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特開2023-24555治療的鼻神経調節を特定化、監視、および/または評価するためのデバイス、システム、および方法
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  • 特開-治療的鼻神経調節を特定化、監視、および/または評価するためのデバイス、システム、および方法 図1
  • 特開-治療的鼻神経調節を特定化、監視、および/または評価するためのデバイス、システム、および方法 図2A
  • 特開-治療的鼻神経調節を特定化、監視、および/または評価するためのデバイス、システム、および方法 図2B
  • 特開-治療的鼻神経調節を特定化、監視、および/または評価するためのデバイス、システム、および方法 図3A
  • 特開-治療的鼻神経調節を特定化、監視、および/または評価するためのデバイス、システム、および方法 図3B
  • 特開-治療的鼻神経調節を特定化、監視、および/または評価するためのデバイス、システム、および方法 図4A
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  • 特開-治療的鼻神経調節を特定化、監視、および/または評価するためのデバイス、システム、および方法 図5
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  • 特開-治療的鼻神経調節を特定化、監視、および/または評価するためのデバイス、システム、および方法 図7
  • 特開-治療的鼻神経調節を特定化、監視、および/または評価するためのデバイス、システム、および方法 図8A
  • 特開-治療的鼻神経調節を特定化、監視、および/または評価するためのデバイス、システム、および方法 図8B
  • 特開-治療的鼻神経調節を特定化、監視、および/または評価するためのデバイス、システム、および方法 図9
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024555
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】治療的鼻神経調節を特定化、監視、および/または評価するためのデバイス、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20230209BHJP
   A61B 17/24 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
A61N1/36
A61B17/24
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022200188
(22)【出願日】2022-12-15
(62)【分割の表示】P 2019524324の分割
【原出願日】2017-11-13
(31)【優先権主張番号】62/421,135
(32)【優先日】2016-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517393570
【氏名又は名称】ナショナル ユニバーシティ オブ アイルランド ゴールウェイ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】タウンリー デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】シールズ ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】キーオ アイヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ドッカリー ピーター
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン イアン スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】オハロラン マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ポーター エミリー エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ マーギー
(57)【要約】
【課題】治療的鼻神経調節を特定化、監視、および/または評価するためのデバイス、システム、および方法を提供すること。
【解決手段】本技術の実施形態に従って構成された標的神経調節システムは、例えば、シャフトの遠位部分にある、複数の電極を含む評価/変調アセンブリを含むことができる。電極は、標的神経構造を識別および位置決めするための周波数で刺激エネルギーを放出し、結果として生じる組織の生体電気的特性を検出するように構成される。システムはまた、標的神経構造の位置をマッピングするコンソールも含むことができる。次いで、評価/変調アセンブリは、標的神経構造のマッピングされた位置に基づいて、高度に調整された神経調節パターンで治療的神経調節エネルギーを適用することができる。したがって、システムは、非標的構造を回避して副作用を低減する一方で、高度に特定の標的構造に治療的神経調節を提供する。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト患者の鼻領域における解剖学的構造および治療的神経調節を検出するためのシステムであって、
近位部分および遠位部分を有するシャフトであって、前記遠位部分を管腔内で前記ヒト患者の蝶口蓋孔より下の鼻腔内の標的部位に位置決めするように構成される、シャフトと、
前記シャフトの前記遠位部分にある評価/変調アセンブリであって、標的神経構造を位置決めするための周波数で前記標的部位における組織に刺激エネルギーを放出し、前記刺激エネルギーに応答して生体電気的特性を検出するように構成された、複数の電極を備える、評価/変調アセンブリと、
コンソールであって、コントローラによって実行されると、前記コンソールに、前記標的神経構造の位置をマッピングさせ、前記評価/変調アセンブリに、前記標的神経構造の前記位置に基づいて所定の神経調節パターンにおける治療的神経調節エネルギーを適用させる命令を保有する、コンピュータ可読媒体を有する前記コントローラを含む、コンソールと、を備える、システム。
【請求項2】
前記複数の電極の少なくとも一部分が、所定の周波数でRFエネルギーを適用して、前記標的神経構造のイオン性撹拌を開始させて、節後副交感神経を治療的に変調するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の電極の少なくとも一部分が、所定の周波数でRFエネルギーを適用して、粘膜下構造のイオン性撹拌を開始させて、節後副交感緊張を治療的に変調するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の電極の少なくとも一部分が、所定の周波数でRFエネルギーを適用して、前記標的神経構造の液胞変性を開始させて、節後副交感神経を治療的に変調するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の電極が、前記標的部位における非標的解剖学的構造の生体電気的特性を検出するように構成され、
前記コンピュータ可読媒体が、前記コントローラによって実行されると、前記コンソールに、非標的解剖学的構造の位置をマッピングさせ、前記評価/変調アセンブリに、前記所定のパターンにおける神経調節エネルギーを適用させて、前記非標的解剖学的構造の前記位置を回避する、命令を保有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記所定の神経調節パターンによって画定される予測された神経調節区域に関して、前記標的神経構造の位置を視覚化するように構成されたディスプレイをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数の電極が、治療的神経調節の前に、治療的神経調節の間に、および/または治療的神経調節の後に、前記治療部位における組織の生体電気的特性を検出するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記生体電気的特性が、複素インピーダンス、抵抗、リアクタンス、キャパシタンス、インダクタンス、誘電率、導電率、神経発火電圧、神経発火電流、磁場、および誘導起電力のうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記評価/変調アセンブリが、
低プロファイル送達状態と拡張状態との間で変形可能なバスケットを備え、前記バスケットが前記拡張状態にあるときに、前記バスケットが、互いに半径方向に離間配置された複数の支柱を含み、
前記複数の電極が、前記支柱上に配置され、
前記バスケットが前記拡張状態にあるときに、前記複数の支柱が前記電極のうちの少なくとも2つを前記標的部位に位置付けるように構成され、
前記電極が、前記標的部位に無線周波(RF)エネルギーを適用して、前記標的部位に近接する副交感神経を治療的に変調するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記評価/変調アセンブリが、
前記バスケット内で拡張可能であり、かつ低プロファイル送達状態から拡張状態への間で変形可能である拡張可能な部材をさらに備え、前記複数の電極の少なくとも一部分が、拡張可能な表面の外側表面上に配置される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記バルーンが拡張状態にあるときに、前記バルーンが前記バルーンを通る薬剤の灌流を可能にするように構成された複数の穴を備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記評価/変調アセンブリが、
前記バスケット内の拡張可能な部材であって、低プロファイル送達状態から拡張状態への間で変形可能である、拡張可能な部材と、
前記拡張可能な部材上に配置された少なくとも1つの感知電極であって、前記拡張可能な部材の円周部分の周りに延在するコイル形状を画定する、感知電極と、をさらに備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記評価/変調アセンブリが、
前記バスケット内で拡張可能な部材であって、低プロファイル送達状態から拡張状態への間で変形可能である、拡張可能な部材と、
前記拡張可能な部材の外側表面に配置された複数の貫通電極と、をさらに備え、前記拡張可能な部材が、前記拡張可能な部材が前記拡張状態にあるときに、前記貫通電極の少なくとも一部分を前記標的部位における組織の中へと一定の深さで位置付けるように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の電極が、前記拡張可能な部材が前記拡張状態にあるときに、前記標的部位における組織の中へと一定の深さで貫通するように構成された貫通電極のアレイを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記貫通電極が、前記刺激エネルギーに応答して、筋肉収縮を検出するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記評価/変調アセンブリが、低プロファイル送達状態から拡張状態への間で変形可能なバルーンを備え、前記複数の電極の少なくとも一部分が、前記バルーン上に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の電極が、前記評価/変調アセンブリの選択された領域にわたって治療的神経調節を適用するために、独立して作動され、かつ独立して選択的な極性を割り当てられるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
ヒト患者の鼻領域における解剖学的構造および治療的神経調節を検出するためのシステムであって、
近位部分および遠位部分を有するシャフトであって、前記シャフトが、前記遠位部分を管腔内で標的部位に位置決めするように構成され、前記標的部位が、ヒト患者の蝶口蓋孔に近接するか、または前記蝶口蓋孔より下にあるかのうち少なくとも1つである、シャフトと、
前記シャフトの前記遠位部分にあり、かつ低プロファイル送達状態と拡張状態との間で変形可能な評価/変調アセンブリであって、前記評価/変調アセンブリが前記拡張状態にあるときに、前記標的部位における組織と接触して定置され、かつ前記標的部位における組織の生体電気的特性を測定して、標的解剖学的構造および非標的構造を識別および位置決めするように構成された複数の電極を備える、評価/変調アセンブリと、
コンソールであって、コントローラによって実行されると、前記コンソールに、前記標的解剖学的構造および非標的解剖学的構造の位置をマッピングさせ、前記評価/変調アセンブリに、前記標的および非標的解剖学的構造の前記位置に基づいて、所定の神経調節パターンにおける治療的神経調節エネルギーを適用させる、命令を保有する、コンピュータ可読媒体を有する前記コントローラを含む、コンソールと、を備える、システム。
【請求項19】
前記命令が、前記コントローラによって実行されると、前記評価/変調アセンブリに、少なくとも前記標的部位へと近接した抵抗を決定させる、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記生体電気的特性が、治療的神経調節の前に、治療的神経調節の間に、および/または治療的神経調節の後に検出され、かつ前記生体電気的特性が、複素インピーダンス、抵抗、リアクタンス、キャパシタンス、インダクタンス、誘電率、導電率、神経発火電圧、神経発火電流、磁場、および誘導起電力のうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記複数の電極の少なくとも一部分が、所定の周波数でRFエネルギーを適用して、解剖学的マッピングおよび/または治療的神経調節のために、標的解剖学的構造を作動させるように構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
前記評価/変調アセンブリが、
前記低プロファイル送達状態と前記拡張状態との間で変形可能なフレームを備え、前記フレームが前記拡張状態にあるときに、前記フレームが、互いに半径方向に離間配置された複数の支柱を含み、
前記複数の電極が、前記支柱上に配置され、
前記複数の支柱が、前記フレームが前記拡張状態にあるときに、前記電極のうちの少なくとも2つを前記標的部位に位置付けるように構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項23】
前記評価/変調アセンブリが、前記低プロファイル送達状態から前記拡張状態への間で変形可能である拡張可能な部材を備え、前記複数の電極の少なくとも一部分が、前記拡張可能な部材上に配置される、請求項18に記載のシステム。
【請求項24】
ヒト患者の鼻領域における神経を治療的に変調する方法であって、
治療デバイスのシャフトの遠位部分にある評価/変調アセンブリを、前記鼻領域内の標的部位へと管腔内で前進させることであって、前記標的部位が副交感神経に近接し、前記評価/変調アセンブリが、複数の電極を含む、前進させることと、
前記標的部位へと刺激エネルギーを送達して、前記標的部位にある神経構造を活性化することであって、特定の標的神経構造の位置決めするために、前記刺激エネルギーが、1つ以上の周波数で放出される、送達することと、
前記評価/変調アセンブリの前記複数の電極の少なくとも一部分を介して、前記標的部位における1つ以上の生体電気的パラメータを検出することと、
前記検出された生体電気的パラメータに基づいて、前記標的部位における標的神経構造の相対的存在および位置を特定することと、
前記標的神経構造の前記位置に基づいて神経調節パターンを決定して、前記検出された標的神経構造を遮断することと、を含む、方法。
【請求項25】
前記所定の神経調節パターンに基づいて、治療的神経調節エネルギーを送達することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
治療的神経調節エネルギーを送達することが、所定の周波数でRFエネルギーを送達して、前記標的神経構造のイオン性撹拌を開始させて、節後副交感神経を治療的に変調することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
治療的神経調節エネルギーを送達することが、所定の周波数でRFエネルギーを送達して、粘膜下構造のイオン性撹拌を開始させて、節後副交感神経を治療的に変調することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
治療的神経調節エネルギーを送達することが、所定の周波数でRFエネルギーを送達して、前記標的神経構造の液胞変性を開始させて、節後副交感神経を治療的に変調することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
1つ以上の生体電気的パラメータを検出することが、前記組織の抵抗を検出することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
1つ以上の生体電気的パラメータを検出することが、神経発火電圧および神経発火電流のうちの少なくとも1つを検出することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
1つ以上の生体電気的パラメータを検出することが、前記標的部位における神経磁場を検出することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
1つ以上の生体電気的パラメータを検出することが、前記標的部位における誘導起電力を検出することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
前記標的部位における1つ以上の生体電気的パラメータを検出することが、前記標的部位における非標的解剖学的構造の生体電気的パラメータを検出することを含み、
前記方法が、前記検出された生体電気的パラメータに基づいて、前記標的部位における非標的構造の位置を特定することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
前記所定の神経調節パターンによって画定される予測された神経調節区域に関して、前記標的神経構造の位置を視覚的にマッピングすることをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項35】
刺激エネルギーを送達する前に、貫通電極の少なくとも一部分が、前記標的組織の中へと一定の深さ貫通するように、前記貫通電極のアレイを展開することをさらに含み、前記貫通電極が、前記複数の電極の少なくとも一部分であり、前記評価/変調アセンブリ上に配置される、請求項24に記載の方法。
【請求項36】
前記評価/変調アセンブリの前記複数の電極の少なくとも一部分を介して、前記標的部位における1つ以上の生体電気的パラメータを検出することが、前記貫通電極を介する前記刺激エネルギーに応答して、筋肉収縮データを検出することを含み、
前記標的部位における標的神経構造の相対的存在および位置を特定することが、前記検出された筋肉収縮データに基づいて、標的神経構造の位置をマッピングすることを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
ヒト患者の鼻領域における神経を治療的に変調する方法であって、
治療デバイスのシャフトの遠位部分にある評価/変調アセンブリを、前記鼻領域内の標的部位へと管腔内で前進させることであって、前記標的部位が副交感神経に近接し、かつ前記評価/変調アセンブリが複数の電極を含む、前進させることと、
治療的神経調節の前に、前記複数の電極の少なくとも一部分を介して、前記標的部位における1つ以上のベースライン生体電気的パラメータを検出することと、
前記検出された生体電気的パラメータに基づいて、前記標的部位内の固有の組織特性を幾何学的に識別して、標的構造および非標的構造の位置を特定することと、
前記標的構造および前記非標的構造の前記位置に基づいて、神経調節パターンを決定することと、
前記神経調節パターンに従って、治療的神経調節エネルギーを前記標的構造へと送達することと、を含む、方法。
【請求項38】
前記治療的神経調節エネルギーの前記送達の間に、前記評価/変調アセンブリを介して、1つ以上の手技中の生体電気的パラメータを決定することと、
前記治療的神経調節エネルギーの前記送達の後に、前記評価/変調アセンブリを介して、1つ以上の手技後の生体電気的パラメータを決定して、前記治療的神経調節エネルギーを受けた前記神経を遮断することにおける前記治療的神経調節エネルギーの前記送達の有効性を決定することと、をさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記検出された生体電気的パラメータに基づいて、前記標的部位内の固有の組織特性を幾何学的に識別することが、前記標的部位における神経発火率を検出することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記神経調節パターンに従って、前記標的構造に治療的神経調節エネルギーを送達することが、所定の周波数でRFエネルギーを送達して、前記標的構造のイオン性撹拌を開始させて、節後副交感神経を治療的に変調することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記神経調節パターンに従って、前記標的構造に治療的神経調節エネルギーを送達することが、所定の周波数でRFエネルギーを送達して、粘膜下構造のイオン性撹拌を開始させて、節後副交感神経を治療的に変調することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記神経調節パターンに従って、前記標的構造へと治療的神経調節エネルギーを送達することが、所定の周波数でRFエネルギーを送達して、前記標的構造の液胞変性を開始させて、節後副交感神経を治療的に変調することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
ヒト患者の鼻領域における解剖学的構造および治療的神経調節を検出するためのデバイスであって、システムが
近位部分および遠位部分を有するシャフトであって、前記遠位部分を管腔内で前記ヒト患者の蝶口蓋孔より下の鼻腔内の標的部位に位置決めするように構成される、シャフトと、
前記シャフトの前記遠位部分にある評価/変調アセンブリであって、
前記評価/変調アセンブリが、標的構造および非標的構造を位置決めするための周波数で、前記標的部位における組織へと刺激エネルギーを放出し、前記刺激エネルギーに応答して、生体電気的特性を検出するように構成された、複数の電極を含み、
前記生体電気的特性が、前記標的構造および前記非標的構造の位置をマッピングするために使用され、
前記複数の電極の少なくとも一部分が、前記標的構造および前記非標的構造の前記位置に基づいて、所定の神経調節パターンで治療的神経調節エネルギーを適用するように構成される、評価/変調アセンブリと、を備える、デバイス。
【請求項44】
前記複数の電極の少なくとも一部分が、所定の周波数でRFエネルギーを適用して、前記標的構造のイオン性撹拌および/または液胞変性を開始させて、節後副交感神経を治療的に変調するように構成される、請求項43に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2016年11月11日に出願された米国仮特許出願第62/421,135号に対する優先権を主張する。
【0002】
本技術は、概して患者の鼻領域内の、または鼻領域に関連する、神経構造を含む解剖学的構造のマッピング、監視、および/または評価のためのデバイス、システム、および方法に関する。具体的には、本技術の種々の実施形態は、治療的鼻神経調節を特定化、監視、および/または評価するためのデバイス、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
鼻副鼻腔炎は、鼻の粘膜の炎症として特徴付けられ、アレルギー性鼻炎、非アレルギー性鼻炎、慢性鼻炎、慢性副鼻腔炎、および医学的耐性鼻炎を含む一群の状態を指す。鼻副鼻腔炎の症状としては、鼻づまり、閉塞、鬱血、鼻汁(例えば、鼻漏および/もしくは後鼻垂れ)、顔面痛、顔面圧迫感、ならびに/または嗅覚の低減もしくは損失が挙げられる。アレルギー性鼻炎は、くしゃみ、水様鼻漏、鼻のかゆみ、およびかゆみまたは涙目などのさらなる症状を含むことができる。重度の鼻炎は、合併する喘息の再燃、睡眠障害、および日常活動の低下につながる可能性がある。システムの間隔とタイプに応じて、鼻副鼻腔炎を、4つの亜型:急性鼻副鼻腔炎、再発性鼻副鼻腔炎、鼻ポリープ症を伴う慢性鼻副鼻腔炎(すなわち、鼻孔または洞の内側の軟らかい非癌性の増殖)、および鼻ポリープを伴わない慢性鼻副鼻腔炎に分類することができる。急性鼻副鼻腔炎とは、12週間未満続く症状を指す一方で、慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープを伴うまたは伴わない)は、12週間より長く続く症状を指す。再発性副鼻腔炎とは、各エピソードの間に症状の消散を伴う、12ヶ月の期間以内に4つ以上の急性鼻副鼻腔炎のエピソードを指す。
【0004】
鼻副鼻腔炎の環境的および生物学的原因は数多くある。例えば、非アレルギー性鼻副鼻腔炎は、環境刺激物(例えば、排蒸気、洗浄液、ラテックス、香水、塵など)、投薬(例えば、NSAID、経口避妊薬、ACE阻害薬を含む血圧薬、抗うつ薬など)、食品(例えば、アルコール飲料、辛い食べ物など)、ホルモンの変化(例えば、妊娠および月経)、および/または鼻中隔弯曲によって引き起こされる可能性がある。アレルギー性鼻炎の誘因としては、季節性アレルゲンへの暴露(例えば、毎年同じ時期における環境アレルゲンへの暴露)、1年のうちの任意の時に発生する多年生アレルゲン(例えば、イエダニ、動物のフケ、カビなど)、および/または職業性アレルゲン(例えば、特定の化学物質、穀物、ラテックスなど)を挙げることができる。
【0005】
鼻副鼻腔炎の治療としては、鼻炎の誘因の一般的な回避、食塩水による鼻腔洗浄、および/または薬物療法を挙げることができる。鼻副鼻腔炎用に処方される医薬品としては、例えば、経口H1抗ヒスタミン薬、局所経鼻H1抗ヒスタミン薬、局所鼻腔内コルチコステロイド、全身用グルココルチコイド、注射用コルチコステロイド、抗ロイコトリエン、経鼻または経口充血緩和薬、局所用抗コリン薬、クロモグリケート、および/または抗免疫グロブリンE療法が挙げられる。しかしながら、これらの医薬品は、限られた有効性(例えば、プラセボよりも17%高いかそれ以下)、ならびに鎮静、刺激、味覚障害、のど
の痛み、鼻の乾燥、鼻血(すなわち、鼻出血)、および/または頭痛などの望ましくない副作用を有する。舌下免疫療法(「SLIT」)を含む免疫療法もまた、アレルゲン抽出物の反復投与によって患者を特定のアレルゲンに対して脱感作することによって、アレルギー性鼻炎を治療するために使用されてきた。しかしながら、免疫療法は、長い投与期間(例えば、SLITについて3~5年)を必要とし、注射部位の疼痛および腫脹、蕁麻疹(すなわち、発疹)、血管浮腫、喘息、およびアナフィラキシーを含む多数の副作用をもたす場合がある。
【0006】
外科的介入もまた、薬物治療抵抗性の重症鼻炎症状を有する患者を治療するための試みにおいて採用されてきた。1960年代から1980年代にかけて、鼻腔粘膜内の副交感神経緊張を減少させるために、翼状管内の副交感神経線維を切断する手術が行われた。ビディアン神経切断術のより最近の試みは、くしゃみおよび鼻づまりの症状の改善を含む他の付随的な利点を伴って、鼻漏の治療に50~88%有効であることがわかった。これらの症状の改善はまた、間質性浮腫、好酸球性細胞浸潤、肥満細胞レベル、および除神経粘膜におけるヒスタミン濃度の低減を有する、組織学的粘膜変化と相関していた。しかしながら、ビディアン神経切断術の臨床的および組織学的有効性にもかかわらず、主に解剖学的および自律神経的選択性の欠如に関連する罹患率のために、ビディアン神経を切除することは広く受け入れられなかった。例えば、神経切除の部位は、涙腺への節前性分泌運動線維を含み、したがって、神経切除はしばしば反射性の涙、すなわち流涙の喪失をもたらし、これは重篤な場合には視力喪失を引き起こす可能性がある。このような不可逆的な合併症に起因して、この技法はそれほど広くは受け入れられなかった。さらに、節後の翼状片蓋線維が眼窩後神経叢を通過するため、標的終端器官(すなわち、鼻粘膜)に対するビディアン神経切除の位置は、副硬膜動脈とともに移動する自律神経叢および耳神経節投影を介して再神経支配をもたらす場合があり、それによって、神経切除の臨床的利益を否定する。
【0007】
ビディアン神経切断術に関連する合併症は、概して自律神経除神経の非特異的部位によると考えられる。その結果、外科医は最近、神経切断術の部位を、涙液および交感神経線維に対する二次的な損傷を回避し、一方でビディアン神経切除と同じ生理学的効果を有する場合がある節後副交感神経枝に移行している。例えば、日本の外科医は、ビディアン神経よりもさらに下流に位置する節後神経経路である後鼻神経(「PNN」)の切除と併せて、経鼻下位鼻甲介粘膜下切除を実施した。(Kobayashi T,Hyodo M,Nakamura K,Komobuchi H,Honda N,Resection of peripheral branches of the posterior nasal nerve compared to conventional posterior neurectomy in severe allergic rhinitis.Auris Nasus Larynx.2012 Feb 15;39:593-596を参照)PNN神経切除は蝶口蓋孔で行われ、PNNは鼻領域に入ると考えられている。これらの神経切除は、所望の後鼻腔神経を識別するための優れた外科的マーカーがないために、非常に複雑で面倒であり、また所望の神経が位置決めされたとしても、神経は周囲の血管系(例えば、蝶口蓋動脈)から分離されなければならないので、神経の切除は非常に困難である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本技術の多くの態様は、以下の図面を参照しながらよりよく理解することができる。図面中の構成要素は、必ずしも縮尺通りではない。その代わりに、本技術の原理を明確に図示することに重点が置かれる。参照を容易にするために、本開示を通じて、同一の参照番号が、同一の、もしくは少なくとも概して同様の、または類似の構成要素または特徴部を識別するために使用される場合がある。
【0009】
図1】神経の活動電位を図示するグラフである。
図2A】種々のイオンチャネル開口部の開口部に関連する、神経細胞膜電位を図示するグラフである。
図2B】相対的な神経細胞膜透磁率のグラフを図示する図である。
図3A】本技術の実施形態に従って構成された、神経調節およびマッピングシステムの部分概略図である。
図3B】本技術の実施形態に従って構成された、図3Aの神経調節およびマッピングシステムの神経調節およびマッピングデバイスの遠位部分の拡大等角図である。
図4A】本技術の実施形態に従って構成された、神経調節デバイスの投影された電極切除パターンの3次元図である。
図4B】本技術の実施形態に従って構成された、神経調節デバイスの投影された電極切除パターンの3次元図である。
図4C】本技術の実施形態に従って構成された、神経調節デバイスの投影された電極切除パターンの3次元図である。
図5】本技術の実施形態に従う、関心の区域内の解剖学的構造に関連した投影された神経調節区域の図である。
図6】本技術の実施形態に従って構成された、神経マッピングの図である。
図7】本技術の実施形態に従う、解剖学的マッピングおよび治療的神経調節の方法を図示するブロックダイアグラムである。
図8A】本技術のいくつかの実施形態に従って構成された、神経調節およびマッピングデバイスの遠位部分の拡大等角図である。
図8B】本技術のいくつかの実施形態に従って構成された、神経調節およびマッピングデバイスの遠位部分の拡大等角図である。
図9】本技術のいくつかの実施形態に従って構成された、神経調節およびマッピングデバイスの遠位部分の拡大等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本技術のデバイス、システム、および方法は、(1)治療位置を特定する、(2)特定の患者の解剖学的構造および/もしくは生理機能に対して治療を調整する、(3)進行中の治療を実時間で調整する、ならびに/または(4)治療効果を評価するための治療的鼻神経調節の前、その間、および/またはその後に、1つ以上の生理学的パラメータを決定するように構成される。本明細書に記載のシステムおよび方法によって提供される標的化された神経切除は、神経調節治療の有効性を増強させ、望ましくない副作用を回避することが予想される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、高解像度空間グリッド上の浅い不均一組織、個々の細胞成分、および/またはその中の構成要素の機能的/病態生理学的に特異的な電気および/または誘電特性(すなわち、生体電気的特性またはパラメータ)を測定するように構成される。
【0011】
本技術のいくつかの実施形態の具体的な詳細は、図1図9を参照して本明細書に記載されている。実施形態の多くが、鼻炎の治療のために鼻領域内の神経構造をマッピング、評価、および治療的に変調するためのデバイス、システム、および方法に関して説明されているが、本明細書に記載されたものに加えて他の用途および他の実施形態も、本技術の範囲内である。例えば、本技術の少なくともいくつかの実施形態は、他の解剖学的部位における神経マッピングおよび評価、ならびに/または他の症状(例えば、慢性副鼻腔炎および鼻出血)の治療に有用である場合がある。本明細書に開示されたものに加えて他の実施形態も本技術の範囲内にあることに留意されたい。さらに、本技術の実施形態は、本明細書に示した、または説明したものとは異なる構成、構成要素、および/または手技を有する可能性がある。さらに、当業者であれば、本技術の実施形態は、本明細書に示した、または説明した構成、構成要素、および/または手技に追加したもの構成、構成要素、および/または手技を有することができ、これらの実施形態および他の実施形態は、本技術
から逸脱することなく、本明細書に示した、または説明したいくつかの構成、構成要素、および/または手技がなくてもよいことを理解するであろう。本明細書で提供される表題は、便宜上のものにすぎず、開示された主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0012】
定義
本明細書で使用される場合、「遠位」および「近位」という用語は、臨床医または臨床医の制御デバイス(例えば、神経調節カテーテルのハンドル)に対する位置または方向を定義する。「遠位」および「遠位に」という用語は、デバイスの長さに沿って臨床医または臨床医の制御デバイスから離れた、またはそれから離れる方向における位置を指す。「近位」および「近位に」という用語は、デバイスの長さに沿って臨床医または臨床医の制御デバイスの近く、またはそれに向かう方向における位置を指す。
【0013】
本明細書で使用される場合、「生理学的パラメータ」は、少なくとも部分的に、以下のもの、すなわち、細胞組成、組織タイプ、解剖学的景観、生体電気的特性もしくはパラメータ、電気的および誘電的測定、インピーダンス、抵抗、電圧、電流密度、電流周波数、膜電位、温度、圧力、イオン濃度、神経伝達物質濃度、活動電位、刺激に対する筋肉応答、および任意の導関数(例えば、前述のいずれかの変化、前述のいずれかの変化率など)、ならびに/または前述および/もしくは本明細書に詳述されるようなものの組み合わせのうちの1つ以上を指す。生体電気的特性またはパラメータは、その材料と電気的または磁気的ソースとの間の相互作用を説明するための、材料(例えば、組織)の任意の測定可能な量または質を指す。例えば、生体電気的パラメータは、他のパラメータの中でも、抵抗、リアクタンス、複素インピーダンス、キャパシタンス、インダクタンス、誘電率、導電率、電圧、電流密度、電流周波数、および/またはそれらの派生物を含むことができる。
【0014】
本明細書で使用される場合、「治療パラメータ」は、以下のもの、すなわち、治療された神経に対する治療デバイスおよび/または電極のx、y、および/またはz位置、互いに対する電極のx、y、および/またはz位置、活性化電極アレイの形状および/またはレイアウト(例えば、リング状、長方形など)、電極自体の形状および/またはサイズ、電極の数、治療の数(同じ手技または異なる手技における)、複数の電極からのエネルギー送達のタイミングおよび/または作動シーケンス、エネルギー送達パラメータ(後述)、電極の極性、電極のグループ化、ならびに電極を駆動する電圧源間の位相角のうちの1つ以上を指す。
【0015】
本明細書で使用される場合、「エネルギー送達パラメータ」は、適用される治療エネルギーの振幅、周波数、波形、位相角、パルス繰り返し周波数、およびパルス幅を指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「治療部位」は、最終的に神経調節の標的となる、副交感神経線維、交感神経線維、感覚線維、A群神経線維、B群神経線維、C群神経線維などの神経構造、および/または他の神経構造における、またはその近くの解剖学的位置を指す。本技術の特定の実施形態では、神経調節を標的とする神経構造は、本技術によって最初に識別され、位置決めされなければならないことが理解されよう。したがって、「治療部位」は、治療される神経構造を含む、またはそれに隣接する解剖学的位置(例えば、約5mm~約10mm以内、約2mm~約5mm以内、約2mm以内など)を指す。治療部位はまた、他の解剖学的構造(例えば、腺)を含むことができ、および/または特定の構造(例えば、導管)を回避することができる。
【0017】
本明細書で使用される場合、「神経構造」という用語は、他の構造の中でも、神経束、軸索、樹状突起、細胞体、副交感神経線維、交感神経線維、感覚線維、A群神経線維、B
群神経線維、および/またはC群神経線維を含む、神経または神経群に関連する構造を指す。
【0018】
関連する解剖学的構造および生理機能
ニューロンの細胞体、樹状突起、および軸索は、細胞膜によって囲まれる。細胞膜は、ナトリウムイオンを外向きに送るための種々の手段を含む。これにより、ニューロン内のカリウムイオンの濃度を高めることができる。これらのイオンおよび他のイオンの不均等な分布のために、神経細胞膜は、細胞膜の内面上の負電荷を有して、典型的には最大50~70ミリボルト、またはさらには、特定の事例では、70ミリボルトを超える電荷を帯びる。膜がそのイオン透過性の変化によって短時間で短絡される場合、ナトリウムイオンは内向きに押し寄せ、カリウムイオンは短時間で外向きに押し寄せる。この急速なイオンの移動は、細胞膜の隣接領域を短絡させ、その結果、サイクルは、膜に沿って伝播する。この自己伝播性のイオン的および電気的変化は、活動電位として知られている。活動電位の一例が図1に示され、複合活動電位中に開く種々のイオンチャネルおよび/または輸送体の効果が、図2Aに示される。さらに、図2Bは、特定のイオンチャネルの透磁率に基づく、複合活動電位の効果を図示する。以下にさらに詳細に記載するように、特定のイオンチャネルを選択的に標的にして、後に続く活動電位カスケードをマッピングし、および/または特定のイオンチャネルを神経調節して、後続の活動電位を停止させる(例えば、標的に関連する閾値周波数を有する刺激または変調信号を送信することによって)ために本明細書に記載の神経調節およびマッピングシステムを使用することができる。活動電位が膜の領域を通過すると、平衡状態が回復し、その結果、ニューロンは、次の活動電位の用意ができる。この短い回復期間(不応期として知られる)の間、膜は何れのさらなる刺激にも反応しない。活動電位は通常、活動電位の起点から離れる一方向でのみ運ばれる。開始後の活動電位はすべて同一である。したがって、ニューロンによって運ばれる情報は、活動電位の数および頻度パターンによってコード化される。
【0019】
F波は、電気刺激が神経に適用された後に観察される2つの電圧変化のうちの2番目によって定義される現象であり、神経伝導速度および/または他の生理学的パラメータを測定するために使用することができる。例えば、電気刺激を神経の遠位部分に適用することができ、その結果、インパルスは、遠位方向(順方向性、すなわち筋線維に向かう方向)、および近位方向(逆方向性、すなわち中枢神経系(CNS)の運動ニューロンの神経節体に戻る方向)の両方に移動する。順方向性刺激が筋線維に到達すると、それは最初の強い反応(筋収縮)を誘発する。逆方向性刺激が運動ニューロン細胞体に到達すると、運動ニューロンのいくつかが逆発して、向流の順方向性波を生じさせ、これが筋肉に向かって遠位に神経を通って進む。この刺激は、F波を定義する小さな、第2の複合筋活動電位を誘起する。
【0020】
上皮は、安定かつ十分な経上皮抵抗性を有するきつい単層を形成する。ナトリウム(Na+)イオンおよび塩化物(Cl-)イオンなどの荷電塩の活発な分泌または吸収は、電圧として測定され得る上皮表面を挟む電位差を誘発する。例えば、生体電位は、以下に記載される神経調節デバイスなどの神経調節デバイスの2つの電極間に高インピーダンス電圧計、または別個の電圧監視デバイスを使用することによって測定することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、鼻、副鼻腔空間(例えば、鼻粘膜、粘膜下組織組成、骨膜、および骨板)内の軟組織および硬組織を伴う入射電磁場(例えば、電極を介して検出される)は、局所的な幾何学的形状およびそれらの系の誘電特性に依存する。軟組織および硬組織の構造に起因して、軟組織および硬組織の比導電率および比誘電率の両方に大きな相違点が存在する。このように、鼻甲介上の「より深い」粘膜組織を、鼻甲介から離れた「浅い」組織から区別するために、頻度の閾値レベルを特定することができる。
【0022】
解剖学的マッピングおよび治療的神経調節のためのシステムの選択された実施形態
図3Aは、本技術の一実施形態に従って構成された、解剖学的構造および治療的鼻神経調節を検出するためのシステム300の部分概略図であり、図3Bは、本技術の一実施形態に従って構成された、システム300の遠位部分の拡大等角図である。図3Aに示すように、システム300は、検出および変調用のカテーテルまたはデバイス302(「デバイス302」)、コンソール304、ならびにそれらの間に延在するケーブル306を含む。デバイス302は、シャフト308であって、近位部分308a、遠位部分308b、およびシャフト308の近位部分308aにあるハンドル310を有するシャフト308と、シャフト308の遠位部分308bにある評価/変調アセンブリまたは要素312とを含む。シャフト308は、遠位部分308bを管腔内で、鼻粘膜を神経支配する節後副交感神経に近接する鼻領域内などの治療部位または標的部位に、位置決めするように構成される。標的部位は、標的神経が位置する領域、容積、または区域であってもよく、患者の解剖学的構造に応じてサイズおよび形状が異なってもよい。例えば、標的部位は、蝶口蓋孔(「SPF」)より下の3~5cm2の区域であってもよい。他の実施形態では、標的部位は、所望の神経線維を標的とするために、より大きくてもよく、より小さくてもよく、かつ/または鼻腔内の他の場所に位置してもよい。評価/変調アセンブリ312は、電磁エネルギー(例えば、RFエネルギー)を介して節後副交感神経を治療的に変調するように構成された、少なくとも1つの電極344を含むことができる。特定の実施形態では、例えば、評価/変調アセンブリ312は、口蓋骨のSPF、副孔、および微小孔を横切る副交感神経(例えば、後鼻神経)などの、翼口蓋神経節から分岐して鼻領域および鼻粘膜を神経支配する節後副交感神経を治療的に変調することができる。評価/変調アセンブリ312の電極344および/または他の感知要素は、標的部位を特定し、患者の解剖学的構造に対する治療を標的とし、および/または治療の有効性を評価するための治療的神経調節の前、間および/または後に、関心区域における1つ以上の生理学的パラメータを検出するようにさらに構成することができる。
【0023】
種々の実施形態では、評価/変調アセンブリ312は、以下のセンサ、すなわち、圧力センサ、温度センサ(例えば、熱電対、サーミスタなど)、流量センサ(例えば、ドップラー速度センサ、超音波流量計など)、流速センサ、複素インピーダンスセンサ、誘電センサ、化学センサ、生体感知要素、電圧計、電気化学センサ、血行動態センサ、光学センサ、および/または他の好適な感知デバイスのうちの1つ以上のなどの1つ以上の感知要素314を含むことができる。センサ(複数可)および/または電極344は、シャフト308を通じて延在する1つ以上のワイヤ(図示せず、例えば銅ワイヤなど)に接続されて、電極344および/またはセンサ(複数可)との間で信号を伝送することができる。いくつかの実施形態では、電極344および/またはセンサ(複数可)は、システム300の種々の構成要素と無線で通信することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、評価/変調アセンブリ312は、凍結療法用冷却、超音波エネルギー(例えば、高密度集束超音波(「HIFU」)エネルギー)、マイクロ波エネルギー(例えば、マイクロ波アンテナを介する)、直接加熱、高および/または低出力レーザーエネルギー、機械的振動、および/または光出力などの、RFエネルギー以外のモダリティを用いた治療的神経調節を提供するように構成されたエネルギー送達要素を含むことができる。さらなる実施形態では、評価/変調アセンブリ312は、標的部位に化学物質または薬剤を送達して、標的神経を化学的に切除または塞栓するように構成することができる。例えば、評価/変調アセンブリ312は、シャフト308のアクセス部分および/または別個の導入器を通じて延在する針アプリケータを含むことができ、また針アプリケータは、ボトックス、アルコール、グアネチジン、エタノール、フェノール、神経毒、または神経を改変、損傷、または破壊するために選択される別の好適な薬品などの化学物質を標的部位に注入して、標的神経を治療的に変調するように構成することができる。
【0025】
デバイス302は、有線接続(例えば、ケーブル306を介する)、および/または無線接続を介して、コンソール304に動作可能に結合することができる。コンソール304は、デバイス302の動作を制御、監視、供給、および/または他の方法で支持するように構成することができる。コンソール304はさらに、評価/変調アセンブリ312を介して標的部位にある組織または神経に送達するための選択された形状および/または大きさのエネルギーを生成するように構成することができ、したがってコンソール304は、デバイス302の治療モダリティに応じて、異なる構成を有してもよい。例えば、デバイス302が電極ベース、熱要素ベース、および/またはトランスデューサベースの治療用に構成されている場合、コンソール304は、RFエネルギー(例えば、単極、双極、または多極RFエネルギー)、パルス電気エネルギー、マイクロ波エネルギー、光エネルギー、超音波エネルギー(例えば、管腔内送達超音波および/またはHIFU)、直接熱エネルギー、放射線(例えば、赤外線、可視光線、および/またはガンマ放射線)、および/または別の好適なタイプのエネルギーを生成するように構成されたエネルギー発生器316を含む。デバイス302が凍結療法治療用に構成されるとき、コンソール304は、冷媒貯蔵器(図示せず)を含むことができ、デバイス302に冷媒を供給するように構成することができる。同様に、デバイス302が化学物質に基づく治療(例えば、薬剤注入)用に構成されているとき、コンソール304は、化学物質貯蔵器(図示せず)を含むことができ、デバイス302に1つ以上の化学物質を供給するように構成することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、デバイス302は、シャフト308の少なくとも一部分に沿って延在するチャネル324と、ポート326であって、シャフトの遠位部分308bがポート326と連通する、ポート326とをさらに含むことができる。特定の実施形態では、チャネル324は、ポート326を介してシャフト308の遠位部分308bに流体を送達するための流体経路である。例えば、チャネル324は、評価/変調アセンブリ312の送達中に管腔内鼻経路をすすぐために、食塩水もしくは他の流体を送達し、標的部位へと治療的神経調節を適用する前に標的部位を洗い流し、かつ/または電極344に隣接する組織の加熱もしくは冷却を低減するために、エネルギー送達中に標的部位に流体を送達することができる。他の実施形態では、チャネル324は、治療部位への薬剤送達を可能にする。例えば、針(図示せず)は、ポート326を通じて突出して、神経ブロック、局所麻酔薬、および/または他の薬理学的薬剤を、標的部位にある組織に注入または他の方法で送達することができる。いくつかの実施形態では、チャネル324は、治療部位からの蒸気および/または煙の除去または排出を可能にする。
【0027】
図3Aにさらに示すように、システム300は、デバイス302に通信可能に結合されたコントローラ318を含むことができる。例示の実施形態では、コントローラ318は、コンソール304内に収容されている。他の実施形態では、コントローラ318は、デバイス302のハンドル310、ケーブル306、独立した構成要素、および/またはシステム300の別の部分によって携行することができる。コントローラ318は、直接的におよび/またはコンソール304を介して、デバイス302の1つ以上の構成要素(例えば、電極344)の動作を開始、終了、および/または調節するように構成することができる。コントローラ318は、自動制御アルゴリズムを実行するように、および/またはオペレータ(例えば、臨床医)から制御命令を受信するように構成することができる。例えば、コントローラ318および/またはコンソール304の他の構成要素(例えば、メモリ)は、コントローラ318によって実行されると、評価/変調アセンブリ312に特定の機能(例えば、特定の様式でエネルギーを適用する、インピーダンスを検出する、温度を検出する、神経の位置または解剖学的構造を検出するなど)を実行させる命令を保有する、コンピュータ可読媒体を含むことができる。メモリは、揮発性および不揮発性記憶装置用の1つ以上の種々のハードウェアデバイスを含み、また読み取り専用メモリと書き込み可能メモリの両方を含むことができる。例えば、メモリは、ランダムアクセスメモ
リ(RAM)、CPUレジスタ、読み取り専用メモリ(ROM)、およびフラッシュメモリ、ハードドライブ、フロッピー(登録商標)ディスク、CD、DVD、磁気記憶デバイス、テープドライブ、デバイスバッファ等などの書き込み可能な不揮発性メモリを備えることができる。メモリは、基盤となるハードウェアから分離された伝播信号ではなく、したがって、メモリは非一時的なものである。
【0028】
コンソール304はまた、マッピング/評価/フィードバックアルゴリズム320を介して、治療手技の前、その間、および/またはその後に、オペレータにフィードバックを提供するように構成することもできる。例えば、マッピング/評価/フィードバックアルゴリズム320は、監視および変調の間の治療部位における神経の位置、治療部位における他の解剖学的構造(例えば、導管)の位置、治療部位における温度、ならびに/または治療部位における神経に対する治療的神経調節の効果に関連する情報を提供するように構成することができる。特定の実施形態では、マッピング/評価/フィードバックアルゴリズム320は、治療の有効性を確実にし、および/またはシステム300の所望の性能を増強させるための特徴を含むことができる。例えば、マッピング/評価/フィードバックアルゴリズム320は、コントローラ318および評価/変調アセンブリ312と連携して、治療中に治療部位における神経活性および/または温度を監視し、神経活性および/または温度が所定の閾値(例えば、神経活性の閾値低減、RFエネルギーを適用するときの閾値最高温度、または冷凍療法を適用するときの閾値最低温度)に達したときに、エネルギー送達を自動的に遮断するように構成することができる。他の実施形態では、マッピング/評価/フィードバックアルゴリズム320は、コントローラ318と連携して、所定の最大時間、標的組織の所定の最大インピーダンスもしくは抵抗上昇(すなわち、ベースラインインピーダンス測定値と比較して)、標的組織の所定の最大インピーダンス)、および/または自律神経機能に関連するバイオマーカーについての他の閾値の後に、治療を自動的に終了するように構成することができる。システム300の動作に関連するこの情報および他の情報を、コンソール304上のディスプレイ322(例えば、モニター、タッチスクリーン、ユーザーインターフェースなど)、および/またはコンソール304に通信可能に結合された別個のディスプレイ(図示せず)を介して、オペレータに通信することができる。
【0029】
種々の実施形態では、評価/変調アセンブリ312および/またはシステム300の他の部分は、標的部位における組織の種々の生体電気的パラメータを検出するように構成することができ、この情報をマッピング/評価/フィードバックアルゴリズム320によって使用して、標的部位の解剖学的構造(例えば、組織のタイプ、組織の位置、血管系、骨構造、孔、洞など)を決定し、神経構造を位置決めし、異なるタイプの神経構造を区別し、標的部位における解剖学的構造および/もしくは神経構造をマッピングし、ならびに/または患者の解剖学的構造に関して評価/変調アセンブリ312の神経調節パターンを識別することができる。例えば、評価/変調アセンブリ312は、標的領域内の神経線維および/または他の解剖学的構造の存在を示す、抵抗、複素電気インピーダンス、誘電特性、温度、および/または他の特性を検出するために使用することができる。特定の実施形態では、評価/変調アセンブリ312は、マッピング/評価/フィードバックアルゴリズム320とともに、組織の(インピーダンスではなく)抵抗(すなわち、負荷)を決定して、組織の特性をより正確に識別するために使用することができる。マッピング/評価/フィードバックアルゴリズム320は、(例えば、電極344を介して)負荷の実際の電力および電流を検出することによって、組織の抵抗を決定することができる。いくつかの実施形態では、システム300は、1~50Ωの範囲について100分の1オーム(例えば0.01Ω)までの精密測定などの、高精度および非常に高精度で抵抗測定を提供する。システム300によって提供される高度な抵抗検出精度は、神経構造の発火、神経構造と他の解剖学的構造(例えば、血管)との相違点、および異なるタイプの神経構造の事象を含む、サブマイクロスケール構造の検出を可能にする。この情報をマッピング/評価/
フィードバックアルゴリズムおよび/またはコントローラ318によって分析し、高解像度空間グリッド(例えば、ディスプレイ322上の)および/または他のタイプのディスプレイを介してオペレータに伝達することができ、治療部位における神経構造および他の解剖学的構造を識別し、かつ/またはマッピングされた解剖学的構造に関する切除パターンに基づいて予測された神経調節領域を示すことができる。
【0030】
デバイス302は、鼻腔内への副交感神経繊維の直接的な入り口などの、鼻領域内の深いところにある標的部位へのアクセスを提供して、鼻腔内の自律神経活性を治療的に変調する。特定の実施形態では、例えば、デバイス302は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2016年5月10日に出願された米国特許出願第15/153,217号に記載されているように、SPFよりも下にある評価/変調アセンブリ312を、孔および/または微小孔のアクセス部位に位置付けることができる。鼻の入り口の外側からシャフト308の近位部分308aを操作することによって、臨床医は、鼻腔を通る曲がりくねった管腔内経路を通じて、シャフト308を前進させ、ハンドル310を介してシャフト308の遠位部分308bを遠隔操作して、評価/変調アセンブリ312を標的部位に位置付けることができる。特定の実施形態では、シャフト308は、臨床医が曲がりくねった鼻の解剖学的構造を通じてナビゲートすることを可能にする、曲げ半径が小さい(例えば、5mmの曲げ半径、4mmの曲げ半径、3mm以下の曲げ半径)操縦可能なデバイス(例えば、操縦可能なカテーテル)とすることができる。操縦可能なシャフトを、少なくとも2つの異なる方向に関節運動するようにさらに構成することができる。例えば、操縦可能なシャフト308は、鼻領域の解剖学的構造に対応するように、臨床医がシャフト308の遠位部分308bを「S」字形に形成することを可能にする、デュアルプルワイヤリングを含むことができる。他の実施形態では、関節運動シャフト308は、実質的に剛性の材料(例えば、金属材料)から作製され、シャフト308の遠位部分308bに、撓みには抵抗するが、小さい曲げ半径(例えば、5mmの曲げ半径、4mmの曲げ半径、3mm以下の曲げ半径)を可能にする剛性リンクを含むことができる。さらなる実施形態では、操縦可能なシャフト308は、金属および/または他の好適な材料から作製されたレーザー切断管であってもよい。レーザー切断管は、臨床医がシャフト308の遠位部分308bを撓ませて、曲がりくねった鼻の解剖学的構造を標的部位へとナビゲートすることを可能にするように臨床医によって操作される、1つ以上のプルワイヤを含むことができる。
【0031】
種々の実施形態では、シャフト308の遠位部分308bは、オーバーザワイヤ(OTW)またはラピッドエクスチェンジ(RX)技法を使用するガイドワイヤ(図示せず)を介して標的部位における適所へと導かれる。例えば、評価/変調アセンブリ312の遠位端は、ガイドワイヤと係合するためのチャネルを含むことができる。評価/変調アセンブリ312の管腔内送達は、鼻腔(例えば、鼻通路または口)と連通するようにガイドワイヤをオリフィスの中へと挿入することと、評価/変調アセンブリ312が標的部位(例えば、SPFよりも下)に到達するまで、ガイドワイヤに沿って、シャフト308および/または評価/変調アセンブリ312を移動させることと、を含むことができる。さらなる実施形態では、デバイス302は、ガイドワイヤを用いてまたは用いずに、ガイドカテーテルまたはイントロデューサシース(図示せず)を介する送達用に構成することができる。臨床医によるシャフト308の遠位部分308bおよび評価/変調アセンブリ312の位置付けおよび操作を補助するために、画像ガイダンス(例えば、内視鏡、コンピュータ断層撮影(CT)、蛍光透視法、超音波、光コヒーレンス断層撮影(OCT)、および/またはそれらの組み合わせを介した)を使用してもよい。
【0032】
標的部位への送達の間、評価/変調アセンブリ312を低プロファイル送達状態で用意することができ、そして標的部位に到達すると、評価/変調アセンブリ312を、評価/変調アセンブリ312が生理学的パラメータ検出および/または神経変調のために標的部
位における組織に接触するように、ハンドル310の操作を介して拡張状態(図3Aおよび図3Bに示す)に変形することができる。図3Bにおける評価/変調アセンブリ312の拡大図に示されるように、評価/変調アセンブリ312は、評価/変調アセンブリ312が拡張状態にあるときに、互いに離間配置されてフレームまたはバスケット342を形成する、複数の支柱340を含むことができる。支柱340は、1つ以上の電極344および/または他のエネルギー送達要素を支えることができる。拡張状態では、支柱340は、鼻領域内の標的部位または関心の区域(例えば、SPFよりも下の口蓋骨に近接した)で、組織に向かって電極344のうちの少なくとも2つを位置付けることができる。電極344は、標的部位に双極性または多極性無線周波(RF)エネルギーを適用して、治療部位の生体電気的特性を検出する、および/または標的部位に近接する鼻粘膜を神経支配する節後副交感神経を治療的に変調することができる。種々の実施形態では、電極344は、所望のデューティサイクル(例えば、1.00秒オン/0.50秒オフ)、変化する電力レベル、ならびに/または変化するパルス持続時間および周波数でパルスRFエネルギーを適用して、標的組織における温度上昇を調節するように構成することができる。図3Bに示されるように、バスケットの遠位端部分は、隣接する組織(例えば、粘膜壁)に対する支柱340の接触表面積を増強または最大化するための二重の屈曲部を含む。
【0033】
図3Bに示す実施形態では、バスケット342は、少なくとも概して球形の構造を形成するように互いに半径方向に離間配置された8つの枝部346を含み、かつ枝部346のそれぞれは、互いに隣接して位置付けられた2つの支柱340を含む。しかしながら、他の実施形態では、バスケット342は、8つより少ない枝部346(例えば、2、3、4、5、6、または7つの枝部)、または8つより多い枝部346を含むことができる。さらなる実施形態では、バスケット342の各枝部346は、単一の支柱340、2つより多い支柱340を含むことができ、かつ/または枝部346当たりの支柱340の数は変えることができる。なおもさらなる実施形態では、枝部346および支柱340は、標的部位において電極344を組織と接触して定置するための他の好適な形状を有するバスケットまたはフレームを形成することができる。例えば、拡張状態にあるとき、支柱340は、卵形、半球形、円筒形構造、角錐形構造、および/または他の好適な形状を形成することができる。バスケット342の構造的形状はまた、1つ以上の好適な形状のセグメント化、複製、および/または小形化されたデュプリケーションとすることもできる。
【0034】
図3Bに示されるように、評価/変調アセンブリ312は、シャフト308の遠位部分308bから遠位に延在する、内部または内側支持部材348をさらに含むことができる。支持部材348の遠位端部350は、支柱340の遠位端部を支持して、所望のバスケット形状を形成することができる。例えば、図3に示すように、支柱340をシャフト308の遠位部分308bから遠位に延在することができ、支柱340の遠位端部を支持部材348の遠位端部350に取り付けることができる。特定の実施形態では、支持部材348は、電極344に結合された可撓性電気コネクタ(例えばワイヤ)、および/または評価/変調アセンブリ312の他の電気的特徴部が通ることができる、内部チャネル(図示せず)を含むことができる。種々の実施形態では、内部支持部材348はまた、遠位端部350に、および/または支持部材348の長さに沿って、電極(図示せず)を支えることもできる。
【0035】
個々の支柱340は、拡張状態にあるときに支柱340がバスケット342の所望の形状へと自己拡張することを可能にする、形状記憶材料(例えば、ニチノール)などの弾性材料から作製することができる。支柱340はまた、電極344によって検出された信号を増強するために、導電性および抵抗率性能に関して増強されたコア材料を有する複合ワイヤ構造から作製することもできる。他の実施形態では、支柱340は、他の好適な材料から作製することができ、また/または評価/変調アセンブリ312は、バルーンを介して、もしくは支持部材348の近位への移動によって機械的に拡張することができる。バ
スケット342および関連する支柱340は、電極344を支持し、かつ標的部位における組織に向けて電極344を位置付け、または押し付けるために、十分な剛性を有することができる。さらに、拡張されたバスケット342を、標的部位に近接する周囲の解剖学的構造(例えば、鼻甲介、口蓋骨など)に向けて押し付けることができ、個々の支柱340は、隣接する解剖学的構造の形状に少なくとも部分的に適合して、エネルギー送達の間治療部位において治療学的要素312を固定することができる。支柱340のこの拡張および適合性は、標的部位において電極344を周囲の組織と接触させるように定置することを容易することができる。
【0036】
各支柱340は、1つ以上の電極344(例えば、2つの電極344、3つの電極344、4つの電極344、5つの電極344、5つより多くの電極344)を含むことができ、かつ/または異なる支柱340上の電極344の数は異なる可能性がある。いくつかの実施形態では、例えば、各支柱340は、各枝部346は5つの隣接する電極対を画定することができる10個の電極344を含むが、電極344は独立して作動してもよく、枝部346および/または他の枝部346の異なる電極344と対にされてもよいように、5つの電極344を含むことができる。例えば、電極344は、0.25~2.25mm(例えば、0.75mm)の長さ、約0.5~3.5mm(例えば、1.5mm)の各支柱340に沿った間隔、および約1.5~4.0mm(例えば、2mm)の対間間隔を有することができる。他の実施形態では、電極のサイズと間隔は異なる可能性がある。いくつかの実施形態では、図3Bに示すものとは異なるように支柱340に沿って位置付けられた、もしくは離間配置された電極、および/または支柱340のうちの1つ以上の上に非対称に位置付けられた電極を有することが有益である場合がある。例えば、支柱340の中央部分は、支柱340の近位部分または遠位部分よりも高密度の電極344を含んでもよい。電極344のそのような非対称分布は、マッピング機能のためには特に有利である場合がある。これは、電極アレイを既知の空間構成で定置することと、異なる細胞もしくは機能性構築物を含む異なる組織タイプのインピーダンスにおける、および異なる波形周波数(以下により詳細に記載されるような)での変化を組み込む、複数の平面および/または複数のもしくは異なる深さで電気解剖学的特性を複数の(高密度)作動シーケンスマッピングの組成内でマッピングすることとを通じて達成される場合がある。
【0037】
特定の実施形態では、各電極344は、他の電極344とは独立して動作することができる。例えば、各電極は個別に作動させることができ、各電極の極性および振幅は、オペレータ、またはコントローラ318(図3A)によって実行される制御アルゴリズムによって、選択することができる。電極344の選択的独立制御は、評価/変調アセンブリ312が情報を検出し、高度にカスタマイズされた領域にRFエネルギーを送達することを可能にする。例えば、電極344の選択部分を特定の領域内の特定の神経線維を標的とするように作動させ、一方で他の電極344を停止したままにしておくことができる。特定の実施形態では、例えば、標的部位での組織に隣接するバスケット342の部分にわたって電極344を作動させてもよく、また標的組織に近接していない電極344を停止したままにして、エネルギーが非標的組織に適用されることを回避することができる。さらに、電極344を個別に作動させて、特定の領域を、異なる時間に(例えば、多重化を介して)特定のパターンで刺激または治療的に変調することができ、そのことは、関心の区域にわたる解剖学的パラメータの検出および/または調節された治療的神経調節を容易にする。
【0038】
電極344は、電極344からシャフト308を通じてエネルギー発生器316へと延在する、ワイヤ(図示せず)を介して、エネルギー発生器316(図3B)に電気的に結合することができる。電極344のそれぞれが、独立して制御されるとき、各電極344は、シャフト308を通じて延在する対応するワイヤに結合する。これにより、各電極344を刺激または神経調節のために独立して作動させて、正確な切除パターンを提供し、
かつ/またはコンソール304(図3A)を介して個々に検出して、神経または解剖学的検出およびマッピング用の各電極344に固有の情報を提供することが可能になる。他の実施形態では、複数の電極344を一緒に制御することができ、したがって複数の電極344をシャフト308を通じて延在する同じワイヤに電気的に結合することができる。エネルギー発生器316(図3A)および/またはそれに動作可能に結合された構成要素(例えば、制御モジュール)は、電極344の作動を制御するためのカスタムアルゴリズムを含むことができる。例えば、RF発生器は、約200~300WでRF動力を電極344に送達し、また治療部位に対する評価/変調アセンブリ312の位置および/または標的神経の特定された位置に基づいて選択された所定のパターンで、電極344を作動させながらそれを行うことができる。他の実施形態では、エネルギー発生器316は、刺激についてより低いレベル(例えば、1W未満、1~5W、5~15W、15~50W、50~150Wなど)で、また/またはより高い動力レベルで、動力を送達する。例えば、エネルギー発生器316は、電極344を介して1~3Wの刺激エネルギーパルスを送達して、組織内の特定の標的を刺激するように構成することができる。
【0039】
図3Bに示されるように、評価/変調アセンブリ312は、支柱340および/または評価/変調アセンブリ312の他の部分上に配置され、シャフト308を通じて延在するワイヤ(図示せず)を介して、コンソール304(図3A)に電気的に結合される、1つ以上の温度センサ352をさらに含むことができる。種々の実施形態では、温度センサ352を電極344に近接して位置付けて、標的部位における組織と電極344との間の境界面における温度を検出することができる。他の実施形態では、温度センサ352は、標的部位(例えば、貫通熱電対)で組織を貫通して、組織内のある深さでの温度を検出することができる。温度測定値は、組織に対する治療的神経調節の効果に関するフィードバックを、オペレータまたはシステムに提供することができる。例えば、特定の実施形態では、オペレータは、治療部位(例えば、鼻粘膜)における組織への損傷を防止または低減することを望む場合があり、したがって、温度センサ352を使用して、組織温度が不可逆的な組織損傷についての所定の閾値に達しているかどうかを決定することができる。閾値に達すると、治療的神経調節エネルギーの適用を中止して、組織を無傷のままにし、創傷治癒中の著しい組織脱落を回避することができる。特定の実施形態では、エネルギー送達は、温度センサ352に動作可能に結合されたコンソール304(図3A)に記憶されているマッピング/評価/フィードバックアルゴリズム320(図3A)に基づいて、自動的に終了することができる。
【0040】
他の実施形態では、評価/変調アセンブリ312は、図3Bに示されているものとは異なる構成を有することができる。例えば、評価/変調アセンブリ312は、2016年5月10日に出願され、その全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/153,217号に記載されているものと同様の構造および構成要素を含むことができる。種々の実施形態では、例えば、評価/変調アセンブリ312は、感知分解能を増強するために選択された間隔でその上に配置された複数の電極を有する、拡張可能なバルーンを含んでもよい。バルーンは、バスケット342内に位置付けられてもよく、かつ/または独立型構造であってもよい。バルーンはまた、表面電極が切除による熱損傷に寄与するのを防止する間、電極344に隣接する組織の加熱を低減するために冷却剤または媒体を受容するように構成することによって、ヒートシンクとして作用するように構成されてもよい。
【0041】
図3Aおよび図3Bを一緒に参照すると、評価/変調アセンブリ312が標的部位に位置付けられると、治療的変調が、電極344および/または評価/変調アセンブリ312の他の特徴部を介して、組織の正確な局所領域に適用されて、1つ以上の所望の治療的神経調節効果を誘発して、副交感神経運動感覚機能を破壊してもよい。評価/変調アセンブリ312は、鼻領域に近接するか、または鼻領域の入口にある標的または治療部位において鼻粘膜を神経支配する節後副交感神経線維を選択的に標的にすることができる。例えば
、評価/変調アセンブリ312は、SPF、副孔、および/または微小孔(例えば、口蓋骨における)を介して鼻領域に入る神経を治療的に変調するために、少なくともSPFに近接して治療的神経調節を適用するように位置付けることができる。標的部位にエネルギーを意図的に適用することにより、鼻領域に入る後鼻神経線維の全部または少なくとも一部分に沿った治療的神経調節を達成する場合がある。治療的神経調節効果は、一般に、少なくとも部分的には、電力、時間、およびエネルギー送達要素と隣接組織との間の接触の関数である。例えば、特定の実施形態では、自律神経線維の治療的神経調節は、約1~20秒(例えば、5~10秒、8~10秒、10~12秒など)の期間の間に約2~20Wの動力(例えば、5W、7W、10Wなど)で、パルスまたは一定波形のRFエネルギーを適用することによって生成される。
【0042】
治療的神経調節効果は、熱的切除および/または非切除的熱的変化もしくは損傷(例えば、持続的加熱および/または抵抗加熱による)を介する、部分的または完全な除神経を含む場合がある。所望の熱的加熱効果は、非切除的熱的変化を達成するために所望の閾値より上に、または切除的熱変化を達成するためにより高い温度より上に、標的神経線維の温度を上昇させることを含む場合がある。例えば、標的温度は、本出願人らが副交感神経の変調が起こり始めることを識別した、45℃の等温線を超えてもよい。治療的神経調節を、45℃の等温線、55℃の等温線、60℃の温度、45℃と60℃の間の等温線、および/またはより高い等温線で達成することができることが予期される。したがって、システム300は、標的部位の温度が45℃、55℃、60℃の閾値、45℃と60℃の間の値、または60℃を超える値に達するまで、治療的神経調節を適用するように構成することができる。種々の実施形態では、神経調節エネルギーを送達することは、イオン性撹拌を引き起こして、神経活性および/または組織温度を妨害し、その結果、関心の領域内の組織タイプの伝導性/インピーダンス/電気的性質を変化させるための損傷サイズをもたらす、電界深度を生成する。
【0043】
低体温効果も、神経調節を提供する場合がある。例えば、凍結療法アプリケータを用いて、標的部位において組織を冷却し、治療的に有効な直接細胞傷害(例えば、壊死)、血管傷害(例えば、供給血管の損傷による栄養素からの細胞飢餓)、および亜致死的な低体温症とそれに続くアポトーシスを提供することができる。凍結療法による冷却への曝露は、急性の細胞死(例えば、曝露直後)、および/または遅延した細胞死(例えば、組織解凍およびその後の過灌流の間)を引き起こすことができる。本技術の実施形態は、組織が、標的の節後副交感神経が存在する深さまで効果的に冷却されるように、組織に、または組織の近くに位置付けられた構造を冷却することを含むことができる。例えば、冷却構造は、治療的に有効な極低温後鼻神経調節を引き起こす程度まで冷却される。
【0044】
特定の実施形態では、システム300は、治療的神経調節を、血管などの非標的構造に対する悪影響を回避しながら、標的神経構造を含む正確な領域に適用することができるように、治療前に神経構造および/または他の解剖学的構造の位置および/または形態を決定することができる。以下でさらに詳細に説明されるように、システム300は、関心区域内(例えば、鼻腔内)の種々の生体電気的パラメータを検出して、種々の神経構造(例えば、異なるタイプの神経構造、神経指向性など)、および/または他の組織(例えば、腺構造、導管、骨領域など)の位置および形態を決定することができる。いくつかの実施形態では、システム300は、生体電位を測定するように構成される。そうするために、1つ以上の電極344が、関心の領域(例えば、治療部位)において上皮表面と接触して定置される。電気刺激(例えば、1つ以上の周波数での一定またはパルス状の電流)が、治療部位で、またはその付近で1つ以上の電極344によって組織に適用され、関心の領域内の異なるタイプの組織(例えば、導管、神経構造、および/または他のタイプの組織)を識別するために使用することができる、検出された生体電位のスペクトルプロファイルまたはマップを生成するために、評価/変調アセンブリ312の電極344の種々の対
の間の種々の異なる周波数での電圧および/または電流の差を測定してもよい。例えば、電流(すなわち、直流または交流)を、互いに隣接する一対の電極344に適用することができ、隣接する他の対の電極344間の結果として得られる電圧および/または電流が測定される。当然のことながら、電流注入電極344と測定電極344とは隣接している必要はなく、2つの電流注入電極344間の間隔を修正することは、記録される信号の深さに影響を与えることができる。例えば、狭い間隔で離間配置された電流注入電極344は、より浅い深さで組織と関連付けられた記録された信号を提供するさらに離間配置された電流注入電極344よりも、組織の表面からより深い組織と関連付けられた記録された信号を提供する。異なる間隔を有する電極対からの記録は、解剖学的構造の深さおよび局在化に基づく追加の情報を提供するために併合されてもよい。
【0045】
さらに、関心の領域における組織の複素インピーダンスおよび/または抵抗測定値は、異なるレベルの周波数電流が組織に適用されている(例えば、評価/変調アセンブリ312を介して)間に、生体電位測定によって提供された電流-電圧データから直接的に検出することができる。この情報は、周波数微分再構成の使用によって、神経および解剖学的構造をマッピングするために使用することができる。異なる周波数で刺激を適用することは、異なる層状層または細胞体もしくはクラスタを標的とすることになる。例えば、高い信号周波数(例えば、電気的注入または刺激)では、神経構造の細胞膜は、電流の流れを妨げず、電流は細胞膜を直接的に通過する。この場合、結果として得られる測定値(例えば、インピーダンス、抵抗、静電容量、および/または誘導)は、細胞内および細胞外の組織および液体の関数である。低い信号周波数では、膜は、電流の流れを妨げて、細胞の形状または細胞間隔などの組織の異なる明確な特徴を提供する。刺激周波数は、メガヘルツ範囲、キロヘルツ範囲(例えば、400~500kHz、450~480kHzなど)、および/または刺激されている組織および使用されているデバイスの特性に合わせた他の周波数とすることができる。関心の区域から検出された複素インピーダンスまたは抵抗レベルを、刺激周波数に基づいて、特定の構造を視覚化するために、(例えば、ディスプレイ322を介して)ユーザーに対して表示することができる。例えば、図6は、臨床医が好適な神経標的を位置決めすることができるように、神経構造609が異なる色または陰影によって識別された、3つの異なる組織の領域および5つの異なる深さでの神経インピーダンスマッピングの図示である。異なる構造(例えば、導管)についても、同様の複素インピーダンスマッピングを提供することができる。
【0046】
さらに、鼻領域内の解剖学的構造の固有の形態および組成は、異なる周波数に対して異なる反応をするので、したがって特定の周波数を選択して、極めて特定的な構造を識別することができる。例えば、解剖学的マッピングに対する標的構造の形態または組成は、組織または他の構造の細胞が膜状、層状、および/または環状であるかどうかに依存する場合がある。種々の実施形態では、適用される刺激信号は、髄鞘形成のレベルおよび/または髄鞘形成の形態などの特定の神経構造に合わせられた所定の周波数を有することができる。例えば、第2の軸索副交感神経構造は、交感神経または他の構造よりも髄鞘形成が不十分であり、したがって、交感神経よりも選択された周波数に関して識別可能な応答(例えば、複素インピーダンス、抵抗など)を有することになる。したがって、標的部位に異なる周波数の信号を適用することによって、標的副交感神経を非標的感覚神経と区別することができ、したがって、高度に特定の標的部位を、治療前もしくは治療後の神経マッピングおよび/または治療後の神経評価に提供する。いくつかの実施形態では、神経および/または解剖学的マッピングは、測定が、第1の周波数を有する注入信号に対する応答に基づいて最初に行われ、次に、その第1の周波数とは異なる第2の周波数を有する注入信号に基づいて再度行われるように、少なくとも2つの異なる周波数で関心の領域のデータを測定して、特定の解剖学的構造を識別することを含む。例えば、肥大した(すなわち、疾患状態特性)粘膜下標的が、「正常な」(すなわち、健康な)組織と比較して異なる導電率または誘電率を有する、2つの周波数がある。複素導電率は、1つ以上の測定された
生理学的パラメータ(例えば、複素インピーダンス、抵抗、誘電測定、双極子測定など)、および/または1つ以上の信頼できる公知の属性またはシグネチャの遵守に基づいて、決定されてもよい。さらに、システム300はまた、標的神経構造に合わせられた1つ以上の所定の周波数で、電極344を介して神経調節エネルギーも適用して、周波数(複数可)に関連する選択された神経構造の高度に標的化された切除を提供することができる。標的シグナル(標的神経構造に合わせた周波数を有する)が非標的構造に対して同じ変調効果を有しないので、この高度に標的化された神経調節はまた、非標的部位/構造(例えば、血管)に対する神経調節治療の副作用も低減させる。
【0047】
したがって、複素インピーダンスおよび抵抗などの生体電気的特性を、神経調節治療の前、その間、および/またはその後にシステム300によって使用して、1つ以上の治療パラメータを導くことができる。例えば、治療の前、その間、および/またはその後に、インピーダンスまたは抵抗測定値を使用して、1つ以上の電極344と隣接する組織との間の接触を確認および/または検出してもよい。インピーダンスまたは抵抗測定値はまた、記録されたスペクトルが予期される組織タイプと一致する形状を有するかどうか、および/または連続的に収集されたスペクトルが再現可能かどうかを決定することによって、電極344が標的組織タイプに対して適切に定置されているかどうかを検出するためにも使用することができる。いくつかの実施形態では、インピーダンスまたは抵抗測定値を使用して、治療区域の境界(例えば、破壊されるべき特定の神経構造)、解剖学的ランドマーク、回避されるべき解剖学的構造(例えば、破壊されるべきではない血管構造または神経構造)、および組織にエネルギーを送達する他の態様を識別してもよい。
【0048】
生体電気的情報を、標的部位における異なる解剖学的特徴組織のスペクトルプロファイルまたはマップを生成するために使用することができ、解剖学的マッピングは、ディスプレイ322および/または他のユーザーインターフェースを介して、3Dまたは2D画像で視覚化されて、好適な治療部位の選択をガイドすることができる。この神経および解剖学的マッピングにより、システム300は、鼻腔内への多数の神経入口点で粘膜を神経支配する、節後副交感神経線維を正確に検出し、かつ治療的に変調することができる。さらに、SPF、副孔、および微小孔の位置を示すいかなる明確な解剖学的マーカーもないため、神経マッピングにより、オペレータは、そうでなければ粘膜の複雑な解剖なしには識別できないことになる神経を識別し、そして治療的に変調することができる。加えて、解剖学的マッピングはまた、臨床医が治療的神経調節の間に避けたいと望む場合がある特定の構造(例えば、特定の動脈)を識別することも可能にする。システム300によって検出された神経および解剖学的生体電気的特性もまた、治療部位に基づく治療的神経調節の実時間の効果を決定するために、治療中および治療後に使用することができる。例えば、マッピング/評価/フィードバックアルゴリズム320はまた、治療的神経調節の前後に検出された神経位置および/または活動を比較し、そして神経活性の変化を、所定の閾値と比較して、治療的神経調節の適用が治療部位にわたって有効であったかどうかを評価することもできる。
【0049】
種々の実施形態では、システム300はまた、特定の温度における電極344の予期される治療的変調パターンをマッピングし、特定の実施形態では、標的部位の解剖学的マッピングに基づいて、組織特性を考慮に入れるようにも構成することができる。例えば、システム300は、標的部位および/または構造に応じて、45℃の等温線、55℃の等温線、65℃の等温線、および/または他の温度/範囲(例えば、45℃から70℃以上の範囲の温度)での特定の電極切除パターンの切除パターンをマッピングするように構成することができる。
【0050】
図4A図4Cは、本技術の実施形態に従って構成された評価/変調アセンブリ312(図3A)の電極344のそのような投影された切除パターンの3次元図を図示する。切
除パターンマッピングは、各電極344が周囲の組織に及ぼす影響の領域405(破線で示す)を画定する。影響領域405は、画定された電極活性化パターンに基づいて治療的に変調するエネルギーに露出されることになる、組織の領域に対応する場合がある。例示の実施形態では、切除パターンマッピングは、各支柱340(図3B)上に5つの活性化電極344を含むデバイスに対応するが、切除パターンマッピングは、任意の数の電極344の切除パターン、電極レイアウトの任意の幾何学的形状、および/または任意の切除活性化プロトコル(例えば、パルス活性化、多極/逐次活性化など)を図示するために使用することができる。
【0051】
図4Aを参照すると、いくつかの実施形態では、切除パターンは、各電極344が個々の電極344のみを囲む影響領域405を有するように(すなわち、「ドット」パターン)構成されてもよい。他の実施形態では、切除パターンは、2つ以上の電極344が一緒にリンクして、2つ以上の電極344の間にピーナッツ様または線形の形状を画定するサブグループ化された影響領域405(図4B)を形成する場合があるようなものであってもよい。さらなる実施形態では、切除パターンは、影響領域405が複数の電極344に沿って(例えば、各支柱340(図3B)に沿って)延在する、より拡大的または連続的なパターンをもたらすことができる。なおもさらなる実施形態では、切除パターンは、電極活性化パターン、位相角、標的温度、パルス持続時間、デバイス構造、および/または他の治療パラメータに応じて異なる影響領域をもたらす場合がある。切除パターンの3次元図(例えば、図4A図4Cに示されるような)は、ディスプレイ322(図3A)および/または他のユーザーインターフェースに出力することができ、臨床医は、異なるエネルギー適用の持続期間、異なる電極活性化シーケンス(例えば、多重化)、異なるパルスシーケンス、異なる温度等温線、および/または他の治療パラメータに基づいて、変化する影響領域405を視覚化することができる。この情報を、(図3Aのシステム300を介して決定されるように)患者の特定の解剖学的構造についての適切な切除アルゴリズムを決定するために使用することができる。他の実施形態では、影響領域405の3次元視覚化を、解剖学的マッピングのために生体電気的特性を測定するときに、電極344がデータを検出する領域を図示するために使用することができる。この実施形態では、3次元視覚化を使用して、所望の区域における所望の特性(例えば、インピーダンス、抵抗など)を決定するためにどの電極活性化パターンを使用すべきかを決定することができる。特定の実施形態では、ドット評価(例えば、図4A)を使用することがよりよい場合があるが、他の実施形態では、線形またはより大きな隣接領域(例えば、図4Bおよび図4C)から情報を検出することがより適切である場合がある。
【0052】
いくつかの実施形態では、マッピングされた切除パターンを解剖学的マッピングに重ね合わせて、どの構造(例えば、神経構造、導管など)が治療的に変調されるか、またはそうでなければ治療によって影響を受けることになるかを識別する。例えば、図5は、本技術の実施形態による、関心の区域内の以前に識別された解剖学的構造に関連して、予測された、または計画された神経調節区域507(破線で示す)の図示である。例えば、この図示は、多数の神経構造509a~bを示し、予測された神経調節区域507に基づいて、どの神経構造が治療的に変調されるように予期されるかを識別する。図5に示すように、予期される治療的に変調された神経構造509aは、影響を受けていない神経構造509bと区別するために陰影が付けられている。他の実施形態では、異なる色および/または他の指標を使用して、予期される治療的に変調された神経構造509aは、影響を受けていない神経構造509bと区別することができる。さらなる実施形態では、予測される神経調節区域507および周囲の解剖学的構造(解剖学的マッピングに基づく)を(例えば、図4A図4Cと同様の)3次元図で示すことができ、また/または異なる視覚化機能(例えば、特定の解剖学的構造、標的組織の生体電気的特性などを識別するための色分け)を含むことができる。組み合わされた予測された切除パターンと解剖学的マッピング(例えば、図5に示すような)をディスプレイ322(図3A)および/または他のユー
ザーインターフェースに出力することができ、臨床医は患者の特定の解剖学的構造に適した切除アルゴリズムを選択できる。
【0053】
システム300によって提供され、図4A図6に示される画像化は、臨床医が治療前に切除パターンを視覚化し、特定の解剖学的構造を標的とするように切除パターンを調整しながら、副作用を防ぐために他のものを回避することを可能にする。例えば、臨床医は、血管を避けるように治療パターンを選択し、それによって血管が治療的神経調節エネルギーへと露出するのを低減することができる。これは導管を損傷または破裂させるリスクを低減させ、したがって、即時の、または潜在的な出血を防止する。さらに、神経マッピングによって提供される選択的なエネルギー適用は、創傷治癒中(例えば、切除後1~3週間)に組織が脱落するなどの治療的神経調節の副作用を低減し、それによって神経調節手技に関連する誤嚥リスクを低減する。
【0054】
システム300はさらに、標的神経構造に合わせられた特定の周波数で、(電極344を介して)神経調節エネルギーを適用し、したがって、非標的構造よりも所望の神経構造を特異的に標的とするように構成することができる。例えば、特定の神経調節周波数は、神経マッピング中に標的構造に対応するものとして特定された周波数に対応することができる。上述の通り、解剖学的構造の固有の形態および組成は、異なる周波数に対して異なるように反応する。したがって、標的構造に調整された周波数調整神経調節エネルギーは、非標的構造には同じ変調効果を有さない。より具体的には、標的固有周波数で神経調節エネルギーを適用することは、標的神経構造内にイオン性撹拌を引き起こし、それは標的神経構造の浸透ポテンシャルの差、およびニューロン膜電位の動的変化(細胞内および細胞外の流体圧の差から生じる)をもたらす。これは変性を引き起こし、場合によっては液胞変性、そして最終的には標的神経構造での壊死をもたらすが、少なくともいくつかの非標的構造(例えば、血管)に機能的に影響を及ぼすことは予想されない。したがって、システム300は、(1)標的神経構造の位置を特定して、標的神経構造に神経調節を特に集中させる電極切除構成(例えば、電極の幾何学的形状および/または活性化パターン)を計画することと、(2)特徴的な神経周波数で神経調節エネルギーを適用して、特徴的な神経周波数に応答して神経構造を選択的に切除することとの両方のために神経構造に固有の周波数を使用することができる。例えば、システム300の評価/変調アセンブリ312は、副交感神経線維、交感神経線維、知覚線維、アルファ/ベータ/デルタ線維、C線維、絶縁されていない繊維(繊維を有する領域)を覆って絶縁された前述の1つ以上の無酸素端子、および/または他の神経構造を選択的に刺激および/または変調してもよい。いくつかの実施形態では、システム300はまた、解剖学的マッピングおよび/または治療的変調の間に、平滑筋細胞、粘膜下腺、杯細胞、鼻粘膜内の層状細胞領域などの特定の細胞または細胞領域も選択的に標的にしてもよい。したがって、システム300は、標的神経構造に特定な高度に選択的な神経調節治療を提供し、非標的構造(例えば、血管)に対する神経調節治療の副作用を低減する。
【0055】
図7は、本技術の実施形態に従う、解剖学的マッピングおよび治療的神経調節の方法700を図示するブロックダイアグラムである。方法700は、図3A図3Bを参照して上述したシステム300に関して以下に説明されるが、方法700は、解剖学的評価および神経調節治療のための他の好適なシステムを使用して実施されてもよい。図7に示すように、方法700は、鼻腔の一部などの関心の区域(「関心区域」)で評価および変調デバイスを拡張することを含む(ブロック705)。例えば、電極344のうちの少なくともいくつかが関心区域における粘膜組織と接触して定置されるように、評価/変調アセンブリ312を拡張することができる。拡張デバイスは次に、電極344および/または他のセンサを介して生体電気的測定を行い、所望の電極が関心区域において組織と適切に接触していることを確実にすることができる(ブロック710)。いくつかの実施形態では、例えば、システム300は、対の電極344にわたるインピーダンスおよび/または抵
抗を検出して、所望の電極が組織と適切な表面接触を有し、かつすべての電極344が適切に機能していることを確認する。
【0056】
方法700は、任意選択的に組織に電気刺激を適用し(ブロック715)、そして組織の生体電気的特性を検出して、組織のベースラインノルムを確立する(ブロック720)ことによって継続する。例えば、方法700は、抵抗、複素インピーダンス、電流、電圧、神経発火率、神経磁場、筋肉活性化、ならびに/または神経構造および/もしくは他の解剖学的構造(例えば、腺構造、血管など)の位置および/もしくは機能を示す他のパラメータを測定することを含むことができる。いくつかの実施形態では、電極344は、神経活性を刺激して、活動電位を開始するために、1つ以上の刺激信号(例えば、パルス信号または一定の信号)を関心区域に送信する(ブロック715)。刺激信号は、特定の標的構造の位置の特定を可能にする、特定の標的構造(例えば、特定の神経構造、腺構造、導管など)に合わせられた周波数を有することができる。刺激信号の特定の周波数は、宿主の透磁率の関数であり、したがって、独特の周波数を適用することは、組織の減衰およびRFエネルギーが浸透するであろう組織の中への深さを変化させる。例えば、より低い周波数は、典型的には、より高い周波数よりも組織内により深く浸透する。
【0057】
次いで、評価/変調アセンブリ312の対の非刺激電極344は、インピーダンスまたは抵抗などの刺激に応答して生じる、組織の1つ以上の生体電気的特性を検出することができる。例えば、電極のアレイ(例えば、電極344)を所望のパターンで選択的に一緒に対にして(例えば、電極344を多重化して)、所望の深さでの、および/または所望の領域にわたる生体電気的特性を検出して、関心区域における高レベルの空間的認識を提供することができる。特定の実施形態では、電極344は、アルゴリズム(例えば、マッピング/評価/フィードバックアルゴリズム320によって提供される)に従って、時系列的な様式で一緒に対にすることができる。種々の実施形態では、刺激を2つ以上の異なる周波数で組織の中へと注入することができ、注入された周波数のそれぞれに応じて結果として生じる生体電気的応答(例えば、活動電位)を、種々の対の電極344を介して検出することができる。例えば、解剖学的または神経マッピングアルゴリズムは、評価/変調アセンブリ312に、特定の周波数でパルスRFエネルギーを異なる対の電極344の間に送達させることができ、結果として生じる生体電気的応答を、所望の関心区域が適切にマッピング(すなわち「多重化」)されるまで、時系列ローテーションで記録することができる。例えば、評価/変調アセンブリ312は、所定の期間(例えば、1~50ミリ秒)、隣接する対の電極344を介して刺激エネルギーを第1の周波数で送達することができ、結果として生じる生体電気的活性(例えば、抵抗)を、(例えば、組織内で異なる深さに達するように互いに離間配置した)電極344の1つ以上の他の対を介して検出することができる。次いで、評価/変調アセンブリ312は、第1の周波数とは異なる第2の周波数で刺激エネルギーを適用することができ、結果として生じる生体電気的活性は、その他の電極を介して検出することができる。関心区域が所望の周波数で適切にマッピングされている場合は、これを続けることができる。以下にさらに詳細に説明されるように、いくつかの実施形態では、ベースライン組織生体電気的特性(例えば、神経発火率)は、静的な検出方法を使用して(刺激信号の注入なしに)検出される。
【0058】
ベースライン生体電気的特性を検出した後、その情報を使用して、関心区域における解剖学的構造および/または機能をマッピングすることができる(ブロック725)。例えば、電極344によって検出された生体電気的特性は、マッピング/評価/フィードバックアルゴリズム320を介して影響される可能性があり、解剖学的マップを、ディスプレイ322を介してユーザーに出力することができる。いくつかの実施形態では、複素インピーダンス、誘電体、または抵抗測定値を使用して、副交感神経をマッピングし、任意選択的に、活動亢進の疾患状態にある神経構造を識別することができる。生体電気的特性はまた、血管、骨、および/または腺構造などの他の非標的構造および一般的な解剖学的構
造をマッピングするためにも使用することができる。解剖学的位置は、2次元マップ(例えば、図6に示すように相対強度を図示し、図5に示すような潜在的な標的構造の特定の部位を図示する)として、および/または3次元画像として、(例えば、ディスプレイ322上で)ユーザーに提供することができる。この情報は、サブミクロンの細胞レベルで構造を区別し、極めて特定的な標的構造(例えば、活動亢進副交感神経)を識別するために使用することができる。方法700はまた、(例えば、図4A図4Cに示されるように)異なる電極神経調節プロトコルに基づいて、評価/変調アセンブリ312の切除パターンを予測し、任意選択的に、(例えば、図5に示すように)予測された神経調節パターンをマッピングされた解剖学的構造の上へと重ね合わせて、どの解剖学的構造が特定の神経調節プロトコルによって影響を受けるかをユーザーに示すこともできる。例えば、予測された神経調節パターンが、マッピングされた解剖学的構造に関して表示される場合、臨床医は、標的構造が適切に切除されるかどうか、および非標的構造(例えば、血管)が治療的神経調節エネルギーに望ましくなく露出されるかどうかを決定することができる。したがって、方法700は、極めて特定的な標的構造を位置決めし、非標的構造を回避し、そして電極神経調節プロトコルを選択するための神経調節治療を計画するために使用することができる。
【0059】
標的構造が位置決めされ、所望の電極神経調節プロトコルが選択されると、方法700は、治療的神経調節を標的構造に適用することによって継続される(ブロック740)。神経調節エネルギーは、非標的血管を避け、効果的な創傷治癒のために周囲の組織構造を健康なままにしながら、標的構造を選択的に変調するための微小な損傷を形成する高度に標的化された様式で、組織に適用することができる。いくつかの実施形態では、神経調節エネルギーは、パルス様式で適用することができ、これにより、非標的組織に望ましくない影響を及ぼすことなく適切な変調を確実にするために、組織を変調パルス間で冷却することができる。いくつかの実施形態では、神経調節アルゴリズムは、神経調節が完了すると予測される(すなわち、「マルチプレックス」)まで、時系列ローテーションで電極344の異なる対の間にパルスRFエネルギーを送達することができる。例えば、評価/変調アセンブリ312は、神経調節エネルギー(例えば、5~10W(例えば、7W、8W、9W)の電力および約50~100mAの電流を有する)を、以下の条件、すなわち、(a)負荷抵抗が所定の最大抵抗(例えば、350Ω)に達する、(b)電極対に関連する熱電対温度が所定の最高温度(例えば、80℃)に達する、または(c)所定の期間が経過する(例えば、10秒)、のうちの少なくとも1つが満たされるまで、隣接する対の電極344を介して送達することができる。所定の条件が満たされた後、評価/変調アセンブリ312は、シーケンス内の次の対の電極に移動することができ、そして神経調節アルゴリズムは、個々の対の電極の負荷抵抗のすべてが所定の閾値(例えば、300Ω)以上になると、終了することができる。種々の実施形態では、RFエネルギーを所定の周波数(例えば、450~500kHz)で適用することができ、非標的構造の機能的破壊を回避しながら、特定の標的構造のイオン性撹拌を開始することが予期される。
【0060】
神経調節治療の間、および/またはその後に、方法は、標的部位の治療後の生体電気的特性を検出し、任意選択的に、マッピングすること(ブロック740)によって継続される。これは、ブロック715~725に関して上述したことと同様の様式で実行することができる。治療後評価は、標的構造(例えば、活動亢進副交感神経)が適切に変調されているか、または切除されているかを示すことができる(ブロック745)。標的構造が適切に変調されていない場合(すなわち、神経活性が標的構造中で依然として検出されている、および/または神経活性が減少していない場合)、方法700は、治療的神経調節を再度標的に適用すること(ブロック735)によって継続することができる。標的構造が適切に切除された場合、神経調節手技を完了することができる(ブロック750)。
【0061】
解剖学的構造および機能の検出の選択された実施形態
本技術の種々の実施形態は、標的部位における組織の生体電気的、誘電的、および/または他の特性を測定して、神経構造および他の解剖学的構造の存在、位置、および/または活性を決定し、かつ任意選択的に、検出された神経構造および/または他の解剖学的構造の位置をマッピングする特徴を含むことができる。例えば、本技術は、腺構造、ならびに任意選択的にそれらの粘液性機能および/または他の機能を検出するために使用することができる。本技術はまた、導管構造(例えば、動脈)、ならびに任意選択的にそれらの動脈機能、容積圧力、および/または他の機能を検出するように構成することができる。以下で考察されるマッピング機能は、標的部位における神経の正確な描写を提供するために、本明細書に開示される任意のシステム300(図3Aおよび図3B)および/または任意の他のデバイスに組み込むことができる。
【0062】
神経および/または解剖学的検出は、(a)標的部位における神経構造および他の解剖学的構造(例えば、血管、腺など)の存在もしくは位置を決定するため、および/もしくはベースラインレベルの神経活性を記録するための治療的神経調節エネルギーの適用の前、(b)治療部位での神経線維に対するエネルギー適用の実時間の効果を決定するための治療的神経調節の間、ならびに/または(c)標的構造(例えば、神経腺など)に対する治療の有効性を確認するための治療的神経調節の後に行うことができる。これは、極めて特定的な解剖学的構造(マイクロスケールまたは細胞レベルまででさえも)の識別を可能にし、したがって、高度に標的化された神経調節を提供する。これは、神経調節治療の有効性および効率性を増強させる。さらに、解剖学的マッピングは、非標的部位への神経調節治療の副作用を低減させる。したがって、標的神経調節は、血管の損傷または破裂を抑制し(すなわち、望ましくない出血を抑制し)、創傷治癒中に(例えば、損傷組織が鼻の壁の壁から脱落したときに)懸念される場合がある組織への付随的な損傷を抑制する。
【0063】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるシステムは、インピーダンス、抵抗、電圧、電流密度、および/または他のパラメータ(例えば、温度)などの生体電気的測定を使用して、標的部位での解剖学的構造、特に神経、腺、および血管の解剖学的構造を決定することができる。生体電気的特性は、刺激(例えば、図3A図3Bの電極344を介して送達されるRFエネルギーなどの電気刺激、すなわち、「動的な」検出)の伝達後に、および/または刺激の伝達なしで(すなわち、「静的」検出)、検出することができる。
【0064】
動的測定は、神経活性化および/または伝播の一次または二次効果を活性化および/または検出するための種々の実施形態を含む。そのような動的な実施形態は、神経活性化および伝播の高められた状態を含み、神経の位置、および隣接する組織タイプに関する機能的識別のために、この動的測定を使用する。例えば、動的検出の方法は、(1)治療デバイス(例えば、評価/変調アセンブリ312)を介して治療部位に刺激エネルギーを送達して、治療部位における副交感神経を活性化させることと、(2)治療デバイス(例えば、電極344)の測定/感知アレイを介して、治療部位における1つ以上の生理学的パラメータ(例えば、抵抗、インピーダンスなど)を測定することと、(4)測定に基づいて、治療部位における副交感神経の相対的存在および位置を特定することと、(5)特定された副交感神経に切除エネルギーを送達して、検出された副交感神経を遮断することと、を含むことができる。
【0065】
静的測定は、治療部位においての、またはその近くでの、層状または細胞組成の特定の天然の特性に関連する種々の実施形態を含む。静的な実施形態は、治療部位における、またはその近くの組織タイプ、治療部位における、またはその近くの層状組成物もしくは細胞組成物の固有の生物学的および電気的特性、ならびに前述の両方の測定値を、治療部位に隣接する(それは神経調節の標的とされていない)組織タイプと対比することに関する。この情報は、特定の標的(例えば、副交感神経繊維)、および非標的(例えば、導管、感覚神経など)を局所化するために使用することができる。例えば、静的検出の方法は、
(1)切除の前に、治療デバイス(例えば、電極344)の測定/感知アレイを利用して、1つ以上のベースライン生理学的パラメータを決定することと、(2)測定された生理学的パラメータ(例えば、抵抗、インピーダンスなど)に基づいて、関心の領域内の固有の組織特性を幾何学的に識別することと、(3)治療デバイスを介して、関心の領域内の1つ以上の神経に切除エネルギーを送達することと、(4)切除エネルギーの送達の間に、測定/感知アレイを介して1つ以上の手技中の生理学的パラメータを決定することと、(5)切除エネルギーの送達の後に、測定/感知アレイを介して1つ以上の手技後の生理学的パラメータを決定して、切除エネルギーを受けた神経を遮断することに対する切除エネルギーの送達の有効性を決定することと、を含むことができる。
【0066】
生体電気的特性の初期の静的および/または動的な検出の後、解剖学的特徴の位置を用いて、治療部位(複数可)が、標的にされた副交感鼻神経の治療的に有効な神経調節のために、種々の解剖学的構造に関してどこにあるべきかを決定することができる。本明細書で論じられる生体電気的特性および他の生理学的特性は、電極(例えば、図3Aおよび図3Bの評価/変調アセンブリ312の電極344)を介して検出することができ、デバイス(例えば、評価/変調アセンブリ312)上の電極対は、特定の区域または領域における、および標的領域の特定の深さにおける生体電気的データを取得するように選択することができる。標的神経調節部位において、またはその周辺で検出された特定の性質、およびこれらの性質を得るための関連する方法が、以下に説明される。以下に考察されるこれらの特定の検出およびマッピング方法は、図3Aおよび図3Bのシステム300を参照して説明されるが、方法は、解剖学的識別、解剖学的マッピングおよび/または神経調節治療を提供する、他の好適なシステムおよびデバイスで実施することができる。
【0067】
神経識別およびマッピング
多くの神経調節手技では、神経調節デバイス302(図3A)によって送達されるエネルギーの影響の区域および/または領域(「関心区域」と呼ばれる)内に入る神経の部分だけでなく、神経調節デバイス302に対する神経構造の相対的な3次元位置を特定することは有益である。関心区域内の神経構造の部分を特徴付けること、および/または関心区域内の神経構造の相対位置を決定することによって、臨床医は、(1)非標的構造(例えば、血管)よりも標的神経構造を選択的に活性化すること、および(2)非標的神経構造(例えば、感覚神経、神経構造のサブグループ、特定の組成または形態を有する神経構造)よりも特定の標的神経構造(例えば、副交感神経)を副選択することができる。標的構造(例えば、副交感神経)および非標的構造(例えば、血管、感覚神経など)は、構造の独特の形態学的組成およびこれらの形態学的組成に関連した生体電気的特性によって画定される、特定の構造の固有のシグネチャに基づいて識別することができる。例えば、独特の離散周波数は、形態学的組成と関連付けることができ、したがって、特定の構造を識別するために使用することができる。標的および非標的構造もまた、特定のニューロン構造を副選択するために、構造の相対的な生物電気的活性化に基づいて識別することができる。さらに、標的および非標的構造は、調整された注入される刺激に対する構造の異なる検出された応答によって識別することができる。例えば、本明細書に記載のシステムは、異なる刺激(例えば、異なる周波数で注入された刺激)に関して、構造の応答の大きさおよび解剖学的構造の応答の差を検出することができる。
【0068】
少なくとも本開示の目的のために、神経は、関心区域に対するそれらのそれぞれの配向に基づいて画定される以下の部分:終端神経構造(例えば、終端軸索構造)、分岐神経構造(例えば、分岐軸索構造)、および移動神経構造(例えば、移動軸索構造)を含むことができる。例えば、終端神経構造は区域に入るが、抜け出ない。このように、終端神経構造は、ニューロンのシグナル伝達および活性化の終点である。分岐神経構造は、関心区域に入り、関心区域から出る神経の数を増加させる神経である。分枝神経構造は、典型的には、神経束の相対的な幾何学的形状の低減と関連する。移動神経構造は、関心区域に入り
、その区域から出る神経であり、幾何学的形状または数値に実質的に変化はない。
【0069】
システム300を使用して、神経の複合活動電位に結び付けられる電圧、電流、複素インピーダンス、抵抗、誘電率、および/または導電率を検出し、関心区域内の神経の相対位置および比例性を決定および/またはマッピングすることができる。ニューロンの断面積(「CSA」)は、軸索構造の増加によるものと予期される。各軸索は標準サイズである。より大きい神経(断面寸法における)は、より小さい断面寸法を有する神経よりも多数の軸索を有する。静的評価と動的評価の両方において、より大きな神経からの複合作用応答は、より小さな神経よりも大きい。これは、少なくとも部分的には、複合活動電位が軸索のそれぞれからの累積作用応答であるためである。静的分析を使用する場合、例えば、システム300は、神経のインピーダンスまたは抵抗を直接測定およびマッピングし、決定されたインピーダンスまたは抵抗に基づいて、神経の位置および/または神経の相対的なサイズを決定することができる。動的分析では、システム300を使用して、関心区域に刺激を加え、刺激に対する神経構造の動的応答を検出することができる。この情報を使用することにより、システム300は、関心区域内のインピーダンスまたは抵抗を決定および/またはマッピングして、神経位置または相対的な神経サイズに関する情報を提供することができる。神経インピーダンスマッピングは、(例えば、図6に示されるように)異なる断面深さでの特定の位置における変化する複素インピーダンスレベルを示すことによって説明することができる。他の実施形態では、神経インピーダンスまたは抵抗は、3次元ディスプレイにマッピングさすることができる。
【0070】
関心区域内の神経の部分および/または相対位置を特定することは、治療効率および有効性を改善するためのシステム300の1つ以上の治療パラメータ(例えば、電極切除パターン、電極活性化計画など)の選択を通知および/または案内することができる。例えば、神経のモニタリングおよびマッピングの間に、システム300は、関心区域に沿って延在する神経構造の長さ、神経構造の相対的なサイズ、および/または活動電位の方向に少なくとも部分的に基づいて、神経の方向性を特定することができる。次いで、この情報をシステム300または臨床医が使用して、治療パラメータ(例えば、選択的電極作動、双極性および/もしくは多極性作動、ならびに/または電極位置付け)を自動的または手動で調整し、それにより、特定の神経または神経の領域を標的とすることができる。例えば、システム300は、特定の電極344、電極の組み合わせ(例えば、非対称または対称)を選択的に作動させること、および/または双極性もしくは多極性電極構成を調整することができる。いくつかの実施形態では、システム300は、神経部分/位置のマッピング、および/または神経比例マッピングに基づいて、波形、位相角、および/または他のエネルギー送達パラメータを調整または選択することができる。いくつかの実施形態では、電極344自体の構造および/または特性(例えば、材料、表面粗さ、被覆、断面積、周囲長、貫通、貫通深さ、表面実装など)は、神経部分および比例マッピングに基づいて選択されてもよい。
【0071】
種々の実施形態では、治療パラメータおよび/またはエネルギー送達パラメータは、軸上もしくは軸近傍の移動神経構造を標的とするように、および/または評価/変調アセンブリ312に対して少なくとも略垂直である移動神経構造の活性化を回避するように調整することができる。軸上または軸近傍の移動神経構造の大部分は、離散的な断面で治療エネルギーに露出されるのみである場合がある垂直移動神経構造よりも、評価/変調アセンブリ312によって提供される神経調節エネルギーに露出され、かつその影響を受けやすい。したがって、評価/変調アセンブリ312は、軸上または軸近傍の移動神経構造に対してより大きな影響を有する可能性が高い。神経構造位置の特定(例えば、複素インピーダンスまたは抵抗マッピングを介する)はまた、移動神経構造が神経起源により近いため、分岐神経構造(典型的には、移動神経構造の下流にある)よりもむしろ移動神経構造へのエネルギー送達を標的とすることを可能にすることもでき、したがって、より多くの神
経が、治療的神経調節の影響を受け、それによってより効率的な治療および/またはより高い治療効果がもたらされる。同様に、神経構造位置の特定を、終端神経構造よりも移動および分岐神経構造を標的とするために使用することができる。いくつかの実施形態では、治療パラメータは、検出された神経位置に基づいて調整されて、選択的な局所的効果を提供することができる。例えば、臨床医は、非常に特定的な解剖学的構造または位置に対する部分的な効果に影響を与えることだけを求める場合、神経構造の下流部分を標的にすることができる。
【0072】
種々の実施形態では、神経の位置および/または神経の相対位置は、経時的な神経発火電圧および/または電流を検出することによって決定することができる。電極344のアレイは、関心区域において組織と接触して位置付けることができ、電極344は、神経発火に関連する電圧および/または電流を測定することができる。この情報は、興奮した状態(すなわち、過度の副交感神経緊張)にある神経の位置を特定するために、(例えばディスプレイ322上に)任意選択的にマッピングすることができる。鼻炎は、この興奮した状態が粘膜過剰生成および粘膜過剰分泌を促進するので、少なくとも部分的に神経の過剰発火の結果である。したがって、電圧および電流測定を介した神経発火率の検出を使用して、過剰副交感神経機能を含む関心領域の部分(すなわち、疾患状態の神経)を位置決めすることができる。これにより、臨床医が、すべての副交感神経(非疾患状態の副交感神経を含む)を単に標的とするのではなく、神経調節治療の前に特定の神経(すなわち、過度の副交感神経緊張を有する神経)を位置決めして、神経調節治療の間に正しい組織が確実に治療されることが可能となる。さらに、神経発火率を、神経調節治療の間または後に検出することができるので、臨床医は、神経発火率の変化を監視して、治療効果を検証することができる。例えば、神経調節治療後の神経発火率の減少または消失を記録することで、その療法が興奮/疾患神経を治療学的に治療するのに有効であることを示すことができる。
【0073】
種々の実施形態では、システム300は、電極344のうちの1つ以上を介して刺激信号(すなわち、一時的に神経を活性化させる信号)を注入して活動電位を誘導することによる動的活性化を使用して神経活性を検出することができ、また電極344の他の対は、神経応答の生体電気的特性を検出することができる。動的活性化を使用して神経構造を検出することは、ニューロン内の放電率および関連する過程を測定することによって、関心区域内の活動電位の位置を検出することを含む。正確な活性指数を生成するための高速ニューロン脱分極を数値的に測定、プロファイル、マッピング、および/または画像化する能力は、ニューロンおよびそれらの過程における放電率を測定する際の要因である。活動電位は、神経線維にわたる電圧の急激な増加を引き起こし、次に電気的インパルスは線維に沿って広がる。活動電位が生じると、神経細胞膜のコンダクタンスが変化し、それは細胞が静止しているときよりも約40倍大きくなる。活動電位またはニューロンの脱分極の間、膜抵抗は約80倍減少し、それによって適用された電流が同様に細胞内空間に入ることも可能にする。ニューロンの集団にわたって、これは、細胞内空間がさらなる導電性イオンを提供するので、慢性副交感神経応答などのコヒーレントなニューロン活動中の抵抗の正味の減少をもたらす。そのような急速な変化の大きさは、末梢神経束(例えば、鼻腔内の神経を含む)についてDC付近での記録が2.8~3.7%である局所抵抗率変化を有すると推定される。
【0074】
動的活性化を用いて神経構造を検出することは、ニューロン内の放電率および関連する過程を測定することによって、関心区域内の活動電位の位置を検出することを含む。この各放電の基礎は、その間に約2ミリ秒間継続し、そして細胞膜にわたるマイクロモル量のイオン(例えば、ナトリウムおよびカリウム)の移動のために最高110mVまたはそれ以上のニューロン膜の脱分極が存在する、活性電位である。ニューロン膜による複素インピーダンスまたは抵抗変化は、1000から25Ωcmに低下する。刺激の導入およびそ
れに続く神経応答の測定は、神経の検出、測定、およびマッピングを向上するために、ノイズを減衰させ、信号対ノイズ比を向上させて、応答領域に正確に焦点を合わる。
【0075】
いくつかの実施形態では、誤差を低減することができる経時的な生理学的パラメータ(例えば、複素インピーダンス、抵抗、電圧)の測定値の差を使用して、神経プロファイル、スペクトル、またはマップを作成することができる。例えば、このプロセスが刺激に対して繰り返し平均化を提供するので、システム300の感度を改善することができる。結果として、マッピング関数出力は、単一の周波数および/もしくは複数の周波数ならびに/または複数の振幅における参照照合データと試験照合データとの間の単位なしの比率とすることができる。追加の考慮事項としては、抵抗率、アドミティビティ、中心周波数、または細胞外と細胞内の抵抗率の比などのパラメータ評価を結果として拡張する、複数の周波数評価方法を挙げてもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、システム300はまた、活動電位活動を伴う代謝回復プロセスを定量化し、イオン勾配を正常に回復するように作用するために、神経構造の電気的活性を間接的に測定するようにも構成されてもよい。これらは細胞外空間におけるイオンの蓄積に関連する。電気的活性の間接的な測定は、約1000倍より大きい(ミリモルの程度で)可能性があり、したがって測定がより容易であり、神経マップを生成するために使用される測定された電気的特性の精度を高めることができる。
【0077】
システム300は、神経の外部刺激に応答して、経時的に神経発火電圧および/または電流、ならびに任意選択的に神経発火率を検出することによって、動的神経検出を実行することができる。例えば、電極344のアレイを関心区域の組織と接触して位置付けることができ、電極344のうちの1つ以上を活性化して、神経を刺激する信号を組織に注入することができ、電極アレイの他の電極344は、刺激に応答する神経発火に起因する神経電圧および/または電流を測定することができる。この情報は、任意選択的にマッピングされて(例えば、ディスプレイ322上に)、神経の位置を特定することができ、特定の実施形態では、興奮状態(例えば、鼻炎または他の疾患状態を示す)にある副交感神経を識別することができる。神経活性の動的検出(電圧、電流、発火率など)は、標的神経位置を検出して、標的部位および治療パラメータを選択し、神経調節治療中に正しい組織が治療されることを確実にするために、神経調節治療の前に行うことができる。さらに、神経活性の動的検出を、神経調節治療の間または後に実施して、臨床医が神経活性の変化を監視して治療効果を検証することを可能にすることができる。例えば、神経調節治療後の神経活性の減少または消失を記録することは、その療法が興奮/疾患神経を治療学的に治療するのに有効であることを示すことができる。
【0078】
図9に関して以下でさらに詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、刺激信号を、評価/変調アセンブリ312および/または別個のデバイスに関連付けられた1つ以上の貫通電極(例えば、組織を貫通するマイクロニードル)を介して、標的神経の近傍に送達することができる。刺激信号は、活動電位を生成し、それは、平滑筋細胞または他の細胞を収縮させる。貫通電極(複数可)を介してこの収縮の位置および強度を検出することができ、それにより、臨床医に神経までの距離および/または刺激針電極に対する神経の位置を示すことができる。いくつかの実施形態では、刺激電気信号は、典型的には1~2mA以上の電圧、および典型的には100~200マイクロ秒以上のパルス幅を有してもよい。刺激のより短いパルスは、検出された収縮のよりよい区別をもたらすが、より多くの電流を必要とする場合がある。電極と標的神経との間の距離が大きいほど、刺激に必要なエネルギーが多くなる。収縮強度および/または位置の刺激および検出は、電極が神経からどれだけ近いか遠いかの識別を可能にし、したがってそれは、神経を空間的に局所化するために使用することができる。いくつかの実施形態では、神経までの距離を測定するために、様々なパルス幅を使用してもよい。針が神経に近づくにつれて、反応を引き出
すために必要なパルス幅はますます短くなる。
【0079】
筋肉収縮検出を介して神経を局所化するために、システム300は、パルス幅または振幅を変えて、貫通電極(複数可)を介して組織に送達される刺激のエネルギー(エネルギー=パルス幅×振幅)を変えることができる。刺激エネルギーを変化させ、貫通電極および/または他のタイプのセンサを介して筋肉収縮を監視することによって、システム300は、神経までの距離を推定することができる。神経を刺激する/筋肉を収縮させるのに大量のエネルギーが必要とされる場合、刺激/貫通電極は神経から遠く離れている。刺激/貫通電極が神経に近づくにつれて、筋肉収縮を誘発するのに必要なエネルギー量は低下する。例えば、貫通電極のアレイを関心区域における組織内に配置することができ、1つ以上の電極を活性化して、それらが筋肉収縮を誘発するまで異なるエネルギーレベルで刺激を適用することができる。反復プロセスを使用することによって、(例えば、マッピング/評価/フィードバックアルゴリズム320を介して)神経を局所化する。
【0080】
いくつかの実施形態では、システム300は、神経刺激からの筋肉活性化を測定して(例えば、電極344を介して)、貫通電極を使用せずに、神経マッピングについての神経ポジショニングを決定することができる。この実施形態では、治療デバイスは、粘膜下腺および血管供給を囲む平滑筋細胞の静脈瘤を標的とし、次に複合筋活動電位を標的とする。個々の筋繊維活動電位からの電圧応答を合計するためにこれを使用することができる。最短のレイテンシは、刺激アーチファクトから応答の開始までの時間である。対応する振幅は、ベースラインから負のピークまで測定され、ミリボルト(mV)で測定される。成人における神経レイテンシ(平均±SD)は、典型的には、約2~6ミリ秒の範囲であり、より典型的には、約3.4±0.8~約4.0±0.5ミリ秒の範囲である。次に、代替の鼻腔を使用した集団評価に加えて、各時間間隔での出力(特にエネルギー供給前後)を比較する比較評価を行ってもよい。これは、筋肉作用/活性化が神経活性/活性化を推論するために使用されてもよく、また筋肉作用/活性化が二次効果または副産物であり、一方、神経機能が絶対的な性能尺度であるので、神経機能の性能の絶対値の正確な評価を提供することが期待される。
【0081】
いくつかの実施形態では、システム300は、神経膜の物理的破壊なしに神経の内部電流を決定するために、神経の外側の神経磁場を記録することができる。理論に縛られることなく、膜内部の電流からの磁場への寄与は、外部電流からのものよりも2桁大きく、膜内の電流からの寄与は実質的に無視できる。磁性化合物作用場(「CAF」)の測定と並行して神経を電気的に刺激することにより、伝導変化の位置を推定することができるように(例えば、最小二乗法によって)、電流双極子の連続的位置を得ることができる。磁気等高線図を用いた視覚的表現(例えば、ディスプレイ322を介する)は、正常または非正常な神経特性(例えば、正常のものは、神経に沿って伝播する特徴的な四重極パターンと同一視することができる)を示し、したがって、どの神経が疾患、活動亢進状態、および神経調節のための好適な標的にあるかを示すことができる。
【0082】
磁場検出の間、電極344のアレイを関心区域において組織と接触して位置付けることができ、任意選択的に、電極344のうちの1つ以上を活性化して、組織の中へと電気的刺激を注入することができる。関心区域内の神経が発火する(刺激に応答する場合でも、またはそれが存在しない場合でも)と、神経は磁場(例えば、電流を運ぶワイヤと同様に)を生成し、したがって磁場の変化は神経の神経発火率を示す。神経の発火によって引き起こされる変化する磁場は、近くのセンサワイヤ(例えば、センサ314)および/または近くの電極344に関連付けられたワイヤによって検出される電流を誘導することができる。この電流を測定することによって、磁場強度を決定することができる。神経調節治療の前に、神経の位置を特定し、標的神経(過度の副交感神経緊張を有する神経)を選択して、それにより、所望の神経が神経調節治療の間に治療されることを確実にするために
、磁場を任意選択的にマッピングすること(例えば、ディスプレイ322上に)ができる。さらに、磁場情報を神経調節治療の間または後に使用することができるので、臨床医は、神経発火率の変化を監視して、治療効果を検証することができる。
【0083】
他の実施形態では、神経磁場は、評価/変調アセンブリ312、および/または関心区域に送達される別個のデバイスの一部に統合することができる、ホールプローブまたは他の好適なデバイスを用いて測定される。代替的に、第2のワイヤの電圧を測定するのではなく、ホールプローブを使用して、変化する磁場を元のワイヤ(すなわち、神経)の中で測定することができる。ホールプローブを通過する電流は、半導体内で偏向する。これにより、上部と下部との間に電圧差が生じ、これを測定することができる。この実施形態のいくつかの態様では、3つの直交平面が利用される。
【0084】
いくつかの実施形態では、システム300を使用して、神経の共振周波数に同調可能なワイヤ(すなわち、同調可能/LC回路などの周波数選択的回路)内に起電力(「EMF」)を誘導することができる。この実施形態では、神経は電流を運ぶワイヤであると考えることができ、発火活動電位は変化する電圧である。これは変化する電流を引き起こし、それが次に、変化する磁束(すなわち、ワイヤに垂直な磁場)を引き起こす。ファラデーの誘導則/ファラデーの原理の下では、変化する磁束が、近くのセンサワイヤ(例えば、評価/変調アセンブリ312、センサ314、および/または他の構造の中へと組み込まれる)にEMF(変化する電圧を含む)を誘導し、システム300を介して変化する電圧を測定することができる。
【0085】
さらなる実施形態では、センサワイヤ(例えば、センサ314)はインダクタであり、したがって神経(すなわち、第1のワイヤ)とセンサワイヤ(すなわち、第2のワイヤ)との間の磁気的リンクの増加を提供し、効果を高めるためにより多くの巻きを有する。(例えば、V2,rms=V1,rms(N2/N1))。変化する磁場に起因して、電圧がセンサワイヤ内に誘導され、この電圧を測定し、かつ神経内の電流変化を推定するために使用することができる。EMF検出の効率を増強させるために、特定の材料を選択することができる。例えば、センサワイヤは、インダクタ用の軟鉄コアまたは他の高透磁性材料を含むことができる。
【0086】
誘導EMF検出の間、評価/変調アセンブリ312および/またはセンサワイヤを含む他のデバイスは、関心区域において組織と接触して位置付けられ、任意選択的に、電極344のうちの1つ以上を活性化して、組織の中へと電気的刺激を注入することができる。関心区域内の神経が発火すると(刺激に応答してか、またはそれが存在しないか、のいずれでも)、神経は、センサワイヤ(例えば、センサ314)内に電流を誘導する磁場(例えば、電流を運ぶワイヤと同様の)を生成する。神経調節治療の前に、神経の位置を特定し、標的神経(過度の副交感神経緊張を有する神経)を選択して、所望の神経が神経調節治療の間に治療されることを確実にするために、この情報を使用して、神経位置を決定し、かつ/または神経をマッピングすること(例えば、ディスプレイ322上に)ができる。臨床医が神経発火率の変化を監視して、治療効果を検証することができるように、神経調節治療の間、またはその後にEMF情報を使用することができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、システム300は、特定のタイプの神経に対応する選択された周波数で発生した磁場および/またはEMFを検出することができる。検出される信号の周波数、および延長して考えると関連する神経タイプを、外部共振回路に基づいて選択することができる。外部回路が特定の神経タイプの磁場の周波数と一致し、その神経が発火しているときに、外部回路で共振が発生する。このようにして、システム300を使用して、特定のサブグループ/タイプの神経を位置決めすることができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、システム300は、位置を特定し、かつ/または特定の神経(例えば、副交感神経、感覚神経、神経線維タイプ、神経サブグループなど)をマッピングするための可変コンデンサ周波数選択回路を含むことができる。可変コンデンサ周波数選択回路を、センサ314、および/または評価/変調アセンブリ312の他の特徴によって画定することができる。神経は、その機能および構造に基づく異なる共振周波数を有する。したがって、システム300は、所望の神経タイプの共振周波数に選択的に同調することができる可変コンデンサ(C)および/または可変インダクタ(L)を有する、同調可能LC回路を含むことができる。これにより、選択された神経のタイプおよびそれに関連する共振周波数にのみ関連する、神経活性の検出が可能になる。同調は、コアをインダクタの内外に移動することによって達成することができる。例えば、同調可能LC回路は、(i)コアの周りのコイルの数を変えること、(ii)コアの周りのコイルの断面積を変えること、(iii)コイルの長さを変えること、および/または(iv)コア材料の透磁率を変える(例えば、空気からコア材料に変える)ことによって、インダクタを同調することができる。そのような同調可能LC回路を含むシステムは、神経信号の活性化に関してだけでなく、活性化される神経のタイプおよび神経が発火する頻度に関しても、高度な播種および区別を提供する。
【0089】
解剖学的マッピング
種々の実施形態では、システム300は、空間的に局所化されたソース(例えば、電極344)からの集束エネルギー電流/電圧刺激を使用して、関心区域における組織のその導電率の変化を引き起こし、結果として生じる生体電位および/または生体電気的測定を(例えば、電極344を介する)検出する、最小侵襲解剖学的マッピングを提供するようにさらに構成される。組織内の電流密度は、電極344によって適用される電圧の変化に応答して変化し、これは評価/変調アセンブリ312、および/またはシステム300の他の部分を用いて測定することができる電流の変化を生み出す。生体電気的測定および/または生体電位測定の結果は、相対吸収プロフィロメトリーを予測または推定して、関心区域内の組織構造を予測または推定するために使用することができる。より具体的には、各細胞構造は、骨、軟組織、導管、神経、神経のタイプ、および/または特定の神経構造などの組織または構造のタイプを示すことができる、独特の導電率および吸収プロファイルを有する。例えば、異なる周波数は、異なるタイプの組織を通じて異なるように減衰する。したがって、領域内の吸収電流を検出することによって、システム300は、下にある構造を決定することができ、場合によっては、高度に特定化された標的局在化およびマッピングを可能にするサブマイクロスケールの細胞レベルまで決定することができる。この高度に特定化された標的の識別およびマッピングは、神経調節治療の有効性および効率性を増強し、一方でシステム300の安全性プロファイルも増強して非標的構造に対する付随的な影響を低減させる。
【0090】
電気的および誘電的組織特性(例えば、周波数の関数としての抵抗、複素インピーダンス、導電率、および/または誘電率)を検出するために、電極344および/または別の電極アレイは、関心領域の組織上に定置され、内部または外部のソース(例えば、発生器316)は、組織に刺激(電流/電圧)を適用する。ソースとレシーバ電極344との間の組織の電気的特性が測定され、それだけでなく個々のレシーバ電極344における電流および/または電圧も測定される。次に、これらの個々の測定値を組織の電気的マップ/画像/プロファイルに変換し、ディスプレイ322上でユーザーのために視覚化して、関心の解剖学的特徴、および特定の実施形態では、発火神経の位置を特定することができる。例えば、解剖学的マッピングは、異なる強度の特定の生体電気的特性(例えば、抵抗、インピーダンスなど)を示す色分けされたまたはグレースケールの3次元または2次元マップとして提供することができ、または情報を処理して、臨床医のための実際の解剖学的構造をマッピングすることができる。この情報はまた、解剖学的構造に関して治療の進行を監視するための神経調節治療の間、および治療の成功を検証するための神経調節治療の
後に使用することができる。さらに、生体電気的および/または生体電位測定によって提供される解剖学的マッピングは、神経調節治療による非標的組織(例えば、導管)への変化を追跡して、負の副作用を回避するために使用することができる。例えば、臨床医は、治療がいつ導管を結紮し、および/または組織を損傷し始めるのかを識別することができ、出血、有害な組織切除、および/または他の負の副作用を回避するように治療を修正することができる。
【0091】
さらに、特定の標的を識別するために使用される電流の閾値周波数は、その後に、治療的神経調節エネルギーを適用するときに使用することができる。例えば、神経調節エネルギーは、標的ニューロン特異的であり、他の非標的(例えば、血管、非標的神経など)と区別される、電流の特定の閾値周波数で適用することができる。標的特異的周波数で切除エネルギーを適用することにより、標的神経構造内にイオン性撹拌を生成する電界がもたらされ、これは標的神経構造の浸透電位の差につながる。これらの浸透電位差は、ニューロン膜電位の動的変化(細胞内液圧と細胞外液圧の差から生じる)を引き起こし、それが標的神経構造の液胞変性および最終的には壊死をもたらす。高度に標的化された閾値神経調節エネルギーを使用して変性を開始することにより、システム300は、周囲の血管および他の非標的構造が機能的に維持されている間に、治療的神経調節を特定の標的に送達することができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、システム300は、ニューロン脱分極中の抵抗変化を非侵襲的に記録して、神経活性を電気的インピーダンス、抵抗、生体インピーダンス、導電率、誘電率、および/または他の生体電気的測定値を用いてマッピングすることによって、組織の生体電気的特性を検出するようにさらに構成することができる。理論に縛られることなく、神経が脱分極すると、細胞膜抵抗は(例えば、約80倍)減少し、その結果、電流は、開いたイオンチャネルを通過して、細胞内空間の中へと流れる。別のやり方では、電流は細胞外空間に留まる。非侵襲的抵抗測定については、刺激ニューロン活性のための閾値の25%未満(例えば、10%)の振幅で、1Hzで定電流の方形波を適用するなど、100Hz未満の電流を適用することによって、組織を刺激することができ、それにより、電流が細胞内空間を横断しない、または2Hzで刺激しないという可能性が、防止または低減される。いずれの場合も、抵抗および/または複素インピーダンスは、電圧変化を記録することによって記録される。次に、(例えば、図6に示すような)その区域の複素インピーダンスまたは抵抗マップまたはプロファイルを生成することができる。
【0093】
インピーダンス/導電率/誘電率検出のために、電極344および/または別の電極アレイが、関心領域における組織上に定置され、内部または外部のソース(例えば、発生器316)が、組織に刺激を適用し、個々のレシーバ電極344における電流および/または電圧が測定される。刺激は、異なるタイプの神経を分離するために、異なる周波数で適用することができる。次に、これらの個々の測定値を組織の電気的マップ/画像/プロファイルへと変換し、ディスプレイ322上でユーザーのために視覚化して、関心の解剖学的特徴を識別することができる。神経マッピングはまた、治療のために特定の神経を選択して、神経および他の解剖学的構造に関して治療の進行を監視し、そして成功した治療を検証するために、神経調節治療の間にも使用することができる。
【0094】
上述の神経および/または解剖学的検出方法のいくつかの実施形態では、手技は、(同じエネルギー送達段階内で)手技中の生理学的パラメータ(複数可)と、ベースラインの生理学的パラメータ(複数可)および/または他の以前に取得した手技中の生理学的パラメータ(複数可)とを比較することを含み得る。そのような比較を、治療された組織における状態変化を分析するために使用することができる。手技中の生理学的パラメータ(複数可)はまた、例えば、治療エネルギーの送達をいつ停止するかを示すために、1つ以上の所定の閾値とも比較してもよい。本技術のいくつかの実施形態では、測定されたベース
ラインの、手技中および手技後のパラメータは、複素インピーダンスを含む。本技術のいくつかの実施形態では、手技後の生理学的パラメータは、電界効果(イオン性撹拌および/または熱的閾値)の散逸を可能にするために所定の期間の後に測定され、したがって、治療の正確な評価が容易になる。
【0095】
いくつかの実施形態では、上述の解剖学的マッピング方法を、鼻粘膜内の軟組織の深さを特定するために使用することができる。鼻甲介上の粘膜の深さは大きいが、一方で鼻甲介からの深さは浅いので、したがって、本技術において組織の深さを特定することはまた、鼻粘膜内の位置、および正確にどこを標的とするかも特定する。さらに、上述のように上皮組織のマイクロスケールの空間的インピーダンスマッピングを提供することによって、重層または細胞体の固有の独特なシグネチャを、関心の領域の特定として使用することができる。例えば、異なる領域は、粘膜下腺などの特定の構造のより大きい、または小さい集団を有するので、標的領域は、これらの構造の特定を介して識別することができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、システム300は、解剖学的構造を検出し、解剖学的特徴をマッピングするために使用することができる、追加的な特徴を含む。例えば、システム300は、神経構造および/または他の解剖学的構造を識別するための超音波プローブを含むことができる。より高い周波数の超音波は、より高い解像度を提供するが、より浅い貫通深さを提供する。したがって、神経/解剖学的局在化のために適切な深さおよび解像度を達成するために周波数を変えることができる。機能的識別は、空間パルス長(「SPL」)(波長にパルス内のサイクル数を乗じたもの)に依存する場合がある。軸方向分解能(SPL/2)はまた、神経を位置決めするためにも決定される場合がある。
【0097】
いくつかの実施形態では、システム300は、神経活性を完全に刺激するのではなくむしろ抑制する選択的パラメータを用いて、刺激を発するようにさらに構成することができる。例えば、細胞外神経刺激についての強度-持続時間の関係が選択され、かつ制御される実施形態では、細胞外電流は細胞を過分極させることができ、刺激スパイク挙動よりもむしろ抑制をもたらす(すなわち、完全な活性電位が達成されない)状態が存在する。イオンチャネルの両方のモデル、HHおよびRGCは、刺激を拡大するよりもむしろ、適切に設計されたバースト細胞外刺激で細胞を過分極することが可能であることを示唆する。この現象は、本明細書に記載の神経検出および/または変調の実施形態のいずれかの間に、神経活性を刺激するのではなくむしろ抑制するために使用することができる。
【0098】
評価および神経調節デバイスの選択された実施形態
図8Aおよび図8Bは、本技術の実施形態に従って構成された、神経調節およびマッピングデバイス802(「デバイス802」)の遠位部分の等角図である。デバイス802は、図3Aおよび図3Bを参照して上述したデバイス302の特徴と概して同様の種々の特徴を含むことができる。例えば、デバイス802は、シャフト308の遠位部分308bに評価/変調アセンブリ812を含む。評価/変調812は、枝部346を形成し、拡張可能なフレームまたはバスケット342を画定する複数の支柱340を含み、任意選択的に、支柱340のうちの1つ以上の上に配置された1つ以上の電極344を含む。図8Aおよび図8Bに示すように、デバイス802は、支持部材348によって支えられ、バスケット342内で拡張可能な拡張可能な部材856(例えば、バルーン)をさらに含むことができる。拡張可能な部材856は、拡張可能な部材856の外側表面にわたって円周パターンで延在する、1つ以上の電極858を含むことができる。例えば、1つ以上の電極858は、拡張可能な部材856上に配置されたコイル形状を画定することができる。電極858は、他の電極344を介した治療的神経調節の前、その間、および/またはその後に、関心区域における解剖学的構造のマッピングを可能にするための生体電気的特徴(例えば、複素インピーダンス、抵抗など)の検出のために使用することができる。他の実施形態では、電極858は、治療的神経調節のためにエネルギーを適用するように構
成することができる。
【0099】
図8Bに示されるように、電極(複数可)858は、インピーダンスおよび/または他の特性を組織にわたって検出することができる拡張領域を証明する、拡張可能な部材856の実質的な部分にわたって位置付けることができ、したがって、治療部位における組織および神経のより詳細なマッピングを提供する場合がある。拡張可能な部材856はまた、関心の区域において隣接する組織に密接に適合することができ、したがって電極(複数可)858と組織との間の接触を容易にする。他の実施形態では、電極858は、拡張可能な部材856の外側表面上に異なる構成を有することができる。複数の電極358がある場合、個々の電極858を、特定の極性で選択的に活性化することができ、したがって、電極アレイは、マッピング機能のために有利である場合がある、様々な静的構成および動的に変化するシーケンス(例えば、半極性の電流の適用)で構成することができる。
【0100】
動作中、拡張可能な部材856を、電極858の少なくとも一部分を標的部位における組織と接触するように定置するために、膨張または他の方法で拡張することができる(図8B)。電極858は、組織の種々の生体電気的特性(例えば、インピーダンス、活性電位など)を測定して、関心区域における神経構造および/または他の解剖学的構造を検出、位置決めおよび/またはマッピングすることができる。特定の実施形態では、支柱340上の電極344、および/または拡張可能な部材856上の電極858の一部分は、RFエネルギーの刺激パルスを適用することができ、電極858は、結果として生じる神経応答を検出することができる。マッピングの後、拡張可能な部材856を収縮または圧縮することができ(図8A)、支柱340上の電極344は、治療的に有効な神経調節エネルギーを標的部位に適用することができる。例えば、電極344の切除パターンは、拡張可能な部材856上の感知電極858から検出された情報を介して特定された神経位置に基づくことができる。他の実施形態では、拡張可能な部材856は、神経調節の間に拡張されたままでもよく、電極858は、神経調節手技の間に神経活性を検出することができ、または電極858自体を、治療部位へと神経調節エネルギーを適用するように構成することができる。神経調節エネルギーを適用した後、拡張可能な部材856上の電極858は、再び標的部位において組織と接触するように定置され、生体電気的特性(例えば、インピーダンス、抵抗、電圧など)を記録するために使用することができる。神経調節の前、その間、および/またはその後に得られた検出された特性を互いに比較して、神経調節が治療的に有効であったかどうかを決定することができる。そうでない場合、電極344は、再び治療的神経調節エネルギーを同じ治療部位に適用することができ、または活性電極344の構成を、治療的神経調節エネルギーを異なるパターンまたはシークエンスで適用するように変更することができ、および/もしくは評価/変調アセンブリ812を異なる治療部位に移動することができる。
【0101】
図9は、本技術のいくつかの実施形態に従って構成された、神経調節およびマッピングデバイス902(「デバイス902」)の遠位部分の拡大等角図である。デバイス902は、図8Aおよび図8Bを参照して上述したデバイス802の特徴と概して同様の種々の特徴を含むことができる。例えば、デバイス902は、拡張可能なフレームまたはバスケット342を形成する複数の支柱340(任意選択的にその上に配置された電極344を含む)と、膨張媒体(例えば、流体、冷却剤など)を介してバスケット342内で膨張可能な拡張可能な部材856(例えば、バルーン)と、を含む、評価/変調アセンブリ912を含む。図9に示すように、拡張可能な部材856は、円周パターンで拡張可能な部材856の外側表面にわたって延在して、3次元マイクロニードルアレイを画定する1つ以上の突出または貫通電極960を含む。貫通電極960は、拡張可能な部材856が拡張したときに隣接する組織の中へとわずかな深さで貫通する鋭い端部分を有する、非常に小さい針および/または他の構造体とすることができる。例えば、針電極960は、マイクロメートルレベルの先端直径(例えば、1マイクロメートルの直径、2マイクロメートル
の直径、3マイクロメートルの直径、1~20マイクロメートルの直径など)、50~350マイクロメートル(例えば、150マイクロメートル、210マイクロメートル、250マイクロメートルなど)の長さ、ならびに/または白金黒および/もしくは他の好適な材料で被覆された先端を有してもよい。他の実施形態では、突出針電極960は、異なるサイズ、異なる材料組成を有し、ならびに/または隣接する組織への貫通および/もしくは所望の組織パラメータの検出を容易にする、拡張可能な部材856にわたる異なるパターンで(例えば、非対称パターンで)配列される。いくつかの実施形態では、例えば、貫通電極960は、シリコンワイヤの選択的な気液固成長によって製造することができる。さらなる実施形態では、貫通電極960は、デバイス902の異なる部分上(例えば、支柱340に沿った)、および/または評価/変調アセンブリ912とは別個の基板上にマイクロニードルアレイを画定することができる。例えば、貫通電極960は、電極960を組織の中へとわずかな深さまで動かすために、組織と接触するように押すことができる基板(例えば、パドル)上に位置付けることができる。貫通電極960もまた、展開可能および/または収縮可能とすることができる。いくつかの実施形態では、貫通電極960は、高性能オンチップ電子装置構成のために金属酸化物半導体プロセスと一体化することができる。いくつかの実施形態では、支柱340上の電極344および/または評価/変調アセンブリ912上の他の電極は、展開可能で、かつ/または突出する/収縮可能な貫通針電極によって置き換えられてもよい。
【0102】
電極960は、他の電極344を介した治療的神経調節の前、その間、および/またはその後に、関心区域における神経および/もしくは他の解剖学的構造のマッピングを可能にするための生体電気的特徴(例えば、インピーダンス、抵抗など)、ならびに/または他の検出可能なパラメータの検出のために使用することができる。他の実施形態では、貫通電極960は、治療的神経調節のためにエネルギーを適用するように構成することができる。デバイス902は、最小限のレベルの侵襲性しか必要としないが、貫通電極によって覆われる広い面積、その面積にわたる高密度の電極960、および関心の組織の中への貫通により、高い空間分解能および高いレベルの精度を提供することが期待される。いくつかの実施形態では、例えば、出力/入力信号振幅比は、約40Hzから約10KHzで、>90%である場合がある。デバイス902は、慢性の場合も急性の場合でも使用することができる。
【0103】
種々の実施形態では、図8A図9に関して上記で説明されたデバイス802および902の拡張可能な部材856は、手技前または手技後に局所麻酔薬、(例えば、標的部位において神経を刺激または調節するための)神経毒、および/または他の薬剤もしくは化学物質を送達するための薬剤送達機構として使用することができる。拡張可能な部材856は、薬物排除のための複数の開口部または空隙(例えば、拡張可能な部材856内に配置された薬物を溶出する)を有する多孔性材料から作製することができる。拡張可能な部材856はまた、拡張可能な部材856の壁内に装填または埋め込まれた薬物を含むことができる、そのため組織による薬物装填壁に対する圧力は、薬物溶出を引き起こす。上述の神経および解剖学的マッピングシステムおよび方法を、薬物送達の正確度および精度を確実にするために使用することができる。
【0104】
本明細書に開示される治療用または検出用アセンブリおよびデバイスのうちのいずれかは、(治療部位への一時的な送達のために)カテーテルシャフトに接続されるのではなく、半永久的に埋め込まれてもよい。埋め込まれた実施形態については、本明細書に開示されるデバイスおよび方法のうちのいずれかを使用して、適切なインプラント部位を位置決めし、長期埋め込み用にデバイスを位置付け、原位置(in-situ)および実時間で(例えば、神経遮断のための)デバイス機能を確認し、かつ/またはデバイス、疾患、および/もしくは患者の寿命にわたる埋め込み式のデバイスの機能性を確認するためのフィードバックを得てもよい。
【0105】
いくつかの実施形態では、例えば、評価/変調アセンブリ312(図3A)は、長期間にわたって(すなわち、手技中だけでなく)、評価/変調アセンブリ312を継続して使用することを可能にするために、カテーテルシャフト308とは別の埋め込み式のデバイスの一部である。例えば、埋め込み式のデバイスは、治療部位に永久的または半永久的に埋め込まれるマイクロ刺激/変調部(例えば、電極344を有する評価/変調部312)と、埋め込み式のデバイスに結合された気密密封または機械的に密封されたコントローラとを含むことができる。種々の実施形態では、埋め込み式のデバイスは、可変抵抗要素、可変容量要素、1つ以上の電極、および/または標的部位内(例えば、鼻腔内)の組織に対して電極を位置付ける固定または固着要素を含むことができる。
【0106】
種々の実施形態では、埋め込み式のデバイスは、監視および治療用アセンブリならびに治療部位から離間配置された外部ユニットによって、無線で電力を供給される。例えば、外部電源ユニットは、患者によって着用され、監視および治療用アセンブリから離れて患者内に(例えば、皮下に、腔内などに)埋め込まれ、かつ/または別の方法で治療部位から離間配置することができる。デバイスは、さらなる臨床的介入を回避するために電池に依存しない電源を有してもよい。例えば、デバイスは、過渡電荷を充電/受容するために容量結合、および/または電源ユニットに結合するための磁場の発生を使用してもよい。いくつかの実施形態では、磁気共鳴結合は、無線/バッテリーの接続性および結合に関する接続機構であってもよい。
【0107】
埋め込み式のデバイスは、図3A図3Bを参照して上述したシステム300と同様の様式で、鼻腔への副交感神経経路を電気的に変調することによって、鼻炎などの症状を治療するが、長期間にわたって(例えば、手技以外で)神経調節および/または解剖学的マッピングを提供してもよく、既定の感知された誘因(例えば、粘液腺または副交感神経の活動亢進)の開始時に起動されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、調節は、自律神経活性の閾値レベルに応答して、バーストで送達されてもよい。いくつかの実施形態では、調節は、疾患状態に関連する症状状態(例えば、花粉症の誘因、くしゃみ、過度の鼻漏、鼻づまりなどの患者に知覚されるようなアレルギー症状)に応じて、患者によって送達されてもよい。埋め込み式のデバイスによって提供される変調は、副交感神経繊維、交感神経繊維、感覚繊維、アルファ/ベータ/デルタ繊維、C繊維、非絶縁繊維(繊維を有する領域)の外側が絶縁された上記のうちの1つ以上の無酸素端子、および/または他の神経構造を選択的に刺激または変調してもよい。いくつかの実施形態では、埋め込み式のデバイスは、平滑筋細胞、粘膜下腺、杯細胞、鼻粘膜内の層状細胞領域などの特定の細胞または細胞領域を選択的に標的としてもよい。これらの標的部位は、デバイスの埋め込みの前、埋め込み中、および/またはデバイスが埋め込まれている間の神経構造および/または他の組織の解剖学的マッピング中に、特定されてもよい。
【0108】
埋め込み式のデバイスは、上述のように目標物および位置精度のための解剖学的マッピング(神経マッピングを含む)を使用して、送達システム(例えば、カテーテル)を介して標的部位に展開されてもよい。例えば、送達システムは、鼻粘膜上に、部分的に鼻粘膜の内部に、または完全に鼻粘膜の中へと埋め込み式のデバイスを位置決め、および取り出してもよい。送達システムは、送達システムの遠位端から埋め込み式のデバイスを展開するために、ばね付勢、ピストン作動、液圧作動、および/または他の方法で作動されてもよい。埋め込み式のデバイスが鼻壁の表面の下に少なくとも部分的に位置付けられるか、そうでなければ固定されるように構成されているとき、送達システムは、吸引先端部、針先端部、解剖先端部、回転部材/作用を有する格納可能なブレード、および/または軟組織の中への開口部および挿入経路を形成することができる他の鋭利な構造を含んでもよい。
【0109】
インプラント送達システムは、送達システムの遠位端部分(展開およびアクセス構成要素を含む)を送達システムの近位ハンドルに接続する、リンク機構またはカップリングをさらに含んでもよい。送達システムからの埋め込み式のデバイスの展開は、送達システムの埋め込み機構を前進させる、または開始させる、近位ハンドルにおけるスライダ、ピストン、押しボタン、回転要素、および/または他のアクチュエータによって駆動されてもよい。いくつかの実施形態では、送達システムは、挿入深さを制限するために、範囲/ストローク制限機構および/または他の制限機能を有してもよい。いくつかの実施形態では、送達システムは、組織/デバイス界面およびインプラントの進入角形成を制御するための吸引機能を有してもよい。いくつかの実施形態では、送達システムは、インプラントの進入点を選択的に位置付けするための角度付き/円周方向の配向制御を有する。送達システムはまた、神経位置に基づいて、位置精度を微調整するための微小な位置能力も有してもよい。いくつかの実施形態では、埋め込み式のデバイスの遠位先端は、埋め込み式のデバイスが送達状態(展開前に)にあるときに送達システムに電気的に結合され、さらに神経マッピングおよび測定特徴を提供し、および位置精度を向上させるために、独立して、または送達システムの他の特徴と連携して作用する。種々の実施形態では、評価/変調アセンブリ312(図3A)およびデバイス302(図3A)は、埋め込み式のデバイスおよび送達システムに関して上述したものと同様の特徴を含むことができる。
【0110】
本明細書に開示される神経および解剖学的マッピングシステム、デバイス、および方法はまた、鼻腔外の解剖学的構造、および/または任意の末梢神経系急性もしくは慢性疾患状態を含む追加的な疾患状態に関しても使用することができる。本技術は、神経/神経筋変性疾患状態、術中神経腫連続性、ならびに神経再生および変性神経筋障害を、評価および/または監視する(短期間および/または長期間)ために使用されてもよい。本技術を用いて治療可能な他の例示的な疾患状態としては、急性炎症性脱髄性多発ニューロパシー(「AIDP」)、多発性硬化症(「MS」)、急性運動性軸索神経障害(「MAN」)、ランバート-イートン筋無力症候群(「LEMS」)、重症筋無力症(「MG」)、神経筋伝達障害(「NMTD」)、末梢神経生理学的検査(「PNE」)、任意の神経端子機能の神経筋伝達障害、伝達物質の生成、貯蔵、ならびに/または放出、シナプス前後の膜構造および機能、受容体動態、終板電位、伝播筋活動電位、およびその他のものが挙げられる。
【0111】
追加の実施例
本技術のいくつかの態様は、以下の追加の実施例において述べられる。
1.ヒト患者の鼻領域における解剖学的構造および治療的神経調節を検出するためのシステムであって、
近位部分および遠位部分を有するシャフトであって、遠位部分を管腔内でヒト患者の蝶口蓋孔より下の鼻腔内の標的部位に位置決めするように構成される、シャフトと、
シャフトの遠位部分にある評価/変調アセンブリであって、標的神経構造を位置決めするための周波数で、標的部位における組織に刺激エネルギーを放出し、刺激エネルギーに応答して、生体電気的特性を検出するように構成された、複数の電極を含む、評価/変調アセンブリと、
コンソールであって、コントローラによって実行されると、コンソールに、標的神経構造の位置をマッピングさせ、評価/変調アセンブリに、標的神経構造の位置に基づいて、所定の神経調節パターンにおける治療的神経調節エネルギーを適用させる、命令を保有する、コンピュータ可読媒体を有する前記コントローラを含む、コンソールと、を備える、システム。
2.複数の電極の少なくとも一部分が、所定の周波数でRFエネルギーを適用して、標的神経構造のイオン性撹拌を開始させて、節後副交感神経を治療的に変調するように構成される、実施例1に記載のシステム。
3.複数の電極の少なくとも一部分が、所定の周波数でRFエネルギーを適用して、粘
膜下構造のイオン性撹拌を開始させて、節後副交感緊張を治療的に変調するように構成される、実施例1または2に記載のシステム。
4.複数の電極の少なくとも一部分が、所定の周波数でRFエネルギーを適用して、標的神経構造の液胞変性を開始させて、節後副交感神経を治療的に変調するように構成される、実施例1~3のいずれか1つに記載のシステム。
5.
複数の電極が、標的部位における非標的解剖学的構造の生体電気的特性を検出するように構成され、
コンピュータ可読媒体が、コントローラによって実行されると、コンソールに、非標的解剖学的構造の位置をマッピングさせ、評価/変調アセンブリに、所定のパターンにおける神経調節エネルギーを適用させて、非標的解剖学的構造の位置を回避する、命令を保有する、実施例1~4のいずれか1つに記載のシステム。
6.所定の神経調節パターンによって画定される予測された神経調節区域に関して、標的神経構造の位置を視覚化するように構成されたディスプレイをさらに備える、実施例1~5のいずれか1つに記載のシステム。
7.複数の電極が、治療的神経調節の前に、治療的神経調節の間に、および/または治療的神経調節の後に、治療部位における組織の生体電気的特性を検出するように構成される、実施例1~6のいずれか1つに記載のシステム。
8.生体電気的特性が、複素インピーダンス、抵抗、リアクタンス、キャパシタンス、インダクタンス、誘電率、導電率、神経発火電圧、神経発火電流、磁場、および誘導起電力のうちの少なくとも1つを含む、実施例7に記載のシステム。
9.評価/変調アセンブリが、
低プロファイル送達状態と拡張状態との間で変形可能なバスケットを備え、バスケットが拡張状態にあるときに、バスケットが、互いに半径方向に離間配置された複数の支柱を含み、
複数の電極が、支柱上に配置され、
複数の支柱が、バスケットが拡張状態にあるときに、電極のうちの少なくとも2つを標的部位に位置付けるように構成され、
電極が、標的部位に無線周波(RF)エネルギーを適用して、標的部位に近接する副交感神経を治療的に変調するように構成される、実施例1~8のいずれか1つに記載のシステム。
10.評価/変調アセンブリが、
バスケット内で拡張可能な部材であって、低プロファイル送達状態から拡張状態への間で変形可能である、拡張可能な部材をさらに備え、複数の電極の少なくとも一部分が、拡張可能な表面の外側表面上に配置される、実施例9に記載のシステム。
11.バルーンが、バルーンが拡張状態にあるときに、バルーンを通る薬剤の灌流を可能にするように構成された複数の穴を備える、実施例10に記載のシステム。
12.評価/変調アセンブリが、
バスケット内で拡張可能な部材であって、低プロファイル送達状態から拡張状態への間で変形可能である、拡張可能な部材と、
拡張可能な部材上に配置された少なくとも1つの感知電極であって、拡張可能な部材の円周部分の周りに延在するコイル形状を画定する、感知電極と、をさらに備える、実施例9に記載のシステム。
13.評価/変調アセンブリが、
バスケット内で拡張可能な部材であって、低プロファイル送達状態から拡張状態への間で変形可能である、拡張可能な部材と、
拡張可能な部材の外側表面上に配置された複数の貫通電極と、をさらに備え、拡張可能な部材が、拡張可能な部材が拡張状態にあるときに、貫通電極の少なくとも一部分を標的部位における組織の中へ一定の深さに位置付けるように構成される、実施例9に記載のシステム。
14.複数の電極が、拡張可能な部材が拡張状態にあるときに、標的部位において組織の中へと一定の深さで貫通するように構成された貫通電極のアレイを含む、実施例1~13のいずれか1つに記載のシステム。
15.貫通電極が、刺激エネルギーに応答して、筋肉収縮を検出するように構成される、実施例14に記載のシステム。
16.評価/変調アセンブリが、低プロファイル送達状態から拡張状態への間で変化形可能なバルーンを備え、複数の電極の少なくとも一部分が、バルーン上に配置される、実施例1~15のいずれか1つに記載のシステム。
17.複数の電極が、評価/変調アセンブリの選択された領域にわたって治療的神経調節を適用するために、独立して作動され、かつ独立して選択的な極性を割り当てられるように構成される、実施例1~16のいずれか1つに記載のシステム。
18.ヒト患者の鼻領域における解剖学的構造および治療的神経調節を検出するためのシステムであって、
近位部分および遠位部分を有するシャフトであって、シャフトが、遠位部分を管腔内で標的部位に位置決めするように構成され、標的部位が、ヒト患者の蝶口蓋孔に近接するか、または蝶口蓋孔より下にあるかのうちの少なくとも1つである、シャフトと、
シャフトの遠位部分にあり、かつ低プロファイル送達状態と拡張状態との間で変形可能である評価/変調アセンブリであって、評価/変調アセンブリが拡張状態にあるときに、標的部位で組織と接触して定置され、標的部位における組織の生体電気的特性を測定して、標的解剖学的構造および非標的構造を識別および配置するように構成された複数の電極を備える、評価/変調アセンブリと、
コンソールであって、コントローラによって実行されると、コンソールに、標的解剖学的構造および非標的解剖学的構造の位置をマッピングさせ、かつ評価/変調アセンブリに、標的および非標的解剖学的構造の位置に基づいて、所定の神経調節パターンにおける治療的神経調節エネルギーを適用させる、命令を保有する、コンピュータ可読媒体を有する前記コントローラを含む、コンソールと、を備える、システム。
19.命令が、コントローラによって実行されると、評価/変調アセンブリに、標的部位に少なくとも近接した抵抗を決定させる、実施例18に記載のシステム。
20.生体電気的特性が、治療的神経調節の前に、治療的神経調節の間に、および/または治療的神経調節の後に検出され、かつ生体電気的特性が、複素インピーダンス、抵抗、リアクタンス、キャパシタンス、インダクタンス、誘電率、導電率、神経発火電圧、神経発火電流、磁場、および誘導起電力のうちの少なくとも1つを含む、実施例18または19に記載のシステム。
21.複数の電極の少なくとも一部分が、所定の周波数でRFエネルギーを適用して、解剖学的マッピングおよび/または治療的神経調節のために、標的解剖学的構造を作動させるように構成される、実施例18~20のいずれか1つに記載のシステム。
22.評価/変調アセンブリが、
低プロファイル送達状態と拡張状態との間で変形可能なフレームを備え、フレームが拡張状態にあるときに、フレームが、互いに半径方向に離間配置された複数の支柱を含み、
複数の電極が、支柱上に配置され、
複数の支柱が、フレームが拡張状態にあるときに、電極のうちの少なくとも2つを標的部位に位置付けるように構成される、実施例18~21に記載のシステム。
23.評価/変調アセンブリが、低プロファイル送達状態から拡張状態への間で変形可能な拡張可能な部材を備え、複数の電極の少なくとも一部分が、拡張可能な部材上に配置される、実施例18~22に記載のシステム。
24.ヒト患者の鼻領域における神経を治療的に変調する方法であって、
治療デバイスのシャフトの遠位部分にある評価/変調アセンブリを、管腔内で鼻領域内の標的部位へと前進させることであって、標的部位が、副交感神経に近接し、評価/変調アセンブリが、複数の電極を含む、前進させることと、
標的部位へと刺激エネルギーを送達して、標的部位にある神経構造を活性化することで
あって、刺激エネルギーが、特定の標的神経構造を位置付けるために、1つ以上の周波数で放出される、送達することと、
評価/変調アセンブリの複数の電極の少なくとも一部分を介して、標的部位における1つ以上の生体電気的パラメータを検出することと、
検出された生体電気的パラメータに基づいて、標的部位における標的神経構造の相対的存在および位置を特定することと、
標的神経構造の位置に基づいて神経調節パターンを決定して、検出された標的神経構造を遮断することと、を含む、方法。
25.所定の神経調節パターンに基づいて、治療的神経調節エネルギーを送達することをさらに含む、実施例24に記載の方法。
26.治療的神経調節エネルギーを送達することが、所定の周波数でRFエネルギーを送達して、標的神経構造のイオン性撹拌を開始させて、節後副交感神経を治療的に変調することをさらに含む、実施例25に記載の方法。
27.治療的神経調節エネルギーを送達することが、所定の周波数でRFエネルギーを送達して、粘膜下構造のイオン性撹拌を開始させて、節後副交感神経を治療的に変調することをさらに含む、実施例25に記載の方法。
28.治療的神経調節エネルギーを送達することが、所定の周波数でRFエネルギーを送達して、標的神経構造の液胞変性を開始させて、節後副交感神経を治療的に変調することをさらに含む、実施例25に記載の方法。
29.1つ以上の生体電気的パラメータを検出することが、組織の抵抗を検出することを含む、実施例24~28のいずれか1つに記載の方法。
30.1つ以上の生体電気的パラメータを検出することが、神経発火電圧および神経発火電流のうちの少なくとも1つを検出することを含む、実施例24~29のいずれか1つに記載の方法。
31.1つ以上の生体電気的パラメータを検出することが、標的部位における神経磁場を検出することを含む、実施例24~30のいずれか1つに記載の方法。
32.1つ以上の生体電気的パラメータを検出することが、標的部位での誘導起電力を検出することを含む、実施例24~31のいずれか1つに記載の方法。
33.
標的部位における1つ以上の生体電気的パラメータを検出することが、標的部位における非標的解剖学的構造の生体電気的パラメータを検出することを含み、
該方法が、検出された生体電気的パラメータに基づいて、標的部位における非標的構造の位置を特定することをさらに含む、実施例24~32のいずれか1つに記載の方法。
34.所定の神経調節パターンによって画定される予測された神経調節区域に関して、標的神経構造の位置を視覚的にマッピングすることをさらに含む、実施例24~33のいずれか1つに記載の方法。
35.刺激エネルギーを送達する前に、貫通電極の少なくとも一部分が、標的組織の中へと一定の深さ貫通するように、貫通電極のアレイを展開することをさらに含み、貫通電極が、複数の電極の少なくとも一部分であり、評価/変調アセンブリ上に配置される、実施例24~34のいずれか1つに記載の方法。
36.
評価/変調アセンブリの複数の電極の少なくとも一部分を介して、標的部位における1つ以上の生体電気的パラメータを検出することが、貫通電極を介する刺激エネルギーに応答して、筋肉収縮データを検出することを含み、
標的部位における標的神経構造の相対的存在および位置を特定することが、検出された筋肉収縮データに基づいて、標的神経構造の位置をマッピングすることを含む、実施例35に記載の方法。
37.ヒト患者の鼻領域における神経を治療的に変調する方法であって、
治療デバイスのシャフトの遠位部分にある評価/変調アセンブリを、鼻領域内の標的部位へと管腔内で前進させることであって、標的部位が、副交感神経に近接し、評価/変調
アセンブリが、複数の電極を含む、前進させることと、
治療的神経調節の前に、複数の電極の少なくとも一部分を介して、標的部位における1つ以上のベースライン生体電気的パラメータを検出することと、
検出された生体電気的パラメータに基づいて、標的部位内の固有の組織特性を幾何学的に識別して、標的構造および非標的構造の位置を特定することと、
標的構造および非標的構造の位置に基づいて、神経調節パターンを決定することと、
神経調節パターンに従って、治療的神経調節エネルギーを標的構造へと送達することと、を含む、方法。
38.
治療的神経調節エネルギーの送達の間に、評価/変調アセンブリを介して、1つ以上の手技中の生体電気的パラメータを決定することと、
治療的神経調節エネルギーの送達の後に、評価/変調アセンブリを介して、1つ以上の手技後の生体電気的パラメータを決定して、治療的神経調節エネルギーを受けた神経を遮断することにおける治療的神経調節エネルギーの送達の有効性を決定することと、をさらに含む、実施例37に記載の方法。
39.検出された生体電気的パラメータに基づいて、標的部位内の固有の組織特性を幾何学的に識別することが、標的部位における神経発火率を検出することを含む、実施例37または38に記載の方法。
40.神経調節パターンに従って、標的構造へと治療的神経調節エネルギーを送達することが、所定の周波数でRFエネルギーを送達して、標的構造のイオン性撹拌を開始させて、節後副交感神経を治療的に変調することを含む、実施例37~39のいずれか1つに記載の方法。
41.神経調節パターンに従って、標的構造へと治療的神経調節エネルギーを送達することが、所定の周波数でRFエネルギーを送達して、粘膜下構造のイオン性撹拌を開始させて、節後副交感神経を治療的に変調することを含む、実施例37~40のいずれか1つに記載の方法。
42.神経調節パターンに従って、標的構造へと治療的神経調節エネルギーを送達することが、所定の周波数でRFエネルギーを送達して、標的構造の液胞変性を開始させて、節後副交感神経を治療的に変調することを含む、実施例37~41のいずれか1つに記載の方法。
43.ヒト患者の鼻領域における解剖学的構造および治療的神経調節を検出するためのデバイスであって、システムが
近位部分および遠位部分を有するシャフトであって、遠位部分を管腔内でヒト患者の蝶口蓋孔より下の鼻腔内の標的部位に位置決めするように構成される、シャフトと、
シャフトの遠位部分にある評価/変調アセンブリであって、
評価/変調アセンブリが、標的構造および非標的構造を位置決めするための周波数で、標的部位における組織に刺激エネルギーを放出し、刺激エネルギーに応答して、生体電気的特性を検出するように構成された、複数の電極を含み、
生体電気的特性が、標的構造および非標的構造の位置をマッピングするために使用され、
複数の電極の少なくとも一部分が、標的構造および非標的構造の位置に基づいて、所定の神経調節パターンで治療的神経調節エネルギーを適用するように構成される、評価/変調アセンブリと、を備える、デバイス。
44.複数の電極の少なくとも一部分が、所定の周波数でRFエネルギーを適用して、標的構造のイオン性撹拌および/または液胞変性を開始させて、節後副交感神経を治療的に変調するように構成される、実施例43に記載のデバイス。
【0112】
結論
本開示は、網羅的であること、または本技術を本明細書に開示されている正確な形態に限定することを意図していない。本明細書では、例示の目的で特定の実施形態を開示して
いるが、当業者には理解されるように、本技術から逸脱することなく種々の同等の修正が可能である。一部の場合では、本技術の実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを避けるために、周知の構造および機能は、詳細に図示および/または説明されていない。本明細書では、方法のステップを特定の順序で提示する場合があるが、代替的な実施形態では、ステップは別の好適な順序を有してもよい。同様に、特定の実施形態の文脈において開示された本技術の特定の態様は、他の実施形態では組み合わせられる可能性があり、または省かれる可能性がある。さらに、特定の実施形態に関連する利点が、それらの実施形態の文脈で開示されている場合があるが、他の実施形態もそのような利点を示すことができ、本技術の範囲内に入るために、必ずしもすべての実施形態が、そのような利点または本明細書に開示される他の利点を示す必要はない。したがって、この開示および関連技術は、本明細書に明示的に図示および/または記載されていない他の実施形態を包含することができる。
【0113】
本開示を通して、単数形の用語「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含む。同様に、単語「または」が、2つ以上の項目のリストに関して、他の項目から排他的な単一の項目のみを意味するように明確に限定されない限り、その場合、そのようなリストでの「または」の使用は、(a)リスト内のいずれかの単一の項目、(b)リスト内のすべての項目、または(c)リスト内の項目の任意の組み合わせを含むと解釈されるべきである。さらに、「含む」などの用語は、本開示全体を通して、少なくとも列挙された特徴(複数可)を含むことを意味するために使用され、したがって、任意のより多くの数の同じ特徴(複数可)、および/または1つ以上の追加のタイプの特徴は排除されない。本明細書では、「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「垂直方向」、および「水平方向」などの方向の用語を使用して、種々の要素間の関係を表現および明確化してもよい。当然のことながら、そのような用語は絶対的な配向を意味しない。本明細書における「一実施形態」、「実施形態」、または同様の形式化への言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、動作、または特性を本技術の少なくとも一つの実施形態に含むことができることを意味する。したがって、本明細書におけるそのような語句または形式化の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を参照しているわけではない。さらに、種々の特定の特徴、構造、動作、または特性は、1つ以上の実施形態では、任意の好適な様式で組み合わせられてもよい。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト患者の鼻領域における解剖学的構造および治療的神経調節を検出するためのシステムであって、
近位部分および遠位部分を有するシャフトであって、前記遠位部分を管腔内で前記ヒト患者の蝶口蓋孔より下の鼻腔内の標的部位に位置決めするように構成される、シャフトと、
前記シャフトの前記遠位部分にある評価/変調アセンブリであって、標的神経構造を位置決めするための周波数で前記標的部位における組織に刺激エネルギーを放出し、前記刺激エネルギーに応答して生体電気的特性を検出するように構成された、複数の電極を備える、評価/変調アセンブリと、
コンソールであって、コントローラによって実行されると、前記コンソールに、前記標的神経構造の位置をマッピングさせ、前記評価/変調アセンブリに、前記標的神経構造の前記位置に基づいて所定の神経調節パターンにおける治療的神経調節エネルギーを適用させる命令を保有する、コンピュータ可読媒体を有する前記コントローラを含む、コンソールと、を備える、システム。
【外国語明細書】