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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024795
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】作業支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20230209BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209820
(22)【出願日】2022-12-27
(62)【分割の表示】P 2019028297の分割
【原出願日】2019-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大平 ゆうき
(72)【発明者】
【氏名】田村 尚志
(57)【要約】
【課題】作業者に見合った適切な作業支援を行うこと。
【解決手段】店舗ユーザUのユーザID情報と、当該店舗ユーザUの作業結果を示す作業結果データD3と、を店舗ユーザ端末装置10から受信し、前記作業結果データD3と前記ユーザID情報とに基づいて評価された前記店舗ユーザUのユーザ評価が所定の第1の閾値以下の場合、店舗ユーザ端末装置10のディスプレイ53に表示させる表示情報として、店舗ユーザ端末装置10のカメラ54Aによって冷設機器4の部位の情報を取得する手法を案内する第1の案内と、前記カメラ54Aによって情報を取得するべき前記冷設機器4の部位を案内する第2の案内を店舗ユーザ端末装置10に送信し、前記ユーザ評価が前記第1の閾値より大きい場合、前記ディスプレイ53に表示させる表示情報として、前記第1の案内を省略し、前記第2の案内を前記端末装置に送信する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも庫内温度情報を含む計測情報を取得する第1のセンサを有する冷設機器と、前記冷設機器から前記庫内温度情報と異なる情報を取得する第2のセンサとディスプレイとを有しユーザによって操作される端末装置とのそれぞれにネットワークを介して接続されたコンピュータを用いて、前記冷設機器に対する保守点検に係る前記ユーザの作業を支援する作業支援システムに用いられる作業支援方法であって、
前記ユーザのユーザID情報と、当該ユーザの作業結果を示す作業結果データと、を前記端末装置から受信し、
前記作業結果データと前記ユーザID情報とに基づいて評価された前記ユーザのユーザ評価が所定の第1の閾値以下の場合、前記ディスプレイに表示させる表示情報として、前記第2のセンサによって前記冷設機器の部位の情報を取得する手法を案内する第1の案内と、前記第2のセンサによって情報を取得するべき前記冷設機器の部位を案内する第2の案内を前記端末装置に送信し、
前記ユーザ評価が前記第1の閾値より大きい場合、前記ディスプレイに表示させる表示情報として、前記第1の案内を省略し、前記第2の案内を前記端末装置に送信する作業支援方法。
【請求項2】
前記ユーザ評価が前記第1の閾値より大きい第2の閾値より大きい場合、
前記ディスプレイに表示させる表示情報として、前記第1の案内、及び前記第2の案内を省略し、
前記冷設機器における作業対象の状態を前記ユーザに判定させる第3の案内を前記端末装置に送信する、請求項1に記載の作業支援方法。
【請求項3】
前記ユーザ評価が前記第1の閾値より大きく前記第2の閾値以下の場合、前記ディスプレイに表示させる表示情報として、
案内の内容を簡略した前記第2の案内を前記端末装置に送信する、請求項2に記載の作業支援方法。
【請求項4】
前記ユーザ評価は、前記作業結果データの送信回数に基づいて評価される、請求項2または3に記載の作業支援方法。
【請求項5】
前記ユーザ評価が前記第1の閾値または前記第2の閾値になった場合に、
前記作業に要した時間が所定時間以上、または、前記作業結果データと基準データとの一致度が所定一致度閾値未満のとき、前記ユーザ評価を下げる、請求項4に記載の作業支援方法。
【請求項6】
前記ユーザ評価は、有効な作業が前記ユーザによって行われた回数である有効回数に基づいて評価される、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の作業支援方法。
【請求項7】
前記有効回数は、前記作業に要した時間、または、前記作業結果データの作業結果と基準データとの一致度に応じて加算される、請求項6に記載の作業支援方法。
【請求項8】
前記ユーザ評価は、前記作業結果データの送信回数、または、有効な作業が前記ユーザによって行われた回数である有効回数に基づく熟練度である、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の作業支援方法。
【請求項9】
前記熟練度は、
前記送信回数、または、前記有効回数が所定回数に達するごとに加算され、
前記作業に要した時間が所定時間以上、または、前記作業結果データと基準データとの一致度が所定一致度閾値未満のとき下げられる、請求項8に記載の作業支援方法。
【請求項10】
前記送信回数、または、前記有効回数は、前記作業を行うときのユーザの前記熟練度毎に集計される、請求項9に記載の作業支援方法。
【請求項11】
前記作業結果データの取得から所定期間経過した場合に、前記ユーザの熟練度を下げる、請求項8ないし10のいずれか1つに記載の作業支援方法。
【請求項12】
前記冷設機器の冷設機器ID情報毎に前記ユーザ評価がなされる、請求項1に記載の作業支援方法。
【請求項13】
前記冷設機器の機器種別毎に前記ユーザ評価がなされる、請求項1に記載の作業支援方法。
【請求項14】
前記ユーザ評価は、前記冷設機器の冷設機器ID情報毎、及び、前記冷設機器の機器種別毎にされ、
前記冷設機器の冷設機器ID情報に対応する前記ユーザ評価が前記第1の閾値以下の場合であっても、
前記機器種別が同一で前記冷設機器ID情報が異なる前記冷設機器の前記ユーザ評価が前記第1の閾値より大きい場合、
前記第1の案内を省略して前記第2の案内を前記端末装置に送信する、請求項1に記載の作業支援方法。
【請求項15】
少なくとも庫内温度情報を含む計測情報を取得する第1のセンサを有する冷設機器と、前記冷設機器から前記庫内温度情報と異なる情報を取得する第2のセンサとディスプレイとを有しユーザによって操作される端末装置とのそれぞれにネットワークを介して接続されたコンピュータを用いて、前記冷設機器に対する保守点検に係る前記ユーザの作業を支援する作業支援システムに用いられる作業支援方法であって、
前記端末装置が、
前記ユーザのユーザID情報と、当該ユーザの作業結果を示す作業結果データと、を送信し、
前記作業結果データと前記ユーザID情報とに基づいて評価された前記ユーザのユーザ評価が所定の第1の閾値以下の場合、前記ディスプレイに表示させる表示情報として、前記第2のセンサによって前記冷設機器の部位の情報を取得する手法を案内する第1の案内と、前記第2のセンサによって情報を取得するべき前記冷設機器の部位を案内する第2の案内を前記端末装置に送信し、前記ユーザ評価が前記所定の第1の閾値より大きい場合、前記ディスプレイに表示させる表示情報として、前記第1の案内を省略し、前記第2の案内を前記端末装置に送信する、作業支援方法。
【請求項16】
少なくとも庫内温度情報を含む計測情報を取得する第1のセンサを有する冷設機器と、前記冷設機器から前記庫内温度情報と異なる情報を取得する第2のセンサとディスプレイとを有しユーザによって操作される端末装置とのそれぞれにネットワークを介して接続されたコンピュータを用いて、前記冷設機器に対する保守点検に係る前記ユーザの作業を支援する作業支援システムの前記コンピュータに、
前記ユーザのユーザID情報と、当該ユーザの作業結果を示す作業結果データと、を前記端末装置から受信し、
前記作業結果データと前記ユーザID情報とに基づいて評価された前記ユーザのユーザ評価が所定の第1の閾値以下の場合、前記ディスプレイに表示させる表示情報として、前記第2のセンサによって前記冷設機器の部位の情報を取得する手法を案内する第1の案内と、前記第2のセンサによって情報を取得するべき前記冷設機器の部位を案内する第2の案内を前記端末装置に送信し、前記ユーザ評価が前記所定の第1の閾値より大きい場合、前記ディスプレイに表示させる表示情報として、前記第1の案内を省略し、前記第2の案内を前記端末装置に送信する処理を実行させるプログラム。
【請求項17】
少なくとも庫内温度情報を含む計測情報を取得する第1のセンサを有する冷設機器と、前記冷設機器から前記庫内温度情報と異なる情報を取得する第2のセンサとディスプレイとを有しユーザによって操作される端末装置とのそれぞれにネットワークを介して接続されたコンピュータを用いて、前記冷設機器に対する保守点検に係る前記ユーザの作業を支援する作業支援システムの前記端末装置に、
前記ユーザのユーザID情報と、当該ユーザの作業結果を示す作業結果データと、を送信し、
前記作業結果データと前記ユーザID情報とに基づいて評価された前記ユーザのユーザ評価が所定の第1の閾値以下の場合、前記ディスプレイに表示させる表示情報として、前記第2のセンサによって前記冷設機器の部位の情報を取得する手法を案内する第1の案内と、前記第2のセンサによって情報を取得するべき前記冷設機器の部位を案内する第2の案内を前記端末装置に送信し、前記ユーザ評価が前記所定の第1の閾値より大きい場合、前記ディスプレイに表示させる表示情報として、前記第1の案内を省略し、前記第2の案内を前記端末装置に送信する処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業者のマニュアルにしたがった作業を支援する技術として、特許文献1の技術がある。
特許文献1には、「作業対象に対する作業手順を示す作業マニュアルを構成する複数の画像を順次に表示する表示部と、表示部が表示する画像を次の画像に切替えるタイミングをユーザの動作に基づいて検知する検知部と、検知部が検知したタイミングに基づいて、表示部が画像を表示する時間を画像毎に計測する計測部と、計測部が計測した画像毎の表示時間に応じて、作業マニュアルを構成する複数の画像が示す情報の一部を削減することにより、情報量を削減させた作業マニュアルを新たに生成する生成部と、を有する」ことが記載されている。
そして特許文献1によれば、作業マニュアルを構成する複数の画像のそれぞれを、作業者が切り替える時間(表示時間)に応じて、情報量を削減させた作業マニュアルを生成するので、作業者毎に適したマニュアルが生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-126292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、作業マニュアルの情報量が作業者に応じて適宜に削減されるものの、作業内容自体は変わらず、作業者によっては作業支援が適切ではない場合があった。
【0005】
本発明は、作業者に見合った適切な作業支援を行うことができる作業支援方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも庫内温度情報を含む計測情報を取得する第1のセンサを有する冷設機器と、前記冷設機器から前記庫内温度情報と異なる情報を取得する第2のセンサとディスプレイとを有しユーザによって操作される端末装置とのそれぞれにネットワークを介して接続されたコンピュータを用いて、前記冷設機器に対する保守点検に係る前記ユーザの作業を支援する作業支援システムに用いられる作業支援方法であって、前記ユーザのユーザID情報と、当該ユーザの作業結果を示す作業結果データと、を前記端末装置から受信し、前記作業結果データと前記ユーザID情報とに基づいて評価された前記ユーザのユーザ評価が所定の第1の閾値以下の場合、前記ディスプレイに表示させる表示情報として、前記第2のセンサによって前記冷設機器の部位の情報を取得する手法を案内する第1の案内と、前記第2のセンサによって情報を取得するべき前記冷設機器の部位を案内する第2の案内を前記端末装置に送信し、前記ユーザ評価が前記第1の閾値より大きい場合、前記ディスプレイに表示させる表示情報として、前記第1の案内を省略し、前記第2の案内を前記端末装置に送信する、作業支援方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、作業者に見合った適切な作業支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る冷設機器管理システムの構成を示す図
図2】支援画面Gの一例を示す図
図3】ユーザ評価と、支援画面G、及び案内される作業との対応例を示す図
図4】冷設機器の機能的構成を示すブロック図
図5】店舗装置の機能的構成を示すブロック図
図6】店舗ユーザ端末装置の機能的構成を示すブロック図
図7】管理サーバの機能的構成を示すブロック図
図8】冷設機器に異常が発生していない場合における冷設機器管理システムのシーケンス図
図9】冷設機器に異常が発生した場合における冷設機器管理システムのシーケンス図
図10】異常対象処理のフローチャート
図11】熟練度決定処理のフローチャート
図12】対応情報テーブルの一例を示す図
図13】原因確認処理のフローチャート
図14】熟練度更新処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の発明は、少なくとも庫内温度情報を含む計測情報を取得する第1のセンサを有する冷設機器と、前記冷設機器から前記庫内温度情報と異なる情報を取得する第2のセンサとディスプレイとを有しユーザによって操作される端末装置とのそれぞれにネットワークを介して接続されたコンピュータを用いて、前記冷設機器に対する保守点検に係る前記ユーザの作業を支援する作業支援システムに用いられる作業支援方法であって、前記ユーザのユーザID情報と、当該ユーザの作業結果を示す作業結果データと、を前記端末装置から受信し、前記作業結果データと前記ユーザID情報とに基づいて評価された前記ユーザのユーザ評価が所定の第1の閾値以下の場合、前記ディスプレイに表示させる表示情報として、前記第2のセンサによって前記冷設機器の部位の情報を取得する手法を案内する第1の案内と、前記第2のセンサによって情報を取得するべき前記冷設機器の部位を案内する第2の案内を前記端末装置に送信し、前記ユーザ評価が前記第1の閾値より大きい場合、前記ディスプレイに表示させる表示情報として、前記第1の案内を省略し、前記第2の案内を前記端末装置に送信する、作業支援方法である。
【0010】
これにより、ユーザ評価が所定の第1の閾値以下の場合には、第1の案内が案内されずとも第2の案内だけで作業を実施できてしまうようなユーザに、第1の案内の無駄な作業を行わせてしまうことがない。一方、ユーザ評価が所定の第1の閾値より大きい場合には、作業支援で案内される作業のうち、かかるユーザ評価を得ているユーザには不要な作業が案内されることがないので、保守点検に係る作業負担を減らすことができ、またユーザは迅速に作業を済ませることができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記ユーザ評価が前記第1の閾値より大きい第2の閾値より大きい場合、前記ディスプレイに表示させる表示情報として、前記第1の案内、及び前記第2の案内を省略し、前記冷設機器における作業対象の状態を前記ユーザに判定させる第3の案内を前記端末装置に送信する、作業支援方法である。
これにより、ユーザ評価が第2の閾値より大きいユーザは、第1の案内、及び第2の案内のそれぞれの作業を実施することなく、作業対象の状態を自身で速やかに判定できる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、前記ユーザ評価が前記第1の閾値より大きく前記第2の閾値以下の場合、案内の内容を簡略した前記第2の案内を前記端末装置に送信する、作業支援方法である。
これにより、第1の閾値より大きく第2の閾値以下のユーザ評価を得ているユーザにとっては無駄な情報を省いて第2の案内を提示できる。
【0013】
第4の発明は、第2の発明、または第3の発明において、前記ユーザ評価は、前記作業結果データの送信回数に基づいて評価される、作業支援方法である。
これにより、冷設機器に対して行った作業の経験や実績を作業結果データの送信回数で定量化でき、それをユーザ評価に反映できる。
【0014】
第5の発明は、第4の発明において、前記ユーザ評価が前記第1の閾値または前記第2の閾値より大きくなった場合に、前記作業に要した時間が所定時間以上、または、前記作業結果データと基準データとの一致度が所定一致度閾値未満のとき、前記ユーザ評価を下げる、作業支援方法である。
これにより、第1の閾値または第2の閾値よりも大きいユーザ評価を得たユーザであっても、作業に要した時間が所定時間以上、または、作業結果データと基準データとの一致度が所定一致度閾値未満のときには、作業へのユーザの対応レベルに見合ったユーザ評価に下げることができる。
【0015】
第6の発明は、第1の発明ないし第3の発明のいずれか1つにおいて、前記ユーザ評価は、有効な作業が前記ユーザによって行われた回数である有効回数に基づいて評価される、作業支援方法である。
これにより、冷設機器に対して行った作業の経験や実績を作業結果データの送信回数、または有効回数で定量化でき、それをユーザ評価に反映できる。
【0016】
第7の発明は、第6の発明において、有効回数は、前記作業に要した時間、または、前記作業結果データの作業結果と基準データとの一致度に応じて加算される、作業支援方法である。
これにより、作業へのユーザの対応レベルを反映した有効回数を計数できる。
【0017】
第10の発明は、第1の発明ないし第3の発明のいずれか1つにおいて、前記ユーザ評価は、前記作業結果データの送信回数、または、有効な作業が前記ユーザによって行われた回数である有効回数に基づく熟練度である、作業支援方法である。
これにより、冷設機器に対して行った作業の経験や実績を反映した熟練度でユーザ評価を定量化できる。
【0018】
第9の発明は、第8の発明において、前記熟練度は、前記送信回数、または、前記有効回数が所定回数に達するごとに加算され、前記作業に要した時間が所定時間以上、または、前記作業結果データと基準データとの一致度が所定一致度閾値未満のとき下げられる、作業支援方法である。
これにより、ユーザが冷設機器に対して行った作業の経験や実績と、ユーザの作業の結果で裏付けられた対応レベルと、を反映した熟練度を設定できる。
【0019】
第10の発明は、第9の発明において、前記送信回数、または、前記有効回数は、前記作業を行うときのユーザの記熟練度毎に集計される、作業支援方法である。
これにより、作業時の熟練度ごとに、ユーザの作業の経験や実績を正確に評価できる。
【0020】
第11の発明は、第8の発明ないし第10の発明のいずれか1つにおいて、前記作業結果データの取得から所定期間経過した場合に、前記ユーザの熟練度を下げる、作業支援方法である。
これにより、作業についてのユーザの記憶が薄れているような場合に、それに合わせてユーザの熟練度を下げて評価できる。
【0021】
第12の発明は、第1の発明において、前記冷設機器の冷設機器ID情報毎に前記ユーザ評価がなされる、作業支援方法である。
これにより、冷設機器ごとにユーザ評価を把握し、適切な支援を実現できる。
【0022】
第13の発明は、第1の発明において、前記冷設機器の機器種別毎に前記ユーザ評価がなされる、作業支援方法である。
これにより、冷設機器の機器種別ごとにユーザ評価を把握し、適切な支援を実現できる。
【0023】
第14の発明は、第1の発明において、前記ユーザ評価は、前記冷設機器の冷設機器ID情報毎、及び、前記冷設機器の機器種別毎にされ、前記冷設機器の冷設機器ID情報に対応する前記ユーザ評価が前記第1の閾値以下の場合であっても、前記機器種別が同一で前記冷設機器ID情報が異なる前記冷設機器の前記ユーザ評価が前記第1の閾値より大きい場合、前記第1の案内を省略して前記第2の案内を前記端末装置に送信する、作業支援方法である。
これにより、同一の冷設機器のみならず、同種の一群の冷設機器について作業の支援を受ける際には、ユーザは、自身のユーザ評価に見合った支援を受けることができる。
【0024】
第15の発明は、少なくとも庫内温度情報を含む計測情報を取得する第1のセンサを有する冷設機器と、前記冷設機器から前記庫内温度情報と異なる情報を取得する第2のセンサとディスプレイとを有しユーザによって操作される端末装置とのそれぞれにネットワークを介して接続されたコンピュータを用いて、前記冷設機器に対する保守点検に係る前記ユーザの作業を支援する作業支援システムに用いられる作業支援方法であって、前記端末装置が、前記ユーザのユーザID情報と、当該ユーザの作業結果を示す作業結果データと、を送信し、前記作業結果データと前記ユーザID情報とに基づいて評価された前記ユーザのユーザ評価が所定の第1の閾値以下の場合、前記ディスプレイに表示させる表示情報として、前記第2のセンサによって前記冷設機器の部位の情報を取得する手法を案内する第1の案内と、前記第2のセンサによって情報を取得するべき前記冷設機器の部位を案内する第2の案内を前記端末装置に送信し、前記ユーザ評価が前記第1の閾値より大きい場合、前記ディスプレイに表示させる表示情報として、前記第1の案内を省略し、前記第2の案内を前記端末装置に送信する、作業支援方法である。
本発明によれば、第1の発明と同様な効果が得られる。
【0025】
第16の発明は、少なくとも庫内温度情報を含む計測情報を取得する第1のセンサを有する冷設機器と、前記冷設機器から前記庫内温度情報と異なる情報を取得する第2のセンサとディスプレイとを有しユーザによって操作される端末装置とのそれぞれにネットワークを介して接続されたコンピュータを用いて、前記冷設機器に対する保守点検に係る前記ユーザの作業を支援する作業支援システムの前記コンピュータに、前記ユーザのユーザID情報と、当該ユーザの作業結果を示す作業結果データと、を前記端末装置から受信し、前記作業結果データと前記ユーザID情報とに基づいて評価された前記ユーザのユーザ評価が所定の第1の閾値以下の場合、前記ディスプレイに表示させる表示情報として、前記第2のセンサによって前記冷設機器の部位の情報を取得する手法を案内する第1の案内と、前記第2のセンサによって情報を取得するべき前記冷設機器の部位を案内する第2の案内を前記端末装置に送信し、前記ユーザ評価が前記第1の閾値より大きい場合、前記ディスプレイに表示させる表示情報として、前記第1の案内を省略し、前記第2の案内を前記端末装置に送信する処理を実行させるプログラムである。
本発明によれば、第1の発明と同様な効果が得られる。
【0026】
第17の発明は、少なくとも庫内温度情報を含む計測情報を取得する第1のセンサを有する冷設機器と、前記冷設機器から前記庫内温度情報と異なる情報を取得する第2のセンサとディスプレイとを有しユーザによって操作される端末装置とのそれぞれにネットワークを介して接続されたコンピュータを用いて、前記冷設機器に対する保守点検に係る前記ユーザの作業を支援する作業支援システムの前記端末装置に、前記ユーザのユーザID情報と、当該ユーザの作業結果を示す作業結果データと、を送信し、前記作業結果データと前記ユーザID情報とに基づいて評価された前記ユーザのユーザ評価が所定の第1の閾値以下の場合、前記ディスプレイに表示させる表示情報として、前記第2のセンサによって前記冷設機器の部位の情報を取得する手法を案内する第1の案内と、前記第2のセンサによって情報を取得するべき前記冷設機器の部位を案内する第2の案内を前記端末装置に送信し、前記ユーザ評価が前記第1の閾値より大きい場合、前記ディスプレイに表示させる表示情報として、前記第1の案内を省略し、前記第2の案内を前記端末装置に送信する処理を実行させるプログラムである。
本発明によれば、第1の発明と同様な効果が得られる。
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0028】
図1は、本実施形態に係る冷設機器管理システム1の構成を示す図である。
冷設機器管理システム1は、管理サーバ3を備え、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗2に設置された冷設機器4を、管理サーバ3によって管理するシステムである。
冷設機器4は、冷蔵機器、及び冷凍機器の総称である。本実施形態では、1又は複数台の冷凍・冷蔵ショーケースと、1又は複数台の冷蔵庫と、1又は複数台の冷凍庫とが冷設機器として店舗2に配置されている。これらの冷設機器4は、店舗2の室外に設置され、圧縮機を有する冷凍機から冷媒配管を介して冷媒の供給を受け、それぞれの庫内に収められている商品等の物品を冷却する。なお、冷凍機は店舗内の機械室に設置されてもよい。また、冷設機器4には冷凍機を含んでもよい。
【0029】
また店舗2には、店のオーナや従業員等といった、冷設機器4のユーザとなる店舗ユーザUが各冷設機器4を管理するための店舗装置8が設置されており、各冷設機器4、及び管理サーバ3と通信可能にするためのネットワーク13に接続されている。店舗装置8は、運転状態に係る運転データD1(図8参照)を各冷設機器4から取得し、それらを管理サーバ3に送信する。そして、管理サーバ3は、運転データD1を用いて冷設機器4の各種の管理を行う。
【0030】
ここで、本実施形態の冷設機器管理システム1は、冷設機器4に対する保守点検に係る店舗ユーザUの作業を支援する作業支援システムとしても機能する。具体的には、本実施形態の管理サーバ3は、異常を生じている冷設機器4に対して店舗ユーザUが行うべき確認作業を支援する確認作業支援機能を備えている。
【0031】
確認作業は、冷設機器4の異常の原因をつきとめるために、冷設機器4が備える部品や部材、部位などの状態を確認する作業を含む。以下では、作業対象を「確認部位」と言う。また確認部位の状態を確認する作業を「状態確認作業」と呼び、「状態確認作業」を、その全体の作業の中に含む上記確認作業と区別する。
【0032】
状態確認作業では、店舗ユーザUは、確認部位を撮像することで当該確認部位の状態が写った撮像画像を取得し、それを状態確認作業の作業結果に含めて管理サーバ3に送信する。そして管理サーバ3が、確認部位の撮像画像に基づいて確認部位の状態を判定し、この状態判定の結果に基づいて、冷設機器4に生じている異常の原因を特定するようになっている。
【0033】
また冷設機器管理システム1では、店舗ユーザUが操作する店舗ユーザ端末装置10が店舗2に設けられており、管理サーバ3による確認作業支援の際には、表示情報の一例である支援画面Gが店舗ユーザ端末装置10に表示され、当該支援画面Gによって、確認作業における各種の作業の案内が行われる。
【0034】
図2は、支援画面Gの一例を示す図である。
同図に示すように、支援画面Gとしては、少なくとも、確認部位案内画面G1、位置案内画面G2、及び状態確認作業案内画面G3の3つの画面が予め設けられており、これらの支援画面Gを店舗ユーザ端末装置10に表示させるための支援データ83が管理サーバ3の後述するデータ記憶部80(図7)に予め記憶されている。
【0035】
確認部位案内画面G1は、冷設機器4の確認部位を店舗ユーザUに知らせる案内画面である。図示例の確認部位案内画面G1では、冷設機器4の一例である冷凍・冷蔵ショーケースの冷気吹出口に配設されているハニカム(フィルタ)が確認部位であることが店舗ユーザUに知らされる。
【0036】
位置案内画面G2は、確認部位案内画面G1の後に表示され、冷設機器4における確認部位の位置を店舗ユーザUに案内する案内画面である。この位置案内画面G2では、視認等により確認部位の位置を店舗ユーザUに認知させるための作業(以下、「確認部位認知作業」と言う)が店舗ユーザUに案内される。図2に示す位置案内画面G2では、確認部位認知作業として、冷凍・冷蔵ショーケースの冷気吹出口のハニカムを臨むアングルで当該冷気吹出口(すなわち、確認部位の配置位置)を店舗ユーザ端末装置10で撮影する作業(別の見方をすれば、確認部位であるハニカムの撮像画像を取得する手法)が案内されている。
かかる確認部位認知作業を店舗ユーザUに実施させることで、店舗ユーザUは、冷気吹出口に配設されたハニカムを撮影時に視認することとなり、仮にハニカムの位置を知らなかったとしても、ハニカムが冷気吹出口に設けられていることを認知できる。
【0037】
状態確認作業案内画面G3は、位置案内画面G2の後に表示され、確認部位に対する状態確認作業を店舗ユーザUに案内する。さらに、この状態確認作業案内画面G3には、確認部位に対する状態確認作業を図示により案内する図示案内表示Gaも含まれている。図2に示す状態確認作業案内画面G3では、状態確認作業として、確認部位であるハニカムを店舗ユーザ端末装置10の後述するカメラ54Aで撮影する作業が案内されている。また図示案内表示Gaとして、撮影すべき、冷気吹出口のハニカムが図示されている。このように状態確認作業案内画面G3では、カメラ54Aによって撮像すべき冷設機器4の確認部位(ハニカム)が案内される。
【0038】
かかる確認作業支援においては、店舗ユーザUは、確認部位の提示を受けてから、位置案内画面G2で指示される確認部位認知作業、及び、状態確認作業案内画面G3で指示される状態確認作業の少なくとも2つの作業を実施することになる。
【0039】
しかしながら、保守点検作業を何度も行った経験を有する等して、店舗ユーザUが作業対象の冷設機器4を熟知し、確認部位の位置を既に把握している場合、位置案内画面G2における確認部位認知作業を実施することは煩雑なものとなる。
そこで本実施形態の冷設機器管理システム1では、図3に示すように、作業対象の冷設機器4についての店舗ユーザUの熟練度等のユーザ評価が第1の閾値よりも高い場合には、位置案内画面G2の表示が省略され、その支援画面Gにおいて指示されている作業を店舗ユーザUが実施しなくても済むようにしている。
これに加え、状態確認作業案内画面G3においても図示案内表示Gaが省略することで、状態確認作業案内画面G3による案内が簡略されており、無駄な情報を省き、店舗ユーザUに見合った情報が案内されないようになっている。
【0040】
またユーザ評価が第1の閾値よりも高い第2の閾値を超えている場合には、図3に示すように、位置案内画面G2、及び状態確認作業案内画面G3のいずれも省略され、管確認部位の状態判定の作業を店舗ユーザUに案内する状態判定案内画面G4が店舗ユーザ端末装置10に表示されるようになっている。
これにより、ユーザ評価が高い店舗ユーザUは、確認作業支援の通常の案内したがった状態確認作業の実施をすることなく、確認部位の状態を自身で速やかに判定し、その判定結果に基づいて管理サーバ3に原因を特定させることができる。
【0041】
以下、かかる冷設機器管理システム1について、より具体的に説明する。
【0042】
図4は、冷設機器4の機能的構成を示すブロック図である。
冷設機器4は、冷設機器制御部16と、冷設機器センサ部17と、通信部18と、を備える。
冷設機器制御部16は、CPUやMPUなどのプロセッサと、ROMやRAMなどのメモリデバイスとを有したコンピュータを備え、冷設機器4の各部を制御する。
冷設機器センサ部17は、1又は複数のセンサ(第1のセンサ)を有し、冷設機器4の運転状態の監視に供される各種情報を計測する。この種の情報には、少なくとも庫内温度情報が含まれる。以下、冷設機器センサ部17が計測する各種の情報を「計測情報」と言う。
通信部18は、ネットワーク13を介して店舗装置8に情報を送受するものであり、受信回路、及び送信回路を有した送受信機を備える。
【0043】
冷設機器制御部16は、メモリデバイスに記録されたプログラムをプロセッサが実行することで、記憶部21、計測情報取得部22、異常検出部23、及びデータ送信制御部26として機能する。
記憶部21は、各種の情報を記憶するものであり、少なくとも自身の冷設機器4を一意に特定する冷設機器ID情報を予め記憶している。
計測情報取得部22は、冷設機器センサ部17から計測情報を、適宜の周期で定期的に取得する。
異常検出部23は、計測情報に基づいて冷設機器4の動作の異常を検出する。具体的には、計測情報が示す物理量や物性、特性などには、異常と見做す条件(例えば閾値や数値範囲など)が予め異常判定情報として設定されている。異常検出部23は、計測情報が取得されるごとに、その計測情報と異常判定情報とに基づいて異常を検出する。なお、異常検出部23は、冷設機器4でなく、店舗装置8や管理サーバ3などの他の装置に設けられてもよい。
【0044】
データ送信制御部26は、計測情報取得部22によって取得された計測情報を店舗装置8に送信するに度に、冷設機器ID情報及びその他の適宜の情報を計測情報に付加し、それを運転データD1として通信部18を通じて店舗装置8に送信する。また異常検出部23によって異常が検出された場合、データ送信制御部26は、冷設機器ID情報及びその他の適宜の情報を異常の検出結果に付加し、それを警報データD2として通信部18を通じて店舗装置8に送信する。異常の検出結果には、少なくとも異常を示すエラーコードが含まれる。
【0045】
図5は、店舗装置8の機能的構成を示すブロック図である。
店舗装置8は、店舗装置制御部30と、通信部31と、蓄積部32と、表示部33と、を備え、例えばパーソナルコンピュータによって構成される。
店舗装置制御部30は、CPUやMPUなどのプロセッサと、ROMやRAMなどのメモリデバイスとを備え、店舗装置8の各部を制御する。
通信部31は、ネットワーク13を介して、冷設機器4、及び管理サーバ3と通信するものであり、受信回路、及び送信回路を有した送受信機を備える。
蓄積部32は、例えばHDDやSSDなどのデータストレージ装置を備え、各種情報を蓄積する。
表示部33は、ディスプレイを備え、各種情報を表示する。
【0046】
また店舗装置制御部30は、メモリデバイスに記録されたプログラムをプロセッサが実行することで、データ取得部35と、蓄積制御部36と、データ送信制御部37と、表示制御部38として機能する。
データ取得部35は、それぞれの冷設機器4が送信する運転データD1、及び警報データD2を、ネットワーク13を介して取得する。
蓄積制御部36は、データ取得部35によって取得された運転データD1、及び警報データD2を蓄積部32に蓄積する。
データ送信制御部37は、蓄積部32に蓄積されていた運転データD1を適宜のタイミングで管理サーバ3に送信する。また警報データD2が蓄積部32に蓄積された場合には、蓄積のタイミングから速やかに遅滞なくデータ送信制御部37は、警報データD2を管理サーバ3に送信する。
表示制御部38は、表示部33の表示を制御する。また、警報データD2がデータ取得部35によって取得された場合には、表示制御部38は、警報データD2によって示される異常を表示部33に表示し、店舗ユーザUが異常を認識可能にする。
【0047】
図6は、店舗ユーザ端末装置10の機能的構成を示すブロック図である。
店舗ユーザ端末装置10は、店舗ユーザUが操作する情報通信端末装置であり、例えばスマートフォンやタブレット型PCといった可搬可能な携帯端末が店舗ユーザ端末装置10に用いられる。
上述の通り、店舗ユーザ端末装置10は、異常を生じている冷設機器4に対して店舗ユーザUが確認作業を行う際に、管理サーバ3による確認作業支援を店舗ユーザUが受けるための端末装置である。
【0048】
かかる店舗ユーザ端末装置10は、図6に示すように、ユーザ端末制御部50と、通信部51と、蓄積部52と、ディスプレイ53と、作業結果検出部54と、を備える。
ユーザ端末制御部50は、CPUやMPUなどのプロセッサと、ROMやRAMなどのメモリデバイスとを有し、店舗ユーザ端末装置10の各部を制御する。
通信部51は、ネットワーク13を介して、管理サーバ3と通信するものであり、受信回路、及び送信回路を有した送受信機を備える。
蓄積部52は、例えばHDDやSSDなどのデータストレージ装置を備え、各種情報を蓄積する。
ディスプレイ53は、管理サーバ3から取得した上記支援画面G(図2図3)等の各種情報を表示する。
作業結果検出部54は、店舗ユーザUが支援画面Gで管理サーバ3によって指示された作業の結果を検出する。本実施形態では、作業結果を示す情報に撮像画像が用いられており、当該撮像画像を得るためのセンサ(第2のセンサ)としてカメラが作業結果検出部54に設けられている。カメラ54Aによる撮像画像は、蓄積部52に蓄積される。
【0049】
またユーザ端末制御部50は、メモリデバイスに記録されたプログラムをプロセッサが実行することで、ユーザID情報記憶部57と、確認作業実施制御部58として機能する。
かかるプログラムは、例えば光ディスクや半導体メモリなどの記録媒体に記録され、または、インターネット等の電気通信回線を通じて頒布可能になされている。
【0050】
ユーザID情報記憶部57は、店舗ユーザUの識別情報であるユーザID情報を記憶する。
確認作業実施制御部58は、管理サーバ3からの上記支援画面Gの受信、及び表示、カメラ54Aの撮像による作業結果の取得と蓄積、及び、管理サーバ3への作業結果データD3(図9参照)の送信を制御する。作業結果データD3は、支援画面Gで指示された作業に対する作業結果を管理サーバ3に通知するデータである。確認作業実施制御部58は、作業結果検出部54によって作業結果が取得、蓄積された場合、その作業結果(撮像画像)と、作業を行った店舗ユーザUのユーザID情報と、を含む作業結果データD3を生成し、それを管理サーバ3に送信する。
【0051】
図7は、管理サーバ3の機能的構成を示すブロック図である。
管理サーバ3は、CPUやMPUなどのプロセッサと、ROMやRAMなどのメモリデバイスと、HDDやSSDなどのストレージ装置と、各種の周辺機器を接続するためのインターフェース回路と、ネットワーク13を介して他の通信機器と通信するための送受信装置とを備えたサーバコンピュータによって構成されている。かかる管理サーバ3は、プロセッサがストレージ装置に記憶されているプログラムを実行することで、図7に示すように、サーバ制御部70、通信部71、及び蓄積部72として機能する。かかるプログラムは、例えば光ディスクや半導体メモリなどの記録媒体に記録され、または、インターネット等の電気通信回線を通じて頒布可能になされている。
【0052】
サーバ制御部70は管理サーバ3の各部を制御し、通信部71は、ネットワーク13を介して、店舗装置8などの他の通信機器との間で情報を送受する。蓄積部72は各種情報を蓄積する。
【0053】
またサーバ制御部70は、上記プログラムを実行することで、データ取得部76、確認作業支援部77、診断処理部78、保守点検指示部79、及びデータ記憶部80として機能する。
【0054】
データ取得部76は、店舗装置8が送信する運転データD1、及び警報データD2を、ネットワーク13を介して取得し、蓄積部72に蓄積する。
確認作業支援部77は、店舗2において、異常を生じている冷設機器4に対して店舗ユーザUが行うべき確認作業を支援する確認作業支援処理を行う。
【0055】
データ記憶部80は、ユーザ認証情報81と、対応情報テーブル82と、支援データ83と、を記憶する。
ユーザ認証情報は、確認作業支援対象の店舗ユーザUの認証のための情報である。この情報には、ユーザ認証に用いられる適宜の情報が用いられる。
対応情報テーブル82は、店舗ユーザUのユーザ評価を評価するためのデータである。
この評価では、異常発生時の作業に対する店舗ユーザUの対応レベルがユーザ評価として冷設機器4ごと、及び、冷設機器4の機種種別ごとに評価される。対応レベルは、店舗ユーザUが支援画面Gに示された情報(特に、確認部位提示画面G1の確認部位)を理解し、状態確認作業案内画面G3で案内される状態確認作業や、状態判定案内画面G4で案内あれる状態判定作業を適切に実施できる能力の指標でもあり、冷設機器4についての店舗ユーザUの知識レベルや技能、熟練度等に応じて高くなる。
本実施形態では、異常発生の対応の熟練度を店舗ユーザUのユーザ評価としている。そして、後に詳述する対応情報テーブル82には、店舗ユーザUが異常発生に対応した回数が冷設機器4、及び、機種種別ごとに記録され、これらの回数に基づいて熟練度が評価される。
支援データ83は、店舗ユーザUの確認作業支援に用いられる上記支援画面Gなどの各種のデータである。
【0056】
診断処理部78は、店舗ユーザUによる状態確認作業によって取得された確認部位を写した撮像画像、又は、店舗ユーザUが判定した確認部位の状態に基づいて、冷設機器4に生じている異常の原因を特定する診断処理を実行する。
保守点検指示部79は、診断処理部78によって特定された原因に応じて、その原因に対処するため点検作業を店舗ユーザ端末装置10に送信して店舗ユーザUに、その点検作業の実施を指示する。この場合において、点検作業の実施のために異常を生じている冷設機器4についての専門的知識を要し、店舗ユーザUでは実施が困難な作業である場合、保守点検指示部79は、前掲図1に示す保守点検サービス提供業者15に保守点検依頼を通信部71から発信する。
【0057】
保守点検サービス提供業者15は、冷設機器4の保守点検サービスを提供する業者である。図1に示すように、ネットワーク13を介して保守点検依頼を管理サーバ3から受けるための業者端末装置12と、エンジニア端末装置11とが設けられている。
業者端末装置12は、ネットワーク13を介して管理サーバ3と通信可能に成された通信端末であり、当該管理サーバ3から保守点検依頼を受信する。
また、保守点検サービス提供業者15には、多数のサービスエンジニアEが所属している。サービスエンジニアEは、冷設機器4についての専門的知識を有し、当該冷設機器4の保守点検作業を行う作業者である。エンジニア端末装置11は、サービスエンジニアEが保守点検作業を行う際に用いる情報通信端末であり、保守点検作業を支援する各種のツールをサービスエンジニアEに提供する。
そして管理サーバ3から保守点検依頼が発信され、それを業者端末装置12が受信すると、サービスエンジニアEが店舗2に赴き、エンジニア端末装置11を用いて冷設機器4に対して保守点検作業を行い、当該冷設機器4に発生している異常を解消する。
【0058】
なお、冷設機器4についての専門的知識を要する保守点検作業としては、例えば冷設機器4の分解を伴う清掃作業(「分解清掃」)や、部品交換、修理などの作業が挙げあれる。
一方、かかる専門的知識を要さない保守点検作業としては、冷設機器4の庫内の冷気吹出口や冷気吸込口といった庫内各部を清掃する作業、冷設機器4の機器本体に収められたフィルタを清掃する作業、庫内各部又はフィルタを含む周辺領域を清掃する作業、冷気吸込口の通気を阻害する異物の除去作業、周辺領域に存在する異物の除去作業などが挙げられる。
【0059】
次いで冷設機器管理システム1の動作を説明する。
【0060】
図8は、冷設機器4に異常が発生していない場合における冷設機器管理システム1のシーケンス図である。
冷設機器管理システム1にあっては、冷設機器4は、定期的に、その時点の計測情報を含む運転データD1を生成し、運転データD1の生成の都度、当該運転データD1を店舗装置8に送信する。店舗装置8は、運転データD1を受信すると、それを蓄積部32に蓄積する。そして、店舗装置8は、蓄積部32に蓄積されている運転データD1を、適宜のタイミングで、まとめて管理サーバ3に送信する。管理サーバ3は、運転データD1を店舗装置8から受信すると、それを蓄積部72に蓄積する。
【0061】
図9は、冷設機器4に異常が発生した場合における冷設機器管理システム1のシーケンス図である。
冷設機器4において、異常検出部23が異常を検出すると、冷設機器4は、当該異常の発生を示す警報データD2を店舗装置8に送信する。店舗装置8は、警報データD2を受信すると、それを速やかに管理サーバ3に送信する。管理サーバ3は、警報データD2を受信すると異常対応処理を実行する。この異常対応処理において、管理サーバ3は、店舗ユーザUに対する確認作業支援や、異常の原因特定、原因に対処するための保守点検作業の指示を行う。
【0062】
図10は、かかる異常対応処理のフローチャートである。
同図に示すように、管理サーバ3は、警報データD2を受信する等して、冷設機器4での異常発生を検知すると(ステップSa1:YES)、異常を生じている冷設機器4の運転データD1等に基づいて、その異常の原因と推定される候補「以下、「原因候補」と言う」を特定する(ステップSa2)。原因候補を特定する手法には、公知又は周知の適宜の技術を用いることができる。なお、ステップSa1において、管理サーバ3は、異常発生を店舗ユーザUからの電話やチャット等での報告によって検知してもよい。
【0063】
原因候補には、それが異常の原因であると確定するために状態を確認すべき箇所が対応付けられており、その箇所が確認部位に設定される。例えば、冷設機器4において庫内温度の異常が検出された場合、原因候補として冷設機器4の蒸発器の着霜が挙げられる。この場合には、確認部位として、蒸発器が対応付けられる。
【0064】
原因候補が特定されると、管理サーバ3は、店舗ユーザUによる確認部位の状態確認作業を支援するために、次の確認作業支援処理を行う。
すなわち、確認作業支援処理では、管理サーバ3は、店舗ユーザ端末装置10と通信し、確認作業を実施しようとする店舗ユーザUの上記ユーザID情報を取得し、ユーザ認証情報81に基づいてユーザ認証する(ステップSa3)。次いで管理サーバ3は、後述する熟練度決定処理を実行することで、ユーザID情報に対応する店舗ユーザUの熟練度を決定し(ステップSa4)、その後、原因確認処理を実行する(ステップSa5)。この原因確認処理では、管理サーバ3による店舗ユーザUの熟練度に応じた支援の下、店舗ユーザUによって確認部位の状態確認作業、又は、状態判定作業が行われ、状態確認作業で取得された確認部位の撮像画像、又は、店舗ユーザUによる状態判定の結果に基づいて原因候補が異常の原因と確定される。
【0065】
管理サーバ3は、確定した原因に対処する保守点検作業の内容を決定し(ステップSa6)、その保守点検作業を店舗ユーザ端末装置10に送信することで、その保守点検作業の実施を店舗ユーザUに指示する(ステップSa7)。店舗ユーザUが保守点検作業を実施すると、その保守点検作業の作業結果が店舗ユーザ端末装置10から管理サーバ3に送信される。管理サーバ3は、この作業結果に基づいて保守点検作業が正常に行われたか否かを診断する(ステップSa8)。保守点検作業が正常に行われていない場合、再度の保守点検作業の実施指示が、店舗ユーザUによる保守点検作業を支援するための情報ともに店舗ユーザ端末装置10に送信される。そして店舗ユーザUは、この指示にしたがって、再度、保守点検作業を実施することとなる。かかる保守点検作業の実施指示は、保守点検作業が正常に行われるまで繰り返される。
そして保守点検作業が正常に行われて異常が解消すると、管理サーバ3は、後述する熟練度更新処理を行い、当該店舗ユーザUの熟練度を更新する(ステップSa9)。これにより、冷設機器4の異常に対応するごとに、異常に対応した店舗ユーザUの熟練度が更新される。
【0066】
次いで、上述した異常対応処理における熟練度決定処理、原因確認処理、及び熟練度更新処理について詳述する。
【0067】
図11は熟練度決定処理のフローチャートであり、図12は熟練度決定処理において参照される対応情報テーブル82の一例を示す図である。
図12に示すように、対応情報テーブル82の1件のレコード90には、ユーザID情報と、対応機器情報と、熟練度情報と、対応回数情報と、最終対応日と、が対応付けて記録される。
対応機器情報には、店舗ユーザUが異常に対応した冷設機器4の情報が記録され、ここでは、店舗ユーザUによって状態確認作業が行われた冷設機器4の冷設機器ID情報と、その冷設機器4の機器種別とが記録される。機器種別には、「同種の機器」を特定する識別情報が記録される。「同種の機器」とは、冷設機器4に対する確認作業の経験を共通して活かすことができる各冷設機器4を言う。例えば、同じシリーズに属する一群の冷設機器4や、略同じ構造及び部品配置を有する各冷設機器4は同種の機器となる。また例えば、ある2つの冷設機器4の間で、確認部位の位置と、確認部位の状態確認作業の内容とが共通する場合も、それらの冷設機器4は同種の機器と言える。
【0068】
熟練度情報は、店舗ユーザUのユーザ評価の高さを示す熟練度の情報である。本実施形態では、熟練度は「1」から「3」までの3段階に区切られており、数値が大きいほど熟練度が高いことを意味する。
対応回数情報は、異常の原因の確認作業に対応した回数を、その対応時における店舗ユーザUの熟練度ごとに集計した情報である。本実施形態では、回数として、店舗ユーザUが作業結果の作業結果データD3を送信した送信回数がカウントされる。この対応回数情報は、店舗ユーザUが確認作業に対応するごとに後述する熟練度更新処理において更新記録され、その更新記録の結果によってユーザ評価値である熟練度も更新される。
最終対応日は、店舗ユーザUが確認作業を最後に行った日付情報である。
【0069】
熟練度決定処理では、図11に示すように、管理サーバ3は、かかる対応情報テーブル82において、店舗ユーザUのユーザID情報に、異常を生じている冷設機器4の冷設機器ID情報を対応付けたレコードがあるか否かを判定する(ステップSb1)。レコードがない場合(ステップSb1:NO)、管理サーバ3は、それらのユーザID情報と冷設機器ID情報とを対応付けたレコードを対応情報テーブル82に新規に追加する(ステップSb2)。この場合、対応情報テーブル82の記録の上では、異常を生じている冷設機器4に対して店舗ユーザUが作業するのは今回が初めてとなるので、管理サーバ3は、その店舗ユーザUの熟練度を「1」に設定する(ステップSb3)。
【0070】
一方、ステップSb1の判定において、レコードがあった場合(ステップSb1:YES)、管理サーバ3は、そのレコードに記録された最終対応日が所定期間内であるか否かを判定する(ステップSb4)。最終対応日から現在までに所定期間経過している場合(ステップSb4:NO)、管理サーバ3は、熟練度と対応回数情報とを初期化(クリア)し(ステップSb5)、熟練度を「1」に設定する(ステップSb3)。これにより、最終対応日から時間が経過して、そのときの確認作業について店舗ユーザUの記憶が薄れている蓋然性が高いような場合に、それに合わせて熟練度を初期化できる。
【0071】
最終対応日から未だ所定期間内である場合(ステップSb4:YES)、管理サーバ3は、店舗ユーザUの熟練度として、熟練度情報の熟練度を仮決定する(ステップSb6)。次いで、管理サーバ3は、後述する熟練度確認テストの要否を決定した後(ステップSb7)、仮決定した熟練度が最大であれば(ステップSb8:YES)、店舗ユーザUの熟練度を仮決定した熟練度に決定する(ステップSb9)。
【0072】
一方、仮決定した熟練度が最大でない場合(ステップSb8:NO)、管理サーバ3は、機器種別が一致し、かつ最終対応日が現在日付から所定期間内の各レコードの中から最大の熟練度(以下、「同一機種最大熟練度」と言う)を取得し(ステップSb10)、同一機種熟練度と仮決定されている熟練度とを比較する(ステップSb11)。そして、同一機種熟練度の方が高い場合(ステップSb11:YES)、管理サーバ3は、店舗ユーザUの熟練度を同一機種熟練度に決定し(ステップSb12)、同一機種熟練度の方が低い場合は(ステップSb11:NO)、店舗ユーザUの熟練度を仮決定した熟練度で決定する(ステップSb9)。これにより、店舗ユーザUの熟練度として、機種種別が同一の冷設機器4に対して行った確認作業の経験や実績を反映した熟練度が決定されることとなる。
【0073】
以上の熟練度決定処理により、異常を生じている冷設機器4、及び、その機器種別のそれぞれに紐付いた熟練度、並びに、最終対応日からの経過期間に基づいて、店舗ユーザUの熟練度が適切に決定される。
【0074】
図13は、原因確認処理のフローチャートである。
原因確認処理では、管理サーバ3は、店舗ユーザUへの確認部位の提示から当該店舗ユーザUによる確認部位の状態確認作業に至るまでに、当該店舗ユーザUに案内する案内項目を、当該店舗ユーザUの熟練度に応じて決定する(ステップSc1)。
前掲図2、及び図3で説明したように、本実施形態では、確認部位案内画面G1、位置案内画面G2、状態確認作業案内画面G3、及び状態判定案内画面G4のそれぞれの支援画面Gによる案内が案内項目として予め設定されている。
そして、ステップSb1では、店舗ユーザUの熟練度が「1」の場合(図3のユーザ評価が第1の閾値以下の場合に対応)、確認部位案内画面G1、位置案内画面G2、及び、状態確認作業案内画面G3による案内が決定される。
また熟練度が「2」である場合(図3のユーザ評価が第1の閾値より大きく、第2の閾値以下の場合に対応)、位置案内画面G2による案内が省略されて、確認部位案内画面G1、及び状態確認作業案内画面G3による案内が決定される。
さらに熟練度が「3」である場合(図3のユーザ評価が第2の閾値より大きい場合に対応)、位置案内画面G2、及び状態確認作業案内画面G3による案内が省略され、確認部位案内画面G1による案内と、状態判定案内画面G4による案内とが決定される。
【0075】
次いで、管理サーバ3は、店舗ユーザUに未提示の案内項目が残っている間は(ステップSc2:YES)、案内項目に対応する支援画面Gのデータを店舗ユーザ端末装置10に送信する(ステップSc3)。
【0076】
店舗ユーザ端末装置10は、前掲図9に示すように、支援画面Gのデータを管理サーバ3から受信すると、当該支援画面Gをディスプレイ53に表示し、店舗ユーザUに、支援画面Gで指示された作業を案内する。これにより、店舗ユーザUは、自身がすべき作業を把握できる。
店舗ユーザUが作業を実施し終えると、店舗ユーザ端末装置10のカメラ54Aによって作業結果が撮像される。そして、店舗ユーザ端末装置10は、作業結果の撮像画像とユーザID情報とを含む作業結果データD3を生成し、管理サーバ3に送信する。
【0077】
図13に戻り、管理サーバ3は、店舗ユーザ端末装置10から作業結果データD3を受信すると(ステップSc4)、作業結果データD3に基づいて店舗ユーザUが実施した作業の結果を診断する(ステップSc5)。前掲図2図3の例では、位置案内画面G2による確認部位認知作業、又は、状態確認作業案内画面G3による状態確認作業の作業結果がステップSc5で診断される。この診断では、管理サーバ3は、作業が適切に行われたかを判定し、作業結果が不適切な場合は、その作業が適切に行われるまで、再度の作業の実施を指示する。この場合において、管理サーバ3は、より詳しく作業内容を案内する支援画面Gを店舗ユーザ端末装置10に送信することで、店舗ユーザUが作業を適切に実施できるように支援してもよい。
なお、ステップSc3において、作業の指示を含まない支援画面G(例えば確認部位提示画面G1)が提示された時は、ステップSc4、及びSc5の処理はスキップされる。
【0078】
次いで、管理サーバ3は、店舗ユーザUによる作業結果によって原因が確定できた場合(ステップSc6:YES)、そのまま処理を終了し、確定できない場合は(ステップSc6:NO)、次の案内項目を提示して店舗ユーザUに確認作業を継続させるために、テップSc2に処理手順を戻す。前掲図2、及び図3の例では、確認部位の状態確認作業の作業結果として取得された確認部位(ハニカム)の撮像画像、又は、状態判定作業に対して店舗ユーザUが行った状態判定(ハニカムの埃の溜まり具合)の結果に基づいて、原因が確定した否か判定される。
【0079】
かかる原因確認処理では、確認作業を実施する店舗ユーザUの熟練度が高い場合、支援画面Gによる一部の案内(図2の例では、位置案内画面G2による確認部位の位置の案内)が省略されるので、その店舗ユーザUは、その案内にしたがった作業を実施せずに済むようになる。
これにより、管理サーバ3による確認作業支援を受けて作業を進める場合でも、店舗ユーザUは、自身の熟練度に見合った作業だけを実施することができ、その店舗ユーザUにとって無駄な作業を実施する必要がなくなる。
【0080】
図14は、熟練度更新処理のフローチャートである。
熟練度更新処理では、管理サーバ3は、対応情報テーブル82から店舗ユーザUのレコードを抽出し、当該店舗ユーザUが作業を実施した冷設機器4に紐付く対応回数情報、及び、最終対応日を更新する(ステップSd1)。
具体的には、店舗ユーザUの現時点での熟練度に紐付く送信回数を加算する。上述の通り、本実施形態では、異常対応処理において、作業結果データD3が店舗ユーザ端末装置10から送信された送信回数が対応回数情報に加算される。
【0081】
次いで、店舗ユーザUの熟練度が最大(本実施形態では「3」)でない場合(ステップSd2:NO)、管理サーバ3は、更新後の対応回数情報を熟練度に反映するために、加算更新後の送信回数が所定回数(例えば「5回」)を越えたか否かを判定する(ステップSd3)。なお、所定回数は、熟練度ごとに異なる値が設定されてもよい。
送信回数が所定回数を越えている場合には(ステップSd3:YES)、管理サーバ3は、その店舗ユーザUの熟練度を1段階上げ(ステップSd4)、その熟練度で店舗ユーザUのレコードを更新する(ステップSd5)。
これにより、店舗ユーザUが作業を実施した回数に応じて、熟練度が上がるようになる。
なお、ステップSd4で熟練度が上げられた場合でも、元の熟練度に紐付いた送信回数はクリアされずに維持される。
【0082】
また熟練度更新処理においては、現時点の熟練度を維持することの妥当性が判定され、妥当でない場合には、熟練度が下げられるようになっている。
かかる処理について詳細には、管理サーバ3は、店舗ユーザUの熟練度が最大である場合(ステップSd2:YES)、熟練度確認テストの要否決定結果を判定する(ステップSd6)。熟練度確認テストは、店舗ユーザUの現時点の熟練度の妥当性を確認するためのテストである。本実施形態では、熟練度確認テストとして、支援画面Gによって提示された作業に対する店舗ユーザUの対応が、作業結果データD3の作業結果に基づいて評価される。具体的には、管理サーバ3は、作業に対して予め設けられている基準データと、店舗ユーザUの作業結果とを比較することで、店舗ユーザUの対応を評価する。基準データは、妥当な作業結果を示すデータであり、作業の内容や種類に応じて適宜のデータが設定される。そして、基準データと、店舗ユーザUの作業結果との一致度が所定一致度閾値を下回る場合には(ステップSd7:NO)、管理サーバ3は、熟練度を1段階下げ(ステップSd8)、その熟練度で店舗ユーザUのレコードを更新する(ステップSd5)。
【0083】
ただし、ステップSd8で熟練度が下げられた場合、元の熟練度に紐付いた送信回数はクリアされずに維持される。そして上述の通り、ステップSd4で熟練度が上げられた場合でも、元の熟練度に紐付いた送信回数はクリアされずに維持されるので、店舗ユーザUが次回、異常に対する作業を終えた際に、ステップSd3、及びSd4の処理により、熟練度が1段階上げた状態に更新され、上位の熟練度に直ぐに復帰できるようになる。また、上位の熟練度に復帰した場合、復帰後の最初に行った、異常に対する作業の作業結果に基づいて熟練度確認テストが実施される。したがって、店舗ユーザUの対応レベルが上位の熟練度に見合ってなかった場合には、速やかに、その時点の対応レベルに見合った低位の熟練度に戻されることとなる。
【0084】
なお、熟練度確認テストでは、店舗ユーザUが作業の実施に要した作業時間を計測し、作業時間が所定時間の場合に、熟練度を下げてもよい。作業時間は、例えば、支援画面Gによって作業を提示してから作業結果データD3が送信されるまでの時間に基づいて計測される。
【0085】
以上の熟練度更新処理により、店舗ユーザUが作業を実施した回数に応じて熟練度が上がり、また、熟練度確認テストにより、その時点の店舗ユーザUに見合った熟練度に維持される。したがって、管理サーバ3による作業確認支援において、その時点の店舗ユーザUに見合った案内が適切に行われるようになる。
【0086】
本実施形態によれば、次の効果を奏する。
【0087】
本実施形態では、管理サーバ3は、作業結果データD3とユーザID情報とに基づいて評価された店舗ユーザUのユーザ評価である熟練度が「1」より大きい場合、店舗ユーザ端末装置10のディスプレイ53に支援画面Gを表示して案内する複数の作業の一部(より正確には、確認部位認知作業:図2)を省略する。
これにより、熟練度が「1」より大きい場合には、確認作業支援で案内される作業のうち、自身の熟練度では不要な作業を店舗ユーザUが実施しなくても済むので、異常発生時の保守点検に係る作業負担を減らすことができ、また、迅速に、確認部位の確認作業を済ませることができる。
【0088】
本実施形態では、ユーザ評価である熟練度が「1」の場合には、管理サーバ3は、冷設機器4における確認部位の位置を店舗ユーザUに認知させるための確認部位認知作業(第1の作業)を案内する位置案内画面G2(第1の案内)と、確認部位に対する状態確認作業(第2の作業)を案内する状態確認作業案内画面G3(第2の案内)と、のそれぞれを店舗ユーザ端末装置10に送信する。一方、熟練度が「2」であった場合、管理サーバ3は、位置案内画面G2(第1の案内)を省略し、状態確認作業案内画面G3(第2の案内)を店舗ユーザ端末装置10に送信する。
これにより、位置案内画面G2(第1の案内)が案内されずとも、状態確認作業案内画面G3(第2の案内)だけで作業を実施できる熟練度の店舗ユーザUに、無駄な作業を行わせることを防止できる。
【0089】
本実施形態では、管理サーバ3は、熟練度が「2」より大きい場合、位置案内画面G2(第1の案内)、及び、状態確認作業案内画面G3(第2の案内)の両方を省略し、冷設機器4における確認部位の状態を店舗ユーザUに判定させる状態判定案内画面G4(第3の案内)を店舗ユーザ端末装置10に送信する。
これにより、冷設機器4の異常発生時には、熟練度が「2」より高い店舗ユーザUは、確認作業支援の通常の案内にしたがった作業を実施することなく、確認部位の状態を自身で速やかに判定し、その判定結果に基づいて管理サーバ3に原因を特定させることができる。
【0090】
本実施形態では、熟練度が「2」の場合、管理サーバ3は、図示案内表示Gaが省略されることで案内が簡略化された状態確認作業案内画面G3(第2の案内)を店舗ユーザ端末装置10に送信する。
これにより、状態確認作業案内画面G3から無駄な情報を省き、店舗ユーザUに見合った情報を案内できる。
【0091】
本実施形態では、管理サーバ3は、熟練度を作業結果データD3の送信回数に基づいて評価するので、冷設機器4に対して行った確認作業の経験や実績を作業結果データD3の送信回数で定量化でき、それを熟練度に反映できる。
【0092】
本実施形態では、管理サーバ3は、熟練度が「3」になった場合(第2の閾値より大きくなった場合)、作業結果データD3によって示される作業結果と基準データとの一致度が所定一致度閾値未満のときには、熟練度を1段階下げるようにした(図14:ステップSd7、Sd8)。
これにより、熟練度「3」のユーザ評価を店舗ユーザUが得た場合でも、作業への対応レベルに見合った熟練度にユーザ評価を下げることができる。
【0093】
本実施形態では、管理サーバ3は、作業結果データD3の送信回数が所定回数に達するごとに熟練度を加算し、また、作業に要した時間が所定時間以上、または、作業結果データD3によって示される作業結果と基準データとの一致度が所定一致度閾値未満のとき熟練度を下げるようにした。
これにより、店舗ユーザUが冷設機器4に対して行った作業の経験や実績と、その作業の結果で裏付けられた対応レベルと、を反映した熟練度を設定できる。
【0094】
本実施形態では、管理サーバ3は、作業を行う時点での店舗ユーザUの熟練度ごとに作業結果データD3の送信回数を集計するので、作業時の熟練度ごとに、作業の経験や実績を正確に評価できる。
【0095】
本実施形態では、管理サーバ3は、作業結果データD3を最後に取得した最終対応日から所定期間経過した場合に、店舗ユーザUの熟練度を初期化によって下げるので、作業についての記憶が薄れている蓋然性が高いような場合に、それに合わせて熟練度を下げることができる。
【0096】
本実施形態では、管理サーバ3は、冷設機器4の冷設機器ID情報ごとに熟練度を評価するので、冷設機器ごとに店舗ユーザUの熟練度に応じて適切に作業を支援できる。
【0097】
本実施形態では、管理サーバ3は、冷設機器4の機器種別ごとにも熟練度を評価しており、冷設機器4の冷設機器ID情報に対応する熟練度が「1」であっても、機器種別が同一で冷設機器ID情報が異なる冷設機器4についての熟練度が「2」であった場合には、位置案内画面G2(第1の案内)を省略し、状態確認作業案内画面G3(第2の案内)を店舗ユーザ端末装置10に送信する。
これにより、同一の冷設機器4のみならず、同種の一群の冷設機器4について確認作業支援を受ける際に、店舗ユーザUは、自身の作業の経験や実績に見合った支援を受けることができる。
【0098】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
【0099】
(変形例1)
上述した実施形態では、熟練度を作業結果データD3の送信回数に基づいて評価したが、これに限らず、送信回数に代えて、有効な作業を店舗ユーザUが行った回数を示す有効回数に基づいて熟練度を評価してもよい。
これにより、店舗ユーザUの作業への対応レベルを熟練度の決定に反映できる。
この場合において、管理サーバ3は、店舗ユーザUが作業に要した時間、または、作業結果データD3の作業結果と基準データとの一致度に応じて有効回数を加算してもよい。
これにより、店舗ユーザUの作業への対応レベルを正確に定量化し、それを熟練度の決定に反映できる。
【0100】
(変形例2)
上述した実施形態では、確認作業支援の際には、支援画面Gの表示に係るデータを管理サーバ3が店舗ユーザ端末装置10に送信する構成としたが、これに限らず、支援画面Gの表示に要するデータを店舗ユーザ端末装置10のメモリやデータストレージ等に予め格納する構成であってもよい。
この場合、確認作業支援の際には、管理サーバ3は、支援画面Gの表示に要するデータに代えて、当該支援画面Gを指し示す情報を店舗ユーザ端末装置10に送信し、この情報に基づいて店舗ユーザ端末装置10が支援画面Gをディスプレイ53に表示する。
【0101】
(変形例3)
上述した実施形態では、冷設機器4に異常が発生した際に、異常の原因をつきとめるために、異常の原因に関連する冷設機器4の部位を店舗ユーザUが確認する確認作業を、管理サーバ3を用いて支援する場合を例示した。
しかしながら、これに限らず、例えば、店舗ユーザUによって行われる適宜の保守点検に係る作業を、管理サーバ3を用いて支援できる。
【0102】
(変形例4)
上述した実施形態では、店舗2に所属するユーザである店舗ユーザUの作業を、管理サーバ3を用いて支援する場合を例示したが、これに限らず、例えばサービスエンジニアEなどの任意のユーザの作業を支援できる。例えばサービスエンジニアEの作業支援を行う際には、エンジニア端末装置11が備えるディスプレイに、サービスエンジニアEの熟練度等のユーザ評価に応じて、支援画面Gが表示される。
【0103】
(他の変形例)
図1から図7に示す機能ブロックは、本願発明を理解容易にするために、構成要素を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、構成要素は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0104】
図1から図7における各制御部は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアにより実行されてもよい。また、各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし、複数のプログラムで実現されてもよい。
【0105】
管理サーバ3を、複数台のサーバコンピュータから成るコンピュータシステムで構成し、それぞれのサーバコンピュータが共同して図7に示す各種の機能を実現してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
以上のように、本発明にかかる作業支援方法、及びプログラムは、作業者に見合った適切な支援を行うことができるので、冷設機器に対するユーザの作業を伴う各種の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0107】
1 冷設機器管理システム(作業支援システム)
3 管理サーバ(コンピュータ)
4 冷設機器
10 店舗ユーザ端末装置
11 エンジニア端末装置
13 ネットワーク
17 冷設機器センサ部(第1のセンサ)
22 計測情報取得部
23 異常検出部
53 ディスプレイ
54 作業結果検出部
54A カメラ(第2のセンサ)
77 確認作業支援部
82 対応情報テーブル
83 支援データ
D3 作業結果データ
E サービスエンジニア(ユーザ)
U 店舗ユーザ(ユーザ)
G 支援画面
G1 確認部位案内画面
G2 位置案内画面
G3 状態確認作業案内画面
G4 状態判定案内画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-02-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保守点検に係るーザの作業を支援する作業支援システムに用いられる作業支援方法であって、
前記機器の異常を検知した場合に、前記ユーザが確認すべき確認部位を特定し
前記ユーザが第1の条件を満たす場合に、前記確認部位に対する作業支援として、第1の案内を示す画面と、第2の案内を示す画面と、第3の案内を示す画面とを順番に前記ユーザの端末装置に表示させ
前記ユーザが第2の条件を満たす場合に、前記確認部位に対する作業支援として、前記第1の案内を示す画面と、前記第3の案内を示す画面とを順番に前記ユーザの端末装置に表示させ、前記第2の案内を示す画面の表示を省略する作業支援方法。
【請求項2】
前記第3の案内は、前記確認部位の撮影を促す案内であり、
前記ユーザが前記第1の条件を満たす場合に表示される前記第3の案内を示す画面と、前記ユーザが前記第2の条件を満たす場合に表示される前記第3の案内を示す画面とは、表示内容が異なる、請求項1に記載の作業支援方法。
【請求項3】
前記ユーザが前記第1の条件を満たす場合に表示される前記第3の案内を示す画面には、撮影対象である前記確認部位が図示され
前記ユーザが前記第2の条件を満たす場合に表示される前記第3の案内を示す画面には、前記確認部位が図示されない、請求項2に記載の作業支援方法。
【請求項4】
前記第1の条件は、前記ユーザの評価が閾値より大きいことであり、
前記第2の条件は、前記ユーザの評価が前記閾値以下であることである、請求項1から3のいずれか1項に記載の作業支援方法。
【請求項5】
前記ユーザの評価は、異常発生時の作業の熟練度によって決定する、請求項4に記載の作業支援方法。
【請求項6】
機器の保守点検に係るユーザの作業を支援する作業支援システムのコンピュータが実行するプログラムであって、
前記コンピュータにより、
前記機器の異常を検知した場合に、前記ユーザが確認すべき確認部位を特定し、
前記ユーザが第1の条件を満たす場合に、前記確認部位に対する作業支援として、第1の案内を示す画面と、第2の案内を示す画面と、第3の案内を示す画面とを順番に前記ユーザの端末装置に表示させ、
前記ユーザが第2の条件を満たす場合に、前記確認部位に対する作業支援として、前記第1の案内を示す画面と、前記第3の案内を示す画面とを順番に前記ユーザの端末装置に表示させる処理を実行させるプログラムであり、
前記ユーザが前記第2の条件を満たす場合、前記第2の案内を示す画面の表示が省略される、プログラム
【請求項7】
前記第3の案内は、前記確認部位の撮影を促す案内であり、
前記ユーザが前記第1の条件を満たす場合に表示される前記第3の案内を示す画面と、前記ユーザが前記第2の条件を満たす場合に表示される前記第3の案内を示す画面とは、表示内容が異なる、請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記ユーザが前記第1の条件を満たす場合に表示される前記第3の案内を示す画面には、撮影対象である前記確認部位が図示され、
前記ユーザが前記第2の条件を満たす場合に表示される前記第3の案内を示す画面には、前記確認部位が図示されない、請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記第1の条件は、前記ユーザの評価が閾値より大きいことであり、
前記第2の条件は、前記ユーザの評価が前記閾値以下であることである、請求項6から8のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項10】
前記ユーザの評価は、異常発生時の作業の熟練度によって決定する、請求項9に記載のプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、保守点検に係るーザの作業を支援する作業支援システムに用いられる作業支援方法であって、前記機器の異常を検知した場合に、前記ユーザが確認すべき確認部位を特定し、前記ユーザが第1の条件を満たす場合に、前記確認部位に対する作業支援として、第1の案内を示す画面と、第2の案内を示す画面と、第3の案内を示す画面とを順番に前記ユーザの端末装置に表示させ、前記ユーザが第2の条件を満たす場合に、前記確認部位に対する作業支援として、前記第1の案内を示す画面と、前記第3の案内を示す画面とを順番に前記ユーザの端末装置に表示させ、前記第2の案内を示す画面の表示を省略する、作業支援方法である。