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特開2023-2477外科支援システム、外科支援方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002477
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】外科支援システム、外科支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/00 20180101AFI20221227BHJP
【FI】
G16H40/00
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097842
(22)【出願日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】63/213,359
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/840,880
(32)【優先日】2022-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【弁理士】
【氏名又は名称】西河 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 真人
(72)【発明者】
【氏名】後町 智子
(72)【発明者】
【氏名】酒井 智也
(72)【発明者】
【氏名】秋本 俊也
(72)【発明者】
【氏名】功刀 和正
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA00
(57)【要約】
【課題】複数のチームメンバーに対する効率的な情報支援が可能になる外科支援システム等を提供すること。
【解決手段】外科支援システム50は、プロセッサ211を含む。プロセッサ211は、端末と通信接続され、その端末に表示画面を表示させる処理を行うことで、オペチームメンバーのうち外科医294以外のメンバーに対して端末を介して表示画面を提示する。表示画面は、ライブ画像領域と補助領域とを含む。ライブ画像領域は、オペチームメンバーにより遂行される手術のライブ画像が表示される。補助領域は、手術を管理するための複数の補助作業のうち、メンバーからの端末を介した選択入力により選択された補助作業に関する情報が表示される。
【選択図】 図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末と通信接続され、前記端末に表示画面を表示させる処理を行うことで、オペチームメンバーのうち外科医以外のメンバーに対して前記端末を介して前記表示画面を提示するプロセッサを含み、
前記表示画面は、
前記オペチームメンバーにより遂行される手術のライブ画像が表示されるライブ画像領域と、
前記手術を管理するための複数の補助作業のうち、前記メンバーからの前記端末を介した選択入力により選択された補助作業に関する情報が表示される補助領域と、
を有することを特徴とする外科支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載された外科支援システムにおいて、
前記プロセッサは、
前記端末を第1端末とし、前記メンバーを第1メンバーとしたとき、前記第1メンバーに情報表示する前記第1端末、及び前記オペチームメンバーのうち第2メンバーに情報表示する第2端末と通信接続され、前記第1端末と前記第2端末に前記表示画面を表示させる処理を行い、
前記第1端末における前記補助領域には、前記複数の補助作業のうち、前記第1メンバーからの前記第1端末を介した選択入力により選択された補助作業に関する情報が表示され、
前記第2端末における前記補助領域には、前記複数の補助作業のうち、前記第2メンバーからの前記第2端末を介した選択入力により選択された補助作業に関する情報が表示されることを特徴とする外科支援システム。
【請求項3】
請求項1に記載された外科支援システムにおいて、
前記表示画面は、
前記選択入力により前記複数の補助作業のいずれの補助作業が選択されたかに関わらず、前記複数の補助作業のうち少なくとも1つの補助作業に関連する共通アラートを、前記補助領域外に表示する共通アラート領域を有することを特徴とする外科支援システム。
【請求項4】
請求項1に記載された外科支援システムにおいて、
前記補助領域は、
前記複数の補助作業のうちの互いに異なる補助作業が各タブに割り当てられた複数のタブが配列されたタブ領域と、
前記複数のタブのうち、前記選択入力により選択されたタブに割り当てられた補助作業に関する情報が表示される作業情報領域と、
を有することを特徴とする外科支援システム。
【請求項5】
請求項4に記載された外科支援システムにおいて、
前記複数のタブは、
第1~第nの補助作業が割り当てられた第1~第nのタブ(nは2以上の整数)と、
前記第1~第nの補助作業のうち1つ以上の補助作業が固定表示用の補助作業として設定される固定表示用タブと、
を含み、
前記作業情報領域には、
前記選択入力により前記第1~第nのタブのいずれかのタブが選択された場合には、選択されたタブに割り当てられた補助作業に関する情報が表示され、
前記選択入力により前記固定表示用タブが選択された場合には、前記固定表示用の補助作業に関する情報が表示されることを特徴とする外科支援システム。
【請求項6】
請求項4に記載された外科支援システムにおいて、
前記表示画面において、
前記補助領域に前記タブ領域と前記作業情報領域が表示される第1表示態様と、前記補助領域に前記タブ領域が表示され前記作業情報領域が表示されない第2表示態様とが設定可能であり、
前記第2表示態様が設定された場合には、前記補助領域の表示範囲は、前記第1表示領域における前記補助領域の表示範囲より縮小され、前記ライブ画像領域の表示範囲は、前記第1表示領域における前記ライブ画像領域の表示範囲より拡大されることを特徴とする外科支援システム。
【請求項7】
請求項6に記載された外科支援システムにおいて、
前記プロセッサは、
前記端末を第1端末とし、前記メンバーを第1メンバーとしたとき、前記第1メンバーに情報表示する前記第1端末、及び前記オペチームメンバーのうち第2メンバーに情報表示する第2端末と通信接続され、前記第1端末と前記第2端末に前記表示画面を表示させる処理を行い、
前記第1端末における前記表示画面においては、前記第1表示態様と前記第2表示態様のうち、前記第1メンバーからの前記第1端末を介した設定入力により設定された表示態様が設定され、
前記第2端末における前記表示画面においては、前記第1表示態様と前記第2表示態様のうち、前記第2メンバーからの前記第2端末を介した設定入力により設定された表示態様が設定されることを特徴とする外科支援システム。
【請求項8】
請求項2に記載された外科支援システムにおいて、
前記プロセッサは、
前記複数の補助作業のうちの特定の補助作業に関して、前記第1メンバーから前記第1端末の前記補助領域に入力された第1入力値と、前記第2メンバーから前記第2端末の前記補助領域に入力された第2入力値とを受け付け、
前記第1入力値と前記第2入力値との間に相違があったとき、前記第1端末及び前記第2端末の前記表示画面に、前記相違を示すアラートサインを表示させる処理を行うことを特徴とする外科支援システム。
【請求項9】
請求項8に記載された外科支援システムにおいて、
前記特定の補助作業は、患者の体内の挿入された挿入物をカウントする作業、又は前記患者の体内から回収された前記挿入物をカウントするカウント作業の少なくとも1つであり、
前記第1入力値と前記第2入力値は、前記カウント作業におけるカウント値であることを特徴とする外科支援システム。
【請求項10】
請求項8に記載された外科支援システムにおいて、
前記補助領域は、
各タブに、前記複数の補助作業のうちの互いに異なる補助作業が割り当てられた複数のタブが配列されたタブ領域と、
前記複数のタブのうち、前記選択入力により選択されたタブに割り当てられた補助作業に関する情報が表示される作業情報領域と、
を有し、
前記アラートサインは、前記複数のタブのうち前記特定の補助作業に対応したタブ上に表示されることを特徴とする外科支援システム。
【請求項11】
請求項1に記載された外科支援システムにおいて、
前記ライブ画像領域には、前記外科医用のモニタに表示される前記ライブ画像が表示されることを特徴とする外科支援システム。
【請求項12】
請求項3に記載された外科支援システムにおいて、
前記プロセッサは、
前記外科医が手術を行う手術室の外のスタッフステーションに配置されたスタッフステーション用端末と通信接続され、
前記スタッフステーション用端末に対して前記共通アラートの情報を送信することで、前記共通アラートに同期したアラートを前記スタッフステーション用端末のモニタに表示させることを特徴とする外科支援システム。
【請求項13】
請求項12に記載された外科支援システムにおいて、
前記プロセッサは、
前記ライブ画像に対する画像解析の結果に基づいて所定の手術シチュエーションが検出されたとき、前記スタッフステーション用端末に対して、前記所定の手術シチュエーションに関する前記共通アラートの情報を送信することを特徴とする外科支援システム。
【請求項14】
請求項12に記載された外科支援システムにおいて、
前記プロセッサは、
前記メンバーからの前記端末を介した指示入力を受け付けたとき、前記スタッフステーション用端末に対して、前記指示入力に関する前記共通アラートの情報を送信することを特徴とする外科支援システム。
【請求項15】
請求項12に記載された外科支援システムにおいて、
前記プロセッサは、
前記外科医が行う手術に関連付けて前記共通アラートの情報を前記スタッフステーション用端末に送信することで、前記スタッフステーション用端末において管理される複数の手術のうち前記外科医が行う手術に関連付けて、前記共通アラートに同期した前記アラートを前記スタッフステーション用端末のモニタに表示させることを特徴とする外科支援システム。
【請求項16】
請求項12に記載された外科支援システムにおいて、
前記プロセッサは、
前記外科医が行う手術のスケジュールを管理する前記スタッフステーション用端末から前記手術の終了予定時間を受信し、
受信された前記終了予定時間を前記表示画面に表示させる処理を行い、
前記スタッフステーション用端末において前記終了予定時間がリスケジュールされたとき、リスケジュールされた前記終了予定時間を前記表示画面に表示させる処理を行うことを特徴とする外科支援システム。
【請求項17】
請求項1に記載された外科支援システムにおいて、
前記端末を含むことを特徴とする外科支援システム。
【請求項18】
ライブ画像領域と補助領域を有する表示画面を端末に表示させる処理を行うことで、オペチームメンバーのうち外科医以外のメンバーに対して前記端末を介して前記表示画面を提示することと、
前記オペチームメンバーにより遂行される手術のライブ画像を、前記表示画面のライブ画像領域に表示することと、
前記手術を管理するための複数の補助作業のうち、前記メンバーからの前記端末を介した選択入力により選択された補助作業に関する情報を、前記表示画面の補助領域に表示することと、
を含むことを特徴とする外科支援方法。
【請求項19】
ライブ画像領域と補助領域を有する表示画面を端末に表示させる処理を行うことで、オペチームメンバーのうち外科医以外のメンバーに対して前記端末を介して前記表示画面を提示することと、
前記オペチームメンバーにより遂行される手術のライブ画像を、前記表示画面のライブ画像領域に表示することと、
前記手術を管理するための複数の補助作業のうち、前記メンバーからの前記端末を介した選択入力により選択された補助作業に関する情報を、前記表示画面の補助領域に表示することと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科支援システム、外科支援方法、及びプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、手術支援システムが開示されている。その手術支援システムのプロセッサは、少なくとも手術前データと内視鏡画像に基づいて、体腔内の特徴的な部分に関するリアルタイム位置情報を含むリアルタイムデータを生成し、そのリアルタイムデータに基づいて、内視鏡画像に対して重ねて表示させる画像を生成する。
【0003】
また、特許文献2には、クリニカルコミュニケーション装置が開示されている。そのクリニカルコミュニケーション装置は、電子カルテ用情報を電子カルテ用データベースから抽出する電子カルテ用情報抽出手段と、クリニカルコミュニケーション情報をクリニカルコミュニケータ用データベースから抽出するクリニカルコミュニケータ用情報抽出手段と、入力にしたがって電子カルテ用情報及び/又はクリニカルコミュニケーション情報を更新する情報更新手段と、電子カルテ用情報及びクリニカルコミュニケーション情報を連動して表示させる表示制御手段と、を含む。電子カルテ用情報は、少なくともクリニカルパス、患者のカルテ情報、及び患者の経過表を含む。クリニカルコミュニケーション情報は、少なくとも患者のイベント情報、医療従事者のイベント情報、及び医療従事者のメッセージを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/116593号
【特許文献2】特開2007-249251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1には、手術を支援するためのナビゲーション情報をユーザに提示する手術関連情報提示装置が開示されている。このような従来のシステムでは、術中に支援情報を術者に表示し、その表示設定を切り替えることで多様な情報支援を可能にしている。しかし、従来のシステムはメンバー全員が同じ表示を見る事を前提にしている、つまり、単に一つの端末の表示内容を切り替えるのみである。従来のシステムは、役割毎に異なる情報を各メンバーが確認できるような機能は有しておらず、複数のチームメンバーに対する効率的な情報支援はできないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、端末と通信接続され、前記端末に表示画面を表示させる処理を行うことで、オペチームメンバーのうち外科医以外のメンバーに対して前記端末を介して前記表示画面を提示するプロセッサを含み、前記表示画面は、前記オペチームメンバーにより遂行される手術のライブ画像が表示されるライブ画像領域と、前記手術を管理するための複数の補助作業のうち、前記メンバーからの前記端末を介した選択入力により選択された補助作業に関する情報が表示される補助領域と、を有する外科支援システムに関係する。
【0007】
また本開示の他の態様は、ライブ画像領域と補助領域を有する表示画面を端末に表示させる処理を行うことで、オペチームメンバーのうち外科医以外のメンバーに対して前記端末を介して前記表示画面を提示することと、前記オペチームメンバーにより遂行される手術のライブ画像を、前記表示画面のライブ画像領域に表示することと、前記手術を管理するための複数の補助作業のうち、前記メンバーからの前記端末を介した選択入力により選択された補助作業に関する情報を、前記表示画面の補助領域に表示することと、を含む外科支援方法に関係する。
【0008】
また本開示の更に他の態様は、ライブ画像領域と補助領域を有する表示画面を端末に表示させる処理を行うことで、オペチームメンバーのうち外科医以外のメンバーに対して前記端末を介して前記表示画面を提示することと、前記オペチームメンバーにより遂行される手術のライブ画像を、前記表示画面のライブ画像領域に表示することと、前記手術を管理するための複数の補助作業のうち、前記メンバーからの前記端末を介した選択入力により選択された補助作業に関する情報を、前記表示画面の補助領域に表示することと、をコンピュータに実行させるプログラムに関係する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】手術に関わるスタッフ及び本実施形態の外科支援システムを説明する図。
図2】本実施形態の外科支援システムの構成例。
図3】スタッフステーション用システムの詳細構成例。
図4】手術室用システムの詳細構成例。
図5】端末の詳細構成例。
図6】外科支援システムを用いた手術支援のフロー。
図7】チェックリストのチェックタイミングを示すフロー。
図8】チェックリストの表示及び操作の説明図。
図9】入室時チェックリストの表示内容例。
図10】サインインのチェックリストの表示内容例。
図11】タイムアウトのチェックリストの表示内容例。
図12】サインアウトのチェックリストの表示内容例。
図13】各チェックリストをチェックするメンバーの例。
図14】端末に表示されるチェックリスト画面の例。
図15】チェックボックスの表示態様例。
図16】手術中において手術室用システムの第1~第3端末に表示される画面の例。
図17】スキル又は熟練度に応じた表示態様の例。
図18】留置物カウントにおけるアラートサインの例。
図19】手術室とスタッフステーションにおける共通アラートの共有を説明する図。
図20】出血検知アラートが共有されるときの表示例。
図21】人員不足アラートが共有されるときの表示例。
図22】手術室とスタッフステーションにおける手術時間の共有を説明する図。
図23】スタッフステーション用システムのモニタに表示されるスケジュール画面の例。
図24】手術計画バーの例。
図25】スケジュール作業におけるドラッグ操作の例。
図26】医療従事者リストの表示例。
図27】機材予約設定タブが選択されたときのサブ領域の表示例。
図28】リソース重複割り当てのアラート表示例。
図29】機材案内マップの例。
図30】手術進捗状況の表示例。
図31】手術室モニタのタブが選択されたときのサブ領域の表示例。
図32】リアルタイム映像の一覧のうち1つの手術室に関するリアルタイム映像表示の例。
図33】タイムライン表示画面の例。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の開示において、提示された主題の異なる特徴を実施するための多くの異なる実施形態や実施例を提供する。もちろんこれらは単なる例であり、限定的であることを意図するものではない。さらに、本開示では、様々な例において参照番号および/または文字を反復している場合がある。このように反復するのは、簡潔明瞭にするためであり、それ自体が様々な実施形態および/または説明されている構成との間に関係があることを必要とするものではない。さらに、第1の要素が第2の要素に「接続されている」または「連結されている」と記述するとき、そのような記述は、第1の要素と第2の要素とが互いに直接的に接続または連結されている実施形態を含むとともに、第1の要素と第2の要素とが、その間に介在する1以上の他の要素を有して互いに間接的に接続または連結されている実施形態も含む。
【0011】
1.構成例
図1は、手術に関わるスタッフ及び本実施形態の外科支援システムを説明する図である。図1には1つの手術室を示しているが、手術室は複数あってもよい。
【0012】
スタッフステーションは、手術室とは別の部屋であり、手術室が複数ある場合には複数の手術室に対して共通に設けられている。スタッフステーションには、事務的な手術管理を行うスタッフA、Bが配置される。スタッフは、1人以上であればよい。手術管理は、例えば、手術スケジュールの管理、手術リソースの管理、又は、手術中における人員、器械又は輸血パックの手配等である。スタッフA、Bは、モニタに表示された手術スケジュールを閲覧及び操作可能である。モニタは1つでなくてもよく、例えば各スタッフの端末に手術スケジュールが表示されてもよい。
【0013】
手術室において手術が行われる際には、手術室には、外科医、外回り看護師、器械出し看護師、及び麻酔科医が配置される。これらのメンバーは医療従事者であり、以下ではオペチームメンバーと呼ぶこととする。なお、手術フローにおいて常にオペチームメンバーが手術室にいる必要はない。例えば、サインインのチェックリストがチェックされる際に外科医が手術室外で準備中であってもよいし、或いは、外回り看護師が人員、器械又は輸血パック等を補充するために手術室を出入りしてもよい。なお、サインインとは、麻酔導入前のチェックリストをチェックすることである。
【0014】
外科医は、手術において執刀を担当する医師である。器械出し看護師は、手術に必要な器械を準備したり、手術中において外科医にメス等の器械を渡したりする看護師である。外科医と器械出し看護師は、手術中において手術台付近の清潔が保たれた領域内で行動する。麻酔科医は、患者に麻酔を導入する医師である。外回り看護師は、手術をスムーズに進行させるためのサポートを行う看護師である。なお、オペチームメンバーは、執刀を担当する医師としての外科医、器械出し看護師、麻酔科医、及び外回り看護師に限定されず、例えば、これら以外のメンバーを含んでもよい。例えば、オペチームメンバーは、助手又はスコピスト又はそれら両方を外科医として含んでもよい。以下の説明における外科医は主に執刀を担当する医師を想定しているが、上記のように外科医は執刀を担当する医師に限られない。
【0015】
外科医が見るモニタには、術野を写した手術画像、又は手術画像に支援情報が加えられた手術支援画像が表示される。外科医が見るモニタは、2以上あってもよい。外回り看護師、器械出し看護師、及び麻酔科医の各々は端末を用いて手術の監視、補助又は支援等を行う。各端末には、術野を写した手術画像、手術画像に支援情報が加えられた手術支援画像、手術の各段階でチェックされるチェックリスト、手術を補助するための補助情報、又は各種アラート等が表示される。各端末で情報が共有されるが、各メンバーは独立して端末を操作可能であり、また、各メンバーが自分の端末に何を表示させるかを独立に選択可能である。但し、手術フローに応じてチェックリスト画面等に自動で遷移してもよい。
【0016】
図2は、本実施形態の外科支援システム50の構成例である。外科支援システム50は、スタッフステーション10に設けられるスタッフステーション用システム100と、手術室20-1~20-nに設けられる手術室用システム200-1~200-nとを含む。nは1以上の整数である。スタッフステーション用システム100と手術室用システム200-1~200-nは、有線LAN等の有線通信60によって接続される。但し、スタッフステーション用システム100と手術室用システム200-1~200-nは、無線通信によって接続されてもよい。
【0017】
なお、スタッフステーション用システム100と手術室用システム200-1~200-nの各々、又は外科支援システム50の全体がクラウドシステムによって構成されてもよい。その場合には、例えば、外科支援システム50のクラウド化された部分がスタッフステーション10外にあってもよく、そのクラウドシステムに接続された端末がスタッフステーション10内にあるような構成であってもよい。手術室用支援システムについても同様である。
【0018】
図3は、スタッフステーション用システム100の詳細構成例である。スタッフステーション用システム100は、スタッフステーション用端末110を含む。スタッフステーション用端末110は、プロセッサ111と記憶装置112と通信装置113とモニタ150とを含む。
【0019】
プロセッサ111は、手術管理に関する様々な処理を実行する。プロセッサ111は、例えば、手術スケジュール画面をモニタ150に表示させる処理、スタッフ191~194からの操作入力に応じて手術スケジュールを変更する処理、通信装置113を介して手術室用システム200-1~200-nと情報をやり取りする処理、その通信内容に基づくアラート表示等をモニタ150に表示させる処理等を行う。プロセッサ111は、処理部又は処理装置等とも呼ばれる。プロセッサ111はハードウェアを含み、例えばCPU(Central Processing Unit)、マイクロコンピュータ又はGPU(Graphics Processing Unit)等であってもよいし、或いはASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等であってもよい。
【0020】
記憶装置112は、半導体メモリ、ハードディスクドライブ又は光学ドライブ等である。半導体メモリは、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリ、又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性メモリである。記憶装置112は、スタッフステーション用端末110が実行する処理の内容が記述されたプログラムを記憶する。プロセッサ111は、記憶装置112からプログラムを読み出して実行する。また記憶装置112は、手術管理に必要な様々なデータを記憶したり、或いはプロセッサ111のワーキングメモリとして機能したりする。
【0021】
通信装置113は、有線通信60の通信規格により手術室用システム200-1~200-nとの通信を行う。
【0022】
モニタ150は、例えば液晶表示装置又はEL(Electro-Luminescence)表示装置等である。モニタ150はタッチパネルを有し、プロセッサ111は、スタッフ191~194からタッチパネルを介した操作入力を受け付ける。但し、操作入力はタッチパネルに限らず、例えば、マウス等のポインティングデバイスによって実現されてもよい。
【0023】
スタッフステーション用端末110のハードウェア構成は図3に限定されない。例えば、スタッフステーション用端末110が複数のモニタを含んでもよいし、或いは、情報処理装置と、各モバイル端末がモニタを有する複数のモバイル端末とで構成されてもよい。
【0024】
図4は、手術室用システム200の詳細構成例である。手術室用システム200は、図2の手術室用システム200-1~200-nの各々に対応する。手術室用システムは、情報処理システム210と第1端末221と第2端末222と第3端末223と支援用モニタ251と内視鏡モニタ252と内視鏡システム270とを含む。なお、以下では内視鏡システム270を用いた手術を例に説明するが、本実施形態の手術室用支援システムは、内視鏡システム270を用いない手術に用いられてもよい。その場合には、例えば、術野を撮影するカメラと、そのカメラ画像を表示するモニタとが設けられてもよい。
【0025】
内視鏡システム270と支援用モニタ251と内視鏡モニタ252は、外科医294が使用又は観察できるように手術台260付近に配置される。内視鏡システム270は、内視鏡、及び内視鏡が撮影した画像を画像処理する画像処理装置等を含む。内視鏡システム270の画像処理装置は、内視鏡によって撮影された内視鏡画像を手術画像として内視鏡モニタ252に表示させる。
【0026】
情報処理システム210は、プロセッサ211と記憶装置212と通信装置213と通信装置214とを含む。情報処理システム210は、1又は複数の情報処理装置で構成されてもよいし、或いはクラウドシステムで実現されてもよい。例えば、情報処理システム210は、電子カルテ等の蓄積データを取得及び蓄積するデータサーバと、オペチームメンバーへの手術支援又はスタッフステーション用端末110との連携を行う情報処理装置とで構成されてもよい。
【0027】
第1メンバー291、第2メンバー292及び第3メンバー293は、オペチームメンバーにおける外科医294以外のメンバーである。具体的には、第1メンバー291は外回り看護師であり、第2メンバー292は器械出し看護師であり、第3メンバー293は麻酔科医である。但し、各メンバーの役割はこれらに限定されるものでなく、第1メンバー291は外科医以外の第1役割のメンバーであればよく、第2メンバー292は外科医及び第1役割以外の第2役割のメンバーであればよく、第3メンバー293は外科医、第1役割及び第2役割以外の第3役割のメンバーであればよい。
【0028】
手術室用システムに含まれる複数の端末のうち、第1メンバー291に割り当てられた端末が第1端末221であり、第2メンバー292に割り当てられた端末が第2端末222であり、第3メンバー293に割り当てられた端末が第3端末223である。複数の端末のいずれを、どのメンバーに割り当てるのかは、任意であってよい。例えば、ID認証等によって端末がメンバーに割り当てられてもよい。
【0029】
なお、各役割には1人以上のメンバーが割り当てられていればよく、同一役割に2人以上のメンバーが割り当てられてもよい。例えば、オペチームメンバーが、外回り看護師である第4メンバーを更に含んでもよい。このとき、外回り看護師である第1メンバーと第4メンバーに1台ずつ端末が割り当てられてもよいし、共通の1台の端末が割り当てられてもよい。いずれにしても、外回り看護師である第1メンバー291には第1端末221が割り当てられている。
【0030】
プロセッサ211は、手術支援に関する様々な処理を実行する。プロセッサ211は、例えば、各種画像又は各種情報を通信装置214を介して各端末に表示させる処理、各種画像又は各種情報を支援用モニタ251に表示させる処理、各メンバーからの操作入力に応じてチェックリスト等の情報を更新する処理、通信装置213を介してスタッフステーション用端末110と情報をやり取りする処理、その通信内容に基づく情報を各端末又は支援用モニタ251に表示させる処理等を行う。プロセッサ211は、処理部又は処理装置等とも呼ばれる。プロセッサ111はハードウェアを含み、例えばCPU、マイクロコンピュータ又はGPU等であってもよいし、或いはASIC又はFPGA等であってもよい。
【0031】
記憶装置212は、半導体メモリ、ハードディスクドライブ又は光学ドライブ等である。半導体メモリは、RAM等の揮発性メモリ、又はEEPROM等の不揮発性メモリである。記憶装置212は、情報処理システム210が実行する処理の内容が記述されたプログラムを記憶する。プロセッサ211は、記憶装置212からプログラムを読み出して実行する。また記憶装置212は、手術支援に必要な様々なデータを記憶したり、電子カルテ等の蓄積データを蓄積したり、或いはプロセッサ211のワーキングメモリとして機能したりする。
【0032】
通信装置213は、有線通信60によりスタッフステーション用端末110との通信を行う。
【0033】
支援用モニタ251と内視鏡モニタ252は、例えば液晶表示装置又はEL表示装置等である。支援用モニタ251と内視鏡モニタ252としては、タッチパネル非搭載のモニタが想定されるが、これに限定されない。また、支援用モニタ251と内視鏡モニタ252が、必ずしも2つのモニタである必要はなく、例えば1つのモニタの表示領域を分割することで実現されてもよい。
【0034】
通信装置214は、無線LAN等の無線通信により第1端末221、第2端末222及び第3端末223との通信を行う。なお、通信装置214は、有線LAN等の有線通信により第1端末221、第2端末222及び第3端末223との通信を行ってもよい。
【0035】
第1端末221、第2端末222及び第3端末223としては、タブレット型端末等のモバイル端末が想定されるが、これに限定されない。図5に、端末220の詳細構成例を示す。端末220は、第1端末221、第2端末222及び第3端末223の各々に対応する。端末220は、プロセッサ225と記憶装置226と通信装置228とモニタ229とを含む。
【0036】
通信装置228は、無線通信により情報処理システム210との通信を行う。記憶装置226は、端末220が実行する処理の内容が記述されたプログラムを記憶する。プロセッサ225は、記憶装置226からプログラムを読み出して実行する。また記憶装置212は、プロセッサ225のワーキングメモリとして機能する。プロセッサ225は、情報処理システム210から送信される各種画像又は各種情報をモニタ229に表示させる。モニタ229はタッチパネルを有し、プロセッサ225は、端末220を持つメンバーからタッチパネルを介した操作入力を受け付ける。
【0037】
図6に、外科支援システム50を用いた手術支援のフローを示す。なお、ここでは1つの手術に関するフローを示すが、外科支援システム50は、手術が行われていないときにも手術スケジュールの管理等の機能をスタッフステーション10のスタッフに対して提供可能である。
【0038】
ステップS1において、手術室用システム200は、外回り看護師の第1端末221と麻酔科医の第3端末223にサインインのチェックリストを表示させる。外回り看護師と麻酔科医は、サインインのチェックリストをチェックする。ステップS1とステップS5の間において、ステップS2~S4は順不同又は並列に行われてよい。
【0039】
ステップS2において、手術室用システム200は、外科医に対して、手術を支援するための支援情報を提供する。例えば、手術室用システム200は、内視鏡のライブ画像に対する画像認識処理を行うことで、ライブ画像から出血領域又はランドマークを検出したり、ライブ画像に対して距離計測を行ったりする。手術室用システム200は、その認識結果を支援情報としてライブ画像に重畳して支援用モニタ251に表示させる。画像認識処理には様々なアルゴリズムを採用できるが、一例としては機械学習を用いた画像認識処理を採用できる。この場合、記憶装置212は、入力された内視鏡画像から出血領域等の認識結果を出力するように学習された学習済みモデルを記憶している。プロセッサ211は、学習済みモデルに基づく処理により内視鏡画像から出血領域等を推定し、その推定結果をライブ画像に重畳して支援用モニタ251に表示させる。
【0040】
ステップS3において、手術室用システム200は、外科医以外のオペチームメンバーに対する支援を行う。例えば、手術室用システム200は、タイマー、ガーゼカウンター、バイタル通知、体位通知、手術手順通知、患者毎のリスク通知、出血通知又は尿量通知等の機能を第1端末221、第2端末222及び第3端末223を介して各メンバーに提供する。
【0041】
ステップS4において、スタッフステーション用システム100は、スタッフステーション10のスタッフに対して支援を行う。例えば、スタッフステーション用システム100は、スタッフにスケジューラ機能を提供する。具体的には、スタッフステーション用システム100は、手術スケジュール、器械リスト又はスタッフリスト等をモニタ150に表示させ、スタッフがタッチパネル等により手術スケジュールを管理できるようにする。或いは、スタッフステーション用システム100は、手術室用システム200と連携してスタッフを支援する。具体的には、スタッフステーション用システム100は、手術室用システム200から受信した手術進捗情報、アラート情報、又は手術室内を写したリアルタイム手術映像等を、モニタ150のスケジュール画面に表示する。或いは、スタッフステーション用システム100は、手術室用システム200から受信した手術進捗情報、アラート情報、内視鏡のライブ画像、又は手術室内を写したリアルタイム手術映像等を関連付けて記録し、その記録に基づく履歴情報をモニタ150に表示させる。
【0042】
ステップS5において、手術室用システム200は、外回り看護師の第1端末221と器械出し看護師の第2端末222と麻酔科医の第3端末223と外科医の支援用モニタ251にサインアウトのチェックリストを表示させる。外回り看護師、器械出し看護師、麻酔科医及び外科医は、サインアウトのチェックリストをチェックする。
【0043】
図7に、チェックリストのチェックタイミングを示すフローを示す。ステップS21において、オペチームメンバーが術式を選択する。
【0044】
ステップS22において、オペチームメンバーが患者を手術室に入室させる。このとき、手術室用システム200が外回り看護師の第1端末221に入室時チェックリストを表示させ、外回り看護師が入室時チェックリストをチェックする。
【0045】
ステップS23において、オペチームメンバーがサインインを実施する。サインインとは、麻酔導入前のチェックリストをチェックすることである。このとき、手術室用システム200が外回り看護師の第1端末221と麻酔科医の第3端末223にサインインのチェックリストを表示させる。外回り看護師と麻酔科医は、サインインのチェックリストをチェックする。
【0046】
ステップS24において、麻酔科医が患者に麻酔を導入する。ステップS25において、外科医が手技開始の準備を行う。ステップS26において、オペチームメンバーがタイムアウトを実施する。タイムアウトとは、皮膚切開前のチェックリストをチェックすることである。このとき、手術室用システム200は、外回り看護師の第1端末221と器械出し看護師の第2端末222と麻酔科医の第3端末223と外科医の支援用モニタ251にタイムアウトのチェックリストを表示させる。外回り看護師、器械出し看護師、麻酔科医及び外科医は、タイムアウトのチェックリストをチェックする。
【0047】
ステップS27において、外科支援システム50が画像認識処理を用いた手術支援を開始する。ステップS28において、外科支援システム50の手術支援が終了した後に、オペチームメンバーがサインアウトを実施する。サインアウトとは、手術室退室前のチェックリストをチェックすることである。このとき、手術室用システム200は、外回り看護師の第1端末221と器械出し看護師の第2端末222と麻酔科医の第3端末223と外科医の支援用モニタ251にサインアウトのチェックリストを表示させる。外回り看護師、器械出し看護師、麻酔科医及び外科医は、サインアウトのチェックリストをチェックする。
【0048】
ステップS29において、オペチームメンバーが患者を手術室から退室させる。
【0049】
図8に、チェックリストの表示及び操作の説明図を示す。ここではサインインを例に説明する。
【0050】
サインインのチェックリストには、複数の項目と、各項目に付されたチェックボックスとが表示される。図8には、項目A~Gが表示された例を示すが、項目の数はこれに限定されない。メンバーは、タッチパネルによりチェックボックスをタップ操作することで、その項目のチェック状況を変更できる。またサインインのチェックリストには、キャンセルボタンとOKボタンOKボタン等が表示される。メンバーは、タッチパネルによりキャンセルボタン又はOKボタンをタップ操作することで、チェック作業をキャンセル又は完了できる。チェックリスト操作の詳細については、後述する。
【0051】
サインインのチェックリストは、外回り看護師の第1端末221と麻酔科医の第3端末223に共通に表示され、そのチェック状況が第1端末221と第3端末223で共有される。具体的には、手術室用システム200の記憶装置212が、チェックリストのチェック状況を示すチェック状況データを記憶している。外回り看護師が第1端末221を介してチェックリストに入力を行ったとき、又は麻酔科医が第3端末223を介してチェックリストに入力を行ったときの、いずれにおいても、プロセッサ211は、記憶装置212内の共通のチェック状況データを更新する。プロセッサ211は、その更新されたチェック状況データに基づいてチェックリストを第1端末221と第3端末223に表示させる処理を行う。これにより、第1端末221と第3端末223におけるチェックリストのチェック状況が共有される。
【0052】
ここで、「プロセッサがチェックリストを端末に表示させる処理」とは、プロセッサが、チェックリストに関連するデータを端末に送信し、そのデータに基づいて端末にチェックリストが表示されるような処理であれば、どのような処理であってもよい。例えば、プロセッサがチェック状況データに基づいてチェックリストの表示画像を生成して端末に送信し、端末が、そのチェックリストの表示画像を端末のモニタに表示してもよい。或いは、プロセッサがチェック状況データを端末に送信し、端末が、そのチェック状況データに基づいてチェックリストの表示画像を生成して端末のモニタに表示してもよい。なお、ここではチェックリストを例に「表示させる処理」の意味を説明したが、端末に表示される情報がチェックリスト以外であっても「表示させる処理」の意味は同様である。
【0053】
図9に、入室時チェックリストの表示内容例を示す。表示内容の1つの欄が1つのチェック項目を示す。
【0054】
入室時チェックリストは、「カルテ」、「IDカード」、及び「リストバンド」のチェック項目を含む。これらを患者識別情報と呼ぶ。また入室時チェックリストは、「手術同意書」、及び「麻酔同意書」のチェック項目を含む。これらを事前同意情報と呼ぶ。また入室時チェックリストは、「抗生剤の内容と数」、「輸血オーダー表」、及び「術式別の必要物」のチェック項目を含む。これらを機材及び薬剤準備情報と呼ぶ。また入室時チェックリストは、「マーキング」のチェック項目を含む。これをマーキング情報と呼ぶ。
【0055】
図10に、サインインのチェックリストの表示内容例を示す。表示内容の1つの欄が1つのチェック項目を示す。
【0056】
サインインのチェックリストは、「手術部位はマーキングされているか?」のチェック項目を含む。これをマーキング情報と呼ぶ。またサインインのチェックリストは、「麻酔器と薬剤のチェックは完了したか?」、及び「パルスオキシメータが患者に装着され、作動しているか?」のチェック項目を含む。これらを機材及び薬剤チェック情報と呼ぶ。またサインインのチェックリストは、「患者に既知のアレルギーがあるか?」、「患者に気道確保困難又は誤飲のリスクがあるか?」、及び「患者に500ml(小児では7ml/kg)以上の出血リスクはあるか?」のチェック項目を含む。これらを患者リスク情報と呼ぶ。
【0057】
図11に、タイムアウトのチェックリストの表示内容例を示す。表示内容の1つの欄が1つのチェック項目を示す。
【0058】
タイムアウトのチェックリストは、「手術予定時間は?」のチェック項目を含む。これをスケジュール情報と呼ぶ。なお、手術伝票又は電子カルテの項目を関連情報として手術スケジュールに紐付けている場合、手術室用システム200は、タイムアウトのチェック後に手術予定時間を、端末に表示させる。上記紐付けがない場合には、手術室用システム200は、本手術で選択された術式における手技ステップ合計時間を、端末に表示させる。またタイムアウトのチェックリストは、「予想出血量は?」、及び「手順や患者に懸念すべき問題はあるか?」のチェック項目を含む。これらを手術経過予想情報と呼ぶ。なお、手術伝票又は電子カルテの項目を関連情報として手術スケジュールに紐付けている場合、手術室用システム200は、タイムアウトのチェック後に予想出血量を、端末に表示させる。またタイムアウトのチェックリストは、「抗菌薬の予防的投与が直前60分以内に行われたか?」のチェック項目を含む。これを薬剤準備情報と呼ぶ。またタイムアウトのチェックリストは、「器械の滅菌は確認済みか?」のチェック項目を含む。これを機材準備情報と呼ぶ。
【0059】
図12に、サインアウトのチェックリストの表示内容例を示す。表示内容の1つの欄が1つのチェック項目を示す。
【0060】
サインアウトのチェックリストは、「患者氏名、病名、術式名は?」のチェック項目を含む。これを患者及び手術識別情報と呼ぶ。なお、手術伝票又は電子カルテの項目を関連情報として手術スケジュールに紐付けている場合、手術室用システム200は、サインアウトのチェック後に患者氏名、病名、及び術式名を、端末に表示させる。またサインアウトのチェックリストは、「器材、ガーゼ(スポンジ)、針の数はあっているか?」のチェック項目を含む。これを機材数情報と呼ぶ。またサインアウトのチェックリストは、「パルスオキシメータが患者に装着され、作動しているか?」、及び「対処すべき器材問題があるか?」のチェック項目を含む。これらを機材作動情報と呼ぶ。またサインアウトのチェックリストは、「標本の表示」のチェック項目を含む。これを標本情報と呼ぶ。またサインアウトのチェックリストは、「患者の術後の回復又は管理において、鍵となる懸念事項はあるか?」のチェック項目を含む。これを術後経過予想情報と呼ぶ。
【0061】
2.第1詳細構成例
従来、手術での確認ミスによる患者誤認や手術部位誤認などのリスクを軽減するため、手術においてチェックリストを用いた確認が行われている。入室時、サインイン、タイムアウト及びサインアウトでチェック担当メンバーが異なることから、それらのチェック担当メンバーに対して適切に情報提示したいという課題がある。
【0062】
上述した特許文献1には、手術手順やリスク情報といった手術を支援するためのナビゲーション情報をユーザに提示する手術関連情報提示装置が開示されている。このような手術関連情報提示装置に、チェックリスト入力機能を持たせることも考えられるが、手術チームの中にはチェックリストの入力を行わない者もいるため、全員に同様のチェックリスト画面を提示すると、不要な情報提示になり、逆に利便性が損なわれてしまう恐れがある。
【0063】
第1詳細構成例は、こうした状況を鑑みたものであり、オペチームメンバーによる、手術におけるチェックリスト入力を効率的に支援可能とするものである。以下、第1詳細構成例を説明する。
【0064】
図13に、各チェックリストをチェックするメンバーの例を示す。丸印は、そのメンバーの端末にチェックリストが表示されると共に、そのメンバーが端末からチェックリストを操作可能であることを示す。×印は、そのメンバーの端末にチェックリストが表示されないと共に、そのメンバーの端末からチェックリストが操作不可であることを示す。手術室用システム200は、例えば、端末におけるID認証等に基づいてメンバーと端末の対応を判断する。なお、×印のメンバーの端末にチェックリストが表示されるが、そのメンバーの端末からチェックリストが操作不可であってもよい。
【0065】
入室時チェックリストは、外回り看護師が持つ第1端末221に表示され、外回り看護師が入室時チェックリストを操作可能である。その他のメンバーは入室時チェックリストを操作できない。
【0066】
サインインのチェックリストは、外回り看護師が持つ第1端末221及び麻酔科医が持つ第3端末223に表示され、外回り看護師と麻酔科医がサインインのチェックリストを操作可能である。その他のメンバーはサインインのチェックリストを操作できない。
【0067】
タイムアウト及びサインアウトのチェックリストは、外回り看護師が持つ第1端末221、器械出し看護師が持つ第2端末222、麻酔科医が持つ第3端末223、及び外科医が見るモニタに表示され、外回り看護師、器械出し看護師、麻酔科医、及び外科医がタイムアウトのチェックリストを操作可能である。外科医が見るモニタは、例えば支援用モニタ251である。なお、支援用モニタ251にタッチパネルがない等、外科医が入力手段を有しない場合には、外科医は、他のメンバーに言葉で伝え、そのメンバーが代わりに端末からチェックリスト入力してもよい。
【0068】
以上に説明した本実施形態の外科支援システム50は、情報処理システム210を含む。情報処理システム210は、プロセッサ211を含む。プロセッサ211は、オペチームメンバーのうちの第1役割を持つ第1メンバー291に情報表示する第1端末221、及びオペチームメンバーのうちの第2役割を持つ第2メンバー292に情報表示する第2端末222を含む複数の端末と通信接続される。プロセッサ211は、外科支援システム50による手術支援の開始前に入力が必要となる第1チェックリストを第1端末221に表示させる処理を行うことで、第1チェックリストを第1メンバーに提示する。プロセッサ211は、第1メンバー291からの第1端末221を介した第1チェックリストに対する入力を受け付けたとき、受け付けた入力に応じてチェック状況を変更した第1チェックリストを第1端末221に表示させる処理を行う。プロセッサ211は、第2メンバー292からの第1チェックリストに対するチェック状況の変更を受け付けない。
【0069】
本実施形態によれば、第1メンバーと第2メンバーの役割に応じて、第1チェックリストの提示及びチェック入力の受け付けを適切に制御できるので、オペチームメンバーによるチェックリスト入力を効率的に支援可能である。例えば、第1チェックリストをチェックする役割の第1メンバーが第1チェックリストの入力を行い、第1チェックリストをチェックする必要がない第2メンバーが、補助領域を操作するなどのチェックリスト入力以外の作業を実施可能になる。
【0070】
なお図13の例では、第1役割を有する第1メンバー291は外回り看護師であり、第2役割を有する第2メンバー292は器械出し看護師である。また、第1チェックリストはサインインのチェックリストである。チェック状況の変更と共有、及び「表示させる処理」については図8で説明されている。
【0071】
また本実施形態では、複数の端末は、オペチームメンバーのうちの第3役割を持つ第3メンバー293に情報提示する第3端末223を含む。プロセッサ211は、第1チェックリストを第1端末221及び第3端末223に表示させる処理を行うことで、第1チェックリストを第1メンバー291及び第3メンバー293に提示する。プロセッサ211は、第1チェックリストに対する、第1メンバーからの第1端末221を介した入力又は第3メンバー293からの第3端末223を介した入力の少なくとも一方の入力を受け付けたとき、受け付けた入力に応じてチェック状況を変更した第1チェックリストを第1端末221と第3端末223に表示させる処理を行う。
【0072】
本実施形態によれば、第1メンバー~第3メンバーの役割に応じて、第1チェックリストの提示及びチェック入力の受け付けを適切に制御できるので、オペチームメンバーによるチェックリスト入力を効率的に支援可能である。
【0073】
なお図13の例では、第3役割を有する第3メンバー293は麻酔科医である。
【0074】
また本実施形態では、プロセッサ211は、第1チェックリストを第2端末222に表示させないことで、第2メンバー292からの第1チェックリストに対するチェック状況の変更を受け付けなくする。
【0075】
本実施形態によれば、第1チェックリストが第2端末に表示されないので、第2メンバーが第1チェックリストを変更できない。これにより、第2メンバーからの第1チェックリストに対するチェック状況の変更を受け付けなくできる。
【0076】
「チェック状況の変更を受け付けなくする」手法としては、例えば以下の第1手法と第2手法がある。
【0077】
第1手法では、プロセッサ211は、第2メンバー292からの第2端末222を介した第1チェックリストに対する入力を受け付けないことで、第2メンバー292からの第1チェックリストに対するチェック状況の変更を受け付けなくする。
【0078】
即ち、第2端末222に第1チェックリストが表示されるか否かに関わらず、第2メンバー292による第2端末222へのチェック入力そのものを受け付けない。これにより、第2メンバーからの第1チェックリストに対するチェック状況の変更を受け付けなくできる。
【0079】
第2手法では、プロセッサ211は、第2メンバー292からの第2端末222を介した第1チェックリストに対する入力を受け付けたとき、受け付けた前記入力に応じて前記チェック状況を変更しないことで、前記第2メンバーからの前記第1チェックリストに対する前記チェック状況の変更を受け付けなくする。
【0080】
即ち、第2端末222に第1チェックリストが表示され、第2メンバー292による第2端末222へのチェック入力そのものについては受け付け可能であるが、プロセッサ211は、その入力を受け付けてもチェック状況に反映させない。これにより、第2メンバーからの第1チェックリストに対するチェック状況の変更を受け付けなくできる。
【0081】
また本実施形態では、プロセッサ211は、オペチームメンバーのうちの外科医294からの第1チェックリストに対するチェック状況の変更を受け付けない。
【0082】
本実施形態によれば、端末を操作する第1メンバー~第3メンバーとモニタを見る外科医の役割に応じて、チェックリストの提示及びチェック入力の受け付けを適切に制御できるので、オペチームメンバーによるチェックリスト入力を効率的に支援可能である。
【0083】
また本実施形態では、プロセッサ211は、オペチームメンバーのうちの外科医294に情報を提示するためのモニタ251に第1チェックリストを表示させないことで、外科医294からの第1チェックリストに対するチェック状況の変更を受け付けなくする。
【0084】
本実施形態によれば、第1チェックリストが、外科医が見るモニタに表示されないので、外科医が第1チェックリストを変更できない。これにより、外科医からの第1チェックリストに対するチェック状況の変更を受け付けなくできる。
【0085】
また本実施形態では、第1チェックリストは、麻酔導入の前に入力が必要なチェックリストである。
【0086】
麻酔導入の前に入力が必要なチェックリストは、サインインのチェックリストである。本実施形態によれば、端末を操作するメンバーの役割に応じて、麻酔導入の前に入力が必要なチェックリストの提示及びチェック入力の受け付けを適切に制御できる。
【0087】
また本実施形態では、プロセッサ211は、第1チェックリストに対する入力が完了した後において外科支援システムによる手術支援の開始前に入力が必要となる第2チェックリストを、第1端末221と第2端末222に表示させる処理を行うことで、第2チェックリストを第1メンバー291と第2メンバー292に提示する。プロセッサ211は、第2チェックリストに対する、第1メンバー291からの第1端末221を介した入力又は第2メンバー292からの第2端末222を介した入力の少なくとも一方の入力を受け付けたとき、受け付けた入力に応じてチェック状況を変更した第2チェックリストを第1端末221と第2端末222に表示させる処理を行う。
【0088】
本実施形態によれば、第1メンバーと第2メンバーの役割に応じて、第2チェックリストの提示及びチェックリスト入力の受け付けとを適切に制御できるので、オペチームメンバーによるチェックリスト入力を効率的に支援可能である。
【0089】
なお図13の例では、第2チェックリストはタイムアウトのチェックリストである。
【0090】
また本実施形態では、プロセッサ211は、第2チェックリストを、第1端末221、第2端末222、第3端末223、及び外科医294に情報を提示するためのモニタ251に表示させることで、第2チェックリストを第1メンバー291、第2メンバー292、第3メンバー293及び外科医294に提示する。プロセッサ211は、第2チェックリストに対する、第1メンバー291からの第1端末221を介した入力、第2メンバー292からの第2端末222を介した入力、第3メンバー293からの第3端末223を介した入力、又は外科医294からのモニタ251を介した入力の少なくとも1つの入力を受け付けたとき、受け付けた入力に応じてチェック状況を変更した第2チェックリストを、第1端末221、第2端末222、第3端末223及びモニタ251に表示させる処理を行う。
【0091】
本実施形態によれば、第1メンバー~第3メンバーと外科医の役割に応じて、第2チェックリストの提示及びチェックリスト入力の受け付けとを適切に制御できるので、オペチームメンバーによるチェックリスト入力を効率的に支援可能である。
【0092】
また本実施形態では、プロセッサ211は、手術支援の終了後に入力が必要となる第3チェックリストを、第1端末221と第2端末222に表示させる処理を行うことで、第3チェックリストを第1メンバー291と第2メンバー292に提示する。プロセッサ211は、第3チェックリストに対する、第1メンバー291からの第1端末221を介した入力又は第2メンバー292からの第2端末222を介した入力の少なくとも一方の入力を受け付けたとき、受け付けた入力に応じてチェック状況を変更した第3チェックリストを第1端末221と第2端末222に表示させる処理を行う。
【0093】
本実施形態によれば、第1メンバーと第2メンバーの役割に応じて、第3チェックリストの提示及びチェックリスト入力の受け付けとを適切に制御できるので、オペチームメンバーによるチェックリスト入力を効率的に支援可能である。
【0094】
なお図13の例では、第3チェックリストはサインアウトのチェックリストである。
【0095】
また本実施形態では、プロセッサ211は、第3チェックリストを、第1端末221、第2端末222、第3端末223、及び外科医294に情報を提示するためのモニタ251に表示させることで、第3チェックリストを第1メンバー291、第2メンバー292、第3メンバー293及び外科医294に提示する。プロセッサ211は、第3チェックリストに対する、第1メンバー291からの第1端末221を介した入力、第2メンバー292からの第2端末222を介した入力、第3メンバーからの第3端末223を介した入力又は外科医294からのモニタ251を介した入力の少なくとも1つの入力を受け付けたとき、受け付けた入力に応じてチェック状況を変更した第3チェックリストを、第1端末221、第2端末222、第3端末223及びモニタ251に表示させる処理を行う。
【0096】
本実施形態によれば、第1メンバー~第3メンバーと外科医の役割に応じて、第3チェックリストの提示及びチェックリスト入力の受け付けとを適切に制御できるので、オペチームメンバーによるチェックリスト入力を効率的に支援可能である。
【0097】
なお、本実施形態は以下のように外科支援方法として実施されてもよい。この外科支援方法は外科支援システム50の作動方法として実施されてもよい。外科支援方法は、外科支援システム50による手術支援の開始前に入力が必要となる第1チェックリストを第1端末221に表示させる処理を行うことで、オペチームメンバーのうちの第1役割を持つ第1メンバー291に第1チェックリストを提示すること、を含む。また外科支援方法は、第1メンバーから291の第1端末221を介した第1チェックリストに対する入力を受け付けたとき、受け付けた入力に応じてチェック状況を変更した第1チェックリストを第1端末221に表示させる処理を行うこと、を含む。また外科支援方法は、オペチームメンバーのうちの第2役割を持つ第2メンバー292からの第1チェックリストに対するチェック状況の変更を受け付けないこと、を含む。
【0098】
また、本実施形態は以下のように、プログラム、或いはコンピュータが読み取り可能な非一時的な情報記憶媒体として実施されてもよい。プログラムは、外科支援システム50による手術支援の開始前に入力が必要となる第1チェックリストを第1端末221に表示させる処理を行うことで、オペチームメンバーのうちの第1役割を持つ第1メンバー291に第1チェックリストを提示すること、をコンピュータに実行させる。またプログラムは、第1メンバーから291の第1端末221を介した第1チェックリストに対する入力を受け付けたとき、受け付けた入力に応じてチェック状況を変更した第1チェックリストを第1端末221に表示させる処理を行うこと、をコンピュータに実行させる。また外科支援方法は、オペチームメンバーのうちの第2役割を持つ第2メンバー292からの第1チェックリストに対するチェック状況の変更を受け付けないこと、をコンピュータに実行させる。情報記憶媒体は、このプログラムを記憶する。コンピュータは、情報記憶媒体からプログラムを読み出し、そのプログラムを実行することで、外科支援システム50の機能を実現する。情報記憶媒体は、例えば光ディスク、メモリカード、HDD、或いは半導体メモリなどにより実現できる。半導体メモリは例えばROM又は不揮発性メモリである。
【0099】
図14は、端末に表示されるチェックリスト画面の例である。ここではタイムアウトを例に図示する。
【0100】
A1に示すように、画面上部にチェックリスト名称が表示される。A2に示すように、チェックリスト名称の下に、上から順に項目H~Nが並んで配置される。但し、項目数と項目配置はこれに限定されるものでない。A3に示すように、各項目の先頭にチェックボックスが表示される。このチェックボックスは、チェック状況に応じた表示態様となっており、そのチェック状況は、タイムアウトのチェックリストが表示された端末間で共有されている。
【0101】
A4に示すように、画面下部にキャンセルボタンが表示される。キャンセルボタンは、例えばタッチパネルのタップ操作により押下可能である。キャンセルボタンは、チェックリスト画面をキャンセルして他の画面に遷移するためのボタンである。キャンセルボタンは、チェックの進捗に関わらず押下可能な状態となっている。
【0102】
A5に示すように、画面下部にOKボタンが表示される。OKボタンは、例えばタッチパネルのタップ操作により押下可能である。OKボタンは、チェックリストのチェックを完了して他の画面に遷移するためのボタンである。全項目のチェックが完了していない場合、OKボタンはグレーアウトしており、非アクティブ状態となっている。全項目のチェックが完了した場合、OKボタンのグレーアウトが解除され、OKボタンがアクティブ状態となる。
【0103】
例えば、入室時チェックリストのチェックが完了してOKボタンが押されると、第1端末221と第3端末223にサインインのチェックリストが表示される。サインインのチェックリストのチェックが完了してOKボタンが押されると、第1端末221~第3端末223と支援用モニタ251にタイムアウトのチェックリストが表示される。タイムアウトのチェックリストのチェックが完了してOKボタンが押されると、第1端末221~第3端末223に、手術のライブ画像と、手術の補助作業を行うための補助情報とが表示される。また支援用モニタ251に、図6のステップS2等で説明した手術支援情報が表示される。手術が終了すると第1端末221~第3端末223と支援用モニタ251にサインアウトのチェックリストが表示され、サインアウトのチェックリストのチェックが完了してOKボタンが押されると、チェック終了となる。
【0104】
図15に、チェックボックスの表示態様例を示す。B1に示すように、初期状態において、チェックボックスは、未チェックを示す第1表示態様となっている。第1表示態様は、例えば空欄である。
【0105】
チェックリストをチェック可能なメンバーのいずれかがチェックボックスをタップ操作すると、B2に示すように、チェックボックスが、チェック済みを示す第2表示態様に変化する。第2表示態様は、例えばチェックマークである。また、更にチェックボックスに色が付されてもよい。その色は例えば水色である。
【0106】
チェックリストをチェック可能なメンバーのいずれかがチェックボックスを更にタップ操作すると、B3に示すように、チェックボックスが、異議有り状態を示す第3表示態様に変化する。異議あり状態は、そのチェック項目に関してメンバー間で意見が異なることを示す。第3表示態様は、例えばXマークである。また、更にチェックボックスに、第2表示状態とは異なる色が付されてもよい。その色は例えば黄色である。
【0107】
チェックリストをチェック可能なメンバーのいずれかがチェックボックスを更にタップ操作すると、B1に示すように、チェックボックスが第1表示態様に戻る。
【0108】
以上に説明した本実施形態では、プロセッサ211は、第1チェックリストにおける第1チェック項目を第1表示状態で第1端末221と第3端末223に表示させているとき、入力に応じて、第1チェック項目の表示状態を第1表示状態とは異なる第2表示状態に変更し、第1チェック項目を第2表示状態で第1端末221と第3端末223に表示させる処理を行う。ここでの入力は、第1チェック項目に対する、第1メンバー291からの第1端末221を介した入力又は第3メンバー293からの第3端末223を介した入力の少なくとも一方の入力である。
【0109】
また本実施形態では、プロセッサ211は、第1チェック項目を第2表示状態で第1端末221と第3端末223に表示させているとき、入力に応じて、第1チェック項目の表示状態を第1表示状態及び第2表示状態とは異なる第3表示状態に変更し、第1チェック項目を第3表示状態で第1端末221と第3端末223に表示させる処理を行う。ここでの入力は、第1チェック項目に対する、第1メンバー291からの第1端末221を介した入力又は第3メンバー293からの第3端末223を介した入力の少なくとも一方の入力である。
【0110】
本実施形態によれば、第1メンバー又は第3メンバーのいずれが第1チェック項目をチェックしたとしても、第1チェック項目が第1表示状態から第2表示状態に、或いは第2表示状態から第3表示状態に遷移する。これにより、第1メンバーと第3メンバーのいずれもチェックリストのチェック状況を変更できると共に、その変更されたチェック状況が第1メンバーと第3メンバーに共有される。
【0111】
また本実施形態では、第1表示状態は、第1チェック項目が未チェックであることを示す表示状態である。第2表示状態は、第1チェック項目がチェック済みであることを示す表示状態である。第3表示状態は、第1チェック項目が異議有り状態であることを示す表示状態である。
【0112】
本実施形態によれば、第1メンバー又は第3メンバーのいずれが第1チェック項目をチェックすることで、第1チェック項目の表示状態を、未チェック、チェック済み、異議あり状態に順に遷移させることができる。この表示状態が第1メンバーと第3メンバーで共有されることで、各メンバーの意思が共有される。
【0113】
また本実施形態では、プロセッサ211は、第1チェックリストに対する入力が完了した後、次画面に遷移するためのボタンを第1端末221と第3端末223に表示させる処理を行うことで、そのボタンを第1メンバー291と第3メンバー293に提示する。プロセッサ211は、そのボタンに対する、第1メンバー291からの第1端末221を介した入力又は第3メンバー293からの第3端末223を介した入力の少なくとも一方の入力を受け付けたとき、次画面を第1端末221と第3端末223に表示させる処理を行う。
【0114】
本実施形態によれば、第1メンバーと第3メンバーが、第1チェックリストに対する入力が完了した後にボタンを操作することで端末の表示を次画面に遷移させることができる。
【0115】
なお図14の例では、「次画面に遷移するためのボタン」はA5のOKボタンであり、「ボタンを端末に表示させる処理」は、OKボタンをグレーアウト状態からアクティブ状態にすることを意味する。但し、これに限定されず、第1チェックリストに対する入力が完了していないときにはOKボタンを全く表示させず、第1チェックリストに対する入力が完了したときに初めてOKボタンを表示させるようにしてもよい。
【0116】
また本実施形態では、プロセッサ211は、第2チェックリストに対する入力が完了した後に、オペチームメンバーのうちの外科医に対して手術支援を行うための手術支援情報をモニタ251に表示させる処理を行う。
【0117】
第2チェックリストはタイムアウトのチェックリストであり、皮膚切開前にチェックされる。この第2チェックリストに対する入力が完了した後に自動的に手術支援に遷移することで、オペチームメンバーを効率的に支援できる。
【0118】
なお、タイムアウト後に手術支援に遷移することは、図7のステップS26とS27等で説明されている。また、手術支援情報については、図6のステップS2等で説明されている。
【0119】
また本実施形態では、プロセッサ211は、第2チェックリストに対する入力の完了を記録する処理を行う。具体的には、プロセッサ211は、第2チェックリストに対する入力の完了を手術室用システム200の記憶装置212又はスタッフステーション用システム100の記憶装置112に記録する処理を行う。
【0120】
第2チェックリストはタイムアウトのチェックリストであり、タイムアウトを終了して手術が開始されることは、手術フローにおける1つのマイルストーンとなっている。本実施形態によれば、このような手術フローにおけるマイルストーンを記録できる。例えば、その記録情報を、外科支援システム50が手術の履歴情報として利用できる。
【0121】
また本実施形態では、プロセッサ211は、第1チェックリストのチェック前に入力が必要となる第4チェックリストを第1端末221に表示させる処理を行うことで、第4チェックリストを第1メンバー291に提示する。プロセッサ211は、第1メンバー291からの第1端末221を介した第4チェックリストに対する入力を受け付ける。プロセッサ211は、第4チェックリストに対する入力が完了した後に、第1チェックリストを第1端末221に表示させる処理を行う。
【0122】
本実施形態によれば、第1チェックリストは、第4チェックリストのチェック完了後にチェックされるチェックリストである。この第4チェックリストに対する入力が完了した後に自動的に第1チェックリストが第1端末221に表示されることで、オペチームメンバーを効率的に支援できる。
【0123】
3.第2詳細構成例
上述した特許文献1には、手術を支援するためのナビゲーション情報をユーザに提示する手術関連情報提示装置が開示されている。このような従来のシステムでは、術中に支援情報を術者に表示し、その表示設定を切り替えることで多様な情報支援を可能にしている。しかし、従来のシステムはメンバー全員が同じ表示を見る事を前提にしている、つまり、単に一つの端末の表示内容を切り替えるのみである。従来のシステムは、役割毎に異なる情報を各メンバーが確認できるような機能は有しておらず、複数のチームメンバーに対する効率的な情報支援はできないという課題がある。
【0124】
具体的には、手術は1人の外科医が行う作業のみで完結するものではなく、計画、準備及び支援などを含む複数人からなるチームにより行われる。チームメンバーには、オペルーム外のメンバーも含まれる。外科支援システムは、これら多様な役割を持つチームメンバー全体に対して情報支援を行う事が望ましい。しかし一方で、各役割で必要な情報は異なっており、それらすべてを1つの端末に表示することは表示領域の限界から難しい。また表示できたとしても、画面が煩雑となり利便性が損なわれる。また、場合によっては同じ役割のメンバーであってもスキルや習熟度によって望ましい情報量や表示形態は異なっており、そのようなニーズにも応えられることが理想的である。
【0125】
以下、このような状況を鑑みた第2詳細構成例を説明する。
【0126】
図16は、手術中において手術室用システム200の第1端末221~第3端末223に表示される画面の例を示す。なお、第1端末221~第3端末223は互いに独立に操作可能となっている。
【0127】
画面上側には、ライブ画像領域が配置される。ライブ画像領域には、外科医294が見る内視鏡モニタ252に表示される内視鏡画像と同じライブ画像が表示される。ライブ画像は、内視鏡等によって撮影されたリアルタイムの手術画像のことであり、支援情報が加えられていない画像である。
【0128】
ライブ画像領域の左上に共通アラート領域が配置される。共通アラート領域には様々なアラートが表示され、第1端末221~第3端末223の共通アラート領域には、同じアラートが表示される。図16には、C1に示す「人員不足」のアラートと、C2に示す「出血検知」のアラートとが表示された例を示す。各アラートには、アラート名称とXマークが表示される。メンバーがXマークをタップ操作するとアラートが非表示になる。例えば、アラートはスタッフステーション用端末110に通知され、その通知されたことを確認するための通知表示が手術室用システム200の各端末に表示される。このとき、ライブ画像に重なるアラートをメンバーが非表示にしたい場合に、Xマークをタップ操作することで非表示にできる。人員不足アラートには、所定の場合にチェックマークが表示される。具体的には、人員不足アラートはスタッフステーション用端末110に通知され、スタッフステーション用端末110のモニタ150に表示される。スタッフステーション10のスタッフがモニタ150の人員不足アラートを確認してタップ操作すると、手術室用システム200の各端末の人員不足アラートにチェックマークが表示される。このとき、メンバーが人員不足アラートのXマークをタップ操作すると人員不足アラートが取り下げられ、スタッフステーション用端末110のモニタ150においても人員不足アラートが非表示となる。
【0129】
これらのアラートの他にも、共通アラート領域には、輸血パック不足を示すアラート、手術予定時間の超過を示すアラート、又は体位異常を示すアラート等が表示される。これらの共通アラートは、後述するタブの補助作業に関連したアラートである。例えば、出血検知アラートは出血タブに関連し、体位異常アラートは体位タブに関連する。但し、共通アラートには、タブの補助作業に関連しないアラートが含まれてもよい。共通アラートには、各種センサーの検出結果又は画像認識処理の認識結果に基づいて自動で表示されるものと、C3に示す+マークをタップ操作して手動で追加されるものと、がある。これらの詳細については後述する。
【0130】
画面下側には、補助領域が配置される。補助領域の上部にはタブ領域が配置され、その下には作業情報領域が配置される。タブ領域には複数のタブが横方向に並んで配置され、タップ操作によりタブを選択可能になっている。タブ領域には、例えば、「メニュー」「タイマー」「留置物」「バイタル」「体位」「手術手順」「患者対応」「出血」「尿量」「ピン留め」のタブが表示される。但し、タブの種類はこれらに限定されない。いずれかのタブが選択されると、その選択されたタブに対応した作業情報が作業情報領域に表示される。図16には、C4に示す「留置物」のタブが選択された状態を示す。
【0131】
「留置物」の作業情報として、留置物をカウントするためのカウンターが表示される。図16には、「ガーゼA種」と「ガーゼB種」の各々に対応したカウンターが表示された状態を示す。但し、カウント対象の留置物はガーゼに限定されない。各カウンターには留置物名が付され、体内に挿入した留置物をカウントするためのinカウンターと、体内から取り出した留置物をカウントするためのoutカウンターとが表示される。inカウンターには、カウント値をインクリメントするための「+」ボタンと、カウント値と、カウント値をデクリメントするための「-」ボタンとが表示される。outカウンターも同様である。
【0132】
「ピン留め」のタブは固定表示用タブであり、いわゆるお気に入り機能である。「ピン留め」タブには、任意のタブを選択して固定表示させることができる。例えば、「ピン留め」タブに「バイタル」を設定したとすると、「ピン留め」タブを選択することで、いつでも「バイタル」を表示させることができる。また、「ピン留め」のタブには2つのタブを固定表示させることができる。具体的には、作業情報領域の左側に第1タブの作業情報が表示され、右側に第2タブの作業情報が表示される。これら第1タブと第2タブには任意のタブを設定可能である。2つのタブの作業情報を並べて見ることが可能であるため、効率的な補助作業が可能になる。なお、「ピン留め」のタブに3つ以上のタブが固定表示可能であってもよい。
【0133】
以上に説明した本実施形態の外科支援システム50は、プロセッサ211を含む。プロセッサ211は、端末と通信接続され、その端末に表示画面を表示させる処理を行うことで、オペチームメンバーのうち外科医294以外のメンバーに対して端末を介して表示画面を提示する。表示画面は、ライブ画像領域と補助領域とを含む。ライブ画像領域は、オペチームメンバーにより遂行される手術のライブ画像が表示される。補助領域は、手術を管理するための複数の補助作業のうち、メンバーからの端末を介した選択入力により選択された補助作業に関する情報が表示される。
【0134】
本実施形態によれば、メンバーからの端末を介した選択入力により選択された補助作業に関する情報が補助領域に表示されるので、役割毎に異なる情報を各メンバーが確認できる。これにより、複数のチームメンバーに対する効率的な情報支援が可能になる。
【0135】
なお、図4の例では「端末」は第1端末221~第3端末223のいずれであってもよい。但し、外科支援システム50は1以上の端末を含んでいればよい。「メンバーからの端末を介した選択入力」は、図16の例においてタブを選択する操作に対応する。但し、「メンバーからの端末を介した選択入力」は、タブ操作に限定されず、補助領域に表示される情報を選択する操作であればよい。
【0136】
また本実施形態では、ライブ画像領域には、外科医用のモニタ252に表示されるライブ画像が表示される。
【0137】
本実施形態によれば、各メンバーは、外科医用のモニタに表示されるライブ画像と同じライブ画像を端末上で見ることができる。これにより、共通表示されたライブ画像により手術の状況がオペチームメンバーに共有される。
【0138】
また本実施形態では、プロセッサ211は、端末を第1端末221とし、メンバーを第1メンバー291としたとき、第1メンバー291に情報表示する第1端末221、及びオペチームメンバーのうち第2メンバー292に情報表示する第2端末222と通信接続され、第1端末221と第2端末222に表示画面を表示させる処理を行う。第1端末221における補助領域には、複数の補助作業のうち、第1メンバー291からの第1端末221を介した選択入力により選択された補助作業に関する情報が表示される。第2端末222における補助領域には、複数の補助作業のうち、第2メンバー292からの第2端末222を介した選択入力により選択された補助作業に関する情報が表示される。
【0139】
本実施形態によれば、各メンバーは、補助領域に表示させる情報を各自で自由に選択できる。これにより、役割毎に異なる情報を各メンバーが確認できるので、複数のチームメンバーに対する効率的な情報支援が可能になる。
【0140】
また本実施形態では、表示画面は共通アラート領域を有する。共通アラート領域は、選択入力により複数の補助作業のいずれの補助作業が選択されたかに関わらず、複数の補助作業のうち少なくとも1つの補助作業に関連する共通アラートを、補助領域外に表示する。
【0141】
本実施形態によれば、各メンバーが、補助領域に表示させる情報を各自で自由に選択した状態であっても、共通アラートについては、共通アラート領域に表示されることで全メンバーに共有される。これにより、役割に関わらず共通が必要な情報については各メンバーで共有される。
【0142】
また本実施形態では、補助領域はタブ領域と作業情報領域とを含む。タブ領域には複数のタブが配列され、その各タブには、複数の補助作業のうちの互いに異なる補助作業が割り当てられる。作業情報領域には、複数のタブのうち、選択入力により選択されたタブに割り当てられた補助作業に関する情報が表示される。
【0143】
本実施形態によれば、メンバーが、端末に表示されたタブを選択することで、作業情報領域に表示させる情報を切り替えることができる。各メンバーが独立にタブを選択可能であり、各メンバーは、役割毎に異なる情報を確認できる。
【0144】
また本実施形態では、複数のタブは、第1~第nの補助作業が割り当てられた第1~第nのタブと、第1~第nの補助作業のうち1つ以上の補助作業が固定表示用の補助作業として設定される固定表示用タブと、を含む。nは2以上の整数である。作業情報領域には、選択入力により第1~第nのタブのいずれかのタブが選択された場合には、その選択されたタブに割り当てられた補助作業に関する情報が表示される。また作業情報領域には、選択入力により固定表示用タブが選択された場合には、固定表示用の補助作業に関する情報が表示される。
【0145】
本実施形態によれば、各メンバーが、頻繁に確認したい補助作業の情報を固定表示用タブに割り当てることができる。どの補助作業を固定表示用タブに割り当てるかは各メンバーで自由なので、役割毎に異なる頻繁に確認したい情報を、各メンバーが確認できる。
【0146】
なお、本実施形態は以下のように外科支援方法として実施されてもよい。この外科支援方法は外科支援システム50の作動方法として実施されてもよい。外科支援方法は、ライブ画像領域と補助領域を有する表示画面を端末に表示させる処理を行うことで、オペチームメンバーのうち外科医294以外のメンバーに対して端末を介して表示画面を提示すること、を含む。また外科支援方法は、オペチームメンバーにより遂行される手術のライブ画像を、表示画面のライブ画像領域に表示すること、を含む。また外科支援方法は、手術を管理するための複数の補助作業のうち、メンバーからの端末を介した選択入力により選択された補助作業に関する情報を、表示画面の補助領域に表示すること、を含む。
【0147】
また、本実施形態は以下のように、プログラム、或いはコンピュータが読み取り可能な非一時的な情報記憶媒体として実施されてもよい。プログラムは、ライブ画像領域と補助領域を有する表示画面を端末に表示させる処理を行うことで、オペチームメンバーのうち外科医294以外のメンバーに対して端末を介して表示画面を提示すること、をコンピュータに実行させる。またプログラムは、オペチームメンバーにより遂行される手術のライブ画像を、表示画面のライブ画像領域に表示すること、をコンピュータに実行させる。またプログラムは、手術を管理するための複数の補助作業のうち、メンバーからの端末を介した選択入力により選択された補助作業に関する情報を、表示画面の補助領域に表示すること、をコンピュータに実行させる。情報記憶媒体は、このプログラムを記憶する。コンピュータは、情報記憶媒体からプログラムを読み出し、そのプログラムを実行することで、外科支援システム50の機能を実現する。
【0148】
図17に、スキル又は熟練度に応じた表示態様の例を示す。第1端末221~第3端末223の各端末において、スキル又は熟練度に応じた表示態様を選択可能である。表示態様の変更は、例えばタッチパネルを用いたボタン操作又はスワイプ操作等によって、切り替えられる。図17には、第1端末221にビギナー向け画面が表示され、第2端末222にエキスパート向け画面が表示される例を示す。
【0149】
ビギナー向け画面には、図16と同様に、ライブ画像領域と共通アラート領域とタブ領域と作業情報領域とが表示される。
【0150】
エキスパート向け画面には、ライブ画像領域と共通アラート領域とタブ領域とが表示される。タブ領域は画面下部に配置され、作業情報領域は表示されない。このため、エキスパート向け画面における補助領域は、ビギナー向け画面における補助領域よりも縮小されている。一方、エキスパート画面におけるライブ画像は、ビギナー向け画面におけるライブ画像領域よりも拡大するので、エキスパート向け画面におけるライブ画像は、ビギナー向け画面におけるライブ画像よりも大きく表示される。タブが選択されると、ビギナー向け画面と同様の表示になり、選択されたタブに対応する作業情報が作業情報領域に表示される。
【0151】
以上に説明した本実施形態では、表示画面において、補助領域にタブ領域と作業情報領域が表示される第1表示態様と、補助領域にタブ領域が表示され作業情報領域が表示されない第2表示態様とが設定可能である。第2表示態様が設定された場合には、補助領域の表示範囲は、第1表示領域における補助領域の表示範囲より縮小され、ライブ画像領域の表示範囲は、第1表示領域におけるライブ画像領域の表示範囲より拡大される。
【0152】
本実施形態によれば、各メンバーのスキル又は熟練度に応じた表示態様で各メンバーに情報を提示できる。例えば、ビギナーには、補助作業の情報が多く表示されるビギナー向け画面を提供できる。或いは、エキスパートには、ライブ画像により手術状況を確認しやすいエキスパート向け画面を提供できる。
【0153】
なお、図17の例では、第1表示態様はビギナー向け画面に対応し、第2表示態様はエキスパート向け画面に対応する。
【0154】
また本実施形態では、第1端末221における表示画面においては、第1表示態様と第2表示態様のうち、第1メンバー291からの第1端末221を介した設定入力により設定された表示態様が設定される。第2端末222における表示画面においては、第1表示態様と第2表示態様のうち、第2メンバーからの第2端末222を介した設定入力により設定された表示態様が設定される。
【0155】
本実施形態によれば、各メンバーが自由に表示態様を設定可能である。これにより、各メンバーのスキル又は熟練度に応じた表示態様で各メンバーに情報を提示できる。
【0156】
図18に、留置物カウントにおけるアラートサインの例を示す。ここでは、外回り看護師と器械出し看護師がガーゼA種を体内から取り出すときのoutカウンターを例に説明する。inカウンター或いは他の留置物のカウンターについても同様である。
【0157】
P1に示すように、外回り看護師と器械出し看護師でoutカウンターのカウント値が異なる場合、カウンター上部のカウント名「out」の部分にアラートサインが表示される。例えば、カウント名「out」の部分に黄色等の色が付される。またP2に示すように、留置物タブにもアラートサインが表示される。例えば、黄色等の色が付された丸マークがタブに付される。このアラートサインは、留置物タブ以外のタブが選択された場合であっても、留置物タブに表示される。外回り看護師と器械出し看護師でoutカウンターのカウント値が一致した場合には、カウント名「out」の部分のアラートサインと留置物タブのアラートサインが消える。
【0158】
以上に説明した本実施形態では、プロセッサ211は、複数の補助作業のうちの特定の補助作業に関して、第1メンバー291から第1端末221の補助領域に入力された第1入力値と、第2メンバー292から第2端末222の補助領域に入力された第2入力値とを受け付ける。プロセッサ211は、第1入力値と第2入力値との間に相違があったとき、第1端末221及び第2端末222の表示画面に、その相違を示すアラートサインを表示させる処理を行う。
【0159】
本実施形態によれば、各メンバーが入力した入力値の一致を確認するような特定の補助作業に関して、各メンバーの入力値が相違する場合にアラートサインが各メンバーに通知される。これにより、各メンバーが、そのアラートサインに基づいて、入力値が一致しているか否かを確認できる。
【0160】
なお、図18の例では、特定の補助作業は留置物カウントに対応する。また、第1入力値は、外回り看護師が入力した留置物カウント値に対応し、第2入力値は、器械出し看護師が入力した留置物カウンターのカウント値に対応する。
【0161】
また本実施形態では、特定の補助作業は、患者の体内の挿入された挿入物をカウントする作業、又は患者の体内から回収された挿入物をカウントするカウント作業の少なくとも1つである。第1入力値と第2入力値は、そのカウント作業におけるカウント値である。
【0162】
本実施形態によれば、体内への挿入物のinカウント値又はoutカウント値が各メンバーで一致しなかった場合に、アラートサインが表示される。カウント値とアラートサインが各メンバーで共有されるので、体内の挿入された挿入物又は体内から回収された挿入物を確実にカウントできる。
【0163】
また本実施形態では、アラートサインは、複数のタブのうち特定の補助作業に対応したタブ上に表示される。
【0164】
本実施形態によれば、特定の補助作業に対応したタブ以外のタブが選択された場合であっても、特定の補助作業に対応したタブにアラートサインが表示される。これにより、特定の補助作業以外の補助作業を行っている場合であっても、各メンバーにアラートサインが共有される。
【0165】
図19に、手術室とスタッフステーションにおける共通アラートの共有を説明する図を示す。左図に、手術室の端末に表示された表示画面を示し、右図に、スタッフステーションのモニタ150に表示されたスケジュール画面を示す。
【0166】
手術室の端末に表示された共通アラートは、スタッフステーションのモニタ150にも表示される。具体的には、手術室用システム200のプロセッサ211が通信装置213を介して共通アラートの情報をスタッフステーション用システム100に送信する。スタッフステーション用システム100のプロセッサ111は、通信装置113を介して共通アラートの情報を受信し、その情報に基づいてスケジュール画面にアラートを表示する。
【0167】
スタッフステーションのスケジュール画面には、各手術室の手術スケジュールが表示される。スケジュール画面において、縦軸に手術室の番号が並び、横軸が時間となっており、現在時刻を示す縦線が表示される。図19では、その縦線を太実線で示している。各手術室の欄には、各手術の手術予定時間を示す手術計画バーが表示される。図19には、手術A~Dがスケジュールされた例を示す。ここでは、手術Bが実施されている2番の手術室とスタッフステーションの間の情報共有を例に説明する。但し、他の手術室についても同様な情報共有が可能である。
【0168】
2番の手術室の手術室用システム200からスタッフステーション用システム100に通知された共通アラートは、スケジュール画面において2番の手術室の欄に表示される。右図の上段に、共通アラートが表示される領域付近の拡大図を示す。手術室の欄には、D1に示すように、手術室の番号が表示される。D2に示すように、欄の左端には、その手術室において手術が行われていることを示すサインが表示される。このサインは、手術計画バーの手術予定時間と現在時刻が重なる場合に表示される。D4~D7に示すように、手術室番号の右側に共通アラートの表示領域が配置される。D4は出血検知を示すアラートであり、D5は手術の進捗が予定より遅れていることを示すアラートであり、D6は、体位異常を示すアラートであり、D7は、人員不足を示すアラートである。D7のアラートは、手術計画バーの配置領域に重なる。共通アラートの表示領域のうちD4~D6のアラートが表示されている四角形の領域には、最大で4つのアラートが表示可能である。共通アラートには優先順位があり、5つ以上の共通アラートが発生した場合には優先順位が高い順に4つのアラートが表示される。表示された4つのアラートのいずれかが解除された場合には、非表示となっていたアラートのうち優先順位の高いアラートが新たに表示される。
【0169】
人員不足を示すアラートは、手術室の端末から手動で入力される。
【0170】
出血検知を示すアラートは、画像認識処理の結果に基づいて表示される。具体的には、手術室用システム200のプロセッサ211がライブ画像に対する画像認識処理により出血の認識を行い、ライブ画像から出血が認識された場合に手術室の端末に出血検知のアラートを表示させると共に、その出血検知のアラート情報をスタッフステーション用システム100に通知する。
【0171】
進捗遅れのアラートは、手術計画バーに対応付けて設定されている手術の進捗予定に対して、実際の進捗が遅れている場合に表示される。手術室用システム200のプロセッサ211は、例えばライブ画像に対するシーン認識、オペチームメンバーのモーションキャプチャ結果、又はオペチームメンバーによる手動入力に基づいて、実際の進捗を判断する。プロセッサ211は、スタッフステーション用システム100から取得した進捗予定と実際の進捗を比較し、実際の進捗が進捗予定から遅れている場合に、手術室の端末に進捗遅れのアラートを表示させると共に、その進捗遅れのアラート情報をスタッフステーション用システム100に通知する。
【0172】
体位異常のアラートは、手術を受ける患者の体位が異常と判断された場合に表示される。例えば、手術台260に傾きセンサーが設置される。手術室用システム200のプロセッサ211は、傾きセンサーの検出結果に基づいて、手術台260の傾きが異常と判断した場合に、手術室の端末に体位異常のアラートを表示させると共に、その体位異常のアラート情報をスタッフステーション用システム100に通知する。
【0173】
図20に、出血検知アラートが共有されるときの表示例を示す。内視鏡モニタ252には、出血検知結果に関わらず手術のライブ画像がそのまま表示される。
【0174】
ステップS41に示すように、手術室用システム200のプロセッサ211は、ライブ画像から出血を検知していないときには、支援用モニタ251にライブ画像をそのまま表示させる。手術室の端末とスタッフステーションのスケジュール画面には、出血検知アラートは表示されない。
【0175】
ステップS42に示すように、手術室用システム200のプロセッサ211は、ライブ画像から出血を検知したとき、出血領域を示す強調表示等をライブ画像に重畳して支援用モニタ251に表示させる。
【0176】
ステップS43に示すように、手術室用システム200のプロセッサ211は、手術室の端末に出血検知のアラートを表示させると共に、その出血検知のアラート情報をスタッフステーション用システム100に通知する。スタッフステーション用システム100のプロセッサ111は、モニタ150のスケジュール画面に出血検知のアラートを表示させる。
【0177】
図21に、人員不足アラートが共有されるときの表示例を示す。内視鏡モニタ252には、出血検知に関わらず手術のライブ画像がそのまま表示される。また、人員不足に関しては画像認識処理が関係しないので、支援用モニタ251には、人員不足が発生したか否かに関わらず手術のライブ画像がそのまま表示される。
【0178】
ステップS51に示すように、人員不足アラートの入力操作が行われないときには、手術室の端末とスタッフステーションのスケジュール画面には、人員不足アラートは表示されない。
【0179】
ステップS52に示すように、メンバーが人員不足を認識したとき人員不足アラートの入力操作を行う。E1に示すように、端末の共通アラート領域に+マークが表示されている。E2に示すように、メンバーが+マークをタップ操作することで、手動入力可能なアラートのリストが表示される。メンバーは、そのリストから人員不足アラートを選択する。
【0180】
ステップS53に示すように、手術室用システム200のプロセッサ211は、人員不足アラートの手動入力を受け付けたとき、手術室の端末に人員不足のアラートを表示させると共に、その人員不足のアラート情報をスタッフステーション用システム100に通知する。スタッフステーション用システム100のプロセッサ111は、モニタ150のスケジュール画面に人員不足のアラートを表示させる。
【0181】
図22に、手術室とスタッフステーションにおける手術時間の共有を説明する図を示す。Q1に示すように、手術室の各端末の画面上部には、手術時間情報の表示領域が設けられる。この表示領域には、手術の終了予定時刻が表示される。
【0182】
具体的には、スタッフステーション用システム100のプロセッサ111は、手術計画バーに設定された手術時間の情報に基づいて終了予定時間の情報を手術室用システム200に送信する。手術室用システム200のプロセッサ211は、受信した情報に基づいて第1端末221~第3端末223に終了予定時間を表示させる。スタッフステーションにおいて手術予定がリスケジュールされ、終了予定時間が変更された場合、スタッフステーション用システム100のプロセッサ111は、変更後の終了予定時間の情報を手術室用システム200に送信する。手術室用システム200のプロセッサ211は、受信した情報に基づいて、第1端末221~第3端末223に変更後の終了予定時間を表示させる。
【0183】
以上に説明した本実施形態では、プロセッサ211は、外科医294が手術を行う手術室の外のスタッフステーションに配置されたスタッフステーション用端末110と通信接続される。プロセッサ211は、スタッフステーション用端末110に対して共通アラートの情報を送信することで、その共通アラートに同期したアラートをスタッフステーション用端末110のモニタ150に表示させる。
【0184】
本実施形態によれば、手術室のオペチームメンバーとスタッフステーションのスタッフとで、共通アラートが共有される。これにより、手術を遂行するにあたり、手術室のオペチームメンバーとスタッフステーションのスタッフとが連携しやすくなる。
【0185】
また本実施形態では、プロセッサ211は、ライブ画像に対する画像解析の結果に基づいて所定の手術シチュエーションが検出されたとき、スタッフステーション用端末110に対して、所定の手術シチュエーションに関する共通アラートの情報を送信する。
【0186】
本実施形態によれば、画像解析の結果に基づいて自動で共通アラートを手術室の端末とスタッフステーションのモニタに表示できる。
【0187】
なお、図19図20の例では、所定の手術シチュエーションは出血に対応する。但し、所定の手術シチュエーションは、画像認識処理によって検出可能なシチュエーションであれば、どのようなシチュエーションであってもよい。
【0188】
また本実施形態では、プロセッサ211は、メンバーからの端末を介した指示入力を受け付けたとき、スタッフステーション用端末110に対して、指示入力に関する共通アラートの情報を送信してもよい。
【0189】
本実施形態によれば、メンバーが認識した状況に基づいて、その状況に関する共通アラートを手術室の端末とスタッフステーションのモニタに表示できる。
【0190】
なお、図19図21の例では、指示入力は、人員不足アラートの入力に対応する。但し、指示入力は、メンバーが認識する状況に関する指示入力であれば、どのような指示入力であってもよい。
【0191】
また本実施形態では、プロセッサ211は、外科医294が行う手術に関連付けて共通アラートの情報をスタッフステーション用端末110に送信することで、スタッフステーション用端末110において管理される複数の手術のうち外科医が行う手術に関連付けて、共通アラートに同期したアラートをスタッフステーション用端末110のモニタ150に表示させる。
【0192】
本実施形態によれば、外科医294が行う手術に関連付けて共通アラートがスタッフステーションのモニタに表示される。これにより、手術室外にあるスタッフステーションのスタッフが、どの手術に関してアラートが発生しているかを認識できる。
【0193】
なお、プロセッサ211は、手術室の番号と共通アラートの情報を関連付けることで、外科医294が行う手術と共通アラートの情報を関連付ける。或いは、プロセッサ211は、スタッフステーション用システム100においてスケジュールされた手術計画バーを特定する情報と共通アラートの情報を関連付けてもよい。
【0194】
また本実施形態では、プロセッサ211は、外科医294が行う手術のスケジュールを管理するスタッフステーション用端末110から手術の終了予定時間を受信する。プロセッサ211は、受信された終了予定時間を表示画面に表示させる処理を行う。プロセッサ211は、スタッフステーション用端末110において終了予定時間がリスケジュールされたとき、そのリスケジュールされた終了予定時間を表示画面に表示させる処理を行う。
【0195】
本実施形態によれば、手術室のオペチームメンバーとスタッフステーションのスタッフとで、手術の時間情報が共有される。これにより、手術を遂行するにあたり、手術室のオペチームメンバーとスタッフステーションのスタッフとが連携しやすくなる。
【0196】
4.第3詳細構成例
手術は1人の外科医が行う作業のみで完結するものではなく、計画、準備及び支援などを含む複数人からなるチームにより行われる。チームメンバーには、オペルーム外のメンバーも含まれる。外科医又は看護師等の医療従事者は、1日に複数回の手術を行うことがあり、加えて病院では複数の手術室を用いて同時多発的に手術が行われることが多い。このため、外科支援システムは、各手術室の手術の進行状況、又は、人員又は機材等のリソース状況に合わせて、病院全体としての手術チームや手術用機材などのマネジメントができるように情報支援を行うことが望ましい。
【0197】
上述した特許文献2には、電子カルテと患者や医師のイベント情報とを連動させて情報を交換することができるクリニカルコミュニケーション装置及び病院情報システムが開示されている。しかし、この従来技術は、患者ごとの治療計画(クリニカルパス)のスケジュールに関する技術であり、人員又は機材等の状況を考慮して、病院全体の手術のスケジューリングを行うことはできない。
【0198】
以下、このような状況を鑑みた第3詳細構成例を説明する。
【0199】
図23に、スタッフステーション用システム100のモニタ150に表示されるスケジュール画面の例を示す。スケジュール画面は、手術スケジュールが表示されるスケジュール表示領域と、スケジュール作業等に用いられるサブ領域と、を含む。例えば、スケジュール表示領域は画面左側に配置され、サブ領域は画面右側に表示される。
【0200】
スケジュール表示領域において、F1に示すように、縦軸が手術室軸となっており、縦軸に手術室の番号が並ぶ。なお、縦軸には、手術室を特定するための手術室情報が表示されていればよく、数字の番号に限定されない。F2に示すように、横軸が時間軸となっている。例えばドラッグ操作等によって表示時間をスライド可能にしてもよい。F3に示すように、各手術室の欄には、各手術の手術予定時間を示す手術計画バーが表示される。図23には、手術A~Dがスケジュールされた例を示す。F4に示すように、時間軸の現在時刻に対応した位置に、現在時刻を示す縦線が表示される。図23では、その縦線を太実線で示しているが、実際の表示では例えば青色の実線等で示される。F5に示すように、手術室の番号の左端には、その手術室の状況を示すサインが表示される。手術室の状況は、例えば、器材設置済み、設置確認済み、手術中、未使用、或いは患者退出等である。このサインは、手術室の状況が手術室から通知された場合に表示される。例えば、手術が開始されたことが手術室から通知された場合、それを示すサインが手術室番号の左端に表示される。図23では、手術A、B、Cが開始されたことが手術室1、2、7から通知され、それを示すサインが手術室1、2、7の左側に表示されている。また、手術Dの機材確認済みが手術室4から通知され、それを示すサインが手術室4の左側に表示されている。
【0201】
サブ領域において、F6に示すように、複数のタブが横並びに表示される。タブはタップ操作等によって選択可能である。F7に示すように、選択されたタブに対応した表示内容が、タブの上側に表示される。スタッフスケジュールのタブは、医療従事者のリソースリストを表示させるタブであり、医療従事者を手術スケジュールに割り当てるときに用いられる。機材予定設定のタブは、機材のリソースリストを表示させるタブであり、機材を手術スケジュールに割り当てるときに用いられる。未設定オペのタブは、予定はされているが詳細が設定されていない手術のリストを表示させるタブである。手術室モニタのタブは、各手術室に設置されたカメラの映像を表示させるタブである。図23には、スタッフスケジュールのタブが選択された例を示す。F8に示すように、タブの下に緊急オペ設定ボタンが表示される。このボタンがタップ操作されると、緊急に発生した手術をスケジュールするための緊急オペ設定画面が表示される。
【0202】
スタッフスケジュールのタブ、機材予定設定のタブ、及び手術室モニタのタブの詳細については後述する。未設定オペのタブは以下の機能を有する。未設定オペのタブには、電子カルテ等からの情報の読み込み時に手術の日付や開始時刻が未定となっていた手術が、配置される。また、スケジュール画面に配置された手術計画バーの手術が中止又は延期になった場合に、その手術計画バーが未設定オペのタブに戻される。また、未設定オペのタブには、新規の手術用にブランクの手術計画バーが用意されている。また、未設定オペのタブに配置されている手術計画バーは、削除可能になっている。
【0203】
図24に、手術計画バーの例を示す。1つの手術に対応して1つの手術計画バーがスケジュール上に表示される。手術計画バーには、手術される患者に関する患者情報、手術予定時間に関する手術時間情報、手術内容に関する手術内容情報、及び手術に割り当てられた手術リソースに関する手術リソース情報が、紐付けられている。
【0204】
患者情報は、例えば、患者の氏名、性別、体重、血液型、病名、又は既往歴等の情報を含む。スタッフステーション用システム100は、電子カルテ又はスタッフからの入力情報等から患者情報を取得し、その患者情報を手術計画バーに紐付けて表示する。G1に示すように、患者情報のうち氏名が手術計画バーに表示される。手術計画バーに表示されていない情報についても手術計画バーに紐付けられており、例えば詳細表示画面等に表示可能である。詳細表示画面は、例えば手術計画バーがタップ操作されることでモニタ150に表示される。
【0205】
手術時間情報は、手術が何時から何時まで行われる予定であるかを示す手術予定時間の情報を含む。手術予定時間は、例えば、手術の開始予定時間と終了予定時間で示されてもよいし、或いは、手術の開始予定時間と手術に必要な時間の長さとで示されてもよい。時間軸における手術計画バーの位置と長さは、手術時間情報に基づいて設定されている。即ち、手術計画バーの左端が開始予定時間を示し、右端が終了予定時間を示し、バーの長さが、手術に必要な時間の長さを示す。
【0206】
手術内容情報は、例えば術式又は手術手順等の情報を含む。G2に示すように、手術内容情報のうち術式が手術計画バーに表示される。手術計画バーに表示されていない情報についても手術計画バーに紐付けられており、例えば詳細表示画面等に表示可能である。
【0207】
手術リソース情報は、例えば、手術室、医療従事者又は機材等の情報を含む。医療従事者は、オペチームメンバーのことであり、手術に割り当てられた外科医、麻酔科医及び看護師である。手術軸における手術計画バーの位置は、リソース情報のうち手術室の情報に基づいて設定される。例えば、2番の手術室が割り当てられた場合には、手術スケジュールの2番の手術室の欄に手術計画バーが表示される。また、G3とG4に示すように、手術リソース情報のうち麻酔科医と看護師が手術計画バーに表示される。G3が麻酔科医を示し、G4が看護師を示す。手術計画バーに表示されていない情報についても手術計画バーに紐付けられており、例えば詳細表示画面等に表示可能である。
【0208】
スタッフステーション用システム100の記憶装置112は、上記各種の情報、及び手術計画バーと上記情報の紐付け情報等を含むスケジュール情報を記憶する。プロセッサ111は、記憶装置112に記憶されたスケジュール情報に基づいてスケジュール画面をモニタ150に表示する。また、プロセッサ111は、ユーザのスケジュール入力操作に基づいて、記憶装置112に記憶されたスケジュール情報を更新する。
【0209】
手術計画バーの右端、即ち終了予定時間は、ドラッグ操作により変更可能となっている。図24には、終了予定時間が12時から13時に変更された例を示す。
【0210】
また、図25に示すように、時間軸及び手術軸における手術計画バーの位置は、ドラッグ操作により変更可能となっている。図25には、手術Aの手術計画バーが、1番の手術室から5番の手術室に変更され、11時から13時の手術予定時間が、13時から15時の手術予定時間に変更される例を示す。なお、手術計画バーの移動や終了予定時刻の変更において、複数の手術が同じ手術室で時間が重ならないように操作は制限される。また、移動される手術計画バーの手術予定時間と、移動先の手術室に既に存在する手術計画バーの手術予定時間との間を、手術の準備、手術、又は片付けに最低限必要な時間未満に設定できないようにしてもよい。
【0211】
また、図25に示すように、医療従事者リストから医療従事者をドラッグ操作により手術計画バーに割り当て可能となっている。同様に、機材リストから機材をドラッグ操作により手術計画バーに割り当て可能となっている。図25には、医療従事者リストに表示された医療従事者XXが手術Bの手術計画バーにドラッグされ、医療従事者XXが手術Bに割り当てられた例を示す。
【0212】
以上に説明した本実施形態の外科支援システム50は、プロセッサ111と記憶装置112とを含む。プロセッサ111は、手術スケジュールを示す手術スケジュール画面をモニタ150に表示させる処理を行う。記憶装置112は、手術スケジュールを作成するための、手術予定時間に関する手術時間情報、手術内容に関する手術内容情報、及び各手術に割り当て可能な手術リソースに関する手術リソース情報を記憶する。プロセッサ111は、手術スケジュールにスケジュールされた手術の時間情報、手術の手術内容情報、及び手術に割り当てられた手術リソースに関する手術リソース情報を表示した手術スケジュール画面を、モニタ150に表示させる処理を行う。
【0213】
本実施形態によれば、スタッフステーションのモニタに表示された手術スケジュール画面により、手術室外のチームメンバーを含めた病院のスタッフに対して、手術スケジュール画面を提示できる。これにより、人員又は機材等のリソース状況に合わせて、病院全体としての手術チームや手術用機材などのマネジメントができるように情報支援を行うことができる。
【0214】
また本実施形態では、手術リソース情報は、各手術に割り当て可能な手術室に関する手術室情報、各手術に割り当て可能な医療従事者に関する医療従事者情報、又は各手術に割り当て可能な機材に関する機材情報の少なくとも1つを含む。
【0215】
本実施形態によれば、手術室情報、医療従事者情報又は機材情報の少なくとも1つが手術リソース情報として手術に割り当てられた手術スケジュール画面を、手術室外のチームメンバーを含めた病院のスタッフに対して提供できる。
【0216】
また本実施形態では、手術内容情報は、術式に関する術式情報、又は患者に関する患者情報の少なくとも1つを含む。
【0217】
本実施形態によれば、術式情報又は患者情報の少なくとも1つが手術内容情報として手術に割り当てられた手術スケジュール画面を、手術室外のチームメンバーを含めた病院のスタッフに対して提供できる。
【0218】
また本実施形態では、手術リソース情報は、各手術に割り当て可能な手術室に関する手術室情報を含む。スケジュール画面は手術計画バーを有する。手術計画バーは、手術室軸と時間軸とからなるマトリクス上に配置され、手術室、手術予定時間及び手術内容を示す。
【0219】
本実施形態によれば、マトリクス上に手術計画バーを配置することで、その手術の手術室と手術予定時間を計画できる。また、そのマトリクス上に計画された手術計画バーを見ることで、その手術の手術室、手術予定時間及び手術内容を明瞭に把握できる。
【0220】
また本実施形態では、手術計画バーは、マトリクス上の手術室軸において、手術計画バーが示す手術が行われる手術室に対応した位置に配置される。また手術計画バーは、マトリクス上の時間軸において、手術計画バーが示す手術の開始時間と終了時間を両端とするバーとして表示される。
【0221】
本実施形態によれば、マトリクス上における手術計画バーの手術軸上の位置と時間軸上の両端又は長さを決めることで、手術と手術予定時間を計画できる。また、そのマトリクス上に計画された手術計画バーの手術軸上の位置と時間軸上の両端又は長さを見ることで、その手術の手術室と手術予定時間を明瞭に把握できる。
【0222】
また本実施形態では、プロセッサ111は、マトリクス上における手術計画バーの位置を移動させるドラッグ操作を受け付けたとき、移動前の手術室とは異なる手術室、又は移動前の手術予定時間とは異なる手術予定時間の少なくとも1つに対応した位置に、手術計画バーを移動させる処理を行う。ドラッグ操作は、例えば、モニタ150のタッチパネルを用いたドラッグ操作である。
【0223】
本実施形態によれば、マトリクス上におけるドラッグ操作により、視覚的に直感的に分かりやすい手法で手術をリスケジュールできる。また、マトリクス上において時間方向にドラッグ操作することで手術予定時間を変更し、手術軸方向にドラッグ操作することで手術室を変更できる。
【0224】
また本実施形態では、プロセッサ111は、マトリクス上において手術計画バーが示す終了時間を変更するドラッグ操作を受け付けたとき、ドラッグ操作に基づいて終了時間が変更された手術計画バーをモニタ150に表示させる処理を行う。
【0225】
本実施形態によれば、マトリクス上におけるドラッグ操作により、視覚的に直感的に分かりやすい手法で手術の終了時間をリスケジュールできる。
【0226】
また本実施形態では、プロセッサ111は、スケジュール画面と共に、手術リソースのリソースリストをモニタ150に表示させる処理を行う。
【0227】
本実施形態によれば、手術室外のチームメンバーを含めた病院のスタッフに対して、スケジュール画面と共に、手術リソースのリソースリストを提示できる。これにより、スタッフは、各手術に割り当て可能な手術リソースを把握できる。
【0228】
また本実施形態では、プロセッサ111は、リソースリストに含まれるリソースを手術計画バーに移動するドラッグ操作を受け付けたとき、移動されたリソースを手術計画バーに割り当ててモニタ150に表示させる処理を行う。
【0229】
本実施形態によれば、リソースリストから手術計画バーへのドラッグ操作により、視覚的に直感的に分かりやすい手法で手術にリソースを割り当てることができる。
【0230】
なお、本実施形態は以下のように外科支援方法として実施されてもよい。この外科支援方法は外科支援システム50の作動方法として実施されてもよい。外科支援方法は、手術スケジュールを作成するための、手術予定時間に関する手術時間情報、手術内容に関する手術内容情報、及び各手術に割り当て可能な手術リソースに関する手術リソース情報を記憶すること、を含む。また外科支援方法は、手術スケジュールにスケジュールされた手術の時間情報、手術の手術内容情報、及び手術に割り当てられた手術リソースに関する手術リソース情報を表示した手術スケジュール画面を、モニタ150に表示させる処理を行うこと、を含む。
【0231】
また、本実施形態は以下のように、プログラム、或いはコンピュータが読み取り可能な非一時的な情報記憶媒体として実施されてもよい。プログラムは、手術スケジュールを作成するための、手術予定時間に関する手術時間情報、手術内容に関する手術内容情報、及び各手術に割り当て可能な手術リソースに関する手術リソース情報を記憶すること、をコンピュータに実行させる。また外科支援方法は、手術スケジュールにスケジュールされた手術の時間情報、手術の手術内容情報、及び手術に割り当てられた手術リソースに関する手術リソース情報を表示した手術スケジュール画面を、モニタ150に表示させる処理を行うこと、をコンピュータに実行させる。情報記憶媒体は、このプログラムを記憶する。コンピュータは、情報記憶媒体からプログラムを読み出し、そのプログラムを実行することで、外科支援システム50の機能を実現する。情報記憶媒体は、例えば光ディスク、メモリカード、HDD、或いは半導体メモリなどにより実現できる。半導体メモリは例えばROM又は不揮発性メモリである。
【0232】
図26に、医療従事者リストの表示例を示す。H1に示すように、リストの各欄に、手術に割り当て可能なスタッフの名称が表示される。リストに表示されたスタッフが選択されると、そのスタッフが割り当てられた手術計画バーが強調表示される。強調表示は、例えば、手術計画バーに所定色の枠を付す、又は手術計画バーに所定マークを表示する等である。なお、リソースが機材である場合にも、同様に、リストに表示された機材が選択されると、その機材が割り当てられた手術計画バーが強調表示される。
【0233】
H2とH3に示すように、医療従事者リストの各欄の右端にアイコンが表示される。H2は数字アイコンを示し、H3はマークアイコンを示す。数字アイコンは、タップ操作により1、2、3を切り替え可能である。マークアイコンは、タップ操作により丸マーク、三角マーク、Xマークを切り替え可能である。各アイコンが何を示すのかは任意である。例えば、数字アイコンがスタッフのシフトを示し、マークアイコンが勤務中、休憩中などのスタッフの状況を示してもよい。
【0234】
図27に、機材予約設定タブが選択されたときのサブ領域の表示例を示す。J1に示すように、機材予約設定タブが選択されると、J2に示すように、タブの上側に、機材のリソースリストが表示される。リストの各欄には、手術に割り当て可能な機材の名称が表示される。リストに表示された機材が選択されると、その機材が割り当てられた手術計画バーが強調表示される。強調表示は、例えば、手術計画バーに所定色の枠を付す、又は手術計画バーに所定マークを表示する等である。J3に示すように、機材のリソースリストの下に機材案内マップボタンが表示される。このボタンがタップ操作等により押下されると、スケジュール画面に機材案内マップが表示される。機材案内マップについては図29で後述する。
【0235】
以上に説明した本実施形態では、プロセッサ111は、リソースリストに含まれるリソースを選択する操作を受け付けたとき、選択されたリソースが割り当てられた手術計画バーを強調表示させる処理を行う。
【0236】
本実施形態によれば、予約したいリソースが既に他の手術に予約済みであるかを、スケジュールのマトリクス上で視覚的に直感的に把握できる。或いは、予約状況を確認したリソースが、どの手術に予約されているのかを、スケジュールのマトリクス上で視覚的に直感的に把握できる。
【0237】
図28に、リソース重複割り当てのアラート表示例を示す。手術Eと手術Fの手術予定時間が13時から15時において重なっており、K1に示すように、手術Eの手術計画バーに既に機材Hが割り当てられているとする。K2に示すように、機材のリソースリストからドラッグ操作により機材Hが手術Fの手術計画バーに割り当てられたとする。この場合、手術EとFの手術計画バーに表示された機材Hの名称に、アラートが表示される。図28には、エクスクラメーションマークが表示される例を示す。また、更に機材Hの名称に色又はハッチング等が付されてアラート表示されてもよい。リソースが医療従事者である場合にも、同様に、重複予約された場合には手術計画バーのスタッフ名称にアラートが表示される。なお、リソースが重複予約となるような割り当て操作が行われたとき、上記のようなアラート表示を行うのではなく、リソースの割り当てができないようにしてもよい。また、手術予定時間だけではなく更に滅菌等の準備時間を考慮して、重複予約の判定が行われてもよい。
【0238】
以上に説明した本実施形態では、プロセッサ111は、ドラッグ操作により手術計画バーに割り当てられたリソースが、手術予定時間が手術計画バーに重複する他の手術計画バーに既に割り当てられたリソースである場合、リソースの重複割り当てを示すアラート表示をモニタ150に表示させる処理を行う。
【0239】
本実施形態によれば、手術予定時間が重複する2以上の手術計画バーに同じリソースが予約された場合に、それを示すアラートをスタッフに提示できる。視覚的に直感的にリソースの重複予約を把握できるので、スケジュール作業の負担が軽減される。
【0240】
図29に、機材案内マップの例を示す。左図に示すように、機材案内マップには、外科支援システム50が使用される施設のフロアマップが表示され、そのフロアマップ内に各機材の存在場所が表示される。具体的には、右図に示すように、フロアマップの各部屋には、部屋の名称、及びその部屋に存在する機材の名称が表示される。スケジュール画面の手術計画バーが選択されたとき、その手術計画バーに割り当てられた機材が機材案内マップにおいて強調表示されてもよい。
【0241】
機材の存在場所は例えば以下のように判断される。各機材にビーコンタグが取り付けられ、そのビーコンタグが発信するビーコン信号を受信する受信器が施設内に設置される。スタッフステーション用システム100のプロセッサ111は、受信器が受信したビーコン信号に基づいて各機材の位置を特定する。或いは、各機材の保管場所が予め決められており、プロセッサ111は、保管場所の情報と、手術計画バーと機材の紐付け情報とに基づいて、機材の位置を特定してもよい。プロセッサ111は、機材が紐付けられた手術が行われているときには、その手術室に機材が存在すると判断し、それ以外の場合には保管場所に機材が存在すると判断する。
【0242】
また本実施形態では、プロセッサ111は、手術リソースの位置を示すマップ画面をモニタ150に表示させる処理を行う。
【0243】
本実施形態によれば、各リソースが施設内のどこにあるのかを、マップ画面により視覚的に直感的に把握できる。例えば、手術リソースを準備する際に、どこに取りに行けばよいかを把握できる。
【0244】
また本実施形態では、プロセッサ111は、外科支援システム50が使用される施設内における手術リソースの位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて、施設内における手術リソースの位置を示すマップ画面をモニタ150に表示させる処理を行う。
【0245】
本実施形態によれば、取得した位置情報により施設内におけるリソースの位置を把握できるので、リソースの位置を示すマップ画面を自動で生成できる。
【0246】
5.第4詳細構成例
手術は1人の外科医が行う作業のみで完結するものではなく、計画、準備及び支援などを含む複数人からなるチームにより行われる。チームメンバーには、オペルーム外のメンバーも含まれる。外科医又は看護師等の医療従事者は、1日に複数回の手術を行うことがあり、加えて病院では複数の手術室を用いて同時多発的に手術が行われることが多い。このため、外科支援システムは、各手術室の手術の進行状況、又は、人員又は機材等のリソース状況に合わせて、病院全体としての手術チームや手術用機材などのマネジメントができるように情報支援を行うことが望ましい。
【0247】
上述した特許文献2には、電子カルテと患者や医師のイベント情報とを連動させて情報を交換することができるクリニカルコミュニケーション装置及び病院情報システムが開示されている。しかし、この従来技術は、患者ごとの治療計画(クリニカルパス)のスケジュールに関する技術であり、各手術室の手術の進捗状況を考慮して、病院全体の手術のスケジューリングを行うことはできない。
【0248】
以下、このような状況を鑑みた第4詳細構成例を説明する。
【0249】
図30に、手術進捗状況の表示例を示す。L1に示すように、手術スケジュール画面に現在時間を示す縦線が表示される。L2に示すように、手術計画バーには、手術の進捗実績を示す進捗実績バーが表示される。進捗実績バーの左端は手術開始時間を示し、バーの長さは、進捗実績に対応した長さになっている。L3に示すように、手術計画バーには、現在時刻に対する進捗の遅延を示す遅延バーが表示される。遅延バーは、進捗実績バーの右端と、現在時刻を示す縦線との間に表示される。進捗実績が現在時刻より進んでいる場合には、遅延バーが表示されず進捗実績バーのみ表示され、進捗実績バーの右端が、現在時刻を示す縦線の右側に超える。
【0250】
進捗実績バーの長さは、例えば、終了した手技ステップの累積時間を示す。手術室用システム200のプロセッサ211は、ライブ画像に対する画像認識処理の結果、又はオペチームメンバーからの手動入力に基づいて手技ステップを判断し、その情報をスタッフステーション用システム100に送信する。スタッフステーション用システム100の記憶装置112は、手術に採用された術式における各手技ステップに要する時間を予め記憶している。スタッフステーション用システム100のプロセッサ111は、各手技ステップに要する時間を記憶装置112から読み出し、終了した手技ステップの累積時間を計算し、累積時間に基づいて進捗実績バーを手術計画バーに表示させる。
【0251】
スタッフステーションのスタッフは、手術計画バーに表示された進捗状況を見て、必要に応じて手術計画バーの右端をドラッグ操作することで、終了予定時間を変更可能である。
【0252】
以上に説明した本実施形態の外科支援システム50は、プロセッサ111と記憶装置112とを含む。プロセッサ111は、手術スケジュールを示す手術スケジュール画面をモニタ150に表示させる処理を行う。記憶装置112は、手術スケジュールにスケジュールされた手術に関連付けて、手術内容に関する手術内容情報、手術室に係る手術室情報、及び手術予定時間に関する手術時間情報を記憶する。プロセッサ111は、手術室からリアルタイムの手術状況に関する情報であるリアルタイム手術情報を受信する。プロセッサ111は、手術スケジュールにスケジュールされた手術にリアルタイム手術情報を関連付けた手術スケジュール画面をモニタ150に表示させる処理を行う。
【0253】
本実施形態によれば、手術室からリアルタイムの手術状況に関する情報であるリアルタイム手術情報が手術に関連付けられて手術スケジュール画面に表示されるので、手術室のオペチームメンバーとスタッフステーションのスタッフで、リアルタイムの手術状況を共有できる。これにより、各手術室の手術のリアルタイム状況を考慮して、病院全体としての手術チームや手術用機材などのマネジメントができるように情報支援を行うことができる。
【0254】
なお、図30ではリアルタイム手術情報は、手術の進捗実績、又は現在時刻に対する進捗の遅延に対応する。但し、リアルタイム手術情報は、これに限定されず、例えば後述する手術室の共通アラートに同期したアラート、或いは手術室のリアルタイム手術映像等であってもよい。
【0255】
また本実施形態では、リアルタイム手術情報は、手術室において遂行されている手術のライブ画像に対する画像解析の結果に基づいて取得された、手術の進捗に関する情報であってもよい。
【0256】
また本実施形態では、手術スケジュール画面は、手術に関連付けて、手術予定時間に対する進捗実績の差異をバーの長さで示す進捗表示領域を有する。
【0257】
本実施形態によれば、各手術室の手術の進捗状況を考慮して、病院全体としての手術チームや手術用機材などのマネジメントができるように情報支援を行うことができる。
【0258】
なお、ライブ画像は、画像解析により手術の進捗情報が得られる画像であればよい。一例としては、内視鏡システム270により撮像された内視鏡画像である。図30の例では、手術の進捗に関する情報は、進捗実績バー又は遅延バーである。但し、進捗に関する情報の提示手法は、これらに限定されるものでない。また図30の例では、進捗表示領域は遅延バーに対応する。但し、手術予定時間に対する進捗実績の差異をバーの長さで示す手法は、これに限定されるものでない。なお、遅延バーは、現在時刻に対する進捗の遅延を示すが、これは、現在時刻において終了しているべき手術予定に対する進捗の遅延を示しており、手術予定時間に対する進捗実績の差異をバーの長さで示している。
【0259】
また本実施形態では、手術時間情報は、手術の予定所要時間の情報を含む。プロセッサ111は、手術に関連付けて予定所要時間を手術スケジュール画面に表示する。プロセッサ111は、予定所要時間を変更する操作を受け付けたとき、操作に基づいて予定所要時間が変更された手術スケジュール画面をモニタ150に表示する処理を行う。
【0260】
本実施形態によれば、手術スケジュール画面に表示された手術の進捗状況に応じて、手術の予定所要時間をリスケジュールできる。これにより、視覚的に直感的にリアルタイムの進捗状況を把握しつつ、それに対応したリスケジュールを手術スケジュール画面上において行うことができる。
【0261】
なお、図30において、予定所要時間を変更する操作は、手術計画バーの右端をドラッグ操作することに対応する。手術計画バーの長さが予定所要時間を示しており、手術の終了時間が変更されることで、予定所要時間が変更される。
【0262】
また本実施形態では、手術スケジュール画面は、手術計画バーを有する。手術計画バーは、手術室軸と時間軸とからなるマトリクス上に配置され、手術室、手術予定時間及び手術内容を示す。手術計画バーは、マトリクス上の手術室軸において、手術計画バーが示す手術が行われる手術室に対応した位置に配置される。手術計画バーは、マトリクス上の時間軸において、手術計画バーが示す手術の開始時間と終了時間を両端とするバーとして表示される。進捗表示領域は、手術計画バー内において、手術予定時間に対する進捗実績の差異を、時間軸におけるバーの長さで示す。
【0263】
本実施形態によれば、マトリクス上において手術室と手術予定時間が示された手術計画バーにより、視覚的に直感的に手術スケジュールを把握できる。そして、その手術計画バー内に進捗表示領域が手術計画バー内に表示されることで、手術計画バーに計画された手術予定時間に対して進捗を視覚的に直感的に把握できる。
【0264】
また本実施形態では、プロセッサ111は、マトリクス上において手術計画バーが示す終了時間を延ばすドラッグ操作を受け付けたとき、ドラッグ操作に基づいて終了時間が変更された手術計画バーをモニタ150に表示させる処理を行う。
【0265】
本実施形態によれば、手術計画バーに表示された手術の進捗状況に応じて、終了時間を延ばすドラッグ操作を行うことで、視覚的に直感的に分かりやすい手法で手術の予定所要時間をリスケジュールできる。
【0266】
なお、本実施形態は以下のように外科支援方法として実施されてもよい。この外科支援方法は外科支援システム50の作動方法として実施されてもよい。外科支援方法は、手術スケジュールにスケジュールされた手術に関連付けて、手術内容に関する手術内容情報、手術室に係る手術室情報、及び手術予定時間に関する手術時間情報を記憶すること、を含む。また外科支援方法は、手術室からリアルタイムの手術状況に関する情報であるリアルタイム手術情報を受信すること、を含む。また外科支援方法は、手術スケジュールを示す手術スケジュール画面であって、手術スケジュールにスケジュールされた手術にリアルタイム手術情報を関連付けた手術スケジュール画面を、モニタ150に表示させる処理を行うこと、を含む。
【0267】
また、本実施形態は以下のように、プログラム、或いはコンピュータが読み取り可能な非一時的な情報記憶媒体として実施されてもよい。プログラムは、手術スケジュールにスケジュールされた手術に関連付けて、手術内容に関する手術内容情報、手術室に係る手術室情報、及び手術予定時間に関する手術時間情報を記憶すること、をコンピュータに実行させる。また外科支援方法は、手術室からリアルタイムの手術状況に関する情報であるリアルタイム手術情報を受信すること、をコンピュータに実行させる。また外科支援方法は、手術スケジュールを示す手術スケジュール画面であって、手術スケジュールにスケジュールされた手術にリアルタイム手術情報を関連付けた手術スケジュール画面を、モニタ150に表示させる処理を行うこと、をコンピュータに実行させる。
【0268】
図31に、手術室モニタのタブが選択されたときのサブ領域の表示例を示す。M1に示すように手術室モニタのタブが選択されると、M2に示すように、タブの上側に、各手術室のリアルタイム映像の一覧が表示される。一覧表示の1つの欄に1つの手術室のリアルタイム映像が表示される。図31には、7つの手術室が存在し、その7つの手術室のリアルタイム映像が表示される例を示す。手術室のリアルタイム映像は、手術室に設置されたカメラにより撮影された映像であり、例えば手術室が俯瞰的に撮影された映像である。手術室において手術が行われている場合には、リアルタイム映像は、手術の状況がリアルタイムに撮影されたリアルタイム手術映像である。
【0269】
図32に、リアルタイム映像の一覧のうち1つの手術室に関するリアルタイム映像表示の例を示す。M3に示すように、欄の左側に手術室の番号が表示される。M4に示すように、欄の右側に手術室のリアルタイム映像が表示される。M5に示すように、手術室の番号の上側に、その手術室において現在手術が行われていることを示すサインが表示される。M6に示すように、手術番号の下側に、手術室の端末に表示された共通アラートに同期したアラートが表示される。
【0270】
スタッフステーション用システム100のプロセッサ111は、各手術室のリアルタイム手術映像を手術に関連付けて記憶装置112に蓄積する。この蓄積されたリアルタイム手術映像は、過去手術映像として再生可能である。即ち、プロセッサ111は、手術の過去手術映像を再生する操作を受け付けたとき、その手術に関連付けられた過去手術映像を記憶装置112から読み出し、モニタ150に表示させる処理を行う。
【0271】
以上に説明した本実施形態では、リアルタイム手術情報は、手術室において遂行されている手術のリアルタイム手術映像を含む。プロセッサ111は、手術が遂行されている手術室に関連付けて、リアルタイム手術映像をモニタ150に表示させる処理を行う。
【0272】
本実施形態によれば、リアルタイム手術映像が手術室に関連付けられてモニタに表示されるので、手術室のオペチームメンバーとスタッフステーションのスタッフで、リアルタイムの手術状況を共有できる。
【0273】
なお、リアルタイム手術映像は、手術室又は手術を写したリアルタイム映像であればよい。一例としては、手術室に設置されたカメラにより撮像された、手術室を俯瞰するカメラ映像である。
【0274】
また本実施形態では、リアルタイム手術情報は、手術室において遂行されている手術に関連するアラート情報を含む。プロセッサ111は、手術が遂行されている手術室に関連付けて、リアルタイム手術映像とアラート情報をモニタ150に表示させる処理を行う。
【0275】
本実施形態によれば、リアルタイム手術映像と共に、手術室で発生したアラート情報をスタッフステーションにおいて確認できるので、手術室のオペチームメンバーとスタッフステーションのスタッフで、リアルタイムの手術状況を共有できる。
【0276】
また本実施形態では、プロセッサ111は、リアルタイム手術映像を過去手術映像として記憶装置112に保存する。プロセッサ111は、過去手術映像を再生する操作を受け付けたとき、過去手術映像を記憶装置112から読み出してモニタ150に表示させる処理を行う。
【0277】
本実施形態によれば、手術の履歴情報として手術映像を蓄積でき、手術後に手術映像を呼び出して確認できる。例えば、手術内容の確認又は改善等に利用できる。
【0278】
また本実施形態では、リアルタイム手術情報は、手術室において遂行されている手術に関連するアラート情報を含む。
【0279】
本実施形態によれば、手術室で発生したアラート情報をスタッフステーションにおいて確認できるので、手術室のオペチームメンバーとスタッフステーションのスタッフで、リアルタイムのアラート情報を共有できる。
【0280】
なお、図31ではリアルタイム手術映像と共にアラート情報が表示される例を示しているが、図19等で説明したように、手術計画バーが配置されるマトリクス上にアラート情報が表示されてもよい。
【0281】
また本実施形態では、アラート情報は、手術室において遂行されている手術のライブ画像に対する画像解析の結果に基づいて、取得された情報である。
【0282】
本実施形態によれば、画像解析の結果に基づいて自動でアラートが生成され、そのアラートが手術室とスタッフステーションで共有される。
【0283】
なお、画像解析の結果に基づいてアラート情報を取得する手法については、図19図20等で説明した通りである。
【0284】
また本実施形態では、アラート情報は、手術室内のオペチームメンバーにより入力された情報である。
【0285】
本実施形態によれば、手術室のオペチームメンバーが認識した状況に基づいて、その状況に関するアラートを手術室とスタッフステーションで共有できる。
【0286】
なお、画像解析の結果に基づいてアラート情報を取得する手法については、図19図21等で説明した通りである。
【0287】
図33に、タイムライン表示画面の例を示す。タイムライン表示画面に、手術におけるアラートの履歴が表示される。タイムライン表示画面は、手術中又は手術後においてスケジュール画面に表示させることが可能である。
【0288】
P1に示すように、画面上部に手術室の番号が表示される。P2に示すように、タイムラインの横軸が時間軸である。P3に示すように、タイムラインの縦軸がアラート種類軸であり、アラートのアイコンが縦方向に並んで表示される。なお、アイコンでなく色等でアラートの種類が示されてもよい。P4に示すように、各アラートの欄には、そのアラートがいつ発生したかを示すバーが表示される。P5に示すように、ドラッグ操作等によって任意の時間にスライド可能な縦線が表示される。P6に示すように、P5の縦線が位置する時間が、縦線の下部に表示される。P7に示すように、P5の縦線が位置する時間において発生していたアラートが、時間表示の下部に表示される。P8に示すように、タイムライン表示を拡大縮小するための拡縮操作バーが表示される。
【0289】
スタッフステーション用システム100のプロセッサ111は、手術室用システム200から共通アラートの情報を受信したときに、その情報を記憶装置112に記録しておく。プロセッサ111は、記憶装置112に記憶された共通アラートの情報に基づいて、タイムライン表示画面をモニタ150に表示させる。
【0290】
以上に説明した本実施形態では、プロセッサ111は、蓄積されたアラート情報に基づいて、時系列のアラート履歴を示すタイムライン表示画面をモニタ150に表示させる処理を行う。
【0291】
本実施形態によれば、手術の履歴情報として時系列のアラート情報を蓄積でき、手術後に時系列のアラート情報を呼び出して確認できる。例えば、手術内容の確認又は改善等に利用できる。
【0292】
以上、本開示を適用した実施形態およびその変形例について説明したが、本開示は、各実施形態やその変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階では、開示の要旨を逸脱しない範囲内で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記した各実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の開示を形成することができる。例えば、各実施形態や変形例に記載した全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態や変形例で説明した構成要素を適宜組み合わせてもよい。このように、開示の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能である。また、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【符号の説明】
【0293】
10 スタッフステーション、20 手術室、50 外科支援システム、60 有線通信、100 スタッフステーション用システム、110 スタッフステーション用端末、111 プロセッサ、112 記憶装置、113 通信装置、150 モニタ、191~194 スタッフ、200 手術室用システム、210 情報処理システム、211 プロセッサ、212 記憶装置、213,214 通信装置、220 端末、221 第1端末、222 第2端末、223 第3端末、225 プロセッサ、226 記憶装置、228 通信装置、229 モニタ、251 支援用モニタ、252 内視鏡モニタ、260 手術台、270 内視鏡システム、291 第1メンバー、292 第2メンバー、293 第3メンバー、294 外科医
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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