(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024704
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】絶食条件下でのタシメルテオンの投与
(51)【国際特許分類】
A61K 31/343 20060101AFI20230209BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
A61K31/343
A61P25/20
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206745
(22)【出願日】2022-12-23
(62)【分割の表示】P 2021047935の分割
【原出願日】2015-01-07
(31)【優先権主張番号】14/511,669
(32)【優先日】2014-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/927,465
(32)【優先日】2014-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】313006588
【氏名又は名称】バンダ・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VANDA PHARMACEUTICALS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ドレスマン、 マリーン ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ポリマロポウロス、 ミハエル、 エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】バロルディ、 パオロ
(57)【要約】
【課題】絶食条件下で有効用量のタシメルテオンを経口投与することを含むヒト患者にタシメルテオンを投与する方法を提供する。
【解決手段】本発明の1つの実施形態は、絶食条件下で有効用量のタシメルテオンを経口投与することを含むヒト患者にタシメルテオンを投与する方法を提供する。絶食条件は食物無しに投与の前少なくとも1/2時間は食物を絶ち、投与の前少なくとも1時間は食物を絶ち、投与の前少なくとも1.5時間は食物を絶ち、投与の前少なくとも2時間は食物を絶ち、投与の前少なくとも2.5時間は食物を絶ち、又は投与の前少なくとも3時間は食物を絶ち、タシメルテオンを投与することを含んでもよい。タシメルテオンは、例えば、20mg/日の用量で投与されてもよい。タシメルテオンは、例えば、患者が、例えば非24時間型障害を含む概日リズム障害又は睡眠障害に対して治療されている場合に投与されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本開示に実質的に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年1月14日付で出願された同時係属出願である米国特許仮出願番号第61/927,465号、及び2014年10月10日付で出願された米国特許出願番号第14/511,669号の優先権を主張するものであり、これらの出願が含むすべてがここに記載されているものとして、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
タシメルテオン、並びにタシメルテオンを使用する方法及びそれを作製するプロセスは、米国特許第5856529号、米国特許出願公開第20090105333号、及び米国特許出願公開第20130197076号を含む様々な参照文献に開示され、それらのコピーが本明細書に添付され、これらの出願が含むすべてがここに記載されているものとして、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の1つの実施形態は、絶食条件下で有効用量のタシメルテオンを経口投与することを含むヒト患者にタシメルテオンを投与する方法を提供する。絶食条件は、食物無しに、投与の前、少なくとも1/2時間は食物を絶ち、投与の前、少なくとも1時間は食物を絶ち、投与の前、少なくとも1.5時間は食物を絶ち、投与の前、少なくとも2時間は食物を絶ち、投与の前、少なくとも2.5時間は食物を絶ち、又は投与の前、少なくとも3時間は食物を絶ち、タシメルテオンを投与することを含んでもよい。かかる実施形態によれば、タシメルテオンは、例えば、20mg/日の用量で投与されてもよい。タシメルテオンは、例えば、患者が、例えば非24時間型障害を含む概日リズム障害又は睡眠障害に対して治療されている場合に投与されてもよい。
【0004】
本発明の別の実施形態は、食物無しにタシメルテオンを服用するように患者に指示することを含む、ヒト患者にタシメルテオンを投与する方法を提供する。
【0005】
本発明の更に別の実施形態は、タシメルテオンで治療されているヒト患者におけるTmaxを短縮する方法であって、前記方法が絶食条件下で有効用量のタシメルテオンを経口投与することを含む、方法を提供する。
【0006】
更に別の実施形態では、本発明は、タシメルテオンを絶食条件下で服用しなければならないことを、例えば、タシメルテオンのカプセル剤を含む容器と共に包装される印刷された処方情報にかかる指示を含むことにより、調剤者、患者、及び/又は保険業者に通知することを含む、タシメルテオンを市販又は販売する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、絶食条件下、すなわち食物無しにタシメルテオンを投与することに関する。
【0008】
タシメルテオンの投与に対する食物の効果を調査するため、臨床研究が行われた。具体的には、本研究の主な目的は、健康な被験者における100mgのタシメルテオンの薬物動態に対する食物(高カロリー/高脂肪)の影響を調査することであった。これは、最大5週間継続する一施設非盲検交差計画であった。26名の健康な男性及び女性の被験者(18歳~50歳)を本研究に登録した。各被験者が食物有り又は無しのいずれかで、100mgのタシメルテオンを服用する2期間無作為化2シークエンス交差計画であった。被験者を絶食条件下での100mgタシメルテオンカプセルの服用、又は摂食条件下(すなわち、高脂肪食の摂取開始から30分後)の100mgのタシメルテオンの服用に無作為に割り当てた。処置群間には7日間のウォッシュアウトがあった。
図1は、全体的な研究計画の例を示す。
図1では、タシメルテオンをVEC-162と呼ぶ。
【0009】
【0010】
本研究の目的のため、絶食条件下での投与は、少なくとも10時間の絶食後、午前6時頃に240mLの水と共に投与された。被験者は、投薬後少なくとも4時間にわたり、いかなる食物の摂取も許されなかった。被験者は、薬物投与の1時間前及び2時間後を除いて所望に応じて飲水を許された。
【0011】
摂食条件下での投与は、1カップの牛乳を含む高脂肪/高カロリーの朝食後、午前6時頃に240mLの水と共に投与された。被験者は、薬物投与の30分前に推奨される食事を開始した。被験者は、30分以内で食事を終了し、食事の開始からおよそ30分後に薬物が投与された。被験者は、投薬後少なくとも4時間はいかなる食物の摂取も認められなかった。被験者は、薬物投与の1時間前及び2時間後を除いて、所望に応じて飲水を認められた。
【0012】
25名の被験者が両期間の研究を完了した。高脂肪/高カロリー食とのタシメルテオンの投与は、より低いCmax及びより長いTmaxをもたらした。絶食条件下での786+/-432ng/mLの平均Cmaxは、55.82%の幾何平均速度及び49.72%~62.67%の関連90%信頼区間で445+/-255ng/mLの平均Cmaxまで減少された。AUC(0-t)及びAUC(Inf)によって測定される吸収量は、摂食及び絶食の両条件下で、それぞれ108.57%及び106.54%の幾何平均速度、並びに80%~125%の等価窓内に含まれる90%信頼区間で同等であった。Cmaxの減少及びAUCに変化がなかったこと、すなわち、速度は減少したが吸収量は変化しなかったことと一致して、メディアンTmaxは絶食条件下で0.75時間から摂食条件下で2.5時間に増加した。
【0013】
本研究より、高脂肪/高カロリー食とのタシメルテオンの投与は、吸収速度の顕著な減少をもたらすが、吸収量においては顕著な変化を生じないと結論付けられた。
【0014】
したがって、実例となる実施形態では、本発明は、
絶食条件下で有効用量のタシメルテオンを経口投与することを含む、ヒト患者にタシメルテオンを投与する方法、
食物無しにタシメルテオンを投与しなければならないことを患者に指示することを含む、ヒト患者にタシメルテオンを投与する方法、
タシメルテオンで治療されているヒト患者におけるTmaxを短縮する方法であって、前記方法が絶食条件下で有効用量のタシメルテオンを経口投与することを含む方法、
タシメルテオンを絶食条件下で服用しなければならないことを、例えば、タシメルテオンのカプセル剤を含む容器と共に包装される印刷された処方情報にかかる指示を含むことにより、調剤者、患者、及び/又は保険業者に通知することを含む、タシメルテオンを市販又は販売する方法を含む。
【0015】
具体的な実例となる実施形態では、絶食条件は食物無しにタシメルテオンを投与することを含み、
絶食条件は投与の前、少なくとも1/2時間は食物を絶つことを含み、
絶食条件が投与の前、少なくとも1時間は食物を絶つことを含み、
絶食条件は投与の前、少なくとも1.5時間は食物を絶つことを含み、
絶食条件は投与の前、少なくとも2時間は食物を絶つことを含み、
絶食条件は投与の前、少なくとも2.5時間は食物を絶つことを含み、又は
絶食条件は投与の前、3時間は食物を絶つことを含む。
【0016】
他の実例となる実施形態では、薬物が摂食条件下で投与されるか又は絶食条件で投与されるかにかかわらず、AUCをほぼ同じとしながら、Cmaxを低下させ、
タシメルテオンの用量は20mg/日であり、
患者は概日リズム障害又は睡眠障害に対して治療され、及び/又は
患者は非24時間型障害に対して治療される。
【0017】
処方情報(すなわち、「ラベル」)に含まれる具体的な例文として、例えば、
「タシメルテオンのピーク濃度(Tmax)は、絶食経口投与のおよそ0.5時間~3時間に生じる。高脂肪食と共に投与された場合、タシメルテオンのCmaxは絶食状態で与えられた場合よりも44%低く、メディアンTmaxはおよそ1.75時間遅延した。したがって、HETLIOZは食物無しに服用されなければならない。」
が挙げられる。
<付記>
本開示の態様は以下を含む。
<項1>
絶食条件下で有効用量のタシメルテオンを経口投与することを含む、ヒト患者にタシメルテオンを投与する方法。
<項2>
前記絶食条件が食物無しにタシメルテオンを投与することを含み、
前記絶食条件が投与の前、少なくとも1/2時間は食物を絶つことを含み、
前記絶食条件が投与の前、少なくとも1時間は食物を絶つことを含み、
前記絶食条件が投与の前、少なくとも1.5時間は食物を絶つことを含み、
前記絶食条件が投与の前、少なくとも2時間は食物を絶つことを含み、
前記絶食条件が投与の前、少なくとも2.5時間は食物を絶つことを含み、又は
前記絶食条件が投与の前、3時間は食物を絶つことを含む、
<項1>に記載の方法。
<項3>
前記タシメルテオンが摂食条件下で投与されるか又は絶食条件下で投与されるかにかかわらず、前記タシメルテオンのAUCをほぼ同じとしながら、Cmaxを低下させる、<項1>に記載の方法。
<項4>
前記タシメルテオンの有効用量が20mg/日である、<項1>に記載の方法。
<項5>
前記有効用量が概日リズム障害又は睡眠障害を治療するのに有効である、<項1>に記載の方法。
<項6>
前記有効用量が非24時間型障害を治療するのに有効である、<項1>に記載の方法。
<項7>
タシメルテオンを食物無しに服用することを患者に指示することを含む、ヒト患者にタシメルテオンを投与する方法。
<項8>
食物無しにタシメルテオンを服用することが、食物無しにタシメルテオンを服用することを含み、
食物無しにタシメルテオンを服用することが、投与の前、少なくとも1/2時間は食物を絶つことを含み、
食物無しにタシメルテオンを服用することが、投与の前、少なくとも1時間は食物を絶つことを含み、
食物無しにタシメルテオンを服用することが、投与の前、少なくとも1.5時間は食物を絶つことを含み、
食物無しにタシメルテオンを服用することが、投与の前、少なくとも2時間は食物を絶つことを含み、
食物無しにタシメルテオンを服用することが、投与の前、少なくとも2.5時間は食物を絶つことを含み、又は
食物無しにタシメルテオンを服用することが、投与の前、3時間は食物を絶つことを含む、
<項7>に記載の方法。
<項9>
タシメルテオンで治療されているヒト患者におけるTmaxを短縮する方法であって、前記方法が絶食条件下で有効用量のタシメルテオンを経口投与することを含む、方法。
<項10>
前記絶食条件が食物無しにタシメルテオンを投与することを含み、
前記絶食条件が投与の前、少なくとも1/2時間は食物を絶つことを含み、
前記絶食条件が投与の前、少なくとも1時間は食物を絶つことを含み、
前記絶食条件が投与の前、少なくとも1時間~1/2時間は食物を絶つことを含み、
前記絶食条件が投与の前、少なくとも2時間は食物を絶つことを含み、
前記絶食条件が投与の前、少なくとも2時間~1/2時間は食物を絶つことを含み、又は
前記絶食条件が投与の前、3時間は食物を絶つことを含む、
<項9>に記載の方法。
<項11>
前記タシメルテオンが摂食条件下で投与されるか又は絶食条件下で投与されるかにかかわらず、前記タシメルテオンのAUCをほぼ同じとしながら、Cmaxを低下させる、<項9>に記載の方法。
<項12>
前記タシメルテオンの有効用量が20mg/日である、<項9>に記載の方法。
<項13>
前記有効用量が概日リズム障害又は睡眠障害を治療するのに有効である、<項9>に記載の方法。
<項14>
前記有効用量が非24時間型障害を治療するのに有効である、<項9>に記載の方法。