持ち帰り用で、前記店舗において販売された前記食品の個数、及び前記店舗において廃棄された前記食品の個数、の少なく1つに基づいて算出することができる。
【0010】
本発明に係る在庫管理方法は、所定の期間において、各店舗で算出された複数種の食品の消費個数を取得するステップと、前記各食品を構成する食材の量を含む食材情報を記憶する食材データベースを準備するステップと、前記食材毎に規定された発注単位を含む発注単位情報を記憶する発注単位データベースを準備するステップと、前記食材データベースに記憶された前記食材情報と、前記発注単位データベースに記憶された前記発注単位情報とに基づいて、前記各食品の消費個数から、前記各食材の消費量を、前記発注単位で算出するステップと、前記店舗における、前記所定の期間の直前の前記各食材の前記発注単位での在庫量と、前記所定の期間に納入された前記各食材の前記発注単位での入庫量と、前記各食材の前記発注単位での前記消費量と、から前記所定の期間経過後の前記発注単位での在庫を現在庫量として算出するステップと、を備えている。
【0011】
本発明に係る在庫管理プログラムは、コンピュータに、所定の期間において、各店舗で算出された複数種の食品の消費個数を取得するステップと、前記各食品を構成する食材の量を含む食材情報を記憶する食材データベースを準備するステップと、前記食材毎に規定された発注単位を含む発注単位情報を記憶する発注単位データベースを準備するステップと、前記食材データベースに記憶された前記食材情報と、前記発注単位データベースに記憶された前記発注単位情報とに基づいて、前記各食品の消費個数から、前記各食材の消費量を、前記発注単位で算出するステップと、前記店舗における、前記所定の期間の直前の前記各食材の前記発注単位での在庫量と、前記所定の期間に納入された前記各食材の前記発注単位での入庫量と、前記各食材の前記発注単位での前記消費量と、から前記所定の期間経過後の前記発注単位での在庫を現在庫量として算出するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、店舗において消費された食材の管理を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態にかかる在庫管理システムのブロック図である。
図2】食材データベースの概略図である。
図3】発注単位データベースの概略図である。
図4】消費量の算出の手順を示す図である。
図5】現在庫量の算出の手順を示す図である。
図6】店舗の一例を示す平面図である。
図7】搬送路の断面図である。
図8】搬送路の正面図である。
図9】収容体の断面図である。
図10】在庫管理システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<1.在庫管理システムの概要>
以下、本発明に係る在庫管理システムを回転寿司店舗での在庫管理に適用した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は在庫管理システムのブロック図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る在庫管理システム10は、各店舗6から所定期間(例えば、一営業日)の商品の消費個数を取得し、この消費個数に基づいて、各店舗6の食材の在庫量を算出するシステムである。そして、在庫管理システム10は、この在庫量に基づいて、食材保管部62に食材の発注を行い、各店舗6に食材を納品するようになっている。
【0016】
<2.在庫管理システムのハードウエア構成>
次に、在庫管理システム10のハードウエア構成について説明する。図1に示すように、在庫管理システムは、バス5で相互に接続された、制御部1、記憶部2、及び通信部3を有している。
【0017】
制御部1は、主としてCPU、RAM,ROM等により構成される。記憶部2は、HDDやSSDなどの公知の記憶装置で構成することができ、食材データベース21、発注単位データベース22、在庫情報データベース23、発注情報データベース24、及び在庫管理プログラム25等の各種データが記憶される。
【0018】
そして、制御部1が記憶部2に記憶される在庫管理プログラム26を実行すると、制御部1は、仮想的に、商品消費個数取得部11、食材消費量算出部12、在庫量算出部13、発注量算出部14、及び発注部15として機能する。これらの機能構成(ソフトウエア構成)については後述する。
【0019】
通信部3は、所定の通信モジュールによって構成され、ネットワークを介して各店舗6や食材保管部62とデータの送受信を行うものである。後述する商品消費個数取得部11で商品の消費個数を取得する場合、あるいは、発注部15が食材保管部62に対して発注を行う場合に、この通信部3で情報の送受信が行われる。
【0020】
<3.在庫管理システムのソフトウエア構成>
次に、上述した在庫管理システムのソフトウエア構成について説明する。商品消費個数取得部11は、各店舗6から商品の消費個数を取得する。消費個数とは、各店舗6において、所定期間(以下、例として一営業日とする)で消費された商品の個数である。具体的には、販売された各商品の個数(店舗での飲食用の注文個数、持ち帰り用の注文個数)、廃棄された商品の個数等が含まれる。これらの消費個数が、各営業日での営業終了後に、各店舗6からネットワークを通じて在庫管理システム10に送信され、記憶部2の在庫情報データベース23に記憶される。
【0021】
食材消費量算出部12は、取得した商品の消費個数から食材の消費量を算出する。各商品は、複数の食材によって構成されている。例えば、図2に示すように、オニオンサーモンという商品は、一皿当たり、シャリのほか、2枚のサーモン、6gのオニオン、及び3gのマヨネーズで構成されている。このような一皿当たりの各商品を構成する食材は、食材データベース21に記憶されており、新たな商品が追加されたり、商品が改訂されたときに、この食材データベース21が更新される。
【0022】
各食材には、発注の単位が規定され、発注単位データベース22に記憶されている。例えば、図3に示すように、サーモンは20枚が発注単位であり、1個のサーモンの発注を行うと、20枚のサーモンが納品される。オニオンやマヨネーズについても同様である。なお、これらサーモン、オニオン、及びマヨネーズは、オニオンサーモンという商品にのみ用いられるのではなく、例えば、マヨネーズは、「あぶりエビマヨグラタン風」という商品などでも使用され、サーモンは、「サーモン」という商品でも使用される。このように、各食材は、複数の商品で用いられることがある。なお、各食材の発注単位が変更された場合には、発注単位データベース22が更新される。
【0023】
食材消費量算出部12は、取得した商品の消費個数から、食材データベース21及び発注単位データベース22を参照し、消費された食材の発注単位での個数を算出する。例えば、図4に示すように、ある店舗6で、一営業日に、サーモンを利用する商品が105皿(サーモン70皿、オニオンサーモン35皿)消費されたとすると、食材データベース21を参酌し、210枚の食材のサーモンが消費されたことを算出する。これに続いて、発注単位データベース22を参酌し、発注単位で11個のサーモンが消費されたことを算出する。なお、210枚のサーモンが消費されたとすると、発注単位は、正確には10.5個であるが、消費量は切り上げにより算出し、11個とする。こうして、各店舗6における一営業日での各食材の消費量を発注単位で算出する。算出された各食材の消費量は、在庫情報データベース23に記憶される。
【0024】
在庫量算出部13は、図5に示すように、各食材の現在庫量を算出する。現在庫量は、各営業日の発注処理前に算出される。例えば、発注処理を営業終了後に行う場合には、前日までの各食材の在庫量に、当日の各食材の入庫量を加え、さらに上述したように算出された当日の食材の消費量を引く。こうして、各店舗6における、各営業日の営業終了後の各食材の在庫が発注単位で算出される。算出された現在庫量は、在庫情報データベース23に記憶される。なお、現在庫量の算出のタイミングは、これに限定されるものではなく、発注前であれば、営業中でもよく、さらには各営業日に複数回、現在庫量の算出を行うこともできる。
【0025】
発注量算出部14は、各店舗6に発注する食材の量(発注単位)を決定する。発注する食材の量は、上述した現在庫量を基準として、次の日に消費される食材の量を予測して決定される。例えば、前年の同日の消費量、曜日、イベントの有無、売り上げ目標などから当日の消費量を予測し、現在庫量に対してどの程度の量の食材を発注すれば、商品不足にならないかを予測し、各食材の発注量が決定される。決定された発注量は、発注情報データベース24に記憶される。
【0026】
こうして、各店舗6での各食材の発注量が決定されると、発注部15が、食材保管部62に対して発注を行う。食材保管部62は、各食材を生産し、発注単位で保管する施設である。発注部15は、発注量算出部14において、各食材の発注量が決定されると、在庫管理システム10の管理者は、発注量算出部14で算出された発注量に問題が無いか確認した後に、発注処理を行う。例えば、発注量算出部14で算出された発注量に明らかなミスがあると認められる場合には、その発注を停止し、発注量をマニュアルで訂正することができる。あるいは、発注部15は、発注量算出部14において、各食材の発注量が決定された後、自動的に発注を行うこともできる。
【0027】
<4.店舗の概要>
次に、各店舗6の一例について、図6図9を参照しつつ説明する。図6は店舗の平面図、図7は搬送路の断面図、図8は搬送路の正面図、図9は収容体の側面図である。図6に示すように、各回転寿司の店舗6は、客室S1と厨房S2との間で飲食物を収容する収容体9を搬送する第1搬送路8と、注文された飲食物が載る皿を搬送する第2搬送路87と、を備えている。客室S1には、パーティションで仕切られた複数の客席ブース7が設けられており、各客席ブース7は、搬送路8,87に沿うように配置されている。また、各客席ブース7には、矩形状のテーブル71が設けられており、このテーブル71の一辺が搬送路8,87に接するように設置されている。
【0028】
図7及び図8に示すように、第2搬送路87は、第1搬送路8の上方に平行に配置されている。第1搬送路8によって搬送される収容体9には、飲食物(寿司、汁物、菓子、飲み物等)が載る皿91(図9参照)が収容されており、各客席ブース7の顧客は、搬送路8,87上にある収容体9から、飲食物が載る皿91を取り出し、テーブル71において飲食するようになっている。一方、第2搬送路87では、注文された飲食物が載る皿91が搬送される。
【0029】
また、客席ブース7のテーブル71上には、注文、会計等を行うためのタッチパネルディスプレイ72と、皿91を投入するための投入装置73と、が配置されている。以下、各装置について詳細に説明する。
【0030】
<4-1.搬送路及び収容体>
図7に示すように、第1搬送路8は、フラットチエンコンベア85が配置された2つのレーンを有しており、このフラットチエンコンベア51は、客室S1と厨房S2との間で、モータ(図示省略)によって循環移動するようになっている。また、フラットチエンコンベア85上には、上述した収容体9が、所定間隔をおいて配置されており、第1搬送路8上を移動するようになっている。
【0031】
図9は収容体の側面図である。図9に示すように、各収容体9は、フラットチエンコンベア85上に載せられる載置部92と、この載置部92を覆い、開閉可能に構成されたドーム状の透明の蓋体93と、を備えている。載置部92上には飲食物が載った皿91を載置できるようになっている。蓋体93は、ヒンジを含む開閉機構94によって載置部92に対して揺動可能に固定されており、図9(a)に示すように、載置部92に載る皿91を覆う閉状態と、図9(b)に示すように、載置部92から飲食物が載った皿91を取り出し可能な開状態とを取り得るようになっている。
【0032】
閉状態においては、載置部92に載る皿91の周縁に、蓋体93の下端縁が接するようになっている。これにより、皿に載った飲食物が蓋体によって覆われ、埃などが付着しないように衛生状態が保たれる。また、蓋体93の下端部には、客席ブース7側を向くように円弧状の切り欠き931が形成されており、蓋体93が閉状態にあるときに、この切り欠き931から収容されている皿91の縁部を掴むことができるようになっている。そして、顧客が切り欠き931から指を入れて、皿91の縁部を掴んだ上で、皿91をやや引き上げると、皿91が蓋体93を押し上げ、開閉機構94により蓋体93が跳ね上がって開くようになっている。これにより、顧客は、指で皿91を掴んだ状態のままで、皿91を収容体9から取り出すことができる。
【0033】
また、蓋体93の上部には、各蓋体93に入っている飲食物の種類を示す表示札932と、表示札932には、例えば、マグロ、鯛などの寿司の種類を表示することができる。
【0034】
次に、第2搬送路87について説明する。第2搬送路87は、第1搬送路8上に配置された支柱88によって支持されており、第1搬送路8と同様にフラットチエンコンベア86が配置された2つのレーンを有している。各フラットチエンコンベア86は、飲食物が載る皿91を搬送するようになっており、収容体9は搬送されない。各皿91に載る飲食物は、タッチパネルディスプレイ72で注文されたものである。そのため、注文された飲食物が載る皿91は、厨房S2から搬送され、注文が行われた客席ブース7で停止するようになっている。したがって、顧客は、例えば、第1搬送路8で所望の飲食物が搬送されてない場合には、タッチパネルディスプレイ72により注文を行うことができる。
【0035】
<4-2.投入装置>
次に、投入装置73について説明する。図7に示すように、投入装置73は、テーブル71上で開口し、皿が投入される投入口731を有する案内路732と、この案内路732の内部に設けられ、通過した皿91を検知するセンサ733と、を備えている。案内路732は、第1搬送路8に向かって斜め下方に延びており、第1搬送路8の内部に設けられた皿回収水路82に連結されている。皿回収水路82は、厨房S2へ延びており、厨房S2に設けられた収容槽(図示省略)に連結されている。そして、この皿回収水路82には、収容槽に向かって水が流れており、投入口731から投入された皿91が、案内路732を介して皿回収水路82に落下すると、水によって収容槽まで流れるようになっている。そして、皿91は、収容槽で回収され、洗浄後、再利用される。
【0036】
案内路732を通過した皿91が、センサ733によって検知されると、その数が、図示を省略する集計装置に送信され、記憶される。但し、皿91の種類もセンサで検知するように構成することもできる。
【0037】
<4-3.消費量の算出>
上記のように構成された店舗6においては、タッチパネルディスプレイ72による注文内容、投入装置73に投入された皿91の数及び種類、店舗スタッフによって確認された皿91の数及び種類、あるいは、その他の消費された皿の計数システムにより、消費量を算出することができる。例えば、カメラで第1搬送路8を搬送される収容体9を撮影し、収容体9から取り出された皿91の数及び種類を画像処理により算出することもできる。また、店舗6での飲食で消費された商品のほか、持ち帰りの注文で消費される商品も消費量としてカウントする。さらに、廃棄処分になった商品、食材も、店舗6における消費量としてカウントする。なお、食材は発注単位で保管されているため、廃棄された食材については、別途在庫管理システム10に廃棄個数を送信し、各店舗6での現在庫量の算出に利用する。
【0038】
<5.在庫管理システムの動作>
次に、上記のように構成された在庫管理システム10の動作について、図10を参照しつつ説明する。図10は在庫管理システムの動作を示すフローチャートである。まず、各営業日における発注処理前、例えば、上述したように営業の終了後、各店舗からの商品の消費個数を受信する(ステップS11)。次に、取得した商品消費個数に基づいて、上記のように、各店舗での食材の現在庫量を算出する(ステップS12)。続いて、この現在庫量に基づき、各店舗6に対する食材の発注量を算出する(ステップS13)。こうして、発注量が算出されると、在庫管理システム10の管理者は発注量に問題が無いかを確認し(ステップS14)、問題がなければ(ステップS14のYES)、発注を行う(ステップS15)。一方、発注量に問題があれば(ステップS14のNO)、再度発注量を算出する(ステップS13)。
【0039】
<6.特徴>
以上のように構成された在庫管理システム10によれば、商品の消費個数を取得すれば、食材データベース21及び発注単位データベース22を参酌することで、自動的に発注単位での現在庫量を算出することができる。したがって、現在庫量の管理の負荷を軽減することができる。また、算出された現在庫量に基づいて、発注量を決定することができるため、発注処理を容易に行うことができる。
【0040】
<7.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は適宜、組み合わせることができる。
【0041】
(1)上記実施形態では、一営業日での消費に基づいて現在庫量を算出しているが、複数営業日における消費量を算出し、現在庫量を算出することもできる。
【0042】
(2)上記実施形態では、注文された飲食物は、第2搬送路87で搬送しているが、搬送路を一つだけにし、注文された飲食物が載る皿91もこの搬送路で搬送することができる。この場合、注文されたさらには、その旨が分かるような目印等(例えば、客席ブース7の番号、注文内容など)を付する必要がある。
【0043】
(3)収容体9の構成は特には限定されず、飲食物を覆う蓋部を有し、皿91を支持できればよい。また、第1搬送路8では、収容体9ではなく、飲食物が載る皿91だけを搬送するようにすることもできる。
【0044】
(4)上述した在庫管理システム10や店舗6での消費量の算出等の各種の処理は、1つまたは複数のコンピュータによって制御されていればよい。したがって、例えば、上述したソフトウエア構成の処理を1つまたは複数のコンピュータで構成することができる。例えば、上記実施形態では、在庫管理システム10が発注量算出部14及び発注部15を有しているが、必ずしも、在庫管理システム10に発注量算出部14及び発注部15を設けなくてもよい。例えば、発注に関する処理は、在庫管理システム10とは別の専用のコンピュータで行うこともできる。また、記憶部2に記憶されている各種のデータ21~25を複数のコンピュータに記憶することもできる。また、上述した各種の処理は、汎用のCPUを有するコンピュータによって実現されているが、処理の一部または全部を、1または複数の専用のプロセッサにより実現してもよい。例えば、在庫管理システム10を複数のコンピュータで構成することもできる。
【0045】
(5)上記実施形態では、本発明の在庫管理システム10を回転寿司の店舗における食材の管理に適用したが、これ以外の食材を調理して提供する飲食店の食材の管理にも適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
11 商品消費個数取得部
12 食材消費量算出部
13 在庫量算出部
14 発注量算出部
15 発注部
21 食材データベース
22 発注単位データベース
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