(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024535
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】情報記録装置、情報記録方法及び情報記録用プログラム並びに記録媒体
(51)【国際特許分類】
H04N 5/92 20060101AFI20230209BHJP
H04N 5/77 20060101ALI20230209BHJP
G11B 27/00 20060101ALI20230209BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
H04N5/92 010
H04N5/77 200
G11B27/00 B
G07C5/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196265
(22)【出願日】2022-12-08
(62)【分割の表示】P 2021190429の分割
【原出願日】2016-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】中村 健二
(72)【発明者】
【氏名】土田 善明
(72)【発明者】
【氏名】安藤 育央
(72)【発明者】
【氏名】田淵 大将
(72)【発明者】
【氏名】山崎 仁志
(57)【要約】
【課題】所望される映像データ及び音声データを記録することができると共に、プライバシの保護に留意しつつ必要な音声データを残すことが可能な情報記録装置を提供する。
【解決手段】車両に備えられたカメラC及びマイクMCからの映像データ及び音声データを取得すると共に、車両に急ハンドル等のイベントが発生したことを示すイベント情報を取得し、取得した映像データ及び音声データをそれぞれ記録した後に、当該記録された音声データについて、イベント情報に関連して記録された音声データを記録部Rに残す。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に備えられた撮像手段及び集音手段からの映像情報及び音情報を取得する第1取得手段と、
前記移動体にイベントが発生したことを示すイベント情報を取得する第2取得手段と、
各前記取得した映像情報及び音情報をそれぞれ記録した後に、当該記録された音情報について、前記イベント情報に関連して記録された前記音情報である関連音情報を少なくとも含む前記記録された音情報の一部を記録手段に残す記録制御手段と、
を備えることを特徴とする情報記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、情報記録装置、情報記録方法及び情報記録用プログラム並びに記録媒体の技術分野に属する。より詳細には、車両等の移動体に備えられたカメラ及びマイクからの映像データ等を記録する情報記録装置及び情報記録方法並びに当該情報記録装置用のプログラム並びに記録媒体の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば車両による移動中に事故、急加速又は急減速或いは急ハンドル等が発生した際の状況等を後から検証する等の目的に供させるべく、移動中の例えば車両の前方を撮像してサイクリック(巡回的)に記録するための、いわゆるドライブレコーダが一般化している。ここで、上記事故による衝撃、急加速又は急減速或いは急ハンドル等を、車両に対して発生する「イベント」と称する。そし当該目的のためには、イベントの発生前後一定時間に撮像及び集音された映像データ及び音声データが必要となる。このような要請に応じるための先行技術を開示した文献としては、例えば下記特許文献1及び下記特許文献2が挙げられる。このとき、特許文献1に開示されている技術では、車両に上記イベントが発生した場合に、そのイベントが発生した時刻を含む前後の所定時間の映像データ及び音声データを取得し不揮発性に記録する構成とされている。また特許文献2に開示されている技術では、車載されたカメラに記憶された映像データを基に、全体の走行経路の中で車両の走行方向の変化が大きい箇所や所定の文字等或いは道路案内標識等の映像データを、地図データと関連させて映像の要約(アルバム)として記録する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5856470号公報
【特許文献2】特開2009-246503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように従来のドライブレコーダでは、イベントが発生した時刻前後の映像データ及び音声データが記録されるが、例えば特許文献2に記載されたアルバム的な他の用途により、イベントの発生に無関係に映像データを記録しておく必要がある場合がある。
【0005】
ここで、上記映像データと共に記録される音声データについては、車両内で集音される音声にはプライベートな内容が含まれる場合があり、よって、プライバシの保護の観点からは、音声データの長期に渡る録音が好ましくない場合がある。
【0006】
そこで本願は、上記の問題点及び要請に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、所望される映像データ及び音声データを記録することができると共に、プライバシの保護に留意しつつ必要な音声データを残すことが可能な情報記録装置及び情報記録方法並びに当該情報記録装置用のプログラム及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、移動体に取り付けられた撮像手段及び集音手段からの映像情報及び音情報を取得する第1取得手段と、前記移動体に生じた衝撃の大きさに関する衝撃情報を取得する第2取得手段と、所定のユーザ操作を取得する第3取得手段と、前記映像情報を記録手段に保存する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第2取得手段により取得された前記衝撃情報が所定値以上の大きさの衝撃を示すこと、及び前記第3取得手段により前記所定のユーザ操作が取得されたことのそれぞれに起因して前記映像情報を保存する場合は、前記音情報のうち、前記所定値以上の大きさの衝撃、及び前記所定のユーザ操作のそれぞれに関連する部分である部分音情報を、前記映像情報と共に前記記録手段に残し、前記第2取得手段により取得された前記衝撃情報が前記所定値以上の大きさの衝撃を示すこと、及び前記第3取得手段により前記所定のユーザ操作が取得されたことのいずれにも起因せずに前記映像情報を保存する場合は、前記音情報を前記記録手段に残さないように構成される。
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、情報記録装置において実行される情報記録方法であって、移動体に取り付けられた撮像手段及び集音手段からの映像情報及び音情報を取得する第1取得工程と、前記移動体に生じた衝撃の大きさに関する衝撃情報を取得する第2取得工程と、所定のユーザ操作を取得する第3取得工程と、前記映像情報を記録手段に保存する制御工程と、を含み、前記制御工程は、前記第2取得工程により取得された前記衝撃情報が所定値以上の大きさの衝撃を示すこと、及び前記第3取得工程により前記所定のユーザ操作が取得されたことのそれぞれに起因して前記映像情報を保存する場合は、前記音情報のうち、前記所定値以上の大きさの衝撃、及び前記所定のユーザ操作のそれぞれに関連する部分である部分音情報を、前記映像情報と共に前記記録手段に残し、前記第2取得工程により取得された前記衝撃情報が前記所定値以上の大きさの衝撃を示すこと、及び前記第3取得工程により前記所定のユーザ操作が取得されたことのいずれにも起因せずに前記映像情報を保存する場合は、前記音情報を前記記録手段に残さないように構成される。
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、コンピュータを、移動体に取り付けられた撮像手段及び集音手段からの映像情報及び音情報を取得する第1取得手段、前記移動体に生じた衝撃の大きさに関する衝撃情報を取得する第2取得手段、所定のユーザ操作を取得する第3取得手段、及び、前記映像情報を記録手段に保存する制御手段、として機能させ、前記制御手段は、前記第2取得手段により取得された前記衝撃情報が所定値以上の大きさの衝撃を示すこと、及び前記第3取得手段により前記所定のユーザ操作が取得されたことのそれぞれに起因して前記映像情報を保存する場合は、前記音情報のうち、前記所定値以上の大きさの衝撃、及び前記所定のユーザ操作のそれぞれに関連する部分である部分音情報を、前記映像情報と共に前記記録手段に残し、前記第2取得手段により取得された前記衝撃情報が前記所定値以上の大きさの衝撃を示すこと、及び前記第3取得手段により前記所定のユーザ操作が取得されたことのいずれにも起因せずに前記映像情報を保存する場合は、前記音情報を前記記録手段に残さないように機能させる。
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のプログラムを格納している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る情報記録装置の概要構成を示すブロック図である。
【
図2】実施例に係るドライブレコーダの外観等を例示する図であり、(a)は当該ドライブレコーダが取り付けられるルームミラーの外観斜視図であり、(b)は当該ドライブレコーダを正面斜めから見た外観斜視図であり、(c)は当該ドライブレコーダを背面斜めから見た外観斜視図であり、(d)は当該ドライブレコーダをルームミラーに取り付けた後の状態を示す外観斜視図である。
【
図3】実施例に係るドライブレコーダの取付状態を例示する図であり、(a)はルームミラーへの取り付け前の当該ドライブレコーダを背面斜めから見た外観斜視図であり、(b)はルームミラーへの取り付け時の当該ドライブレコーダ各部の状態を背面斜めから見た外観斜視図であり、(c)はルームミラーへの取り付け後の当該ドライブレコーダの状態を示す外観斜視図である。
【
図4】実施例に係るドライブレコーダの細部構成を示すブロック図である。
【
図5】実施例に係るドライブレコーダにおける記録処理を示すフローチャートである。
【
図6】実施例に係るドライブレコーダにおける記録処理を実行した結果としての記録態様を例示する図である。
【
図7】変形例に係る記録システムの細部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本願を実施するための形態について、
図1を用いて説明する。なお
図1は、実施形態に係る情報記録装置の概要構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、実施形態に係る情報記録装置Sは、移動体に備えられた撮像手段C及び集音手段MCに接続された第1取得手段1と、第2取得手段2と、記録手段Rに接続された記録制御手段3と、を備えて構成されている。
【0014】
この構成において第1取得手段1は、撮像手段C及び集音手段MCからの映像情報及び音情報を取得する。また第2取得手段2は、移動体にイベントが発生したことを示すイベント情報を取得する。
【0015】
これらにより記録制御手段3は、撮像手段C及び集音手段MCから取得した映像情報及び音情報をそれぞれ記録した後に、当該記録された音情報について、第2取得手段2により取得されたイベント情報に関連して記録された音情報である関連音情報を少なくとも含む、当該記録された音情報の一部を記録手段Rに残す。
【0016】
以上説明したように、実施形態に係る情報記録操作装置Sの動作によれば、撮像手段C及び集音手段MCからの映像情報及び音情報をそれぞれ記録した後に、記録した音情報につき、イベント情報に関連した関連音情報を少なくとも含む、当該記録された音情報の一部を記録手段Rに残すので、所望される映像情報及び音情報を記録することができると共に、プライバシの保護に留意しつつ必要な関連音情報を記録手段Rに残すことができる。
【実施例0017】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、
図2乃至
図6を用いて説明する。なお以下に説明する実施例は、移動体の一例に相当する車両の室内用後写鏡に装着されて用いられ且つ室内用後写鏡を兼用するドライブレコーダにおける映像データ等の記録処理に対して実施形態適用した場合の実施例である。なお以下の説明において、上記室内用後写鏡を、単に「ルームミラー」と称する。
【0018】
また、
図2は実施例に係るドライブレコーダの外観等を例示する図であり、
図3は当該ドライブレコーダの取付状態を例示する図であり、
図4は実施例に係るドライブレコーダの細部構成を示すブロック図である。また、
図5は実施例に係るドライブレコーダにおける記録処理を示すフローチャートであり、
図6は当該記録処理を実行した結果としての記録態様を例示する図である。このとき
図5では、
図1に示した実施形態に係る情報記録装置Sにおける各構成部材に対応する実施例の構成部材それぞれについて、当該情報記録装置Sにおける各構成部材と同一の部材番号を用いている。
【0019】
図2及び
図3に示すように、実施例に係るドライブレコーダDRは、
図2(a)にその外観を例示するルームミラーRMのミラー面に被せるように当該ルームミラーRMに装着されて使用される型のドライブレコーダである。そして実施例に係るドライブレコーダDRは外観上、
図2(b)に示すように、タッチパネル等からなる操作部TP及び種々の情報の表示機能を有する表示部DPを一部に含むミラー面MLをその正面に備えている。一方
図2(c)に示すように、ドライブレコーダDRは、ドライブレコーダDR自体をルームミラーRMのミラー面に被せて当該ルームミラーRMに取り付けるための固定アームFH及び可動アームMHをそれぞれ二つずつと、例えば広角のカメラCと、ドライブレコーダDRの本体に内蔵されたマイクMCと、を備えている。このとき、カメラCが実施形態に係る撮像手段Cの一例に相当し、マイクMCが実施形態に係る集音手段MCの一例に相当する。以上の構成において各可動アームMHは、図示しないバネ等により、
図2の下方に付勢されている。そして可動アームMHの上端の庇部下面をルームミラーRMのミラー面の上辺(上端外側)に引っ掛けた状態でドライブレコーダDR全体を下方に引き下げると、各可動アームMHが
図2中上方に移動する。そしてこの状態で、ドライブレコーダDR全体を下方に回動させて各固定アームFHの庇部上面をルームミラーRMの下辺(下端外側)に嵌め込むことで、
図2(d)に示すように、ドライブレコーダDRがルームミラーRMに取り付けられる。この取付操作は、運転者等の使用者により手動で行われる。このルームミラーRMへの取り付け操作についてより具体的に
図3を用いて説明すると、
図3(a)に示すように、ルームミラーへの取り付け前においては、各可動アームMHは
図3中下方に付勢されたまま、初期位置にある。そして上述したように、可動アームMHの上端の庇部下面をルームミラーRMのミラー面の上辺に引っ掛けた状態でドライブレコーダDR全体を下方に引き下げると、
図3(b)に示すように、各可動アームMHが
図3中上方に移動する。そしてこの状態で、ドライブレコーダDR全体を下方に回動させて各固定アームFHの庇部上面をルームミラーRMの下辺に嵌め込むことで、
図3(c)に示すように、ドライブレコーダDRがルームミラーRMに取り付けられる。
【0020】
次に、実施例に係るドライブレコーダDRの細部構成、及び当該ドライブレコーダDRにおいて実行される実施例に係る記録処理について、具体的に
図4乃至
図6等を用いて説明する。
【0021】
図4に示すように、実施例に係るドライブレコーダDRは、上述したカメラC、マイクMC、表示部DP及び操作部TPに加えて、CPU、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなる制御部1と、測定部11と、イベント検出部12と、記録部Rと、図示しない電源部と、により構成されている。このとき、制御部1が実施形態に係る第1取得手段1、第2取得手段2及び記録制御手段3の一例にそれぞれ相当し、記録部Rが実施形態に係る記録手段Rの一例に相当する。そして
図4において破線で示すように、制御部1により実施形態に係る情報記録装置Sの一例を構成している。
【0022】
以上の構成において操作部TPは、上述したようにドライブレコーダDRの前面(正面)にタッチパネル等により構成されており、使用者による操作を受け付けて当該操作に対応する操作信号を制御部1に出力する。また表示部DPは、制御部1の制御の下、ドライブレコーダDRの機能として使用者に提示すべき情報を、例えば画像又はアイコン等を用いて表示する。次に測定部11は、ドライブレコーダDRが取り付けられている車両の現在位置、速度又は進行方向等を、例えばGPS(Global Positioning System)を用いて又は自立的に検出し、それぞれの検出結果を制御部1に出力する。次にマイクMCは、制御部1の制御の下、ドライブレコーダDRが取り付けられている車両の例えば車内の音又は音声を集音し、その検出結果を制御部1に出力する。このときマイクMCが当該車両の車外の音又は音声を集音できるものであってもよい。一方イベント検出部12は、図示しない加速度センサを用いて、ドライブレコーダDR(ひいては、それが取り付けられている車両)に対する予め設定された値以上の衝撃や当該車両における急加速又は急減速或いは急ハンドル等の上記イベントの発生及びその発生状態を検出し、その検出結果を制御部1に出力する。最後に記録部Rは、例えばSSD(Solid State Drive)等の不揮発性のメモリにより構成されている。そして制御部1は、上述してきたドライブレコーダDRとしての動作の制御に加えて、
図5及び
図6を用いて詳述する実施例に係る記録処理を実行し、上記イベント検出部12によりいずれかのイベントが検出されたタイミングにおいてカメラCにより撮像された映像データ及びマイクMCにより集音された音声データの記録部Rへの記録をそれぞれ制御する。この記録部Rに記憶された撮像データ等は、例えば事故等の事後検証等に用いられる。
【0023】
次に、上述した構成を備える実施例に係るドライブレコーダDRにおいて実行される、実施例に係る記録処理について、
図5及び
図6を用いて纏めて説明する。
【0024】
実施例に係る記録処理は、
図2及び
図3に示す態様によりドライブレコーダDRのルームミラーRMへの取り付けが完了して図示しないその電源スイッチがオンとされ、上記電源部から電源電力が供給されると開始される。なお、ドライブレコーダDR自体としての電源スイッチ及び上記電源部を設けずに、ドライブレコーダDRが取り付けられている車両のACC(Accessory)スイッチがオンとされた時点で、車両のバッテリ等からの電源供給の開始により実施例に係る記録処理を開始してもよい。そして
図5に示すように、当該実施例に係る記録処理が開始されると、制御部1は、カメラC及びマイクMCそれぞれから連続して出力される映像データ及び音声データをそれぞれ取得する(ステップS1)。また制御部1は、上記ステップS1の処理と並行してイベント検出部12内の図示しない加速度センサをオンとする。そして制御部1は、連続して取得される上記映像データ及び上記音声データをその時系列に沿って記録部Rに記録する際の記録管理上の単位(即ち記録単位)であるファイル一つ分に相当する予め設定された記録時間の図示しないタイマによる計時を開始し、更にその時点で取得されている(ステップS1参照)映像データ及び音声データを含む上記ファイルの名称を定義すると共に、当該映像データ及び当該音声データの記録部Rへの記録を開始する(ステップS2)。なお以下の説明において、上記ファイル一つ分に相当する予め設定された記録時間を「ファイル記録時間」と称する。当該ファイル記録時間の一例は1分である。また上記ステップS2において制御部1は、上記映像データ及び上記音声データと共に、時刻、ドライブレコーダDRが取り付けられている車両の位置、走行速度及び進行方向等の情報を、当該時刻に対応させて記録部Rに記録する。
【0025】
次に制御部1は、イベント検出部12によりイベントの発生が検出されたか否かを判定する(ステップS3)。ステップS3の判定においていずれのイベントの発生も検出されない場合(ステップS3:NO)、制御部1は後述するステップS5の判定に移行する。一方ステップS3の判定においていずれかのイベントの発生が検出された場合(ステップS3:YES)、制御部1は次に、当該発生が検出されたイベントに対応するイベント情報をイベント検出部12から取得し、当該イベントの発生時に記録されている上記映像データ及び上記音声データに関連付けて、且つ当該映像データ及び当該音声データと並行して記録部Rに記録する(ステップS4)。このとき上記イベント情報には、当該イベントの種類(即ち、上記衝撃、上記急加速、上記急減速又は上記急ハンドル等のいずれか)を示す種類情報、当該イベントの発生時刻を示す時刻情報、及び当該イベントとして上記加速度センサにより検出された加速度の大きさ及び方向等を示す加速度情報等が含まれている。
【0026】
次に制御部1は、上記ACCスイッチがオフとされたか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5の判定において当該ACCスイッチがオフとされている場合(ステップS5:YES)、次に制御部1は、ステップS2の計時開始後当該ACCスイッチがオフとされるまでの間に上記イベントの発生が検出されたか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12の判定において当該オフとされるまでの間にイベントが発生していた場合(ステップS12:YES)、制御部1は、その時点で上記ファイル記録時間が経過しているか否かに拘わらず、当該オフとされるまでの間に記録されている映像データ及び音声データを対として一つのファイルを生成し、当該ファイルを示すファイル名(上記ステップS2参照)及び当該発生したイベントに対応する上記イベント情報(上記ステップ
S4参照)と共に記録部Rに記録する(ステップS14)。そして制御部1は、実施例に係る記録処理において予め設定されているオフ処理と共に、それまでに記録されているファイルごとの映像データ及び音声データを、当該映像データ及び当該音声データごとに統合して一つのファイルとする(ステップS15)。その後制御部1は、実施例に係る記録処理を終了する。
【0027】
一方、上記ステップS12の判定においてACCスイッチがオフとされるまでの間にいずれのイベントも発生していない場合(ステップS12:NO)、制御部1は、ファイル記録時間の計時開始(上記ステップS2参照)後当該オフとされるまでの間に記録されている音声データを記録部Rから消去する(ステップS13)。その後制御部1は上記ステップS14に移行し、消去した音声データ以外の映像データ等を用いて上述した処理を実行する。
【0028】
他方、上記ステップS5の判定において当該ACCスイッチがオフとされていない場合(ステップS5:NO)、次に制御部1は、上記ステップS2の計時開始から上記ファイル記録時間が経過したか否かを判定する(ステップS6)。ステップS6の判定において、当該ファイル記録時間が経過していない場合(ステップS6:NO)、制御部1は上記ステップS3に戻って上述してきたステップS3乃至ステップS5等の処理を繰り返す。
【0029】
次に上記ステップS6の判定において、当該ファイル記録時間が経過した場合(ステップS6:YES)、制御部1は、当該ファイル記録時間に記録されている映像データ及び音声データを対として一つのファイルを生成する。そして制御部1は、当該生成したファイルを、当該ファイルを示すファイル名(上記ステップS2参照)、及び上記ステップS3の判定が「YES」の場合のみ当該発生したイベントに対応する上記イベント情報(上記ステップS4参照)と共に、記録部Rに記録する(ステップS7)。
【0030】
次に制御部1は、ステップS6において経過したと判定されたファイル記録時間について、当該ファイル記録時間中にいずれかのイベントが発生していたか否かを判定する(ステップS8)。ステップS8の判定においていずれかのイベントが発生していた場合(ステップS8:YES)、制御部1は、上記ステップS7後の最初に記録されるファイル(即ち、直後に記録されるファイル)に含まれる音声データを消去しない旨の設定(例えば、当該消去しない旨のフラグを設定する等)を行う(ステップS10)。その後制御部1は、上記ステップS2に戻って、次のファイル記録時間に対応する映像データ等の記録処理を行う。
【0031】
一方ステップS8の判定において、いずれのイベントも発生していなかった場合(ステップS8:NO)、次に制御部1は、ステップS7により記録された最新のファイルの直前に記録されたファイルがあるか否かを判定する(ステップS9)。なお以下の説明において、ステップS7により記録された最新のファイルの直前に記録されたファイルを「直前ファイル」と称する。ステップS9の判定において直前ファイルがある場合(ステップS9:YES)、制御部1は、当該直前ファイルにおいて対応する映像データと共に記録されていた音声データを記録部Rから消去する(ステップS11)。その後制御部1は上記ステップS2に戻り、次のファイル記録時間に対応する映像データ等の記録処理を行う。他方ステップS9の判定において直前ファイルがない場合(ステップS9:NO)、直前のステップS7において記録されたファイルが映像データ等の取得開始後(上記ステップS1参照)の最初のファイルであることになるので、制御部1は、そのまま上記ステップS2に戻り、次のファイル記録時間に対応する映像データ等の記録処理を行う。
【0032】
次に、
図5を用いて説明した実施例に係る記録処理が実行された結果得られる各ファイル等の記録態様について、
図6を用いて例示しつつ説明する。なお
図6は、実施例に係るファイル記録時間が1分(60秒)であり、午前10時1分0秒に車両を始動させ、午前10時5分30秒に車両を停止させた場合について例示している。また
図6では、一つのファイルに相当する映像データ及び音声データの範囲が一点鎖線で示されている。
【0033】
実施例に係るドライブレコーダDRでは、上述したようにその電源スイッチがオンとされるか、又は上記ACCスイッチがオンとされると、上述したように、カメラC及びマイクMCから取得される映像データ及び音声データと、時刻、ドライブレコーダDRが取り付けられている車両の位置、走行速度及び進行方向等の情報を、当該時刻に対応させて(即ちリアルタイムに同期させて)、記録部Rに記録する(
図5ステップS2参照)。このとき、上記ファイル記録時間の経過ごとに、別々のファイルとして映像データ及び音声データ等が記録される(
図5ステップS7及び同ステップS14参照)。なお
図6に例示する場合では、1分であるファイル記録時間にそれぞれ対応する各ファイルのファイル名が、それぞれに対応するファイル記録時間の計時開始タイミングを示す主旨で、「201610191001」→「201610191002」→「201610191003」、…、とされている(
図6上図参照)。また、各ファイルに含まれている映像データが映像データVD1等とされており、同じく音声データが音声データAD2等とされている。
【0034】
そして、例えばファイル名が「201610191002」であるファイル(映像データVD2及び音声データAD2を含む)の記録部Rへの記録が完了するまでに、イベント検出部12によりいずれのイベントもが検出されなかった場合(
図5ステップS8:NO参照)、当該ファイル名「201610191002」のファイルの記録完了後に(
図7ステップS7参照)、その直前ファイルであるファイル名「201610191001」のファイルから、それに含まれていた音声データが消去される(
図5ステップS11参照)。
【0035】
また、例えばファイル名が「201610191003」であるファイル(映像データVD3及び音声データAD3を含む)の記録部Rへの記録が完了するまでに、イベント検出部12によりいずれかのイベントが検出された場合は(
図5ステップS3:YES参照)、当該「201610191003」のファイルに含ませて記録中の映像データVD3等に対して、当該イベントの発生を検出したタイミング(
図6に例示する場合、午前10時3分20秒)で、当該発生したイベントの種類を示すインデックス等を上記イベント情報として付して記録部Rに記録する(
図5ステップS4参照)と共に、当該イベントの発生を検出したタイミングに対応するファイル名「201610191003」のファイル及びその前後に記録部Rに記録される(記録された)ファイル名「201610191004のファイル及びファイル名「201610191002」のファイルからは、それぞれに対応する音声データAD2、音声データAD3及び音声データAD4を消去しないように制御する(
図5ステップS9:NO及び同ステップS10参照)。
【0036】
一方、例えばファイル名が「201610191005」であるファイルの記録部Rへの記録が完了する前にドライブレコーダDRへの電源供給が停止された場合(
図5ステップS5:YES参照)、そのタイミングで記録部Rへの記録を停止するが、そのファイルの記録中において当該記録を停止するまでにイベントが検出されなかった場合は(
図5ステップS12:NO参照)、ファイル名「201610191005」に含まれる音声データを消去する(
図5ステップS13)。そして、その後の上記オフ処理と共に、それまでに記録されているファイルごとの映像データVD2等及び音声データAD2等を、当該映像データVD2等及び音声データAD2ごとに統合して一つの映像データVDa及び音声データADaとし(
図6下向き白矢印参照)、当該映像データVDa及び音声データADaを含む一つのファイルとして記録部Rに記録する(
図6下図及び
図5ステップS15参照)。このとき、当該統合後の新しいファイル名は、
図6下図に例示するように、例えば「201610191001-201610191005」とされる。
【0037】
以上それぞれ説明したように、実施例に係る記録処理によれば、カメラC及びマイクMCからの映像データ及び音声データをそれぞれ記録した後に、記録した音声データにつき、イベントに関連した音声データを少なくとも含む、当該記録された音声データの一部を記録部Rに残すので、所望される映像データ及び音声データを記録することができると共に、プライバシの保護に留意しつつ必要な音声データを記録部Rに残すことができる。なおこの場合に、プライバシの保護をより担保すべく、イベントに関連した音声データのみを記録部Rに残すように構成してもよい。
【0038】
また、イベントに関連する音声データが、イベントの発生時刻を含む既定の時間(
図6に例示する場合は、前後のファイルを含む三分間)内に集音された音に相当する音声データとされるので、発生したイベントとの関係で必要な音声データを確実に残すことができる。
【0039】
更に、映像データ及び音声データをそれぞれ記録する場合に、連続する当該映像データ及び当該音声データを、当該各記録上の時系列に沿ったファイルに分けてそれぞれ記録するので(
図6参照)、必要な映像データ及び音声データを確実に記録することができる。
【0040】
更にまた、イベントに関連する音声データを含む複数のファイルを統合し、当該統合したファイルに相当する音声データを記録部Rに残すので(
図6下図参照)、記録管理上の構成を簡略化しつつ、必要な音声データを確実に記録部Rに残すことができる。
【0041】
なお、実施例に係る記録部Rについては、上述したようにドライブレコーダDRに内蔵されるものの他、例えばカード型の記録媒体としてドライブレコーダDRから取り外し可能に構成されていてもよい。
【0042】
[変形例]
次に上述した実施形態に対応する変形例について、
図7を用いて説明する。ここで
図7は、変形例に係る記録システムの細部構成を示すブロック図である。この
図7では、
図1に示した実施形態に係る情報記録装置Sにおける各構成部材に対応する実施例の構成部材それぞれについて、当該情報記録装置Sにおける各構成部材と同一の部材番号を用いている。
【0043】
上述した実施例では、実施形態に係る情報記録装置Sに係るドライブレコーダDRが車両内に取り付けられている場合について説明したが、これ以外に、車両と、固定設置されたサーバ装置と、をインターネット等のネットワークを介して接続した記録システムに対して実施形態に係る情報記録装置Sを適用することもできる。
【0044】
即ち
図7に示すように、変形例に係る記録システムSSは、車両に取り付けられた変形例に係るドライブレコーダDR1と、固定設置されたサーバ装置SVと、が、インターネット等のネットワークNWを介して無線接続されて構成されている。
【0045】
そしてドライブレコーダDR1は、実施例に係るドライブレコーダDRと同様の測定部11、イベント検出部12、カメラC、マイクMC、操作部TP及び表示部DPに加えて、送信部20と、CPU、ROM及びRAM等からなる制御部21と、により構成されている。一方サーバ装置SVは、実施例に係る記録部Rと同様の記録部Rと、SSD又はHDD(Hard Disc Drive)等からなり且つ地図データを記録する地図データベース20と、液晶ディスプレイ等からなる表示部21と、受信部22と、実施例に係る制御部1と同様の制御部1と、により構成されている。そして
図7において破線で示すように、サーバ装置SVの制御部1により実施形態に係る情報記録装置Sの一例を構成している。
【0046】
以上の構成において変形例に係るドライブレコーダDR1の制御部21は、その電源スイッチがオンとされるか、又は上記ACCスイッチがオンとされると、カメラC及びマイクMCから取得される映像データ及び音声データと、時刻、ドライブレコーダDR1が取り付けられている車両の位置、走行速度及び進行方向等の情報を、当該時刻に対応させて、送信部20及びネットワークNWを介してサーバ装置SVにリアルタイムに送信する。また制御部21は、イベント検出部12において何らかのイベントを検出した場合、当該生したイベントの種類を示すインデックス等を、上記イベント情報として送信部20及びネットワークNWを介してサーバ装置SVに送信する。
【0047】
一方サーバ装置SVの制御部1は、車両に取り付けられたドライブレコーダDR1から逐次送信されてくる上記車両の位置等の情報、及びイベント発生時に送信されてくる上記イベント情報を、ネットワークNW及び受信部22を介して受信する。その後制御部1は、当該受信した位置等の情報及びイベント情報に基づいて、
図5を用いて説明した実施例に係る記録処理と同様の記録処理を実行し、各ファイルを記録部Rに記録する。このとき制御部1は、当該受信した位置の情報により示される位置に対応する地図データを地図データベース20から読み出し、記録されるファイルに対応付けて記録部Rに記録されるように制御する。この結果、サーバ装置SVの記録部Rには、上記ドライブレコーダDR1ごと(即ち、車両ごと)に、
図6を用い説明した記録態様で、統合された映像データVDa及び音声データADaが記録されることになる。また当該記録後の映像データVDa及び音声データADa等は表示部21に表示する等の処理に供される。
【0048】
以上説明したように、変形例に係る記録処理によれば、実施例に係る記録処理による効果に加えて、イベントに関連する音声データに加えて当該音声データに対応する映像データがサーバ装置SVの記録部Rに残され、当該記録部Rが車両外に備えられているので、例えば当該車両自体に事故等が発生していても、所望される映像データVDa及び音声データADaを記録部Rに記録して残すことができる。
【0049】
また、記録部Rを含むサーバ装置SVが車両外に固定設置されており、映像データ及び音声データ並びにイベント情報を車両からそれぞれ取得(受信)するので、イベント情報との関係で所望される映像データVDa及び関連する音声データADaを確実に記録して残すことができる。
【0050】
また他の変形例として、例えばカメラC及びマイクMCからそれぞれ取得した映像データ及び音声データをドライブレコーダDRに内蔵された記録部Rにそれぞれ記録した後に、当該記録部Rに記録された音声データについて、イベントに関連する音声データを含むその一部、又は当該イベントに関連する音声データのみを記録部Rからの複写又は移動により例えばカード型の他の記録媒体に残すように構成してもよい。このとき記録部Rに記録された映像データについては、その全てが上記他の記録媒体に複写又は移動されるように構成してもよい。上記のような他の変形例では、記録部Rは本願に係る「第2記録手段」の一例に相当し、上記他の記録媒体が実施形態に係る記録手段Rの一例に相当する。これらの場合には、例えば他の記録媒体をドライブレコーダDRから取り外し可能な記録媒体とすることで、所望される映像データVDa及びイベントに関連する音声データADaを例えば外部の装置で活用することができる。
【0051】
また上述した実施例の構成に加えて、いわゆる「音声メモ」等の目的で使用者が意図的にその音声を記録して残すために、実施例に係るドライブレコーダDRを用いてもよい。この場合には例えば、ドライブレコーダDRの筐体の外部から見える任意の位置(例えばカメラCの脇の位置等)に設けられた図示しない録音ボタンを押下する等の所定の操作を使用者が実行することにより、当該操作から予め設定された録音時間(例えば30秒)内の音声について、これを記録部Rから消去せずに残すように構成するのが好適である。
【0052】
更に上述した実施例では、ルームミラーRMのミラー面にドライブレコーダDRを取り付ける場合について実施形態を適用したが、これ以外に、例えばダッシュボード上にドライブレコーダDRを取り付ける場合において、当該ドライブレコーダDRにより必要な映像データVDa等を記録する場合にも実施形態を適用することが可能である。
【0053】
更にまた、
図6に示したフローチャートに相当するプログラムを、光ディスク又はハードディスク等の記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して取得しておき、これを汎用のマイクロコンピュータ等に読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータ等を実施例又は変形例に係る制御部1として機能させることも可能である。