(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002462
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】レジスト材料及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20221227BHJP
G03F 7/038 20060101ALI20221227BHJP
G03F 7/039 20060101ALI20221227BHJP
C08F 220/38 20060101ALI20221227BHJP
C08F 212/14 20060101ALI20221227BHJP
C08F 220/22 20060101ALI20221227BHJP
G03F 7/20 20060101ALN20221227BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/004 503A
G03F7/004 504
G03F7/038 601
G03F7/039 601
C08F220/38
C08F212/14
C08F220/22
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085852
(22)【出願日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2021102932
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】畠山 潤
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
4J100
【Fターム(参考)】
2H197AA09
2H197AA10
2H197AA50
2H197CA06
2H197CA08
2H197CA09
2H197CA10
2H197CE01
2H197CE10
2H197DB06
2H197GA01
2H197HA03
2H197HA10
2H197JA21
2H197JA22
2H225AC19
2H225AF18P
2H225AF22P
2H225AF23P
2H225AF24P
2H225AF28P
2H225AF29P
2H225AF41P
2H225AF48P
2H225AF54P
2H225AF56P
2H225AF67P
2H225AF68P
2H225AF71P
2H225AF73P
2H225AH14
2H225AH19
2H225AH38
2H225AH39
2H225AJ12
2H225AJ13
2H225AJ47
2H225AJ48
2H225AJ58
2H225AM12P
2H225AM15P
2H225AM22P
2H225AN11P
2H225AN39P
2H225AN41P
2H225AN57P
2H225BA01P
2H225BA26P
2H225CA12
2H225CB13
2H225CC01
2H225CC03
2H225CC15
2H225CC17
4J100AB07P
4J100AB07Q
4J100AL08P
4J100AL08R
4J100BA03P
4J100BA03Q
4J100BA03R
4J100BA11R
4J100BA15R
4J100BA56R
4J100BB18R
4J100BC03P
4J100BC03R
4J100BC09R
4J100CA04
4J100CA05
4J100CA06
4J100DA01
4J100DA04
4J100JA38
(57)【要約】
【課題】酸を触媒とする化学増幅レジスト材料において、ラインパターンのLWRやホールパターンの寸法均一性(CDU)を低減させることが可能で、かつ感度も向上させることができるクエンチャーの開発が望まれている。このためには、酸の拡散による像のぼけを一段と小さくする必要がある。本発明は、ポジ型レジスト材料においてもネガ型レジスト材料においても、高感度かつLWRやCDUが小さいレジスト材料、及びこれを用いるパターン形成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
クエンチャーを含有するレジスト材料であって、前記クエンチャーがマレイミド基に結合するカルボン酸のスルホニウム塩を含有するものであるレジスト材料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クエンチャーを含有するレジスト材料であって、前記クエンチャーがマレイミド基に結合するカルボン酸のスルホニウム塩を含有するものであることを特徴とするレジスト材料。
【請求項2】
前記マレイミド基に結合するカルボン酸のスルホニウム塩が下記一般式(1)で示されるものであることを特徴とする請求項1に記載のレジスト材料。
【化1】
(式中、R
1、R
2は、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基であり、R
1とR
2が結合して環を形成しても良い。Xは単結合、炭素数1~20の2価の連結基であり、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルトン基、ラクタム基、カーボネート基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基を有していても良い。R
3~R
5は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~25の1価炭化水素基である。また、R
3、R
4及びR
5のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成していてもよい。)
【請求項3】
更に、酸を発生する酸発生剤、有機溶剤、界面活性剤から選ばれる一種以上を含むものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレジスト材料。
【請求項4】
前記酸発生剤が、スルホン酸、イミド酸又はメチド酸を発生するものであることを特徴とする請求項3に記載のレジスト材料。
【請求項5】
更に、ベースポリマーを含むものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のレジスト材料。
【請求項6】
前記ベースポリマーが、更に、下記一般式(f1)~(f3)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種を含むものであることを特徴とする請求項5に記載のレジスト材料。
【化2】
(式中、R
Aは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。Z
1は、単結合、フェニレン基、ナフチレン基、-Z
11-、-O-Z
11-、-C(=O)-O-Z
11-又は-C(=O)-NH-Z
11-であり、Z
11は、炭素数1~6のアルカンジイル基、炭素数2~6のアルケンジイル基又はフェニレン基を含んでもよい炭素数1~20の炭化水素基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。Z
2Aは、単結合又はエステル結合である。Z
2Bは、単結合又は炭素数1~18の2価の基であり、エステル結合、エーテル結合、ラクトン環、臭素原子又はヨウ素原子を含んでいてもよい。Z
3は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、トリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基、-Z
31-、-O-Z
31-、-C(=O)-O-Z
31-又は-C(=O)-NH-Z
31-であり、Z
31は、炭素数1~15のアルカンジイル基、炭素数2~15のアルケンジイル基又はフェニレン基を含む基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合、ハロゲン原子又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。Rf
1~Rf
4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、酸素原子又はトリフルオロメチル基であるが、少なくとも1つはフッ素原子であり、Rf
1及びRf
2が酸素原子である場合、Rf
1及びRf
2は、1つの炭素原子に結合してカルボニル基を形成する1つの酸素原子である。R
21~R
28は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~25の1価炭化水素基である。また、R
23、R
24及びR
25のいずれか2つが又はR
26、R
27及びR
28のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成していてもよい。M
-は、非求核性対向イオンである。)
【請求項7】
前記ベースポリマーが、酸不安定基を有する繰り返し単位として、下記一般式(a1)で表される繰り返し単位、又は下記式(a2)で表される繰り返し単位を含むものであることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のレジスト材料。
【化3】
(式中、R
Aは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R
11及びR
12は、酸不安定基である。Y
1は、単結合、フェニレン基若しくはナフチレン基、又はエステル結合及びラクトン環から選ばれる少なくとも1種を含む炭素数1~12の連結基である。Y
2は、単結合、エステル結合又はアミド結合である。Y
3は、単結合、エーテル結合又はエステル結合である。R
13は、フッ素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基又は炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基である。R
14は、単結合又は炭素数1~6のアルカンジイル基であり、その炭素原子の一部がエーテル結合又はエステル結合で置換されていてもよい。aは、1又は2である。bは、0~4の整数である。ただし、1≦a+b≦5である。)
【請求項8】
化学増幅ポジ型レジスト材料であることを特徴とする請求項7に記載のレジスト材料。
【請求項9】
前記ベースポリマーが、酸不安定基を含まないものであることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のレジスト材料。
【請求項10】
化学増幅ネガ型レジスト材料であることを特徴とする請求項9に記載のレジスト材料。
【請求項11】
(1)請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のレジスト材料を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程と、(2)前記レジスト膜を高エネルギー線で露光する工程と、(3)現像液を用いて前記露光したレジスト膜を現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項12】
前記工程(1)の後、前記工程(2)の前に、(1’)前記マレイミド基に結合するカルボン酸のスルホニウム塩が分解しない波長の光を前記レジスト膜全面に露光することを特徴とする請求項11に記載のパターン形成方法。
【請求項13】
前記スルホニウム塩が分解しない波長を、波長300nmより長波長とすることを特徴とする請求項12に記載のパターン形成方法。
【請求項14】
前記高エネルギー線を、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線又は波長3~15nmの極端紫外線とすることを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト材料及びパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が急速に進んでいる。5Gの高速通信と人工知能(artificial intelligence、AI)の普及が進み、これを処理するための高性能デバイスが必要とされているためである。最先端の微細化技術としては、波長13.5nmの極端紫外線(EUV)リソグラフィーによる5nmノードのデバイスの量産が行われている。更には、次世代の3nmノード、次次世代の2nmノードデバイスにおいてもEUVリソグラフィーを用いた検討が進められている。
【0003】
微細化の進行とともに酸の拡散による像のぼけが問題になっている。寸法サイズ45nm以降の微細パターンでの解像性を確保するためには、従来提案されている溶解コントラストの向上だけでなく、酸拡散の制御が重要であることが提案されている(非特許文献1)。しかしながら、化学増幅レジスト材料は、酸の拡散によって感度とコントラストを上げているため、ポストエクスポージャーベーク(PEB)温度を下げたり、時間を短くしたりして酸拡散を極限まで抑えようとすると、感度とコントラストが著しく低下する。
【0004】
感度、解像度及びエッジラフネスのトライアングルトレードオフの関係が示されている。解像度を向上させるためには酸拡散を抑えることが必要であるが、酸拡散距離が短くなると感度が低下する。
【0005】
バルキーな酸が発生する酸発生剤を添加して酸拡散を抑えることは有効である。そこで、重合性不飽和結合を有するオニウム塩に由来する繰り返し単位をポリマーに含ませることが提案されている。このとき、ポリマーは、酸発生剤としても機能する(ポリマーバウンド型酸発生剤)。特許文献1には、特定のスルホン酸を発生する重合性不飽和結合を有するスルホニウム塩やヨードニウム塩が提案されている。特許文献2には、スルホン酸が主鎖に直結したスルホニウム塩が提案されている。
【0006】
ArFレジスト材料用の(メタ)アクリレートポリマーに用いられる酸不安定基は、α位がフッ素で置換されたスルホン酸が発生する光酸発生剤を使うことによって脱保護反応が進行するが、α位がフッ素で置換されていないスルホン酸やカルボン酸が発生する酸発生剤では脱保護反応が進行しない。α位がフッ素で置換されたスルホン酸が発生するスルホニウム塩やヨードニウム塩に、α位がフッ素で置換されていないスルホン酸が発生するスルホニウム塩やヨードニウム塩を混合すると、α位がフッ素で置換されていないスルホン酸が発生するスルホニウム塩やヨードニウム塩は、α位がフッ素で置換されたスルホン酸とイオン交換を起こす。光によって発生したα位がフッ素で置換されたスルホン酸は、イオン交換によってスルホニウム塩やヨードニウム塩に逆戻りするために、α位がフッ素で置換されていないスルホン酸やカルボン酸のスルホニウム塩やヨードニウム塩はクエンチャーとして機能する。カルボン酸が発生するスルホニウム塩やヨードニウム塩をクエンチャーとして用いるレジスト組成物が提案されている(特許文献3)。
【0007】
1分子内にスルホニウム塩を2つ有するビススルホニウム塩の酸発生剤が提案されている(特許文献3~5)。ビススルホニウム塩から発生する酸は拡散が短く好適であるが、ビススルホニウム塩はレジスト溶剤への溶解性に乏しいためにこれが凝集しやすく、パターン欠陥やエッジラフネス(LWR)が大きくなる欠点を潜在的に有している。
【0008】
マレイミド化合物の光反応が報告されている(非特許文献2)。ここで、マレイミド基の二重結合に置換基を有する化合物は2量化反応を起こし、置換基を有さないマレイミド化合物は2量化反応に加えて重合を引き起こすことや、マレイミドからのラジカル発生とこれによるアクリレートの重合が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006-045311号公報
【特許文献2】特開2006-178317号公報
【特許文献3】特開2015-206932号公報
【特許文献4】特開2008-013551号公報
【特許文献5】国際公開第2011/048919号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】SPIE Vol. 6520 65203L-1 (2007)
【非特許文献2】東亞合成研究年報 TREND 2002 第5号 p11
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
酸を触媒とする化学増幅レジスト材料において、ラインパターンのLWRやホールパターンの寸法均一性(CDU)を低減させることが可能で、かつ感度も向上させることができるクエンチャーの開発が望まれている。このためには、酸の拡散による像のぼけを一段と小さくする必要がある。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ポジ型レジスト材料においてもネガ型レジスト材料においても、高感度かつCDUが小さいレジスト材料、及びこれを用いるパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明は、クエンチャーを含有するレジスト材料であって、前記クエンチャーがマレイミド基に結合するカルボン酸のスルホニウム塩を含有するものであるレジスト材料を提供する。
【0014】
このようなクエンチャーを含有する場合、ラインパターンのLWRやホールパターンのCDUを低減させることが可能で、かつ感度も向上させることができる。
【0015】
前記マレイミド基に結合するカルボン酸のスルホニウム塩が下記一般式(1)で示されるものであることが好ましい。
【化1】
(式中、R
1、R
2は、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基であり、R
1とR
2が結合して環を形成しても良い。Xは単結合、炭素数1~20の2価の連結基であり、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルトン基、ラクタム基、カーボネート基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基を有していても良い。R
3~R
5は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~25の1価炭化水素基である。また、R
3、R
4及びR
5のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成していてもよい。)
【0016】
このような構造のクエンチャーであれば、より確実にラインパターンのLWRやホールパターンのCDUを低減させることが可能で、かつ感度も向上させることができる。
【0017】
更に、酸を発生する酸発生剤、有機溶剤、界面活性剤から選ばれる一種以上を含むものであることが好ましい。
【0018】
このようなものであれば、より良好なレジスト材料となる。
【0019】
前記酸発生剤が、スルホン酸、イミド酸又はメチド酸を発生するものであることが好ましい。
【0020】
このようなものであれば、上記マレイミド基に結合するカルボン酸のスルホニウム塩をより確実にクエンチャーとして機能させることができる。
【0021】
更に、ベースポリマーを含むものであることが好ましい。
【0022】
前記ベースポリマーが、更に、下記一般式(f1)~(f3)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種を含むものであることが好ましい。
【化2】
(式中、R
Aは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。Z
1は、単結合、フェニレン基、ナフチレン基、-Z
11-、-O-Z
11-、-C(=O)-O-Z
11-又は-C(=O)-NH-Z
11-であり、Z
11は、炭素数1~6のアルカンジイル基、炭素数2~6のアルケンジイル基又はフェニレン基を含んでもよい炭素数1~20の炭化水素基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。Z
2Aは、単結合又はエステル結合である。Z
2Bは、単結合又は炭素数1~18の2価の基であり、エステル結合、エーテル結合、ラクトン環、臭素原子又はヨウ素原子を含んでいてもよい。Z
3は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、トリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基、-Z
31-、-O-Z
31-、-C(=O)-O-Z
31-又は-C(=O)-NH-Z
31-であり、Z
31は、炭素数1~15のアルカンジイル基、炭素数2~15のアルケンジイル基又はフェニレン基を含む基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合、ハロゲン原子又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。Rf
1~Rf
4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、酸素原子又はトリフルオロメチル基であるが、少なくとも1つはフッ素原子であり、Rf
1及びRf
2が酸素原子である場合、Rf
1及びRf
2は、1つの炭素原子に結合してカルボニル基を形成する1つの酸素原子である。R
21~R
28は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~25の1価炭化水素基である。また、R
23、R
24及びR
25のいずれか2つが又はR
26、R
27及びR
28のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成していてもよい。M
-は、非求核性対向イオンである。)
【0023】
ベースポリマーがこのような繰り返し単位を含むことで、この繰り返し単位は酸発生剤として機能することができる。
【0024】
更に前記ベースポリマーが、酸不安定基を有する繰り返し単位として、下記一般式(a1)で表される繰り返し単位、又は下記式(a2)で表される繰り返し単位を含むものであることが好ましい。
【化3】
(式中、R
Aは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R
11及びR
12は、酸不安定基である。Y
1は、単結合、フェニレン基若しくはナフチレン基、又はエステル結合及びラクトン環から選ばれる少なくとも1種を含む炭素数1~12の連結基である。Y
2は、単結合、エステル結合又はアミド結合である。Y
3は、単結合、エーテル結合又はエステル結合である。R
13は、フッ素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基又は炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基である。R
14は、単結合又は炭素数1~6のアルカンジイル基であり、その炭素原子の一部がエーテル結合又はエステル結合で置換されていてもよい。aは、1又は2である。bは、0~4の整数である。ただし、1≦a+b≦5である。)
【0025】
上記のベースポリマーが酸不安定基を有する繰り返し単位を含む場合、化学増幅ポジ型レジスト材料であることが好ましい。
【0026】
このようにベースポリマーが酸不安定基を有する繰り返し単位を含む場合、ポジ型のレジスト材料として良好に機能する。
【0027】
前記ベースポリマーが、酸不安定基を含まないものであることが好ましい。
【0028】
上記のベースポリマーが酸不安定基を有する繰り返し単位を含まない場合、化学増幅ネガ型レジスト材料であることが好ましい。
【0029】
このようにベースポリマーが酸不安定基を有する繰り返し単位を含まない場合、ネガ型のレジスト材料として良好に機能する。
【0030】
また、本発明は、(1)上記のレジスト材料を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程と、(2)前記レジスト膜を高エネルギー線で露光する工程と、(3)現像液を用いて前記露光したレジスト膜を現像する工程とを含むパターン形成方法を提供する。
【0031】
このようなパターン形成方法であれば、目的のパターンが良好に形成される。
【0032】
前記工程(1)の後、前記工程(2)の前に、(1’)前記マレイミド基に結合するカルボン酸のスルホニウム塩が分解しない波長の光を前記レジスト膜全面に露光することが好ましい。
【0033】
前記スルホニウム塩が分解しない波長を、波長300nmより長波長とすることが好ましい。
【0034】
レジスト膜全面にこのような光で露光すると、マレイミド基が重合及び/又はカップリングすることでより酸の拡散を防ぐことができる。
【0035】
前記高エネルギー線を、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線又は波長3~15nmの極端紫外線とすることが好ましい。
【0036】
このような高エネルギー線を用いることで、目的のパターンが良好に形成される。
【発明の効果】
【0037】
上記マレイミド基に結合するカルボン酸のスルホニウム塩は、酸拡散を抑えるクエンチャーである。これによって酸が低拡散な特性となり、LWRやCDUを小さくすることが可能で、かつ感度も向上させることができる。これらによって、低LWR、低CDUかつ高感度のレジスト材料を構築することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
酸を触媒とする化学増幅レジスト材料において、ラインパターンのLWRやホールパターンの寸法均一性(CDU)を低減させることが可能で、かつ感度も向上させることができるクエンチャーの開発が望まれていた。
【0039】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、マレイミド基に結合するカルボン酸のスルホニウム塩を添加するレジスト材料は、酸拡散を抑えるためのクエンチャーであり、マレイミド基の光照射によるカップリング反応により分子量が増大することによって酸拡散を抑える効果が高いことを見出した。それ故に低酸拡散なことにより、LWR及びCDUが小さく解像性に優れ、プロセスマージンが広いレジスト材料を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0040】
即ち、本発明は、
クエンチャーを含有するレジスト材料であって、前記クエンチャーがマレイミド基に結合するカルボン酸のスルホニウム塩を含有するものであるレジスト材料である。
【0041】
以下、本発明について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
[レジスト材料]
本発明のレジスト材料は、マレイミド基に結合するカルボン酸のスルホニウム塩のクエンチャーを含む。
【0043】
[マレイミド基に結合するカルボン酸のスルホニウム塩]
上記マレイミド基に結合するカルボン酸のスルホニウム塩は、下記一般式(1)で表されるものであることが好ましい。
【化4】
(式中、R
1、R
2は、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基であり、R
1とR
2が結合して環を形成しても良い。Xは単結合、炭素数1~20の2価の連結基であり、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルトン基、ラクタム基、カーボネート基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基を有していても良い。R
3~R
5は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~25の1価炭化水素基である。また、R
3、R
4及びR
5のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成していてもよい。)
【0044】
上記一般式(1)で表されるマレイミド基に結合するカルボン酸アニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
上記一般式(1)で表されるスルホニウム塩のカチオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化13】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
上記一般式(1)で表される化合物は、例えば、トリフェニルスルホニウムの塩酸塩や炭酸塩を、マレイミド基に結合するカルボン酸でイオン交換することにより合成することができる。
【0073】
本発明のレジスト材料中、上記マレイミド基に結合するカルボン酸のスルホニウム塩の含有量は、後述するベースポリマー100質量部に対し、0.001~50質量部が好ましく、0.01~40質量部がより好ましく、1~10質量部が更に好ましい。上記マレイミド基に結合するカルボン酸のスルホニウム塩は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0074】
[ベースポリマー]
本発明のレジスト材料に含まれるベースポリマーは、ポジ型レジスト材料の場合、酸不安定基を含む繰り返し単位を含むことが好ましい。酸不安定基を含む繰り返し単位としては、下記一般式(a1)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位a1ともいう。)、又は下記一般式(a2)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位a2ともいう。)が好ましい。
【化32】
【0075】
上記一般式(a1)及び(a2)中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R11及びR12は、酸不安定基である。Y1は、単結合、フェニレン基若しくはナフチレン基、又はエステル結合及びラクトン環から選ばれる少なくとも1種を含む炭素数1~12の連結基である。Y2は、単結合、エステル結合又はアミド結合である。Y3は、単結合、エーテル結合又はエステル結合である。R13は、フッ素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基又は炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基である。R14は、単結合又は炭素数1~6のアルカンジイル基であり、その炭素原子の一部がエーテル結合又はエステル結合で置換されていてもよい。aは、1又は2である。bは、0~4の整数である。ただし、1≦a+b≦5である。
【0076】
なお、上記ベースポリマーが繰り返し単位a1及び繰り返し単位a2を共に含む場合、R11及びR12は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0077】
繰り返し単位a1を与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
A及びR
11は、上記と同じである。
【化33】
【0078】
繰り返し単位a2を与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
A及びR
12は、上記と同じである。
【化34】
【0079】
上記一般式(a1)及び(a2)中、R11及びR12で表される酸不安定基としては、例えば、特開2013-80033号公報、特開2013-83821号公報に記載のものが挙げられる。
【0080】
典型的には、上記酸不安定基としては、下記式(AL-1)~(AL-3)で表されるものが挙げられる。
【化35】
【0081】
上記一般式(AL-1)及び(AL-2)中、RL1及びRL2は、それぞれ独立に、炭素数1~40の1価炭化水素基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。上記1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、炭素数1~40のアルキル基が好ましく、炭素数1~20のアルキル基がより好ましい。上記一般式(AL-1)中、aは、0~10の整数であり、1~5の整数が好ましい。
【0082】
上記一般式(AL-2)中、RL3及びRL4は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~20の1価炭化水素基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。上記1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、炭素数1~20のアルキル基が好ましい。また、RL2、RL3及びRL4のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3~20の環を形成してもよい。上記環としては、炭素数4~16の環が好ましく、特に脂環が好ましい。
【0083】
上記一般式(AL-3)中、RL5、RL6及びRL7は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価炭化水素基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。上記1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、炭素数1~20のアルキル基が好ましい。また、RL5、RL6及びRL7のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3~20の環を形成してもよい。上記環としては、炭素数4~16の環が好ましく、特に脂環が好ましい。
【0084】
上記ベースポリマーは、更に、密着性基としてフェノール性ヒドロキシ基を含む繰り返し単位bを含んでもよい。繰り返し単位bを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
Aは、上記と同じである。
【化36】
【0085】
【0086】
【0087】
上記ベースポリマーは、更に、他の密着性基として、フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基、ラクトン環、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、シアノ基、又はカルボキシ基を含む繰り返し単位cを含んでもよい。繰り返し単位cを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RAは、上記と同じである。
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
上記ベースポリマーは、更に、インデン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、アセナフチレン、クロモン、クマリン、ノルボルナジエン又はこれらの誘導体に由来する繰り返し単位dを含んでもよい。繰り返し単位dを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化47】
【0097】
上記ベースポリマーは、更に、スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルピレン、メチレンインダン、ビニルピリジン又はビニルカルバゾールに由来する繰り返し単位eを含んでもよい。
【0098】
上記ベースポリマーは、更に、重合性不飽和結合を含むオニウム塩に由来する繰り返し単位fを含んでもよい。好ましい繰り返し単位fとしては、下記一般式(f1)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位f1ともいう。)、下記一般式(f2)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位f2ともいう。)及び下記一般式(f3)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位f3ともいう。)が挙げられる。なお、繰り返し単位f1~f3は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【化48】
【0099】
上記一般式(f1)~(f3)中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。Z1は、単結合、フェニレン基、ナフチレン基、-Z11-、-O-Z11-、-C(=O)-O-Z11-又は-C(=O)-NH-Z11-であり、Z11は、炭素数1~6のアルカンジイル基、炭素数2~6のアルケンジイル基又はフェニレン基を含んでもよい炭素数1~20の炭化水素基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。Z2Aは、単結合又はエステル結合である。Z2Bは、単結合又は炭素数1~18の2価の基であり、エステル結合、エーテル結合、ラクトン環、臭素原子又はヨウ素原子を含んでいてもよい。Z3は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、トリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基、-Z31-、-O-Z31-、-C(=O)-O-Z31-又は-C(=O)-NH-Z31-であり、Z31は、炭素数1~15のアルカンジイル基、炭素数2~15のアルケンジイル基又はフェニレン基を含む基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合、ハロゲン原子又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。Rf1~Rf4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、酸素原子又はトリフルオロメチル基であるが、少なくとも1つはフッ素原子であり、Rf1及びRf2が酸素原子である場合、Rf1及びRf2は、1つの炭素原子に結合してカルボニル基を形成する1つの酸素原子である。
【0100】
上記一般式(f1)~(f3)中、R21~R28は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~25の1価炭化水素基である。上記1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、炭素数1~10のアルキル基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数2~10のアルコキシカルボニル基、又は炭素数2~10のアシロキシ基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子の一部が、カルボニル基、エーテル結合又はエステル結合で置換されていてもよい。また、R23、R24及びR25のいずれか2つが又はR26、R27及びR28のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成していてもよい。
【0101】
上記一般式(f1)中、M-は、非求核性対向イオンである。上記非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレートイオン、1,1,1-トリフルオロエタンスルホネートイオン、ノナフルオロブタンスルホネートイオン等のフルオロアルキルスルホネートイオン、トシレートイオン、ベンゼンスルホネートイオン、4-フルオロベンゼンスルホネートイオン、1,2,3,4,5-ペンタフルオロベンゼンスルホネートイオン等のアリールスルホネートイオン、メシレートイオン、ブタンスルホネートイオン等のアルキルスルホネートイオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドイオン、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミドイオン等のイミド酸イオン、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドイオン、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドイオン等のメチド酸イオンが挙げられる。
【0102】
上記非求核性対向イオンとしては、更に、下記一般式(f1-1)で表されるα位がフッ素で置換されたスルホン酸イオン、下記一般式(f1-2)で表されるα位がフッ素で置換され、β位がトリフルオロメチル基で置換されたスルホン酸イオン等が挙げられる。
【化49】
【0103】
上記一般式(f1-1)中、R31は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、又は炭素数6~20のアリール基であり、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、ラクトン環又はフッ素原子を含んでいてもよい。上記アルキル基及びアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
【0104】
上記一般式(f1-2)中、R32は、水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~20のアシル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数6~20のアリールオキシ基であり、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基又はラクトン環を含んでいてもよい。上記アルキル基、アシル基及びアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
【0105】
繰り返し単位f1を与えるモノマーのカチオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
Aは、上記と同じである。
【化50】
【0106】
繰り返し単位f2を与えるモノマーのアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
Aは、上記と同じである。
【化51】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
繰り返し単位f3を与えるモノマーのアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
Aは、上記と同じである。
【化63】
【0119】
【0120】
【0121】
繰り返し単位f1~f3は、酸発生剤の機能を有する。ポリマー主鎖に酸発生剤を結合させることによって酸拡散を小さくし、酸拡散のぼけによる解像度の低下を防止できる。また、酸発生剤が均一に分散することによってエッジラフネスや寸法バラツキが改善される。なお、繰り返し単位f1~f3を含むベースポリマーを用いる場合、後述する添加型酸発生剤の配合を省略し得る。
【0122】
繰り返し単位f2、f3のスルホニウム塩のカチオンは、一般式(1)記載のスルホニウム塩のカチオンとして上述に挙げたものを用いることが出来る。
【0123】
上記ベースポリマーにおいて、繰り返し単位a1、a2、b、c、d、e、f1、f2、f3の含有比率は、0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0≦a1+a2≦0.9、0≦b≦0.9、0≦c≦0.9、0≦d≦0.5、0≦e≦0.5、0≦f1≦0.5、0≦f2≦0.5、0≦f3≦0.5、0≦f1+f2+f3≦0.5が好ましく、0≦a1≦0.8、0≦a2≦0.8、0≦a1+a2≦0.8、0≦b≦0.8、0≦c≦0.8、0≦d≦0.4、0≦e≦0.4、0≦f1≦0.4、0≦f2≦0.4、0≦f3≦0.4、0≦f1+f2+f3≦0.4がより好ましく、0≦a1≦0.7、0≦a2≦0.7、0≦a1+a2≦0.7、0≦b≦0.7、0≦c≦0.7、0≦d≦0.3、0≦e≦0.3、0≦f1≦0.3、0≦f2≦0.3、0≦f3≦0.3、0≦f1+f2+f3≦0.3が更に好ましい。ただし、a1+a2+b+c+d+e+f1+f2+f3=1.0である。
【0124】
上記ベースポリマーを合成するには、例えば、上述した繰り返し単位を与えるモノマーを、有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を加えて加熱し、重合を行えばよい。
【0125】
重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。重合開始剤としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が挙げられる。重合時の温度は、好ましくは50~80℃である。反応時間は、好ましくは2~100時間、より好ましくは5~20時間である。
【0126】
ヒドロキシ基を含むモノマーを共重合する場合、重合時にヒドロキシ基をエトキシエトキシ基等の酸によって脱保護しやすいアセタール基で置換しておいて重合後に弱酸と水によって脱保護を行ってもよいし、アセチル基、ホルミル基、ピバロイル基等で置換しておいて重合後にアルカリ加水分解を行ってもよい。
【0127】
ヒドロキシスチレンやヒドロキシビニルナフタレンを共重合する場合は、ヒドロキシスチレンやヒドロキシビニルナフタレンのかわりにアセトキシスチレンやアセトキシビニルナフタレンを用い、重合後上記アルカリ加水分解によってアセトキシ基を脱保護してヒドロキシスチレンやヒドロキシビニルナフタレンにしてもよい。
【0128】
アルカリ加水分解時の塩基としては、アンモニア水、トリエチルアミン等が使用できる。また、反応温度は、好ましくは-20~100℃、より好ましくは0~60℃である。反応時間は、好ましくは0.2~100時間、より好ましくは0.5~20時間である。
【0129】
上記ベースポリマーは、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が、好ましくは1,000~500,000、より好ましくは2,000~30,000、更に好ましくは3,000~10,000である。Mwが1,000以上であるとレジスト材料が耐熱性に優れたものとなり、500,000以下であるとアルカリ溶解性が良好で、パターン形成後に裾引き現象が生じにくくなる。
【0130】
更に、上記ベースポリマーにおいて分子量分布(Mw/Mn)が狭い場合は、低分子量や高分子量のポリマーが存在しないために、露光後、パターン上に異物が見られることがなく、パターンの形状が悪化したりするおそれがない。パターンルールが微細化するに従って、MwやMw/Mnの影響が大きくなりやすいことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、上記ベースポリマーのMw/Mnは、1.0~2.0、特に1.0~1.5と狭分散であることが好ましい。
【0131】
上記ベースポリマーは、組成比率、Mw、Mw/Mnが異なる2つ以上のポリマーを含んでもよい。
【0132】
[酸発生剤]
本発明のレジスト材料は、強酸を発生する酸発生剤(以下、添加型酸発生剤ともいう。)を含んでもよい。ここでいう強酸とは、化学増幅ポジ型レジスト材料の場合はベースポリマーの酸不安定基の脱保護反応を起こすのに十分な酸性度を有している化合物、化学増幅ネガ型レジスト材料の場合は酸による極性変化反応又は架橋反応を起こすのに十分な酸性度を有している化合物を意味する。
【0133】
このような酸発生剤を含むことで、上述したマレイミド基に結合するカルボン酸のスルホニウム塩がクエンチャーとして機能し、本発明のレジスト材料が、化学増幅ポジ型レジスト材料又は化学増幅ネガ型レジスト材料として機能することができる。
【0134】
上記酸発生剤としては、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)が挙げられる。光酸発生剤としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいかなるものでも構わないが、スルホン酸、イミド酸又はメチド酸を発生するものが好ましい。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N-スルホニルオキシイミド、オキシム-O-スルホネート型酸発生剤等がある。光酸発生剤の具体例としては、特開2008-111103号公報の段落[0122]~[0142]に記載されているものが挙げられる。
【0135】
また、光酸発生剤として、下記一般式(1-1)で表されるスルホニウム塩や、下記一般式(1-2)で表されるヨードニウム塩も好適に使用できる。
【化66】
【0136】
上記一般式(1-1)及び(1-2)中、R101、R102、R103、R104及びR105は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基である。また、R101、R102及びR103のうちのいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。上記1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、上記一般式(f1)~(f3)中のR21~R28の説明において上述したものと同様のものが挙げられる。
【0137】
上記一般式(1-1)で表されるスルホニウム塩のカチオンとしては、一般式(1)記載のスルホニウム塩のカチオンとして上述に挙げたものを用いることが出来る。
【0138】
上記一般式(1-2)で表されるヨードニウム塩のカチオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化67】
【0139】
上記一般式(1-1)及び(1-2)中、X
-は、下記一般式(1A)~(1D)から選ばれるアニオンである。
【化68】
【0140】
上記一般式(1A)中、Rfaは、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40の1価炭化水素基である。上記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、後述するR107の説明において述べるものと同様のものが挙げられる。
【0141】
上記一般式(1A)で表されるアニオンとしては、下記一般式(1A’)で表されるものが好ましい。
【化69】
【0142】
上記一般式(1A’)中、R106は、水素原子又はトリフルオロメチル基であり、好ましくはトリフルオロメチル基である。R107は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~38の1価炭化水素基を表す。上記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が好ましく、酸素原子がより好ましい。上記1価炭化水素基としては、微細パターン形成において高解像性を得る点から、特に炭素数6~30であるものが好ましい。
【0143】
上記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、イコサニル基等の直鎖状又は分岐状のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、1-アダマンチルメチル基、ノルボルニル基、ノルボルニルメチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、テトラシクロドデカニルメチル基、ジシクロヘキシルメチル基等の1価飽和環状脂肪族炭化水素基;アリル基、3-シクロヘキセニル基等の1価不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、ジフェニルメチル基等のアラルキル基等が挙げられる。また、ヘテロ原子を含む1価炭化水素基として、テトラヒドロフリル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メチルチオメチル基、アセトアミドメチル基、トリフルオロエチル基、(2-メトキシエトキシ)メチル基、アセトキシメチル基、2-カルボキシ-1-シクロヘキシル基、2-オキソプロピル基、4-オキソ-1-アダマンチル基、3-オキソシクロヘキシル基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、あるいはこれらの基の炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート基、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。
【0144】
上記一般式(1A’)で表されるアニオンを含むスルホニウム塩の合成に関しては、特開2007-145797号公報、特開2008-106045号公報、特開2009-7327号公報、特開2009-258695号公報等に詳しい。また、特開2010-215608号公報、特開2012-41320号公報、特開2012-106986号公報、特開2012-153644号公報等に記載のスルホニウム塩も好適に用いられる。
【0145】
上記一般式(1A)で表されるアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、Acはアセチル基である。
【化70】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
上記一般式(1B)中、Rfb1及びRfb2は、それぞれ独立に、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40の1価炭化水素基を表す。上記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、上記R107の説明において挙げたものと同様のものが挙げられる。Rfb1及びRfb2として好ましくは、フッ素原子又は炭素数1~4の直鎖状フッ素化アルキル基である。また、Rfb1とRfb2とは、互いに結合してこれらが結合する基(-CF2-SO2-N--SO2-CF2-)と共に環を形成してもよく、この場合、Rfb1とRfb2とが互いに結合して得られる基は、フッ素化エチレン基又はフッ素化プロピレン基であることが好ましい。
【0150】
上記一般式(1C)中、Rfc1、Rfc2及びRfc3は、それぞれ独立に、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40の1価炭化水素基である。上記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、上記R107の説明において挙げたものと同様のものが挙げられる。Rfc1、Rfc2及びRfc3として好ましくは、フッ素原子又は炭素数1~4の直鎖状フッ素化アルキル基である。また、Rfc1とRfc2とは、互いに結合してこれらが結合する基(-CF2-SO2-C--SO2-CF2-)と共に環を形成してもよく、この場合、Rfc1とRfc2とが互いに結合して得られる基は、フッ素化エチレン基又はフッ素化プロピレン基であることが好ましい。
【0151】
上記一般式(1D)中、Rfdは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40の1価炭化水素基である。上記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、上記R107の説明において挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0152】
上記一般式(1D)で表されるアニオンを含むスルホニウム塩の合成に関しては、特開2010-215608号公報及び特開2014-133723号公報に詳しい。
【0153】
上記一般式(1D)で表されるアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化74】
【0154】
なお、上記一般式(1D)で表されるアニオンを含む光酸発生剤は、スルホ基のα位にフッ素は有していないが、β位に2つのトリフルオロメチル基を有していることに起因して、レジストポリマー中の酸不安定基を切断するには十分な酸性度を有している。そのため、光酸発生剤として使用することができる。
【0155】
光酸発生剤として、下記一般式(2)で表されるものも好適に使用できる。
【化75】
【0156】
上記一般式(2)中、R201及びR202は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~30の1価炭化水素基である。R203は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~30の2価炭化水素基である。また、R201、R202及びR203のうちのいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。LAは、単結合、エーテル結合、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の2価炭化水素基である。XA、XB、XC及びXDは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。ただし、XA、XB、XC及びXDのうち少なくとも1つは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。kは、0~3の整数である。
【0157】
上記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、2-エチルヘキシル基等の直鎖状又は分岐状のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、ノルボルニル基、オキサノルボルニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、アダマンチル基等の1価飽和環状炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等のアリール基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート基、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。
【0158】
上記2価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、トリデカン-1,13-ジイル基、テトラデカン-1,14-ジイル基、ペンタデカン-1,15-ジイル基、ヘキサデカン-1,16-ジイル基、ヘプタデカン-1,17-ジイル基等の直鎖状又は分岐状のアルカンジイル基;シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、ノルボルナンジイル基、アダマンタンジイル基等の2価飽和環状炭化水素基;フェニレン基、ナフチレン基等の2価不飽和環状炭化水素基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基等のアルキル基で置換されていてもよく、これらの基の水素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、又はこれらの基の炭素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート基、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。上記ヘテロ原子としては、酸素原子が好ましい。
【0159】
上記一般式(2)で表される光酸発生剤としては、下記一般式(2’)で表されるものが好ましい。
【化76】
【0160】
上記一般式(2’)中、LAは、上記と同じ。RHFは、水素原子又はトリフルオロメチル基であり、好ましくはトリフルオロメチル基である。R301、R302及びR303は、それぞれ独立に、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基である。上記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、上記R107の説明において挙げたものと同様のものが挙げられる。x及びyは、それぞれ独立に、0~5の整数であり、zは、0~4の整数である。
【0161】
上記一般式(2)で表される光酸発生剤としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
HFは上記と同じであり、Meはメチル基である。
【化77】
【0162】
【0163】
【0164】
上記光酸発生剤のうち、式(1A’)又は(1D)で表されるアニオンを含むものは、酸拡散が小さく、かつレジスト溶剤への溶解性にも優れており、特に好ましい。また、式(2’)で表されるアニオンを含むものは、酸拡散が極めて小さく、特に好ましい。
【0165】
本発明のレジスト材料が添加型酸発生剤を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0.1~50質量部が好ましく、1~40質量部がより好ましい。上記ベースポリマーが繰り返し単位fを含むことで、及び/又は添加型酸発生剤を含むことで、本発明のレジスト材料は、化学増幅レジスト材料として機能することができる。
【0166】
[有機溶剤]
本発明のレジスト材料には、有機溶剤を配合してもよい。上記有機溶剤としては、上述したマレイミド基に結合するカルボン酸のスルホニウム塩のクエンチャー、及び含まれる場合にはその他の成分が溶解可能なものであれば、特に限定されない。このような有機溶剤としては、特開2008-111103号公報の段落[0144]~[0145]に記載の、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル-2-n-ペンチルケトン等のケトン類、3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸tert-ブチル、プロピレングリコールモノtert-ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ-ブチロラクトン等のラクトン類、及びこれらの混合溶剤が挙げられる。
【0167】
本発明のレジスト材料において、上記有機溶剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、100~10,000質量部が好ましく、200~8,000質量部がより好ましい。
【0168】
[その他の成分]
上述した成分に加えて、界面活性剤、溶解阻止剤、架橋剤等を目的に応じて適宜組み合わせて配合してポジ型レジスト材料及びネガ型レジスト材料を構成することによって、露光部では上記ベースポリマーが触媒反応により現像液に対する溶解速度が加速されるので、極めて高感度のポジ型レジスト材料及びネガ型レジスト材料とすることができる。この場合、レジスト膜の溶解コントラスト及び解像性が高く、露光余裕度があり、プロセス適応性に優れ、露光後のパターン形状が良好でありながら、特に酸拡散を抑制できることから粗密寸法差が小さく、これらのことから実用性が高く、超LSI用レジスト材料として非常に有効なものとすることができる。
【0169】
上記界面活性剤としては、特開2008-111103号公報の段落[0165]~[0166]に記載されたものが挙げられる。界面活性剤を添加することによって、レジスト材料の塗布性を一層向上あるいは制御することができる。界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明のレジスト材料において、上記界面活性剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0.0001~10質量部が好ましい。
【0170】
ポジ型レジスト材料の場合は、溶解阻止剤を配合することによって、露光部と未露光部との溶解速度の差を一層大きくすることができ、解像度を一層向上させることができる。上記溶解阻止剤としては、分子量が好ましくは100~1,000、より好ましくは150~800で、かつ分子内にフェノール性ヒドロキシ基を2つ以上含む化合物の該フェノール性ヒドロキシ基の水素原子を酸不安定基によって全体として0~100モル%の割合で置換した化合物、又は分子内にカルボキシ基を含む化合物の該カルボキシ基の水素原子を酸不安定基によって全体として平均50~100モル%の割合で置換した化合物が挙げられる。具体的には、ビスフェノールA、トリスフェノール、フェノールフタレイン、クレゾールノボラック、ナフタレンカルボン酸、アダマンタンカルボン酸、コール酸のヒドロキシ基、カルボキシ基の水素原子を酸不安定基で置換した化合物等が挙げられ、例えば、特開2008-122932号公報の段落[0155]~[0178]に記載されている。
【0171】
本発明のレジスト材料がポジ型レジスト材料の場合、上記溶解阻止剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~50質量部が好ましく、5~40質量部がより好ましい。上記溶解阻止剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0172】
一方、ネガ型レジスト材料の場合は、架橋剤を添加することによって、露光部の溶解速度を低下させることによりネガティブパターンを得ることができる。上記架橋剤としては、メチロール基、アルコキシメチル基及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換された、エポキシ化合物、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、イソシアネート化合物、アジド化合物、アルケニルエーテル基等の二重結合を含む化合物等が挙げられる。これらは、添加剤として用いてもよいが、ポリマー側鎖にペンダント基として導入してもよい。また、ヒドロキシ基を含む化合物も架橋剤として用いることができる。架橋剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0173】
上記エポキシ化合物としては、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリエチロールエタントリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0174】
上記メラミン化合物としては、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンの1~6個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1~6個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。
【0175】
上記グアナミン化合物としては、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1~4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1~4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。
【0176】
上記グリコールウリル化合物としては、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1~4個がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1~4個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。
【0177】
上記ウレア化合物としてはテトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1~4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルウレア等が挙げられる。
【0178】
上記イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
【0179】
上記アジド化合物としては、1,1’-ビフェニル-4,4’-ビスアジド、4,4’-メチリデンビスアジド、4,4’-オキシビスアジド等が挙げられる。
【0180】
上記アルケニルエーテル基を含む化合物としては、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2-プロパンジオールジビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル等が挙げられる。
【0181】
本発明のレジスト材料がネガ型レジスト材料の場合、架橋剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0.1~50質量部が好ましく、1~40質量部がより好ましい。
【0182】
本発明のレジスト材料には、上述したマレイミド基に結合するカルボン酸のスルホニウム塩以外のクエンチャー(以下、その他のクエンチャーという。)を配合してもよい。その他のクエンチャーとしては、従来型の塩基性化合物が挙げられる。従来型の塩基性化合物としては、第1級、第2級、第3級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類等が挙げられる。特に、特開2008-111103号公報の段落[0146]~[0164]に記載の第1級、第2級、第3級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル結合、エステル結合、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル結合を有するアミン化合物あるいは特許第3790649号公報に記載のカーバメート基を有する化合物等が好ましい。このような塩基性化合物を添加することによって、例えば、レジスト膜中での酸の拡散速度を更に抑制したり、形状を補正したりすることができる。
【0183】
また、その他のクエンチャーとして、特開2008-158339号公報に記載されているα位がフッ素化されていないスルホン酸及びカルボン酸の、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。α位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸又はメチド酸は、カルボン酸エステルの酸不安定基を脱保護させるために必要であるが、α位がフッ素化されていないオニウム塩との塩交換によってα位がフッ素化されていないスルホン酸又はカルボン酸が放出される。α位がフッ素化されていないスルホン酸及びカルボン酸は脱保護反応を起こさないために、クエンチャーとして機能する。
【0184】
その他のクエンチャーとしては、更に、特開2008-239918号公報に記載のポリマー型のクエンチャーが挙げられる。これは、コート後のレジスト表面に配向することによってパターン後のレジストの矩形性を高める。ポリマー型クエンチャーは、液浸露光用の保護膜を適用したときのパターンの膜減りやパターントップのラウンディングを防止する効果もある。
【0185】
本発明のレジスト材料において、その他のクエンチャーの含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~5質量部が好ましく、0~4質量部がより好ましい。クエンチャーは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0186】
本発明のレジスト材料には、スピンコート後のレジスト表面の撥水性を向上させるための撥水性向上剤を配合してもよい。上記撥水性向上剤は、トップコートを用いない液浸リソグラフィーに用いることができる。
【0187】
上記撥水性向上剤としては、フッ化アルキル基を含む高分子化合物、特定構造の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール残基を含む高分子化合物等が好ましく、特開2007-297590号公報、特開2008-111103号公報等に例示されているものがより好ましい。上記撥水性向上剤は、アルカリ現像液や有機溶剤現像液に溶解する必要がある。上述した特定の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール残基を有する撥水性向上剤は、現像液への溶解性が良好である。撥水性向上剤として、アミノ基やアミン塩を含む繰り返し単位を含む高分子化合物は、ポストエクスポージャーベーク(PEB)中の酸の蒸発を防いで現像後のホールパターンの開口不良を防止する効果が高い。撥水性向上剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0188】
本発明のレジスト材料において、撥水性向上剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~20質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましい。
【0189】
本発明のレジスト材料には、アセチレンアルコール類を配合することもできる。上記アセチレンアルコール類としては、特開2008-122932号公報の段落[0179]~[0182]に記載されたものが挙げられる。本発明のレジスト材料において、アセチレンアルコール類の含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~5質量部が好ましい。
【0190】
[ポジ型レジスト材料及びネガ型レジスト材料]
本発明のレジスト材料は、酸不安定基を含む場合には化学増幅ポジ型レジスト材料であり、酸不安定基を含まない場合には化学増幅ネガ型レジスト材料となる。
【0191】
[パターン形成方法]
本発明のレジスト材料を種々の集積回路製造に用いる場合は、公知のリソグラフィー技術を適用することができる。
【0192】
具体的には、(1)上述のレジスト材料を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程と、(2)上記レジスト膜を高エネルギー線で露光する工程と、(3)現像液を用いて上記露光したレジスト膜を現像する工程とを含むパターン形成方法を用いることができる。
【0193】
例えば、本発明のレジスト材料を、集積回路製造用の基板(Si、SiO2、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG、SOG、有機反射防止膜等)あるいはマスク回路製造用の基板(Cr、CrO、CrON、MoSi2、SiO2等)上にスピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の適当な塗布方法により塗布膜厚が0.01~2μmとなるように塗布する。これをホットプレート上で、好ましくは60~150℃、10秒~30分間、より好ましくは80~120℃、30秒~20分間プリベークし、レジスト膜を形成する。
【0194】
上記工程(1)の後、上記工程(2)の前に、(1’)上記マレイミド基に結合するカルボン酸のスルホニウム塩が分解しない波長の光を上記レジスト膜全面に露光することも出来る。これによって、マレイミド基がカップリングあるいは重合することによってクエンチャーの分子量が増大し、より低酸拡散な特性が発現する。この時に、一般式(1)記載のスルホニウム塩のカチオン部分が分解しないことが好ましい。スルホニウム塩カチオンが分解しない波長は、300nmより長波長の光であり、より好ましくは350nmより長波長の水銀ランプのi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)や300nm以下の波長をカットしたキセノンランプやLEDから照射される光である。照射エネルギーは1mJ/cm2~1J/cm2の範囲である。
【0195】
次いで、高エネルギー線を用いて、上記レジスト膜を露光する。上記高エネルギー線としては、紫外線、遠紫外線、EB、波長3~15nmの極端紫外線(EUV)、X線、軟X線、エキシマレーザー光、γ線、シンクロトロン放射線等が挙げられる。上記高エネルギー線として紫外線、遠紫外線、EUV、X線、軟X線、エキシマレーザー光、γ線、シンクロトロン放射線等を用いる場合は、目的のパターンを形成するためのマスクを用いて、露光量が好ましくは1~200mJ/cm2程度、より好ましくは10~100mJ/cm2程度となるように照射する。高エネルギー線としてEBを用いる場合は、露光量が好ましくは0.1~300μC/cm2程度、より好ましくは0.5~200μC/cm2程度で目的のパターンを形成するためのマスクを用いて又は直接描画する。なお、本発明のレジスト材料は、特に高エネルギー線の中でもKrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、EB、EUV、X線、軟X線、γ線、シンクロトロン放射線による微細パターニングに好適であり、特にKrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、EB又は波長3~15nmのEUVによる微細パターニングに好適である。
【0196】
露光後、ホットプレート上又はオーブン中で、好ましくは30~150℃、10秒~30分間、より好ましくは50~120℃、30秒~20分間PEBを行ってもよいし、行わなくてもよい。
【0197】
露光後又はPEB後、ポジ型レジスト材料の場合は、0.1~10質量%、好ましくは2~5質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、3秒~3分間、好ましくは5秒~2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより、光を照射した部分は現像液に溶解し、露光されなかった部分は溶解せず、基板上に目的のポジ型のパターンが形成される。ネガ型レジスト材料の場合はポジ型レジスト材料の場合とは逆であり、すなわち光を照射した部分は現像液に不溶化し、露光されなかった部分は溶解する。
【0198】
酸不安定基を含むベースポリマーを含むポジ型レジスト材料を用いて、有機溶剤現像によってネガティブパターンを得ることもできる。このときに用いる現像液としては、2-オクタノン、2-ノナノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸ブテニル、酢酸イソペンチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、ギ酸イソペンチル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸ペンチル、乳酸イソペンチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、ギ酸ベンジル、ギ酸フェニルエチル、3-フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2-フェニルエチル等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0199】
現像の終了時には、リンスを行う。リンス液としては、現像液と混溶し、レジスト膜を溶解させない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、炭素数3~10のアルコール、炭素数8~12のエーテル化合物、炭素数6~12のアルカン、アルケン、アルキン、芳香族系の溶剤が好ましく用いられる。
【0200】
具体的に、炭素数3~10のアルコールとしては、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1-ブチルアルコール、2-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、tert-ペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、3-メチル-3-ペンタノール、シクロペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、3,3-ジメチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-エチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-3-ペンタノール、3-メチル-1-ペンタノール、3-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-3-ペンタノール、4-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-3-ペンタノール、シクロヘキサノール、1-オクタノール等が挙げられる。
【0201】
炭素数8~12のエーテル化合物としては、ジ-n-ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ-sec-ブチルエーテル、ジ-n-ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ-sec-ペンチルエーテル、ジ-tert-ペンチルエーテル、ジ-n-ヘキシルエーテル等が挙げられる。
【0202】
炭素数6~12のアルカンとしては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン等が挙げられる。炭素数6~12のアルケンとしては、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等が挙げられる。炭素数6~12のアルキンとしては、ヘキシン、ヘプチン、オクチン等が挙げられる。
【0203】
芳香族系の溶剤としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、メシチレン等が挙げられる。
【0204】
リンスを行うことによってレジストパターンの倒れや欠陥の発生を低減させることができる。また、リンスは必ずしも必須ではなく、リンスを行わないことによって溶剤の使用量を削減することができる。
【0205】
現像後のホールパターンやトレンチパターンを、サーマルフロー、RELACS技術又はDSA技術でシュリンクすることもできる。ホールパターン上にシュリンク剤を塗布し、ベーク中のレジスト層からの酸触媒の拡散によってレジストの表面でシュリンク剤の架橋が起こり、シュリンク剤がホールパターンの側壁に付着する。ベーク温度は、好ましくは70~180℃、より好ましくは80~170℃であり、時間は、好ましくは10~300秒であり、余分なシュリンク剤を除去しホールパターンを縮小させる。
【実施例0206】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されない。
【0207】
レジスト材料に用いたクエンチャー1~21、比較クエンチャー1の構造を以下に示す。
【0208】
【0209】
【0210】
【0211】
【0212】
[合成例]ベースポリマー(ポリマー1~5)の合成
各々のモノマーを組み合わせて、溶剤であるTHF中で共重合反応を行い、メタノールに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して、以下に示す組成のベースポリマー(ポリマー1~5)を得た。得られたベースポリマーの組成は1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPC(溶剤:THF、標準:ポリスチレン)により確認した。
【0213】
【0214】
[実施例1~27、比較例1、2]
表1、2に示される組成で各成分を溶解させた溶液を、0.2μmサイズのフィルターで濾過してレジスト材料を調製した。実施例1~26、比較例1のレジスト材料はポジ型であり、実施例27及び比較例2のレジスト材料はネガ型である。
【0215】
表1、2中、各成分は、以下のとおりである。
・有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
DAA(ジアセトンアルコール)
EL(乳酸エチル)
【0216】
・酸発生剤:PAG1~5(下記構造式参照)及び、ブレンドクエンチャー1、2(下記構造式参照)
【化85】
【0217】
[EUV露光評価]
表1、2に示す各レジスト材料を、信越化学工業(株)製ケイ素含有スピンオンハードマスクSHB-A940(ケイ素の含有量が43質量%)を20nm膜厚で形成したSi基板上にスピンコートし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間プリベークして膜厚50nmのレジスト膜を作製した。このSi基板をi線で200mJ/cm2の露光量で全面露光を行った。次いで、ASML社製EUVスキャナーNXE3400(NA0.33、σ0.9/0.6、クアドルポール照明、ウエハー上寸法がピッチ44nm、+20%バイアスのホールパターンのマスク)を用いて露光し、ホットプレート上で表1及び表2記載の温度で60秒間PEBを行い、2.38質量%TMAH水溶液で30秒間現像を行って、実施例1~26、比較例1では寸法22nmのホールパターン、実施例27、比較例2では寸法22nmのドットパターンを得た。
【0218】
(株)日立ハイテクノロジーズ製の測長SEM(CG6300)を用いて、ホール又はドット寸法が22nmで形成されるときの露光量を測定してこれを感度とし、また、このときのホール又はドット50個の寸法を測定し、寸法バラツキ(CDU、3σ)を求めた。結果を表1と表2に併記する。
【0219】
【0220】
【0221】
表1、2に示した結果より、マレイミド基に結合するカルボン酸のスルホニウム塩を含む本発明のレジスト材料は、高感度で、かつCDUが小さいことがわかった。これに対し、クエンチャーとしてマレイミド基に結合するカルボン酸のスルホニウム塩を含まない比較例1、比較例2では感度が低く、またCDUも大きいことがわかった。従って、マレイミド基に結合するカルボン酸のスルホニウム塩を含む本発明のレジスト材料は、レジスト材料として好適に用いることができることが明らかになった。
【0222】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するもの、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。