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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024839
(43)【公開日】2023-02-17
(54)【発明の名称】刈払機用ヘッド及び刈払機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/90 20060101AFI20230210BHJP
   A01D 34/63 20060101ALI20230210BHJP
【FI】
A01D34/90 C
A01D34/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021130388
(22)【出願日】2021-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】304065879
【氏名又は名称】株式会社 マルナカ
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(74)【代理人】
【識別番号】100148910
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 岳志
(72)【発明者】
【氏名】野口 誠
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083BA02
2B083CA03
2B083CA09
2B083CA28
2B083CB14
2B083DA02
2B083DA03
2B083EA02
2B083GA02
2B083HA60
(57)【要約】
【課題】刈られた雑草が上部に堆積し難く構成された刈払機用ヘッド及び刈払機を提供する。
【解決手段】刈払機用ヘッドHが、保持部材1に一体的に設けられ当該保持部材1の上を覆うカバー部材4を備えている。カバー部材4が、略円板状をなすカバー部材本体4aと、カバー部材本体4aの外周縁に立設された鋸歯状部4bとを備えたものであり、鋸歯状部4bが、刈刃支持部よりも外側に配設されているものとした。このようなものであれば、刈られた雑草が上部に堆積し難く構成された刈払機用ヘッドHを提供することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈払機本体の出力軸に接続する接続部を有し前記出力軸に連動して回転し得る保持部材と、この保持部材に立設された刈刃支持部に対して着脱可能に取り付けられた刈刃とを備えてなる刈払機用ヘッドであって、
前記保持部材に一体的に設けられ当該保持部材の上を覆うカバー部材を備えたものであり、
前記カバー部材が、略円板状をなすカバー部材本体と、このカバー部材本体の外周縁に立設された鋸歯状部とを備えたものであり、
前記鋸歯状部が、前記刈刃支持部よりも外側に配設されている刈払機用ヘッド。
【請求項2】
前記保持部材が、前記接続部から略等距離の位置に円周方向に間隔を空けて複数の前記刈刃支持部を配設したものであり、これら刈刃支持部に前記刈刃が支持されている請求項1記載の刈払機用ヘッド。
【請求項3】
前記カバー部材本体と前記刈刃支持部との間に、前記刈刃を前記刈刃支持部に対して着脱させるために前記刈刃が通過し得る刃通過用隙間が設けられたものであり、
前記刃通過用隙間が、前記カバー部材本体又は前記刈刃支持部に取り付けられた閉塞部材によって閉塞されるように構成されている請求項1又は2記載の刈払機用ヘッド。
【請求項4】
前記カバー部材本体に、前記閉塞部材が配設される閉塞部材配設孔が形成されたものであり、
前記閉塞部材に、上下方向に貫通したねじ挿通孔が設けられたものであり、
前記ねじ挿通孔に挿通されたねじを前記刈刃支持部に設けられたナット部に螺着することにより、前記閉塞部材が前記刃通過用隙間を閉塞しつつ前記刈刃支持部に取り付けられている請求項3記載の刈払機用ヘッド。
【請求項5】
前記保持部材が、部分円錐状又は円筒状をなす起立壁を有するとともに当該起立壁の上端縁から内方に連設され中央部に前記接続部が設けられた上壁とを有してなる隆起部と、この隆起部の下端縁から外方に延設された円板部とを備えたものであり、
前記刈刃支持部が、前記円板部に設けられたものであり、
前記カバー部材本体が、前記上壁に対して溶接されたものである請求項1、2、3又は4記載の刈払機用ヘッド。
【請求項6】
前記保持部材の下に配設され平面視において略円形をなすガイド部材を備えたものであり、
前記ガイド部材が、前記保持部材に対して相対回転可能に支持されたものであり、その外周端縁が前記保持部材の外周端縁よりも外側に位置したものである請求項1、2、3、4又は5記載の刈払機用のヘッド。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の刈払機用ヘッドを備えてなる刈払機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雑草を刈り払う刈払機を構成する刈払機用ヘッド及び当該刈払機用ヘッドを備えた刈払機に関する。
【背景技術】
【0002】
草刈り機用ヘッドとして、従来から、回転する保持部材に刈刃の役割を担うコード状の切断部材を保持させたものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ところで、コード状の切断部材を使用しないタイプの草刈り機用ヘッドとしては、回転する保持部材に立設した柱状部に対して強度面において優れたブレード状の刈刃を付け替え可能に支持させるようにしたものが検討されている。
【0004】
ところが、従来の草刈り機用ヘッドでは、草刈りの実行中に刈られた雑草が当該刈払機用ヘッドの上部に堆積してしまい、円滑な草刈り作業が継続的に行えなくなるという不具合が発生していた。
【0005】
発明者は、かかる不具合の発生原因を研究した結果、草刈りを進行している過程において、ブレード状の刈刃を支持する柱状部に対し、刈られた草が巻き付いたり絡みついたりすることが原因であることを突き止めた。
【0006】
更に、発明者は、作業時において、刈払機用ヘッドの上部に載った雑草を外方に向かって払い出す構成を設けることにより、上述した不具合がより一層緩和されることを発見した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5972275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたもので、少なくとも、刈られた雑草が上部に堆積し難く構成された刈払機用ヘッド及び刈払機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0010】
請求項1に記載の発明は、刈払機本体の出力軸に接続する接続部を有し前記出力軸に連動して回転し得る保持部材と、この保持部材に立設された刈刃支持部に対して着脱可能に取り付けられた刈刃とを備えてなる刈払機用ヘッドであって、前記保持部材に一体的に設けられ当該保持部材の上を覆うカバー部材を備えたものであり、前記カバー部材が、略円板状をなすカバー部材本体と、このカバー部材本体の外周縁に立設された鋸歯状部とを備えたものであり、前記鋸歯状部が、前記刈刃支持部よりも外側に配設されている刈払機用ヘッドである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記保持部材が、前記接続部から略等距離の位置に円周方向に間隔を空けて複数の前記刈刃支持部を配設したものであり、これら刈刃支持部に前記刈刃が支持されている請求項1記載の刈払機用ヘッドである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記カバー部材本体と前記刈刃支持部との間に、前記刈刃を前記刈刃支持部に対して着脱させるために前記刈刃が通過し得る刃通過用隙間が設けられたものであり、前記刃通過用隙間が、前記カバー部材本体又は前記刈刃支持部に取り付けられた閉塞部材によって閉塞されるように構成されている請求項1又は2記載の刈払機用ヘッドである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記カバー部材本体に、前記閉塞部材が配設される閉塞部材配設孔が形成されたものであり、前記閉塞部材に、上下方向に貫通したねじ挿通孔が設けられたものであり、前記ねじ挿通孔に挿通されたねじを前記刈刃支持部に設けられたナット部に螺着することにより、前記閉塞部材が前記刃通過用隙間を閉塞しつつ前記刈刃支持部に取り付けられている請求項3記載の刈払機用ヘッドである。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記保持部材が、部分円錐状又は円筒状をなす起立壁を有するとともに当該起立壁の上端縁から内方に連設され中央部に前記接続部が設けられた上壁とを有してなる隆起部と、この隆起部の下端縁から外方に延設された円板部とを備えたものであり、前記刈刃支持部が、前記円板部に設けられたものであり、前記カバー部材本体が、前記上壁に対して溶接されたものである請求項1、2、3又は4記載の刈払機用ヘッドである。
【0015】
請求項6に記載の発明は、前記保持部材の下に配設され平面視において略円形をなすガイド部材を備えたものであり、前記ガイド部材が、前記保持部材に対して相対回転可能に支持されたものであり、その外周端縁が前記保持部材の外周端縁よりも外側に位置したものである請求項1、2、3、4又は5記載の刈払機用のヘッドである。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1~6の何れか1項に記載の刈払機用ヘッドを備えてなる刈払機である。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも、刈られた雑草が上部に堆積し難く構成された刈払機用ヘッド及び刈払機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態を示す斜視図。
図2】同実施形態における平面図。
図3図2におけるX-X線端面図。
図4】同実施形態における分解斜視図。
図5】同実施形態における刈刃の取り付けを説明するための図3に対応する部分拡大端面図。
図6】同実施形態における刈刃の取り付けを説明するための図3に対応する部分拡大端面図。
図7】同実施形態における刈刃の取り付けを説明するための図3に対応する部分拡大端面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、図1~7を参照して説明する。
【0020】
刈払機は、刈払機本体Aと、刈払機本体Aに取り付けられた刈払機用ヘッドHを備えたものである。
【0021】
<<刈払機本体A>>
刈払機本体Aは、図3に示すように、駆動源であるモータ又はエンジン(図示せず)を有しており、当該駆動源からの駆動力がギヤケースC内の図示しないギアを介して出力軸Jに伝達されるように構成された既知の構成のものである。出力軸Jはナットnを用いて保持部材1を構成する接続部たるフランジ12に一体的に回転可能に取り付けられるようになっている。
【0022】
<<刈払機用ヘッドH>>
刈払機用ヘッドHは、刈払機本体Aの出力軸Jに接続するフランジ12を有し出力軸Jの回転に連動して一体的に回転し得る保持部材1と、保持部材1に立設された刈刃支持部Sに対して着脱可能に支持された刈刃2と、保持部材1の下に配設され刈刃2の地面に対する高さ位置をガイドし得るガイド部材3と、保持部材1に一体的に設けられ当該保持部材1の上を覆うカバー部材4とを備えたものである。
【0023】
以下、刈払機用ヘッドHの各構成について詳述する。
【0024】
<保持部材1>
保持部材1は、フランジ12から略等距離の位置に円周方向に間隔を空けて複数すなわち三つの刈刃支持部Sを配設したものである。保持部材1に設けられた三つの刈刃支持部Sには、刈刃2が着脱可能に支持されている。
【0025】
保持部材1は、部分円錐状をなす起立壁111を有するとともに当該起立壁111の上端縁から内方すなわち軸心方向に連設され中央部の下面側にフランジ12が取り付けられた上壁112とを有してなる隆起部11と、隆起部11の下端縁から外方に延設された円板部13とを備えたものである。
【0026】
隆起部11は、平面視における中央部に設けられ正面視、背面視、及び、側面視において上方に隆起する山形の形状をなしている。隆起部11における上壁112の上面側には、カバー部材4が溶接されている。なお、図4の符号pは溶接ポイントを示している。
【0027】
フランジ12は、出力軸Jが挿入される上下方向に貫通した貫通孔を有した円筒部121と、円筒部121の上端部から外方に延設され隆起部11における上壁112の下面に接続する外延出鍔122と、円筒部121の上部から内方すなわち軸心方向に延設され中央部に出力軸Jの基端部が内嵌し得る嵌合孔が形成された内延出鍔123とを備えている。刈払機本体Aの出力軸Jに対してナットnが緊締されることにより、出力軸Jはフランジ12に対して一体的に回転可能に固定されるものとなっている。
【0028】
円板部13は、隆起部11における円環状の下端縁から外方に延設されたものである。円板部13は、外周縁1e及び起立壁111に接続する内周縁がそれぞれ円環状をなしており、平面視においてドーナツ状をなしている。円板部11には、円周方向に略等間隔をなして三つの刈刃支持部Sが立設されている。
【0029】
なお、保持部材1を構成する隆起部11及び円板部13は、金属板により一体に形成されたものである。
【0030】
刈刃支持部Sは、上下方向に延びた柱状ないしピン状のものである。刈刃支持部Sの高さ寸法は、隆起部11の高さ寸法よりも低く設定されている。刈刃支持部Sは、基端部kが保持部材1の円板部13に対してプレス圧着されている。
【0031】
刈刃支持部Sは、円板部13に接続する基端部kと、基端部kの上に配された円柱部eと、円柱部eの上に配され当該円柱部eよりも大きな外径をなすヘッド部hとを備えている。
【0032】
基端部kは、下面が円板部13の上面に添接する円板状部分k1と、円板状部分k1から下方に突出したものでありプレスにより変形し得る変形突出部分k2とを備えたものである。
【0033】
ヘッド部hは、部分円錐形状をなしている。ヘッド部hの下部には面取り部たる傾斜面h1が設けられている。傾斜面h1は、円柱部eにおける上端部の外周面から連続し外方に向かって漸次上方に位置するように傾斜したものとなっている。
【0034】
ヘッド部hに傾斜面h1が設けられているため、刈刃支持部Sに取り付けられた刈刃2は、水平方向だけでなく傾斜面h1が許容し得る範囲で水平姿勢よりも斜めに傾斜した姿勢を採り得るものとなっている。換言すれば、刈刃支持部Sに面取り部たる傾斜面h1を設けることにより、刈刃2の先端部22aにおける上下方向の移動可動領域を可及的に広く確保し得るものとなり、雑草を柔軟に刈ることができるようになっている。
【0035】
この実施形態の刈刃支持部Sには、軸心部分にねじVが螺合し得るナット部ntが設けられている。刈刃支持部Sには、詳しくは後述する刃通過用隙間spを閉塞し得る閉塞部材5がねじVにより取り付けられるようになっている。
【0036】
<刈刃2>
刈刃2は、保持部材1の回転に連動して回転し先端部22aにおいて雑草等を切断し得るものである。刈刃2は、刈刃支持部Sに対して回転可能に装着されている。刈刃2は、上下を反転させて刈刃支持部Sに対して装着できる形態をなしている。
【0037】
刈刃2は、刈刃支持部Sと係り合うダルマ孔状の貫通孔Bを有した基端部21と、基端部21から外方に延設された刈刃本体22とを一体に備えた金属製のものである。基端部21と刈刃本体22とは金属により一体に形成されたものである。
【0038】
基端部21の貫通孔Bは、刈刃支持部Sにおける円柱部eの幅寸法に対応した内方寸法に設定された小径部b1と、小径部b1よりも刈刃本体22側に連設され小径部b1よりも大きな内法寸法に設定された大径部b2とを備えたものである。
【0039】
小径部b1は、刈刃支持部Sを係わり合う主要部をなしている。すなわち、小径部b1は、刈刃支持部Sにおける円柱部eの直径よりも若干大きな内法寸法に設定されている。
【0040】
大径部b2は、刈刃支持部Sに刈刃2を取り付ける際及び取り外す際に使用される部分である。すなわち、大径部b2は、刈刃支持部Sにおけるヘッド部hが通過し得るように、当該ヘッド部hの直径よりも大きな内法寸法に設定されている。
【0041】
貫通孔Bの形状及び大きさを前述したように設定することにより、刈刃2を刈刃支持部Sに好適に装脱し得るようになっている。例えば、刈刃2を刈刃支持部Sに装着する際には、刈刃支持部Sのヘッド部hが大径部b2に挿入するように刈刃2を移動させ、その後、刈刃支持部Sの円柱部eが小径部b1に位置するように刈刃2を外方に移動させることにより容易に実行することができるようになっている。
【0042】
なお、この実施形態では、カバー部材4におけるカバー部材本体4aと刈刃支持部Sの上端部との間に、刈刃2を刈刃支持部Sに対して着脱させるために刈刃2が通過し得る刃通過用隙間spが設けられている。刃通過用隙間spは、刈刃2を刈刃支持部Sに対して装着した後に、刈刃支持部Sに螺着される閉塞部材5によって閉塞されるようになっている。このように構成することにより、刈刃2は、刈刃支持部Sから離脱し難いものとなっている。
【0043】
刈刃本体22は、先端部22aすなわち先端側の所定の範囲が雑草等に直接的に接し得るものとなっている。刈刃本体22の先端部22aには回転方向に向かって鋭角な山型形状をなす刃先部stが形成されている。
【0044】
<ガイド部材3>
ガイド部材3は、保持部材1に対して相対回転可能に支持されている。ガイド部材3は、中央部に位置し内部に軸受けDを配した円筒部31と、円筒部31の下端から外方に向けて延設された円板部32とを備えたものである。この実施形態では、ガイド部材3の横幅寸法は約14インチ(35~36cm)に設定されている。
【0045】
ガイド部材3は、真円形状をなす円板部32における外周端縁3eが、真円形状をなす保持部材1における円板部13の外周端縁1eよりも外側に位置するものとなっている。また、刈刃支持部Sに支持された刈刃2における先端部22aの刃先部stは、ガイド部材3の外周端縁3eよりも外側に位置し得るように配設されている。換言すれば、刈刃2は、ガイド部材3の外周端縁3eよりも外側に位置する部分のみにより、雑草を切断し得るものとなっている。
【0046】
<カバー部材4>
カバー部材4は、保持部材1の上を覆うように配設されたものである。カバー部材4は、保持部材1に対して溶接により取り付けられている。カバー部材4は、保持部材1と一体的に回転可能に構成されている。カバー部材4は、刈刃支持部Sの直上を他の部材である閉塞部材5を介して間接的に覆い得るものとなっている。
【0047】
カバー部材4の幅寸法は、保持部材1の幅寸法と略同じ寸法に設定されている。換言すれば、平面視において、カバー部材4の外周縁部4eと保持部材1の外周端縁1eとは略同じ位置に設定されている。
【0048】
カバー部材4は、略円板状をなすカバー部材本体4aと、カバー部材本体4aの外周縁に上方に向かって凸をなすように立設された鋸歯状部4bとを備えたものである。
【0049】
カバー部材本体4aの中央部41は、保持部材1の隆起部11における上壁112に対して溶接されている。すなわち、保持部材1及びカバー部材4は、軸心を一致させて所定の溶接ポイントpにおいて溶接された後に、これら保持部材1及びカバー部材4に軸心を一致させてフランジ12が溶接されるようになっている。
【0050】
カバー部材本体4aと刈刃支持部Sの上端部との間には、刈刃2を刈刃支持部Sに対して着脱させる際に刈刃Sが通過し得る刃通過用隙間spが設けられている。
【0051】
カバー部材本体4aにおける刈刃支持部Sに対応する位置すなわち刈刃支持部Sの直上に位置する部分には、上下方向に貫通した丸孔状をなし閉塞部材5が配設される閉塞部材配設孔4a1が形成されている。この実施形態では、閉塞部材5は、閉塞部材配設孔4a1に内嵌し得る形態をなしている。
【0052】
閉塞部材5は、側面視において、略下向きハット状をなしている。閉塞部材5は、上下方向に貫通したねじ挿通孔r1が設けられた底壁部51と、底壁部51の周縁部から上方に立設された円筒状をなす周壁部52と、周壁部52の上端部から外側方に向かって延設された鍔部53とを備えている。
【0053】
底壁部51は、ねじ挿通孔r1を取り囲む部分の下面が刈刃支持部Sの上端面に当接又は近接し得るものとなっている。
【0054】
周壁部52は、その内部空間に、閉塞部材5を刈刃支持部Sに取り付けるためのねじVの頭部v1が収容されるものとなっている。
【0055】
鍔部53は、カバー部材本体4aにおける閉塞部材配設孔4a1の周縁部上面に係合し、閉塞部材5の下方への移動を禁止し得るものとなっている。
【0056】
この実施形態では、閉塞部材5のねじ挿通孔r1に挿通されたねじVを、刈刃支持部Sに設けられたナット部ntに螺着することにより、閉塞部材5が、カバー部材本体4aと刈刃支持部Sとの間に形成された刃通過用隙間spを閉塞しつつ刈刃支持部Sに取り付けられている。このように構成することにより、刈刃機用ヘッドHは、使用時において刈刃支持部Sから刈刃2が抜け出し難いものとなっている。
【0057】
なお、使用していた刈刃2を刈刃支持部Sから取り外す場合には、ナット部ntに対するねじVの螺着状態を解除した上で、閉塞部材5を刈刃支持部Sから離脱させることにより簡単に作業できるものとなっている。
【0058】
続いて、カバー部材4を構成する鋸歯状部4bについて説明する。
【0059】
鋸歯状部4bは、刈刃支持部Sよりも外側に配設されている。鋸歯状部4bは、ノコギリに近似した歯の形状をなしたものであり、カバー部材本体4aの外周縁から一体に延設されている。鋸歯状部4bは、ぎざぎざ形態のもの、すなわち、ノコギリ歯のように凸凹が交互に並んだ形態をなしている。
【0060】
鋸歯状部4bは、カバー部材本体4aの外周端縁から一体に立ち上がる基端部分4b1と、基端部分4b1の上に山型に突設された複数の歯部分4b2とを備えたものである。複数の歯部分4b2は、円周方向に隙間なく並設されている。歯部分4b2は、略鉛直方向に延びてなる鉛直辺部m1と、鉛直辺部m1の上端部に連続し当該鉛直辺部m1よりも回転方向の下流側に位置する傾斜辺部m2を有したものとなっている。
【0061】
鋸歯状部4bは、保持部材1とともに回転し、主として歯部分4b2における鉛直辺部m1が雑草に引っ掛かることにより、雑草を外部に払い出すことができるようになっている。
【0062】
カバー部材4は、刈払機本体Aからの駆動力により、保持部材1と一体的に回転し得るものである。保持部材1の円板部13に立設された刈刃支持部Sは、カバー部材4及び閉塞部材5により隙間なく覆われている。このため、刈刃2によって切断された雑草が、刈刃2の回転に追従するように移動しても刈刃支持部Sに対して巻き付いたり絡みついたりし難いものとなっている。
【0063】
すなわち、刈刃2に刈られた雑草は、カバー部材4及び閉塞部材5によって刈刃支持部Sに対して引っ掛かり難くなっている。しかも、カバー部材4及び閉塞部材5の上面側は、雑草が絡みつくような凹凸が形成されていないものとなっている。そのため、この実施形態の刈払機用ヘッドHであれば、刈られた雑草が刈刃2よりも上の刈払機用ヘッド構成部分に堆積してしまうという不具合が好適に抑制されたものとなっている。
【0064】
さらに、カバー部材4の外周縁部4eには、鋸歯状部4bが設けられている。このため、刈刃2によって刈られた雑草は、歯部分4b2によって外方に向かって積極的に払い出されるものとなっている。つまり、本実施形態のカバー部材4であれば、刈られた雑草は、鋸歯状部4bの存在に基づいてカバー部材4の上面に堆積し難いものとなっている。
【0065】
以上詳述したように本実施形態に係る刈払機用ヘッドHは、刈払機本体Aの出力軸Jに接続する接続部たるフランジ12を有し出力軸Jに連動して回転し得る保持部材1と、保持部材1に立設された刈刃支持部Sに対して着脱可能に取り付けられた刈刃2とを備えてなるものである。
【0066】
そして、保持部材1に一体的に設けられ刈刃支持部Sの上を他の部材である閉塞部材5を介して間接的に覆い得るカバー部材4を備えたものである。カバー部材4が、略円板状をなすカバー部材本体4aと、カバー部材本体4aの外周縁に立設された鋸歯状部4bとを備えたものであり、鋸歯状部4bが、刈刃支持部Sよりも外側に配設されている。
【0067】
このため、刈られた雑草が上部に堆積し難く構成された刈払機用ヘッドHを提供することができるものとなる。
【0068】
つまり、刈刃2を回転させて草刈りを進行しても、カバー部材4及び閉塞部材5により刈刃支持部Sの上が覆われているため、刈刃支持部Sに対して刈られた雑草が巻き付いたり絡みついたりすることが好適に抑制されたものとなっている。
【0069】
しかも、刈られた雑草が、刈刃支持部Sに巻き付いたり絡みついたりした雑草の上に更に蓄積されるという連鎖的な不具合も好適に抑制されるものとなっている。
【0070】
更に、カバー部材4が、カバー部材本体4aの外周縁に立設された鋸歯状部4bを備えたものであり、当該鋸歯状部4bが刈刃支持部Sよりも外側に配設されている。そのため、この刈払機用ヘッドHであれば、刈られた雑草を鋸歯状部4bによって外部に払い出すことができるものとなり、刈られた雑草が刈刃2よりも上部に堆積し難い好適な構成を採り得るものとなっている。
【0071】
保持部材1が、接続部たるフランジ12から略等距離の位置に円周方向に間隔を空けて複数の刈刃支持部Sを配設したものであり、これら刈刃支持部Sに刈刃2が支持されている。
【0072】
このため、複数の刈刃2を適宜の位置に配するものとなり、刈払機用ヘッドH全体のバランスを損ねることなく、雑草を刈ることができるものとなっている。
【0073】
カバー部材本体4aと刈刃支持部Sの上端部との間に、刈刃2を刈刃支持部Sに対して着脱させる際に刈刃Sが通過し得る刃通過用隙間spが設けられている。そして、刃通過用隙間spは、閉塞部材5により閉塞されるものとなっている。
【0074】
このため、刈刃支持部Sとカバー部材4との間に刈刃2が抜け出る可能性のある空隙が形成されないものとなるため、刈刃2を極めて安全に支持し得るものとなっている。
【0075】
カバー部材本体4aに、閉塞部材5が配設される閉塞部材配設孔4a1が形成されたものである。そして、閉塞部材5に、上下方向に貫通したねじ挿通孔r1が設けられたものであり、ねじ挿通孔r1に挿通されたねじVを刈刃支持部Sに設けられたナット部ntに螺着することにより、閉塞部材5が刃通過用隙間spを閉塞しつつ刈刃支持部Sに取り付けられている。
【0076】
このため、カバー部材4と刈刃支持部Sとの間に形成され得る空隙を閉塞部材5により好適に閉塞し得る構成が実現されたものとなっている。
【0077】
保持部材1が、部分円錐状又は円筒状をなす起立壁111を有するとともに当該起立壁111の上端縁から内方に連設され中央部に接続部たるフランジ12が設けられた上壁112とを有してなる隆起部11と、隆起部11の下端縁から外方に延設された円板部13とを備えたものであり、刈刃支持部Sが、円板部13に設けられたものであり、カバー部材本体4aが、上壁121に対して溶接されたものである。
【0078】
このため、円板部13とカバー部材本体4aとの間に、刈刃支持部Sが立設され得る空間を形成し易いだけでなく、刈刃支持部Sとカバー部材4との間に刈刃2を挿入し得る刃通過用隙間spも形成し易いものとなっている。また、カバー部材本体4aにより刈刃支持部Sの上を覆い得る設計を無理なく実現できるものとなっている。
【0079】
保持部材1の下に配設され平面視において略円形をなすガイド部材3を備えたものであり、ガイド部材3が、保持部材1に対して相対回転可能に支持されたものであり、その外周端縁3eが保持部材1の外周端縁1eよりも外側に位置したものである。
【0080】
このため、保持部材1に支持された刈刃2の先端部のみをガイド部材3の外周端縁3eよりも外側に位置させることができるものとなり、雑草を刈る際の刈刃2に対する負担を軽減しつつ好適に雑草を刈ることができるものとなっている。
【0081】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0082】
刈刃支持部を覆う態様は種々の態様を採り得るものであり、上述した実施形態に示されたものに限られるものではない。例えば、刈刃支持部の直上を、カバー部材が覆うものであってもよい。
【0083】
鋸歯状部の形状は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、鋸歯状部は、隣り合う歯部分の配列間隔が広く設定されたものであってもよい。また、鋸歯状部の山型形状も適宜の形状を採用し得るものである。
【0084】
刃通過用隙間を閉塞し得る閉塞部材は、刈刃支持部に取り付けたものに限られるものではなく、カバー部材に取り付けられたものであってもよい。換言すれば、閉塞部材は、刃通過用隙間を閉塞し得るものであればどのような構成のものであってもよい。
【0085】
刈払機本体の出力軸に接続する接続部は種々の形態を採り得るものであり、上述した構成のものに限られるものではない。
【0086】
保持部材の下に配設されるガイド部材は、必ずしも必須の構成ではない。しかしながら、ガイド部材を設けることにより、刈刃に対する負担を軽減し得るものとなっている。
【0087】
刈刃の形状は、種々設定できるものであり、上述した実施形態に示したものに限られるものではないのはもちろんのことである。刈刃の回転方向についても、任意に設定し得るのは言うまでもない。
【0088】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0089】
H…刈払機用ヘッド
1…保持部材
2…刈刃
3…ガイド部材
4…カバー部材
S…刈刃支持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7